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明細書 :GM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤、及びGM1ガングリオシドーシス予防用又は治療用組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年12月24日(2020.12.24)
発明の名称または考案の名称 GM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤、及びGM1ガングリオシドーシス予防用又は治療用組成物
国際特許分類 A61K  31/4706      (2006.01)
A61P  25/00        (2006.01)
A61P  39/02        (2006.01)
A61K  31/137       (2006.01)
A61K  31/138       (2006.01)
A61K  31/343       (2006.01)
A61K  31/366       (2006.01)
A61K  31/381       (2006.01)
A61K  31/426       (2006.01)
A61K  31/437       (2006.01)
A61K  31/4453      (2006.01)
A61K  31/4515      (2006.01)
A61K  31/454       (2006.01)
A61K  31/47        (2006.01)
A61K  31/54        (2006.01)
A61K  31/5415      (2006.01)
A61K  31/635       (2006.01)
A61P   3/00        (2006.01)
FI A61K 31/4706
A61P 25/00
A61P 39/02
A61K 31/137
A61K 31/138
A61K 31/343
A61K 31/366
A61K 31/381
A61K 31/426
A61K 31/437
A61K 31/4453
A61K 31/4515
A61K 31/454
A61K 31/47
A61K 31/54
A61K 31/5415
A61K 31/635
A61P 3/00
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 34
出願番号 特願2019-562499 (P2019-562499)
国際出願番号 PCT/JP2018/048411
国際公開番号 WO2019/131989
国際出願日 平成30年12月28日(2018.12.28)
国際公開日 令和元年7月4日(2019.7.4)
優先権出願番号 2017254888
優先日 平成29年12月28日(2017.12.28)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】江良 択実
【氏名】梶原 隆太郎
出願人 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100126664、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 慎吾
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
【識別番号】100189337、【弁理士】、【氏名又は名称】宮本 龍
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
4C206
Fターム 4C086AA01
4C086AA02
4C086BA06
4C086BA17
4C086BB02
4C086BC21
4C086BC28
4C086BC38
4C086BC82
4C086BC89
4C086CB05
4C086DA20
4C086DA26
4C086GA10
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZC37
4C086ZC51
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA09
4C206FA10
4C206FA21
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA02
4C206ZC37
4C206ZC51
要約 アモジアキン、アカセチン、スルファメラジン、ウンゲリン、アミオダロン、セルチンドール、デルコリン、ペルフェナジン、アルチアジド、ジエチルスチルベストロール、チエチルペラジン、ハルモール、スキムミアニン、スクシニルサルファチアゾール、フィラルビン、カナバニン、ハルマリン、トリヘキシフェニジル、フルオキセチン、ロバスタチン、ハロペリドール、プレニルアミン乳酸、ブロムペリドール、コンボルバミン、及びミグルスタット、並びに、これらの薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
特許請求の範囲 【請求項1】
Amodiaquine(アモジアキン)、Acacetin(アカセチン)、Sulfamerazine(スルファメラジン)、Ungerine(ウンゲリン)、Amiodarone(アミオダロン)、Sertindole(セルチンドール)、Delcorine(デルコリン)、Perphenazine(ペルフェナジン)、Althiazide(アルチアジド)、Diethylstilbestrol(ジエチルスチルベストロール)、Thiethylperazine(チエチルペラジン)、Harmol(ハルモール)、Skimmianine(スキムミアニン)、Succinylsulfathiazole(スクシニルサルファチアゾール)、Fillalbin(フィラルビン)、Canavanine(カナバニン)、Harmaline(ハルマリン)、Trihexyphenidyl(トリヘキシフェニジル)、Fluoxetine(フルオキセチン)、Lovastatin(ロバスタチン)、Haloperidol(ハロペリドール)、Prenylamine lactate(プレニルアミン乳酸)、Bromperidol(ブロムペリドール)、Convolamine(コンボルバミン)、及びMiglustat(ミグルスタット)、並びに、これらの薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【請求項2】
下記一般式(1)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【化1】
JP2019131989A1_000022t.gif
[一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基を表す。Xは、単結合、又は2価の連結基を表す。nは、0、1、又は2を表す。Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。Rは、水素原子、又は炭素数1~5のアルキル基を表す。Rは、水素原子、水酸基、炭素数1~5のアルキル基、又は炭素数1~5のアルコキシ基を表す。Rは、水素原子、水酸基、シアノ基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。]
