TOP > 国内特許検索 > 3次元造形方法及び3次元造形機 > 明細書

明細書 :3次元造形方法及び3次元造形機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第6329332号 (P6329332)
登録日 平成30年4月27日(2018.4.27)
発行日 平成30年5月23日(2018.5.23)
発明の名称または考案の名称 3次元造形方法及び3次元造形機
国際特許分類 B29C  64/386       (2017.01)
B33Y  10/00        (2015.01)
B33Y  30/00        (2015.01)
B29C  64/393       (2017.01)
FI B29C 64/386
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B29C 64/393
請求項の数または発明の数 10
全頁数 12
出願番号 特願2017-559479 (P2017-559479)
出願日 平成29年2月27日(2017.2.27)
国際出願番号 PCT/JP2017/007407
審査請求日 平成29年11月13日(2017.11.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】307015301
【氏名又は名称】武藤工業株式会社
【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
発明者または考案者 【氏名】當間 隆司
【氏名】田沼 千秋
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】110002572、【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
審査官 【審査官】田代 吉成
参考文献・文献 特開平7-199381(JP,A)
特開2016-7736(JP,A)
特開2011-141705(JP,A)
調査した分野 B29C 64/386
B29C 64/393
B33Y 10/00
B33Y 30/00
要約 この3次元造形機は、3次元構造物をボクセルで表現した3次元データを取得する3次元データ取得部と、複数種類の色素を有する積層物を吐出する吐出機構と、前記吐出機構を、前記3次元データに従って制御して3次元造形物を造形する制御部とを備える。前記ボクセルの一つは、交差する3方向の各々において複数のエレメントに分割され、前記複数のエレメントの各々は、複数の色のうちの1つに該当する色データを与えられ、前記ボクセルの複数の表面が略同一色となるよう、前記エレメントの前記色データが決定されている。
特許請求の範囲 【請求項1】
3次元構造物をボクセルで表現した3次元データを取得するステップと、
前記ボクセルの一つを、交差する3方向の各々において複数のエレメントに分割し、前記複数のエレメントの各々に、複数の色のうちの1つに該当する色データを付与するステップと
を備え、
前記エレメントへの色データの付与は、前記ボクセルの複数の表面が略同一色となるように行われる
ことを特徴とする3次元造形方法。
【請求項2】
前記ボクセルを回転させるステップを更に備えた、請求項1記載の3次元造形方法。
【請求項3】
同一色を有する複数の前記ボクセルが並んで配列されている場合に、前記ボクセルを回転させるステップを実行する、請求項2記載の3次元造形方法。
【請求項4】
前記ボクセルの1つに含まれる複数の前記エレメントは、前記ボクセルの1つの表面に現れる露出エレメントと、前記露出エレメントに覆われた核エレメントとを有し、
前記核エレメントに対し色補正のための色データを付与するステップを更に備える、請求項1記載の3次元造形方法。
【請求項5】
3次元構造物をボクセルで表現した3次元データを取得する3次元データ取得部と、
複数種類の色素を有する積層物を吐出する吐出機構と、
前記吐出機構を、前記3次元データに従って制御して3次元造形物を造形する制御部と
を備え、
前記ボクセルの一つは、交差する3方向の各々において複数のエレメントに分割され、
前記複数のエレメントの各々は、複数の色のうちの1つに該当する色データを与えられ、
前記ボクセルの複数の表面が略同一色となるよう、前記エレメントの前記色データが決定されている
ことを特徴とする3次元造形機。
【請求項6】
前記制御部は、前記ボクセルを回転させる制御を行う、請求項5記載の3次元造形機。
【請求項7】
前記制御部は、同一色を有する複数の前記ボクセルが並んで配列されている場合に、前記ボクセルを回転させる制御を行う、請求項6記載の3次元造形機。
【請求項8】
前記ボクセルの1つに含まれる複数の前記エレメントは、前記ボクセルの1つの表面に現れる露出エレメントと、前記露出エレメントに覆われた核エレメントとを有し、
前記制御部は、前記核エレメントに対し色補正のための色データを付与する、請求項5記載の3次元造形機。
【請求項9】
3次元構造物をボクセルで表現した3次元データを取得する3次元データ取得部と、
複数種類の色素を有する積層物を吐出する吐出機構と、
前記吐出機構を、前記3次元データに従って制御して3次元造形物を造形する制御部と
