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明細書 :電力変換装置及び電源装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年12月10日(2020.12.10)
発明の名称または考案の名称 電力変換装置及び電源装置
国際特許分類 H02M   3/07        (2006.01)
FI H02M 3/07
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 27
出願番号 特願2019-560983 (P2019-560983)
国際出願番号 PCT/JP2018/045295
国際公開番号 WO2019/124141
国際出願日 平成30年12月10日(2018.12.10)
国際公開日 令和元年6月27日(2019.6.27)
優先権出願番号 2017246692
優先日 平成29年12月22日(2017.12.22)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】丹沢 徹
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100170818、【弁理士】、【氏名又は名称】小松 秀輝
審査請求 未請求
テーマコード 5H730
Fターム 5H730AA14
5H730AA15
5H730AS04
5H730BB02
5H730BB82
5H730BB88
5H730CC01
5H730FD01
5H730FD11
5H730FF01
要約 電力変換回路7Aは、電圧(VH-VL)に対してパルス波が重畳された電圧CLKを生成する周波数変調部12Aと、周波数変調部12Aから電圧CLKを受け、チャージポンプ動作によって電圧CLKよりも高い電圧Voutを生成する昇圧部13Aと、を備える。昇圧部13Aは、電圧CLKによって充電されるキャパシタC2、C3を有すると共に、キャパシタC2、C3に電荷を蓄積する第1動作と、電荷に基づく電圧と電圧CLKとを重畳して出力する第2動作と、を電圧CLKに含まれたパルス波に基づいて切り替える。
特許請求の範囲 【請求項1】
第1周波数を有する第1電圧を受け、前記第1電圧に対して前記第1周波数よりも高い第2周波数を有するパルス波が重畳された第2電圧を生成する周波数変調部と、
前記周波数変調部から前記第2電圧を受け、チャージポンプ動作によって前記第2電圧よりも高い出力電圧を生成する昇圧部と、を備え、
前記昇圧部は、前記第2電圧によって充電されるキャパシタを有すると共に、前記キャパシタに電荷を蓄積する第1動作と、前記電荷に基づく電圧と前記第2電圧とを重畳して出力する第2動作と、を前記第2電圧に含まれた前記パルス波に基づいて切り替える、電力変換装置。
【請求項2】
電力源から前記第1周波数を有する入力電圧を受け、前記入力電圧を整流して前記第1電圧を生成し、前記第1電圧を前記周波数変調部に提供する整流部をさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電力源から前記入力電圧を受け、前記入力電圧の絶対値と入力閾値との大小関係に基づく入力制御信号を生成し、前記入力制御信号を前記整流部に提供する入力電圧検出部をさらに備え、
前記整流部は、前記入力制御信号に基づいて前記入力電圧を整流して前記第1電圧を生成する、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記電力源から前記入力電圧を受け、前記入力電圧検出部を駆動するための駆動電圧を生成し、前記入力電圧検出部に前記駆動電圧を提供する内部電圧生成部をさらに備える、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記入力電圧検出部から前記入力制御信号を受け、前記入力制御信号に基づいて前記周波数変調部における前記パルス波を生じさせる発振動作の開始及び停止を制御する発振制御信号を生成し、前記発振制御信号を前記周波数変調部に提供する発振制御部をさらに備える、請求項3又は4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記昇圧部から前記出力電圧を受け、前記出力電圧の絶対値と出力閾値との大小関係に基づく出力制御信号を生成し、前記出力制御信号を前記発振制御部に提供する出力電圧検出部をさらに備え、
前記発振制御部は、前記入力制御信号及び前記出力制御信号に基づいて、前記発振制御信号を生成し、
前記周波数変調部は、前記発振制御信号に基づいて前記発振動作の開始及び停止を制御する、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記昇圧部から前記出力電圧を受け、前記出力電圧の最大値を規定するリミッタ部をさらに備える、請求項1~5の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記整流部としての第1整流部、前記周波数変調部としての第1周波数変調部及び前記昇圧部としての第1昇圧部は、前記出力電圧としての第1出力電圧を生成する第1電力変換部を構成し、
前記第1整流部とは別の第2整流部と、前記第1周波数変調部とは別の第2周波数変調部と、前記第1昇圧部とは別の第2昇圧部と、を含み前記第1電力変換部に対して並列に接続された第2電力変換部をさらに備え、
前記第2整流部は、前記入力電圧を受け、前記入力電圧が整流された第3電圧を生成する動作を、前記入力電圧に基づいて開始し、
前記第2周波数変調部は、前記第3電圧を受け、前記3電圧に対して前記第3電圧が有する第3周波数よりも高い第4周波数を有するパルス波が重畳された第4電圧を生成する動作を、前記第3電圧に基づいて開始し、
前記第2昇圧部は、前記第2周波数変調部から前記第4電圧を受け、チャージポンプ動作によって前記第4電圧よりも高い第2出力電圧を生成する、請求項2~6の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
第1周波数を有する入力電圧の電力を発生する電力源と、
前記電力源に接続されて、前記入力電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する請求項1~8の何れか一項に記載の電力変換装置と、を備える、電源装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置及び電源装置を説明する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、高電圧発生回路を有する半導体集積回路装置を開示する。この回路装置は、高電圧発生回路としてチャージポンプ方式を採用する。そして、回路装置は、発振器とチャージポンプとを有する。
【0003】
非特許文献1は、AC-DC変換回路を開示する。この変換回路は、入力電圧を直流電圧に変換する。また、変換回路は、直流電圧を所定の電圧まで昇圧する。変換回路は、例えば、数百メガヘルツ以上数ギガヘルツ以下の周波数を有する入力電圧を受ける。このような周波帯は、例えばRFID(Radio Frequency IDentifier)に適用される。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開第2004/030191号
【0005】

