TOP > 国内特許検索 > 金属間化合物、水素吸放出材料、触媒及びアンモニアの製造方法 > 明細書

明細書 :金属間化合物、水素吸放出材料、触媒及びアンモニアの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和2年5月7日(2020.5.7)
発明の名称または考案の名称 金属間化合物、水素吸放出材料、触媒及びアンモニアの製造方法
国際特許分類 B01J  23/89        (2006.01)
B01J  23/83        (2006.01)
B01J  23/835       (2006.01)
B01J  23/10        (2006.01)
B01J  23/63        (2006.01)
C01C   1/04        (2006.01)
C01B   3/00        (2006.01)
C07C 211/52        (2006.01)
C07C 209/36        (2006.01)
C07C 213/02        (2006.01)
C07C 217/84        (2006.01)
C07C 211/58        (2006.01)
C07C 255/58        (2006.01)
C07C 253/30        (2006.01)
C07C 237/30        (2006.01)
C07C 231/12        (2006.01)
C07C 229/54        (2006.01)
C07C 227/06        (2006.01)
C07C 225/22        (2006.01)
C07C 211/45        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 23/89 M
B01J 23/83 M
B01J 23/835 M
B01J 23/10 M
B01J 23/63 M
B01J 23/83 Z
C01C 1/04 E
C01B 3/00 B
C07C 211/52
C07C 209/36
C07C 213/02
C07C 217/84
C07C 211/58
C07C 255/58
C07C 253/30
C07C 237/30
C07C 231/12
C07C 229/54
C07C 227/06
C07C 225/22
C07C 211/45
C07B 61/00 300
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 33
出願番号 特願2019-529774 (P2019-529774)
国際出願番号 PCT/JP2018/026287
国際公開番号 WO2019/013272
国際出願日 平成30年7月12日(2018.7.12)
国際公開日 平成31年1月17日(2019.1.17)
優先権出願番号 2017135875
優先日 平成29年7月12日(2017.7.12)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】細野 秀雄
【氏名】ゴーン ユートン
【氏名】ウー ジャヂェン
【氏名】北野 政明
【氏名】横山 壽治
【氏名】魯 楊帆
【氏名】叶 天南
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000084、【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G140
4G169
4H006
4H039
Fターム 4G140AA44
4G140AA45
4G169AA02
4G169AA03
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB19A
4G169BB19B
4G169BB20A
4G169BB20B
4G169BC23A
4G169BC23B
4G169BC29A
4G169BC31B
4G169BC39A
4G169BC39B
4G169BC41A
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC44A
4G169BC44B
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC71A
4G169BD01A
4G169BD05A
4G169BD05B
4G169CB02
4G169CB06
4G169CB77
4G169CB82
4G169DA05
4G169DA06
4G169EA01Y
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EA06
4G169EA18
4G169EB18Y
4G169EC02Y
4G169FA01
4G169FA02
4H006AA02
4H006AC52
4H006BA05
4H006BA08
4H006BA33
4H006BB14
4H006BC10
4H006BC11
4H006BE20
4H006BJ50
4H006BP30
4H006BR20
4H006BU46
4H006BV71
4H006QN30
4H039CA71
4H039CB40
要約 安定性と活性の高い金属間化合物及びそれを用いた触媒の提供。
一般式(1)で表される金属間化合物を含有する水素吸放出材料。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)で表される金属間化合物を含有する水素化反応活性化剤。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す。)
【請求項2】
一般式(1)で表される金属間化合物の使用方法であって、前記金属間化合物と水素を接触させることにより、水素分子の結合を活性化すること、を特徴とする金属間化合物の使用方法。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す。)
【請求項3】
一般式(1)で表される金属間化合物を含む触媒。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す。)
【請求項4】
アンモニア合成用触媒である請求項3記載の触媒。
【請求項5】
一般式(1)で表される金属間化合物に、遷移金属Mを担持した遷移金属担持金属間化合物。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す。)
【請求項6】
請求項5記載の遷移金属担持金属間化合物を含有する水素化反応活性化剤。
【請求項7】
請求項5記載の遷移金属担持金属間化合物の使用方法であって、前記金属間化合物と水素を接触させることにより、水素分子の結合を活性化することを特徴とする金属間化合物の使用方法。
【請求項8】
請求項5記載の遷移金属担持金属間化合物を含む触媒。
【請求項9】
アンモニア合成用触媒である請求項8記載の触媒。
【請求項10】
一般式(2)で表される金属間化合物-水素複合体であって、前記金属間化合物が、水素を可逆的に吸着及び脱離することができ、かつ前記複合体から400℃以下で、水素を脱離することができることを特徴とする、複合体。
RTX・aH・・・・・(2)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示し、
aは、0.5以上1.5以下の数を示す)
【請求項11】
請求項10記載の複合体を含む触媒。
【請求項12】
アンモニア合成用触媒である請求項11記載の触媒。
【請求項13】
請求項10記載の複合体に、遷移金属Mを担持した遷移金属担持複合体。
【請求項14】
請求項13記載の遷移金属担持複合体を含む触媒。
【請求項15】
アンモニア合成用触媒である請求項14記載の触媒。
【請求項16】
窒素と水素を触媒と接触させるアンモニアの製造方法であって、触媒が請求項4、9、12又は15記載の触媒であるアンモニアの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属間化合物、遷移金属担持金属間化合物、水素吸放出材料、触媒及び当該触媒を用いたアンモニアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的なアンモニア合成法であるハーバー・ボッシュ法は、Fe34に数質量%のAl23とK2Oを含んだ二重促進鉄(doubly promoted iron)を触媒として用い、この触媒に窒素と水素の混合気体を高温高圧条件下で接触させてアンモニアを製造する方法である。
【0003】
一方、ハーバー・ボッシュ法の反応温度よりも低い温度でアンモニアを合成する方法が検討され、触媒活性成分としてルテニウム(Ru)を各種担体に担持させてアンモニア合成の触媒として用いる方法が提案されている(例えば特許文献1)。このRu等の遷移金属を用いた触媒は、その活性が非常に高いため、ハーバー・ボッシュ法で用いられている反応条件よりも、より温和な条件でアンモニアを合成することができることが知られている。例えばハーバー・ボッシュ法では400℃以上の反応温度及び10MPa以上の反応圧力が必要であるのに対し、Ruを用いた触媒では、約200℃の反応温度で、かつ1.1MPa以下、さらには大気圧程度の反応圧力でも反応が進行することが知られている。
【0004】
また別のアンモニア合成触媒として、金属間化合物も検討されている。高い触媒活性を有するRu等の遷移金属と他の金属元素との金属間化合物が得られれば、安価な触媒にすることが期待できる。
アンモニア合成に活性を示す金属間化合物としては、CaNi5、Mg2Ni、Mg2Cu等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属と、遷移金属との金属間化合物(特許文献2)や、CeFe2、CeCo2、CeRu2等の水素吸蔵合金として知られている金属間化合物(非特許文献1、2)が挙げられる。具体的には、非特許文献1では、触媒を金属の単体に代えて溶融法で作製したCeFe2、CeRu2、CeCo2等の金属間化合物の粉末を用いてアンモニア合成を行った調査結果が報告されている。
また、AB5型金属間化合物と表わされる金属間化合物を還元した水素化物AB5~6を触媒として用いる方法も提案されている。具体的には前記AB型金属間化合物として、AがLaを主成分とするミッシュメタル(mischmetal)、BがNiの金属間化合物であり、BET比表面積が0.02m2/gである金属間化合物を還元した水素化物を触媒として用いることで、室温でのアンモニア合成が可能であることが報告されている(非特許文献3)。
【0005】
また、金属間化合物は、水素を吸蔵することで脆化し、破砕され、水素が抜けることによって微細な金属間化合物が得られることが知られている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2006-231229号公報
【特許文献2】米国特許第4325931号明細書
【0007】