【請求項3】
下記一般式(2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【化2】
JP2019131989A1_000023t.gif
[一般式(2)中、R10は、単結合又は2価の連結基を表す。R11は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。n10及びn11は、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。R12及びR13が、それぞれ複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。R14は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、又は炭素数1~5のアルコキシ基を表す。
12は、0~4の整数を表す。R14が、複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。]
【請求項4】
下記一般式(3)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【化3】
JP2019131989A1_000024t.gif
[一般式(3)中、R20は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R21及びR24は、それぞれ独立して、単結合又は2価の連結基を表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を表す。]
【請求項5】
下記一般式(4)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【化4】
JP2019131989A1_000025t.gif
[一般式(4)中、R30及びR31は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、又はアラルキル基を表す。実線と点線の二重線部分は単結合又は二重結合を表す。]
【請求項6】
下記一般式(5)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【化5】
JP2019131989A1_000026t.gif
[一般式(5)中、R40は、単結合又は2価の連結基を表す。R41~R43は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、又はアラルキル基を表す。]
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤及び薬学的に許容される担体を含有する、GM1ガングリオシドーシス予防用又は治療用組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、GM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤、及びGM1ガングリオシドーシス予防用又は治療用組成物に関する。
本願は、2017年12月28日に、日本に出願された特願2017-254888号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
GM1ガングリオシドは、糖脂質の一種であり、細胞のシグナル伝達などに関与する分子である。このGM1が関与する疾患として、GM1ガングリオシドーシスが知られている。
【0003】
GM1ガングリオシドーシスはライソゾーム病の1つであり、GM1ガングリオシドの加水分解に関与する酵素の欠損・異常によって、GM1が特に神経系(脳)に蓄積してしまう先天性代謝異常症である。
GM1ガングリオシドーシスは、発症時期と臨床経過により、乳児型、若年型、成人型に分類される。特に乳児型は生後3~6ヶ月までに発達の遅れが見られ、生後1年を過ぎるまでにほとんどの患児が、除脳硬直など重度の神経障害を示すようになり、通常3~4歳までに死亡する。
【0004】
GM1ガングリオシドーシスに対する治療剤開発において、例えば、非特許文献1では、GM1ガングリオシドーシス予防剤として、カスパーゼ阻害剤であるZ-YVAD-FMKが提案されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特表2016-533770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
GM1ガングリオシドーシスに対する治療剤は、現在のところ見つかっておらず、新規治療剤の開発が望まれている。
【0007】
そこで本発明は、新たなGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤、及びGM1ガングリオシドーシス予防用又は治療用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、GM1ガングリオシド(以下、「GM1」ともいう。)患者由来iPS細胞から分化させた神経幹細胞を用いたスクリーニング系により化合物を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]Amodiaquine(アモジアキン)、Acacetin(アカセチン)、Sulfamerazine(スルファメラジン)、Ungerine(ウンゲリン)、Amiodarone(アミオダロン)、Sertindole(セルチンドール)、Delcorine(デルコリン)、Perphenazine(ペルフェナジン)、Althiazide(アルチアジド)、Diethylstilbestrol(ジエチルスチルベストロール)、Thiethylperazine(チエチルペラジン)、Harmol(ハルモール)、Skimmianine(スキムミアニン)、Succinylsulfathiazole(スクシニルサルファチアゾール)、Fillalbin(フィラルビン)、Canavanine(カナバニン)、Harmaline(ハルマリン)、Trihexyphenidyl(トリヘキシフェニジル)、Fluoxetine(フルオキセチン)、Lovastatin(ロバスタチン)、Haloperidol(ハロペリドール)、Prenylamine lactate(プレニルアミン乳酸)、Bromperidol(ブロムペリドール)、Convolamine(コンボルバミン)、及びMiglustat(ミグルスタット)、並びに、これらの薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
[2]下記一般式(1)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【0009】
【化1】
JP2019131989A1_000003t.gif

