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明細書 :エッジ起因錯視生成装置、エッジ起因錯視生成方法、エッジ起因錯視生成プログラム、印刷媒体、ならびに、記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年6月20日(2019.6.20)
発明の名称または考案の名称 エッジ起因錯視生成装置、エッジ起因錯視生成方法、エッジ起因錯視生成プログラム、印刷媒体、ならびに、記録媒体
国際特許分類 G06T   5/00        (2006.01)
FI G06T 5/00 710
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 46
出願番号 特願2018-534410 (P2018-534410)
国際出願番号 PCT/JP2017/029433
国際公開番号 WO2018/034302
国際出願日 平成29年8月16日(2017.8.16)
国際公開日 平成30年2月22日(2018.2.22)
優先権出願番号 2016159771
優先日 平成28年8月16日(2016.8.16)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】新井 仁之
【氏名】新井 しのぶ
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100105924、【弁理士】、【氏名又は名称】森下 賢樹
審査請求 未請求
テーマコード 5B057
Fターム 5B057CA01
5B057CA07
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB07
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE06
5B057CE08
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH09
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC16
要約 任意の画像に適用でき、煩雑な作業をすることなく自動的にエッジ起因錯視を発生させることができ、またエッジ起因錯視を利用してコントラスト改善を図ることができる、エッジ起因錯視生成装置、方法、プログラム、記録媒体等を提供することを課題とする。方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを、画像データに対して適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出すことにより、および/または、取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施すことにより、エッジ起因錯視画像を生成すること、を特徴とする。
特許請求の範囲 【請求項1】
記憶部と制御部を少なくとも備えたエッジ起因錯視生成装置であって、
前記記憶部は、
方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを記憶するフィルタ記憶手段と、
画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出すことにより、および/または、前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出し、前記取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施すことにより、エッジ起因錯視画像を生成すること、
を特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエッジ起因錯視生成装置において、
前記制御部は、
前記二次元ディジタルフィルタを用いて、前記画像データに対して、多重解像度分解を行うことを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエッジ起因錯視生成装置において、
前記フィルタ記憶手段は、
前記画像データと同一の画像サイズの単位インパルス信号に対して前記二次元ディジタルフィルタを予め適用した単位インパルス応答を記憶することを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載のエッジ起因錯視生成装置において、
前記フィルタ記憶手段は、
方位性のない近似フィルタ、および、各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である、次数を有する広義かざぐるまフレームレットまたはかざぐるまウェーブレット・フレームを記憶することを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項5】
請求項4に記載のエッジ起因錯視生成装置において、
前記制御部は、
前記近似フィルタと高次数の前記詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に減衰させ、低次数の前記詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に増幅させることにより、前記エッジ起因錯視画像を生成することを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項6】
請求項4に記載のエッジ起因錯視生成装置において、
前記制御部は、
前記近似フィルタと低次数の前記詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に減衰させ、高次数の前記詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に増幅させることにより、前記エッジ起因錯視画像を生成することを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つに記載のエッジ起因錯視生成装置において、
前記制御部は、
前記比較的高い帯域成分あるいは前記高周波成分からなるエッジをエッジごとに一様な値に置き換えることにより前記エッジ起因錯視画像を生成することを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載のエッジ起因錯視生成装置において、
前記制御部は、
前記取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施し、前記エッジ以外の地の色を所定の色にすることを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載のエッジ起因錯視生成装置は、
コントラストの改善を目的として前記エッジ起因錯視画像を生成することを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項10】
請求項9に記載のエッジ起因錯視生成装置において、
前記制御部は、
コントラストの改善を目的として、
生成した前記エッジ起因錯視画像を、階調を適切にスケーリングしてから、もとの前記画像データに重畳的に足し合わせることを特徴とする、エッジ起因錯視生成装置。
【請求項11】
記憶部と制御部を少なくとも備えたコンピュータにおいて実行されるエッジ起因錯視生成方法であって、
前記記憶部は、
方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを記憶するフィルタ記憶手段と、
画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
を備えており、
前記制御部において実行される、
前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出すことにより、および/または、前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出し、前記取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施すことにより、エッジ起因錯視画像を生成すること、
を特徴とする、エッジ起因錯視生成方法。
【請求項12】
記憶部と制御部を少なくとも備えたコンピュータに実行させるためのエッジ起因錯視生成プログラムであって、
前記記憶部は、
方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを記憶するフィルタ記憶手段と、
画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
を備えており、
前記制御部に、
前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出すことにより、および/または、前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出し、前記取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施すことにより、エッジ起因錯視画像を生成すること、
を実行させるための、エッジ起因錯視生成プログラム。
【請求項13】
エッジ起因錯視画像の画像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記エッジ起因錯視画像は、
画像データにおいて、
方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタまたは高域通過フィルタ、もしくは、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを適用してなるエッジ起因錯視画像であって、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分が取り出され、および/または、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分が取り出されて、前記帯域成分もしくは前記高周波成分のエッジに彩色が施されていること、
を特徴とする画像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項14】
エッジ起因錯視画像が印刷された印刷媒体であって、
前記エッジ起因錯視画像は、
画像データにおいて、方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを適用してなるエッジ起因錯視画像であって、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分が取り出され、および/または、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分が取り出されて、前記帯域成分もしくは前記高周波成分のエッジに彩色が施されていること、
を特徴とする印刷媒体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジ起因錯視生成装置、エッジ起因錯視生成方法、エッジ起因錯視生成プログラム、印刷媒体、ならびに、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エッジをもつ領域の輝度や色彩が実際とは異なった輝度に見える錯視が発見されている。
【0003】
例えば、従来、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果が知られている。この錯視では、実際には同じ明るさの領域の境界に、階調が急峻に変化する部分がなだらかな変化の間にあるようなエッジを設けることによって、エッジの両側の領域の明るさが違って見える。ここで、下の図表は、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果の輝度の変化を表わすイメージ図であり、実線は、実際の輝度を示しており、破線は知覚される輝度を示している。このように、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果は、エッジで仕切られた同じ輝度の2つの隣り合う領域において、一方の領域からそのエッジの中の急峻な部分への輝度が滑らかな暗い変化で、もう一方が滑らかな明るい変化の場合、2つの領域の輝度が異なって見える錯視を引き起こす効果がある。
【表1】
JP2018034302A1_000003t.gif

【0004】
また、従来、墨絵効果が知られている(非特許文献2等参照)。この墨絵効果では、実際には同じ明るさの領域の境界に、異なる一様な階調の2本の線を隣り合せて急峻に変化するエッジをつくることにより、エッジの両側の領域の明るさが違って見える。下の図表は、墨絵効果の輝度の変化を表わすイメージ図であり、輝度の異なる2本の波打った矩形波型の線がエッジをなすとき、それぞれのエッジに囲まれる領域が、同じ輝度であるにもかかわらず異なって見える錯視を引き起こす。
【表2】
JP2018034302A1_000004t.gif

