TOP > 国内特許検索 > 自由運動フライトシミュレータ装置 > 明細書

明細書 :自由運動フライトシミュレータ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4942046号 (P4942046)
公開番号 特開2009-243631 (P2009-243631A)
登録日 平成24年3月9日(2012.3.9)
発行日 平成24年5月30日(2012.5.30)
公開日 平成21年10月22日(2009.10.22)
発明の名称または考案の名称 自由運動フライトシミュレータ装置
国際特許分類 F16H  21/46        (2006.01)
G09B   9/20        (2006.01)
B25J  11/00        (2006.01)
FI F16H 21/46
G09B 9/20
B25J 11/00 D
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2008-093111 (P2008-093111)
出願日 平成20年3月31日(2008.3.31)
審査請求日 平成23年2月22日(2011.2.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
発明者または考案者 【氏名】田中 豊
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】鈴木 充
参考文献・文献 特開昭63-170679(JP,A)
特開平08-049756(JP,A)
特開2000-288853(JP,A)
特開平11-145259(JP,A)
調査した分野 F16H 21/46
G09B 9/20
B25J 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
平面上に配置した複数のアクチュエータと、脚部を介して支えられたモーションプレートとを有し、アクチュエータの駆動によりモーションプレートの位置及び角度が制御可能とされており、
アクチュエータはX-Y平面上を任意に移動可能とされたものであって、
モーションプレートはアクチュエータに対し脚部により連結されていることを特徴とする自由運動フライトシミュレータ装置。
【請求項2】
アクチュエータは平面上に2本の直線駆動アクチュエータを直角に交差させたX-Yユニット3組で構成され、各々のX-Yユニット中立点は円周上の対向位置に相互に120度間隔で配置されると共に、
モーションプレートは、その下部に、円周上の対向位置に120度間隔で3組の受け部を配置し、
X-Yユニットで構成される各々のアクチュエータと、モーションプレートの受け部とを、それぞれ対応するように、上部に回転軸受構造、下部に球面軸受構造を有する3組の脚部で連結したことを特徴とする請求項1に記載の自由運動フライトシミュレータ装置。
【請求項3】
モーションプレート上部に、アクチュエータの駆動により運動する脚とは独立して動く、回転型アクチュエータと、回転型モーションプレートからなる回転運動機構を配置したことを特徴とする請求項1に記載の自由運動フライトシミュレータ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、パラレルメカニズムを用いたモーション機構を有するフライトシミュレータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているパラレルメカニズム(並列機構)による自由運動駆動機構はコンパクトな構造、位置・姿勢の誤差が小さい、剛性が高い等の特徴からフライトシミュレータに応用されている。特に航空業界ではパイロットの養成が急務になっており、フライトシミュレータを使った飛行訓練は、航空法により飛行時間に充当することが可能となることから、天候が安定しない地域での飛行訓練に適している。中でも飛行中の動きを再現するモーションベースにはパラレルメカニズムが多く用いられている。
【0003】
パラレルメカニズを用いた例としては、特許文献1のように、では外科手術支援を目的とし、手術する部位に応じて要求される動作領域に変更可能とするパラレルメカニズムによる多自由度駆動機構が知られている。
【0004】
一方、航空機用としては、非特許文献1のように、コクピットやキャビン等に用いられるパラレルメカニズムの代表的な形態であるスチュワートプラットフォーム(Stewart Platform)タイプの6軸モーションベースが提供されている。この場合、最大の傾斜は25度となっている。

【特許文献1】特開2001-254798号公報
【非特許文献1】株式会社コスメイト、製品紹介サイト、http://www.cosmate.co.jp/mc_products/motion_base/motion_base.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、航空機用シミュレータの中で、小形機用フライトシミュレータは大形機用に比べて大きな角度を必要とする。また角度を大きく取れるモーションベースは危険度の高いシーンの再現ができるなどメリットが大きい。特許文献1では限定された動作領域に変更可能であるが、動作領域を広範囲に適用可能とすると大きな機構が必要になるとしている。また、非特許文献1ではコクピットやキャビンに用いられた場合の最大傾斜角は25度であり、小型機の極限的動作、特に失速、きりもみ等の状態の再現では傾斜角は30度以上を必要とされ、角度が不足している。また、動作範囲が狭いことが短所である。
