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明細書 :多孔質体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-130495 (P2020-130495A)
公開日 令和2年8月31日(2020.8.31)
発明の名称または考案の名称 多孔質体
国際特許分類 A61L  27/12        (2006.01)
A61L  27/18        (2006.01)
A61L  27/46        (2006.01)
A61L  27/58        (2006.01)
A61L  27/56        (2006.01)
FI A61L 27/12
A61L 27/18
A61L 27/46
A61L 27/58
A61L 27/56
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2019-026225 (P2019-026225)
出願日 平成31年2月18日(2019.2.18)
発明者または考案者 【氏名】森田 有亮
【氏名】松尾 陽之
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110001427、【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C081
Fターム 4C081AB04
4C081BA12
4C081BA13
4C081CA171
4C081CF012
4C081CF022
4C081CF032
4C081DA04
4C081DB03
4C081DC11
要約 【課題】生体内において早期に新生骨形成促進を可能とする骨欠損部の修復のための多孔質体を提供する。
【解決手段】生体吸収性高分子の多孔質ファイバーからなる多孔質体であって、多孔質ファイバーにはアパタイト前駆体が分散して付着している。生体吸収性高分子は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体、又は、ポリカプロラクトンの何れかである。アパタイト前駆体は、リン酸水素カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸4カルシウム、又は、オクタリン酸カルシウムの何れかである。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
生体吸収性高分子の多孔質ファイバーからなる多孔質体であって、前記多孔質ファイバーにはアパタイト前駆体が分散して付着していることを特徴とする、多孔質体。
【請求項2】
前記生体吸収性高分子は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体、又は、ポリカプロラクトンの何れかであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質体。
【請求項3】
前記アパタイト前駆体は、リン酸水素カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸4カルシウム、又は、オクタリン酸カルシウムの何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生体吸収性高分子ファイバーの多孔質体に関する。
【背景技術】
【0002】
外傷等で骨が欠損した場合、自家骨移植が一般的であるが、自家骨移植のために採取できる骨量には限界がある。そこで他人の骨を移植する同種骨移植も行われているが、同種骨では免疫的拒絶反応の発生も懸念される。
【0003】
人工材料からなる人工骨の移植では免疫拒絶反応の問題がなく、材料入手及び加工が容易であるため、工業的に大量生産が可能である。多孔質ハイドロキシアパタイト等のバイオセラミックスは、生体親和性が高いため、骨充填を目的として大量に利用されているが、かかる無機材料は強度が低く、満足のいくものは得られていない。
【0004】
再生医療分野では、骨を再建する研究開発が行われており、骨の再生には、細胞外マトリクス、骨髄細胞、骨膜、骨誘導タンパク因子等が用いられる。基材としては、例えば特許文献1~4に示すような生体内分解吸収性の素材とハイドロキシアパタイトを複合化した再生基材も提案されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2001-54564号公報
【特許文献2】特開2002-325830号公報
【特許文献3】特開2003-33429号公報
【特許文献4】特開2003-62060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、いずれの技術においても短期間において新生骨形成促進を可能とするものではない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、生体内において早期に新生骨形成促進を可能とする骨欠損部の修復のための多孔質体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる多孔質体は、生体吸収性高分子の多孔質ファイバーからなる多孔質体であって、前記多孔質ファイバーにはアパタイト前駆体が分散して付着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生体内において早期に骨欠損部の修復が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施例にかかるポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA/DCPA)と、比較例3にかかるリン酸水素カルシウムが分散付着していないポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA)とにおけるSEMでの写真図である。
【図2】本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPA、比較例1にかかる中実PLLA、比較例2にかかる中実PLLA/DCPA、及び、比較例3にかかる多孔質PLLAにおけるSEMでの写真図である。
【図3】比較例2にかかる中実PLLA/DCPAにおけるSEMでの写真図である。
【図4】本実施例にかかるポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA/DCPA)と、比較例3にかかるリン酸水素カルシウムが分散付着していないポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA)とにおけるSEMでの写真図である。
【図5】本実施例にかかるポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA/DCPA)につき(a)断面のSEMでの写真図と(b)EDSによる元素マッピング画像の写真図である。
【図6】本実施例にかかるポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA/DCPA)につきFTIRによる分子構造解析を示す図である。
【図7】本実施例にかかるポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA/DCPA)につきXRDによる結晶構造解析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。