【0005】
色彩に関して、従来、水彩錯視が知られている(非特許文献6,7等参照)。水彩錯視は、線で囲まれた領域が実際とは異なる色に見える錯視であり、隣接する明るい色の線と暗い色の線で囲まれた領域が内側の線の色で薄く彩色されているように見える。なお、線の形状は、直線よりも波線の方が錯視が強く、明るい色が内側の時、また地が白の時に錯視効果が高くなることが知られている。また、ドットからなる点線でも錯視が起こることが報告されている(非特許文献6)。
【0006】
このように、エッジをもつ領域の輝度や色彩が、実際とは異なるように見える錯視(以下「エッジ起因錯視」と呼ぶ。)が幾つか見出されている(非特許文献1~7等参照)。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】北岡明佳, 「錯視入門」, 朝倉書店, 2010.
【非特許文献2】高島翠, 「無彩色における水彩効果—墨絵効果の成立条件について—」, 心理学研究, 79, 379-384.
【非特許文献3】Craik, K. J. W., "The Nature of Psychology: A Selection of Papers, Essays and Other Writings", Cambridge Univ. Press, 1966.
【非特許文献4】O’Brien, V., "Contour perception, illusion and reality", Journal of the Optical Society of America, 48 (1958), 112-119.
【非特許文献5】Cornsweet, T., "Visual Perception", Academic Press, 1970.
【非特許文献6】Pinna, B., Brelstaff, G., Spillmann, L., "Surface color from boundaries" Vision Research 41(2001), 2669-2676.
【非特許文献7】Pinna, B., Werner, J. S., Spillmann, L., "The watercolor effect: a new principle of grouping and figure-ground organization", Vision Research 43(2003) 43-52.
【非特許文献8】根津英風, 「プロジェクターの高画質化の取り組み」, NEC技報, Vol.60, No.3 (2007), 94-97.
【非特許文献9】Hitoshi Arai et al.,"2D tight framelets with orientation selectivity suggested by vision science", JSIAM Letters Vol.1, 9-12, 2009
【非特許文献10】Hitoshi Arai and Shinobu Arai, Finite Discrete, Shift-Invariant, Directional Filterbanks for Visual Information Processing, I : Construction、Interdisciplinary Information Sciences、Vol. 13,Nо.2 (2007), 255-273
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のエッジ起因錯視の作成方法は、単純な図形には適用できるものの、複雑な図形に適用することが難しいという問題点を有していた。
【0009】
例えば、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果や墨絵効果は、従来、描画ソフトなどを用いて画像ごとに、手作業でエッジを作成することにより、その効果をもつ画像を作成してきたので手間がかかり、デザインにも制約がある、という問題もある。また、クレイク・オブライエン・コーンスイート錯視は、エッジの輝度変化が跳躍点を除いて滑らかであるため、複雑な図形に対して錯視効果を加えた描画を行うことが難しいという問題点を有している。また、水彩錯視では、2色の近接した波線等を図形の輪郭に沿って描かなければならないため、技術を要するという問題点を有している(非特許文献1参照)。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、任意の画像に適用でき、煩雑な作業をすることなく自動的にさまざまな形状のエッジをもつエッジ起因錯視を発生させることができる、エッジ起因錯視生成装置、エッジ起因錯視生成方法、エッジ起因錯視生成プログラム、記録媒体、ならびに、印刷媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するため、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、記憶部と制御部を少なくとも備えたエッジ起因錯視生成装置であって、前記記憶部は、方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを記憶するフィルタ記憶手段と、画像データを記憶する画像データ記憶手段と、を備え、前記制御部は、前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出すことにより、および/または、前記取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施すことにより、エッジ起因錯視画像を生成すること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、前記制御部は、前記二次元ディジタルフィルタを用いて、前記画像データに対して、多重解像度分解を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、前記フィルタ記憶手段は、前記画像データと同一の画像サイズの単位インパルス信号に対して前記二次元ディジタルフィルタを予め適用した単位インパルス応答を記憶することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、前記フィルタ記憶手段は、方位性のない近似フィルタ、および、各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である、次数を有する広義かざぐるまフレームレットまたはかざぐるまウェーブレット・フレームを記憶することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、前記制御部は、前記近似フィルタと高次数の前記詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に減衰させ、低次数の前記詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に増幅させることにより、前記エッジ起因錯視画像を生成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、前記制御部は、前記近似フィルタと低次数の前記詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に減衰させ、高次数の前記詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に増幅させることにより、前記エッジ起因錯視画像を生成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、前記制御部は、前記比較的高い帯域成分あるいは前記高周波成分からなるエッジをエッジごとに一様な値に置き換えることにより前記エッジ起因錯視画像を生成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、前記制御部は、前記取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施し、前記エッジ以外の地の色を所定の色にすることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、コントラストの改善を目的として前記エッジ起因錯視画像を生成することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のエッジ起因錯視生成装置は、上記記載のエッジ起因錯視生成装置において、前記制御部は、コントラストの改善を目的として、生成した前記エッジ起因錯視画像を、階調を適切にスケーリングしてから、もとの前記画像データに重畳的に足し合わせることを特徴とする。
【0021】
また、本発明のエッジ起因錯視生成方法は、記憶部と制御部を少なくとも備えたコンピュータにおいて実行されるエッジ起因錯視生成方法であって、前記記憶部は、方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを記憶するフィルタ記憶手段と、画像データを記憶する画像データ記憶手段と、を備えており、前記制御部において実行される、前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出すことにより、および/または、前記取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施すことにより、エッジ起因錯視画像を生成すること、を特徴とする。
【0022】
また、本発明のエッジ起因錯視生成プログラムは、記憶部と制御部を少なくとも備えたコンピュータに実行させるためのエッジ起因錯視生成プログラムであって、前記記憶部は、方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを記憶するフィルタ記憶手段と、画像データを記憶する画像データ記憶手段と、を備えており、前記制御部に、前記画像データに対して、前記二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出すことにより、および/または、前記取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施すことにより、エッジ起因錯視画像を生成すること、を実行させることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は記録媒体に関するものであり、エッジ起因錯視画像の画像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記エッジ起因錯視画像は、画像データにおいて、方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを適用してなるエッジ起因錯視画像であって、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分が取り出され、および/または、前記帯域成分もしくは前記高周波成分のエッジに彩色が施されていること、を特徴とする画像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、エッジ起因錯視画像が印刷された印刷媒体であって、前記エッジ起因錯視画像は、画像データにおいて、方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを適用してなるエッジ起因錯視画像であって、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分が取り出され、および/または、前記帯域成分もしくは前記高周波成分のエッジに彩色が施されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、任意の画像に適用でき、煩雑な作業をすることなく自動的にエッジ起因錯視を発生させることができ、またエッジ起因錯視を利用してコントラスト改善を図ることができる、エッジ起因錯視生成装置、エッジ起因錯視生成方法、エッジ起因錯視生成プログラム、記録媒体、ならびに、印刷媒体を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本実施の形態が適用される本エッジ起因錯視生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、次数5のレベル3の最大重複かざぐるまフレームレット・フィルタに次数5のレベル1とレベル2の最大重複かざぐるまフレームレット・近似フィルタを循環相関積して得られるフィルタを示す図である。
【図3】図3は、次数7のレベル2(高周波数側)の最大重複かざぐるまフレームレット・フィルタにレベル1の最大重複かざぐるまフレームレット・近似フィルタを循環相関積したフィルタを示す図である。
【図4】図4は、次数7のレベル3(低周波数側)の最大重複かざぐるまフレームレット・フィルタにレベル1とレベル2の最大重複かざぐるまフレームレット・近似フィルタを循環相関積したフィルタを示す図である。
【図5】図5は、次数7、レベルkのかざぐるまフレームレットにおいて、近似部分をa(1)で表し、詳細部分をd(1)~d(99)の記号(番号)で表した図である。
【図6】図6は、本実施の形態におけるエッジ起因錯視生成装置100の基本処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、最大重複多重解像度分解のフィルタ・バンクの一例を示す図である。
【図8】図8は、実施例1の原画像を示す図である。
【図9】図9は、実施例1の重み付けを示す図表である。
【図10】図10は、実施例1にて得られた「滑らかなエッジに起因する錯視」を示す図である。
【図11】図11は、図10において同じ色の領域を白色で示した図である。
【図12】図12は、図10の中心を通る水平線上の輝度のグラフを示す図である。
【図13】図13は、実施例2にて用いたフィルタの重み付けを示す図表である。
【図14】図14は、実施例2にて用いたフィルタの重み付けを示す図表である。
【図15】図15は、実施例2にて用いたフィルタの重み付けを示す図表である。
【図16】図16は、実施例2の重み付けにより得られた錯視画像を示す図である。
【図17】図17は、図16の中心を通る水平線上の輝度のグラフを示す図である。
【図18】図18は、実施例3により得られた墨絵効果を示す図である。
【図19】図19は、図18の中心を通る水平線上の輝度のグラフを示す図である。
【図20】図20は、実施例4の原画像であり、3つの輝度で原画像が構成されている。
【図21】図21は、実施例4で図20の処理に用いた重み付けを示す図表である。
【図22】図22は、実施例4で図20の原画像から得られた錯視画像である。
【図23】図23は、実施例4において4つの異なる輝度をもつ原画像を示す図である。
【図24】図24は、実施例4で図23の処理に用いた重み付けを示す図表である。
【図25】図25は、実施例4の4つの輝度の原画像から得られた錯視画像を示す図である。
【図26】図26は、実施例5の原画像を示す図である。
【図27】図27は、図26を原画像とした滑らかなエッジの水彩錯視である。
【図28】図28は、実施例5の重み付けを示す図表である。
【図29】図29は、図26を原画像としたクレイク・オブライエン・コーンスイート効果型のエッジの水彩錯視を示す図である。
【図30】図30は、3次のかざぐるまフレームレットによる最大重複多重解像度分解で、フィルタの重み付けを示す図表である。
【図31】図31は、3次のかざぐるまフレームレットによる最大重複多重解像度分解で、フィルタの重み付けを示す図表である。
【図32】図32は、複数の色からなる複雑な図柄の原画像を示す図である。
【図33】図33は、図32を原画像とする水彩錯視を示す図である。
【図34】図34は、図33の白色以外の部分を黒に置き換えた図である。
【図35】図35は、重み付けを示す図表である。
【図36】図36は、実施例6にて用いた原画像である。
【図37】図37は、実施例6の重み付けを示す図表である。
【図38】図38は、図36の原画像を図37の重み付けでLを処理し、スケーリングして表示した図である。
【図39】図39は、図36の原画像に図38を適切にスケーリングして重畳的に加えた画像を示す図である。
【図40】図40は、実施例6の第二の重み付けを示す図表である。
【図41】図41は、図36の原画像を図40の重み付けでLにフィルタ処理した画像をスケーリングして表示した図である。
【図42】図42は、図36の原画像に図41の画像を適切にスケーリングして重畳的に加えた画像を示す図である。
【図43】図43は、レベル2における次数7の最大重複かざぐるまフレームレット・フィルタ(maximal overlap pinwheel framelet filters at level 2)にレベル1の近似フィルタを循環相関積して得たフィルタを示す図である。
【図44】図44は、テスト画像に対し、かざぐるまフレームレットによりレベル2の最大重複多重解像度分解(2nd stage of maximal overlap MRA decomposition by pinwheel framelet)を行った結果の各合成サブバンド信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明にかかるエッジ起因錯視生成装置、エッジ起因錯視生成方法、および、プログラム、並びに、印刷媒体、および、記録媒体の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。

【0028】
[エッジ起因錯視生成装置の構成]
次に、本エッジ起因錯視生成装置の構成について図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態が適用される本エッジ起因錯視生成装置の構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本実施の形態に関係する部分のみを概念的に示している。

【0029】
図1においてエッジ起因錯視生成装置100は、概略的に、制御部102と通信制御インターフェース部104と入出力制御インターフェース部108と記憶部106を備える。ここで、制御部102は、エッジ起因錯視生成装置100の全体を統括的に制御するCPU等である。入出力制御インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114に接続されるインターフェースである。また、記憶部106は、各種のデータベースやテーブルなどを格納する装置である。これらエッジ起因錯視生成装置100の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。

【0030】
記憶部106に格納される各種のファイル(フィルタファイル106aおよび画像データファイル106b)は、固定ディスク装置等のストレージ手段である。例えば、記憶部106は、各種処理に用いる各種のプログラム、テーブル、ファイル、データベース、および、ウェブページ等を格納する。