を備え、
前記ボクセルの一つは、交差する3方向の各々において複数のエレメントに分割され、
前記複数のエレメントの各々は、複数の色のうちの1つに該当する色データを与えられ、
前記ボクセルの1つに含まれる複数の前記エレメントは、前記ボクセルの1つの表面に現れる露出エレメントと、前記露出エレメントに覆われた核エレメントとを有し、
前記制御部は、前記核エレメントに対し色補正のための色データを付与する
ことを特徴とする3次元造形機。
【請求項10】
前記制御部は、色補正が不要な場合には前記各エレメントを白色のまま維持する、請求項9記載の3次元造形機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元造形方法及び3次元造形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3Dプリンタにおいて、その表面形状を着色することが可能なカラー3Dプリンタは、例えば特許文献1によりすでに提案されている。しかし、従来のカラー3Dプリンタは、造形された3次元造形物の表面にポリゴンデータ等に基づいて着色することが出来るに止まり、その3次元造形物の内部に、元の3次元構造物の色を忠実に再現した着色をすることは困難であった。その理由は、造形に用いる3次元CADデータが3次元造形物の表面のデータしか有しておらず、3次元造形物の内部構造を定義するものではなく、その内部構造の色データを有していないからである。このため、3次元造形物の内部においても正確に着色をすることが可能な3次元造形方法及び3次元造形機が求められている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2016-221789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、3次元造形物の内部においても正確に着色することが可能な3次元造形方法及び三次元造形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る3次元造形方法は、3次元構造物をボクセルで表現した3次元データを取得する3次元データを取得するステップと、前記ボクセルの一つを、交差する3方向の各々において複数のエレメントに分割し、前記複数のエレメントの各々に、複数の色のうちの1つに該当する色データを付与するステップとを備える。エレメントへの色データの付与は、前記ボクセルの複数の表面が略同一色となるように行われる。
また、本発明に係る3次元造形機は、3次元構造物をボクセルで表現した3次元データを取得する3次元データ取得部と、複数種類の色素を有する積層物を吐出する吐出機構と、前記吐出機構を、前記3次元データに従って制御して3次元造形物を造形する制御部とを備える。前記ボクセルの一つは、交差する3方向の各々において複数のエレメントに分割され、前記複数のエレメントの各々は、複数の色のうちの1つに該当する色データを与えられ、前記ボクセルの複数の表面が略同一色となるよう、前記エレメントの前記色データが決定されている。
また、本発明の別の態様に係る3次元造形機は、3次元構造物をボクセルで表現した3次元データを取得する3次元データ取得部と、複数種類の色素を有する積層物を吐出する吐出機構と、前記吐出機構を、前記3次元データに従って制御して3次元造形物を造形する制御部とを備え、前記ボクセルの一つは、交差する3方向の各々において複数のエレメントに分割され、前記複数のエレメントの各々は、複数の色のうちの1つに該当する色データを与えられ、前記ボクセルの1つに含まれる複数の前記エレメントは、前記ボクセルの1つの表面に現れる露出エレメントと、前記露出エレメントに覆われた核エレメントとを有し、前記制御部は、前記核エレメントに対し色補正のための色データを付与する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施の形態の3Dプリンタ100の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1の3Dプリンタ100を制御する制御部200の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態で使用される3次元データ(ボクセル)の概念を示す概略図である。
【図4】ボクセルVDを用いた3次元データを示す概念図である。
【図5】ボクセルVDとエレメントEDとの関係を示す。
【図6】ボクセルVDに与えられる色データ(パレットデータ)を示す。
【図7】ボクセルVDに与えられる色データ(濃淡)を示す。
【図8】モワレ発生防止のための位相変換部22の動作について説明する概念図である。
【図9】モワレ発生防止のための位相変換部22の動作について説明する概念図である。
【図10】色相変換部22の動作について説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、インクジェット方式の3Dプリンタを例として説明するが、本発明はインクジェット方式に限定されるものではなく、複数種類の色素を有する積層物を、後述するエレメントごとに吐出することが出来るものである限り、その方式は不問である。