【0006】
以上のことから、本発明の課題は、小型、低価格で動作範囲が広く、角度を大きく取れるモーションベースからなる小形機用フライトシミュレータを提供することにあり、従来のスチュワートプラットフォームタイプのパラレルメカニズムとは異なる新規パラレルメカニズムを用いたシミュレーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の自由運動フライトシミュレータ装置は、第1には、X-Y平面上を任意に移動可能としたアクチュエータと、該アクチュエータ上に設置した脚部により支えられたモーションプレートとを有し、モーションプレートをアクチュエータの駆動により位置及び角度を制御可能としたことを特徴とするものである。
【0008】
また、第2には、上記自由運動フライトシミュレータ装置において、アクチュエータは平面上に2本の直線駆動アクチュエータを直角に交差させたX-Yユニット3組で構成され、該X-Yユニット3組の各々は円周上の対向位置にその中立点が相互に120度間隔で配置すると共に、モーションプレートは、該モーションプレートの上部に円周上の対向位置に120度間隔で3組の受け部を配置し、該X-Yユニットと、該モーションプレートの受け部とを、それぞれ対応するように、上部に回転軸受構造、下部に球面軸受構造を有する3組の脚部で連結したことを特徴とする。これによって、自由運動フライトシミュレータ装置とすることにより、小型で、大きな角度、高速性、高い加速性を実現する。
【0009】
さらに、第3には、上記自由運動フライトシミュレータ装置において、モーションプレート上部に、アクチュエータの駆動により連動する脚とは独立して動く回転運動機構を配置したことを特徴とする。これによって、自由運動フライトシミュレータ装置とすることにより、広範囲の角度を容易に、かつスムーズに変更することができ、極限状態の再現を可能とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフライトシミュレータ装置は従来のパラレルメカニズムの特徴である多自由度の位置決めをコンパクトな構造で実現可能としている。位置や姿勢、角度の誤差が小さい、剛性が高い、高速駆動が可能等の特徴を有するだけでなく、従来問題であった機構全体の大きさに比べ動作範囲が広く取れない点を、本発明の新規パラレルメカニズムにより、広範囲、高角度の変更を可能とした。特に従来のフライトシミュレータ運動では実現できない失速、きりもみなどの極限状態の模擬飛行を安全で低価格に再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の好ましい実施の形態について説明する。もちろん、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の自由運動フライトシミュレータ装置のパラメカニズムを示す平面概要図である。図2および図3は、本発明の自由運動フライトシミュレータ装置のパラメカニズムの概要を示す斜視図である。たとえば、この図1、図2、そして図3に例示したように、本発明の自由運動フライトシミュレータ装置は、モーションプレート1とアクチュエータ2(2A1,2A2;2B1,2B2;2C1,2C2)が脚部3(3A;3B;3C)によって連結されたのもとすることができる。この例では、アクチュエータ2としては、X-Y平面上に任意に移動可能とされた3組(2A1,2A2)(2B1,2B2)(2C1,2C2)のものが配置され、その各々に三つの脚部(3A)(3B)(3C)が対応して連結された構成を有している。そして、モーションプレート1と脚部3との上部連結部は回転軸受構造4(4A;4B;4C)をもって構成し、回動自在に軸支された脚部3が非軸支部側において上下の一定方向の回転動のみ可能とされ、モーションプレート1の横方向のブレを防いている。また、アクチュエータ2と脚部3との下部連結部は球面軸受構造5(5A;5B:5C)をもって構成し、脚部3が自由運動可能とされている。
【0012】
また、この例では、モーションプレート1は、円板状の形状を有し、脚部3を回転軸受構造4をもって連結している裏面側において、二つの脚部(3A)(3B)(3C)の連結部位が同一の平板面にあるようにしている。
【0013】
なお、図4は、本実施例でのモーションプレート1の傾き角度θを示す。図5は、本実施例でのモーションプレート1のXY平面でのX軸がなす角度Φを示す。
【0014】
アクチュエータ2については、たとえば、2本の直線運動アクチュエータ(2A1)(2A2)を相互に十字に交差させ、アクチュエータ(2A2)の上のアクチュエータ(2A1)が任意に直線運動可能とされ、アクチュエータ(2A1)上の球面軸受構造(5A)によって連結された脚部(3A)の下部連結部が任意に直線運動可能とされ、しかも全体としてX-Y方向に自由運動可能とされている。
【0015】
