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明細書 :発光色調の制御方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-139030 (P2020-139030A)
公開日 令和2年9月3日(2020.9.3)
発明の名称または考案の名称 発光色調の制御方法
国際特許分類 C09K  11/06        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI C09K 11/06
H05B 33/14 B
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 25
出願番号 特願2019-034658 (P2019-034658)
出願日 平成31年2月27日(2019.2.27)
発明者または考案者 【氏名】國信 洋一郎
【氏名】森 敏彰
【氏名】吉越 裕介
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】110000084、【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 3K107
Fターム 3K107AA01
3K107CC06
3K107CC09
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD66
3K107DD70
3K107FF00
3K107FF14
要約 【課題】溶液状態だけでなく固体状態でも優れた発光特性を示し、広範囲の発光色調を制御可能な手段の提供。
【解決手段】(a)蛍光物質、(b)前記成分(a)と非共有結合性相互作用する物質及び(c)媒質、を含有する組成物において、組成物中の成分(a)、成分(b)及びそれらの錯体の平衡定数を変化させるか、又は組成物中の成分(c)中の成分(a)の含有比率若しくは成分(c)中の成分(a)及び成分(b)の重量比率を変化させることを特徴とする発光色調の制御方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)蛍光物質、(b)前記成分(a)と非共有結合性相互作用する物質及び(c)媒質、を含有する組成物において、組成物中の成分(a)、成分(b)及びそれらの錯体の平衡定数を変化させるか、又は組成物中の成分(c)中の成分(a)の含有比率若しくは成分(c)中の成分(a)及び成分(b)の重量比率を変化させることを特徴とする発光色調の制御方法。
【請求項2】
前記組成物が、溶液状組成物又は固体状組成物である請求項1記載の発光色調の制御方法。
【請求項3】
蛍光物質が、式(1)で表される化合物である請求項1又は2記載の発光色調の制御方法。
【化1】
JP2020139030A_000019t.gif
(式中、Ar1及びAr2は、同一又は異なって芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素を示す)
【請求項4】
成分(b)が、ブレンステッド酸、ルイス酸又はハロゲン結合ドナーである請求項1~3のいずれか1項記載の発光色調の制御方法。
【請求項5】
前記成分(a)と成分(b)の平衡定数をK=0.1からK=106に変化させる請求項1~4のいずれか1項記載の発光色調の制御方法。
【請求項6】
前記成分(c)中の成分(a)の含有比率を0.01mMから100mM又は前記成分(c)中の成分(a)および成分(b)の重量比率を0.01%から100%に変化させる請求項1~5のいずれか1項記載の発光色調の制御方法。
【請求項7】
(a)蛍光物質、(b)前記成分(a)と非共有結合性相互作用する物質及び(c)媒質、を含有する発光組成物。
【請求項8】
前記組成物が、溶液状組成物又は固体状組成物である請求項1記載の発光組成物。
【請求項9】
蛍光物質が、式(1)で表される化合物である請求項7又は8記載の発光組成物。
【化2】
JP2020139030A_000020t.gif
(式中、Ar1及びAr2は、同一又は異なって芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素を示す)
【請求項10】
成分(b)が、ブレンステッド酸、ルイス酸又はハロゲン結合ドナーである請求項7~9のいずれか1項記載の発光組成物。
【請求項11】
前記成分(a)、成分(b)及びそれらの錯体の平衡定数がK=0.1からK=106範囲である請求項7~10のいずれか1項記載の発光組成物。
【請求項12】
前記成分(c)中の成分(a)の含有比率が0.01mMから100mM又は前記成分(c)中の成分(a)及び成分(b)の重量比率が0.01%から100%である請求項7~11のいずれか1項記載の発光組成物。
【請求項13】
補色関係を有する2つのピーク波長を呈する白色発光体である、請求項7~12のいずれか1項記載の発光組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液状又は固体状組成物の発光色調の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光性有機化合物は、生体標識材料、有機エレクトロニクス材料、化学センサ、及び有機レーザなど幅広い分野で用いられており、新たな発光性材料の開発研究が盛んに行われている。とりわけX線や紫外線、又は可視光線の照射により発光する蛍光性有機化合物は上記の用途のほか有機蛍光塗料などにも利用可能である。
しかしながら、一般に発光性有機材料として用いられる分子は強固で平面性の高い分子が多いことから、溶液中では分子同士の接触や相互の干渉が少なく強く発光するものの、結晶状態などの固体状態では放出される電磁波のエネルギーが近傍の平面分子の影響を受けて減衰し、発光効率が著しく低下してしまう場合が多い。発光性有機材料は、アプリケーション上、固体状態で用いられる場合もあることから、溶液のみならず固体状態でも強い発光を示す材料の開発は重要な課題である。
【0003】
特許文献1には、8-アミノキノリン誘導体のホウ素錯体が電界発光アセンブリに用いることができることが記載されている。また特許文献2には、4’-ジメチルアミノ-N-メチル-4-スチルバゾリウムトシレートの結晶が光学非線形特性を持つことが記載されている。さらに特許文献3には、ピリジン-N-オキシド-ジフルオロホウ素化合物が溶液状態及び固体状態でも発光することが記載されている。非特許文献1には、5-N-アリールアミノチアゾールとルイス酸を含有する溶液が白色光を発することが記載されている。非特許文献2には2-(2’-ヒドロキシフェニル)イミダゾ〔1,2-d〕ピリジン誘導体を添加したポリマーが発光することが記載されている。また非特許文献3には、ボロン-ジピリンが凝集状態を変化させることにより発光色が変化することが記載されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2000-138096号公報
【特許文献2】特表2000-504298号公報
【特許文献3】国際公開第2014/132704号
【0005】

