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明細書 :YAP阻害剤を有効成分とするIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-164470 (P2020-164470A)
公開日 令和2年10月8日(2020.10.8)
発明の名称または考案の名称 YAP阻害剤を有効成分とするIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤
国際特許分類 A61K  45/00        (2006.01)
A61K  31/409       (2006.01)
A61K  31/366       (2006.01)
A61K  31/197       (2006.01)
A61K  31/137       (2006.01)
A61K  31/4409      (2006.01)
A61K  31/437       (2006.01)
A61K  31/427       (2006.01)
A61K  31/403       (2006.01)
A61K  35/74        (2015.01)
A61K  31/7088      (2006.01)
A61K  31/7105      (2006.01)
A61K  39/395       (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61K  31/713       (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
C12N  15/24        (2006.01)
C12N  15/12        (2006.01)
C07K  16/18        (2006.01)
C12N  15/113       (2010.01)
FI A61K 45/00
A61K 31/409
A61K 31/366
A61K 31/197
A61K 31/137
A61K 31/4409
A61K 31/437
A61K 31/427
A61K 31/403
A61K 35/74 Z
A61K 31/7088
A61K 31/7105
A61K 39/395 D
A61P 43/00 111
A61K 31/713
A61P 35/00
A61P 29/00
C12N 15/24 ZNA
C12N 15/12
C07K 16/18
C12N 15/113
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2019-067200 (P2019-067200)
出願日 平成31年3月29日(2019.3.29)
発明者または考案者 【氏名】白井 睦訓
【氏名】清木 誠
【氏名】浅岡 洋一
【氏名】荻野 英賢
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
審査請求 未請求
テーマコード 4C084
4C085
4C086
4C087
4C206
4H045
Fターム 4C084AA17
4C084NA14
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4C086AA02
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4C086BC17
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4C087ZC01
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4C206AA02
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4C206FA47
4C206MA01
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4C206NA14
4C206ZB01
4C206ZB11
4C206ZB26
4C206ZC01
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
要約 【課題】本発明の課題は、IL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量を増強する剤を提供することにある。
【解決手段】YAP阻害剤を有効成分とするIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤を作製する。YAP阻害剤が、ベルテポルフィン、Y27632、ブレビスタチン、ラトランクリンB(Latrunculin B)、サイトカラシンD(Cytochalasin D)、ジンバスタチン、ボツリヌス C3毒素、スタチン、又はドブタミンであることが好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
YAP阻害剤を有効成分とするIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤。
【請求項2】
YAP阻害剤が、ベルテポルフィン、Y27632、ブレビスタチン、ラトランクリンB(Latrunculin B)、サイトカラシンD(Cytochalasin D)、ジンバスタチン、ボツリヌス C3毒素、スタチン、又はドブタミンであることを特徴とする請求項1記載の増強剤。
【請求項3】
YAP阻害剤が、YAP遺伝子の発現を抑制する核酸分子であることを特徴とする請求項1記載の増強剤。
【請求項4】
YAP遺伝子の発現を抑制する核酸分子が、二本鎖siRNA、microRNA、shRNA、アンチセンス核酸、及びリボザイムからなる群から選択される少なくとも1種の核酸分子であることを特徴とする請求項3記載の増強剤。
【請求項5】
YAP阻害剤が、YAPタンパク質に結合する抗体であることを特徴とする請求項1記載の増強剤。
【請求項6】
MHC classII関連遺伝子が、CIITA遺伝子であることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の増強剤。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、YAP阻害剤を有効成分とするIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤に関する。
【背景技術】
【0002】