【0031】
これら記憶部106の各構成要素のうち、フィルタファイル106aは、(1)方位性のないフィルタまたは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、(2)比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタまたは高域通過フィルタ、または、(3)方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを記憶するフィルタ記憶手段である。(2)について、高い周波数の帯域を通過させるフィルタを用いるとエッジの両側が滑らかになり、そのエッジによるエッジ起因錯視が生成される。(以下、これを「滑らかなエッジに起因する錯視」と呼ぶ。)一方、高域通過フィルタを用いるとエッジの片側の滑らかさが失われ、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果と同様のタイプのエッジが生成される。(1)については、方位性のないフィルタや方位性のあるフィルタを組み合わせて作成した方位性のないフィルタを用いてもよい。また、これに限られず、原画像が特定の方向の領域境界のみからなる場合や方位ごとに異なるエッジを生成する場合は方位性のある偶型のフィルタや複数の方位性のある偶型フィルタに重みを付けて足し合わせて作成したフィルタでもよい。ここで偶型フィルタとはそのフィルタのもつ方位性の方向を軸としたとき、対称な形のフィルタをさす。(1)、(2)の条件をみたすフィルタによるフィルタリングには、錯視を発生させたい領域を明るいエッジもしくは暗いエッジで囲むまたは挟むようなエッジを作る効果がある。(3)の条件をみたすフィルタを適切に用いても同様の効果が得られる。

【0032】
ここで、フィルタファイル106aは、画像データと同一の画像サイズの単位インパルス信号に対して二次元ディジタルフィルタを予め適用した単位インパルス応答を記憶してもよい。なお、フィルタファイル106aは、上記(3)のように、方位性のない近似フィルタ、および、各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である、方位選択性ウェーブレット・フレームまたは方位選択性フィルタ・バンクを記憶してもよい。なお、本実施の形態において、「ウェーブレット」とは、古典的なウェーブレットや、狭義のウェーブレット等に限られず、広義のウェーブレットをも含む。例えば、ウェーブレットは、有限長波形、もしくは、0から増幅して速やかに0に収束するような振幅を伴う波様の振動であり、一例として、ガボール・フィルタや、カーブレットのようなウェーブレット擬きを含む。

【0033】
ここで、本実施の形態では、多様な周波数特性や方位性を有する、コンパクトな台をもつ微分可能な関数として表現することができるFIRフィルタとして、かざぐるまフレームレット(pinwheel framelet)(後述する項目[かざぐるまフレームレット]参照)を用いる場合があるが、これに限られず、例えば、単純かざぐるまフレームレット(simple pinwheel framelet)(非特許文献9:Hitoshi Arai et al.,“2D tight framelets with orientation selectivity suggested by vision science”, JSIAM Letters Vol.1, 9-12, 2009参照)や、かざぐるまフレームレットの定義式(例えば、項目[かざぐるまフレームレット]にて後述する、式Fk,l(θ,θ)または式Fk,l(θ,θ))を構成する項の係数、および/または、指数を変更して得られるフレームレット、単純かざぐるまフレームレットのフィルタの周波数応答関数を構成する項([非特許文献9])の係数を変更して得られるフレームレット等を用いてもよい。これら、および(上述した狭義の)かざぐるまフレームレットを総称して広義かざぐるまフレームレットと呼ぶ。ここで、「広義かざぐるまフレームレット」は、方位性のない近似フィルタ、および、各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合であって、次数を有するフィルタ・バンクである。換言すると、かざぐるまフレームレット、[非特許文献9]で導入した単純かざぐるまフレームレット、および、それらのフレームレットのフィルタに修正を加えたものを「広義かざぐるまフレームレット」という。広義かざぐるまフレームレットは、方位選択性のある2次元フレームレットである。また、広義かざぐるまフレームレットは、多重解像度分解ができ、多様な方位選択性をもち、有限長のフィルタからなるフィルタ・バンクであるという性質がある。なお、かざぐるまフレームレットは単純かざぐるまフレームレットよりも、よりヒトの脳内での視覚情報処理の特性を反映するという点で、優れた機能をもつ別のものであり、構成の方法も大きく異なるものである。

【0034】
また、本実施形態では、かざぐるまウェーブレット・フレーム(pinwheel wavelet frame)を用いてもよい(非特許文献10参照)。

【0035】
一例として、かざぐるまフレームレットは、ヒトの視覚皮質の単純細胞による情報処理を数理モデル化したものである。この分解は、ヒトの脳内で単純細胞により分解される信号の数理的なモデルである。かざぐるまフレームレットには、次数があり、次数は3以上の奇数で、次数が大きくなるほど、それだけ多くの方位を検出できるゆえ、多様なフィルタ作成が可能となる。なお、その分、フィルタの枚数は多くなり、計算時間も増すという性質がある。また、一例として、次数nのかざぐるまフレームレットのフィルタ数は、(n+1)+(n-1)となる。このうち、一つのフィルタが、近似フィルタであり、残りのフィルタが詳細フィルタである。ここで、図2は、次数5のレベル3の最大重複かざぐるまフレームレット・フィルタに次数5のレベル1とレベル2の最大重複かざぐるまフレームレット・近似フィルタを循環相関積して得られるフィルタである(循環相関積について、例えば、新井仁之著「線形代数 基礎と応用」株式会社日本評論社(2006年)を参照)。なお、かざぐるまフレームレットは、単純かざぐるまフレームレットに比べて、神経科学的に、より大脳皮質V1野の単純細胞に近いモデルになっている。

【0036】
このかざぐるまフレームレットは、次数5であるので、たとえば図2に示すように、各レベルについて左側の6×6個のフィルタと、右側の4×4個のフィルタを合わせて、合計で52枚のフィルタの集合からなっている。このうち、図の中央上部の黒い矩形で囲んだ1枚が、レベル1からレベル3までの近似フィルタの循環相関積により得られるフィルタであり、その他の51枚が、レベル3の詳細フィルタにレベル1から2までの近似フィルタを循環相関積して得られるフィルタである。詳細フィルタから作られる上記フィルタの方位性は、近似フィルタのみから作られるフィルタを中心として、およそ風車の回転する向きに並べている。なお、後に詳述するように、各次数のかざぐるまフレームレットによる最大重複多重解像度分解には、レベルがあり、レベル1はもっとも細かい部分(高周波部分)を検出する。図2は、レベル3のかざぐるまフレームレットであり、レベル2、3・・・と大きくなるにつれ、大まかな部分(低周波部分)が検出される。なお、フィルタファイル106aは、かざぐるまフレームレット等の方位選択性ウェーブレット・フレームを、関数の形式(フレームレット・フィルタの周波数応答関数等)で記憶してもよい。関数の具体例については後述する。

【0037】
なお、上記に限られず、本実施の形態において様々なウェーブレットを用いてもよい。ただし、本実施の形態において、多様な周波数成分や方位成分を増減させるため、好適には、多様な周波数特性や方位性を有する広義かざぐるまフレームレットまたはかざぐるまウェーブレット・フレームを用いる。ここで、ウェーブレットは、古典的なウェーブレットや、狭義のウェーブレット等に限られず、広義のウェーブレットをも含む。例えば、ウェーブレットは、有限長波形、もしくは、0から増幅して速やかに0に収束するような振幅を伴う波様の振動であり、一例として、ガボール・フィルタや、カーブレットのようなウェーブレット擬きを含む。また、フィルタファイル106aは、方位選択性ウェーブレット・フレームのようなフレームに限らず、方位選択性フィルタ・バンク等のフィルタ群や方位性のあるフィルタを記憶してもよい。各方位性のあるフィルタは、一例として、各方位性をもった複数の詳細フィルタであり、例えば、サブバンド信号等の成分がフィルタにより抽出される。なお、かざぐるまウェーブレット・フレームは、構成するフィルタの長さが原画像の画素数に応じて変化するのに対して、広義かざぐるまフレームレットは、フィルタの長さが画素数に関係しない、という性質がある。例えば、かざぐるまフレームレットは、方位選択性のある2次元フレームレットであり、ウェーブレット・フレームの一種である。また、方位性が多方向のかざぐるまフレームレットに限らず、方位性が水平方向、垂直方向、対角方向からなる双直交ウェーブレットフィルタ・バンクを用いてもよい。

【0038】
ここで、フィルタファイル106aに記憶されるフィルタは、かざぐるまフレームレット等の方位選択性ウェーブレット・フレームや方位選択性フィルタ・バンクそのものに限らず、これらから作成された、所定の周波数特性および/または所定の方位性をもつフィルタであってもよい。一例として、フィルタファイル106aに記憶されるフィルタは、単位インパルス信号の単位インパルス応答であってもよく、このようなディジタルフィルタは、画像データと同じ画素数の単位インパルス信号に広義かざぐるまフレームレットによる多重解像度分解を行って取得したサブバンド信号を足し合わせることにより再構成する際に、複数のフィルタのうち、所定の周波数特性および/または所定の方位性をもつフィルタの少なくとも一つに対応するサブバンド信号を、減衰または増幅させることにより得られる単位インパルス信号の単位インパルス応答である。このような、単位インパルス応答は、目的の原画像の画像データを高速計算するために用いられる。

【0039】
また、他の例として、フィルタファイル106aに記憶されるフィルタは、広義かざぐるまフレームレットの各フィルタに対する周波数応答関数において、所定の重みを付けて、それらを所定の方法で乗算、加算してフィルタ係数を計算することにより作成される画像処理用ディジタルフィルタであってもよく、その所定の重みは、複数のフィルタのうち、所定の周波数特性および/または所定の方位性をもつフィルタの少なくとも一つに対応するサブバンド信号を、減衰または増幅させる重みであってもよい。なお、所定の周波数特性および/または所定の方位性をもつフィルタの例や重み付けの例については後述する。