【非特許文献1】Murai, T. et. al., ChemistryOPEN 2016, 5, 434-438
【非特許文献2】Mutai, T.; Araki, K. et. al., ACS Appl. Mater. Inter., 2014, 6, 16065-16070
【非特許文献3】Yamamoto, Y. et. al., ACS Nano, 2016, 10, 7058-7063
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記発光特性を有する化合物のほとんどは、溶液状態及び固体状態のいずれにおいても発光を示すものではなく、特許文献3記載の化合物でも発光色を制御できるものではなかった。
本発明の課題は、溶液状態だけでなく固体状態でも優れた発光特性を示し、広範囲の発光色調を制御可能な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、種々の蛍光物質とルイス酸等の化合物とを媒体中に配合し、その溶液状態及び固体状態における光学特性を検討したところ、全く意外にも、それらを配合した組成物が、溶液状態だけでなく、ゲル状態やフィルム、繊維、成形体等の固体状態においても強く発光し、かつその含有量の変化等により種々の発光色が得られ、容易に広範囲の発光色が制御できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、次の発明〔1〕~〔13〕を提供するものである。
【0009】
〔1〕(a)蛍光物質、(b)前記成分(a)と非共有結合性相互作用する物質及び(c)媒質、を含有する組成物において、組成物中の成分(a)、成分(b)及びそれらの錯体の平衡定数を変化させるか、又は成分(c)中の成分(a)の含有比率若しくは成分(c)中の成分(a)及び成分(b)の重量比率を変化させることを特徴とする発光色調の制御方法。
〔2〕前記組成物が、溶液状組成物又は固体状組成物である〔1〕記載の発光色調の制御方法。
〔3〕蛍光物質が、式(1)で表される化合物である〔1〕又は〔2〕記載の発光色調の制御方法。
【0010】
【化1】
JP2020139030A_000002t.gif

【0011】
(式中、Ar1及びAr2は、同一又は異なって芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素を示す)
〔4〕成分(b)が、ブレンステッド酸、ルイス酸又はハロゲン結合ドナーである〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の発光色調の制御方法。
〔5〕前記成分(a)、成分(b)及びそれらの錯体の平衡定数をK=0.1からK=106に変化させる〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の発光色調の制御方法。
〔6〕前記成分(c)中の成分(a)の含有比率を0.01mMから100mM又は前記成分(c)中の成分(a)及び成分(b)の重量比率を0.01%から100%に変化させる〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の発光色調の制御方法。
〔7〕(a)蛍光物質、(b)前記成分(a)と非共有結合性相互作用する物質及び(c)媒質、を含有する発光組成物。
〔8〕前記組成物が、溶液状組成物又は固体状組成物である〔7〕記載の発光組成物。
〔9〕蛍光物質が、式(1)で表される化合物である〔7〕又は〔8〕記載の発光組成物。
【0012】
【化2】
JP2020139030A_000003t.gif

