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明細書 :自由運動シミュレータ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5477737号 (P5477737)
公開番号 特開2011-021681 (P2011-021681A)
登録日 平成26年2月21日(2014.2.21)
発行日 平成26年4月23日(2014.4.23)
公開日 平成23年2月3日(2011.2.3)
発明の名称または考案の名称 自由運動シミュレータ装置
国際特許分類 F16H  21/46        (2006.01)
G09B   9/12        (2006.01)
FI F16H 21/46
G09B 9/12
請求項の数または発明の数 5
全頁数 10
出願番号 特願2009-167012 (P2009-167012)
出願日 平成21年7月15日(2009.7.15)
審査請求日 平成24年7月11日(2012.7.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
発明者または考案者 【氏名】田中 豊
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】大内 俊彦
参考文献・文献 特開平09-160478(JP,A)
特開2004-156679(JP,A)
特開2002-098784(JP,A)
特開2005-192389(JP,A)
特開平10-110799(JP,A)
調査した分野 F16H 21/46
G09B 9/12
特許請求の範囲 【請求項1】
平面上に配置し、一端を同一軸上に配置した複数のアクチュエータと、脚部を介して支えられたモーションプレートとを有し、アクチュエータの駆動によりモーションプレートの位置及び角度が制御可能とされており、
アクチュエータは一端を中心に円周方向、及び、軸方向を任意に移動可能とされモーションプレートはアクチュエータに対し脚部により連結されている自由運動シミュレータ装置であって、
該アクチュエータは平面上に、一端を同一軸に固定した、直線駆動アクチュエータを用い、その他端に直角方向に駆動可能とする駆動装置を設け、円周方向移動と同時に軸方向移動を可能とする3組のアクチュエータで構成されると共に、モーションプレートは、その下部に、円周上の対向位置に120度間隔で3組の受け部を配置し、平面上に設置したアクチュエータと、モーションプレートの受け部とを、それぞれ対応するように、上部に回転軸受構造、下部に球面軸受構造を有する3組の脚部で連結したことを特徴とする自由運動シミュレータ装置。
【請求項2】
前記モーションプレートは、側面を下方に45度傾斜させた構造からなり、該側面に回転軸受構造を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自由運動シミュレータ装置。
【請求項3】
前記アクチュエータの他端に設けられた直角方向に駆動可能とする駆動装置が、円周方向移動を可能とするガイド溝を有するガイド部材に設置され、前記3組のアクチュエータが該ガイド溝に沿って、円周方向移動と同時に軸方向移動を可能とするように構成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の自由運動シミュレータ装置。
【請求項4】
前記アクチュエータの駆動装置において、直線駆動装置に直線リニアモータを設け、円周方向駆動装置に回転リニアモータを設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自由運動シミュレータ装置。
【請求項5】
モーションプレート上部に、アクチュエータの駆動により運動する脚とは独立して動く、回転型アクチュエータと、回転型モーションプレートからなる回転運動機構を配置したことを特徴とする請求項1に記載の自由運動シミュレータ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、パラレルメカニズムを用いたモーション機構を有するシミュレータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から知られているパラレルメカニズム(並列機構)による自由運動駆動機構はコンパクトな構造、位置・姿勢の誤差が小さい、剛性が高い等の特徴から航空機用や自動車用のシミュレータに応用されている。特に航空業界ではパイロットの養成が急務になっており、フライトシミュレータを使った飛行訓練は、航空法により飛行時間に充当することが可能となることから、天候が安定しない地域での飛行訓練に適している。中でも飛行中の動きを再現するモーションベースにはパラレルメカニズムが多く用いられている。
【0003】
パラレルメカニズを用いた例としては、特許文献1では外科手術支援を目的とし、手術する部位に応じて要求される動作領域に変更可能とするパラレルメカニズムによる多自由度駆動機構が知られている。
【0004】
一方、航空機用としては、非特許文献1のように、コクピットやキャビン等に用いられるパラレルメカニズムの代表的な形態であるスチュワートプラットフォーム(Stewart Platform)タイプの6軸モーションベースが提供されている。この場合、最大の傾斜は30度となっている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2001-254798号公報
【0006】