【非特許文献1】Takeshita,T.,Wallace,W.E.,Craig,R.S.,“Journal of Catalysis”44,236-243(1976)
【非特許文献2】Wallace,W.E.,“Proceedings of an International Symposium Held in Gelio”,Norway,14-19 August 1977 pages 501-514
【非特許文献3】Hai-Yan Zhu,“Journal of Alloys and Compounds”240(1996)L1-L3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、金属間化合物は、アンモニア合成反応の触媒として用いた際、その反応が起こる程度の温度(例えば約400℃)において、希土類元素の窒化物と遷移金属の単体に分解することが多く、触媒としての安定性、耐久性が乏しい。例えば非特許文献1において触媒として使用した金属間化合物は、アンモニア合成反応後にX線回折測定をした結果、分解していることが示されている。そしてこの実験結果から触媒活性を示すのはFe、Co、Ru等の遷移金属の単体であると考えられることが報告されている。また、非特許文献2では、CeCo3、CeRu2、CeFe2等については、アンモニア合成反応に際して希土類金属窒化物と遷移金属の単体に変化し、実際に触媒としての機能を果たしているのは希土類金属窒化物に担持されたCo、Ru、Fe等の遷移金属の単体であろうと述べられている。また、金属間化合物の触媒活性は、未だ十分高いとは言えない。
従って、本発明の課題は、安定性と活性の高い金属間化合物及びそれを用いた触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者は、種々の金属間化合物を合成し、その特性を検討してきたところ、下記一般式(1)で表される三元金属間化合物が、従来の触媒に比べてより低温、低圧条件下でアンモニア合成活性を示し、また当該金属間化合物に遷移金属を担持すれば大幅にアンモニア合成活性が向上することを見出した。さらに、この金属間化合物は、従来の触媒に比べてより低温、具体的には通常400℃以下の温度で水素を吸放出する特性を示し、水素を吸収した金属間化合物を用いれば他の化合物の水素化反応をすることができることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔16〕を提供するものである。
【0011】
〔1〕一般式(1)で表される金属間化合物を含有する水素化反応活性化剤。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す。)
【0012】
〔2〕一般式(1)で表される金属間化合物の使用方法であって、前記金属間化合物と水素を接触させることにより、水素分子の結合を活性化することを特徴とする金属間化合物の使用方法。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す。)
【0013】
〔3〕一般式(1)で表される金属間化合物を含む触媒。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す。)
〔4〕アンモニア合成用触媒である〔3〕記載の触媒。
【0014】
〔5〕一般式(1)で表される金属間化合物に、遷移金属Mを担持した遷移金属担持金属間化合物。
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す)
〔6〕〔5〕記載の遷移金属担持金属間化合物を含有する水素化反応活性化剤。
〔7〕〔5〕記載の遷移金属担持金属間化合物の使用方法であって、前記金属間化合物と水素を接触させることにより、水素分子の結合を活性化することを特徴とする金属間化合物の使用方法。
〔8〕〔5〕記載の遷移金属担持金属間化合物を含む触媒。
〔9〕アンモニア合成用触媒である〔8〕記載の触媒。
〔10〕一般式(2)で表される金属間化合物-水素複合体であって、前記金属間化合物が、水素を可逆的に吸着及び脱離することができ、かつ前記複合体から400℃以下で、水素を脱離することができることを特徴とする、複合体。
RTX・aH・・・・・(2)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示し、
aは、0.5以上1.5以下の数を示す)
〔11〕〔10〕記載の複合体を含む触媒。
〔12〕アンモニア合成用触媒である〔11〕記載の触媒。
〔13〕〔10〕記載の複合体に、遷移金属Mを担持した遷移金属担持複合体。
〔14〕〔13〕記載の遷移金属担持複合体を含む触媒。
〔15〕アンモニア合成用触媒である〔14〕記載の触媒。
〔16〕窒素と水素を触媒と接触させるアンモニアの製造方法であって、触媒が〔4〕、〔9〕、〔12〕又は〔15〕記載の触媒であるアンモニアの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明で用いる金属間化合物及び遷移金属担持金属間化合物は、ハーバー・ボッシュ法の反応条件よりも低温かつ低圧力条件下で、優れた水素吸放出特性とアンモニア合成活性を有し、かつ安定性に優れている。従って、アンモニア合成用触媒及び種々の水素化反応用触媒として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】水素化したLaCoSiの昇温による水素の脱離分析結果を示す。
【図2】実施例2及び実施例15における金属間化合物表面上の各原子の比率を示す。
【図3】実施例18及び実施例19における水素化反応時の転化率の推移を示す。
【図4】本発明で用いられる金属間化合物RTXの構造の一例を示す。(a)はLaCoSiの構造を示し、(b)はLaRuSiの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<三元金属間化合物>
本発明に用いられる金属間化合物は、下記一般式(1)で表される金属間化合物である。

【0018】
RTX・・・・・(1)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示す)

【0019】
Rは、ランタノイド元素を示し、具体的には、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。
前記ランタノイド元素は価電子(原子番号)が増加しても4f軌道に電子が収められるため、自由電子や仕事関数などの物理的性質はほぼ変化しない特徴がある。すなわち、結晶構造が変化しない限りにおいて、前記RTXの性質は通常、ランタノイド元素Rの種類に依存しない。中でも、La、Gd、Ceはランタノイド元素の中でもクラーク数が高く、比較的安価であるため好ましく、後述する触媒、特にアンモニア合成活性が高い点で、La、Ceがさらに好ましく、Laが特に好ましい。

【0020】
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示すが、具体的にはSc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ti、Cuが挙げられ、さらにSc、Y、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Tiがより好ましく、Sc、Fe、Ru、Co、Rh、Tiがさらに好ましい。後述する触媒、特にアンモニア合成活性が高い点でSc、Co、Ru、Feがより好ましく、Sc、Coが特に好ましい。

【0021】
Xは、Si、Al又はGeを示す。このうち、アンモニア合成活性が高い点から、Si、Geがより好ましく、Siがさらに好ましい。

【0022】
本発明に用いられる金属間化合物RTXは、前記のR、T及びXを構成元素とする金属間化合物をいう。前記RTXに含まれるR、T、及びXの各原子の比率は、本発明の効果が得られる限りにおいて特に限定はされないが、通常はその構成元素の組合せにより、本発明の効果を有するに適した原子比を有する。
前記RTXをRrTtXnとして表した場合、Rの原子数rに対するTの原子数tの比t/rは、特に限定はされないが、通常0.2以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上であり、通常3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下であり、最も好ましくは後述するアンモニアの合成活性が高い点で1である。
同様にRの原子数に対するXの原子数の比n/rは、特に限定はされないが、通常0.2以上、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上であり、通常3以下、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下であり、最も好ましくは、後述するアンモニアの合成活性が高い点で1である。

