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明細書 :蛍光体及びその利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年12月3日(2020.12.3)
発明の名称または考案の名称 蛍光体及びその利用
国際特許分類 C09K  11/06        (2006.01)
C08L 101/00        (2006.01)
C08K   5/3415      (2006.01)
C08K   5/3432      (2006.01)
C08K   5/357       (2006.01)
A01G  13/02        (2006.01)
A01G   9/14        (2006.01)
C07D 207/456       (2006.01)
FI C09K 11/06 645
C09K 11/06
C08L 101/00
C08K 5/3415
C08K 5/3432
C08K 5/357
A01G 13/02 D
A01G 9/14 S
C09K 11/06 655
C07D 207/456
国際予備審査の請求
全頁数 46
出願番号 特願2019-539478 (P2019-539478)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 平成29年12月24日 ウェブサイトのアドレス https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ejoc.201701479
国際出願番号 PCT/JP2018/031499
国際公開番号 WO2019/044739
国際出願日 平成30年8月27日(2018.8.27)
国際公開日 平成31年3月7日(2019.3.7)
優先権出願番号 2017167814
優先日 平成29年8月31日(2017.8.31)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】中 建介
【氏名】井本 裕顕
【氏名】藤井 亮輔
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2B024
2B029
4C069
4J002
Fターム 2B024DA00
2B024DB10
2B029EC09
2B029EC15
2B029EC20
4C069AD09
4C069BC24
4C069CC02
4C069CC06
4J002AA001
4J002BG061
4J002EU036
4J002EU236
4J002FD096
4J002GA01
要約 下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物からなる蛍光体。
JP2019044739A1_000043t.gif
(式中、R1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物からなる蛍光体。
【化1】
JP2019044739A1_000036t.gif
(式中、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、
Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表されるマレイミド系化合物からなる請求項1に記載の蛍光体。
【化2】
JP2019044739A1_000037t.gif
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
【請求項3】
下記一般式(3)で表されるマレイミド系化合物からなる請求項2に記載の蛍光体。
【化3】
JP2019044739A1_000038t.gif
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示す。)
【請求項4】
下記一般式(4)で表されるマレイミド系化合物からなる請求項2に記載の蛍光体。
【化4】
JP2019044739A1_000039t.gif
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示し、
2はR1と同じである。)
【請求項5】
Cは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す、請求項1に記載の蛍光体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体を含む凝集誘起発光性材料。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体を含む光波長変換材。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体を含む農園芸用シート。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体をポリマーマトリックスに分散させてなる複合材料。
【請求項10】
下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物(ただし、下記の式(7)及び式(8)の化合物である場合を除く)。
【化5】
JP2019044739A1_000040t.gif
(式中、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、
Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
【化6】
JP2019044739A1_000041t.gif

【請求項11】
下記一般式(2)で表される請求項10に記載のマレイミド系化合物式(式(。
【化7】
JP2019044739A1_000042t.gif
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
【請求項12】
Cは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す、請求項10に記載の化合物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な蛍光体及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機蛍光体が、太陽電池用光波長変換材、有機EL用発光色素、色素レーザー、バイオイメージングなど幅広い分野で利用されているが、有機蛍光体の特性として、高濃度条件下での濃度消光による大幅な輝度低下を引き起こすことが知られている。これらの問題を回避するために、有機蛍光体を低分子又は高分子のホスト材料や溶剤へ分子レベルで均一分散させた希薄状態での利用が有機蛍光体の利用における常套手段となっている。
【0003】
これに対して、従来の有機蛍光体とは逆に、凝集すると発光が著しく増大する、いわゆる凝集誘起発光性分子が見出され、これまでの有機蛍光体の問題点を克服するとともに、医療分野や工業分野などでの有機蛍光体の新たな応用を実現させることが期待されている(特許文献1,2、非特許文献1,2参照)。
【0004】
ところで、従来の凝集誘起発光性分子は、非特許文献1、2に記載された凝集誘起発光性分子のように多くの芳香環からなる複雑な骨格をしており、その合成には多段階合成を必要とする。
【0005】
そこで、本発明者らは以前に特許文献1,2に示すように、炭素、窒素、水素及び水素からなる比較的単純な構造を有し、発光色を可視領域で制御可能であり、かつ凝集誘起発光性を示すアミノマレイミド誘導体からなる有機発光体を開発した。これらのアミノマレイミド誘導体では、イミド側のN-置換基とアミン側の置換基を変更することで電子状態と立体効果によって発光波長を変更することができる。これにより、発光色を500nm付近の可視領域で精密制御可能となる。
【0006】
また、非特許文献3のマレイミドの2位と3位にイオウを介して芳香環を導入した2,3-ジチオマレイミド誘導体では、赤色光に変換する材料が得られている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】日本国特開2013-163767号公報
【特許文献2】日本国特開2015-30820号公報
【0008】

【非特許文献1】Chem.Commun.,2010,46,9013-9015
【非特許文献2】Chem.Commun.,2011,47,11273-11275
【非特許文献3】Chem.Eur. J., 2015, 21, 12105-12111
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
凝集誘起発光性分子(凝集誘起発光性色素)の用途として、太陽電池用光波長変換材や農園芸用波長変換シートが想定される。特に後者においては育苗効果向上のため、太陽光の紫外光を有効光である赤色光に変換する材料が求められているが、特許文献1,2のアミノマレイミド誘導体は最大発光波長が500nm付近にあるため、このような変換材の用途には適していなかった。
【0010】
また、非特許文献3の2,3-ジチオマレイミド誘導体では、その量子収率は高くて12%であり、紫外光を有効光に変換させる材料として応用展開させるためには量子収率を向上させるための分子設計が求められている。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的単純な構造で、発光色を可視領域で制御可能であり、且つ、凝集誘起発光性を示す有機蛍光体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、マレイミドの4位に窒素を介して嵩高い官能基を導入することにより、マレイミド系化合物の発光量子収率が期せずして増大することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、以下の項に記載の主題を包含する。
【0014】
項1.下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物からなる蛍光体。
【0015】
【化1】
JP2019044739A1_000003t.gif