【0012】
本実施形態にかかる多孔質体は、生体吸収性高分子の多孔質ファイバーからなる多孔質体であって、この多孔質ファイバーにはアパタイト前駆体が分散して付着している。本明細書において、アパタイト前駆体が多孔質ファイバーに分散して付着しているとは、多孔質ファイバーの表面及び内部にアパタイト前駆体が分散して付着している意味である。

【0013】
生体吸収性高分子は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリグリセロールセバシン酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリブチレンサクシネート、又は、これらの誘導体が挙げられ、好ましくはポリ乳酸である。

【0014】
ポリ乳酸における高分子を構成するモノマーには、例えばL-乳酸及びD-乳酸があるが特に制限はない。また高分子の光学純度や分子量、L体とD体の組成比、配列には特に制限はなく、ポリL乳酸とポリD乳酸のステレオコンプレックスを用いてもよい。好ましくはL体の多いポリマーであり、L体が100%であることがより好ましい。

【0015】
生体吸収性高分子の分子量としては、特に限定されるものではないが、例えば、1×10~5×10であり、好ましくは1×10~1×10、より好ましくは5×10~5×10である。また、ポリマーの末端構造やポリマーを重合する触媒は任意に選択できる。

【0016】
本発明の多孔質体は、単数または複数の多孔質ファイバーが積層され、集積されて形成された3次元の構造体である。生体吸収性高分子の多孔質ファイバーは例えば、平均繊維径が0.01~10μm、平均見かけ密度が10~300kg/mである。

【0017】
本発明の生体吸収性高分子の多孔質ファイバーからなる多孔質体は、生体内で吸収される速度を考慮するとポロシティが20~80%であることが好ましい。ポロシティが20%より低いと生着する細胞数が少なく更にはアパタイト被膜が剥がれる虞があるからであり、80%より高いと生着する細胞数は多いものの機械強度が低く足場材料としては好ましくない場合がある。ポロシティは平均見かけ密度とポリマー固有密度より算出することができる。

【0018】
アパタイト前駆体は、リン酸水素カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸4カルシウム、又は、オクタリン酸カルシウムの何れかであり、好ましくはリン酸水素カルシウムである。

【0019】
ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2;以下HApと記載する場合がある。)は歯や骨等の生体硬組織の主成分であることから生体親和性に優れている。HAp結晶(六方晶系)の生成過程で生成するCaHPO4・2H2O(以下DCPDと記載する場合がある;単斜晶系)やCaHPO4(以下DCPAと記載する場合がある;三斜晶系)の結晶系はHApの結晶系とは異なっているものの局所的に類似の構造を有している。

【0020】
本発明の多孔質体には、細胞増殖因子を包含させることが可能である。細胞増殖因子は、例えばFGF(繊維芽細胞増殖因子)、EGF(上皮増殖因子)、PDGF(血小板由来増殖因子)、TGF-β(β型形質転換増殖因子)、NGF(神経増殖因子)、HGF(肝細胞増殖因子)、BMP(骨形成因子)等が挙げられる。

【0021】
本発明の多孔質体は、例えば、整形外科領域、歯科口腔外科領域における骨欠損修復、開頭、開胸術後の骨欠損修復等に用いることができる。具体的には、整形外科領域においては、骨腫瘍切除後の骨欠損、骨折等外傷により生じた骨欠損に対し、本発明の多孔質体を骨欠損部に補填し、骨再生を促進することができる。また、歯科口腔外科領域においては、歯周病、顎裂部、抜歯窩等により生じた骨欠損に対し、本発明の多孔質体を補填することにより、短期間で優れた骨再生効果が確認できる。更に、本発明の多孔質体の応用例として例えば軟骨が損傷した部位に埋入して軟骨損傷の治療方法に用いることもできる。具体的には関節部を手術し軟骨を露出させ、次に、軟骨の損傷部位にドリル等で穴を開ける。穴は、厚さ1mm程度の軟骨組織より下の軟骨下骨に達する程度の深さまで開けることが好ましい。その後、穴の内径に一致する形状の本発明の多孔質体を埋入する。その後は手術部位を修復して軟骨の再生を行う。