【非特許文献1】Moog Incorporated、製品紹介サイト、http://www.moog.com/media/1/fcs-MotionSystemsBrochure.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、航空機用シミュレータの中で、小形機用フライトシミュレータは大形機用に比べて大きな角度を必要とする。また角度を大きく取れるモーションベースは危険度の高いシーンの再現ができるなどメリットが大きい。特許文献1では限定された動作領域に変更可能であるが、動作領域を広範囲に適用可能とすると大きな機構が必要になるとしている。また、非特許文献1ではコクピットやキャビンに用いられた場合の最大傾斜角は30度であり、小型機の極限的動作、特に失速、きりもみ等の状態の再現では傾斜角は30度以上を必要とされ、角度が不足している。また、動作範囲が狭いことが短所である。
【0008】
以上のことから、本発明の課題は、小型、低価格で動作範囲が広く、角度を大きく取れるモーションベースからなる小形機用フライトシミュレータを提供することにあり、従来のスチュワートプラットフォームタイプのパラレルメカニズムとは異なる新規パラレルメカニズムを用いたシミュレーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の自由運動シミュレータ装置は、第1には、平面上に配置し、一端を同一軸上に配置した複数のアクチュエータと、脚部を介して支えられたモーションプレートとを有し、アクチュエータの駆動によりモーションプレートの位置及び角度が制御可能としたことを特徴とするものである。
【0010】
また、上記自由運動シミュレータ装置において、アクチュエータは平面上に、一端を同一軸に固定した、直線駆動アクチュエータを用い、該アクチュエータの他端に直角方向に駆動可能とする駆動装置を設け、円周方向移動と同時に軸方向移動を可能とする3組のアクチュエータで構成されると共に、モーションプレートは、その下部に、円周上の対向位置に120度間隔で3組の受け部を配置し、平面上に設置したアクチュエータと、モーションプレートの受け部とを、それぞれ対応するように、上部に回転軸受構造、下部に球面軸受構造を有する3組の脚部で連結したことを特徴とする。これによって、自由運動シミュレータ装置とすることにより、小型で、大きな角度、高速性、高い加速性を実現する。
【0011】
には、モーションプレート側面を下方に45度傾斜させた構造とし、該側面に回転軸受構造を設けたことを特徴とする。これにより、モーションプレート下部に回転軸受け部が設置された場合に比べ、軸受け部に脚部があたり可動角度が制限されることを防ぎ、可動角度をより大きく取れる構造としている。
【0012】
には、アクチュエータの他端に設けられた直角方向に駆動可能とする駆動装置、円周方向移動を可能とするガイド溝を有するガイド部材設置され、前記3組のアクチュエータが該ガイド溝に沿って、円周方向移動と同時に軸方向移動を可能とするように構成されてなることを特徴とする。これにより、アクチュエータの両端が保持され、シミュレータの剛性を高めている。
【0013】
には、アクチュエータの駆動装置において、直線駆動装置に直線リニアモータを設け、円周方向駆動装置に回転リニアモータを設けたことを特徴とする。機械式のアクチュエータに比べ、リニアモータによる電気式のアクチュエータは制御性と動作性が大幅に向上する。
【0014】