【非特許文献1】Toru TANZAWA, "An Analytical Model of AC-DC Charge Pump Voltage Multipliers",(交流-直流チャージポンプ昇圧回路の解析モデル), IEICE Transactions on Electronics, 日本, 電子情報通信学会、2016年、vol. E99-C, No.1, pp.108-118。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電力変換装置として、スイッチング・コンバータ回路を利用するものと、昇圧回路を利用するものと、が挙げられる。スイッチング・コンバータ回路は、インダクタを用いる。しかし、当該インダクタを集積回路に適当な大きさで実装することは困難である。その一方、昇圧回路は集積回路に適当な大きさで実装することが可能である。
【0007】
非特許文献1に開示された回路のように、高周波の交流電圧の電力が昇圧回路に入力された場合、電力の変換効率は、良好である。しかし、低周波の交流電圧の電力が昇圧回路に入力された場合には、昇圧回路の動作原理に起因して、電力変換効率が低下してしまう。
【0008】
そこで、本開示は、電力変換効率を向上させ得る電力変換装置及び電源装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一形態に係る電力変換装置は、第1周波数を有する第1電圧を受け、第1電圧に対して第1周波数よりも高い第2周波数を有するパルス波が重畳された第2電圧を生成する周波数変調部と、周波数変調部から第2電圧を受け、チャージポンプ動作によって第2電圧よりも高い出力電圧を生成する昇圧部と、を備え、昇圧部は、第2電圧によって充電されるキャパシタを有すると共に、キャパシタに電荷を蓄積する第1動作と、電荷に基づく電圧と第2電圧とを重畳して出力する第2動作と、を第2電圧に含まれたパルス波に基づいて切り替える。
【0010】
昇圧部は、第1電圧によってキャパシタを充電して電荷をキャパシタに蓄積する第1動作と、蓄積された電荷に基づく電圧と第1電圧とを重畳させて出力する第2動作と、を含む。ここで、昇圧部から出力される出力電力は、出力電圧と出力電流とにより規定される。まず、出力電圧の最大値は、第1電圧のピーク電圧値と互いに直列に接続されたキャパシタの数により決定される。次に、出力電流の大きさは、充電動作と出力動作との繰り返し数に比例する。つまり、充電動作及び出力動作を繰り返す数が多くなるほど、多くの電荷の転送が行われる。その結果、出力電流が増大する。この電力変換装置は、周波数変調部において第1周波数を有する第1電圧に対して、第1周波数よりも高い第2周波数を有するパルス波を重畳することによって、第2電圧を生成する。そして、昇圧部は、当該パルス波に基づいて、充電動作と出力動作とを切り替える。従って、第1電圧を直接に昇圧部に入力する構成よりも、充電動作及び出力動作の繰り返し数が多い。つまり、多くの電荷の転送が行われる。その結果、パルス波の周波数に応じて昇圧部から出力される出力電流は、大きくなる。従って、昇圧部から出力される平均的な出力電力が大きくなる。その結果、電力変換装置は、電力変換効率を高めることができる。
【0011】
上記の電力変換装置は、電力源から第1周波数を有する入力電圧を受け、入力電圧を整流して第1電圧を生成し、第1電圧を周波数変調部に提供する整流部をさらに備えてもよい。この構成によれば、昇圧部における電荷の転送の回数が増える。その結果、出力電流がさらに大きくなる。従って、電力変換装置は、電力変換効率をさらに高めることができる。
【0012】
上記の電力変換装置は、電力源から入力電圧を受け、入力電圧の絶対値と入力閾値との大小関係に基づく入力制御信号を生成し、入力制御信号を整流部に提供する入力電圧検出部をさらに備えてもよい。整流部は、入力制御信号に基づいて入力電圧を整流して第1電圧を生成してもよい。この構成によれば、入力電圧を確実に整流することができる。
【0013】
上記の電力変換装置は、電力源から入力電圧を受け、入力電圧検出部を駆動するための駆動電圧を生成し、入力電圧検出部に駆動電圧を提供する内部電圧生成部をさらに備えてもよい。この構成によれば、入力電圧検出部の駆動に要する駆動電圧は、入力電圧から生成される。つまり、電力変換装置は、入力電圧検出部を駆動させるための電圧を供給するバッテリを備える必要がない。さらに、電力変換装置は、バッテリを交換する必要もない。従って、電力変換装置は、維持管理が容易である。
【0014】
上記の電力変換装置は、入力電圧検出部から入力制御信号を受け、入力制御信号に基づいて周波数変調部におけるパルス波を生じさせる発振動作の開始及び停止を制御する発振制御信号を生成し、発振制御信号を周波数変調部に提供する発振制御部をさらに備えてもよい。この構成によれば、入力電圧の絶対値に基づいて発振動作の開始及び停止を制御することが可能になる。その結果、入力電圧の絶対値が閾値より小さい場合には、発振動作を停止することができる。従って、電力変換に提供する入力電圧の大きさは、閾値以上に限定される。その結果、電力変換装置は、所望の大きさの出力電圧を出力することができる。
【0015】
上記の電力変換装置は、昇圧部から出力電圧を受け、出力電圧の絶対値と出力閾値との大小関係に基づく出力制御信号を生成し、出力制御信号を発振制御部に提供する出力電圧検出部をさらに備え、発振制御部は、入力制御信号及び出力制御信号に基づいて、発振制御信号を生成し、周波数変調部は、発振制御信号に基づいて発振動作の開始及び停止を制御してもよい。この構成によれば、出力電圧が閾値よりも大きくなった場合に、発振動作を停止させることが可能になる。従って、電力変換装置は、出力電圧の大きさに制限を設けることができる。
【0016】
上記の電力変換装置は、昇圧部から出力電圧を受け、出力電圧の最大値を規定するリミッタ部をさらに備えてもよい。この構成によれば、電力変換装置から出力される電圧に上限を設けることができる。
【0017】
上記の電力変換装置は、整流部としての第1整流部、周波数変調部としての第1周波数変調部及び昇圧部としての第1昇圧部は、出力電圧としての第1出力電圧を生成する第1電力変換部を構成し、第1整流部とは別の第2整流部と、第1周波数変調部とは別の第2周波数変調部と、第1昇圧部とは別の第2昇圧部と、を含み第1電力変換部に対して並列に接続された第2電力変換部をさらに備え、第2整流部は、入力電圧を受け、入力電圧が整流された第3電圧を生成する動作を、入力電圧に基づいて開始し、第2周波数変調部は、第3電圧を受け、3電圧に対して第3電圧が有する第3周波数よりも高い第4周波数を有するパルス波が重畳された第4電圧を生成する動作を、第3電圧に基づいて開始し、第2昇圧部は、第2周波数変調部から第4電圧を受け、チャージポンプ動作によって第4電圧よりも高い第2出力電圧を生成してもよい。この構成によれば、電力変換装置の起動時における動作の安定性を高めることができる。
【0018】
本開示の別の形態に係る電源装置は、第1周波数を有する入力電圧の電力を発生する電力源と、電力源に接続されて、入力電圧の電力を、直流電圧の電力に変換する上記の電力変換装置と、を備える。この電源装置は、上記の電力変換回路を有する。従って、良好な電力変換効率が得られる。その結果、電源装置は、所望の電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の電力変換装置及び電源装置によれば、変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1実施形態に係る電源装置を備えたセンサ装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3の(a)部は整流部における回路構成の例示である。図3の(b)部は周波数変調部における回路構成の例示である。図3の(c)部は昇圧部における回路構成の例示である。
【図4】図4の(a)部は入力電圧検出部における回路構成の例示である。図4の(b)部は出力電圧検出部における回路構成の例示である。
【図5】図5の(a)部は発振制御部における回路構成の例示である。図5の(b)部は内部電圧生成部における回路構成の例示である。
【図6】図6の(a)部は入力電圧の例示である。図6の(b)部は周波数変調部に入力される制御信号の例示である。図6の(c)部は整流部から出力される電圧の例示である。図6の(d)部はクロック電圧の例示である。図6の(e)部は昇圧部から出力される電流の例示である。
【図7】図7の(a)部は比較例に係る電源装置におけるエネルギ収支を概念的に示す図である。図7の(b)部は実施形態に係る電源装置におけるエネルギ収支を概念的に示す図である。
【図8】図8は、計算機による実験結果を示すグラフである。
【図9】図9は、第2実施形態に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図10の(a)部は、第2実施形態に係る電源装置が備える周波数変調部の回路構成の例示である。図10の(b)部は第2実施形態に係る電源装置が備えるリミッタの回路構成の例示である。図10の(c)部はリミッタの特性を示すグラフである。
【図11】図11は第3実施形態に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【図12】図12の(a)部は、第3実施形態に係る電源装置が備える整流部の回路構成の例示である。図12の(b)部及び図12の(c)部は整流部の動作を説明するための回路図である。
【図13】図13は第4実施形態に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【図14】図14は変形例1に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【図15】図15の(a)部は変形例1に係る電源装置が備える周波数変調部の回路構成の例示である。図15の(b)部は変形例1に係る電源装置が備える昇圧部の回路構成の例示である。
【図16】図16は変形例2に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【図17】図17は変形例3に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【図18】図18は変形例4に係る電源装置が備える昇圧部の回路構成の例示である。
【図19】図19は比較例に係る電源装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本開示の電力変換装置及び電源装置を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

【0022】
<第1実施形態>
農業、工業、商業のさらなる効率化、高齢化及び人口減少などの社会の変動に対応するために、IoT(Internet of Things)に注目が集まっている。IoTは、あらゆる装置にセンサと情報通信回路とを搭載し自律的に情報収集を行う技術である。IoTは、室内及び室外を問わず、温度、圧力、振動、化学物質、交通量などの環境変数である測定データを自律的にセンサで取得する。そして、IoTは、それらの測定データをインターネットを介してクラウドサーバに転送する。転送されたデータは、ビッグデータとして解析がなされる。解析の結果、異常が検出された場合、或いは、対応が必要な状態となった場合に、監視対象である装置にフィードバックを返す。このように、IoTでは、装置同士が基本的には人間を介さずに情報収集と、情報伝達と、フィードバックと、を行う。測定端末は、環境変数を測定し、情報をインターネットに送信する。IoT用の集積回路システムは、この端末における重要な要素である。測定端末は、電力が供給されない場所でも自律的にIoT端末としての機能を発揮する。従って、環境エネルギを集積回路システムの電力として利用する、いわゆるエネルギハーベスティング技術が検討されている。特に、エネルギハーベスティング技術では、太陽光、熱、振動、電波などから電力を取り出す個別の回路システムの研究が盛んである。