【0013】
(式中、Ar1及びAr2は、同一又は異なって芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素を示す)
〔10〕成分(b)が、ブレンステッド酸、ルイス酸又はハロゲン結合ドナーである〔7〕~〔9〕のいずれかに記載の発光組成物。
〔11〕前記成分(a)、成分(b)及びそれらの錯体の平衡定数がK=0.1からK=106の範囲である〔7〕~〔10〕のいずれかに記載の発光組成物。
〔12〕前記成分(c)中の成分(a)の含有比率が濃度で0.01mMから100mM又は前記成分(c)中の成分(a)及び成分(b)の重量比率が0.01%から100%の範囲である〔7〕~〔11〕のいずれかに記載の発光組成物。
〔13〕補色関係を有する2つのピーク波長を呈する白色発光体である、〔7〕~〔12〕のいずれかに記載の発光組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明方法によれば、溶液状態及び固体状態の両状態において強い発光を示し、かつその広範囲の発光色調を容易な手段により制御することができる。従って、本発明により発光色調を制御できる組成物は、蛍光発光組成物、蛍光塗料組成物、波長変換部材組成物、有機EL部材組成物、有機トランジスタ部材組成物、有機太陽電池部材組成物、化学センサ、及び、有機レーザ部材組成物からなる組成物群から選ばれる光学組成物に含まれる有機光学材料として有用である。
本発明において有機光学材料とは、光を受けて材料を構成する電子のエネルギー準位が変換されることを利用する材料全般を示す。そのような材料は、光を受けて機能を発揮し、例えば、着色したり、蛍光を発するところから具体的には、有機EL、有機固体レーザ、有機非線形光学材料、インキ等として用いることができるほか、有機太陽電池、有機固体センサなどに用いることができる。更に、光作動性の電子輸送層、有機導波路、ダイオード、トランジスタなどの光電子材料に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体1)と成分(b)の塩化メチレン溶液中での比率の変化による発光色制御を示す。
【図2】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体1)と成分(b)の塩化メチレン溶液中での成分(a)比率の変化による発光色制御を示す。
【図3】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体1)と成分(b)の塩化メチレン溶液中での成分(a)濃度の変化による発光色制御を示す。
【図4】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体1)と成分(b)の塩化メチレン溶液中での成分(a)濃度の変化による発光色制御を示す。
【図5】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体1)と成分(b)の塩化メチレン溶液中での成分(a)濃度の変化による発光色制御を示す。
【図6】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体2)と成分(b)の塩化メチレン溶液中での成分(a)濃度の変化による発光色制御を示す。
【図7】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体2)と成分(b)の塩化メチレン溶液中での成分(a)濃度の変化による発光色制御を示す。
【図8】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体2)と成分(b)の塩化メチレン溶液中での成分(a)濃度の変化による発光色制御を示す。
【図9】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体2)と成分(b)のトルエン-ヘキサン混合溶媒中での混合溶媒比率変化による発光色制御を示す。
【図10】成分(a)(ミヒラーケトン誘導体2)と成分(b)のトルエン-ヘキサン混合溶媒中での混合溶媒比率変化による発光色制御を示す。
【図11】成分(a)と成分(b)の樹脂(ポリスチレン、PS)中の(固体状態)での発光色制御を示す。
【図12】成分(a)と成分(b)の樹脂(ポリプロピレン、PP)中の(固体状態)での発光色制御を示す。
【図13】成分(a)と成分(b)の樹脂(ポリ酢酸ビニル、PVAc)中の(固体状態)での発光色制御を示す。
【図14】成分(a)と成分(b)の樹脂(ポリ塩化ビニル、PVC)中の(固体状態)での発光色制御を示す。
【図15】成分(a)と成分(b)の樹脂(ポリメチルメタクリレート、PMMA)中の(固体状態)での発光色制御を示す。
【図16】成分(a)と成分(b)の樹脂(ポリエチレングリコール、PEG)中の(固体状態)での発光色制御を示す。
【図17】成分(a)と成分(b)の樹脂(ポリビニルアルコール、PVA)中の(固体状態)での発光色制御を示す。
【図18】成分(a)と成分(b)の樹脂(ポリフッ化ビニリデン、PVDF)中の(固体状態)での発光色制御を示す。
【図19】成分(a)と成分(b)の樹脂(PVAc)中の(固体状態)での発光色制御で白色が得られることを示す。
【図20】成分(a)単独、及び成分(a)と成分(b)の錯体へのIRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、本発明において「媒質」とは、蛍光物質等が存在する環境を形成する物質を意味しており、媒体、マトリクスなどとも記載することがあり、具体的には、溶媒やポリマーを指す。
本明細書において「担持」とは、成分(a)、(b)及びその錯体が成分(c)に分散している状態を指しており、均一化な場合も不均一を問わない。
本明細書において「樹脂」「ポリマー」は同義で用いている。