【0023】
式(1)で表される金属間化合物の具体例としては、LaCoSi、LaRuSi、LaFeSi、LaMnSi、LaTiSi、LaCuSi、LaCoGe、LaRuSi、CeCoSi、GdCoSi、CeFeSi、GdFeSi、LaScSi、CeScSi、GdScSi、GdTiSi、GdTiGe、LaScGe、CeScGe、GdScGe、LaCuSi等が挙げられる。このうち、LaCoSi、LaRuSi、LaFeSi、LaScSi、CeScSi、GdScSi、GdTiSi等が活性が高い点で好ましい。RTXを単独で使用する場合は、LaCoSi、LaRuSi、LaFeSiが活性が高いためより好ましく、そして後述する担持金属Mと共に使用する場合は、LaScSi、CeScSi、GdScSi、GdTiSi、LaCoSi、LaRuSi、LaFeSi等がアンモニア合成活性が高い点からより好ましい。

【0024】
前記RTXの結晶構造は、特に限定されるものではなく、立方晶型、正方晶型、六方晶型、斜方晶型、単斜晶型等の構造を有するが、単相の結晶が得られやすく、後述する触媒活性が高い点で、正方晶型、六方晶型が好ましく、後述するアンモニア合成活性が高い点では正方晶型がより好ましく、後述する水素化反応の触媒活性が高い点では六方晶型がより好ましい。

【0025】
この式(1)の金属間化合物(RTX)は、exafs解析により、ランタノイド(R)から遷移金属(T)に電子が供与され、遷移金属(T)はマイナスに帯電していることが判明した。このため、式(1)の金属間化合物は、より低い仕事関数を実現している。

【0026】
本発明で用いられる金属間化合物(RTX)の仕事関数は、特に限定されるものではないが、通常、後述する遷移金属に比べて低く、好ましくは2.0eV以上4.0eV以下である。
なお仕事関数とは、物質表面において、表面から1個の電子を取り出すのに必要な最小エネルギーを表し、通常は真空準位とフェルミ準位とのエネルギー差を表す。遷移金属の仕事関数は、特に限定はされないが、特に後述する触媒として用いられる場合の好ましい遷移金属の仕事関数は、通常4.5eV以上5.5eV以下である。前記RTXの仕事関数は、後述する遷移金属と比較して十分に小さく、RTXから遷移金属に対する高い電子供給能力を有する。

【0027】
本発明において用いられる前記RTXは、顕著な化学的安定性を示す。具体的には、前記RTXは大気中のみならず水中でも安定であり、水に曝露した後もその化学的性質は変化しない。

【0028】
式(1)の金属間化合物は、単独でアンモニア合成活性を有するだけでなく、水素吸放出特性を有する。
すなわち本発明で用いられる金属間化合物RTXは、その構造中に含有する電子を供給する反応剤又は反応促進剤として使用することができる。具体的には、例えば単独で、又は遷移金属を担持する等の方法で、遷移金属と共に使用することで、遷移金属に電子を供給する反応促進剤として使用することができ、より具体的には電子を供給する触媒用の材料として使用することができる。そして本発明で用いられる金属間化合物RTXは、水素と反応することで水素をヒドリド(H)として結晶構造内部に吸蔵し、またそのヒドリドを可逆的に放出することができる。すなわち前記RTXが電子を供給し、その結果生じた水素と反応し、吸蔵し、さらにはそれを可逆的に放出する水素化反応活性化剤として使用することもできる。具体的には、前記RTXは、水素と接触することにより、水素分子の結合(H-H)が活性化し、ヒドリドを生成する。このような水素化反応活性化剤として用いることにより、後述する触媒や、ヒドリドを用いる反応剤として利用することができる。このような使用方法により、水素だけでなく、窒素分子の結合も活性化することができる。また、本発明の金属間化合物は、有機化合物の水素化、脱水素、水素移動、水素化分解等の各種水素化反応の触媒として有用である。

【0029】
式(1)の金属間化合物の合成方法は特に限定されず、通常用いられる既知の方法で製造することができるが、具体的には固相反応法、アーク溶解法又はアーク蒸発法等で合成される。
固相反応法は、Rで示されるランタノイド元素と、Tで示される遷移金属と、Si又はGeとを化学量論比で混合し焼成する。R、T及びXは、粒状、塊状等、それぞれの原料として通常用いることができるものを適宜使用することができる。焼成温度は特に限定されないが、通常、1000℃以上であり、好ましくは1100℃以上であり、通常、1200℃以下である。
アーク溶解法は、RとTとXとの混合物を真空雰囲気下で共に融解させることでRTXを得る。アーク溶解法の条件は、特に限定はされず、前記RとTとが溶融し、RTXを形成する範囲において、通常用いられる条件を適宜選択して行なうことができる。
前記の方法でRTXを得た後、さらに高温に加熱し、具体的にはアニーリング処理をすることにより、所望の結晶型等に調整してもよい。アニーリング処理の条件は特に限定されないが、適宜既知の条件を使用することができ、所望の結晶型等に調整することができる条件を使用することができる。
アーク蒸発法(arc evaporation)においては、RとTとXとを含む基材を、アーク放電加熱により蒸発させ、その蒸気を回収することによりRTXを得る。アーク蒸発法の条件は特に限定はされず、所望のRTXが形成させる範囲において、通常用いられる条件を適宜選択して行うことができる。
前記の方法では、その構成元素の蒸気圧の違いに応じ、基材の組成を所望の元素比率に適合するように適宜調整することができる。具体的には、その構成元素中に蒸気圧の高い元素が含まれる場合は、通常、その蒸気圧の高い元素の比率が、所望のRTX中の元素比率より低い金属間化合物を基材として用いることにより調整することができる。
アーク蒸発法は各種反応性ガス雰囲気下で行うことができ、そのガス組成は特に限定はされないが、通常、水素とアルゴンガスの共存下で行うことが好ましい。
またその際の加熱温度は限定されるものではなく、通常得られたRTXは空気中又は水中にて安定であるため、容易に粉砕し様々な形状に加工して使用することが可能である。RTXの粉砕及び粉末加工は既知の方法で適宜行なうことができ、例えばメノウ乳鉢やボールミル等を用いて行う。
また前記アーク蒸発法では、通常、非常に小さな粒子径のRTXを得ることができ、具体的には数nm程度の粒子径のものを得ることができる。

【0030】
RTXで示される金属間化合物は、塊状や粉末でも、多孔体、固体焼結体、薄膜等の成型体でもよく、成型体の形状は特に限定はされない。
粉末の場合、その粒子径は特に限定されないが、通常10nm以上10μm以下であり、粒子径は小さいほど、触媒として用いた際、反応面で有利であるため好ましい。
本発明で用いられる金属間化合物のBET比表面積は、特に限定はされないが、通常、0.5m2/g以上70m2/g以下が好ましい。