【0010】
[一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基を表す。Xは、単結合、又は2価の連結基を表す。nは、0、1、又は2を表す。Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。Rは、水素原子、又は炭素数1~5のアルキル基を表す。Rは、水素原子、水酸基、炭素数1~5のアルキル基、又は炭素数1~5のアルコキシ基を表す。Rは、水素原子、水酸基、シアノ基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。]
[3]下記一般式(2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【0011】
【化2】
JP2019131989A1_000004t.gif

【0012】
[一般式(2)中、R10は、単結合又は2価の連結基を表す。R11は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。n10及びn11は、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。R12及びR13が、それぞれ複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。R14は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、又は炭素数1~5のアルコキシ基を表す。
12は、0~4の整数を表す。R14が、複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。]
[4]下記一般式(3)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【0013】
【化3】
JP2019131989A1_000005t.gif

【0014】
[一般式(3)中、R20は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R21及びR24は、それぞれ独立して、単結合又は2価の連結基を表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を表す。]
[5]下記一般式(4)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【0015】
【化4】
JP2019131989A1_000006t.gif

【0016】
[一般式(4)中、R30及びR31は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、又はアラルキル基を表す。実線と点線の二重線部分は単結合又は二重結合を表す。]
[6]下記一般式(5)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤。
【0017】
【化5】
JP2019131989A1_000007t.gif

【0018】
[一般式(5)中、R40は、単結合又は2価の連結基を表す。R41~R43は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、又はアラルキル基を表す。]
[7][1]~[6]のいずれか一つに記載のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤及び薬学的に許容される担体を含有する、GM1ガングリオシドーシス予防用又は治療用組成物。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、新たなGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】健常者及びGM1患者由来の神経幹細胞におけるGM1蓄積を比較した図である。
【図2】GM1抑制化合物を用いた場合のGM1蓄積の様子を示した図である。
【図3】GM1抑制化合物を用いた場合のGM1蓄積の様子を示した図である。
【図4】GM1抑制化合物を腹腔内投与した場合のGM1モデルマウスの脳切片におけるGM1蓄積への影響を調べた図である。
【図5】GM1抑制化合物を腹腔内投与した場合のGM1モデルマウスの脳におけるGM1ガングリオシド量を比較した結果を示した図である。
【図6】ガングリオシドの合成及び分解過程を示した図である。
【図7】Amodiaquine又はThiethylperanzineを添加した、正常(201B7)及び疾患由来 (A138 #1-3)のiPS細胞から分化して得られた神経幹細胞における各酵素遺伝子の発現量の解析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[GM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤]
1実施形態において、本発明は、Amodiaquine(アモジアキン)、Acacetin(アカセチン)、Sulfamerazine(スルファメラジン)、Ungerine(ウンゲリン)、Amiodarone(アミオダロン)、Sertindole(セルチンドール)、Delcorine(デルコリン)、Perphenazine(ペルフェナジン)、Althiazide(アルチアジド)、Diethylstilbestrol(ジエチルスチルベストロール)、Thiethylperazine(チエチルペラジン)、Harmol(ハルモール)、Skimmianine(スキムミアニン)、Succinylsulfathiazole(スクシニルサルファチアゾール)、Fillalbin(フィラルビン)、Canavanine(カナバニン)、Harmaline(ハルマリン)、Trihexyphenidyl(トリヘキシフェニジル)、Fluoxetine(フルオキセチン)、Lovastatin(ロバスタチン)、Haloperidol(ハロペリドール)、Prenylamine lactate(プレニルアミン乳酸)、Bromperidol(ブロムペリドール)、Convolamine(コンボルバミン)、及びMiglustat(ミグルスタット)、並びに、これらの薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物からなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有するGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤を提供する。

【0022】
また、1実施形態において、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有するGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤を提供する。

【0023】
【化6】
JP2019131989A1_000008t.gif

【0024】
[一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基を表す。Xは、単結合、又は2価の連結基を表す。nは、0、1、又は2を表す。Rは、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。Rは、水素原子、又は炭素数1~5のアルキル基を表す。Rは、水素原子、水酸基、炭素数1~5のアルキル基、又は炭素数1~5のアルコキシ基を表す。Rは、水素原子、水酸基、シアノ基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。]

【0025】
及びRにおける、炭素数1~5のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
及びRにおけるアリール基としては、炭素数6~18であるものが好ましく、炭素数6~10であるものがより好ましく、具体的にはフェニル基が特に好ましい。
及びRにおけるアラルキル基としては、炭素数1~5のアルキレン基と上記R及びRにおけるアリール基とが結合したものが好ましい。
及びRにおけるシクロアルキル基としては、炭素数3~8のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。

【0026】
Xにおける2価の連結基としては、アルキレン基、-O-、-C(=O)-、-NH-、-S-、-S(=O)-、又はこれらの組み合わせが挙げられる。

【0027】
における炭素数1~5のアルキル基、アラルキル基、アリール基、及びシクロアルキル基としては、R及びRにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
における炭素数1~5のアルキル基としては、R及びRにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。

【0028】
における炭素数1~5のアルキル基としては、R及びRにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
における炭素数1~5のアルコキシ基としては、-ORのRの部分が、R及びRにおいて上述した炭素数1~5のアルキル基と同様のものが挙げられる。