【0023】
図1に示されるように、電源装置1Aは、センサ装置2に用いられる。センサ装置2は、IoTを構成する端末装置である。

【0024】
センサ装置2は、アンテナ3を介してインターネット100と接続されている。センサ装置2は、インターネット100を介してクラウドサーバ101といった別のシステムへ収集したデータを送信する。また、センサ装置2は、インターネット100を介して計測用プログラムといった種々のデータを受信する。

【0025】
センサ装置2は、電源装置1Aと、測定装置4と、を有する。測定装置4は、対象物102の温度、湿度或いは振動周波数といった種々のデータを収集する。測定装置4は、当該データを送信する。また、測定装置4は、外部からデータを受信する。例えば、測定装置4は、センサ4aと、デジタル回路4bと、メモリ回路4cと、通信回路4dと、を有する。

【0026】
電源装置1Aは、測定装置4を駆動するための電力を供給する。つまり、電源装置1Aは、測定装置4を構成するセンサ4a、デジタル回路4b、メモリ回路4c及び通信回路4dの動作に要する電力を供給する。ここで、電源装置1Aは、外部から供給されるエネルギ(例えば振動エネルギ)を変換して電力を得る。つまり、電源装置1Aは、いわゆるバッテリといった予め電力を蓄えた装置から電力の提供を必要としない。従って、対象物102から振動エネルギを受けるとき、電源装置1Aは、測定装置4への電力供給を継続する。エネルギ源とする振動は、正弦波振動でもよいし、ランダム振動でもよい。つまり、エネルギ源とする振動の種別は問われない。従って、センサ装置2は、対象物102に設置した後、対象物102の振動エネルギを利用して駆動し続ける。すなわち、センサ装置2は、バッテリ交換を行う必要がない。なお、対象物102は、対象物102aと、対象物102aから独立した対象物102bと、を備えている。対象物102aは振動発電素子6にエネルギを供給してもよい。対象物102bは、センサ4aから計測されてもよい。

【0027】
電源装置1Aは、振動発電素子6(電力源)と、電力変換回路7A(電力変換装置)と、を有する。振動発電素子6は、対象物102の振動エネルギを電力に変換する。この電力は、交流である。そして、電力変換回路7Aは、交流電流を測定装置4の駆動に利用可能な直流電流に変換する。

【0028】
振動発電素子6は、対象物102の振動を受け入れて、交流電力を発生させる。例えば、振動発電素子6は、圧電現象を利用する。振動発電素子6は、片持ち梁といった振動子を有する。当該振動子の共振周波数は、対象物102の振動周波数に調整されている。そして、振動発電素子6は、振動子が実際に振動する周波数に応じた交流電力を発生する。従って、振動発電素子6から出力される交流電力は、振動している振動子の周波数に応じる。また、振動発電素子6から出力される交流電力の周波数は、対象物102の振動周波数に対応する。例えば、交流電力の周波数は、数百ヘルツ以上数メガヘルツ以下である。

【0029】
電力変換回路7Aは、振動発電素子6に対して電気的に接続される。また、電力変換回路7Aは、測定装置4に対して電気的に接続される。電力変換回路7Aは、上述したように、振動発電素子6から出力される交流電力を、測定装置4の仕様に応じた直流電力に変換する。つまり、電力変換回路7Aは、直流電圧を出力する。

【0030】
以下、電力変換回路7Aについて詳細に説明する。

【0031】
電力変換回路7Aは、機能的には、入力電圧検出部11と、周波数変調部12Aと、昇圧部13Aと、を有する。入力電圧検出部11は、入力電圧の大きさを検出する。周波数変調部12Aは、交流電流の周波数を低い値から高い値へ変換する。昇圧部13Aは、集積回路である測定装置4に直流電力を提供する。電力変換回路7Aは、入力交流電力を周波数変調して得られた信号を用いて、昇圧回路を駆動する。この構成によれば、振動発電素子が出力する交流電力の一周期において、複数回の電荷転送が行われる。従って、平均出力電力が増加する。さらに、無効電力が低減する。

【0032】
図2に示されるように、電力変換回路7Aは、入力7a、7bと、出力7cと、を有する。入力7aは、振動発電素子6に接続されている。入力7aは、電圧Vdd(入力電圧、図6の(a)部参照)を受ける。入力7bは、振動発電素子6に接続されている。入力7bは、電圧Vssを受ける。出力7cは、測定装置4に接続されている。出力7cは、電圧Vout(第1出力電圧)を提供する。

【0033】
電力変換回路7Aは、電力変換部14Aと、制御部16Aと、を有する。電力変換部14Aは、振動発電素子6から交流電力を受け入れる。電力変換部14Aは、交流電力を直流電力に変換する。電力変換部14Aは、測定装置4へ直流電力を出力する。制御部16Aは、電力変換部14Aが受け入れる交流電力と、電力変換部14Aが出力する直流電力と、を利用して、電力変換部14Aの動作を制御する。

【0034】
電力変換部14Aは、入力14a、14bと、出力14cと、を有する。入力14aは、電力変換回路7Aの入力7aに接続されている。入力14aは、電圧Vddを受ける。入力14bは、電力変換回路7Aの入力7bに接続されている。入力14bは、電圧Vssを受ける。出力14cは、電力変換回路7Aの出力7cに接続されている。出力14cは、電圧Voutを提供する。

【0035】
電力変換部14Aは、入力14d、14eを有する。入力14d、14eは、制御部16Aが発生する入力制御信号φ1、入力制御信号φ2及び発振制御信号ENを受ける。詳細は後述するが、入力14dは、入力制御信号φ1及び入力制御信号φ2を受ける。入力14eは、発振制御信号ENを受ける。

【0036】
電力変換部14Aは、整流部17A(第1整流部)と、周波数変調部12A(第1周波数変調部)と、昇圧部13A(第1昇圧部)と、を有する。整流部17Aは、電圧Vddを整流する。周波数変調部12Aは、整流部17Aから出力された電圧VH、VLに基づいて、クロック信号が重畳された電圧CLKを生成する。昇圧部13Aは、クロック信号が重畳された電圧CLKを昇圧する。

【0037】
整流部17Aは、入力17a、17b、17cと、出力17d、17eと、を有する。入力17aは、電力変換部14Aの入力14aに接続される。入力17aは、電圧Vddを受ける。入力17bは、電力変換部14Aの入力14bに接続される。入力17bは、電圧Vssを受ける。入力17cは、電力変換部14Aの入力14dに接続される。入力17cは、入力制御信号φ1、φ2を受ける。出力17dは、周波数変調部12Aに接続される。出力17dは、電圧VHを出力する。出力17eは、周波数変調部12Aに接続される。出力17eは、電圧VLを出力する。

【0038】
図3の(a)部は、整流部17Aの回路構成を示す。整流部17Aは、スイッチS1、S2、S3、S4と、キャパシタC1と、を有する。スイッチS1、S2、S3、S4は、例えば、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。入力17aは、スイッチS1、S2にそれぞれ接続される。入力17bは、スイッチS3、S4にそれぞれ接続される。スイッチS1は、スイッチS3に直列に接続される。スイッチS2は、スイッチS4に直列に接続される。そして、キャパシタC1の一端は、スイッチS1、S3の間に接続される。キャパシタC1の他端はスイッチS2、S4との間に接続される。

【0039】
例えば、電圧Vddが正であるとき、入力制御信号φ1はON(1)である。また、入力制御信号φ2はOFF(0)である。この場合、整流部17Aは、出力17dに入力17aを接続する。整流部17Aは、出力17eに入力17bを接続する。図6の(c)部に示されるように、出力17dには電圧Vddが提供される(Vdd=VH)。出力17eには電圧Vssが提供される(Vss=VL)。