【0031】
本発明で用いられる金属間化合物は、その表面を各種の表面処理を施して使用することができる。具体的には、酸やキレート化剤を用いて、前記金属間化合物に表面処理を行なって使用してもよい。
本発明で用いられる金属間化合物RTXの結晶は、図4に示すとおり、通常、その構成元素であるR、T、Xの各元素の層(以下、それぞれR層、T層、X層という)が積層したような構造を有している。そしてその結晶構造は、R層が表面上に表れている状態が最も安定である。そのため前記金属間化合物は、アーク融解等の製造方法により得られた時点や、その後所望の形状に加工した時点では、通常、その表面の大部分がR層で覆われている。
前記金属間化合物は、表面処理をすることにより、表面のR層が除去され、表面に表れているTの割合が増えることにより、ランタノイド(R)から電子の供与を受け、マイナスに帯電した遷移金属(T)の数(活性点の数)が増加する点で好ましい。さらにこれを触媒に用いた場合、触媒の性能が向上する点で好ましい。

【0032】
表面処理剤としては、前記の効果が得られれば特に限定はされないが、通常、酸やキレート化剤が挙げられる。酸としては、限定されないが、例えば塩酸、硫酸、リン酸、フッ酸、HF-BF3、ホウ酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸;クロロ酢酸、フロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸等の有機酸が挙げられ、好ましくは取り扱いが容易な点で、塩酸やギ酸である。

【0033】
酸の濃度は特に限定されないが、表面のみを処理する点では、通常は希薄な酸を用いることが好ましい。

【0034】
キレート化剤としては特に限定はされないが、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、グルコン酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレントリアミン六酢酸、1,3-プロパンジアミン四酢酸、1,3-ジアミノ2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸、エチレンジアミンジコハク酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリス、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸等を用いることができ、好ましくはEDTAである。

【0035】
<遷移金属担持金属間化合物>
本発明の遷移金属担持金属間化合物は、前記一般式(1)の金属間化合物に、遷移金属Mを担持したものである。

【0036】
<遷移金属M>
前記金属間化合物(1)に担持される金属は、遷移金属Mである。遷移金属Mとしては、周期表第4族から第11族の金属であればよいが、第8族、第9族又は第10族の金属がより好ましい。具体的な例としては、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptが挙げられ、さらにFe、Ru、Co、Rh、Ni、Pdがより好ましく、Fe、Ru、Co、Rhが、さらに好ましい。特に後述するアンモニア合成用触媒に好適な点ではFe、Ru、Coがさらに好ましく、そのうち最も活性が高い点でRuが最も好ましい。これらの遷移金属は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

【0037】
<遷移金属の担持>
遷移金属の金属間化合物(1)への担持は、特に限定されるものではなく、既知の方法により行なうことができ、遷移金属、又は遷移金属の前駆体となる化合物(以下、遷移金属化合物)を担持させて製造する。通常は、担持する遷移金属の化合物であって、還元や熱分解等により遷移金属に変換することができる遷移金属化合物を、前記金属間化合物(1)に担持させた後、遷移金属に変換する方法が用いられる。例えば遷移金属の化合物と金属間化合物(1)とを混合し、熱分解することにより行うことができる。
前記遷移金属化合物は特に限定されないが、熱分解し易い遷移金属の無機化合物又は有機遷移金属錯体等を用いることができる。具体的には遷移金属の錯体、遷移金属の酸化物、硝酸塩、塩酸塩等の遷移金属塩等を用いることができる。

【0038】
遷移金属化合物のうち、例えばRu化合物としては、トリルテニウムドデカカルボニル[Ru3(CO)12]、ジクロロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)[RuCl2(PPh34]、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)[RuCl2(PPh33]、トリス(アセチルアセトナト)ルテニウム(III)[Ru(acac)3]、ルテノセン[Ru(C55)]、ニトロシル硝酸ルテニウム[Ru(NO)(NO33]、ルテニウム酸カリウム、酸化ルテニウム、硝酸ルテニウム、塩化ルテニウム等が挙げられる。

【0039】
Fe化合物としては、ペンタカルボニル鉄[Fe(CO)5]、ドデカカルボニル三鉄[Fe3(CO)12]、ノナカルボニル鉄[Fe2(CO)9]、テトラカルボニル鉄ヨウ化物[Fe(CO)4I]、トリス(アセチルアセトナト)鉄(III)[Fe(acac)3]、フェロセン2[Fe(C552]、酸化鉄、硝酸鉄、塩化鉄(FeCl3)等が挙げられる。

【0040】
Co化合物としては、コバルトオクタカルボニル[Co2(CO)8]、トリス(アセチルアセトナト)コバルト(III)[Co(acac)3]、コバルト(II)アセチルアセトナト[Co(acac)2]、コバルトセン[Co(C552]、酸化コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト等が挙げられる。
これらの遷移金属化合物のうち、[Ru3(CO)12]、[Fe(CO)5]、[Fe3(CO)12]、[Fe2(CO)9]、[Co2(CO)8]等の遷移金属のカルボニル錯体は、担持した後、加熱することにより、遷移金属が担持されることから、本発明の遷移金属担持金属間化合物を製造する上で、後述する還元処理を省略できる点で好ましい。

【0041】
前記遷移金属化合物の使用量は、特に限定はされず、所望の担持量を実現するための量を適宜使用することができるが、通常は、用いる前記金属間化合物の質量に対して、通常、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。

【0042】
遷移金属の担持は、より具体的には、含浸法、物理的混合法、スパッタリング法又はCVD法(化学蒸着法)等の方法を用いて製造することができる。
含浸法としては、次の工程を採用できる。例えば、前記金属間化合物を、前記遷移金属化合物の溶液、に加えて撹拌する。このときの溶媒は特に限定はされず、水や各種有機溶媒を用いることができる。また前記遷移金属化合物は、溶媒に溶解させても、分散させてもよい。
次に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス気流中、又は真空下で加熱し、乾固する。このときの加熱温度は特に限定はされないが、通常50℃以上、300℃以下である。加熱時間は特に限定はされないが、通常30分以上、20時間以下である。

【0043】
ここで熱分解により遷移金属に変換される遷移金属化合物であれば、この段階で通常、遷移金属が担持され、本発明の遷移金属担持金属間化合物(以下、「本発明金属担持体」ともいう)となる。
熱分解により遷移金属に変換される遷移金属化合物以外のものを用いた場合は、乾固した遷移金属化合物を、通常還元することにより、本発明の金属担持体となる。
前記遷移金属化合物を還元する方法(以下、還元処理という)は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、還元性ガスを含む雰囲気下で行なう方法や、前記遷移金属化合物を含む溶液に、NaBH4、NH2NH2又は、ホルマリン等の還元剤を加えて前記金属間化合物の表面に遷移金属を析出させる方法が挙げられるが、好ましくは還元性ガスを含む雰囲気下で行なう。前記還元性ガスとしては水素、アンモニア、メタノール(蒸気)、エタノール(蒸気)、メタン、エタン等が挙げられる。
また前記還元処理の際に、本発明の目的、特にアンモニア合成反応を阻害しない、還元性ガス以外の成分が反応系を共存していてもよい。具体的には、還元処理の際に、水素等の還元性ガスの他に反応を阻害しないアルゴンや窒素といったガスを共存させてもよく、窒素を共存させることが好ましい。
前記還元処理を、水素を含むガス中で行なう場合、水素と共に窒素を共存させることで、後述するアンモニアの製造と並行して行なうことができる。すなわち、本発明の金属担持体を後述するアンモニア合成用触媒として用いる場合は、前記遷移金属化合物を、前記金属間化合物に担持させたものを、アンモニア合成反応の反応条件中に置くことにより、前記遷移金属化合物を還元し、遷移金属に変換してもよい。