【0029】
における炭素数1~5のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基としては、R及びRにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
における炭素数1~5のアルコキシ基としては、Rにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。

【0030】
上述した中でも、Xとしては、単結合が好ましく、nは1が好ましく、R~Rは水素原子が好ましい。

【0031】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、下記一般式(1-1)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することが、好ましい。

【0032】
【化7】
JP2019131989A1_000009t.gif

【0033】
[一般式(1-1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、アリール基、アラルキル基、又はシクロアルキル基を表す。Xは、単結合、又は2価の連結基を表す。Rは、水素原子、水酸基、シアノ基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。]

【0034】
上述した中でも、Rとしては、水酸基が好ましく、R及びRとしては、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。

【0035】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、下記式(1-1-1)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することが、特に好ましい。

【0036】
【化8】
JP2019131989A1_000010t.gif

【0037】
また、1実施形態において、本発明は、下記一般式(2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有するGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤を提供する。

【0038】
【化9】
JP2019131989A1_000011t.gif

【0039】
[一般式(2)中、R10は、単結合又は2価の連結基を表す。R11は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。n10及びn11は、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。R12及びR13が、それぞれ複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。R14は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、又は炭素数1~5のアルコキシ基を表す。
12は、0~4の整数を表す。R14が、複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。]

【0040】
10における2価の連結基としては、Xにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
11における炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、アラルキル基、アリール基、及びシクロアルキル基としては、Rにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
11における炭素数1~5のヒドロキシアルキル基としては、アルキル基の部分が、R及びRにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
12及びR13における炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、及びシクロアルキル基としては、R11において上述したものと同様のものが挙げられる。
12及びR13におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
12及びR13における炭素数1~5のチオアルキル基としては、アルキル基の部分が、R及びRにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
14におけるハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、及び炭素数1~5のアルコキシ基としては、R12及びR13において上述したものと同様のものが挙げられる。

【0041】
上述した中でも、R13及びR14としては、水素原子が好ましく、n10は1が好ましい。

【0042】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、下記一般式(2-1)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することが、好ましい。

【0043】
【化10】
JP2019131989A1_000012t.gif

【0044】
[一般式(2-1)中、R10は、単結合又は2価の連結基を表す。R11は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R12は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。]

【0045】
上述した中でも、R10としては、アルキレン基が好ましい。R10におけるアルキレン基としては、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。炭素数1~5のアルキル基としては、R及びRにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。

【0046】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、下記一般式(2-1-1)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することが、更に好ましい。

【0047】
【化11】
JP2019131989A1_000013t.gif

【0048】
[一般式(2-1-1)中、R11は、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R12は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。]

【0049】
上述した中でも、R11としては、炭素数1~5のアルキル基、又は炭素数1~5のヒドロキシアルキル基が好ましい。R12としては、ハロゲン原子、又は炭素数1~5のチオアルキル基が好ましい。

【0050】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、下記式(2-1-1-1)又は(2-1-1-2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することが、特に好ましい。

【0051】
【化12】
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【0052】
また、1実施形態において、本発明は、下記一般式(3)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有するGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤を提供する。

【0053】
【化13】
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【0054】
[一般式(3)中、R20は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はシクロアルキル基を表す。R21及びR24は、それぞれ独立して、単結合又は2価の連結基を表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を表す。]

【0055】
20における、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、及びシクロアルキル基としては、R12において上述したものと同様のものが挙げられる。
21及びR24における2価の連結基としては、Xにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
22及びR23における、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、及び炭素数1~5のヒドロキシアルキル基としては、R12において上述したものと同様のものが挙げられる。
22及びR23における、炭素数1~5のハロアルキル基としては、フッ化アルキル基、塩化アルキル基、臭化アルキル基が挙げられ、R及びRにおいて上述したアルキル基から、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置き換えられたものが挙げられる。

【0056】
上述した中でも、R20としては、炭素数1~5のアルキル基、又はアラルキル基が好ましい。R20におけるアラルキル基としては、炭素数1~5のアルキレン基とフェニル基とが結合したものが好ましい。
21及びR24としては、単結合又は-O-が好ましい。
22及びR23としては、水素原子又はトリフルオロメチル基が好ましい。

【0057】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、下記式(3-1)又は(3-2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することが、特に好ましい。

【0058】
【化14】
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【0059】
また、1実施形態において、本発明は、下記一般式(4)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有するGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤を提供する。