には、モーションプレート上部に、アクチュエータの駆動により運動する脚とは独立して動く、回転型アクチュエータと、回転型モーションプレートからなる回転運動機構を配置したことを特徴とする。これによって、自由運動シミュレータ装置とすることにより、広範囲の角度を容易に、かつスムーズに変更することができ、極限状態の再現を可能とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシミュレータ装置は従来のパラレルメカニズムの特徴である多自由度の位置決めをコンパクトな構造で実現可能としている。位置や姿勢、角度の誤差が小さい、剛性が高い、高速駆動が可能等の特徴を有するだけでなく、従来問題であった機構全体の大きさに比べ動作範囲が広く取れない点を、本発明の新規パラレルメカニズムにより、広範囲、高角度の変更を可能とした。特に従来の航空機用のシミュレータ運動では実現できない失速、きりもみなどの極限状態の模擬飛行を安全で低価格に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の自由運動シミュレータ装置のパラメカニズムを示す平面概要図で、第1の実施の形態を示す。
【図2】本発明の自由運動シミュレータ装置のパラメカニズムの概要を示す斜視図である。
【図3】(a)モーションプレート側面を下方に45度傾斜させ、該側面に回転軸受を設けた軸受け構造を示す斜視図である。(b)モーションプレート下方から該軸受け構造を示す斜視図である。
【図4】実施例でのモーションプレートの傾き角度φの部位を示す。
【図5】実施例でのモーションプレートのXY平面でのX軸がなす角度ψの部位を示す。
【図6】第1の実施の形態の計測結果を示す。
【図7】3組のアクチュエータが円周方向移動を可能とするガイド溝を有するガイド部材が設置された構成を示す斜視図である。
【図8】アクチュエータの直線駆動装置に直線リニアモータを設け、円周方向駆動装置に回転リニアモータを設けた自由運動シミュレータ装置の斜視図を示す。
【図9】回転運動機構を配置した本発明の自由運動シミュレータ装置のパラメカニズムの第2の実施の形態を示す。
【図10】第2の実施の形態の計測結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の好ましい実施の形態について説明する。もちろん、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の自由運動シミュレータ装置のパラメカニズムを示す平面概要図である。図2は、本発明の自由運動シミュレータ装置のパラメカニズムの概要を示す斜視図である。図3はモーションプレート側面を下方に45度傾斜させ、該側面に回転軸受を設けた軸受け構造を示している。たとえば、この図1、図2に例示したように、本発明の自由運動シミュレータ装置は、モーションプレート1とアクチュエータ2(2A;2B;2C)が脚部3(3A;3B;3C)によって連結されたのもとすることができる。この例では、平面上に配置し、一端を同一軸上に配置した複数のアクチュエータ2と、脚部を介して支えられたモーションプレート1とを有し、アクチュエータの駆動によりモーションプレートの位置及び角度が制御可能とされており、アクチュエータ2としては、平面上に、一端を同一回転軸6に固定した、直線駆動アクチュエータを3組(2A;2B;2C)配置され、該アクチュエータ2の他端に直角方向に駆動する駆動装置7(7A;7B;7C)と、その各々に三つの脚部3(3A;3B;3C)が対応して連結された構成を有している。そして、モーションプレート1と脚部3との上部連結部は下方に45度傾斜させたモーションプレート1側面に設置した回転軸受構造4(4A;4B;4C)をもって構成し、回動自在に軸支された脚部3が非軸支部側において上下の一定方向の回転動のみ可能とされ、モーションプレート1の横方向のブレを防いている。また、アクチュエータ2と脚部3との下部連結部は球面軸受構造5(5A;5B:5C)をもって構成し、脚部3が自由運動可能とされている。