【0044】
前記還元処理の際の温度は、特に限定はされないが、通常200℃以上であり、好ましくは300℃以上、通常1000℃以下であり、好ましくは600℃以下で行なう。前記の還元処理温度範囲内で行なうことで、前記遷移金属の成長が十分に、また好ましい範囲で起こるためである。
前記還元処理の際の圧力は、特に限定はされないが、通常、0.01MPa以上10MPa以下である。還元処理時の圧力は、後述するアンモニア合成条件と同じ条件にすると、煩雑な操作は不要になり製造効率の面で有利である。
前記還元処理の時間は、特に限定されないが、常圧で実施する場合は、通常1時間以上であり、2時間以上が好ましい。
また反応圧力の高い条件、例えば1MPa以上で行う場合は、1時間以上が好ましい。

【0045】
物理的混合法は、前記金属間化合物と、前記遷移金属化合物とを固相混合した後に窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス気流中、又は真空下で加熱する方法である。加熱温度、加熱時間は、上記含浸法と同様である。前記還元処理をすることによって本発明の金属担持体とする。
スパッタリング法では、例えばAr+等のイオンに電圧をかけることで加速させ、遷移金属の表面に衝突させ、表面の金属を蒸発させることで前記金属間化合物の表面に直接形成してもよい。

【0046】
CVD法は、遷移金属の錯体を真空中にて加熱することで蒸発させ、前記金属間化合物に付着させ、引き続き還元雰囲気中又は真空中で加熱して当該遷移金属化合物を還元することで当該遷移金属担持金属間化合物を得る。還元の方法は、前記の還元処理の方法と同様である。
加熱温度は100~400℃が好ましい。

【0047】
遷移金属Mの金属間化合物(1)に対する比は、後述する担持金属触媒として用いた際の触媒活性及びコストの点から、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。当該比は、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、また20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。

【0048】
本発明の遷移金属担持金属間化合物のBET比表面積は、1~3m2/g程度が好ましい。なお、遷移金属担持金属間化合物のBET比表面積は通常、前記金属間化合物のBET比表面積と同様の値となる。
また、前記金属間化合物上に担持されるRu等の遷移金属の分散度は、特に限定はされないが、通常2.0%以上40%以下である。遷移金属の分散度(%)は基材表面の触媒活性金属の均一性を示す物理量であり、大きい程好ましい。なお、分散度を求める際には1つのRu原子に1つのCO分子が吸着されると仮定した。

【0049】
遷移金属担持金属間化合物は、通常の成型技術を用い成型体として使用することができる。具体的には、粒状、球状、タブレット状、リング状、マカロニ状、四葉状、サイコロ状、ハニカム状等の形状が挙げられる。支持体に遷移金属担持金属間化合物をコーティングしてから使用することもできる。

【0050】
本発明の遷移金属担持金属間化合物は、担持された遷移金属に対する強力な電子供給能力を有する化合物、エレクトライドであり、かつ大気中及び水中で安定であるため、種々の担持金属触媒として有用である。

【0051】
本発明の担持金属触媒は、本発明の遷移金属担持金属間化合物をそのまま反応に用いても、必要に応じた成型等を行なってもよく、また本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記金属間化合物及び前記遷移金属以外の成分を含んでいてもよいが、通常は、本発明の金属担持物をそのまま用いることが好ましい。

【0052】
前記金属間化合物及び前記遷移金属以外の成分としては、SiO2、Al23、ZrO2、MgO、活性炭、グラファイト、SiCなどを前記金属間化合物の担体としてさらに含んでいてもよい。
本発明の担持金属触媒の形状は、特に限定はされず、前記遷移金属担持金属間化合物同様である。前記担持金属触媒の粒子径は特に限定はされないが、通常、10nm以上50μm以下である。
本発明の担持金属触媒における遷移金属の粒子径は、特に限定はされないが、通常、1nm以上100nm以下である。好ましくは、窒素解離の活性点であるステップサイト数が多くなる10nm以下、より好ましくは5nm以下である。

【0053】
本発明の担持金属触媒は、有機化合物の水素化、水素移動、水素化分解等の各種水素化反応の触媒として有用であり、特にアンモニア製造用触媒として有用である。本発明の担持金属触媒は、エレクトライドとしての性質を有する前記金属間化合物をその構成中に含むため、強力な電子供給能力(低い仕事関数)を有するためである。特にアンモニア合成触媒として用いた際には強固な窒素分子(N≡N)の解離を促すため、アンモニア製造用触媒として好ましい。

【0054】
<金属間化合物-水素複合体>
本発明の金属間化合物-水素複合体は、前記一般式(1)で表される金属間化合物に水素を吸着した複合体であり、下記一般式(2)で表される。

【0055】
RTX・aH・・・・・(2)
(式中、Rは、ランタノイド元素を示し、
Tは、周期表第4周期又は第5周期に属する遷移金属を示し、
Xは、Si、Al又はGeを示し、
aは、0.5以上1.5以下の数を示す)

【0056】
前記金属間化合物(1)は、水素を可逆的に吸着及び脱離することができる。そして前記金属間化合物(1)が吸着し、前記複合体(2)を形成した際、前記複合体(2)中の水素は、複合体(2)から従来の触媒に比べてより低い温度、具体的には通常400℃以下で、脱離することができる。
ここで水素を可逆的に吸着及び脱離するとは、前記金属間化合物(1)に水素を吸着することができ、その結果形成された金属間化合物との複合体から、吸着した水素を一定条件下で自由に脱離させることが、繰り返し可能であることをいう。
また複合体(2)から水素を脱離させる温度(以下、脱離温度)は、複合体(2)を加熱していった際に、水素の脱離が確認され始めた温度をいう。具体的には後述する水素吸蔵量測定方法に従って温度を昇温加熱していった際に、水素の脱離が観察され始めた温度をいう。

【0057】
この複合体(2)は、前記金属間化合物(1)に水素を接触させることにより製造される。製造方法は特に限定はされず、金属間化合物(1)に水素を吸蔵させる既知の方法で行なうことができるが、例えば、金属間化合物(1)を水素ガス雰囲気下で加熱する方法や、同じく水素ガス雰囲気下で加圧する方法が挙げられる。
複合体(2)製造時の温度は特に限定されないが、通常常温以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは200℃以上であり、通常500℃以下である。同様に製造時の圧力は特に限定されないが、通常1.0MPa以上ある。加熱する時間は特に限定はされないが、通常2時間以上、好ましくは8時間以上であり、通常12時間以下である。

【0058】
この複合体(2)は、水素を吸着していることから、有機化合物の水素化、水素移動、水素分解等の各種水素化反応の触媒として、特にアンモニア製造用触媒として有用である。また、水素を吸着後脱離する性質を示すことから、有機化合物の脱水素反応にも使用できる。