【0016】
(式中、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、
Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
【0017】
項2.下記一般式(2)で表されるマレイミド系化合物からなる項1に記載の蛍光体。
【0018】
【化2】
JP2019044739A1_000004t.gif

【0019】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
【0020】
項3.下記一般式(3)で表されるマレイミド系化合物からなる項2に記載の蛍光体。
【0021】
【化3】
JP2019044739A1_000005t.gif

【0022】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示す。)
【0023】
項4.下記一般式(4)で表されるマレイミド系化合物からなる項2に記載の蛍光体。
【0024】
【化4】
JP2019044739A1_000006t.gif

【0025】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示し、
2はR1と同じである。)
【0026】
項5.Cは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す、項1に記載の蛍光体。
【0027】
項6.項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体を含む凝集誘起発光性材料。
【0028】
項7.項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体を含む光波長変換材。
【0029】
項8.項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体を含む農園芸用シート。
【0030】
項9.項1~5のいずれか一項に記載の蛍光体をポリマーマトリックスに分散させた複合材料。
【0031】
項10.下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物(ただし、下記の式(7)及び式(8)の化合物である場合を除く)。
【0032】
【化5】
JP2019044739A1_000007t.gif

【0033】
(式中、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、
Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
【0034】
【化6】
JP2019044739A1_000008t.gif

【0035】
項11.下記一般式(2)で表される項10に記載のマレイミド系化合物。
【0036】
【化7】
JP2019044739A1_000009t.gif

【0037】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
【0038】
項12.Cは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す、項10に記載の化合物。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る蛍光体は、以上のように、一般式(1)~(4)で表されるマレイミド系化合物の構造を備えているので、比較的単純な構造で、発光色を550~800nm、特には550~700nm、より特には600~700nmの赤色光の領域で制御可能であり、且つ、凝集誘起発光性を示す有機蛍光体を実現することができる。また、本発明に係る蛍光体は、マレイミド上の4位に置換基を有しない構造と比べて最大発光波長が赤色光に移動し、発光色が赤色光である2,3-ジチオマレイミド誘導体と比べて量子収率が顕著に高い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例1により得られた4-モルホリノ-3-トルイジノ-N-P-トルイルマレイミドの1H-NMRスペクトル。
【図2】本発明の実施例1により得られた4-モルホリノ-3-トルイジノ-N-P-トルイルマレイミドの13C-NMRスペクトル。
【図3】本発明の実施例2により得られたN-シクロヘキシル-4-モルホリノ-3-トルイジノマレイミドの1H-NMRスペクトル。
【図4】本発明の実施例2により得られたN-シクロヘキシル-4-モルホリノ-3-トルイジノマレイミドの13C-NMRスペクトル。
【図5】本発明の実施例3により得られたN-トルイル-3, 4-ジモルホリノマレイミドの1H-NMRスペクトル。
【図6】本発明の実施例3により得られたN-トルイル-3, 4-ジモルホリノマレイミドの13C-NMRスペクトル。
【図7】本発明の実施例1により得られたマレイミドの固体状態で、紫外線(315nm~400nm)照射することによる、固体発光を確認した写真。(A)UV照射前、(B)UV照射後。
【図8】本発明の実施例1~3、比較例1のマレイミドの固体状態の発光スペクトル。
【図9】キャストフィルムの固体発光を確認した写真。
【図10】キャストフィルムの発光スペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

【0042】
なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「X~Y」は、「X以上、Y以下」を意味する。

【0043】
また、本明細書において、本明細書においては、マレイミドを形成する5員環のN原子(N位)を1位とし、当該N原子に隣接するC原子を2位としてマレイミドを形成するC原子に時計回り(右回り)に順に番号をふるものとする。

【0044】
(I)本発明に係る蛍光体
本発明に係る蛍光体は、下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物からなる。

【0045】
【化8】
JP2019044739A1_000010t.gif

【0046】
式中、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、
Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。

【0047】
Aがフェニル基を有すると、蛍光体の結晶性が良好となり、X線構造解析で直接蛍光体の結晶構造を分析できる点で有利である。Aのフェニル基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。フェニル基が置換基を有する場合、通常1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。

【0048】
フェニル基の置換基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0049】
好ましいAのフェニル基の例としてはフェニル、(o-,m-,p-)メチルフェニル、(o-,m-,p-)エチルフェニル、(o-,m-,p-)プロピルフェニル、(o-,m-,p-)ブチルフェニル、(o-,m-,p-)ペンチルフェニル、(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルなどが挙げられる。

【0050】
Aのアルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基であってよい。直鎖のアルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルなどが挙げられる。分岐鎖のアルキルの例としては、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、イソヘキシル、イソヘプチル、イソオクチル、イソノニル、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、イソヘプタデシル、イソオクタデシル、イソノナデシル、イソイコシルなどが挙げられる。環状のアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。

【0051】
アルキル基の炭素数は蛍光体の作用を有する限り特には限定されないが通常1~20個(特には直鎖の場合1~20個、分岐鎖又は環状の場合3~20個)、より好ましくは3~20個、さらにより好ましくは5~16個、最も好ましくは6~10個である。なお、アルキル基が置換されている場合、アルキル基の炭素数とは置換基中の炭素数も含む炭素数の合計を指す。

【0052】
アルキル基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよく、アルキル基が置換基を有する場合、通常1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。置換基はアルキル基のいずれの位置に結合してもよい。

【0053】
アルキル基の置換基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子が挙げられる。かかるアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0054】
Bがモルホリノ基である場合、モルホリノ基の六員環の窒素原子を介してマレイミドの5員環の3位の炭素に結合する。Bがピペリジル基の場合、ピペリジル基の六員環の窒素原子を介してマレイミドの5員環の3位の炭素に結合する。Bがジアルキルアミノ基の場合、該ジアルキルアミノ基中の窒素原子を介してマレイミドの5員環の3位の炭素に結合する。

【0055】
Bのモルホリノ基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。モルホリノ基が置換基を有する場合、通常1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。

【0056】
モルホリノ基の置換基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0057】
Bのピペリジル基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。ピペリジル基が置換基を有する場合、通常1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。

【0058】
ピペリジル基の置換基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0059】
Bのジアルキルアミノ基の各アルキル基の炭素数は1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~5である。ジアルキルアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が挙げられる。