【0040】
逆に、電圧Vddが負であるとき、入力制御信号φ1はOFF(0)である。入力制御信号φ2はON(1)である。この場合、整流部17Aは、出力17dに入力17bを接続する。整流部17Aは、出力17eに入力17aを接続する。図6の(c)部に示されるように、出力17dには電圧Vssが提供される(Vss=VH)。出力17eには電圧Vddが提供される(Vdd=VL)。

【0041】
図2に示されるように、周波数変調部12Aは、入力12a、12b、12cと、出力12dと、を有する。入力12aは、整流部17Aの出力17dに接続される。入力12aは、電圧VHを受ける。入力12bは、整流部17Aの出力17eに接続される。入力12bは、電圧VLを受ける。入力12cは、電力変換部14Aの入力14eに接続される。入力12cは、発振制御信号ENを受ける。出力12dは、昇圧部13Aに接続される。出力12dは、電圧CLKを出力する。電圧CLKは、クロック波形が重畳された波形を有する(図6の(d)部参照)。クロック波形は、電圧VHを包絡線として、ON-OFFを繰り返す。

【0042】
図3の(b)部は、周波数変調部12Aの回路構成を示す。つまり、周波数変調部12Aは、いわゆるリングオシレータと呼ばれる回路構成を有する。周波数変調部12Aは、1個のNAND回路G1と、偶数個のインバータ回路G2、G3と、を有する。インバータ回路G2は、インバータ回路G3に直列に接続される。NAND回路G1は、初段のインバータ回路G2に接続される。NAND回路G1は、発振制御信号ENに基づいて、発振動作の開始と発振動作の停止とを制御する。例えば、発振制御信号ENがON(1)であるとき、周波数変調部12Aは、発振動作を開始する。逆に、発振制御信号ENがOFF(0)であるとき、周波数変調部12Aは、発振動作を停止する。インバータ回路G2、G3の数は、所望のクロック周波数(第2周波数)に基づいて決定される。クロック周波数は、例えば、数メガヘルツ以上であってもよい。クロック周波数は、数ギガヘルツより大きくてもよい。換言すると、クロック周波数は、振動発電素子6が出力する電圧Vddの周波数より大きければよい。それぞれのインバータ回路G2、G3には、駆動電圧として、入力12aが受けた電圧VHと、入力12bが受けた電圧VLとが入力される。

【0043】
ここで、本実施形態でいう第1電圧とは、周波数変調部12Aが受け入れる電圧をいう。また、第1電圧とは、電圧CLKの生成に用いられる電圧である。例えば、図3の(b)部に示される周波数変調部12Aは、電圧VH、VLを受け入れる。周波数変調部12Aは、インバータ回路G2、G3に電圧VH、VLを入力する。そして、電圧VH、VLは、インバータ回路G2、G3の駆動電圧である。当該駆動電圧にはクロック電圧が重畳される。従って、本実施形態においては、第1電圧とは、電圧(VH-VL)である。

【0044】
なお、第1電圧の態様は、電圧(VH-VL)に限定されない。第1電圧の態様は、インバータ回路G2、G3に入力される電圧によって種々の態様を取り得る。例えば、入力12aに電圧VHが入力されると共に、入力12bに電圧Vss(GND)が入力されてもよい。この場合には、第1電圧は、電圧VHである。また、入力12aに電圧VLが入力されると共に、入力12bに電圧Vss(GND)が入力されてもよい。この場合には、第1電圧は、電圧VLである。さらに、電力変換部14Aが整流部17Aを備えない場合には、入力12aに電圧Vddが入力されると共に、入力12bに電圧Vssが入力されてもよい。この場合には、第1電圧は、電圧(Vdd-Vss)である。

【0045】
本実施形態でいう第1周波数及び第3周波数は、振動発電素子6から出力される電圧Vddの周波数と定義してもよい。また、上述したように電圧Vddの周波数は、振動している振動子の周波数であり、振動子の周波数は、対象物102が発生させる振動の周波数である。従って、第1周波数は、対象物102から提供される振動の周波数としてもよい。例えば、機械的な振動の周波数は、概ね数ヘルツ以上数キロヘルツ以下である。その結果、第1周波数の範囲も概ね数ヘルツ以上数キロヘルツ以下である。

【0046】
本実施形態でいう第2周波数及び第4周波数は、リングオシレータ回路が発生させるクロック信号の周波数である。この第2周波数は、第1周波数よりも大きければよい。例えば、第1周波数の範囲が概ね数ヘルツ以上数キロヘルツ以下である場合には、第2周波数は、数メガヘルツより大きくてもよい。また、第2周波数は、数ギガヘルツよりも大きくてもよい。

【0047】
図2に示されるように、昇圧部13Aは、入力13aと、出力13bと、を有する。入力13aは、周波数変調部12Aの出力12dに接続される。入力13aは、電圧CLKを受ける。出力13bは、測定装置4に接続される。出力13bは、電圧Voutを出力する。

【0048】
図3の(c)部は、昇圧部13Aの回路構成を示す。昇圧部13Aは、複数のダイオードD1、D2、D3と、複数のキャパシタC2、C3、C4と、を有する。昇圧部13Aは、キャパシタC2、C3に電荷をチャージする動作と、チャージされた電荷に起因する電圧を入力される電圧CLKに対して重畳する動作と、重畳された電圧CLKを出力する動作と、を繰り返す。この繰り返しは、電圧CLKが含むクロック周波数に基づいて制御される。つまり、電圧CLKの周波数が高いほど、チャージする動作と、重畳する動作と、出力する動作と、が多く繰り返される。その結果、多くの電荷が転送される。換言すると、昇圧部13Aは、クロック周波数に比例した電力を発生する。具体的には、電荷の転送回数に応じて、電流値が増加する。その結果、電力が増加する。そして、ダイオードD3から出力される電圧(第2電圧、図6の(d)部参照)は、キャパシタC4によって安定化される。その結果、実質的な直流電圧として電圧Voutが出力される。

【0049】
ここで、本実施形態でいう第2電圧は、上記のようにダイオードD3から出力された電圧である。そして、第2電圧は、実質的に交流の電圧であってもよい。また、第2電圧は、キャパシタC4によって安定化された電圧である。第2電圧は、実質的に直流の電圧であってもよい。

【0050】
上述したとおり、整流部17AにおけるスイッチS1、S2、S3、S4のオンオフ制御は、入力制御信号φ1、φ2に基づく。また、周波数変調部12Aにおける発振動作のオンオフ制御は、発振制御信号ENに基づく。

【0051】
図2に示されるように、制御部16Aは、入力16a、16b、16cと、出力16d、16eと、を有する。入力16aは、電力変換回路7Aの入力7aに接続される。入力16aは、電圧Vddを受ける。入力16bは、電力変換部14Aの出力14cに接続される。入力16bは、電圧Voutを受ける。入力16cは、内部電圧生成部22(後述)に接続される。入力16cは、電圧+Vp、-Vpを受ける。出力16dは、電力変換部14Aの入力14dに接続される。出力16dは、入力制御信号φ1、φ2を出力する。出力16eは、電力変換部14Aの入力14eに接続される。出力16eは、発振制御信号ENを出力する。

【0052】
制御部16Aは、参照電圧発生部18と、入力電圧検出部11と、出力電圧検出部19と、発振制御部21と、を有する。

【0053】
参照電圧発生部18は、入力電圧検出部11及び出力電圧検出部19に参照電圧を提供する。具体的には、参照電圧発生部18は、出力18aを介して入力電圧検出部11に参照電圧+Vref、-Vrefを提供する。また、参照電圧発生部18は、出力18bを介して出力電圧検出部19に参照電圧+Vmaxを提供する。

【0054】
入力電圧検出部11は、電圧Vddに基づいて整流部17AのスイッチS1、S2、S3、S4のオンオフ動作を制御する。入力電圧検出部11は、電圧Vddが閾値(参照電圧(+Vref)及び参照電圧(-Vref))より大きくなったときに、周波数変調部12Aの発振動作を開始させる。参照電圧(+Vref)及び参照電圧(-Vref)は、本実施形態でいう入力閾値である。入力閾値は、例えば、電力変換回路7Aに要求される電圧Vout(或いは電力)に基づいて設定してよい。つまり、電圧Vddの振幅が小さい場合には、変換後の電圧Vout(或いは電力)が要求値を満たさないことがあり得る。従って、変換後の電圧Vout(或いは電力)が要求値を満たす電圧Vddの最小値を入力閾値としてよい。