【0059】
<遷移金属担持金属間化合物-水素複合体>
本発明の遷移金属担持金属間化合物-水素複合体は、前記一般式(1)で表される金属間化合物に遷移金属Mを担持した化合物に水素を吸着した複合体であり、遷移金属担持前記一般式(2)の化合物に水素を吸着した複合体である。

【0060】
この複合体は、前記の遷移金属担持金属間化合物に水素を接触させることにより製造される。具体的には、前記の金属間化合物-水素複合体の製造方法と同様の方法を用いることができ、製造方法は特に限定はされず、前記の通り、金属間化合物(1)に水素を吸蔵させる既知の方法と同様の方法で行なうことができる。

【0061】
この複合体も、水素を吸着していることから、有機化合物の水素化、水素移動、水素分解等の各種水素化反応の触媒として、特にアンモニア製造用触媒として有用である。

【0062】
<アンモニアの製造>
本発明のアンモニアの製造方法(以下、本発明の製造方法ということがある)は、本発明の金属間化合物、担持金属触媒又は前記複合体を触媒として用い、水素と窒素とを前記触媒上で反応させてアンモニアを製造する方法である。
具体的な製造方法としては、水素と窒素とを前記触媒上で接触させてアンモニアを合成する方法であれば、特に限定されず、適宜既知の製造方法に準じて製造をすることができる。

【0063】
本発明のアンモニアの製造方法では、通常、水素と窒素とを前記触媒上で接触させる際に、触媒を加熱して、アンモニアを製造する。
本発明の製造方法における反応温度は特に限定はされないが、通常200℃以上、好ましくは250℃以上であり、より好ましくは300℃以上であり、通常600℃以下であり、好ましくは500℃以下であり、より好ましくは450℃以下である。アンモニア合成は発熱反応であることから、低温領域のほうが化学平衡論的にアンモニア生成に有利であるが、十分なアンモニア生成速度を得るためには上記の温度範囲で反応を行うことが好ましい。
本発明の製造方法において、前記触媒に接触させる窒素と水素のモル比率は、特に限定はされないが、通常、窒素に対する水素の比率(H2/N2(体積/体積))で、通常0.4以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、通常10以下、好ましくは5以下で行う。

【0064】
本発明の製造方法における反応圧力は、特に限定はされないが、窒素と水素含む混合ガスの圧力で、通常0.01MPa以上、好ましくは0.1MPa以上、通常20MPa以下、好ましくは15MPa以下、より好ましくは10MPa以下である。また実用的な利用を考慮すると、大気圧以上の加圧条件で反応を行うことが好ましい。

【0065】
本発明の製造方法において、窒素と水素とを前記触媒に接触させる前に、前記触媒に付着する水分や酸化物を、水素ガス等を用いて除去することが好ましい。除去の方法としては還元処理が挙げられる。

【0066】
本発明の製造方法においては、より良好なアンモニア収率を得るためには、本発明の製造方法に用いる窒素及び水素中の水分含有量が少ないことが好ましく、特に限定はされないが、通常、窒素と水素の混合ガス中の総水分含有量が100ppm以下、好ましくは、50ppm以下であることが好ましい。