【0060】
Bのジアルキルアミノ基は1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。好ましくは、ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基の一方又は両方の水素が1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。ジアルキルアミノ基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0061】
Bは、好ましくは

【0062】
【化9】
JP2019044739A1_000011t.gif

【0063】
である。

【0064】
3は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)である。R3は好ましくは水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)である。

【0065】
4は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)である。R4は好ましくは水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)である。

【0066】
5及びR6は同じであっても異なっていても炭素数1~20のアルキル基である。R5及びR6は好ましくはいずれもメチル基又はエチル基である。

【0067】
CがPh-NH-である場合、Ph-NH-の窒素原子を介してマレイミドの5員環の3位の炭素に結合する。Cがモルホリノ基である場合、モルホリノ基の六員環の窒素原子を介してマレイミドの5員環の3位の炭素に結合する。Cがピペリジル基の場合、ピペリジル基の六員環の窒素原子を介してマレイミドの5員環の3位の炭素に結合する。Cがジアルキルアミノ基の場合、該ジアルキルアミノ基中の窒素原子を介してマレイミドの5員環の3位の炭素に結合する。

【0068】
CがPh-NH-である場合、蛍光体の結晶性が良好となり、X線構造解析で直接蛍光体の結晶構造を分析できる点で有利である。Ph-NH-のフェニル基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。フェニル基が置換基を有する場合、通常1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。

【0069】
フェニル基の置換基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0070】
CのPh-NH-のフェニル基の好ましい例としてはフェニル、(o-,m-,p-)メチルフェニル、(o-,m-,p-)エチルフェニル、(o-,m-,p-)プロピルフェニル、(o-,m-,p-)ブチルフェニル、(o-,m-,p-)ペンチルフェニル、(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルなどが挙げられる。

【0071】
Cのモルホリノ基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。モルホリノ基が置換基を有する場合、通常1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。

【0072】
モルホリノ基の置換基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0073】
Cのピペリジル基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。ピペリジル基が置換基を有する場合、通常1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。

【0074】
ピペリジル基の置換基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0075】
Cのジアルキルアミノ基の各アルキル基の炭素数は1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~5である。ジアルキルアミノ基としては、例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が挙げられる。

【0076】
Cのジアルキルアミノ基は1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。好ましくは、ジアルキルアミノ基の2つのアルキル基の一方又は両方の水素が1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。ジアルキルアミノ基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0077】
Cの置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基がフェニル基を有すると、蛍光体の結晶性が良好となり、X線構造解析で直接蛍光体の結晶構造を分析できる点で有利である。Cのフェニル基は、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。フェニル基が置換基を有する場合、通常1~3個、より好ましくは1又は2個の置換基、特に好ましくは1個の置換基で置換される。

【0078】
フェニル基の置換基は、本発明のマレイミド系化合物の蛍光体としての作用を損なわない任意の置換基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br及びIから成る群から選ばれるいずれかのハロゲン原子であってよい。

【0079】
CのPh-NH-のフェニル基の好ましい例としてはフェニル、(o-,m-,p-)メチルフェニル、(o-,m-,p-)エチルフェニル、(o-,m-,p-)プロピルフェニル、(o-,m-,p-)ブチルフェニル、(o-,m-,p-)ペンチルフェニル、(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルなどが挙げられる。

【0080】
Cのモルホリノ基、ピペリジル基、又はジアルキルアミノ基は、好ましくはそれぞれ

【0081】
【化10】
JP2019044739A1_000012t.gif

【0082】
である。

【0083】
7は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)である。R7は好ましくは水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)である。

【0084】
8は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)である。R8は好ましくは水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)である。

【0085】
9及びR10は同じであっても異なっていても炭素数1~20のアルキル基である。R9及びR10は好ましくはいずれもメチル基又はエチル基である。

【0086】
合成工程の簡略化の点では、官能基A、B、及びCは、Aが置換若しくは非置換のフェニル基、Bが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基、CがPh-NH-であるか、Aが置換若しくは非置換のフェニル基、B及びCが同一であって、いずれも置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基であることが好ましい。

【0087】
一実施形態において、本発明の蛍光体は、上記一般式(2)で表されるマレイミド系化合物からなる。

【0088】
【化11】
JP2019044739A1_000013t.gif

【0089】
式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、前記モルホリノ基、前記ピペリジル基又は前記ジアルキルアミノ基の窒素原子を介してマレイミドの5員環の4位の炭素に結合する。

【0090】
A及びBの詳細は、一般式(1)で表されるマレイミド系化合物からなる蛍光体に関して上述した通りである。

【0091】
1の炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基を挙げることができる。ハロゲン原子はF、Cl、Br又はIであってよい。R1は、置換基はマレイミドの3位のC原子に結合しているアミノ基に対して、オルト(o-)、メタ(m-)、パラ(p-)のいずれの位置に結合してもよい。

【0092】
一実施形態において、本発明の蛍光体は、上記一般式(2)で表されるマレイミド系化合物からなり、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基を示し、
Bは、

【0093】
【化12】
JP2019044739A1_000014t.gif

【0094】
である。

【0095】
3は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)である。R3は好ましくは水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)である。

【0096】
4は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(特にはメトキシ基、エトキシ基)である。R4は好ましくは水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)である。

【0097】
5及びR6は同じであっても異なっていても炭素数1~20のアルキル基である。R5及びR6は好ましくはいずれもメチル基又はエチル基である。

【0098】
別の実施形態において、本発明の蛍光体は、一般式(3)で表されるマレイミド系化合物からなる。

【0099】
【化13】
JP2019044739A1_000015t.gif

【0100】
式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル基を示し、
Bは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示し、前記モルホリノ基又は前記ピペリジル基の窒素原子を介してマレイミドの5員環の4位に結合する。

【0101】
1は好ましくは水素原子又はメチル基であり、Aは好ましくはフェニル基、p-トルイル基又はシクロヘキシル基であり、Bはモルホリノ基又はピペリジル基である。