【0060】
【化15】
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【0061】
[一般式(4)中、R30及びR31は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、又はアラルキル基を表す。実線と点線の二重線部分は単結合又は二重結合を表す。]

【0062】
30及びR31において、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、及びアラルキル基としては、R12において上述したものと同様のものが挙げられる。

【0063】
上述した中でも、R30及びR31としては、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、水酸基が好ましい。

【0064】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、下記式(4-1)又は(4-2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することが、特に好ましい。

【0065】
【化16】
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【0066】
また、1実施形態において、本発明は、下記一般式(5)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有するGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤を提供する。

【0067】
【化17】
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【0068】
[一般式(5)中、R40は、単結合又は2価の連結基を表す。R41~R43は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、又はアラルキル基を表す。]

【0069】
40における2価の連結基としては、Xにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
41~R43におけるハロゲン原子、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のチオアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数1~5のヒドロキシアルキル基、及びアラルキル基としては、R12において上述したものと同様のものが挙げられる。

【0070】
上述した中でも、R40としては、アルキレン基が好ましい。R40におけるアルキレン基としては、炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基から1個の水素原子を除いた基が好ましい。炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、R及びRにおいて上述したものと同様のものが挙げられる。
41~R43としては、水素原子、ハロゲン原子が好ましい。

【0071】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、下記式(5-1)又は(5-2)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を有効成分として含有することが、特に好ましい。

【0072】
【化18】
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【0073】
本発明のGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤としては、上記化合物をフリー体の形態で用いてもよく、薬学的に許容される塩の形態で用いてもよい。また、フリー体の溶媒和物の形態で用いてもよく、塩の溶媒和物の形態で用いてもよい。

【0074】
塩としては、薬学的に許容される塩であれば特に制限されず、例えば、塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、燐酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、酢酸塩、プロパン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩等が挙げられる。溶媒和物としては、薬学的に許容される溶媒和物であれば特に制限されず、例えば、水和物、有機溶媒和物等が挙げられる。

【0075】
[GM1ガングリオシドーシスの予防用又は治療用組成物]
1実施形態において、本発明は、上記のGM1ガングリオシドーシスの予防剤又は治療剤、及び薬学的に許容される担体を含有する、GM1ガングリオシドーシスの予防用又は治療用組成物を提供する。

【0076】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシスの予防用又は治療用組成物は、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の形態で経口的に、あるいは、注射剤、坐剤、皮膚外用剤等の形態で非経口的に投与することができる。

【0077】
薬学的に許容される担体としては、通常医薬組成物の製剤に用いられるものを特に制限なく用いることができる。より具体的には、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤;デンプン、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤;水、エタノール、グリセリン等の注射剤用溶剤;ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤等が挙げられる。薬学的に許容される担体は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。

【0078】
本実施形態のGM1ガングリオシドーシスの予防用又は治療用組成物は、更に添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン、マルチトール等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノール等の安定剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の溶解補助剤;酸化防止剤;防腐剤等が挙げられる。
添加剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。

【0079】
(投与方法)
GM1ガングリオシドーシスの予防剤又は治療剤、又はGM1ガングリオシドーシスの予防用又は治療用組成物の投与方法は特に限定されず、患者の症状、体重、年齢、性別等に応じて適宜決定すればよい。例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等は経口投与される。また、注射剤は、単独で、又はブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて、動脈内、筋肉内、皮内、皮下又は腹腔内投与される。坐剤は直腸内投与される。皮膚外用剤は、患部に塗布、貼付又はスプレーされる。

【0080】
(投与量)
GM1ガングリオシドーシスの予防剤又は治療剤、又はGM1ガングリオシドーシスの予防用又は治療用組成物の投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり、一概には決定できないが、経口投与の場合には、例えば1日あたり1μg~10g、例えば1日あたり0.01~2000mgの有効成分を投与すればよい。また、注射剤の場合には、例えば1日あたり0.1μg~1g、例えば1日あたり0.001~200mgの有効成分を投与すればよい。また、坐剤の場合には、例えば1日あたり1μg~10g、例えば1日あたり0.01~2000mgの有効成分を投与すればよい。また、皮膚外用剤の場合には、例えば1日あたり1μg~10g、例えば1日あたり0.01~2000mgの有効成分を投与すればよい。