【0040】
また、画像データファイル106bは、画像データを記憶する画像データ記憶手段である。例えば、エッジ起因錯視のうち、エッジに起因する輝度の錯視を生成する場合、画像データファイル106bは、原画像の画像データとして、n階調のグレースケール画像を記憶してもよい(nは2以上の整数)。原画像の階調によって生成される錯視画像の錯視効果が変わり得るが、階調の幅は均等でなくともよい。なお、エッジ起因錯視のうち水彩錯視を生成する場合は、エッジを作成した後に任意の彩色を施すことができるので、画像データファイル106bに記憶される原画像としては、カラー画像を用いても、グレースケール画像を用いてもよい。また、コントラストの改善を目的としてエッジ起因錯視を利用する場合、原画像としては、カラー画像やグレースケール画像などの任意の画像データを用いることができる。ここで、画像データファイル106bに記憶される画像データは、予め各色成分ごとに色調や階調値等が記述された画像データであってもよく、本実施の形態で扱われる色成分によって記述されていない画像データであってもよい。なお、後者の場合には、後述する色空間変換部102fによって、所望の色空間に変換され、各色成分の強度として記述される。また、画像データファイル106bに記憶される画像データは、入力装置112を介して入力された画像データでもよく、外部システム200等からネットワーク300を介して受信した画像データでもよい。また、画像データは、カラー画像のイメージデータであってもよく、グレースケールのイメージデータであってもよい。カラーの場合は、例えば、CIE L色空間等による画像データに基づいて、本発明の処理を行ってもよい。なお、かざぐるまフレームレット等の方位選択性ウェーブレット・フレームにより多重解像度分解される前の元の画像(データ)を原画像(データ)と呼び、サブバンド信号に基づき再構成された後の画像(データ)を再構成画像(データ)と呼ぶ。また、多重解像度分解の分解フェーズにおけるサブバンド信号に処理を加えたものによる画像(データ)、または、多重解像度分解の合成フェーズにおけるサブバンド信号を足し合わせることにより再構成した画像(データ)を、処理画像(データ)と呼ぶ。すなわち、後者の処理画像(データ)は、再構成画像(データ)の一形態であるが、前者の処理画像(データ)は、再構成画像(データ)ではない。両者の区別を明確にするために、以下、前者の処理画像(データ)を「係数出力処理画像(データ)」と呼び、後者の処理画像(データ)を、「再構成処理画像(データ)」と呼ぶ場合がある。また、再構成処理画像(データ)に何らかの画像処理が施された画像も処理画像(データ)と呼ぶ。ここで、画像データファイル106bは、目的の原画像の画像データと同一の画像サイズ(画素数)の単位インパルス信号を画像データとして記憶してもよい。なお、画像データファイル106bに記憶された単位インパルス信号は、画像データとして同様にフィルタファイル106aに記憶されたフィルタ・バンクに入力され、出力された単位インパルス応答は、目的の原画像の画像データを高速計算するために用いられる。なお、画像データは、例えば、ラスタ形式またはベクタ形式の二次元画像データ等である。また、画像は、一例として、デザイン(意匠)、写真、文字等を表す、任意の画像であってもよい。また、画像は、静止画像に限らず、動画像(映像)であってもよい。

【0041】
再び図1に戻り、入出力制御インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114の制御を行う。ここで、出力装置114としては、モニタ(家庭用テレビを含む)等の表示装置や、プリンタ等の印刷装置等を用いることができる。また、入力装置112としては、カメラ等の撮像装置、外部記憶媒体に接続される入力装置等の他、キーボード、マウス、およびマイク等を用いることができる。

【0042】
また、図1において、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部102は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、フィルタ処理部102a、色空間変換部102f、および、処理画像出力部102gを備える。ここで、フィルタ処理部102aは、分解部102b、および、再構成部102cを備え、再構成部102cは、更に重み付け部102dを備える。

【0043】
このうち、フィルタ処理部102aは、方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方位選択性ウェーブレット・フレームもしくは方位選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを、画像データに対して適用するフィルタ処理手段である。より具体的には、フィルタ処理部102aは、二次元ディジタルフィルタを適用して、比較的高い周波数の帯域成分もしくは高周波成分を取り出すことによりエッジ起因錯視画像を生成してもよく、取り出した帯域成分もしくは高周波成分のエッジに彩色を施すことによりエッジ起因錯視画像を生成してもよい。例えば、フィルタ処理部102aは、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタ(高域バンドパスフィルタ)を適用することにより、エッジの両側を滑らかにさせて、本願発明者が考案した「滑らかなエッジに起因する錯視」を生成させてもよい。また、フィルタ処理部102aは、高域通過フィルタ(HPF:ハイパスフィルタ)を適用することにより、エッジの片側が滑らかでない、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果を発生させてもよい。

【0044】
また、フィルタ処理部102aは、「滑らかなエッジに起因する錯視」やクレイク・オブライエン・コーンスイート効果等の錯視画像において、所定の階調の閾値において画像の階調を多値化(少なくとも三値化)させることにより墨絵効果を有する錯視画像を生成させてもよい。例えば、フィルタ処理部102aは、255階調のグレースケールの錯視画像において128より大きい値を128+αとし(αは適当な値)、128未満の128-αとして、墨絵効果を奏する画像データを生成させてもよい。さらに、フィルタ処理部102aは、「滑らかなエッジに起因する錯視」やクレイク・オブライエン・コーンスイート効果等の錯視画像を利用して、写真等のコントラストを改善させてもよい。例えば、フィルタ処理部102aは、原画像の輝度画像データ(CIE LのL画像データ等)に対して二次元ディジタルフィルタを適用し、得られた錯視画像を原画像に重畳させることにより、コントラストを改善した処理画像を生成してもよい。

【0045】
また、フィルタ処理部102aは、「滑らかなエッジに起因する錯視」やクレイク・オブライエン・コーンスイート効果等の錯視画像を用いて、色彩に関するエッジ起因錯視である水彩錯視を生成させてもよい。例えば、フィルタ処理部102aは、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタ(高域バンドパスフィルタ)を適用することにより「滑らかなエッジに起因する錯視」を発生させる帯域成分を取り出し、取り出した帯域成分のエッジに彩色を施すことにより水彩錯視画像を生成してもよい。他の例として、フィルタ処理部102aは、高域通過フィルタ(HPF:ハイパスフィルタ)を適用することにより高周波成分を取り出し、取り出した高周波成分のエッジに彩色を施すことにより水彩錯視画像を生成してもよい。エッジ彩色の一例として、フィルタ処理部102aは、エッジの内側の領域の色(地の色)を白色とし、この領域を水彩錯視で着色したい色で、内側のエッジを着色してもよい。これにより、着色したエッジの内側領域は、全体が薄く彩色されているかのように見える錯視効果を奏する。エッジを着色する際は、エッジの階調の変化に応じて色が変化するように着色してもよく、またエッジを一様な色に着色してもよい.

【0046】
広義かざぐるまフレームレットやかざぐるまウェーブレット・フレームなどの方位選択性フィルタ・バンク等を用いる場合、一例として、フィルタ処理部102aは、近似フィルタと高次数の詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に減衰させ、低次数の詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に増幅させる重み付け等の処理を行ってもよいものである。また、フィルタ処理部102aは、方位性のない近似フィルタ、および、各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である、方位選択性ウェーブレット・フレームまたは方位選択性フィルタ・バンクによる多重解像度分解を行い、サブバンド信号を取得し、取得されたサブバンド信号を適切な重みを付けて足し合わせることにより画像を再構成してもよい。なお、フィルタ処理部102aは、ディジタルフィルタとして機能する回路等として構成されてもよい。ここで、図1に示すように、本実施の形態において、フィルタ処理部102aは、以下に示すように、分解部102bおよび再構成部102cを備える。

【0047】
このうち、分解部102bは、画像データに対して、多重解像度分解を行い、サブバンド信号を取得する分解手段である。例えば、分解部102bは、フィルタファイル106aに記憶された、かざぐるまフレームレット等の二次元フィルタによる多重解像度分解を行い、サブバンド信号を取得する分解手段である。ここで、サブバンド信号には、多重解像度分解の分解フェーズにおけるサブバンド信号と、多重解像度分解の合成フェーズにおけるサブバンド信号と、の2種類がある。両者の区別を明確にするために、以下、分解フェーズにおけるサブバンド信号を「分解サブバンド信号」と呼び、合成フェーズにおけるサブバンド信号を「合成サブバンド信号」と呼ぶ場合がある 。ここで、「多重解像度分解」は、最大重複多重解像度分解、最大間引き多重解像度分解、および、一部間引き一部重複多重解像度分解を含む(最大重複多重解像度分解について、例えば、新井仁之著「ウェーブレット」共立出版株式会社(2010年)参照)。なお、分解部102bにより多重解像度分解を計算する際に、循環相関積、循環畳み込み積が使われるが、それらは高速フーリエ変換を用いる公知の高速計算方法により計算してもよい。上述のように、かざぐるまフレームレット等の方位選択性ウェーブレット・フレームによる多重解像度分解には、レベルがある。ここで、図3および図4は、かざぐるまフレームレットのレベルによる違いを示すための図であり、図3は、レベル2(高周波数側)の最大重複かざぐるまフレームレット・フィルタにレベル1の最大重複かざぐるまフレームレット・近似フィルタを循環相関積したフィルタを示し、図4は、レベル3(低周波数側)の最大重複フレームレット・フィルタにレベル1とレベル2の最大重複かざぐるまフレームレット・近似フィルタを循環相関積したフィルタを示している。なお、いずれも次数は7であるので、(7+1)+(7-1)=100個のフィルタがある。

【0048】
一例として、分解部102bは、まず、レベル1のかざぐるまフレームレットによる最大重複多重解像度分解により、もっとも細かい部分(高周波部分)を検出し、レベル2,3・・・と大きくなるにつれ、大まかな部分(低周波部分)を検出する。

【0049】
かざぐるまフレームレットによる多重解像度分解には、分解フェーズと合成フェーズがある。各フェーズは、近似フィルタと詳細フィルタの配列(アレイ)からなるフィルタ・バンクにより構成されている。分解部102bは、分解フェーズおよび合成フェーズにおける画像処理を実行後、最終的に、原画像データを「フィルタ数×レベル」個の画像信号(すなわち、サブバンド信号)に分解する。