【0022】
本実施形態にかかる多孔質体の製造方法を説明する。まず生体吸収性高分子を有機溶剤に溶解させることで溶液を調製した後、ハイドロキシアパタイト前駆体をその溶液に添加し混合する。有機溶剤は特に限定されるものではないが例えば1,3-ジオキソラン,ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、四塩化炭素、トリクロロエタン、ヘキサフルオロ-2-プロパノール、ヘキサフルオロアセトンといったハロゲン化溶媒が挙げられる。次にエレクトロスピニング装置を使用して有機溶剤に溶解している高分子を押し出し、生体吸収性高分子の多孔質ファイバーを得ることで多孔質体を製造する。得られる多孔質ファイバーにはハイドロキシアパタイト前駆体が分散して付着している。本発明の製造方法で得られる多孔質体は綿状,シート状物やブロック状物等とすることでより優れたハンドリング性が付与され医療用材料として好適に用いられる。

【0023】
エレクトロスピニング装置は特に限定されるものではないが、例えば、有機溶剤に溶融している高分子を押し出す押出部、溶融した高分子を吐出するノズル部、電圧を印加してナノファイバー化する電圧印加部、得られたナノファイバーを捕集する捕集部とからなる。溶解した高分子をナノファイバー化する方法としては,加熱溶融エレクロトスピニング法,湿式エレクロトスピニング法,ブロースピニング法,フォーススピニング法なども挙げられる。