【0102】
別の実施形態において、本発明の蛍光体は、下記一般式(4)で表されるマレイミド系化合物からなる。

【0103】
【化14】
JP2019044739A1_000016t.gif

【0104】
式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Bは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示し、前記モルホリノ基又は前記ピペリジル基の窒素原子を介してマレイミドの5員環の4位の炭素に結合する、
2はR1と同じである。

【0105】
1及びR2は水素原子、メチル基、又はハロゲン原子(F、Cl、Br又はI)である。

【0106】
この構成は、マレイミドの窒素原子に結合するフェニル基と、マレイミドの3位の炭素に結合する窒素に結合するフェニル基とが同じ構造であるため、アミノマレイミドにこれらのフェニル基を一つの工程で付加することにより合成することができ、本発明の蛍光体の合成工程が簡略化できる点で有利である。

【0107】
また、本発明は、下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物を包含する。ただし、Zeitschrift fuer Chemie, Volume 17, Issue 6, 1977, Pages 215-216 に記載されている下記の式(7)及び式(8)の化合物である場合を除く。

【0108】
【化15】
JP2019044739A1_000017t.gif

【0109】
【化16】
JP2019044739A1_000018t.gif

【0110】
式中、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、
Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。

【0111】
好ましいマレイミド系化合物の構造、好ましいA、B、C及びこれらの組み合わせについては本発明の蛍光体について上述した通りである。

【0112】
一実施形態では、上記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物は、一般式(2)で表されるマレイミド系化合物である。

【0113】
【化17】
JP2019044739A1_000019t.gif

【0114】
式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。

【0115】
好ましいマレイミド系化合物の構造、好ましいR1、A、B、及びこれらの組み合わせについては本発明の蛍光体について上述した通りである。

【0116】
別の実施形態では、上記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物において、Cが、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。この場合、BとCは同一であることが合成工程の簡略化の点で好ましい。

【0117】
本発明に係る蛍光体は、溶液中では発光しないが、分子凝集状態が起こる液体状態や固体状態で発光が著しく増大するいわゆる凝集誘起発光性を有する蛍光体である。本発明に係る蛍光体は、その溶液に、本発明に係る蛍光体の非溶媒又は貧溶媒を添加して、本発明に係る蛍光体を析出させて凝集させると、近紫外の励起光で発光することが確認された。また、添加する非溶媒又は貧溶媒の割合が増加して、凝集量が増大するに伴い、発光強度が増大する。

【0118】
また、本発明に係る蛍光体は固体状態で発光を示し、その最大発光波長は、550nm~700nmであり、励起光の波長は315nm~500nmである。

【0119】
本発明に係る蛍光体が、固体凝集状態において赤色光で発光した理由としては、(i)マレイミドの4位の炭素原子に窒素原子が結合したことによる共役系の増大が考えられる。また、高濃度条件下での濃度消光による輝度低下が起こらない理由としては、(ii)マレイミド環と、マレイミドのN-置換基とのねじれによりπ-スタッキングが抑制されることが考えられる。さらに、赤色光を発光する2,3-ジチオマレイミド誘導体と比べて固体凝集状態で発光が著しく増大する理由としては、(iii)マレイミドの4位の炭素原子に、嵩高い官能基であるB基を結合させているため、マレイミドの3位のC原子に結合する置換又は非置換のフェニルアミノ基、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基の回転が抑制されて、3位のフェニルアミノ基のベンゼン環、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基とマレイミド環との平面性が増大することが考えられる。

【0120】
特に(i)と(iii)に関し、本発明者らは、マレイミドの4位の炭素原子にB基を、B基の窒素原子を介して結合させることにより、本発明に係る蛍光体の発光が固体状態で赤色光で発光し、量子収率が予想外に増大することを見出した。

【0121】
以上のように、本発明に係る蛍光体は、マレイミドの4位の炭素原子にB基の窒素原子を介してB基を結合させることによる共役系の増大と、マレイミドの3位のC原子に結合する置換又は非置換のフェニルアミノ基、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基の自由回転とその抑制により、従来のマレイミド系蛍光体と比較して、凝集により赤色光を発光し、発光が著しく増大するという特性を備える。

【0122】
(II)本発明にかかる蛍光体の製造方法
下記の反応スキーム1において、一般式(1)で表されるマレイミド系化合物に官能基Bを付加する前の、式(15)で表わされる化合物は、特開2013-163767及び特開2015-30820に記載された方法により製造することができる。

【0123】
【化18】
JP2019044739A1_000020t.gif

【0124】
より具体的には、Aが置換若しくは非置換のフェニル基である場合、一般式(1)で表されるマレイミド系化合物は特開2013-163767に記載された方法により製造することができる。
Aがアルキル基である場合、一般式(1)で表されるマレイミド系化合物は特開2015-30820に記載された方法により製造することができる。

【0125】
次に、式(15)で表わされる化合物のマレイミドの4位に、モルホリノ基、ピペリジル基、又はジアルキルアミノ基を付加することにより、一般式(1)で表されるマレイミド系化合物を製造することができる。

【0126】
Aが置換若しくは非置換のフェニル基であり、CがPh-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基であり、Aのフェニル基の構造がCのフェニル基と同じ構造である場合(つまり一般式(1)で表されるマレイミド系化合物が一般式(4)で表されるマレイミド系化合物である場合)は、下記の反応スキーム2に示すように、ジクロロマレイン酸無水物(16)にR1-Ph-NH2を付加して生成物(17)を得、さらにモルホリン、ピペリジン、又はジアルキルアミンを付加することにより、一般式(1)で表されるマレイミド系化合物(18)を製造することができる。

【0127】
工程1の反応時間は好ましくは10~30時間であり、反応温度は好ましくは100~150℃である。反応溶媒にはトルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を始めとする有機溶媒を用いることができる。ジクロロマレイン酸無水物(16)1当量に対し、R1-Ph-NH2を2当量以上とし、2~3当量とすることが好ましい。

【0128】
工程2の反応時間は好ましくは30~50時間であり、反応温度は好ましくは50~100℃である。反応溶媒にはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ等を始めとする有機溶媒を用いることができる。化合物(17)1当量に対し、モルホリン、ピペリジン、又はジアルキルアミンを3~5当量とすることが好ましい。