【0055】
入力電圧検出部11は、入力11a、11b、11cと、出力11d、11eと、を有する。入力11aは、制御部16Aの入力16aに接続される。入力11aは、電圧Vddを受ける。入力11bは、接地GNDに接続される。入力11cは、参照電圧発生部18の出力18aに接続される。入力11cは、参照電圧+Vref、-Vrefを受ける。出力11dは、制御部16Aの出力16dに接続される。出力11dは、入力制御信号φ1、φ2を出力する。出力11eは、発振制御部21に接続される。出力11eは、入力制御信号φ1、φ2を出力する。

【0056】
図4の(a)部は、入力電圧検出部11の回路構成を示す。入力電圧検出部11は、2個のオペアンプG4、G5を有する。オペアンプG4の反転入力には、基準電圧+Vrefが提供される。オペアンプG4の非反転入力には電圧Vddが提供される。オペアンプG5の反転入力には、電圧Vddが提供される。オペアンプG5の非反転入力には基準電圧-Vrefが提供される。

【0057】
入力電圧検出部11は、電圧Vddの大きさに応じた入力制御信号φ1、φ2を発生する。具体的には、入力電圧検出部11は、以下のように動作する(図6の(a)部及び図6の(b)部参照)。
電圧Vdd≧参照電圧(+Vref)であるとき、入力制御信号φ1=1。
電圧Vdd<参照電圧(+Vref)であるとき、入力制御信号φ1=0。
電圧Vdd≧参照電圧(-Vref)であるとき、入力制御信号φ2=0。
電圧Vdd<参照電圧(-Vref)であるとき、入力制御信号φ2=1。

【0058】
出力電圧検出部19は、電圧Voutの電圧値が閾値(参照電圧(+Vmax))より大きくなったときに、周波数変調部12Aの発振動作を停止させる。図2に示されるように、出力電圧検出部19は、入力19a、19b、19cと、出力19dと、を有する。入力19cは、制御部16Aの入力16bに接続される。入力19cは、電圧Voutを受ける。入力19bは、接地GNDに接続される。入力19aは、参照電圧発生部18の出力18bに接続される。入力19aは、参照電圧(+Vmax)を受ける。出力19dは、発振制御部21に接続される。出力19dは、出力制御信号φ3を出力する。参照電圧(+Vmax)は、実施形態における出力閾値である。出力閾値は、電力変換回路7Aに要求される電圧Voutの最大値に基づいて設定される。

【0059】
図4の(b)部は、出力電圧検出部19の回路構成を示す。出力電圧検出部19は、1個のオペアンプG6を有する。オペアンプG6の非反転入力には、基準電圧+Vmaxが提供される。オペアンプG6の反転入力には電圧Voutが提供される。

【0060】
出力電圧検出部19は、電圧Voutの大きさに応じた出力制御信号φ3を発生する。具体的には、出力電圧検出部19は、以下のように動作する。
電圧Vout≧参照電圧(+Vmax)であるとき、出力制御信号φ3=0。
電圧Vout<参照電圧(+Vmax)であるとき、出力制御信号φ3=1。

【0061】
図2に示されるように、発振制御部21は、入力21a、21bと、出力21cと、を有する。入力21aは、入力電圧検出部11の出力11eに接続される。入力21aは、入力制御信号φ1、φ2を受ける。入力21bは、出力電圧検出部19の出力19dに接続される。入力21bは、出力制御信号φ3を受ける。出力21cは、制御部16Aの出力16eに接続される。出力21cは、発振制御信号ENを出力する。

【0062】
図5の(a)部は、発振制御部21の回路構成を示す。発振制御部21は、OR回路G7と、AND回路G8と、を有する。OR回路G7は、入力制御信号φ1、φ2を受け入れる。OR回路G7は、制御信号φ4を出力する。AND回路G8は、出力制御信号φ3及び制御信号φ4を受け入れる。AND回路G8は、発振制御信号ENを出力する。発振制御部21は、具体的には、以下のように動作する。

【0063】
φ1(0)、φ2(0)、φ3(0)であるとき、EN=0。
φ1(1)、φ2(0)、φ3(0)であるとき、EN=0。
φ1(0)、φ2(1)、φ3(0)であるとき、EN=0。
φ1(0)、φ2(0)、φ3(1)であるとき、EN=0。
φ1(1)、φ2(0)、φ3(1)であるとき、EN=1。
φ1(0)、φ2(1)、φ3(1)であるとき、EN=1。

【0064】
発振制御部21は、電圧Vddが基準電圧+Vref以上であり、且つ、電圧Voutが基準電圧Vmax以下であるときに、発振制御信号EN=1を出力する。また、電圧Vddが基準電圧-Vref以下であり、且つ、電圧Voutが基準電圧Vmax以下であるときに、発振制御信号EN=1を出力する。発振制御信号EN=1が周波数変調部12Aに入力されると、周波数変調部12Aは発振動作を開始する。逆に、発振制御部21は、電圧Vddが基準電圧+Vref以下であるとき、発振制御信号EN=0を出力する。また、発振制御部21は、電圧Vddが基準電圧-Vref以上であるとき、発振制御信号EN=0を出力する。さらに、発振制御部21は、電圧Voutが基準電圧Vmax以上であるときに、発振制御信号EN=0を出力する。発振制御信号EN=0が周波数変調部12Aに入力されると、周波数変調部12Aは発振動作を停止する。

【0065】
制御部16Aを構成する参照電圧発生部18、入力電圧検出部11、出力電圧検出部19及び発振制御部21は、それぞれの回路を駆動するための電力を要する。電源装置1Aは、内部電圧生成部22(図2参照)を有し、この内部電圧生成部22が制御部16Aに対して必要な電力を供給する。

【0066】
図2に示されるように、内部電圧生成部22は、制御部16Aの動作に用いられる電圧を発生させる。つまり、内部電圧生成部22は、電圧Vddを受けて、電圧+Vp、-Vpを出力する。内部電圧生成部22は、入力22aと、出力22bと、を有する。入力22aは、電力変換回路7Aの入力7aに接続される。入力22aは、電圧Vddを受ける。出力22bは、制御部16Aの入力16cに接続される。出力22bは、電圧+Vp、-Vpを出力する。内部電圧生成部22は、例えば、図5の(b)部に示されるように、pMOSFETであるゲートG9と、nMOSFETであるゲートG10とを含む。そして、内部電圧生成部22は、それぞれのゲートG9、G10に対して電圧Vddを提供する。そうすると、ゲートG9は、電圧+Vpを出力する。一方、ゲートG10は、電圧-Vpを出力する。参照電圧発生部18、入力電圧検出部11、出力電圧検出部19及び発振制御部21は、これらの電圧+Vp、-Vpを用いて動作を行う。

【0067】
電力変換回路7Aは、周波数変調部12Aと、昇圧部13Aと、を備える。周波数変調部12Aは、第1周波数f1を有する電圧VHを受ける。周波数変調部12Aは、電圧CLKを生成する。電圧CLKは、電圧VHに対して第1周波数f1よりも高い第2周波数f2を有するパルス波が重畳されたものである。昇圧部13Aは、周波数変調部12Aから電圧CLKを受ける。周波数変調部12Aは、チャージポンプ動作によって電圧CLKよりも高い電圧Voutを生成する。昇圧部13Aは、キャパシタC2、C3を有する。キャパシタC2、C3は、電圧CLKによって充電される。昇圧部13Aは、キャパシタC2、C3に電荷を蓄積する第1動作と、電荷に基づく電圧と電圧CLKとを重畳して出力する第2動作と、を行う。第1動作と第2動作との切り替えは、電圧CLKに含まれたパルス波に基づく。