同様にして、アクチュエータ(2B1)(2B2),アクチュエータ(2C1)(2C2)によって脚部(3B)(3C)もX-Y平面上を任意に移動可能とされる。
【0016】
以上のようなアクチュエータ2に対しては、本発明では、たとえば、その運動を電動機構として制御可能とする。
【0017】
また、モーションプレート1については、その上の人を支えるための形状や構造は、フライトシミュレータとしての用途、目的に応じて適宜に意匠されてよい。アクチュエータ2や脚部3の意匠についても同様である。
【0018】
ここで、たとえば実例として、図1から図5での3本の脚部3の長さ250mmとし、アクチュエータ2には6本ともストローク150mm、分解能0.005mmの直線運動電動アクチュエータ2を使用し、配置はX-Yユニット6(6A;6B;6C)の中立点、すなわち、各々のアクチュエータのストロークの丁度「中間」の位置であって、相互にクロスさせている位置が半径180mmの円周上にくる位置に120度間隔とした。モーションプレート下部の受け部の位置は半径31.5mmの円周上に120度の間隔で配置した。なお、モーションプレート1の径は130mmとした。まず、モーションプレート1の傾斜角度θについて動作範囲限界を計測した。計測は傾きの方角φを30度ごとのピッチで行なった。またモーションプレート1を水平(θ=O)を保った状態でのZ軸の値(上下移動量)について最大と最小を計測した。
【0019】
図6に計測結果を示す。傾き角度θは最大80度まで傾いた。
【0020】
全ての計測においてθは30度以上であった。これは最大の傾斜が20から25度である従来のスチュワートプラットフォームタイプの製品を上回る。
【0021】
以上の例は、X-Yユニットと脚部は各々3組の場合を示している。この3組は、モーションプレート1の運動自由度を6自由度とするものである。これは好適なものと言える。
【0022】
また、モーションプレート1の傾き角度θについては、主として、前記X-Yユニットの中立点の半径(R)と脚部長さ(W)の比によって決めることができる。
【0023】
R/Wを小さくすると角度θを大きくすることができる。
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の自由運動フライトシミュレータ装置のパラメカニズムの実施例の別の形態を示している。モーションプレート1上に、アクチュエータ2の駆動により運動する脚とは独立して、モーションプレート1のXY平面内を回転運動する回転型アクチュエータ7による、もう1つの回転型モーションプレート8を配置している。
【0024】
このような回転型の場合には、フライトシミュレータ装置としてモーションプレート上の人が回転していることを意識しない(気がつかない)ようにする。このため、回転速度については、できるだけ回転加速度の小さい、一定速度で動かすことが望ましい。
【0025】
回転型での回転角度については、たとえば、±60度以上回転できるようにすることが考慮される。傾き角度θが最大値をとる値(90度、210度、330度)に最短で行きつくような角度まで回転させてやればよいことになる。計測箇所を回転運動機構上とし第1の実施の形態と同一の計測条件で、回転運動機構の傾斜角度θについて動作範囲限界を計測した。
【0026】
図8に計測結果を示す。傾き角度θは傾きの方角φのすべての角度について最大80度まで傾いた。
【0027】
全ての計測においてθは最大80度となり、従来のスチュワートプラットフォームタイプの製品よりかなりの傾き角度をとることができ、特に小形機用フライトシミュレータに適していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によるフライトシミュレーション装置は小型、軽量で、かつ動作範囲が広く、高速駆動も可能等の特徴を有するため、フライトシュミレータ用途に限らず、ロボット、工作機械、アミューズメント機器、医療用支援等に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の自由運動フライトシミュレータ装置のパラメカニズムを示す平面概要図で、第1の実施の形態を示す。
【図2】本発明の自由運動フライトシミュレータ装置のパラメカニズムの概要を示す斜視図である。
【図3】図2と同様に、本発明の自由運動フライトシミュレータ装置のパラメカニズムの概要を示す斜視図である。
【図4】実施例でのモーションプレートの傾き角度θの部位を示す。
【図5】実施例でのモーションプレートのXY平面でのX軸がなす角度Φの部位を示す。
【図6】第1の実施の形態の計測結果を示す。
【図7】本発明の自由運動フライトシミュレータ装置のパラメカニズムの第2の実施の形態を示す。
【図8】第2の実施の形態の計測結果を示す。
【符号の説明】
【0030】
1 モーションプレート
2,2A1~2A2,2B1~2B2,2C1~C2 アクチュエータ
3,3A,3B,3C 脚部
4,4A,4B,4C 回転軸受構造
5,5A,5B,5C 球面軸受構造
6,6A,6B,6C X-Yユニット
7 回転型アクチュエータ
8 回転型モーションプレート
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図8】
4
【図3】
5
【図4】
6
【図5】
7