【0008】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の三次元造形方法及び三次元造形機に係る、第1の実施の形態の3Dプリンタ100の全体構成を示す概略斜視図である。この3Dプリンタ100は、フレーム11、Zガントリ12、Yガントリ13、造形テーブル14、昇降装置15A、15B、ヘッド保持部16、インクタンク17、インクジェットヘッド18(吐出機構)を備える。

【0009】
フレーム11は、矩形形状の骨組を有しており、後述するZガントリ12他を内部に収納する。また、Zガントリ12は、フレーム11の内部において、昇降装置15A、15Bにより図1のZ方向(造形テーブル14の主平面に略垂直な方向)に移動可能に構成されている。

【0010】
Yガントリ13は、Zガントリ12の表面を、図1のY方向(造形テーブル14の主平面と平行な方向)に沿って摺動可能に構成されている。また、造形テーブル14は、Yガントリ13の表面において、図1のX方向(造形テーブル14の主平面と平行な方向であって、Y方向に垂直な方向)に摺動可能に構成されている。Zガントリ12、Yガントリ13、及び造形テーブル14の以上のような動作により、造形テーブル14上に形成される3次元造形物は、X方向、Y方向、Z方向の3方向に移動可能とされる。造形テーブル14上の3次元造形物がインクジェットヘッド18に対し3次元方向に相対的に移動することで、3次元データに基づく3次元造形物の造形が可能になる。

【0011】
ヘッド保持部16は、少なくともZガントリ12の最大高さよりも高い位置において、フレーム11に対し固定的に形成される。インクタンク17及びインクジェットヘッド18は、このヘッド保持部16に保持されている。インクタンク17は、3次元造形物のカラー造形のため、複数種類、例えばC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、ホワイト(W)などのインクを保持している。なお、インクは、上記に限定されるものではなく、例えば、上記のインクに加えクリアインクを追加することなども可能である。そして、インクジェットヘッド18は、このインクを噴射して3次元造形物の構成単位(3次元的な画素)であるボクセルを形成する。なお、インクとしては、紫外線が照射されることによって硬化する紫外線硬化型インクを用いることができる。この場合、インクジェットヘッド18には、紫外線照射部(図示せず)を併設することができる。

【0012】
図2は、図1の3Dプリンタ100を制御する制御部200の構成を示すブロック図である。この制御部200は、コンピュータ21、システム制御部22、ヘッド制御部23、メカ制御部24、昇降制御モータ25、Yガントリ制御モータ26、テーブル制御モータ27、及び表示部28を備える。

【0013】
コンピュータ21は、外部から造形すべき3次元造形物の3次元データを取得する3次元データ取得部として機能し、造形に必要な各種データ変換などを実行する。3次元データは、ボクセルという3次元方向に幅を有する基本要素(3次元的な画素)を一単位とし、ボクセルの集合により表現されている。すなわち、複数のボクセルを立体的に配置することで、3次元データが構成される。ボクセルの各々には、RGBやCMKYなどの色情報、ボクセルを構成する材料の情報など、様々な情報を含ませることができる。この点については後述する。

【0014】
システム制御部22は、3次元データから、インクジェットヘッド18を制御するためのヘッド制御データと、各種モータを制御するためのモータ制御データとを生成して、ヘッド制御部23及びメカ制御部24に転送する機能を有する。また、システム制御部22は、パレットデータ保持部221、色変換部222、位相変換部223、及び色相補正部224を備えている。