【0129】
【化19】
JP2019044739A1_000021t.gif

【0130】
Aが置換若しくは非置換のアルキル基であり、A、B及びC基がそれぞれ異なる構造の場合、A基をマレイミドに付加してから、C基をマレイミドに付加し、さらにモルホリノ基、ピペリジル基、又はジアルキルアミノ基を付加することにより、一般式(1)で表されるマレイミド系化合物を製造することができる。例えば、Aがシクロアルキル基、Bがモルホリノ基、Cがフェニルアミノ基のマレイミド系化合物の場合、下記の反応スキーム3に示すように、ジクロロマレイン酸無水物(16)をシクロヘキシルアミンのトルエン溶液に加えて還流してN-シクロヘキシル-2,3-ジクロロマレイミド(19)を製造し、さらにこれをR1-Ph-NH2のトルエン溶液に加えて還流してN-シクロヘキシル-3-p-トルイジノ-4-クロロマレイミド(20)を製造し、これをモルホリンに加えて還流することにより、式(1)に含まれるN-シクロヘキシル-3-p-トルイジノ-4-モルホリノマレイミド(21)を製造することができる。第1工程、第2工程、及び第3工程における各化合物の当量は適宜制御することができる。

【0131】
工程1の反応時間は好ましくは10~30時間、より好ましくは15~24時間である。反応温度は好ましくは100~150℃である。反応溶媒にはトルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を始めとする有機溶媒を用いることができる。ジクロロマレイン酸無水物(16)1当量に対し、シクロヘキシルアミンを1~1.2当量とすることが好ましい。

【0132】
工程2の反応時間は好ましくは10~30である。反応温度は好ましくは100~150℃である。反応溶媒にはトルエン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を始めとする有機溶媒を用いることができる。化合物(19)1当量に対し、R1-Ph-NH2を1~1.2当量とすることが好ましい。

【0133】
工程3の反応時間は好ましくは10~20である。反応温度は好ましくは100~150℃である。化合物(20)1当量に対し、モルホリンを10等量以上用いて溶媒として使用することが好ましい。

【0134】
【化20】
JP2019044739A1_000022t.gif

【0135】
Aが置換若しくは非置換のフェニル基であり、B及びC基が同じ構造の場合、下記の反応スキーム4に示すように、ジクロロマレイン酸無水物(16)にR1-Ph-NH2を付加して生成物(22)を得、さらにモルホリン、ピペリジン、又はジアルキルアミンを付加することにより、一般式(1)で表されるマレイミド系化合物(23)を製造することができる。

【0136】
工程1の反応時間は好ましくは3~10時間である。反応温度は好ましくは100~150℃である。反応溶媒にはトルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を始めとする有機溶媒を用いることができる。ジクロロマレイン酸無水物(16)1当量に対し、R1-Ph-NH2を1~1.2当量とすることが好ましい。

【0137】
工程2の反応時間は好ましくは50~100時間である。反応温度は好ましくは50~100℃である。反応溶媒にはトルエン、テトラヒドロフラン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を始めとする有機溶媒を用いることができる。化合物(22)1当量に対し、モルホリン、ピペリジン、又はジアルキルアミンを5~20当量とすることが好ましい。

【0138】
【化21】
JP2019044739A1_000023t.gif

【0139】
(III)本発明の蛍光体を含有する複合材料
本発明の蛍光体は、そのまま用いてもよいが、蛍光体をポリマーマトリックスに分散させた組成物、すなわち複合材料として用いてもよい。蛍光体の含有量は特に限定されないが、例えば蛍光体とポリマーマトリックスとを1:99~99:1の質量比とし得る。組成物は、フィルム、ペレット、シート、チューブ等の成形体、繊維、織布、不織布などに成形することができる。例えば、本発明の蛍光体を合成樹脂、ゴム等のポリマーマトリックスに分散させ、フィルム、ペレット、シート、チューブ、粉末、各種成形体に成形することができる。フィルムは厚さが0.2mm未満のもの、シートは厚さが0.2mm以上のものを指す。さらに、本発明の蛍光体または組成物を、天然繊維もしくは合成繊維、或いはガラス繊維の無機繊維と組み合わせて複合化し、繊維、織布、不織布などに成形することもできる。

【0140】
フィルムの製造方法としては、本発明の蛍光体を溶媒に溶解させ、これを合成樹脂、ゴム等のポリマーマトリクスに分散させて液状の組成物を調製し、当該液状の組成物を、基板上に塗工した後、溶媒を蒸発させることによりフィルムを形成する方法等が挙げられる。フィルムとしてはキャストフィルムが挙げられ、これは無延伸フィルムとも呼ばれ、力で膜を引き伸ばさずに基板上で作製された薄い膜状成形物を指す。フィルムはスピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング等の公知の塗工方法でも製造することができる。ペレット、シート、チューブ、粉末、各種成型体の作製方法は、特に限定はなく、従来から知られている方法のいずれを採用することもできる。

【0141】
(IV)本発明に係る蛍光体の利用
本発明に係る特定の蛍光体は、マレイミドの4位を、モルホリノなどの官能基により第3級アミンに置換することで、量子収率が23%と劇的に向上させることに成功した。赤色発光させるための従来の手法としては芳香環の拡張、ドナーとアクセプターユニットの組み合わせであり、その場合は量子収率を向上させることに対してトレードオフの関係にある。それに対して、アミノマレイミド誘導体を窒素元素で置換するという新たな概念で共役系の拡張を達成させるとともに、モルホリン骨格の導入による分子の自由回転抑制と分子間スタッキングの抑制を同時に達成させることが可能となった。

【0142】
本発明に係る蛍光体は、上述したように、溶液中では発光しないが、分子凝集状態が起こる液体状態や固体状態で発光が著しく増大するいわゆる凝集誘起発光性を有する蛍光体である。したがって高濃度条件での使用が可能となる。したがって、溶液中と凝集状態とにおける発光挙動の差を利用したセンサーなどに好適に用いることができる。

【0143】
また、本発明に係る蛍光体では、マレイミドの3位のC原子に結合する置換又は非置換のフェニルアミノ基の置換基と、マレイミドのN原子の位置に結合する置換基Aと、マレイミドの4位の置換基Bとの種類を変えることにより、発光波長を細かく調整し、それぞれ異なる色に発光させることが可能である。