【0050】
例えば、次数7のかざぐるまフレームレットによるレベル5の最大重複多重解像度分解の場合、あるレベルk(k=1から5)のサブバンド信号には、1枚の近似フィルタにより得られる1つの近似部分と、99枚の詳細フィルタにより得られる99個の詳細部分がある。ここで、図5は、次数7、レベルkのかざぐるまフレームレットにおいて、近似部分をa(1)で表し、詳細部分をd(1)~d(99)の記号(番号)で表した図である。なお、記号(番号)の位置は、図3(k=2)または図4(k=3)における各フィルタの位置と対応づけられている。すなわち、a(1)およびd(1)~d(99)は、図3または図4における対応する位置のフィルタから取得されたサブバンド信号を表している。このように、かざぐるまフレームレットによる多重解像度分解には、分解フェーズと合成フェーズがあり、合成フェーズ後、「フィルタ数×レベル」個の信号が得られるが、これらの信号はサブバンド信号であり、分解フェーズ後で合成フェーズ前の分解サブバンド信号と区別するために合成サブバンド信号と呼ぶ場合がある。なお、以下の表は、原画像からの画像処理の経過に沿って用語をまとめた一覧である。広義かざぐるまフレームレット以外の方位選択性ウェーブレット・フレームまたは方位選択性フィルタ・バンクを用いる場合も同様である。
[表:用語一覧]
原画像
↓<分解フェーズ>
分解フェーズにおけるサブバンド信号(分解サブバンド信号)
・分解フェーズから出力される詳細係数(分解詳細係数)
・分解フェーズから出力される近似係数(分解近似係数)
↓<各種処理>
↓→ 処理画像(係数出力処理画像)
↓<合成フェーズ>
合成フェーズにおけるサブバンド信号(合成サブバンド信号)
・合成フェーズから出力される詳細係数
・合成フェーズから出力される近似係数
↓<再構成>
処理画像(再構成処理画像)

【0051】
また、再構成部102cは、分解部102bにより取得されたサブバンド信号を足し合わせることにより画像を再構成して、再構成画像データを取得する再構成手段である。例えば、再構成部102cは、上述した最大レベルの近似フィルタにより得られた近似部分のサブバンド信号と、すべての詳細フィルタにより得られた詳細部分のサブバンド信号を足し合わせることによって、画像を再構成して再構成画像データを取得する。このとき、かざぐるまフレームレットが完全再構成性であって、後述する重み付け部102dによる処理を行わなければ、再構成部102cは、原画像と同じ画像を再現する。換言すれば、再構成部102cは、重み付け部102dによる処理により特定のサブバンド信号を減衰(削除)したり増幅(強調)したりしてから、足し合わせることによって、原画像とは異なる再構成画像データ、すなわち処理画像データを取得する。

【0052】
ここで、上述した記号(番号)を用いて、完全再構成性と重み付け処理(画像処理)の関係について説明する。原画像の入力信号(原信号)をxとすると、最大重複多重解像度分解の完全再構成性は以下の式で表される。
x=a(1)+(d(1)+・・・+d(99))+・・・+(d(1)+・・・+d(99))

【0053】
ここで、近似部分と各詳細部分に対して適当な実数の係数を与えて、a5,1、b5,1、・・・、b5,99、・・・、b1,1、・・・、b1,99とする。この場合、再構成画像(信号)は以下の式で表される。
y=a5,1(1)+(b5,1(1)+・・・+b5,99(99))+・・・+(b1,1(1)+・・・+b1,99(99))

【0054】
このとき、各係数a5,1=b5,1=・・・=b5,99=・・・=b1,1=・・・=b1,99=1の場合は、明らかにx=y(原画像と再構成画像が同一)であり、完全再構成となる。本実施の形態において、一例として、重み付け部102dは、所定の周波数特性および/または所定の方位性をもつフィルタに対応するサブバンド信号の係数a5,1、b5,1、・・・、b5,99、・・・、b1,1、・・・、b1,99に、1ではない数値を設定することにより、原画像と同一ではない再構成画像(すなわち処理画像)を生成する。

【0055】
ここで、詳細フィルタの分類について説明する。詳細フィルタは、その方位性に基づいて、5種類に分類することができる。すなわち、ある方向に直交する軸を「直交軸」と呼ぶとすると、(1)直交軸と同方向の方位性をもつ詳細フィルタ、(2)直交軸に垂直方向の方位性をもつ詳細フィルタ、(3)直交軸に対し正の角度の方位性をもつ詳細フィルタ、(4)直交軸に対し負の角度の方位性をもつ詳細フィルタ、(5)方位分離されていない詳細フィルタ、の5つに分類することができる。ここで、直交軸に対する角度θは、反時計回りを正とし、-90°<θ≦+90°で表される。なお、直交軸に対して水平または垂直な方位性(θ=0°,90°)をもつ詳細フィルタは、(1)または(2)に分類するので、(3)または(4)には分類しない。また、「(5)方位分離されていない詳細フィルタ」では、直交軸に対する角度の絶対値が同一である正の角度と負の角度の両方の方位性を含んでいるので、(3)または(4)に分類しない。

【0056】
例えば、図5の例では、「(1)直交軸と同方向の方位性をもつ詳細フィルタ」に対応するサブバンド信号は、d(15)、d(23)、d(31)、d(39)、d(47)、d(55)、d(63)となる。また、「(2)直交軸と垂直方向の方位性をもつ詳細フィルタ」に対応するサブバンド信号は、d(1)~d(7)となる。また、「(3)直交軸に対し正の角度の方位性をもつ詳細フィルタ」に対応するサブバンド信号は、d(64)~d(99)となる。また、「(4)直交軸に対し負の角度の方位性をもつ詳細フィルタ」に対応するサブバンド信号は、d(9)~d(14)、d(17)~d(22)、d(25)~d(30)、d(33)~d(38)、d(41)~d(46)、d(49)~d(54)となる。また、「(5)方位分離されていない詳細フィルタ」に対応するサブバンド信号は、d(8)、d(16)、d(24)、d(32)、d(40)、d(48)、d(56)~d(62)となる。

【0057】
また、詳細フィルタは、その周波数特性によっても特徴付けることができる。すなわち、かざぐるまフレームレットの近似フィルタを中心に、近似部分から同心円状に広がる詳細フィルタは、中心から遠ざかるほど高周波成分を通過させ、中心に近づくほど低周波成分を通過させるという特徴を有する。換言すると、かざぐるまフレームレットのフィルタ配置において近似フィルタから遠い側の詳細フィルタは、高周波成分のサブバンド信号を取得し、フィルタ配置において近似フィルタから近い側の詳細フィルタは、低周波成分のサブバンド信号を取得する。

【0058】
図5の例では、最も低周波側の周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号は、d(7)、d(14)、d(15)、d(64)となる。次に低周波側の周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号は、d(6)、d(13)、d(21)~d(23)、d(65)、d(70)、d(71)となる。そして、次に低周波側の周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号は、d(5)、d(12)、d(20)、d(28)~d(31)、d(66)、d(72)、d(76)~d(78)となる。次に低周波側の(比較的中周波の)周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号は、d(4)、d(11)、d(19)、d(27)、d(35)~d(39)、d(67)、d(73)、d(79)、d(82)~d(85)となる。そして、次に低周波側の(比較的高周波側の)周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号は、d(3)、d(10)、d(18)、d(26)、d(34)、d(42)~d(47)、d(68)、d(74)、d(80)、d(86)、d(88)~d(92)となる。そして、次に低周波側の(比較的高周波側の)周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号は、d(2)、d(9)、d(17)、d(25)、d(33)、d(41)、d(49)~d(55)、d(69)、d(75)、d(81)、d(87)、d(93)、d(94)~d(99)となる。そして、次に低周波側の(最も高周波側の)周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号は、d(1)、d(8)、d(16)、d(24)、d(32)、d(40)、d(48)、d(56)~d(63)となる。

【0059】
以上が、詳細フィルタの分類についての説明である。ここで、再構成部102cは、図1に示すように、重み付け部102dを備える。

【0060】
重み付け部102dは、所定の周波数特性(定めるところの特定の周波数特性)および必要に応じて所定の方位性(定めるところの特定の方位性)をもつフィルタに対応するサブバンド信号を減衰または増幅させる重み付け手段である。一例として、重み付け部102dは、複数のフィルタのうち、フィルタ配置において近似フィルタと、近似フィルタから遠い側の詳細フィルタに対応する合成サブバンド信号を相対的に減衰させ、フィルタ配置において近似フィルタから近い側の詳細フィルタに対応する合成サブバンド信号を相対的に増幅させる重み付けを行うことにより、エッジ起因錯視成分を得られるように画像処理を行ってもよい。より具体的には、上述したかざぐるまフレームレットの近似フィルタに対応する合成サブバンド信号と近似フィルタに遠い位置にある高周波側の周波数特性をもつ詳細フィルタに対応する合成サブバンド信号に対する重み係数を0に近い値とし、近似フィルタから近い位置にある高周波側の周波数特性をもつ詳細フィルタに対応する合成サブバンド信号に対する重み係数を1に近い値に設定してもよい。また、重み付け部102dは、所定の周波数特性に加えて必要に応じて所定の方位性をもつ詳細フィルタに対応する合成サブバンド信号を減衰または増幅させる重み付けを行うことにより、所定の方位性成分が増減されるように画像処理を行ってもよい。例えば、上述したかざぐるまフレームレットの所定の周波数特性に加えて所定の方位性を有する詳細フィルタに対応する合成サブバンド信号に対する重み係数を1に近い値とし、それ以外を0に近い値に設定することにより、方位性を加味したエッジ起因錯視を生成することができる。