【0068】
昇圧部13Aは、電圧VHによってキャパシタC2、C3を充電して電荷をキャパシタC2、C3に蓄積する動作と、蓄積された電荷に基づく電圧Vcと電圧VHとを重畳させて出力する動作と、を含む。ここで、昇圧部13Aから出力される出力電力は、電圧Voutと出力電流とにより規定される。まず、電圧Voutの最大値は、電圧VHのピーク電圧値と、直列接続されたキャパシタC2、C3の数と、により決定される。次に、出力電流の大きさは、充電動作と出力動作との繰り返し数に比例する。つまり、充電動作及び出力動作を繰り返す数が多くなるほど、多くの電荷の転送が行われる。その結果、出力電流の大きさが増大する。この電力変換回路7Aは、周波数変調部12Aにおいて第1周波数f1を有する電圧VHに対して、第1周波数f1よりも高い第2周波数f2を有するパルス波を重畳する。その結果、電圧CLKが生成される。そして、昇圧部13Aは、当該パルス波に基づいて、充電動作と出力動作とを切り替える。従って、電圧VHを直接に昇圧部13Aに入力する構成よりも、充電動作及び出力動作の繰り返し数が多い。つまり、多くの電荷の転送が行われる。その結果、パルス波の周波数が高くなると、昇圧部13Aから出力される出力電流が大きくなる。従って、昇圧部13Aから出力される平均的な出力電力が大きくなる。その結果、電力変換効率を高めることができる。

【0069】
電力変換回路7Aは、整流部17Aをさらに備える。整流部17Aは、振動発電素子6から第1周波数f1を有する電圧Vddを受け、電圧Vddが全波整流された電圧VHを生成し、電圧VHを周波数変調部12Aに出力する。この構成によれば、昇圧部13Aにおける電荷の転送の回数が増える。その結果、出力電流がさらに大きくなる。従って、電力変換効率をさらに高めることができる。

【0070】
電力変換回路7Aは、入力電圧検出部11をさらに備える。入力電圧検出部11は、振動発電素子6から電圧Vddを受け、電圧Vddの絶対値と入力閾値との大小関係に基づく入力制御信号φ1、φ2を生成し、入力制御信号φ1、φ2を整流部17Aに出力する。整流部17Aは、入力制御信号φ1、φ2に基づいて電圧Vddを電圧VH、VLに整流する。この構成によれば、電圧Vddを確実に全波整流することができる。

【0071】
電力変換回路7Aは、発振制御部21をさらに備える。発振制御部21は、入力電圧検出部11から入力制御信号φ1、φ2を受け、入力制御信号φ1、φ2に基づいて周波数変調部12Aにおけるパルス波を生じさせる発振動作の開始及び停止を制御する発振制御信号ENを生成し、発振制御信号ENを周波数変調部12Aに出力する。この構成によれば、電圧Vddの絶対値に基づいて発振動作の開始及び停止を制御することが可能になる。その結果、電圧Vddの絶対値が閾値より小さい場合には、発振動作を停止することができる。従って、電力変換に提供する電圧Vddの大きさを閾値よりも大きい値に限定することが可能になるので、電力変換回路7Aは、所望の大きさの電圧Voutを出力することができる。

【0072】
上記の電力変換回路7Aは、出力電圧検出部19をさらに備える。出力電圧検出部19は、昇圧部13Aから電圧Voutを受け、電圧Voutの絶対値と出力閾値との大小関係に基づく出力制御信号φ3を生成し、出力制御信号φ3を発振制御部21に出力する。発振制御部21は、入力制御信号φ1、φ2及び出力制御信号φ3に基づいて、発振動作の開始及び停止を制御する発振制御信号ENを生成する。この構成によれば、電圧Voutが閾値よりも大きくなった場合に、発振動作を停止させることが可能になる。従って、電圧Voutの大きさに制限を設けることができる。

【0073】
電力変換回路7Aは、内部電圧生成部22をさらに備える。内部電圧生成部22は、振動発電素子6から電圧Vddを受ける。内部電圧生成部22は、入力電圧検出部11、出力電圧検出部19、及び、発振制御部21を駆動するための電力を生成する。内部電圧生成部22は、入力電圧検出部11、出力電圧検出部19、及び、発振制御部21に電力を出力する。この構成によれば、各部の動作に要する電圧を電圧Vddから生成する。従って、電力変換回路7Aは、各部を動作させるための電圧を供給するバッテリを準備する必要がない。さらに、バッテリを交換する作業も要しない。従って、電力変換回路7Aは、維持管理が容易である。

【0074】
電源装置1Aは、振動発電素子6と、電力変換回路7Aと、を備える。振動発電素子6は、第1周波数f1を有する電圧Vddの電力を発生する。電力変換回路7Aは、振動発電素子6に接続されて、電圧Vddの電力を、直流電圧の電力に変換する。この電源装置1Aは、上記の電力変換回路7Aを有する。従って、良好な電力変換効率が得られる。その結果、電源装置1Aは所望の電力を供給することができる。

【0075】
電力変換回路7Aは、交流電力を直流電力に変換する。電力変換回路7Aは、昇圧回路である。電力変換回路7Aは、交流の電圧振幅を高めることによって、交流電圧を高い電圧値を有する直流電圧に変換する。電力変換回路7Aは、周波数を変調する変調回路に入力された交流電力を入力する。次に、電力変換回路7Aは、変調回路からの高周波数化された信号を昇圧回路に入力する。この構成は、周波数変調型のAC—DC昇圧方式と称することができる。この方式によれば、例えば、振動発電によって発生した1キロヘルツの周波数を有する交流電力を周波数変調回路によって10メガヘルツの電力に変換する場合を仮定する。この変換において電力変換回路7Aの出力電圧は、後述する比較例の電力変換回路の出力電圧の3000倍程度である。この出力電力は、RFIDで用いられている昇圧回路の出力電力に相当する。RFIDは、電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステムである。結果として、電力変換回路7Aは、実用的な大きさである。従って、電力変換回路7Aは、振動発電用IoT集積回路に集積することが可能である。その結果、電力変換回路7Aは、IoT端末の小型化に寄与する。

【0076】
ところで、電力変換回路には、スイッチング・インダクタを用いたスイッチング・コンバータがある。また、別の回路として、キャパシタとスイッチとを有する昇圧回路がある。スイッチング・コンバータ用インダクタは、集積回路には現実的な大きさでは実装できない。従って、スイッチング・コンバータ用インダクタは、外付けされる。

【0077】
一方、昇圧回路は、高周波化によってキャパシタの大きさ(容量)を集積化可能な程度まで小さくすることができる。従って、IoT端末を小型化することが可能である。RFIDでは、入力される交流電力が高周波である。従って、集積化昇圧回路を容易に適用することができる。図19に示されるように、比較例に係る電力変換回路は、振動発電素子206からの交流電力(AC)を直接に昇圧部203に入力することにより、交流電力(AC)を直流電力(DC)に変換する。そして、比較例に係る電力変換回路は、直流電力(DC)を測定装置204に提供する。例えば、RFIDに適用される電源装置200は、振動発電素子206の出力を昇圧部203に対して直接に入力する。昇圧部203は、入力信号の周波数に比例した電力を発生する。これは、出力される電荷が一周期に一度しか転送されないためである。出力電圧は、安定化キャパシタによって平滑化される。

【0078】
一方、従来、振動発電素子が出力する交流電流は、周波数が低い。従って、外付けインダクタの必要なスイッチング・コンバータを用いる必要があった。振動発電素子の出力電圧は、例えば数百マイクロW/cm程度である。そして、集積回路が1ボルト程度の電圧を要求すると仮定する。数百マイクロW/cm程度の電圧を利用して1ボルトの電圧を発生させようとする場合、振動発電の電力周波数が1キロヘルツであるとすれば、昇圧回路の出力電力は数ナノワットである。すなわち、ほとんどの電力は無効電力である。一方、IoT端末は、低周波交流電力を発生させる振動発電素子6を備えている。電力変換回路7Aは、集積化が可能な昇圧回路制御手段である。従って、電力変換回路7Aを備えたIoT端末は、小型化することができる。