【0067】
本発明の製造方法において、反応容器の形式は特に限定されず、アンモニア合成反応に通常用いることができる反応容器を用いることができる。具体的な反応形式としては、例えばバッチ式反応形式、閉鎖循環系反応形式、流通系反応形式等を用いることができる。このうち実用的な観点からは流通系反応形式が好ましい。また触媒を充填した一種類の反応器、又は複数の反応器を連結させる方法や、同一反応器内に複数の反応層を有する反応器の何れの方法も使用することができる。
水素と窒素からアンモニアを合成する反応は、体積収縮を伴う発熱反応であることから、アンモニア収率を上げるために工業的には反応熱を除去することが好ましく、通常用いられる除熱手段を伴う既知の反応装置を用いてもよい。例えば具体的には触媒が充填された反応器を直列に複数個連結し、各反応器の出口にインタークーラーを設置して除熱する方法等を用いてもよい。
【実施例】
【0068】
以下に示す実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0069】
(水素吸蔵量の測定)
試料中に含まれる水素の定量は、昇温脱離分析装置を用いて求めた。測定する試料(1.5~2.5mg)を、超高真空中でプログラム昇温加熱を行ない、前記加熱により試料から脱離する水素分子を四重極質量分析計で検出した。
[測定条件]
測定装置:昇温脱離分析装置 TDS 1400TV(電子科学株式会社製)
真空度 :3.0×10-7Pa
昇温速度:10℃/min
【実施例】
【0070】
(仕事関数の測定:紫外光光電子分光法(UPS)測定)
測定装置:VGS Class 150 electron analyser
励起光 :He I 21.2eV
測定条件:印可電圧 10V
【実施例】
【0071】
(表面の原子比率:XPS測定)
装置名 :島津製作所社製 ESCA-3200
X線源 :MgKα
印可電圧:8kV
真空度 :1×10-6Pa以下
【実施例】
【0072】
(実施例1)
<LaCoSiの合成>
ランタン(高純度化学社製:粒状、純度99.9%)2.8g(0.02mol)、コバルト(高純度化学社製:純度99.0%)1.2g(0.02mol)、及びケイ素(高純度化学社製:純度99.999%)0.56g(0.02mol)をそれぞれ秤量した。前記の材料を、アルゴン雰囲気中でアーク融解を行ない、塊状の試料とした後、真空中にて1000℃で5日間熱処理を行ない、金属間化合物LaCoSiを得た。当該金属間化合物をアルゴン雰囲気下でメノウ乳鉢を用いて粉砕し、錠剤に成型した後、800℃で10日間熱処理を行った。これらを再度、アルゴン雰囲気下でメノウ乳鉢を用いて粉砕し、粉末状のLaCoSiを調製した。
【実施例】
【0073】
<LaCoSiに含まれる水素の定量>
前記で得た粉末状のLaCoSiを、200℃、1.0MPaの条件下で、8時間加熱した後、室温まで冷却した試料を、前記の分析方法で水素吸蔵量を測定した。分析した結果を図1に示す。150℃付近から水素の脱離が観察され、450℃付近で最大値を示し、700℃付近まで水素の脱離が観察された。前記粉末状LaCoSiが放出した全水素量を見積もると、LaCoSi 1モルあたり1.0の原子比で水素が入っていることがわかった。水素化したLaCoSiは、LaCoSi・Hと表すことができる。また上記の方法で求めたLaCoSiの仕事関数は2.7eVであった。
【実施例】
【0074】
<LaCoSiへのRuの担持>
前記で得た粉末状LaCoSi 0.50gと、Ru3(CO)12(Aldrich社製、99%)0.060g(使用するLaCoSiに対し、担持される金属Ruとして5質量%に相当)をシリカガラス管内に挿入し、真空中にて70℃で1時間加熱した。その後引き続き120℃で1時間加熱し、粉末状LaCoSiの表面にRu3(CO)12を付着させた。最後に250℃で2時間加熱し、Ru3(CO)12を熱分解することにより、LaCoSiにRuを担持した担持物(以下、Ru/LaCoSi)を得た。
【実施例】
【0075】
<金属間化合物(Ruなし)を用いたアンモニア合成>
前記粉末状LaCoSiを触媒とし、この触媒を窒素と水素の混合ガスと接触させ、アンモニア合成反応を行った。前記LaCoSi 0.1gを石英ガラス管に詰め、固定床流通式反応装置を用いて反応を行った。原料の窒素ガスと水素ガスの水分濃度はそれぞれ検出限界以下であった。この反応時の原料ガスの流量は、窒素15mL/minと水素45mL/min(計60mL/min)であった。またこの反応時の反応圧力は大気圧(0.1MPa)であり、反応温度は400℃であり、反応時間は30時間であった。アンモニア合成反応によって生成したアンモニアの生成速度を経時的にクロマトグラフにより測定した結果、アンモニア生成速度は1.3mol/g・hrであった。結果を表1に示した。
【実施例】
【0076】
<金属間化合物(Ru担持)を用いたアンモニア合成>
前記Ru/LaCoSiを触媒とし、この触媒を窒素と水素の混合ガスと接触させ、アンモニア合成反応を行った。前記Ru/LaCoSi 0.1gを石英ガラス管に詰め、固定床流通式反応装置を用いて反応を行った。原料の窒素ガスと水素ガスの水分濃度はそれぞれ検出限界以下であった。この反応時の原料ガスの流量は、窒素15mL/minと水素45mL/min(計60mL/min)であった。またこの反応時の反応圧力は大気圧(0.1MPa)であり、反応温度は400℃であり、反応時間は30時間であった。アンモニア合成反応によって生成したアンモニアの生成速度を経時的にクロマトグラフにより測定した結果、アンモニア生成速度は5.1mol/g・hrであった。結果を表2に示した。
【実施例】
【0077】
(実施例2)
実施例1で使用した材料のうち、コバルトに代え、ルテニウム(高純度化学社製:純度99.9%)2.0g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物LaRuSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のLaRuSiを調製した。LaRuSiの仕事関数は2.4eVであった。
前記粉末状のLaRuSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は1.2mmol/g・hrであった。結果を表1に示した。
また得られた粉末状LaRuSiの表面状態をXPSで分析した結果を図2に示した。粉末状LaRuSiの表面に存在する各元素の原子比率は、La:Ru:Si=0.5:0.15:0.35であった。
【実施例】
【0078】
(実施例3)
実施例1で使用した材料のうち、コバルトに代え、鉄(高純度化学社製:純度99.9%)1.1g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物LaFeSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のLaFeSiを調製した。
【実施例】
【0079】
前記粉末状のLaFeSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は0.7mmol/g・hrであった。
【実施例】
【0080】
実施例1と同様の方法で、金属RuがLaFeSiに対して5質量%となるように担持させ、担持物Ru/LaFeSiを調製した。
前記のRu/LaFeSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は5.0mmol/g・hrであった。結果を表2に示した。
【実施例】
【0081】
(実施例4)
実施例1で使用した材料のうち、ケイ素に代え、ゲルマニウム(高純度化学社製:純度99.99%)1.5g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物LaCoGeを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のLaCoGeを調製した。
【実施例】
【0082】
前記のLaCoGeを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は0.5mmol/g・hrであった。結果を表1に示した。
【実施例】
【0083】
(実施例5)
実施例1で使用した材料のうち、ランタンに代え、ガドリニウム(高純度化学社製:粒状、純度99.9%)3.1g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物GdCoSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のGdCoSiを調製した。
【実施例】
【0084】
前記のGdCoSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は0.4mmol/g・hrであった。結果を表1に示した。
【実施例】
【0085】
(実施例6)
実施例3で使用した材料のうち、ランタンに代え、セリウム(高純度化学社製:粒状、純度99.9%)2.8g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物CeFeSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のCeFeSiを調製した。
前記のCeFeSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は0.3mmol/g・hrであった。結果を表1に示した。
【実施例】
【0086】
(実施例7)
実施例1で使用した材料のうち、コバルトに代え、スカンジウム(高純度化学社製:純度99.5%)0.90g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物LaScSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のLaScSiを調製した。
実施例1と同様の方法で、金属Ruが前記粉末状LaScSiに対して5質量%となるように担持させ、担持物Ru/LaScSiを調製した。
前記のRu/LaScSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は5.4mmol/g・hrであった。結果を表2に示した。
【実施例】
【0087】
(実施例8)
実施例7で使用した材料のうち、ランタンに代え、セリウム2.8g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物CeScSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のCeScSiを調製した。
実施例1と同様の方法で、金属RuがCeScSiに対して5質量%となるように担持させ、担持物Ru/CeScSiを調製した。
前記のRu/CeScSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は5.5mmol/g・hrであった。結果を表2に示す。
【実施例】
【0088】
(実施例9)