【0024】
また本実施形態にかかる多孔質体は相分離法によっても製造可能である。即ち有機溶剤にハイドロキシアパタイト前駆体と生体吸収性高分子を溶解させ、温度を下げた後に多孔質糸状に押出し、浸水後に巻き取ることにより生体吸収性高分子の多孔質ファイバーを得ることで多孔質体を製造する。得られる多孔質ファイバーにはハイドロキシアパタイト前駆体が分散して付着している。
【実施例】
【0025】
(1)多孔質体の製造
生体吸収性高分子としてポリ乳酸(L体;PLLA)(Mw=1.83×105)を使用した。アパタイト前駆体としてリン酸水素カルシウム(DCPA)を使用した。安定化剤としてトリエチルアミンを150ppm添加した1,3-ジオキソランにポリ乳酸とポリエチレンオキシドを8w/v%濃度にて溶解させた。この時、ポリ乳酸とポリエチレンオキシドの質量比は90/10とした。溶解させたポリ乳酸の質量に対してリン酸水素カルシウムを5/1となるように添加することで溶液を調製した。エレクトロスピニング装置としてNEU-11-TEA-2622 (カトーテック社)を使用した。1,3-ジオキソランに溶解している高分子を押し出してポリ乳酸の多孔質ファイバーを得ることで本実施例にかかる多孔質体を製造した。このポリ乳酸の多孔質ファイバーにはDCPAが分散して付着していた(多孔質PLLA/DCPA)。多孔質体は不織布形状とした。また、多孔質ファイバーは、比表面積が10.1m2/g、細孔容積が0.070cc/g、平均細孔径0.76±0.24 μmであった。
【実施例】
【0026】
また比較例1として、リン酸水素カルシウムが分散付着していないポリ乳酸の中実ファイバーを製造した(中実PLLA)。
【実施例】
【0027】
また比較例2として、リン酸水素カルシウムが分散付着しているポリ乳酸の中実ファイバーを製造した(中実PLLA/DCPA)。
【実施例】
【0028】
また比較例3として、リン酸水素カルシウムが分散付着していないポリ乳酸の多孔質ファイバーを製造した(多孔質PLLA)。このリン酸水素カルシウムが分散付着していない多孔質ファイバーの平均細孔径は0.74±0.24 μmであった。
【実施例】
【0029】
(2)SEM観察
得られた本実施例にかかるポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA/DCPA)をSEM(JOEL社製JSM-6390LT)にて観察した。また比較例3にかかるリン酸水素カルシウムが分散付着していないポリ乳酸の多孔質ファイバー(多孔質PLLA)もSEMにて観察した。図1はSEM観察の結果を示す写真図である。本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAは繊維径10.7±1.7μmであり、表面多孔率は51.7%であった。比較例3にかかる多孔質PLLAは繊維径10.0±1.3μmであり、表面多孔率は53.3%であった。図1に矢印で示されるように本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAでは斑点が見られポリ乳酸の多孔質ファイバーにDCPAが分散して付着していることが確認できた。
【実施例】
【0030】
(3)擬似体液への浸漬
本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPA、比較例1にかかる中実PLLA、比較例2にかかる中実PLLA/DCPA、及び、比較例3にかかる多孔質PLLAを、それぞれ、擬似体液に7日間浸漬させた。擬似体液はSBF(Simulated Body Fluid)を使用した。結果を図2に示す。比較例1にかかる中実PLLAと比較例3にかかる多孔質PLLAとでは、ともに7日目においてもアパタイトの析出は観察されなかった。本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAと比較例2にかかる中実PLLA/DCPAとでは、ともに1日目からアパタイトの析出が観察されはじめ、3日目においてはファイバーの表面全体をアパタイトが被覆するようにアパタイトが析出していた。このように本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAは、擬似体液SBFに浸漬後3日目においてファイバーの表面全体を被覆するようにアパタイトが析出するため、生体内において早期に骨欠損部の修復が可能であると考えられる。
【実施例】
【0031】
(4)多孔質PLLA/DCPAと中実PLLA/DCPAとの比較
比較例2にかかる中実PLLA/DCPAをSEMにより詳細に観察し本実施例と対比した。図3に示されるように、比較例2にかかる中実PLLA/DCPAでは3日目においてアパタイトによりファイバーの表面全体が被覆されているものの、アパタイトの割れや欠落が観察された。一方で本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAでは比較例2と異なり図2に見られるようにファイバーの割れや欠落が観察されなかった。本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAではファイバー内部にアパタイトが析出するため機械的結合強度が向上するからと思われる。
【実施例】
【0032】
(5)多孔質PLLA/DCPAと多孔質PLLAとの比較
比較例3にかかる多孔質PLLAをSEMにより詳細に観察し本実施例と対比した。図4に示されるように比較例3にかかる多孔質PLLAは7日目においてもアパタイトの析出は見られなかった。本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAでは、SBFに浸漬後3日目において、ファイバー周囲に均等均質にアパタイト析出物による被覆が観察されるとともに、ファイバー内部にまでアパタイトが析出している様子が確認された。本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAでは、生体内において早期に骨欠損部の修復が可能であると考えられる。また本実施例では多孔質PLLAとアパタイト析出物との結合が強固となり、アパタイトの割れや欠落が生じなくなったと考えられる。
【実施例】
【0033】
(6)EDSによる元素マッピング画像
無機化合物の分析では、主に走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、エネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いて含有されている元素を特定する。本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAにつき、擬似体液SBFに浸漬後3日目及び7日目において、SEMによりファイバーの断面画像を解析し、また、擬似体液SBFに浸漬後7日目において、EDSにより元素マッピング画像を解析した。図5(a)に示されるように本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAでは、擬似体液SBFに浸漬後3日目及び7日目において、多孔質ファイバー表面を覆うようにアパタイトが析出しているのみならず、多孔質ファイバー内部においてもアパタイト析出物の形成が確認された。また、図5(b)に示されるように本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAでは、擬似体液SBFに浸漬後7日目において、多孔質ファイバー表面を覆う物質としてリン酸塩の検出及びカルシウムの検出が特定されたため、多孔質ファイバー表面がリン酸水素カルシウム化合物で被覆されていることが確認された。
【実施例】
【0034】
(7)FTIRによる多孔質PLLA/DCPAの分子構造解析
フーリエ変換赤外分光光度法(FTIR)の全反射法(ATR法)を使用して本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAの分子構造解析を試みた。装置として1回反射型全反射測定装置(島津製作所社製MIRacle)を設置したFTIR装置(島津製作所社製8400S)を使用した。図6に示されるように本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAでは、擬似体液SBFに浸漬後に時間の経過に伴ってPLLAのピーク強度が減少していた。これにより擬似体液SBFに浸漬後に時間の経過に伴ってPLLAの表面がアパタイト析出物で被覆されることが示唆された。また擬似体液SBFに浸漬後にPO43-に由来するピークが確認された。これにより擬似体液SBFに浸漬後に析出する組成物がアパタイトであることが示唆された。
【実施例】
【0035】
(8)XRDによる多孔質PLLA/DCPAの結晶構造解析
X線回折(XRD) (PANAlytical社製DSC-0047)を使用して本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAの結晶構造解析を試みた。図7に示されるように本実施例にかかる多孔質PLLA/DCPAでは、擬似体液SBFに浸漬後に時間の経過に伴ってDCPAを示すピークが減少していた。これにより擬似体液SBFに浸漬後に時間の経過に伴ってPLLAの表面がアパタイト析出物で被覆されることが示唆された。また擬似体液SBFに浸漬後に時間の経過に伴ってアパタイトを示すピークが増加していた。これにより擬似体液SBFに浸漬後に析出する組成物がアパタイトであることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0036】
骨欠損の治療に使用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6