【0017】
本発明の発光色調の制御方法に用いられる組成物は、(a)蛍光物質、(b)前記成分(a)と非共有結合性相互作用する物質及び(c)媒質、を含有する組成物である。

【0018】
(a)蛍光物質は、ある波長の光を吸収して他の波長の光を放出する物質であれば特に制限されないが、可視領域の蛍光を発する物質が好ましい。例えば、フルオレセイン、エオシン、ローズベンガル、アクリジン、フェナジン、クマリン、ベンゾフェノン、フクシン、アリザリン、アントシアニン、アントラキノン、インディゴ、ゲニステイン、シコニン、ピペリシン、ベルベリン、リトマス、ロドキサンチン等が挙げられる。

【0019】
本発明に用いられる(a)蛍光物質のうち、式(1)で表される化合物が好ましい。

【0020】
【化3】
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【0021】
(式中、Ar1及びAr2は、同一又は異なって芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基を示し、R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素を示す)

【0022】
式(1)中、Ar1及びAr2は、同一又は異なって芳香族炭化水素基又は芳香族複素環式基を示す。芳香族炭化水素基としては、炭素数6~30の単環又は縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられる。具体的には、ベンゼン、クメン、メシチレン、スチレン、トルエン、キシレン等の単環芳香族炭化水素由来の基;インデン、ナフタレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン、ペンタセン、ヘキサセン等の縮合多環式芳香族炭化水素由来の基が挙げられる。このうち、炭素数6~16の単環芳香族炭化水素由来の基がより好ましく、フェニレン基がさらに好ましい。

【0023】
芳香族複素環式基としては、1~4個の窒素原子、酸素原子又は酸素原子を有する単環又は縮合多環の複素環式基が挙げられる。具体的には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、インダゾール、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、キナゾリン等の複素環式基由来の基が挙げられる。

【0024】
1、R2、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示す。脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1~12のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~8のシクロアルキ基;ビニル基、プロペニル基等の炭素数2~8のアルケニル基;エチニル基等の炭素数2~6のアルキニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、クメニル基、メシチレニル基等の炭素数6~14の芳香族炭化水素基が挙げられる。

【0025】
(b)前記成分(a)と非共有結合性相互作用する物質としては、具体的には、ブレンステッド酸、ルイス酸、ハロゲン結合ドナーが知られている。

【0026】
ブレンステッド酸としては、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸などを挙げることが出来る。酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、エチルスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、メシチレンスルホン酸等のスルホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、tert-ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸等のホスホン酸、ジメチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジイソオクチルホスフィン酸等のホスフィン酸等が挙げられる。