転写共役因子YAP(Yes結合タンパク質:Yes associated protein)はHippoシグナル伝達系の標的分子である。本発明者らは、細胞増殖・細胞死の両者を制御するHippoシグナル伝達系に着目し、YAPが三次元臓器形成に必須の重力耐性遺伝子であることや、YAPは細胞に発生する物理的な力を介して、個々の組織の三次元化だけでなく、複数の組織の配置を制御することにより、重力に抗した立体臓器を構築することを報告した(非特許文献1参照)。そのため、YAPは三次元臓器形成に関与する因子として注目を浴びている。
【0003】
一方、近年、YAPの制御と抗腫瘍免疫応答との関係の研究が進められており、例えば、YAP阻害剤と免疫治療剤とを対象に投与する工程を含む、対象におけるがんを処置する方法(特許文献1参照)や、イベルメクチン又はミルベマイシンDを有効成分として含み、Hippo経路に作用し、YAP1/TAZの活性を抑制する、Hippo経路に異常を有する癌の予防又は治療剤(特許文献2参照)が開示されている。
【0004】
また、YAPの制御と炎症性腸炎との関係の研究も進められており、例えば、インターロイキン6(IL-6)の受容体であるGP130がIL-6と結合することでYAP及びNotchの活性化を引き起こし、腸の修復や再生を促進することが開示されている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特表2018-505223号公報
【特許文献2】特開2016-088919号公報
【0006】
<nplcit num="1"> <text>Porazinski et al., Nature 521, 2015</text></nplcit><nplcit num="2"> <text>Taniguchi et al., Nature,519:57(2015)</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、YAPは立体臓器、癌、炎症等に関与していることが明らかとなっている。ところで、インターロイキン8(IL-8)やMHC classII関連遺伝子は、炎症疾患に関与していることが知られている。このIL-8やMHC classII関連遺伝子産生を制御することは、多くの疾病の治療戦略上で重要である。そこで本発明の課題は、IL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量を増強する剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、まず本発明者らは、網羅的に野生型胚とYAP変異体(hir)胚の間でのRNA-seq解析を行った。その結果、YAP遺伝子の発現と、免疫系遺伝子の発現との間で関連することが示唆された。そこで、細胞レベルでサルモネラ感染の有無による各遺伝子発現の影響を調べたところ、サルモネラの感染によりYAP活性に関連する遺伝子である結合組織成長因子(CTGF)やシステインリッチタンパク質61(CYR61)の発現が低下することや、IL-8の発現がYAP欠損細胞において野生細胞と比較して高くなることを見出した。さらに、YAP欠損細胞においてMHC classII関連分子であるCIITAの発現が上昇していることも見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕YAP阻害剤を有効成分とするIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤。
〔2〕YAP阻害剤が、ベルテポルフィン、Y27632、ブレビスタチン、ラトランクリンB(Latrunculin B)、サイトカラシンD(Cytochalasin D)、ジンバスタチン、ボツリヌス C3毒素、スタチン、又はドブタミンであることを特徴とする上記〔1〕記載の増強剤。
〔3〕YAP阻害剤が、YAP遺伝子の発現を抑制する核酸分子であることを特徴とする上記〔1〕記載の増強剤。
〔4〕YAP遺伝子の発現を抑制する核酸分子が、二本鎖siRNA、microRNA、shRNA、アンチセンス核酸、及びリボザイムからなる群から選択される少なくとも1種の核酸分子であることを特徴とする上記〔3〕記載の増強剤。
〔5〕YAP阻害剤が、YAPタンパク質に結合する抗体であることを特徴とする上記〔1〕記載の増強剤。
〔6〕MHC classII関連遺伝子が、CIITA遺伝子であることを特徴とする上記〔1〕~〔5〕のいずれか記載の増強剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明のYAP阻害剤を用いることで、IL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1において、サルモネラ感染前後のCaco2細胞におけるCTGF遺伝子又はIL-8遺伝子の発現量を調べた結果である。縦軸はNo infectionの時の発現量を1とした場合の相対値である。
【図2】実施例2において、サルモネラ感染前後のRPE1細胞(野生型)又はRPE1細胞(YAP-/-)におけるCTGF遺伝子の発現量を調べた結果である。縦軸はRPE1細胞(野生型)のNo infectionの時の発現量を1とした場合の相対値である。
【図3】実施例3において、サルモネラ感染前後のRPE1細胞(野生型)又はRPE1細胞(YAP-/-)におけるCYR61遺伝子の発現量を調べた結果である。縦軸はRPE1細胞(野生型)のNo infectionの時の発現量を1とした場合の相対値である。
【図4】実施例4において、サルモネラ感染前後のRPE1細胞(野生型)又はRPE1細胞(YAP-/-)におけるIL-8遺伝子の発現量を調べた結果である。縦軸はRPE1細胞(野生型)のNO infectionの時の発現量を1とした場合の相対値である。
【図5】実施例5において、RPE1細胞(野生型)又はRPE1細胞(YAP-/-)におけるMHCclassII関連遺伝子であるCIITA遺伝子発現量を調べた結果である。縦軸はRPE1細胞(野生型)のNo infectionの時の発現量を1とした場合の相対値である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤(以下、「本発明の阻害剤」ともいう)は、YAP阻害剤を有効成分とするIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤であり、上記YAP阻害剤としては、YAPの機能又は活性を阻害する物質であれば特に限定されず、YAPと結合してTEADとの相互作用を阻害する物質や、YAPの核移行を阻害する物質や、YAPのリン酸化を促進する物質等を挙げることができる。具体的には、ベルテポルフィン(Verteporfin)、Rho結合キナーゼ阻害剤であるY27632、ブレビスタチン(Blebbistatin)、ラトランクリンB(Latrunculin B)、サイトカラシンD(Cytochalasin D)等のアクチン重合阻害剤、ボツリヌス C3毒素(Botulinum toxin C3)、スタチン(Statins)、ドブタミン(Dobutamine)を挙げることができる。