【0144】
よって、本発明に係る蛍光体及びこれを含有する複合材料は、太陽電池用光波長変換材、有機EL用発光素子、色素レーザー、バイオイメージング、農園芸用資材などの幅広い分野において好適に用いることができる。

【0145】
本発明に係る蛍光体は、以下の用途に好適に用いることができる。
<凝集誘起発光性材料>
本発明に係る蛍光体は、凝集誘起発光性材料として好適に使用することができる。かかる、凝集誘起発光性材料は、少なくとも本発明に係る蛍光体を含み、さらに、例えば、本発明に係る蛍光体の溶媒、非溶媒、貧溶媒、高分子化合物、これらの組み合わせを含む。

【0146】
<光波長変換材>
また、本発明に係る蛍光体は、光波長変換材として好適に使用することができる。例えばシリコン結晶系太陽電池では、太陽光のうち400nmよりも短波長の光、及び1200nmよりも長波長の光が有効に利用されないため、太陽光エネルギーの約56%がこのスペクトルミスマッチにより太陽光発電に寄与しない。かかる問題を解決するために、太陽電池用光波長変換材を用いて、太陽光スペクトルのうち、発電に寄与しない紫外域又は赤外域の光を波長変換することにより、発電に寄与しうる波長域の光を発光する層を太陽電池受光面側に設ける手法が提案されている。本発明に係る蛍光体は、太陽光の有効光(600~700nm)で強く発光するため、太陽電池用光波長変換材として好適に用いることができる。本発明に係る蛍光体は、分散性が良いため、濃度消光を抑制した凝集した状態で、波長変換し、効率よく且つ安定的に太陽光を利用することができる。

【0147】
かかる光波長変換材はまた、本発明に係る蛍光体を含む高分子フィルム、高分子シート、高分子成形体であってもよいし、本発明に係る蛍光体と、膜、シート又は成形体を形成する高分子化合物とを含む成膜用組成物又は成形用組成物であってもよい。

【0148】
さらに、本発明に係る蛍光体は、眼に見えない紫外光を可視光の発光に変換することで悪天候条件でも発光するという特性を利用した標識、表示板、安全グッズなどに、光波長変換材として好適に用いることができる。

【0149】
<農園芸用シート>
本発明に係る蛍光体は、植物の光合成に利用されない波長の光を光合成に必要な吸収波長域に変換して植物の成長を促進させる目的で、例えば農園芸用シート(農業用シート及び園芸用シートを含む)などの農園芸用波長変換被覆資材に、光波長変換材として好適に使用することができる。農園芸用シートは、例えば、基材と、基材に含まれる本発明の蛍光体とを備える。基材としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を初めとする合成樹脂、エラストマー、ゴム、金属などが挙げられる。

【0150】
<pH刺激応答性材料、金属センサー用刺激応答性材料、圧力センサー用刺激応答性材料>
本発明に係る蛍光体は、凝集した状態で、周囲のpHにより、発光したり、消光したりするため、pH刺激応答性材料として使用することができる。かかるpH刺激応答性材料は、少なくとも本発明に係る蛍光体を含み、さらに溶媒、非溶媒、貧溶媒などの溶剤を含んでいてもよい。

【0151】
また、本発明に係る蛍光体は、マレイミドの3位及び/又は4位のC原子に結合するアミノ基に金属が配位することにより、発光の波長が変化するため、金属センサー用刺激応答性材料として用いることができる。

【0152】
さらに、本発明に係る蛍光体は、圧力をかけることにより、結晶が歪んで発光の波長が変化するため、圧力センサー用刺激応答性材料として用いることができる。

【0153】
また、本発明は以下の構成を採用することもできる。
[1]下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物からなる蛍光体。

【0154】
【化22】
JP2019044739A1_000024t.gif

【0155】
(式中、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、
Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
[2]Aが置換若しくは非置換のフェニル基であり、Bが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基であり、CがBが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基である[1]に記載の蛍光体。
[3]Cは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す[1]に記載の蛍光体。
[4]BおよびCが同一官能基である、[2]または[3]に記載の蛍光体。
[5]下記一般式(2)で表されるマレイミド系化合物からなる[1]に記載の蛍光体。

【0156】
【化23】
JP2019044739A1_000025t.gif

【0157】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
[6]下記一般式(3)で表されるマレイミド系化合物からなる[1]または[5]に記載の蛍光体。

【0158】
【化24】
JP2019044739A1_000026t.gif

【0159】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示す。)
[7]Aが置換若しくは非置換のフェニル基であり、Bが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基であるか、または
Aが置換若しくは非置換のアルキル基であり、Bが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基である[5]または[6]に記載の蛍光体。
[8]Aが置換若しくは非置換のシクロアルキル基であり、Bが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基である[7]に記載の蛍光体。
[9]下記一般式(4)で表されるマレイミド系化合物からなる[6]に記載の蛍光体。

【0160】
【化25】
JP2019044739A1_000027t.gif

【0161】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示し、
2はR1と同じである。)
[10]Bは、置換若しくは非置換のモルホリノ基である[9]に記載の蛍光体。
[11]R1はメチルである[5]~[10]のいずれかに記載の蛍光体。
[12][1]~[11]のいずれか一項に記載の蛍光体を含むことを特徴とする凝集誘起発光性材料。
[13][1]~[11]のいずれか一項に記載の蛍光体を含むことを特徴とする光波長変換材。
[14][1]~[11]のいずれか一項に記載の蛍光体を含むことを特徴とする農園芸用シート。
[15] [1]~[11]のいずれか一項に記載の蛍光体をポリマーマトリックスに分散させてなる複合材料。
[16] フィルムである[15]に記載の複合材料。
[17]下記一般式(1)で表されるマレイミド系化合物(ただし、下記の式(7)及び式(8)の化合物である場合を除く)。

【0162】
【化26】
JP2019044739A1_000028t.gif

【0163】
(式中、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示し、
Cは、マレイミドの5員環の3位の炭素に窒素原子を介して結合する官能基であって、Ph-NH-で表される置換若しくは非置換のフェニルアミノ基(Phはフェニル基)、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)