【0027】
ルイス酸としては、BF3、BBr3、B(NMe2)3、トリス(ピロリジノ)ボラン、トリス(メシチル)ボラン、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチル、アルピンボラン、トリフェニルボラン、B(C653、AlCl3、FeCl3、FeBr3、ZnCl2、InCl3、TiCl4、金属トリフラート塩が挙げられる。

【0028】
ハロゲン結合ドナーとしては、ハロゲン結合ドナー自身の構造により生じる空軌道にルイス塩基官能基の非共有電子対を受容することができる。具体的には、パーフルオロヨードベンゼン、ハロゲン分子、ハロゲンカチオン、パーフルオロヨードアルカン、N-ハロゲノジカルボン酸イミド、1,2,3-トリアゾリニウム-5-ハライド、N,N-ジアルキルイミダゾリニウム-2-ハライド、2-ハロゲノイソインドリル-1,3-ジオン、2-ハロゲノベンゾ〔d〕イソチアゾール-3(2H)-オン 1,1-ジオキシド、2-ハロゲノ-5-ニトロイソインドリル-1,3-ジオン、2-ハロゲノ-3,4-ジメチルチアゾール-3-ニウム トリフルオロスルホナート等が挙げられる。

【0029】
本発明における非共有結合性相互作用とは、非共有結合により結合状態となっていることを言い、配位結合、イオン結合等が挙げられる。例えば、シアノ基とルイス酸との配位結合、芳香族基中の窒素原子(例えばピリジン環中の窒素原子)とブレンステッド酸、ルイス酸、又はハロゲン結合ドナーとのイオン結合、配位結合等が挙げられる。

【0030】
(c)媒質には、溶媒及び固体媒体のいずれもが挙げられる。溶媒としては、成分(a)及び成分(b)を溶解する物質であれば制限されず、水及び種々の有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、メタノール-エタノール等のアルコール類、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトン等のケトン系溶媒、ヘキサン等の炭化水素、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、N、N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。

【0031】
固体媒体としては、成分(a)及び成分(b)、又は成分(a)と成分(b)の結合体を均一に分散させることのできる媒体であればよく、分散の態様は均一であるか不均一であるかを問わない。本明細書においては、均一に分散している場合を例として説明する。固体媒体としては、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等の樹脂媒体、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアルキルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、及びこれらの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。なお、発光強度の観点から使用される樹脂は光透過性を有するものが好ましい。また前記樹脂媒体は、樹脂媒体に加え、単量体や重合体前駆体も含む。
成分(a)及び成分(b)、又は成分(a)と成分(b)の結合体が溶媒に溶解していると、本発明組成物は溶液状組成物となる。一方、成分(a)及び成分(b)、又は成分(a)及び成分(b)の結合体が固体媒体中に均一又は不均一に分散していると、本発明組成物は、固体状組成物となる。

【0032】
本発明の組成物は、溶液状態でも固体状態でも強く発光する。ここで本発明の組成物(発光組成物)には、溶液、成形品(フィルム、繊維、成形体)、ゲル状物、基材上に塗布したもの、積層体等が含まれる。

【0033】
本発明の組成物は、組成物中の成分(a)、成分(b)及びそれらの錯体の平衡定数を変化させるか、又は成分(c)中の成分(a)の含有比率若しくは成分(c)中の成分(a)及び成分(b)の重量比率を変化させることにより、広範囲において発光色調が変化する特性を有する。従って、本発明の組成物を用いれば、広範囲の発光色調を制御(調節)することができる。

【0034】
成分(a)と成分(b)は成分(c)において錯体を形成するが、媒体(c)において平衡状態にある。平衡定数Kとすると、
K=[成分(c)中の錯体の濃度]/{[成分(a)の濃度]×[成分(b)の濃度]
と表すことが出来る。
成分(a)と成分(b)の平衡定数Kは、K=0.1からK=10に変化させるのが好ましく、平衡定数Kの下限値は、好ましくは1以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは10とすることが好ましくは、上限値としては、10がより好ましく、10がさらに好ましい。平衡定数をこの範囲に変化させることにより青から赤の範囲における発光を制御することができる。