【0081】
[その他の実施形態]
一実施形態において、本発明は、GM1ガングリオシドーシスの予防又は治療のための、Amodiaquine(アモジアキン)、Acacetin(アカセチン)、Sulfamerazine(スルファメラジン)、Ungerine(ウンゲリン)、Amiodarone(アミオダロン)、Sertindole(セルチンドール)、Delcorine(デルコリン)、Perphenazine(ペルフェナジン)、Althiazide(アルチアジド)、Diethylstilbestrol(ジエチルスチルベストロール)、Thiethylperazine(チエチルペラジン)、Harmol(ハルモール)、Skimmianine(スキムミアニン)、Succinylsulfathiazole(スクシニルサルファチアゾール)、Fillalbin(フィラルビン)、Canavanine(カナバニン)、Harmaline(ハルマリン)、Trihexyphenidyl(トリヘキシフェニジル)、Fluoxetine(フルオキセチン)、Lovastatin(ロバスタチン)、Haloperidol(ハロペリドール)、Prenylamine lactate(プレニルアミン乳酸)、Bromperidol(ブロムペリドール)、Convolamine(コンボルバミン)、Miglustat(ミグルスタット)、及び前記一般式(1)~(5)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物、その薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物を提供する。

【0082】
一実施形態において、本発明は、Amodiaquine(アモジアキン)、Acacetin(アカセチン)、Sulfamerazine(スルファメラジン)、Ungerine(ウンゲリン)、Amiodarone(アミオダロン)、Sertindole(セルチンドール)、Delcorine(デルコリン)、Perphenazine(ペルフェナジン)、Althiazide(アルチアジド)、Diethylstilbestrol(ジエチルスチルベストロール)、Thiethylperazine(チエチルペラジン)、Harmol(ハルモール)、Skimmianine(スキムミアニン)、Succinylsulfathiazole(スクシニルサルファチアゾール)、Fillalbin(フィラルビン)、Canavanine(カナバニン)、Harmaline(ハルマリン)、Trihexyphenidyl(トリヘキシフェニジル)、Fluoxetine(フルオキセチン)、Lovastatin(ロバスタチン)、Haloperidol(ハロペリドール)、Prenylamine lactate(プレニルアミン乳酸)、Bromperidol(ブロムペリドール)、Convolamine(コンボルバミン)、Miglustat(ミグルスタット)、及び前記一般式(1)~(5)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物、その薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を、予防又は治療を必要とする患者に投与することを含む、GM1ガングリオシドーシスの予防又は治療方法を提供する。