【0015】
パレットデータ保持部221は、色データとしてのパレットデータを保持する。色変換部222は、ボクセルが有する色データを、当該色データに対応するパレットデータに変換する機能を有する。また、位相変換部223は、ボクセルに与えられたパレットデータに従って、ボクセルの位相を変換する機能を有する。また、色相補正部224は、各種データに従って、ボクセルに与えられたパレットデータの色相を補正する機能を有する。

【0016】
ヘッド制御部23は、受領したヘッド制御データに従い、インクジェットヘッド18から吐出するインクの種類及びその吐出量を制御する。メカ制御部24は、モータ制御データを、更にZ方向データ、Y方向データ、及びX方向データに分割し、それぞれ昇降制御モータ25、Yガントリ制御モータ26、及びテーブル制御モータ27に転送する。昇降制御モータ25、Yガントリ制御モータ26、及びテーブル制御モータ27は、このZ方向データ、Y方向データ、及びX方向データに従い、Zガントリ12、Yガントリ13、及び造形テーブル14を駆動する。表示部28は、例えば液晶ディスプレイなどにより構成される。

【0017】
次に、ボクセルにより表現される3次元データについて説明する。従来の3Dプリンタは一般的に、3次元形状を水平方向の平面データに分解したSTLフォーマットにより表現されている。このSTLフォーマットの場合、構造物の内部についての性状を表現する方法がない。したがって、STLフォーマットに従い3次元造形物を構成する場合、その3次元構造物の内部の構造を表現することは困難であり、色付けもその表面の色付けができるにとどまっていた。
一例として、人体模型において心臓の模型を3Dプリンタで造形しようとする場合、心臓の内部の構造を、その色も含めて造形することが求められているが、それは従来のSTLフォーマットを用いた3Dプリンタにおいては困難である。

【0018】
これに対し、本実施の形態の3Dプリンタでは、図3に示すように、3次元構造の一単位を構成するボクセルVDの集合により3次元造形物の構造を表現する。ボクセルVDの場合、3次元構造物の内部の構造の表現が容易になるとともに、ボクセルVDの各々が色データを与えられているため、3次元構造の内部の色を表現することが容易になる。ボクセルを取り扱うフォーマットとしては、FAV(FAbricatable Voxel)フォーマットがすでに知られており、本実施の形態でもこのFAVフォーマットを適用することができる。

【0019】
図4に示すように、ボクセルVDの一つは、更に交差する3方向(X/Y/Z)の各々において、複数のエレメントEDに分割される。一例としては、ボクセルVDの一つは、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれにおいて複数、例えば4つに分割され、4×4×4=64個のエレメントEDに分割される。

【0020】
なお、1個のボクセルVDの大きさは、インクジェットヘッド18の最小吐出量に従って決定される。例えば、インクジェットヘッド18の最小吐出量が16pl(ピコリットル)だとした場合、その16plが1つのエレメントEDの最小の大きさとなる。したがって、エレメントEDが立方体であるとした場合、エレメントED1個の1辺の最小値は、約25μmとなる。3次元造形物の観察距離から視認できる大きさ(分解能)を0.1mmとすると、1辺が25μmのエレメントEDを、X方向、Y方向、及びZ方向にそれぞれ4個ずつ、合計で4×4×4=64個集合させて1つのボクセルVDを形成することができる。なお、図5に示すように、1個のボクセルVD中の64個のエレメントEDは、ボクセルVDの表面に現れる56個の露出エレメントEDeと、露出エレメントEDeにより周囲を覆われることによりボクセルVDの内部に埋まって外部からは見えない核エレメントEDcとに分類され得る。露出エレメントEDeは、白色以外の色データを与えられ得る。一方、核エレメントEDcは、ボクセルに対し色相補正を行う場合を除き、原則として白色のデータを与えられる。