【0035】
成分(a)、成分(b)及びそれらの錯体の平衡定数を前記範囲に変化させるには、媒質である成分(c)の極性を変化させる手段、温度を変化させる手段、圧力を変化させる手段が挙げられる。ここで、媒体である成分(c)の極性を変化させる手段としては、媒体である成分(c)の官能基の種類や分子全体の形状などを選択する手段、媒体が溶媒の場合には、混合溶媒を用いて2種の溶媒の混合比率を変化させる手段が挙げられる。媒体が樹脂の場合には、分子量、分子量分布、融点、ガラス転移点が影響するほか主鎖や側鎖に存在する官能基の種類を選択するという手段が挙げられる。

【0036】
成分(c)中の成分(a)の含有比率は、0.01mMから100mMに変化させるのが好ましく、0.1mMから10mMに変化させるのがより好ましい。成分(c)中の成分(a)及び成分(b)の重量比率は、0.01%から100%に変化させるのが好ましく、0.1%から50%に変化させるのがより好ましい。これらの範囲に変化させることにより、青から赤の範囲における発光を制御することができる。

【0037】
本発明の組成物中において、成分(a)と成分(b)は、配位結合、イオン結合等の非共有結合によって結合していると考えられる。本発明組成物が固体状態の場合、成分(c)のマトリクス中に、成分(a)と成分(b)とが結合した状態で分散しているものと考えられる。

【0038】
本発明の成分(c)を媒体とする組成物を形成するためには、成分(a)、(b)を溶媒に溶解させてそのまま合わせても良いし、溶解させたものから錯体として単離したものを成分(c)に混合させても良い。また、成分(c)がポリマーの場合は、成分(a)、(b)を成分(c)と接触させるにあたり、溶媒を用いても用いなくても良いし、いずれかの成分を溶媒に溶解して接触させても良い。さらに、成分(c)を加熱、溶融させて成分(a)、(b)を溶媒に溶解させ、または無溶媒で接触させてもよく、または熱硬化性樹脂の場合には硬化前の成分(c)に、成分(a)、(b)を添加しても良い。

【0039】
本発明の組成物は溶液状態のみならず固体状態においても強い蛍光を発する性質を有している。本明細書において「蛍光」という用語は、発光の一態様として、X線、紫外線、及び/又は可視光線が照射された際にそのエネルギーを吸収することで電子が励起し、それが基底状態に戻る際に余分なエネルギーを電磁波として放出する現象を意味しており、いかなる意味においても限定的に解釈してはならず、最も広義に解釈しなければならない。固体状態での蛍光測定は一般的には絶対PL量子収率測定装置C-9920-02(マルチチャンネル検出器 PMA-11、浜松ホトニクス株式会社)などを使用して行うことができるが、この特定の装置及び方法に限定されるわけではない。