【0079】
図7の(a)部は比較例に係る電源装置200のエネルギ収支を概念的に示す。図7の(b)部は実施形態に係る電源装置1Aのエネルギ収支を概念的に示す。振動発電素子6、206が発生させる電力P1、P2は、電力P1a、P2aと、消費電力P1b、P2bと、無効電力P1c、P2cと、に振り分けられる。電力P1a、P2aは、有効に変換される電力である。消費電力P1b、P2bは、電力変換回路が消費する電力である。無効電力P1c、P2cは、振動発電素子6、206と変換回路との間で往復するだけであって消費されることのない電力である。

【0080】
図7の(a)部に示されるように、比較例に係る電源装置200では、振動発電素子206が発生する電力P1の大部分が無効電力P1cである。電源装置200において、有効に変換される電力P1aはわずかである。なぜならば、上述したように、昇圧部203に対して振動発電素子206の出力が直接に提供されると、昇圧部203で振動発電素子206の出力周波数に応じて電荷の転送が行われる。つまり、電荷の転送回数が少ないので、取り出せる電流はわずかである。

【0081】
一方、図7の(b)部に示されるように、電源装置1Aは、無効電力P2cを低減する。そして電源装置1Aは、有効に変換される電力P2aを増加する。ここで、電源装置1Aでは、制御部16A等における消費電力P2bが存在するとしても、有効に変換される電力P2aが増加する。その結果、電源装置1Aは、変換効率を高めることができる。

【0082】
<計算機による実験例>
図8は、昇圧回路が従来のAC-DC動作を行った場合の出力電力と、昇圧回路が実施形態に係るAC-DC動作を行った場合の出力電力と、を比較する。図8の横軸は、昇圧回路に入力される交流電力の周波数を示す。縦軸は、昇圧回路から出力される直流電力を示す。なお、昇圧回路の出力電圧は1ボルトとした。比較例に係るAC-DC動作によれば、入力される交流電力が1キロヘルツである。そして、出力電力は、数ナノワットである(符号A1参照)。つまり、比較例に係るAC-DC動作では、ほとんどの電力が無効電力となることがわかった。一方、実施形態に係るAC-DC動作によれば、例えば、周波数を10メガヘルツに高める。その場合、出力電力は数十マイクロワット(符号A2参照)であることがわかった。つまり、電力変換回路7Aの大きさは、RFIDのような高周波入力の場合に必要な昇圧回路と同等にすることが可能である。従って、電力変換回路7Aは、振動発電用のAC-DC昇圧回路システムの集積化を実現できることが確認できた。

【0083】
<第2実施形態>
図9に示されるように、第2実施形態に係る電源装置1Bは、振動発電素子6と、電力変換回路7Bと、を有する。電力変換回路7Bは、電力変換部14Bと、制御部16Bと、内部電圧生成部22と、を有する。電力変換部14Bは、整流部17Aと、周波数変調部12B(第2周波数変調部)と、昇圧部13Aと、を有する。ここで、周波数変調部12Bは、制御部16Bからの発振制御信号ENを要しない点で、周波数変調部12Aに対して相違する。さらに、制御部16Bは、発振制御信号ENを生成するための発振制御部21及び出力電圧検出部19を有しない点で制御部16Aと相違する。制御部16Bは、リミッタ31(リミッタ部)を有する点で制御部16Aと相違する。

【0084】
図10の(a)部に示されるように、周波数変調部12Bは、LC発振回路である。周波数変調部12Bは、リングオシレータではない。周波数変調部12Bは、コイルL1、L2と、キャパシタC5、C6と、電界効果型のトランジスタM1、M2(FET)と、を有する。コイルL1、キャパシタC5及びトランジスタM1は、電圧CLKを出力12dに生成する。コイルL2、キャパシタC6及びトランジスタM2は、電圧CLKbを出力12eに生成する。この構成によれば、LC発振回路は自律的に発振動作を行う。従って、発振制御信号ENを省略することができる。つまり、電圧Vddがある程度大きくなると、周波数変調部12Bは、自動的に発振を開始する。例えば、周波数変調部12Bは、トランジスタM1、M2のトランスコンダクタンスがLC共振器のロスより高くなると、発振を開始する。

【0085】
このLC共振回路の共振周波数は、電圧Vddの周波数よりも充分に高く設定する。例えば、電圧Vddの周波数がf_ACであり、発振周波数がf_clkであるとする。この発振周波数は、f_clk=1/2π√(LC)である。そして、f_AC<<f_clkを満たすように、コイルL1、L2及びキャパシタC5、C6を設定する。

【0086】
なお、昇圧部13Aは電圧CLKbを利用しない。従って、図10の(a)部で示される周波数変調部12Bの出力12dを昇圧部13Aの入力13aに接続する。また、出力12eを入力13cと接続しない構成としてよい。

【0087】
制御部16Bは、入力電圧検出部11と、参照電圧発生部18と、リミッタ31と、を有する。周波数変調部12Bは、自律的に発振を開始する。従って、発振制御信号ENは不要である。従って、制御部16Bは、発振制御部21を備えない。

【0088】
リミッタ31は、電圧Vddの振幅が所定値を超えたときに、電圧Voutが過剰に大きくなることを抑制する。従って、電圧Voutは、所定の電圧値に制御される。図10の(b)部に示されるように、リミッタ31は、ダイオードD4の整流作用を利用したリミッタ回路である。リミッタ31は、ダイオードD4に対して電圧Voutが逆方向電圧となるように接続されている。この接続構成によれば、ダイオードD4は、ターゲット電圧Vpp(図10の(c)部参照)において、ターンオンする。従って、電圧Voutが過剰に大きくなることを抑制できる。

【0089】
<第3実施形態>
図11に示されるように、第3実施形態に係る電源装置1Cは、振動発電素子6と、電力変換回路7Cと、を有する。電力変換回路7Cは、電力変換部14Cと、制御部16Cと、を有する。電力変換部14Cは、整流部17B(第2整流部)と、周波数変調部12Bと、昇圧部13Aと、を有する。ここで整流部17Bは、入力制御信号φ1、φ2を必要としない。整流部17Bは、入力制御信号φ1、φ2を必要としない。従って、制御部16Cは、入力制御信号φ1、φ2を発生させる構成を有しない。制御部16Cの入力16bは、電力変換部14Cの出力14cに接続される。制御部16Cは、リミッタ31を有する。リミッタ31は、入力16bから電圧Voutを受ける。

【0090】
図12の(a)部に示されるように、整流部17Bは、自律的なスイッチ回路である。整流部17Bは、電圧Vdd及び電圧Vssの大小関係に基づいて自動的に出力すべき電圧を切り替える。整流部17Bは、一対のスイッチ回路S5、S6を有する。スイッチ回路S5は、一対のp型のトランジスタQP1、QP2を有する。スイッチ回路S6は、一対のn型のトランジスタQN1、QN2を有する。キャパシタC7は、出力17dと出力17eとの間に設けられる。

【0091】
スイッチ回路S5には、電圧Vdd、電圧Vssが入力される。スイッチ回路S6にも、電圧Vss、電圧Vssが入力される。スイッチ回路S5は、出力17dに接続される。スイッチ回路S5は、電圧Vdd及び電圧Vssの何れか一方を電圧VHとして出力17dに提供する。スイッチ回路S6は、出力17eに接続される。スイッチ回路S6は、電圧Vdd及び電圧Vssの何れか一方を電圧VLとして出力17dに提供する。提供される電圧は、電圧Vdd及び電圧Vssの大小関係に基づいて決定される。

【0092】
例えば、図12の(b)部に示されるように、電圧Vddが電圧Vssより大きいとき(Vdd>Vss)、スイッチ回路S5は、出力17dに電圧Vdd(VH=Vdd)を提供する。また、スイッチ回路S6は、出力17eに電圧Vssを提供する(VL=Vss)。一方、図12の(c)部に示されるように、電圧Vddが電圧Vssより小さいとき(Vdd<Vss)、スイッチ回路S5は、出力17dに電圧Vssを提供する(VH=Vss)。また、スイッチ回路S6は、出力17eに電圧Vddを提供する(VL=Vdd)。