【0013】
上記YAP阻害剤として、YAP遺伝子の発現を抑制する核酸分子を挙げることもできる。かかるYAP遺伝子の発現を抑制する核酸分子としてはYAP遺伝子の発現を抑制できるかぎり特に制限されず、YAP遺伝子の転写を抑制するものや、YAP遺伝子を破壊するものや、YAP遺伝子の翻訳を抑制するものを挙げることができ、YAP遺伝子の全長又は部分配列を標的とする二本鎖siRNA、microRNA、shRNA、RAB3B遺伝子を標的とするguide RNA、アンチセンス核酸、リボザイム等を挙げることができる。YAP遺伝子の塩基配列はNCBIのホームページ(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/)などから入手可能である。

【0014】
上記YAP阻害剤として、YAPタンパク質に結合する抗体を挙げることもできる。YAPタンパク質に結合する抗体としては、たとえば配列番号1に示されるYAPタンパク質に結合する抗体を挙げることができ、YAPタンパク質に特異的に結合する抗体であることが好ましく、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体等の抗体であってもよく、また、この中には、F(ab’)2、Fab、diabody、Fv、ScFv、Sc(Fv)2等の抗体の一部からなる抗体断片も含まれる。

【0015】
上記「IL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の増強剤」とは、投与対象がヒトの場合には、ヒト細胞においてYAP阻害剤が非存在の場合のIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量と比較して、IL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量を上昇させる物質を意味する。具体的には、ヒト細胞において、コントロール(YAP阻害剤非存在)と比較してIL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子のmRNA発現量や転写活性が上昇する物質が含まれる。

【0016】
上記IL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量の上昇の程度としては特に制限されないが、コントロールと比較して、YAP阻害剤処理後所定の時間で好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上である場合を好適に挙げることができる。

【0017】
IL-8はマクロファージ、上皮細胞、血管内皮細胞等が産生する炎症性ケモカインであり、サルモネラ等の病原菌に感染した際に感染抑制の役割を果たす。

【0018】
上記MHC classII関連遺伝子としては、CIITA遺伝子を好適に挙げることができる。MHC classII関連遺伝子はアレルギーの原因となる異物、非自己抗原である癌・肉腫の抗原や感染症の原因となる病原体等の非自己抗原、及び難病指定されている多くの自己免疫病の原因となる自己抗原認識と抗原提示に関わる遺伝子であり、サルモネラ等の病原菌に感染した際に感染排除の役割を果たす。

【0019】
本発明の増強剤には、薬学的に許容される添加剤を含有してもよく、前記添加剤としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、細胞培養培地、デキストロース、注射用水、グリセロール、エタノール及びこれらの組合せ、安定剤、可溶化剤及び界面活性剤、緩衝剤及び防腐剤、等張化剤、充填剤、並びに潤滑剤を挙げることができる。

【0020】
本発明の増強剤の投与量としては、IL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量を増強する活性が得られる限り特に制限されず、投与対象に応じて適宜投与量を調整することができる。投与対象としては、IL-8遺伝子又はMHC classII関連遺伝子の発現量を増強する活性が得られる限り特に制限されないが、哺乳動物を例示することができ、中でもヒト、ラットを好適に例示することができ、特にヒトを好適に例示することができる。