【0061】
ここで、重み付け部102dは、分解部102bにより取得されたサブバンド信号に重み係数をかけて足し合わせることにより重み付けしてもよく、関数形式で記憶されたフレームレット・フィルタの周波数応答関数に重み付けを行ってもよく、その後各フィルタ係数を導き出してもよく、あるいは重み付けした各周波数応答関数を所定の方法で乗算、加算し、フィルタ係数を求めてフィルタファイル106aに格納しておくことにより、高速に再構成画像データを得られるようにしてもよい。また分解フェーズおよび/または合成フェーズにおけるフィルタに重み付けしてもよい。なお、重み付け部102dによる重み付け処理の下、フィルタ処理部102aが、画像データと同じ画素数の単位インパルス信号に対して単位インパルス応答を予め取得してフィルタファイル106aに格納しておくことにより、単位インパルス応答を用いて高速に再構成画像データを得られるようにしてもよい。すなわち、フィルタ処理部102aは、新たな画像データに対して単位インパルス応答を用いた循環畳み込み積を求めることにより高速に処理画像データを得ることができる。

【0062】
本実施の形態において、重み付け部102dは、一例として、かざぐるまフレームレットの各レベルでの方位に基づく所定のフィルタ配置における位置、および/または、多重解像度分解におけるレベルにより、所定の周波数特性を指定することにより、所定の周波数成分が得られるように重み付けしてもよい。例えば、重み付け部102dは、多重解像度分解における所定レベルで近似フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に減衰させる重み付けを行うことにより、低周波成分を除去して高周波成分を得られるように画像処理を行ってもよい。なお、この処理のため、分解部102bは、所定レベルまでの多重解像度分解を行うこととして、重み付け部102dは、最大レベルの近似フィルタにより得られた近似部分のサブバンド信号を相対的に減衰させる重み付け(例えば、最大レベルである所定レベルの近似部分の係数ak,1を0に設定)を行ってもよい。これに限らず、分解部102bは、所定レベルより大きなレベルまで多重解像度分解を行う場合に、重み付け部102dは、所定レベルより大きなレベルの詳細部分および最大レベルの近似部分を相対的に減衰させる重み付けを行ってもよい。

【0063】
また、重み付け部102dは、複数のフィルタのうち、フィルタ配置において近似フィルタに近い側(低周波数側)の詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に増幅させ、フィルタ配置において近似フィルタと近似フィルタから遠い側の詳細フィルタに対応するサブバンド信号を相対的に減衰させる重み付けを行うことにより、エッジ起因錯視効果を得られるように画像処理を行ってもよい。より具体的には、上述したかざぐるまフレームレットの近似フィルタに対応するサブバンド信号と近似フィルタから遠い位置にある高周波側の周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号の係数を0に近い値とし、近似フィルタに近い位置にある低周波側の周波数特性をもつ詳細フィルタに対応するサブバンド信号の係数を1に近い値に設定してもよい。

【0064】
再び図1に戻り、色空間変換部102fは、色空間の変換や色成分の分解・合成等を行う色空間変換手段である。一例として、錯視画像をグレースケールとして計算した場合でも、色空間変換部102fは、輝度のみが変化するカラー画像に変換してもよい。また、色空間変換部102fは、画像データファイル106bに記憶された画像データがカラー画像の場合であって、本実施の形態で用いる色成分によってデータが記述されていない場合、目的の色空間(例えば、CIELAB色空間)に変換してもよい。反対に、色空間変換部102fは、画像データファイル106bに記憶された画像データがカラー画像でない場合に、出力する錯視画像データを色付けする変換を行ってもよい。その他、色空間変換部102fは、画像データファイル106bに記憶された画像データの階調の調整や変更(通常の画像をn階調の画像に変更することや、n階調からm階調への変更・調整など)等を行う。なお、必要ならば色空間変換部102fは、再構成部102dによる画像データ再構成処理において、色成分の合成や、色空間の変換、輝度・色のスケール変換、画像データの階調の調整や変更等を行う。

【0065】
また、処理画像出力部102gは、フィルタ処理部102aにより取得されたエッジ起因錯視を生じさせる処理画像データ(係数出力処理画像データまたは再構成処理画像データ等)を、出力装置114に出力する処理画像出力手段である。例えば、処理画像出力部102gは、モニタ等の表示装置に処理画像を表示出力してもよく、プリンタ等の印刷装置に処理画像を印刷出力して印刷媒体を製造してもよく、記録媒体格納装置に処理画像データを出力して記録媒体に処理画像データを格納することにより記録媒体を製造してもよい。印刷対象の媒体としては、例えば、紙、プラスティック、ガラス、金属、透明シート(一例としてOHPシート)等であってもよく、例えば、チラシやうちわ、カード、絵本、年賀状、クリスマスカード、名刺、缶などの容器等の形態であってもよい。また、処理画像出力部102gは、錯視画像を分割して複数の媒体に出力し(たとえばエッジと地を別々の媒体に出力し)、それを重ねることにより錯視が知覚できるようにしてもよい。なお、出力する形態に応じて、処理画像出力部102gは、用途に応じたデザイン変更(例えば、はがきサイズ等に変更)を行ってもよい。また、処理画像出力部102gは、処理画像データをネットワーク300を介して外部システム200に送信してもよい。

【0066】
すなわち、このエッジ起因錯視生成装置100は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、ネットワーク300に通信可能に接続されてもよい。図1において、通信制御インターフェース部104は、エッジ起因錯視生成装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信制御を行う。すなわち、通信制御インターフェース部104は、通信回線等に接続されるルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。図1において、ネットワーク300は、エッジ起因錯視生成装置100と外部システム200とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット等である。

【0067】
図1において、外部システム200は、ネットワーク300を介して、エッジ起因錯視生成装置100と相互に接続され、画像データやかざぐるまフレームレットに関する外部データベースや、コンピュータをエッジ起因錯視生成装置として機能させるためのプログラムを提供する機能を備えてもよい。ここで、外部システム200は、WEBサーバやASPサーバ等として構成していてもよい。また、外部システム200のハードウェア構成は、一般に市販されるワークステーション、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその付属装置により構成していてもよい。また、外部システム200の各機能は、外部システム200のハードウェア構成中のCPU、ディスク装置、メモリ装置、入力装置、出力装置、通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等により実現される。

【0068】
以上で、本実施の形態におけるエッジ起因錯視生成装置100の構成の説明を終える。

【0069】
[エッジ起因錯視生成装置100の処理]
次に、このように構成された本実施の形態における本エッジ起因錯視生成装置100の処理の一例について、以下に図6および図7を参照して詳細に説明する。

【0070】
[基本処理]
まず、エッジ起因錯視生成装置100により実行される画像処理の一例として、基本処理について説明する。

【0071】
基本処理として、エッジ起因錯視生成装置100は、記憶部106のフィルタファイル106aにおいて、方位性のないフィルタもしくは方位性をもった偶型フィルタであって、且つ、比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタもしくは高域通過フィルタ、または、方位性のない近似フィルタおよび各方位性をもった複数の詳細フィルタの集合である方選択性ウェーブレット・フレームもしくは方選択性フィルタ・バンクである、二次元ディジタルフィルタを記憶している。

【0072】
そして、エッジ起因錯視生成装置100の制御部102は、画像データファイル106bに記憶された2階調以上の画像データに対して、フィルタファイル106aに記憶された二次元ディジタルフィルタを適用することにより、エッジ起因錯視画像を生成する。ここで、エッジ起因錯視の生成処理に多重解像度分解を用いる場合について、以下に図6および図7を参照して基本処理について説明する。図6は、本実施の形態におけるエッジ起因錯視生成装置100の基本処理の一例を示すフローチャートである。なお、エッジ起因錯視の生成処理は多重解像度分解を用いず、所定の二次元ディジタルフィルタを適用する処理でもよい。

【0073】
まず、分解部102bは、画像データファイル106bに記憶された画像データに対して、フィルタファイル106aに記憶された広義かざぐるまフレームレットまたはかざぐるまウェーブレット・フレームによる最大重複多重解像度分解を行い、サブバンド信号を取得する(ステップS-1)。ここで、図7は、かざぐるまフレームレットによる多重解像度分解の分解フェーズおよび合成フェーズのフィルタ・バンクの一例を示す図である。図中の数字は、レベルを表している。PWは、詳細フィルタであり、Aは、近似フィルタである。

【0074】
図7に示すように、まず、分解部102bは、レベル1のかざぐるまフレームレットを用いて、原画像を入力信号として、詳細フィルタPW1を通過する分解サブバンド信号と、1枚の近似フィルタA1を通過する信号に分解する。次に、分解部102bは、レベル1の近似フィルタA1を通過した信号を、レベル2のかざぐるまフレームレットを用いて、レベル2の詳細フィルタPW2を通過する分解サブバンド信号と、レベル2の近似フィルタA2を通過する信号に分解する。そして、分解部102bは、分解フェーズで得られた信号を合成フェーズのフィルタ・バンクにかけ、最終的に、99×5の合成サブバンド信号(詳細部分)と、1の合成サブバンド信号(近似部分)を取得する。

【0075】
すなわち、図7に示すように、再構成部102cの重み付け部102dは、フィルタ・バンクの複数のフィルタのうち、少なくとも一つに対応する合成サブバンド信号に対して係数処理を行い、近似フィルタと近似フィルタから離れた詳細フィルタに対応するサブバンド信号を減衰させ、近似フィルタに近い詳細フィルタに対応するサブバンド信号を増幅させることにより、エッジ起因錯視画像を生成する(ステップS-2)。

【0076】
そして、処理画像出力部102gは、ステップS-2において重み付け等の各種処理が施されたエッジ起因錯視の処理画像データを取得する(ステップS-3)。

【0077】
以上が、本実施の形態において多重解像度分解を用いた場合の基本処理の一例である。本実施形態によれば、任意の画像に適用でき、煩雑な作業をすることなく自動的にエッジ起因錯視を発生させることができる。本実施形態によれば、エッジの段差を付けるディジタルフィルタを考案し、複雑で多様な画像から自動的にエッジ起因錯視を作ることが可能となる。