【0093】
この構成によれば、整流部17Bは、電圧Vdd及び電圧Vssの大小関係に基づいて、出力17d、17eに提供する電圧を切り替える。そして、周波数変調部12Bは、出力17d、17eから供給された電圧VH、VLの電圧振幅が発振可能な電圧以上になると、自律的に発振動作を開始する。そして、昇圧部13Aは、周波数変調部12Bから提供される電圧CLKを受けて、昇圧動作を行う。このように、第3実施形態に係る電源装置1Cの電力変換部14Cは、入力制御信号φ1、φ2及び発振制御信号ENを必要としない。つまり、電力変換部14Cは、電圧Vdd、Vssに基づいて自律的に動作を開始することができる。従って、電力変換回路7Cの構成を簡易にすることができる。

【0094】
<第4実施形態>
図13に示されるように、第4実施形態に係る電源装置1Dは、振動発電素子6と、電力変換回路7Dと、を有する。電力変換回路7Dは、電力変換部14A(第1電力変換部)と、電力変換部14C(第2電力変換部)と、制御部16Aと、内部電圧生成部22と、を有する。電力変換回路7Dは、電力変換回路7Aと、電力変換部14Cとを有する。電力変換部14Cは、電力変換部14Aに対して並列に接続される。電力変換部14Cの入力14aは、電力変換回路7Aの入力7aに接続される。電力変換部14Cの入力14bは、電力変換回路7Aの入力7bに接続される。電力変換部14Cの出力14cは、電力変換部14Cの出力7cに接続される。

【0095】
この構成によれば、振動発電素子6からの電圧Vddの供給が開始されると、電圧Vdd及び電圧Vssに基づいて、まず、電力変換部14Cが自律的に電力変換動作を開始する。具体的には、整流部17B(第2整流部)は、電圧Vdd、Vssを受ける。そして整流部17Bは、電圧VH2、VL2を出力する。周波数変調部12B(第2周波数変調部)は、電圧VH2、VL2を受ける、次に周波数変調部12Bは、電圧(VH2-VL2)を第3電圧として電圧CLK2(第4電圧)を生成する。そして、昇圧部13B(第2昇圧部)は、電圧CLK2を受ける。そして、昇圧部13Bは、出力14cに電圧Vout2(第2出力電圧)を提供する。そして、この電圧Vout2が所定の電圧値に達したとき、電力変換部14Cから電力変換部14Aの動作へ切り替わる。つまり、入力制御信号φ1、φ2及び発振制御信号ENを制御部16Aから電力変換部14Aに提供する。そうすると、制御部16Aが安定して動作する条件が整った後に、制御部16A及び電力変換部14Aを動作させることが可能になる。従って、電源装置1Dにおける動作開始直後の安定性を向上させることができる。

【0096】
本開示の電力変換回路及び電源装置について説明した。しかし、本開示の電力変換回路及び電源装置は上記の態様に限られない。

【0097】
<変形例1>
例えば、図14に示されるように、変形例1に係る電源装置1Eは、電力変換回路7Eを有してもよい。電力変換回路7Eは、電力変換部14Dと、制御部16Aと、内部電圧生成部22と、を有する。電力変換部14Dは、整流部17Aと、周波数変調部12Cと、昇圧部13Bと、を有する。図15の(a)部に示されるように、周波数変調部12Cは、電圧CLKbを取り出す構成を有する。なお、周波数変調部12Aは、電圧CLKbを取り出す構成を有しない。つまり、周波数変調部12Cは、インバータ回路G2とインバータ回路G3との間に接続された出力線を備える。出力線は、周波数変調部12Cの出力12eに接続される。図15の(b)部に示されるように、昇圧部13Bは、第1の回路CR1と、第2の回路CR2と、を有する。第1の回路CR1と、第2の回路CR2とは、互いに並列に接続される。そして、第1の回路CR1には、電圧CLKが入力される。第2の回路CR2には、電圧CLKbが入力される。この構成によれば、さらに出力電力を増加させることができる。なお、変形例1に係る周波数変調部12C及び昇圧部13Bは、第1、第2、第3及び第4実施形態に係る電力変換回路7A、7B、7C、7Dに適用してもよい。

【0098】
<変形例2>
例えば、図16に示されるように、変形例2に係る電源装置1Fは、補助電源32を備えてもよい。この補助電源32は、内部電圧生成部22の機能を補助する。つまり、バッテリである補助電源32は、制御部16Aを駆動するために必要な電圧の一部を提供する。この構成によれば、電源装置1Fは、補助電源32と、内部電圧生成部22と、により制御部16Aに対して必要な電圧を確実に提供することができる。また、補助電源32が提供する電圧はわずかであるので、補助電源32の交換周期を極めて長くすることができる。なお、変形例2に係る補助電源32は、第1、第2、第3及び第4実施形態に係る電力変換回路7A、7B、7C、7Dに適用してもよい。

【0099】
<変形例3>
例えば、図17に示されるように、変形例3に係る電源装置1Gは、第4実施形態に係る電源装置1Dの変形例である。電源装置1Gは、電源装置1Dが有する内部電圧生成部22を省略したものである。つまり、電源装置1Gは、内部電圧生成部22を有していなくてもよい。電源装置1Gは、電力変換部14Cから出力される電圧Vdd_intを制御部16Aの駆動に利用する。具体的には、電力変換部14Cの出力14cは、制御部16Aの入力16cに接続される。この接続構成により、電力変換部14Cは、制御部16Aを駆動するために必要な電圧Vdd_intを提供できる。さらに、電力変換部14Cの出力14cには、リミッタ33が接続される。リミッタ33は、リミッタ31と同様の構成を有する。このリミッタ33によれば、制御部16Aに提供される電圧Vdd_intに制限を設けることが可能になる。従って、制御部16Aに過大な電圧が入力されることを抑制できる。さらに、この構成によれば、電源装置1Gの起動時における動作安定性が高まる。また、この構成によれば、電源装置1Gの回路構成を簡易化することができる。

【0100】
<変形例4>
例えば、昇圧部は、実施形態に示された回路構成に限定されない。図18は、昇圧部13Hの回路構成を示す。昇圧部13Hは、ダイオードD1、D2、D3と、キャパシタC2、C3、C4とを有する。これらの接続構成は、昇圧部13Aと同様である。一方、昇圧部13Hは、キャパシタC2、C3における電荷転送の制御に、電圧CLKbを利用する。そして、キャパシタC2に入力される電圧CLKbの位相と、キャパシタC3に入力される電圧CLKbの位相と、を互いに反転させるために、キャパシタC2、C3にインバータ回路G11、G12、G13が接続される。具体的には、キャパシタC2にはインバータ回路G11が接続される。キャパシタC3にはインバータ回路G12、G13が接続される。

【0101】
<変形例5>
例えば、上記実施形態では、電源装置1Aの交流電力の電力源として振動発電素子を例示した。しかし、交流電力の電力源は、振動発電素子に限定されない。交流電力の電力源としては、周波数変調部12Aの周波数よりも低い周波数を有する交流電力を発生可能なあらゆる素子を適用してよい。例えば、電源装置1Aは、無線電力受信回路としても低周波時に有効に適用できる。
【符号の説明】
【0102】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,200…電源装置、2…センサ装置、3…アンテナ、4…測定装置、6,206…振動発電素子、7A,7B,7C,7D,7E…電力変換回路、11…入力電圧検出部、12A,12B,12C…周波数変調部、13A,13B,13H,203…昇圧部、14A,14B,14C…電力変換部、16A,16B,16C…制御部、17A,17B…整流部、18…参照電圧発生部、19…出力電圧検出部、22…内部電圧生成部、21…発振制御部、31,33…リミッタ、32…補助電源、100…インターネット、101…クラウドサーバ、102…対象物、Vdd…電圧(入力電圧)、CLK…電圧、Vout…電圧(出力電圧)、φ1,φ2…入力制御信号、φ3…出力制御信号、φ4…制御信号、EN…発振制御信号。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
18