【0164】
【化27】
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【0165】
[18]Cは、置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す、[17]に記載の化合物。
[19]BおよびCが同一官能基である、[17]または[18]に記載の化合物。
[20]下記一般式(2)で表される[17]に記載のマレイミド系化合物。

【0166】
【化28】
JP2019044739A1_000030t.gif

【0167】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基を示す。)
[21]下記一般式(3)で表される[17]または[20]に記載のマレイミド系化合物。

【0168】
【化29】
JP2019044739A1_000031t.gif

【0169】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Aは置換若しくは非置換のフェニル基、又は置換若しくは非置換のシクロアルキル基を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示す。)
[22]Aが置換若しくは非置換のフェニル基であり、Bが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基であるか、または
Aが置換若しくは非置換のアルキル基であり、Bが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基である[20]または[21]に記載の化合物。
[23]Aが置換若しくは非置換のシクロアルキル基であり、Bが置換若しくは非置換のモルホリノ基、置換若しくは非置換のピペリジル基、又は置換若しくは非置換のジアルキルアミノ基である[22]に記載の化合物。
[24]下記一般式(4)で表される[21]に記載のマレイミド系化合物。

【0170】
【化30】
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【0171】
(式中、
1は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又はハロゲン原子を示し、
Bは、マレイミドの5員環の4位に窒素原子を介して結合する官能基であって、置換若しくは非置換のモルホリノ基、又は置換若しくは非置換のピペリジル基を示し、
2はR1と同じである。)
[25]Bは、置換若しくは非置換のモルホリノ基である[24]に記載の化合物。
[26]R1はメチルである[20]~[25]のいずれかに記載の化合物。
【実施例】
【0172】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0173】
なお、固体状態の発光スペクトルは分光光度計(FP-8500、日本分光株式会社)を使用して測定した。
【実施例】
【0174】
[実施例1:4-モルホリノ-3-トルイジノ-N-P-トルイルマレイミドの製造]
空気下でジクロロマレイン酸無水物(1)(0.784g,4.70 mmol)に p-トルイジン(1.00g,9.37mmol)を加えてトルエン(20mL)に溶解させ、120℃で24時間加熱還流した。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣をメタノール洗浄することにより3-p-トルイジノ-4-クロロ-N-P-トルイルマレイミド(2)を収率73%で得た。3-p-トルイジノ-4-クロロ-N-P-トルイルマレイミド(2)(0.1645g,0.503 mmol)のTHF溶液(5ml)にトリエチルアミン(58.7mg,0.580 mmol)、モルホリン(0.146g,1.67 mmol)を加えて70℃で加熱還流を48時間行った。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣をジクロロメタンと水で分液した。有機層に硫酸マグネシウムを加えてろ過を行った後、溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタンとヘキサンにより冷凍庫中で再結晶させ、吸引ろ過により4-モルホリノ-3-トルイジノ-N-P-トルイルマレイミド(3)の赤橙色結晶を0.133g(0.353mmol, 収率70%)で得た。反応スキーム(反応スキーム5)を以下に示す。
【実施例】
【0175】
図1及び図2は、実施例1により得られた 4-モルホリノ-3-トルイジノ-N-P-トルイルマレイミド(3)の1H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルをそれぞれ示す。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ=7.26-7.23 (m, 4 H), 7.12 (d, J=16.2 Hz, 2 H), 6.80 (d, J=16.7 Hz, 2 H), 6.15 (s, 1 H), 3.52 (t, 4 H), 3.33 (t, 4 H), 2.37 (s, 3 H), 2.32 ppm (s, 3 H)
13C NMR CDCl3, 100 MHz): δ=168.2, 167.8, 137.7, 137.3, 131.5, 129.6, 129.5, 129.0, 125.9, 122.9, 118.5, 116.9, 66.8, 48.4, 21.1, 20.7 ppm
HRMS (FAB) calcd for C22H23O3N3 [M]+: 377.1739; found: 377.1733
【実施例】
【0176】
【化31】
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【実施例】
【0177】
〔実施例2 : N-シクロヘキシル-4-モルホリノ-3-トルイジノマレイミドの製造〕
空気下でジクロロマレイン酸無水物(1) (2.00 g, 11.98 mmol) とシクロヘキシルアミン (1.19 g, 11.99 mmol) のトルエン溶液 (30 mL) を120 ℃で15時間、加熱還流を行い、この反応溶液にp-トルイジン (1.42 g, 13.23 mmol) を加えて120 ℃で24時間、加熱還流を行った。溶媒を減圧留去し、残渣をメタノール洗浄することによりN-シクロヘキシル-3-クロロ-4-トルイジノマレイミド(4)の黄色固体を1.20 g (3.76 mmol, 31%) 得た。N-シクロヘキシル-3-クロロ-4-トルイジノマレイミド(0.161 g, 0.504 mmol) にモルホリン (5.0 mL, 0.57 mol) を加えて140 ℃で加熱還流を12時間行った。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣をジクロロメタンと水で分液した。有機層に硫酸マグネシウムを加えてろ過を行った後、溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタンとヘキサンにより冷凍庫中で再結晶させ、吸引ろ過により赤色固体を得た。得られた固体をショートカラム (ヘキサン:酢酸エチル=9:1) により精製を行い、N-シクロヘキシル-4-モルホリノ-3-トルイジノマレイミド(5)の橙色固体を0.121g (0.326 mmol, 65%) 得た。反応スキーム(反応スキーム6)を以下に示す。
【実施例】
【0178】