【0018】
また、この例では、モーションプレート1は、正三角形の形状を有し、脚部3を回転軸受構造4を下方45度の傾斜を有する三つの側面にそれぞれ連結している。本発明では、正三角形の形状を有するモーションプレート1を用いたが、円形、矩形など特に限定されない。

【0019】
なお、図4は、本実施例でのモーションプレート1の傾き角度φ(θ)を示す。図5は、本実施例でのモーションプレート1のXY平面でのX軸がなす角度ψを示す。

【0020】
三つのアクチュエータ2については、一端を同一軸に固定し、他端に直角方向に駆動可能とする駆動装置を設け、それぞれ円周方向移動と同時に軸方向移動を任意に移動可能としている。

【0021】
以上のようなアクチュエータ2に対しては、本発明では、たとえば、その運動を電動機構として制御可能とする。

【0022】
また、モーションプレート1については、その上の人を支えるための形状や構造は、シミュレータとしての用途、目的に応じて適宜に意匠されてよい。アクチュエータ2や脚部3の意匠についても同様である。

【0023】
ここで、たとえば実例として、図1から図5での3本の脚部3の長さ250mmとし、アクチュエータ2には3本ともストローク150mmの直線運動電動アクチュエータ2を使用し、配置はアクチュエータの位置が回転軸6を中心とした半径180mmの円周上の任意の位置に配置した。1辺が121mmの正三角形で側面が下側に45度の角度をなしているモーションプレートの3辺の側面中央に受け部4を配置した。まず、モーションプレート1の傾斜角度φについて動作範囲限界を計測した。計測は傾きの方角ψを30度ごとのピッチで行なった。またモーションプレート1を水平(φ=0)を保った状態でのZ軸の値(上下移動量)について最大と最小を計測した。

【0024】
図6に計測結果を示す。傾き角度φは最大90度まで傾いた。

【0025】
全ての計測においてφは30度以上であった。これは最大の傾斜が23から39度である従来のスチュワートプラットフォームタイプの製品を上回る。

【0026】
以上の例は、アクチュエータと脚部は各々3組の場合を示している。この3組は、モーションプレート1の運動自由度を6自由度とするものである。これは好適なものと言える。

【0027】
また、モーションプレート1の傾き角度φについては、主として、回転軸を中心としたアクチュエータの駆動(R)と脚部長さ(W)の比によって決めることができる。

【0028】
R/Wを小さくすると角度φを大きくすることができる。
以上の実施の形態のバリエーションとして、たとえば図7および図8に例示する実施の形態も考慮することができる。
図7の形態では、3組のアクチュエータ2が円周方向へ移動可能とするガイド溝を有するガイド部材8が配置されている。
また、図8の形態では、アクチュエータ2の直線駆動装置に直線リニアモータ9(9A;9B;9C)を設け、円周方向駆動装置に回転リニアモータ10(10A;10B;10C)を設けている。
たとえばこのような形態としても、本発明を構成することができる。
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の自由運動シミュレータ装置のパラメカニズムの実施例の別の形態を示している。モーションプレート1上に、アクチュエータ2の駆動により運動する脚とは独立して、モーションプレート1のXY平面内を回転運動する回転型アクチュエータ11による、もう1つの回転型モーションプレート12を配置している。

【0029】
このような回転型の場合には、シミュレータ装置としてモーションプレート上の人が回転していることを意識しない(気がつかない)ようにする。このため、回転速度については、できるだけ回転加速度の小さい、一定速度で動かすことが望ましい。

【0030】
回転型での回転角度については、たとえば、±60度以上回転できるようにすることが考慮される。傾き角度φが最大値をとる値(90度、210度、330度)に最短で行きつくような角度まで回転させてやればよいことになる。計測箇所を回転運動機構上とし第1の実施の形態と同一の計測条件で、回転運動機構の傾斜角度φについて動作範囲限界を計測した。

【0031】
図10に計測結果を示す。傾き角度φは傾きの方角ψのすべての角度について最大90度まで傾いた。

【0032】
全ての計測においてφは最大90度となり、従来のスチュワートプラットフォームタイ
プの製品よりかなりの傾き角度をとることができ、特に小形航空機用シミュレータに適していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によるシミュレーション装置は小型、軽量で、かつ動作範囲が広く、高速駆動も可能等の特徴を有するため、航空機や自動車のシミュレータ用途に限らず、歩行ロボット、工作機械、アミューズメント機器、医療用支援、リハビリ用のロボットハンド等に応用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 モーションプレート
2,2A,2B,2C アクチュエータ
3,3A,3B,3C 脚部
4,4A,4B,4C 回転軸受構造
5,5A,5B,5C 球面軸受構造
6 アクチュエータ回転軸
7,7A,7B,7C 駆動装置
8 ガイド部材
9,9A,9B,9C 直線リニアモータ
10,10A,10B,10C 回転リニアモータ
11 回転型アクチュエータ
12 回転型モーションプレート
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図8】
4
【図9】
5
【図10】
6
【図3】
7
【図4】
8
【図5】
9