【0021】
なお、1つのボクセルVDにおいて、X方向、Y方向、及びZ方向における分割数(エレメントの数)は同一である必要はない。例えば、1つのボクセルが、4×6×8個のエレメントにより構成されていてもよい。1個のエレメントEDが立方体として近似することができず、立方体に比べZ方向等に偏平した形状である場合もあり得る。この場合、ボクセルVDが立方体となるよう、1つのボクセルVDにおけるエレメントの配列数を、Z方向、Y方向、X方向で異なる数となるようにしてもよい。

【0022】
エレメントEDの各々は、ボクセルVDに与えるべき色データ(例えば、無彩色6色、R、G、B、C、M、Y各4色、計30色のいずれか)に従って割り振られたパレットデータに従い、複数種類の色データ(例えば白(W)、シアン(C)、M(マゼンタ)、Y(イエロー))のうちの1つの色データを与えられる。すなわち、ボクセルVDの6つの面のうちの1つに、ある色データを与えるために、その1つの面に現れる16個(4×4)のエレメントEDに、白(W)、シアン(C)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のうちの1つの色データが与えられる。16個のエレメントEDに与えられる色データ(W、C,M、Y)の組合せにより、そのボクセルの1面に与えられる色データが決定される。

【0023】
このようにしてボクセルVDの6つの面に現れるエレメントEDに色データを与えようとする場合、ボクセルVDの6つの面に対し略同一の色が与えられる必要がある。このため、本実施の形態では、ボクセルVDにおいて、その6つの面のすべて(又は少なくとも一部)が略同一色となるよう、エレメントEDの色データが決定される。この点に関し図6を用いて詳しく説明する。
なお、上記の例は、図1のようなインクジェット方式の3Dプリンタを使用した場合におけるインクの色の種類を示したものである。この図1の3Dプリンタは、インク自体を紫外線硬化してエレメントED更にはボクセルVDを積層させて3次元造形物とするものであるので、白色のインクが必要である。これに対し、別の方式のプリンタで、例えば白地の積層材料に対しインク等の色素を吐出する場合には、複数のインクは、例えばC、M、Yのみでよく、白色を含む必要はない。

【0024】
図6は、1つのボクセルVDの展開図である。ボクセルVDは6つの面Fs1~Fs6を有している。例えば、面Fs5とFs3は、図6に符号L1、L2で示す辺において対向する。図6において、色データとして白(W)を与えられているエレメントEDは符号Dwで示している。同様に、シアン(C)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)を与えられたエレメントEDは、それぞれ符号Dc、Dm、Dyで表現されている。このように、1つのボクセルVDに含まれる複数のエレメントEDに割り振る色データを表したものが、前述のパレットデータである。パレットデータは、パレットデータ保持部221に保持されており、例えば、ボクセルVDに与えるべき色の種類(例えば無彩色6色、R、G、B、C、M、Y各4色、計30色のいずれか1つ)に従って、その色に合致するパレットデータが、パレットデータ保持部221から読み出される。パレットデータが読みだされると、そのパレットデータに従い、各エレメントに色データが付与される。

【0025】
図6は、ボクセルVDにグレー系の色を与える場合の、各エレメントEDへの色データの配分を示している。ボクセルVDの6つの面Fs1~Fs6に同一の色を与えるため、各面において符号Dw、Dc、Dm、Dyを与えられるエレメントの割合は略同一とされる。

【0026】
図7に示すように、ボクセルVDにグレーを与える場合、ボクセルVDの1つの面における符号Dc、Dm、DyのエレメントEDの数の合計が符号Dwのエレメントの数に比べて増えるほど、そのボクセルVDの面の色は、より濃いグレーとなる。ボクセルVDに黄色を与える場合には、符号Dw及びDyのエレメントEDのいずれかが与えられるが、1つの面における符号DyのエレメントEDの数が符号Dwのエレメントの数に比べて増えるほど、ボクセルVDに与えられる黄色は濃い黄色となる。同様に、ボクセルVDに青色を与える場合には、符号Dy、Dm、DwのエレメントEDのいずれかが与えられるが、1つの面における符号Dy、DmのエレメントEDの数が符号DwのエレメントEDの数に比べ増えるほど、ボクセルVDに与えられる青色は濃い青色となる。