【0078】
本実施形態によれば、公知のクレイク・オブライエン・コーンスイート効果や墨絵効果をもつエッジ起因錯視画像だけでなく、新しいタイプのエッジ起因錯視画像も作ることができる。本願発明者は、この新しいタイプのエッジに起因する輝度の錯視を、「滑らかなエッジに起因する錯視」と名付けた。本実施形態のディジタルフィルタによるフィルタリングにより、複雑なデザインや図柄に対しても、瞬時にこれらのエッジ起因錯視画像を生成できるようになった。ディジタルフィルタによるフィルタリングで生成するため、元の画像は、エッジを操作しやすいベクタ形式である必要はなくラスタ形式でもよいので、原画像として既存の画像を利用することができるなど、原画像の自由度も高い。

【0079】
また、エッジの輝度変化のタイプは「滑らかなエッジに起因する錯視」、「クレイク・オブライエン・コーンスイート効果」、「墨絵効果」でそれぞれ異なるので、使い分けることにより錯視画像の印象を変えることができる。また、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果や墨絵効果は、通常、2つの輝度が異なって見える領域をもたらすのに対し、本実施形態では2つ以上の複数の輝度が異なって見える領域を一枚の画像の中に簡単に作り出すことができる。

【0080】
本実施形態によれば、さらにグレースケールの錯視画像だけでなく、輝度が異なって見えるカラーの錯視画像も作成できる。このほか水彩錯視も容易に作成することが可能である。水彩錯視の場合も、さまざまなタイプのエッジを作成し、水彩錯視の効果を生むことができる。特に本実施形態によれば滑らかなエッジによる水彩錯視を作成することができる。滑らかなエッジによる水彩錯視は公知のものではなく、本実施形態により初めて作成されたものである.本願発明者はこれを滑らかなエッジの水彩錯視と名付けた。滑らかなエッジに起因する錯視の本生成技術を用いたコントラストに関する画像処理を行うことができる。

【0081】
本実施形態によれば、多様な画像からエッジに起因する錯視を作成できるようになり、デザイナーが考案した画像や、既存の画像をエッジに起因する錯視にすることも可能になった。錯視効果は人の関心を引くという特性をもっているので、宣伝効果の高いポスターやパンフレットの作成が可能になる。芸術分野では、従来のオプアートでは既存の錯視を活用したアート作品が作られることが多かったが、本実施形態により、作品にあった新しい錯視画像を作成することができるようになり、新しいオプアートのための技術の1つにもなる。錯視のポストカード、うちわ、クリアフォルダー、包装紙、商品パッケージにも合う錯視画像の生成にも用いることができる。また、本実施形態の技術は、コントラストに関する画像処理にも応用でき、それはコピー機、プロジェクターなどへ応用してもよい。

【0082】
[エッジ起因錯視生成処理の実施例]
次に、エッジ起因錯視生成装置100によるエッジ起因錯視生成処理の実施例を以下に示す。なお、以下の実施例においては、多重解像度構造(最大重複、あるいはレベルによって間引きの数を変えた多重解像度構造のことを意味する。)をもつフィルタ・バンクの一部を二次元ディジタルフィルタとして用いるとして説明するが、本発明はこれに限られず、予め準備した単位インパルス応答等によりエッジ起因錯視生成を行ってもよい。例えば、原画像に対して多重解像度分解を行い、その合成サブバンド信号に適切な重みを付けて足し合わせて処理画像を得ることと、あらかじめ単位インパルス応答によりフィルタを作成し、それと原画像の循環畳み込み積により処理画像を得ることは同じことなので、どちらの方法を用いてもよいものである。

【0083】
より具体的には、原画像と同じ画像数の0からなる配列を作成し、左上の1点のみ1として単位インパルスとする。これをたとえば7次のかざぐるまフレームレットで適切なレベルまで最大重複多重解像度分解をする。得られた合成サブバンド信号に適切な重みを付けて足し合わせることによりフィルタが得られる。原画像とこのフィルタの循環畳み込み積を行うことにより得られる出力画像に、適切なスケーリングを施すことにより錯視画像が得られる。

【0084】
なお、以下の実施例においては、特に断らない限りは7次のかざぐるまフレームレットと最大重複多重解像度分解を用いて作成したディジタルフィルタを用いた。ただし、フィルタの作成方法は、これに限らない。かざぐるまフレームレットを用いたディジタルフィルタとその作成方法については、国際特許公開WO2013/128781を参照して用いることができる。広義かざぐるまフレームレットは、本実施例を実施するために必要なフィルタの性質(1)方位性のないフィルタまたは方位性をもった偶型フィルタであって、(2)比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタまたは高域通過フィルタをもつフィルタを作成するのに適している。

【0085】
[実施例1]
ここで、図8は、実施例1の原画像を示す図である。原画像として図8の2階調の千鳥格子画像を用いた。図9は、実施例1の重み付けを示す図表である。フィルタの重み付けは、図9のように行った。レベル1は、表記していないがすべて0とした。なお、以下の記述においても同様に、下位のレベルの表記がない場合は、下位のレベルがすべて0であることを意味する。

【0086】
図10は、実施例1にて得られた「滑らかなエッジに起因する錯視」を示す図である。図10では、濃いグレーと薄いグレーからなっているように見えるものの、これは錯視であり、実際には図形のエッジ部分以外は同じ色である。図11は、図10において同じ色の領域を白色で示した図である。

【0087】
ここで、図12は、図10の中心を通る水平線上の輝度のグラフを示す図である。図11および図12に示すように、エッジ以外の部分は、同じ色であることがわかる。図9の重みづけにより方位性のない比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタの効果が得られる。このフィルタの効果とは、原画像における明るい領域と暗い領域の境のところには、処理画像においては滑らかな正の値をもつエッジとその隣に滑らかな負の値をもつエッジを生成するものである。また、原画像における輝度の変化のない部分は、処理画像では0となる。この処理画像を0の値が地の輝度になるように、またエッジの高さが錯視効果に適するようにスケーリングすると、図10の錯視画像が得られる。なお、エッジは両側が滑らかである。これはクレイク・オブライエン・コーンスイート効果や墨絵効果とは異なる新しいタイプのエッジ起因錯視である。

【0088】
[実施例2]
実施例2では、実施例1と異なるフィルタを用いることにより、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果をもつ錯視画像を作成した。図13~図15は、実施例2にて用いたフィルタの重み付けを示す図表である。この重みづけにより方位性のない高域通過フィルタの効果が得られる。

【0089】
図16は、実施例2の重み付けと適切なスケーリングにより得られた錯視画像を示す図である。図17は、中心を通る水平線上の輝度のグラフを示す図である。図17に示すように、片側のエッジが滑らかであり、図16に示すように、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果を奏することが確かめられた。

【0090】
[実施例3]
実施例3では、実施例1の滑らかなエッジに起因する錯視から、墨絵効果をもつ錯視画像を作成した。実施例1の錯視画像では、同じ色の領域の値が256階調の128である。ここで、αを適切な値とする。錯視画像の128より大きい値を128+α、128未満の値を128-αとし、適切にスケーリングすると図18が得られた。図18は、実施例3により得られた墨絵効果を示す図である。図19は、その中心を通る水平線上の輝度のグラフを示す図である。エッジが矩形であり、一様な輝度の線になっていることがわかる。

【0091】
以上の実施例1~3のように、本実施形態によれば、滑らかなエッジに起因する錯視のみならず、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果や墨絵効果など様々なエッジ起因錯視画像を作成することができることが確かめられた。

【0092】
[実施例4]
本実施例4では滑らかなエッジに起因する錯視のうち、3つの輝度が異なって見える領域をもつ錯視画像と、4つの輝度が異なって見える領域をもつ錯視画像の例を実証する。なお、この例では錯視画像はカラーである。ここで、図20は、実施例4の一つ目の原画像であり、3つの輝度で原画像が構成されている。図21は、実施例4で図20の処理に用いた重み付けを示す図表である。図22は、実施例4で図20の原画像から得られた錯視画像である。

【0093】
図22では、例えば、背景、魚の縞の明るい帯、暗い帯が異なった色に見えるが、実際は同じ色である。ここでは、CIE LのLに原画像を用い、aとbはそれぞれ一定の値をもつようにし、Lにのみ処理を加えることにより、カラーの滑らかなエッジに起因する錯視を作成している。

【0094】
同様にして、図23は、実施例4の二つ目の原画像であり、4つの異なる輝度で原画像が構成されている。図24は、実施例4で図23の処理に用いた重み付けを示す図表である。図25は、実施例4の4つの輝度の原画像から得られた錯視画像を示す図である。

【0095】
図25では、例えば、背景、明るい花、暗い花、葉が異なった色の4種類の輝度で表されているように見えるが、実際には同じ色である。

【0096】
このように本発明によれば実際には同じ輝度であっても複数の輝度が異なって見える領域をもつ錯視画像を自動的に生成することができる。これは本発明のフィルタの効果により、原画像において輝度の差が大きいところでは処理画像に高いエッジが生成され、差が小さいところでは低いエッジが生成されるからである。なお、実施例4では、二つの原画像についてそれぞれ異なったレベルのフィルタを用いた。原画像の細かさなどの特徴により、フィルタを変えることにより、効果的な錯視画像を生成することができる。

【0097】
[水彩錯視の生成]
ここで、線で囲まれた領域が実際とは違う色に見える錯視として、他に水彩錯視が知られている(非特許文献6,非特許文献7参照)。水彩錯視は、隣接する明るい色の線と暗い色の線で囲まれた領域が、内側の線の色で薄く彩色されているように見える錯視である。線の形状は直線よりも波線の方が錯視が強く、明るい線が内側の時、また地が白の時錯視効果が高いことが知られている。ドットからなる点線でも錯視が起こることが非特許文献6で報告されている。