図3及び図4は、実施例2により得られた N-シクロヘキシル-4-モルホリノ-3-トルイジノマレイミド(5)の1H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルをそれぞれ示す。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ=7.09 (d, J=16.0 Hz, 2 H), 6.75 (d, J=16.8 Hz, 2 H), 5.98 (s, 1 H), 3.86 (t-t, 1 H), 3.50 (t, 4 H), 3.28 (t, 4 H), 2.30 (s, 3 H), 2.07-1.98 (m, 2 H), 1.84-1.64 (m, 5 H), 1.35-1.15 ppm (m, 3 H)
13C NMR CDCl3, 100 MHz): δ=169.2, 169.0, 138.2, 131.1, 129.4, 123.0, 118.1, 116.4, 66.9, 50.5, 48.3, 30.2, 26.1, 25.2, 20.7 ppm
HRMS (FAB) calcd for C21H27O3N3 [M]+: 369.2052; found: 369.2053
【実施例】
【0179】
【化32】
JP2019044739A1_000034t.gif
【実施例】
【0180】
〔実施例3 : N-トルイル-3, 4-ジモルホリノマレイミドの製造〕
空気下でジクロロマレイン酸無水物(1) (0.803 g, 4.81 mmol) とp-トルイジン (0.513 g, 4.79 mmol) のトルエン溶液 (10 mL) を120 ℃で4.5時間、加熱還流した。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣をメタノール洗浄することにより2, 3-ジクロロ-N-P-トルイルマレイミド(6)の白黄色固体を0.850 g (3.32 mmol, 69 %) 得た。2, 3-ジクロロ-N-P-トルイルマレイミド(0.302 g, 1.18 mmol) のTHF溶液 (15 mL) にトリエチルアミン (0.263 g, 2.60 mmol)、モルホリン (1.04 g, 11.9 mmol) を加えて70 ℃で加熱還流を63時間行った。反応後、溶媒を減圧留去し、残渣をジクロロメタンと水で分液した。有機層に硫酸マグネシウムを加えてろ過を行った後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカカラム (ヘキサン:酢酸エチル=8:2) により精製した後、ジクロロメタンとヘキサンにより冷凍庫中で再結晶させ、吸引ろ過によりN-トルイル-3, 4-ジモルホリノマレイミド(7)の黄色結晶を66.2 mg (0.185 mmol, 16 %) 得た。
【実施例】
【0181】
図5及び図6は、実施例3により得られたN-トルイル-3, 4-ジモルホリノマレイミド(7)の1H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルをそれぞれ示す。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ=7.22 (d, J=16.0 Hz, 2 H), 7.16 (d, J=16.8 Hz, 2 H), 3.75 (t, 4 H), 3.56 (t, 4 H), 2.36 ppm (s, 3 H)
13C NMR CDCl3, 100 MHz): δ=167.2, 137.2, 129.5, 128.8, 126.2, 126.0, 67.2, 48.9, 21.1 ppm
HRMS (FAB) calcd for C19H23O4N3 [M]+: 357.1689; found: 357.1692
【実施例】
【0182】
【化33】
JP2019044739A1_000035t.gif
【実施例】
【0183】
[実施例4:固体状態における発光]
実施例1により得られたアミノマレイミドの固体サンプルに、ブラックライトブルーランプを用いて紫外線 (315nm~400nm、最もランプ強度が強い波長:352nm)を照射したところ、照射前・照射後のいずれも固体状態で発光を示した(図7A,B)。また、実施例2及び3により得られたアミノマレイミドの固体サンプルにも同様に紫外線を照射したところ、照射後の固体状態で発光を示した(非図示)。なお、ブラックライトブルーランプとしては、紫外線ボックス・スタンダード型強力タイプ(株式会社相互理化学硝子製作所製)を使用した。
【実施例】
【0184】
また、実施例1~3により得られたアミノマレイミドの固体サンプルを固体粉末セルに均一に入れて、450nmで励起させて発光スペクトルを分光光度計 (FP-8500、日本分光株式会社)で測定を行った。実施例1~3の固体サンプルでは、それぞれ最大発光波長が609nm、608nm、及び593nmで観測された。図8に、実施例1~3により得られたアミノマレイミド((3)、(5)及び(7))の固体発光スペクトルを測定した結果を示す。
【実施例】
【0185】
なお、同じ条件で測定したモルホリノ基を有しないアミノマレイミドである、比較例1である3-トルイジノ-N-P-トルイルマレイミド(8)の最大発光波長は527nmであった。比較例1のアミノマレイミドの固体発光スペクトルを測定した結果も図8に示す。
【実施例】
【0186】
[実施例5:本発明のマレイミド系化合物の量子収率]
実施例1により得られたアミノマレイミドの量子収率を、絶対量子収率測定システム(ILFC-8475、日本分光株式会社)で測定したところ、23%であった。比較例1のアミノマレイミドの量子収率は7%であった。
【実施例】
【0187】
実施例2及び実施例3により得られたアミノマレイミドの量子収率を、絶対量子収率測定システム(ILFC-8475、日本分光株式会社)で測定したところ、それぞれ17%及び10%であった。
【実施例】
【0188】
[実施例6:本発明のマレイミド系化合物のX線構造解析]
実施例1~3により得られたアミノマレイミドの結晶構造をDFT計算及び単結晶X線構造解析で調べたところ、3位及び4位の置換基により共役系が拡張されることに加えて、固体状態において分子間π-π相互作用を回避するコンフォメーションで分子が凝集していることと、水素結合による分子間相互作用が確認された(データ非図示)。
【実施例】
【0189】
[実施例7:キャスト膜の作製]
実施例1で得られた4-モルホリノ-3-トルイジノ-N-P-トルイルマレイミド 5.5mgを、3.5mLのクロロホルムに加えて溶解させた。さらにこの混合物にポリメタクリル酸メチル(PMMA) 103.4mgを加えて攪拌し、マレイミド系化合物の濃度を5重量%とした。混合物をシリコンウェハー基板上にキャストし、室温で1時間放置して成膜し、基板からキャストフィルムを削り取った。
【実施例】
【0190】
得られたキャストフィルムは365nmで紫外線を照射したところ、照射後に固発光を示した(図9)。また、450nmでキャストフィルムの固体発光スペクトルを測定したところ、キャストフィルムの最大発光長は596nmであり、量子収率は14%であった(図10)。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明に係る蛍光体は、炭素、窒素、酸素と水素からなる比較的単純な構造でありながら、置換基の種類によってその電子効果や立体効果により発光色を550~800nm、特には太陽光の有効光である600nm~700nmの領域で精密制御可能であり、かつ凝集誘起発光性を示す。それゆえ、太陽電池用光波長変換材、有機EL用発光素子、色素レーザー、バイオイメージング、農園芸用資材などの幅広い分野において好適に用いることができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
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