【0027】
符号Dy、Dm、Dcに対応する色が与えられるエレメントEDは、図5に示す露出エレメントEDeであり、核エレメントEDcは、外部には露出しないため、原則として符号DwのエレメントEDとしてよい。ただし、色相補正が必要な場合においては、符号Dw以外の色データが与えられる場合がある。この点については後述する。

【0028】
なお、図6及び図7に図示した例では、1つの面において同一色のエレメントEDができるだけX方向、Y方向において隣り合わず、斜め方向においてのみ隣接する配置(点描画風)を採用しているが、エレメントEDの配置はこれに限定されるものではなく、例えば同一色の2つのエレメントEDが辺を共有して(換言すれば、X方向、Y方向において隣り合うことも可能とするレイアウト(線描画風)を採用することも可能である。

【0029】
なお、同一色を与えられた複数のボクセルVDが1つの面に沿って配列されると、場合によってモアレが発生し、元の三次元構造物とは異なる色合いを呈する虞がある。このため、本実施の形態では、モアレの発生を防止するため、前述した位相変換部223により、以下のような制御を行っている。

【0030】
例えば、図8に示すように、1つの面において、同一色(同一の色番号)を有する複数(例えば4個)のボクセルVD11、VD12、VD21、VD22が、格子状(2×2)に同一面上に並んでいる場合を考える。そして、同一色を与えられた4個のボクセルVD11、VD12、VD21、VD22は、図6に示す面Fs4を当該同一面側に向けている。なお、図4において、面Fs1~fs6の末尾の番号を面番号fとし、1つの面Fs1~Fs6の、基準位置に対する回転角度(0°(1)、90°(2)、180°(3)、270°(4))を面角度θとして表現している。

【0031】
この場合、図8に示すように、同一色、例えば符号DmのエレメントEDが、直線状に複数個並ぶことが生じることがあり、この場合、当該面においてモアレが発生する虞がある。しかし、この第1の実施の形態では、モアレの発生を防止するため、ボクセルVDを適宜回転させる制御を行い、モアレの発生を防止している。なお、図8は符号Dmのエレメントが斜め方向に並ぶためにモワレが発生する場合を例示している。しかし、モワレが発生するのは、斜め方向に同一色のエレメントが並ぶ場合には限られず、同一色のエレメントが所定の規則性を持って配列される場合には、モワレが発生し得る。例えば、ボクセルの辺と平行な方向に同一色のエレメントが並ぶ場合にもモワレは発生し得る。そのような場合にも、同様の動作を行うことができる。

【0032】
この点を、図9を参照して詳しく説明する。図8のような複数のボクセルVD11、VD12、VD21、VD22が発生した場合、位相変換部223は、ボクセルVD11、VD12、VD21、又はVD22を回転させ(位相を変換し)、これにより、同一色のエレメントEDが同一直線状に並ぶことを防止する。

【0033】
図9は、図8のようなモワレが発生する配列とされたボクセルを回転させて、モワレが発生しないエレメントの配列に変更した後の状態を示している。モワレが発生する配列が得られた場合には、位相変換部223は、例えばボクセルVD12、VD21を回転させて、面Fs1に代えて面Fs1が紙面側に現れるようにする。図9では具体的に、ボクセルVD12については(f、θ)=(4,1)から(f、θ)=(1、2)に変換している。また、ボクセルVD21については(f、θ)=(4,1)から(1、4)に変換している。
また、ボクセルVD22については、面Fs4はそのまま紙面側を向きつつ、面Fs4を左回りに90°(2)回転させている((f、θ)=(4、2))。