【0098】
2色の波線を描かなければならないため、水彩錯視図形を描くためには技術が必要であることが、非特許文献1に記されている。しかし、本発明の実施形態を用いれば、複雑な線からなる水彩錯視を作成することができる。また、本発明では滑らかなエッジの水彩錯視やクレイク・オブライエン・コーンスイート効果型のエッジの水彩錯視も作成することができる。

【0099】
フィルタやフィルタリングの方法は、「滑らかなエッジに起因する錯視」と同様である。さらに、このフィルタリングによりエッジを作成した後、エッジに彩色し、地を白にする。原画像はカラー画像を用いても、グレースケールを用いてエッジを作成した後、任意の色をつけてもよい。以下に実施例を示す。

【0100】
[実施例5]
図26は、実施例5の原画像を示す図であり、図27は、図26を原画像とした滑らかなエッジの水彩錯視である。図27に示すように、エッジ以外は実際には白であるが、オレンジ色で囲まれた領域が薄いオレンジ色に見える錯覚を引き起こす。

【0101】
図28は、実施例5の重み付けを示す図表である。用いたのは7次のかざぐるまフレームレットによる最大重複多重解像度分解である。この例では原画像をCIE Lab に変換し、最大重複多重解像度分解を行い、錯視画像のもととなるデータを得た。さらに得られたデータのLに対応するものについて、正負それぞれについてある種の正規化をし、絶対値をとる。それを適切にスケーリングしたものを100から引く。なおこのスケーリングは錯視画像のエッジの先端部が原画像の対応した部分の色に近くなるように行い、錯視画像に原画像の色が反映するようにするものである。また100から引くことによって、地が白になる。a、bについては、スケーリングまでを同様に行うが、変化のない部分の値はほぼ0なので、地を白にするための処理は必要ない。

【0102】
図29は、図26を原画像としたクレイク・オブライエン・コーンスイート効果型のエッジの水彩錯視を示す図である。図30および図31はフィルタの重み付けを示す図表である。用いたのは、3次のかざぐるまフレームレットによる最大重複多重解像度分解である。

【0103】
本実施例にて、複数の色からなる水彩錯視や複雑な図柄の水彩錯視を作成することができることを確かめられた。図32は、複数の色からなる複雑な図柄の原画像を示す図である。図33は、図32を原画像とする水彩錯視を示す図である。フィルタリングにより作成したエッジ部分を原画像の色で置き換え、それ以外の部分を白に置き換えることにより、線で描画された錯視画像を生成した。図33に示すように、蝶の羽が黄色く、桜の花がピンク色に見えるなどの錯視が起きている。なお、図34は、図33の白色以外の部分を黒に置き換えたものである。つまり、図33にて色彩が見える領域の内側は、すべて白色である。なお、図35は、重み付けを示す図表であり、用いたのは3次のかざぐるまフレームレットによる最大重複多重解像度分解である。

【0104】
[実施例6]
応用として、「錯視を起こすエッジを生成するフィルタ」で画像を処理することにより、コントラストが改善して見える画像を生成することができる。非特許文献8では、ハイパスフィルタで画像を処理し、クレイク・オブライエン・コーンスイート効果により立体感や見かけ上のコントラストを改善することが報告されているが、この方法ではハイパスフィルタを使用するため必ず輪郭強調をともなう。

【0105】
一方、本発明の実施形態による画像処理では「滑らかなエッジに起因する錯視」を利用してコントラストが改善して見えるようにする。「滑らかなエッジに起因する錯視」は比較的高い周波数の帯域を通過させるフィルタを利用するので、不必要な輪郭強調を抑えることができる。また輪郭強調により輪郭部分が白くなってしまう部分も抑えることができる。

【0106】
ここでは、原画像をCIE L色空間に変換し、Lを滑らかなエッジを生成するフィルタで処理した。それを適切にスケーリングして原画像に加える。なお、使用する色空間はCIE Lに限らず、処理する色成分も輝度以外でもよい。ここで、図36は、実施例6にて用いた原画像であり、図37は、実施例6の最初の例の重み付けを示す図表である。また、図38は、図36の原画像を図37の重み付けでLを処理し、スケーリングして表示した図である。

【0107】
図39は、図36の原画像のLに図38を適切にスケーリングして重畳的に加えた画像を示す図である。図39に示すように、コントラストが改善されて見え、奥行きがより感じられるようになることが確かめられた。図39では、レベル1のフィルタを使用しているので輪郭もはっきりしている。

【0108】
次の例として、レベル2のフィルタを用いた。図40は、実施例6の第二の重み付けを示す図表である。図41は、図36の原画像を図40の重み付けでLにフィルタ処理した画像を示す図である。図42は、図36の原画像のLに図41の画像を適切にスケーリングして重畳的に加えた画像を示す図である。

【0109】
図42に示すように、コントラストが改善されて見え、奥行きがより感じられるようになる。また、図39より輪郭の強調は少ない。このように用途に合わせてフィルタを選択し、その用途に適した効果を得ることができることが確かめられた。

【0110】
[かざぐるまフレームレット]
本実施の形態で、例として用いているかざぐるまフレームレットは、上述したように公知の単純かざぐるまフレームレットあるいはかざぐるまウェーブレット・フレームなどの方位選択性ウェーブレット・フレーム、或いは方位選択性をもつフィルタ・バンクでもよい。ここで、かざぐるまフレームレットについて以下に説明する。

【0111】
次数をn≧3,奇数として、A=(Ak,l):(n+1)×(n+1)対称行列で、s=0,1・・・,[n/2],t=s,・・・,[n/2]に対して、As,t=An-s,t=As,n-t=An-s,n-t=sを満たす行列をみつける。ただし[]はガウス記号を表す。

【0112】
n=7の場合、条件を満たす行列は以下である。
【数1】
JP2018034302A1_000005t.gif

【0113】
B=(Bk,l):(n+1)×(n+1)行列とすると、以下の条件(P)を満たす行列である。
【数2】
JP2018034302A1_000006t.gif
【数3】
JP2018034302A1_000007t.gif

【0114】
【数4】
JP2018034302A1_000008t.gif
【数5】
JP2018034302A1_000009t.gif
ここで、Mは、方形格子、五の目格子、あるいは六角格子のサンプリング行列である。

【0115】
【数6】
JP2018034302A1_000010t.gif
【数7】
JP2018034302A1_000011t.gif
【数8】
JP2018034302A1_000012t.gif

【0116】
補題2(H.&S.Arai,2008) Pが方形格子,五の目格子,六角格子に関するフレームレット・フィルタであるための必要十分条件は、B=(Bk,l)が以下の条件をみたすことである。
【数9】
JP2018034302A1_000013t.gif

【0117】
<上記条件を満たすB=(Bk,l)の求め方>
{(k,l):k=0,1,・・・,n,l=s,・・・,n,}を次のように順序付ける。
【数10】
JP2018034302A1_000014t.gif

【0118】
μ=(k,l),ν=(k´,l´)
【数11】
JP2018034302A1_000015t.gif
【数12】
JP2018034302A1_000016t.gif
【数13】
JP2018034302A1_000017t.gif

【0119】
定理3(H.&S.Arai,2008)以上で得たB=(Bk,l)は補題2を満たす。したがって、Pは方形格子,五の目格子,六角格子に関するフレームレット・フィルタになっている。Pを、次数nのかざぐるまフレームレット(pinwheel framelet of degree n)とよぶ。図43は、レベル2における次数7の最大重複かざぐるまフレームレット・フィルタ(maximal overlap pinwheel framelet filters at level 2)にレベル1の近似フィルタを循環相関積して得たフィルタを示す図である。また、図44は、テスト画像に対し、かざぐるまフレームレットによりレベル2の最大重複多重解像度分解(2nd stage of maximal overlap MRA decomposition by pinwheel framelet)を行った結果の各合成サブバンド信号を示す図である。

【0120】
以上で、本実施の形態の説明を終える。

【0121】
以上詳述に説明したように、本実施の形態によれば、任意の画像に適用でき、煩雑な作業をすることなく自動的にエッジ起因錯視を発生させることができる、エッジ起因錯視生成装置、エッジ起因錯視生成方法、および、プログラム、並びに、印刷媒体、および、記録媒体を提供することができるので、色彩の施された製品等を製造・販売等する産業(印刷、デザイン、映像、塗装等の産業)の他、映像等のサービスを提供するサービス業の他、画像処理や画像解析等の分野において極めて有用である。

【0122】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。

【0123】
例えば、エッジ起因錯視生成装置100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、エッジ起因錯視生成装置100は、クライアント端末(エッジ起因錯視生成装置100とは別筐体)からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却するようにしてもよい。例えば、エッジ起因錯視生成装置100は、ASPサーバとして構成され、ユーザ端末からネットワーク300を介して送信された原画像データを受信し、この原画像データに基づいて加工した処理画像のデータを、ユーザ端末に返信してもよい。

【0124】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。

【0125】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。

【0126】
また、エッジ起因錯視生成装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。

【0127】
例えば、エッジ起因錯視生成装置100の各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、後述する、コンピュータに本発明に係る方法を実行させるためのプログラム化された命令を含む、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じてエッジ起因錯視生成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。

【0128】
また、このコンピュータプログラムは、エッジ起因錯視生成装置100に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。

【0129】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、MO、DVD、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。

【0130】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。

【0131】
記憶部106に格納される各種のデータベース等(フィルタファイル106a、画像データファイル106b)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。

【0132】
また、エッジ起因錯視生成装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、エッジ起因錯視生成装置100は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。

【0133】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施の形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施の形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0134】
100 エッジ起因錯視生成装置
102 制御部
102a フィルタ処理部
102b 分解部
102c 再構成部
102d 重み付け部
102f 色空間変換部
102g 処理画像出力部
104 通信制御インターフェース部
106 記憶部
106a フィルタファイル
106b 画像データファイル
108 入出力制御インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 外部システム
300 ネットワーク
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明はエッジ起因錯視生成に利用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
43