【0083】
一実施形態において、本発明は、GM1ガングリオシドーシスの予防剤又は治療剤、又はGM1ガングリオシドーシスの予防用又は治療用組成物を製造するためのAmodiaquine(アモジアキン)、Acacetin(アカセチン)、Sulfamerazine(スルファメラジン)、Ungerine(ウンゲリン)、Amiodarone(アミオダロン)、Sertindole(セルチンドール)、Delcorine(デルコリン)、Perphenazine(ペルフェナジン)、Althiazide(アルチアジド)、Diethylstilbestrol(ジエチルスチルベストロール)、Thiethylperazine(チエチルペラジン)、Harmol(ハルモール)、Skimmianine(スキムミアニン)、Succinylsulfathiazole(スクシニルサルファチアゾール)、Fillalbin(フィラルビン)、Canavanine(カナバニン)、Harmaline(ハルマリン)、Trihexyphenidyl(トリヘキシフェニジル)、Fluoxetine(フルオキセチン)、Lovastatin(ロバスタチン)、Haloperidol(ハロペリドール)、Prenylamine lactate(プレニルアミン乳酸)、Bromperidol(ブロムペリドール)、Convolamine(コンボルバミン)、Miglustat(ミグルスタット)、及び前記一般式(1)~(5)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物、その薬学的に許容される塩、又はそれらの溶媒和物の使用を提供する。
【実施例】
【0084】
以下、実験例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0085】
[実験例1]
[皮膚由来線維芽細胞の樹立]
倫理委員会に承認されたプロトコールにより、インフォームドコンセントの下、GM1ガングリオシドーシス患者及び健常者の皮膚生検の外植片から線維芽細胞を樹立した。
患者及び健常者からの皮膚試料を細かく刻み、10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したDMEM培地で培養した。線維芽細胞が出現したことを確認した後、初期化遺伝子を導入するために線維芽細胞を増殖させた。
【実施例】
【0086】
[iPS細胞の樹立及び維持]
N. Fusaki, H. Ban, A. Nishiyama, K. Saeki, M. Hasegawa, Proc. Jpn. Acad. Ser., B. Phys. Biol. Eci., 85, 348 (2009)に記載される方法により、樹立したヒト由来線維芽細胞からiPS細胞を樹立した。
具体的には、感染1日前に、6ウェルプレートにおいて、1ウェル当たり5×10個のヒト線維芽細胞を播種し、その後、Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、K1f4遺伝子、及びc-Myc遺伝子を含むセンダイウイルス(SeV)ベクターを、MOI(multiplicity of infection)3にて、細胞に感染させた。Oct3/4遺伝子、Sox2遺伝子、K1f4遺伝子、及びc-Myc遺伝子を含むSeVベクターについては、N. Fusaki, H. Ban, A. Nishiyama, K. Saeki, M. Hasegawa, Proc. Jpn. Acad. Ser., B. Phys. Biol. Eci., 85, 348 (2009)に記載される方法に従い作製した。感染7日後、感染させた線維芽細胞を、トリプシンを用いて回収し、60mmのシャーレ当たり5.4×10個の細胞、又は100mmのシャーレ当たり1~2×10個の細胞をMMC処理したMEFフィーダー細胞上に播種した。翌日、ヒトiPS細胞培地に置き換え、感染30日後まで培養を継続し、コロニーを回収した。
【実施例】
【0087】
20%のKNOCKOUT(商標)血清置換物(KSR,インビトロゲン)、2mMのL-グルタミン、1×10-4Mの非必須アミノ酸(NEAA,シグマ)、1×10-4Mの2-メルカプトエタノール(シグマ)、0.5%のペニシリンとストレプトマイシン(日本,ナカライテスク)、及び5ng/mLの基本線維芽細胞増殖因子(bFGF,和光,日本)を添加したDMEM/F12(シグマ)を含有するヒトiPS培地を用いて、マイトマイシンC(MMC)処理したMEFフィーダー細胞上で、ヒトiPS細胞を維持した。
【実施例】
【0088】
[神経幹細胞(Neural Stem Cell:NSC)への分化]
分化誘導開始の前日に、Geltrex(Thermo Fisher Scientific)をコーティングした6穴プレートに、ヒトiPS細胞を2.5×10~3×10個/ウェルの密度で播種し、ヒトiPS培地で培養した。翌日(誘導開始日:Day 0)、ヒトiPS培地を除去して、PSC Neural Induction Medium(Thermo Fisher Scientific)に入れ替えた。引き続き、2日に1回の頻度で、PSC Neural Induction Mediumにて培地交換を行いながら、培養開始後7日目(Day 7)まで培養を行い、NSCを誘導した。誘導されたNSCは、培地を除き、StemPro Accutase Cell Dissociation Reagent(Thermo Fisher Scientific)を用いて細胞をはがし、Neural Expansion Medium(Thermo Fisher Scientific)に細胞を懸濁後、Geltrexにてコーティングした100mm細胞培養用シャーレへ播種した。この時点の細胞をP0NSC(継代数ゼロのNSC)とし、以後、適宜この培地にてNSCを増やし、実験に使用した。
【実施例】
【0089】
[実験例2]
<FITC-CTBを用いたGM1蓄積の可視化>