【0021】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの
例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
ヒト結腸癌由来の細胞株であるCaco2細胞にGFPタンパク質を発現するサルモネラの培養液を加えてサルモネラを感染させた。そして、前記サルモネラ感染前(No infection)、感染後0.5時間、2時間後におけるCaco2細胞からTRIzol(invitrogen社)を用いてRNAを抽出し、定量RT-PCR 法によって結合組織成長因子(CTGF)遺伝子及びIL-8遺伝子の発現量を調べた。結果を図1に示す。なお、CTGF遺伝子はYAPの下流で機能する遺伝子である。
【実施例1】
【0023】
サルモネラの感染により、YAPの下流遺伝子であるCTGF遺伝子の発現量が低下していた。さらに、サルモネラの感染により、IL-8遺伝子の発現量が増加していた。
【実施例2】
【0024】
RPE1細胞の野生型(RPE1細胞(野生型))及びYAP遺伝子をノックアウトしたPRE1細胞(RPE1細胞(YAP-/-))において、上記サルモネラの感染前(No infection)、感染後0.5時間、2時間後におけるCTGF遺伝子の発現量を上記と同様に定量RT-PCRによって調べた。結果を図2に示す。
【実施例2】
【0025】
野生型においては、サルモネラの感染によりRPE1細胞においてもYAPの下流遺伝子であるCTGF遺伝子の発現が低下していた。一方、YAPノックアウトのRPE細胞においては、サルモネラの感染の有無に関わらず、RPE1細胞の野生型においてサルモネラの感染後2時間と同程度までCTGF遺伝子の発現量が抑制されていた。したがって、サルモネラ感染によって、YAPの下流遺伝子CTGFの発現量が、YAPが発現していない場合と同程度まで抑制されることが明らかとなった。
【実施例3】
【0026】
RPE1細胞の野生型(RPE1細胞(野生型))及びYAP遺伝子をノックアウトしたPRE1細胞(RPE1細胞(YAP-/-))において、上記の感染前(No infection)、感染後0.5時間、2時間後におけるシステインリッチタンパク質61(CYR61)遺伝子の発現量を上記と同様に定量RT-PCRによって調べた。結果を図3に示す。なお、CYR61遺伝子はYAPの下流で機能する遺伝子である。
【実施例3】
【0027】
野生型においては、サルモネラの感染によりRPE1細胞においてYAPの下流遺伝子であるCYR61遺伝子の発現量が低下していた。一方、YAPノックアウトのRPE細胞においては、サルモネラの感染の有無に関わらず、RPE1細胞の野生型においてサルモネラの感染後2時間と同程度までCYR61遺伝子の発現量が抑制されていた。したがって、サルモネラ感染によって、YAPの下流遺伝子CYR61の発現が、YAPが発現していない場合と同程度まで抑制されていることが明らかとなった。
【実施例4】
【0028】
RPE1細胞の野生型(RPE1細胞(野生型))及びYAP遺伝子をノックアウトしたPRE1細胞(RPE1細胞(YAP-/-))において、上記サルモネラの感染前(No infection)、感染後0.5時間、2時間後におけるIL-8遺伝子の発現量を上記と同様に定量RT-PCRによって調べた。結果を図4に示す。
【実施例4】
【0029】
野生型においては、サルモネラの感染によりRPE1細胞においてIL-8遺伝子の発現量が増加していた。一方、YAPノックアウトのRPE細胞においては、サルモネラの感染の感染により、野生型の場合と比較して感染後0.5時間で4.9倍、2時間後で1.5倍も発現量が増加していた。したがって、サルモネラ感染によりIL-8の発現量が増加するが、YAPの発現量を抑制することでIL-8の発現をより高めることが可能であること、換言すれば、YAPはサルモネラ感染時のIL-8の発現誘導を抑制することが明らかとなった。
【実施例5】
【0030】
これまでの上記データから、サルモネラ感染によりYAPが関連する遺伝子の発現量の低下やIL-8遺伝子発現量の増加が観察された。そこで、YAP遺伝子と免疫応答との関係を調べるために、抗原認識、抗原提示、好中球の免疫応答に関与するMHC classIIの関連遺伝子であるCIITA遺伝子発現量を調べた。
【実施例5】
【0031】
RPE1細胞の野生型(RPE1細胞(野生型))及びYAP遺伝子をノックアウトしたPRE1細胞(RPE1細胞(YAP-/-))において、CIITA遺伝子の発現を上記と同様に定量RT-PCRによって調べた。結果を図5に示す。
【実施例5】
【0032】
YAP遺伝子をノックアウトしたPRE1細胞において、野生型のRPE1細胞と比較してCIITA遺伝子の発現が4倍も増加していた。したがって、YAPはMHC classII関連分子の遺伝子発現を負に制御する可能性が考えられ、YAP遺伝子の発現を抑制することで免疫応答を制御できることが明らかとなった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4