実施例7で使用した材料のうち、ランタンに代え、ガドリニウム3.1g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物GdScSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のGdScSiを調製した。
実施例1と同様の方法で、金属RuがGdScSiに対して5質量%となるように担持させ、担持物Ru/GdScSiを調製した。
前記のRu/GdScSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は3.7mmol/g・hrであった。結果を表2に示す。
【実施例】
【0089】
(実施例10)
実施例9で使用した材料のうち、スカンジウムに代え、チタン(高純度化学社製:純度99.0%)0.96g(0.02mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物GdTiSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のGdTiSiを調製した。
実施例1と同様の方法で、金属RuがGdTiSiに対し5質量%となるように担持させ、担持物Ru/GdTiSiを調製した。
前記のRu/GdTiSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は2.9mmol/g・hrであった。結果を表2に示す。
【実施例】
【0090】
(比較例1)
イットリウム1.6g(18.2mmol)及びケイ素0.31g(10.9mmol)をそれぞれ秤量した。それらをアルゴン雰囲気中でアーク融解を行ない、金属間化合物Y5Si3を得た。得られた塊状のY5Si3は、実施例1同様の方法で粉砕し、粉末状のY5Si3を調製した。
実施例1と同様の方法で、金属RuがY5Si3に対して5質量%となるように担持させ、担持物Ru/Y5Si3を調製した。
前記のRu/Y5Si3を触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は2.1mmol/g・hrであった。結果を表2に示した。
【実施例】
【0091】
(比較例2)
イットリウム0.88g(10.0mmol)及びゲルマニウム0.44gを用いた以外は比較例1と同様の方法により、金属間化合物Y5Ge3を得た。得られた塊状のY5Ge3は、実施例1同様の方法で粉砕し、粉末状のY5Ge3を調製した。
実施例1と同様の方法で、金属RuがY5Ge3に対して5質量%となるように担持させ、担持物Ru/Y5Ge3を調製した。
前記のRu/Y5Ge3を触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は1.9mmol/g・hrであった。結果を表2に示した。
【実施例】
【0092】
(比較例3)
ランタン2.5g(18.2mmol)及びケイ素0.31g(10.9mmol)を用いた以外は比較例1と同様の方法により金属間化合物La5Si3を合成した。得られた塊状のLa5Si3は、実施例1同様の方法で粉砕し、粉末状のLa5Si3を調製した。
実施例1と同様の方法で、金属RuがLa5Si3に対して5質量%となるように担持させ、担持物Ru/La5Si3を調製した。
前記のRu/La5Si3を触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は4.8mmol/g・hrであった。結果を表2に示した。しかし、Ru/La5Si3は、アンモニア合成反応中に分解し、LaH3等の水素化物に変化するため、基の金属間化合物の構造を維持できなかった。
【実施例】
【0093】
【表1】
JP2019013272A1_000002t.gif
【実施例】
【0094】
【表2】
JP2019013272A1_000003t.gif
【実施例】
【0095】
(実施例11)
実施例2で得られた粉末状のLaRuSi 0.2gを、0.02M塩酸10mL中に分散し、常温で超音波攪拌下、30分間浸漬した。引き続き水で洗浄した後、常温、真空下で乾燥し、塩酸で表面処理をしたLaRuSi(以下、塩酸処理LaRuSiという)を得た。
前記塩酸処理LaRuSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は1.5mmol/g・hrであった。結果を表3に示した。
【実施例】
【0096】
(実施例12)
実施例11において、0.02M塩酸水溶液に替えて、10質量%ギ酸水溶液を使用した以外は、実施例11と同様の手順で表面処理を行い、ギ酸で表面処理をしたLaRuSi(以下、10%ギ酸処理LaRuSiという)を得た。
前記10%ギ酸処理LaRuSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は1.6mmol/g・hrであった。結果を表3に示した。
【実施例】
【0097】
(実施例13)
実施例11において、0.02M塩酸水溶液に替えて、50質量%ギ酸水溶液を使用した以外は、実施例11と同様の手順で表面処理を行い、ギ酸で表面処理をしたLaRuSi(以下、50%ギ酸処理LaRuSiという)を得た。
前記50%ギ酸処理LaRuSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は1.9mmol/g・hrであった。結果を表3に示した。
【実施例】
【0098】
(実施例14)
実施例11において、0.02M塩酸水溶液に替えて、50質量%酢酸水溶液を使用した以外は、実施例11と同様の手順で表面処理を行い、酢酸で表面処理をしたLaRuSi(以下、酢酸処理LaRuSiという)を得た。
前記酢酸処理LaRuSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は1.3mmol/g・hrであった。結果を表3に示した。
【実施例】
【0099】
(実施例15)
実施例2で得られた粉末状のLaRuSi 0.2gを、1mMエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩(以下、EDTA)水溶液10mL中に浸漬し、3時間攪拌した。引き続き水で洗浄した後、常温、真空下で乾燥し、EDTAで表面処理をしたLaRuSi(以下、EDTA処理LaRuSiという)を得た。
前記EDTA処理LaRuSiを触媒として用いた以外は実施例1と同条件下でアンモニア合成反応を行った。アンモニアの生成速度は3.3mmol/g・hrであった。結果を表3に示した。
またEDTA処理後のLaRuSiの表面に存在する各元素の比率を前記の方法で測定したところ、La:Ru:Si=0.28:0.54:0.18であった。
EDTA処理前後のLaRuSiの表面状態をXPSで分析した結果を図2に示した。
EDTA処理前後の表面上に存在する各元素の比率の比較からEDTA処理によって表面のLa層が取り除かれ、表面に露出するRuの割合が大きくなることがわかった。
【実施例】
【0100】
【表3】
JP2019013272A1_000004t.gif
【実施例】
【0101】
(実施例16)
実施例15において、1mM EDTA水溶液に替えて、それぞれ濃度が5mM EDTA水溶液を使用した以外は、実施例15と同様の手順で表面処理を行なった。
これを触媒とし、実施例15と同条件下でアンモニア合成反応を行ったところアンモニアの生成速度は、5.0mmol/g・hrであった。
さらに、EDTA濃度をそれぞれ、10mM、50mM、100mMとしたもので表面処理を行ない、それぞれアンモニア合成反応を行ったところ、アンモニアの生成速度は、それぞれ4.3mmol/g・hr、2.1mmol/g・hr、1.7mmol/g・hrであった。結果を表4に示した。
【実施例】
【0102】
【表4】
JP2019013272A1_000005t.gif
【実施例】
【0103】
(実施例17)
実施例16で用いた5mM EDTA水溶液を用いた表面処理に対し、EDTA水溶液に浸漬させる時間を替えた処理を行い、各処理時間により得られたものをそれぞれ触媒として用いるアンモニア合成反応を行った。結果を表5に示した。
【実施例】
【0104】
【表5】
JP2019013272A1_000006t.gif
【実施例】
【0105】
(実施例18)
実施例1で原料として用いたコバルトを、銅(高純度化学社製、2.25g)に替え、7.3gのランタン(高純度化学社製)と2.0gのケイ素(高純度化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、金属間化合物LaCuSiを得た。当該金属間化合物を実施例1と同様に粉砕し、粉末状のLaCuSiを得た。なお、得られた金属間化合物LaCuSiの各元素の組成比は、La:Cu:Si=1:0.67:1.33であった。得られた粉末の比表面積は0.9m2/gであった。
前記の方法によって測定したLaCuSiの仕事関数は3.5eVであった。
得られた粉末状のLaCuSiを触媒として用いて、ニトロベンゼンの水素化反応を行った。
ニトロベンゼン61.5mg(0.5mmol)を、5mLのメタノールに溶解し、粉末状LaCuSi 10mgを触媒として加え、反応水素圧力3MPa、反応温度120℃で反応させたところ、定量的に反応した。反応速度は1.0mmol/g・hrであった。結果を図3に示した。
【実施例】
【0106】
(実施例19)
実施例1で用いた原料に替えて、10.0gのランタン(高純度化学社製)、0.32gの銅(高純度化学社製)及び2.1gのケイ素(高純度化学社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、原子比La:Cu:Si=1:0.065:1の金属間化合物(LaCu0.065Si1)を得た。これを基材として、Ar分圧0.03MPa、水素分圧0.03MPaの混合ガスアークを用いて蒸発させ、Ar/H2アーク蒸発法により、その蒸気を冷却し回収することでLaCuSiのナノ粒子を合成した。得られた金属間化合物LaCuSiの各元素の組成比は、La:Cu:Si=1:0.67:1.33であった。得られたLaCuSiのナノ粒子の比表面積は65m2/gであった。
得られたLaCuSiナノ粒子を触媒として用いて、実施例18と同様の方法でニトロベンゼンの水素化反応を行なった。反応速度は65.0mmol/g・hrであった。結果を図3に示した。反応収率、反応速度共に、実施例18に比べ大幅に向上した。
【実施例】
【0107】
(実施例20)
実施例18及び実施例19で得られたLaCuSiをそれぞれ触媒として用いて、官能基を有するニトロベンゼンを選択的に水素化し、対応するアニリン化合物を合成した。原料として用いる各ニトロベンゼン化合物0.5mmolを、メタノール5mLに溶解し、10mgのLaCuSiを触媒として加え、反応水素圧力3MPa、反応温度120℃で反応させた。いずれのニトロベンゼン化合物においても選択的な水素化反応は進行し、目的物を得ることができた。結果を表6に示した。
様々な官能基を有したニトロベンゼンの選択水素化反応に対しても、ナノ粒子化することで、触媒活性が大きく向上した。
【実施例】
【0108】
【表6】
JP2019013272A1_000007t.gif
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3