健常者およびGM1ガングリオシドーシス患者由来iPS細胞から誘導した神経幹細胞を、4%パラホルムアルデヒドにて固定後、0.1% TritonX-100/PBSにて透過処理し、1% BSA溶液にてブロッキングを行った。その後、FITC-CTB(GM1ガングリオシドを特異的に染色する試薬)と抗Nestin抗体(神経幹細胞に特異的に発現している分子:神経幹細胞のマーカー)を用いて、多重染色を行った。図1に結果を示す。
Nestin染色においては、健常者、GM患者、いずれのNSCにおいても強い染色が認められ、神経幹細胞への分化が確認された(図1,下段)。一方、FITC-CTBにおいては,健常者ではほとんど染色が認められなかったが、GM1患者においては,強い染色が認められた(図1,上段)。
これらの結果から、GM1患者由来神経幹細胞では、GM1が蓄積していることが確認された。
【実施例】
【0090】
[実験例3]
<イメージングサイトメーターを用いた薬剤スクリーニングによる化合物の評価>
以下の要領で、GM1ガングリオシドーシス治療剤のスクリーニングを行った。
96ウェルプレートをGeltrexにてコーティング後、Neural Expansion Mediumに懸濁した、健常者およびGM1ガングリオシドーシス患者由来iPS細胞から誘導した神経幹細胞を、5×10/ウェルの密度で播種した。その後、既知薬剤ライブラリーの化合物を、各々のウェルに最終濃度5μMになるように添加し、72時間培養を行った。その後、4%パラホルムアルデヒドにて固定、0.1%TritonX-100/PBSにて透過処理、1% BSA溶液にてブロッキングを行い、FITC-CTB(GM1ガングリオシドを特異的に染色する試薬)、Hoechst 33342(細胞の核を染色する試薬)、CellMask(細胞膜を染色する試薬)を使い、蛍光染色した。
各ウェルの蛍光強度を、イメージングサイトメーター(IN Cell Analyzer 6000)を用いて画像を取得し、IN Cell Developer Toolbox プロトコールを用いて、細胞当たりのGM1ガングリオシド量を算出した。
表1に検討を行った化合物の結果を示す。
【実施例】
【0091】
【表1】
JP2019131989A1_000021t.gif
【実施例】
【0092】
検討を行った化合物のうち、GM1抑制化合物としてヒットしたいくつかの化合物における薬剤処理後の神経幹細胞の染色像を、図2、図3に示す。
ヒットした化合物においては,薬剤を添加していない例(図2b・下段,図3e・下段)と比較して、CTBの蛍光が低下しており、GM1の蓄積が抑制されていることが確認された(図2cならびにd,図3fからg、いずれも下段)。
【実施例】
【0093】
[実験例4]
<GM1抑制化合物投与後のGM1ガングリオシドーシスモデルマウスの脳における、GM1ガングリオシド量の変化>
GM1ガングリオシドーシスモデルマウス(BKOマウス:β-Galactosidaseの完全欠損マウス, β-Gal(-/-)へ、出生後P9からP15の6日間、Amodiaquine (40mg/kg)、Thiethylperanzine (6mg/kg)を、1日2回、腹腔内に投与した。なお、陽性対象として、薬液にPBSを用い、同様の操作を行った。また、陰性対象として、薬液にPBS、マウスとしてβ-Gal(+/-)のものを用いて、同様の操作を行った。その後、マウス脳をOCTコンパウンドにて包埋し、5μmの厚さで切片を作製した。切片は4%パラホルムアルデヒドにて固定後、1% BSA溶液にてブロッキングを行い、Alexa Fluor488-CTB、Hoechst 33342にて蛍光染色を行った。また、マウス脳を、Svennerholm and Fredmanの抽出法に基づいてスフィンゴ脂質を分画・精製し、試料とし、これらの試料をAgilent6460 Triple Quadrupole LC/MSにて解析し、脳内GM1を定量した。蛍光染色の結果を図4に示す。
【実施例】
【0094】
陰性対象では、CTBの蛍光がほとんど見られなかった(図4a・上段)。一方、陽性対象では、CTBの蛍光が強く、GM1の蓄積が確認された(図4b・上段)。一方で、GM1抑制化合物による処理を行ったいずれにおいても、CTBの蛍光は強く抑制されており、GM1の蓄積が抑制されていることが確認された(図4c,d,いずれも上段)。GM1の定量結果を図5に示す。
【実施例】
【0095】
陰性対象と比較して、陽性対象では、GM1ガングリオシド量の増加が確認された。一方,薬液処理したいずれにおいても、陽性対象と比べて、GM1ガングリオシド量が低下していることが確認された。
【実施例】
【0096】
[実験例5]
<GM1抑制化合物添加によるオートファジーへの影響>
ガングリオシドの合成及び分解過程を図6に示す。GM1、GM2、GM3の各ガングリオシドは、単糖及びN-アセチルノイラミン酸の連続的付加により生成される。また、ガングリオシドの分解は、ライソゾーム中のグリコシダーゼが段階的に作用することにより行われる。図6における(1)~(7)は、各反応において作用する酵素を示している。
図7は、NEU1 及びβ-GLUの発現が候補化合物による処理により増加することを示している。正常(201B7)及び疾患由来 (A138 #1-3)のiPS細胞から分化して得られた神経幹細胞をウェルに播種し、 Amodiaquine又はThiethylperanzineを5μMになるようにそれぞれ添加し、72時間培養を行った。培養後、RNAを単離し、各酵素遺伝子の発現量の解析を行った。図7中、-は、無添加サンプルを示し、amoは、Amodiaquine添加サンプルを示し、thieは、Thiethylperanzine添加サンプルを示す。
本結果により、GM1抑制化合物の作用により、ライソゾーム中におけるガングリオシドの分解を促進し、オートファジーを活性化させることが示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明により、新たなGM1ガングリオシドーシス予防剤又は治療剤を提供することができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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