【0034】
以上のようなボクセルの回転により、同一色のエレメントが一列に並ばない配列を選択することができ、これにより、モワレの発生を防止することができる。なお、上記の例では、モワレ防止のため、ボクセルVDの面番号f、回転角度θのいずれか、又は両方を変更する方式を採用している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、モワレ防止が達成できる限りにおいて、f、θのいずれか一方は固定とし、他方のみを変更する方式を採用することも可能である。

【0035】
なお、位相変換部223における回転動作は、システム制御部22において、同一色のボクセルVDが配列されていることを検知した場合に、モワレが生じることを回避するような並びとなるよう、自動的に回転制御を行うようにするのが好適である。又は、位相変換部223における回転動作は、システム制御部22において上記のような同一色のエレメントEDの並びを自動的に検知して、その並びが解消されるように回転制御を行うようにしてもよい。

【0036】
あるいはこれに代えて、例えばボクセルVDの配列を表示部28に表示させ、その表示部28の表示をオペレータが判断し、ボクセルの回転をコンピュータ21の入力部(マウスやキーボードなど)から指示することも可能である。

【0037】
また、図8及び図9で示した例では、格子状に並ぶ4つのボクセルVDにおいて同一色のボクセルが並ぶ場合を示している。しかし、これはあくまで一例であり、隣接する2つのボクセルを単位として、同一色のボクセルが隣接する場合において、位相変換部223を動作させるようにしてもよい。

【0038】
次に、図10を参照して、色相変換部224による、核エレメントEDcへの色データの配分に関し説明する。前述の通り、核エレメントEDcは外部から見えないため、核エレメントEDcyに付与される色データは、白(W)(符号Dw)であってよい。

【0039】
ただし、様々な理由により、露出エレメントEDeに付与される色データのみでは、所望の色相が得られない場合がある。例えば、ボクセルVDの各エレメントEDに対し、白(W)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の色データを与えることで、理論的には所望の色相をボクセルVDに与えることができる筈である。しかしながら、実施の色相をL*、a*、b*の色空間で各色を評価すると、実際の色相は理論上の色相からずれていることも多い。この場合には、色補正を行う動作が必要となる。

【0040】
また、使用されるインクは、多くの場合所定の透過性を有しているため、核エレメントEDcの色合いが、ボクセルVD全体の色合いに影響し得る。
このため、本実施の形態では、核エレメントEDcは、色補正が不要な場合には、原則として白色(W)を付与しつつも(白色のまま維持しつつも)、色補正の必要性がある場合には、核エレメントEDcにもシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)のいずれかを与えることができる。これにより、ボクセルVDの色相を補正することができる。

【0041】
例えば、図10の上部に示すように、核エレメントEDcが全て白色である場合を考える。ボクセルVDの符号Dmのエレメントに入射光ILが入射して赤色(R)の反射光RLとなり、その反射光RLが符号DyのエレメントEDを通過して外部に向かう。このとき、符号Dmのエレメントの色度がY側に寄っていると、その反射光RLが黄色みがかった色となることがある。

【0042】
このような場合には、例えば、図10の下側に示すように、色相変換部224により、核エレメントEDcのうちの1つEDcRに与える色データを、白(W)から別の色、例えばマゼンダ(M)に変更することができる。これにより、反射光RLをより本来の赤色に近い色に補正することができる。

【0043】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
100・・・3Dプリンタ、 200・・・制御部、 11・・・フレーム、 12・・・Zガントリ、 13・・・Yガントリ、 14・・・造形テーブル、 15A、15B・・・昇降装置、 16・・・ヘッド保持部、 17・・・インクタンク、 18・・・インクジェットヘッド、 21・・・コンピュータ、 22・・・システム制御部、 23・・・ヘッド制御部、 24・・・メカ制御部、 25・・・昇降制御モータ、 26・・・Yガントリ制御モータ、 27・・・テーブル制御モータ、 28・・・表示部、 VD・・・ボクセル、 ED・・・エレメント。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9