【0040】
本発明の組成物は、具体的には、有機EL、有機固体レーザ、有機非線形光学材料、インキ等として用いることができるほか、有機太陽電池、有機固体センサなどに用いることができる。更に、光作動性の電子輸送層、有機導波路(光ファイバーを含む)、ダイオード、トランジスタなどの光電子材料に用いることもできる。
【実施例】
【0041】
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例】
【0042】
(試薬)
添加剤:B(C653は東京化成工業株式会社製のものを使用した。
ポリマー:PVAc、PVC、PVDF、PAN(シグマアルドリッチ社製)、PMMA、PS(富士フィルム和光純薬株式会社製)PEG(キシダ化学)、PVA(応研商事)はそれぞれに示した薬品会社のものを使用した。
ミヒラーケトン誘導体1:N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン誘導体1、富士フィルム和光純薬株式会社製)
ミヒラーケトン誘導体2:N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン誘導体2)は、以下の反応式に従って合成した。原料、試薬は東京化成工業株式会製のものを使用した。
【実施例】
【0043】
【化4】
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【実施例】
【0044】
窒素雰囲気中で4,4’ージフルオロベンゾフェノン(655mg,3.0mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド50mLに溶かし、ジフェニルアミン(1.18g,7.0mmol)を加えた。そこにt-ブトキシカリウム(1.01g,9.0mmol)を加え、その溶液を12時間加熱還流した。溶媒を留去した後、残渣に塩化メチレンを加え、それを塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。その残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。目的のミヒラーケトン誘導体2を580mg(収率38%)で得た。
【実施例】
【0045】
(使用機器)
吸収スペクトル測定(溶液):
紫外可視吸収スペクトル測定装置V650(日本分光株式会社)
吸収スペクトル測定(固体・粉末):
紫外可視吸収スペクトル測定装置UV-3150(株式会社島津製作所)
発光スペクトル測定(溶液):
発光スペクトル測定装置 FP-6000(日本分光株式会社)
もしくは絶対PL量子収率測定装置C9920-02
(マルチチャンネル検出器PMA-11、
及び溶液測定用治具A10104-01付属、浜松ホトニクス株式会社)
発光スペクトル測定(固体・薄膜):
絶対PL量子収率測定装置C9920-02
(マルチチャンネル検出器PMA-11付属、浜松ホトニクス株式会社)
量子収率測定:
絶対PL量子収率測定装置C9920-02
(マルチチャンネル検出器PMA-11付属、浜松ホトニクス株式会社)
【実施例】
【0046】
実施例1
大気中でミヒラーケトン誘導体1であるN,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(2.7mg、0.01mmol)を10mLの塩化メチレンに加えて溶解させた。これを溶液Aとした。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(5.1mg、0.01mmol)を、10mLの塩化メチレンに加えて溶解させた。これを溶液Bとした。溶液Aから0.9mL、溶液Bから0.1mLずつ取り出し、これを混合した。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。
【実施例】
【0047】
【表1】
JP2020139030A_000006t.gif
【実施例】
【0048】
結果を図1、図2及び表2に示す。成分(a)と成分(b)の含有比率を変化させることにより、青色から赤色の広い範囲の強い発光が観察された。
【実施例】
【0049】
【表2】
JP2020139030A_000007t.gif
【実施例】
【0050】
実施例2
大気中でミヒラーケトン誘導体1であるN,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(26.8mg、0.1mmol)と、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(51.2mg、0.1mmol)を、10mLの塩化メチレンに加えて溶解させ、ミヒラーケトン誘導体1の濃度が10mMの溶液を調製した(溶液C)。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。溶液Cから1mLを取り出し、2mLになるように薄めてミヒラーケトン誘導体1の濃度が5mMとなる溶液を調製した(溶液D)。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。溶液Dから1mLを取り出し、2mLになるように薄めてミヒラーケトン誘導体1の濃度が2.5mMとなる溶液を調製した(溶液E)。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。溶液Dから0.4mL取り出して2mLになるように薄めてミヒラーケトン誘導体1の濃度が1mMとなる溶液を調製した(溶液F)。このように、溶液を次々に薄めていくことで0.75、0.50、0.25、0.10、0.05、0.01mMの溶液を調製した。それらの溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。
【実施例】
【0051】
【表3】
JP2020139030A_000008t.gif
【実施例】
【0052】
結果を図3~図5及び表4に示す。その結果、塩化メチレン中の成分(a)(ミヒラーケトン誘導体1)の濃度(もしくは成分(b)(ボラン)の濃度)を変化させることにより、青色から赤色の広い範囲の強い発光が観察された。
【実施例】
【0053】
【表4】
JP2020139030A_000009t.gif
【実施例】
【0054】
実施例3
大気中でミヒラーケトン誘導体2であるN,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(51.6mg、0.1mmol)と、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(51.2mg、0.1mmol)を、10mLの塩化メチレンに加えて溶解させ、ミヒラーケトン誘導体2の濃度が10mMの溶液を調製した(溶液G)。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。溶液Gから1mLを取り出し、2mLになるように薄めてミヒラーケトン誘導体2の濃度が5mMとなる溶液を調製した(溶液H)。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。溶液Hから1mLを取り出し、2mLになるように薄めてミヒラーケトン誘導体2の濃度が2.5mMとなる溶液を調製した(溶液I)。その溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。溶液Dから0.4mL取り出して2mLになるように薄めてミヒラーケトン誘導体2の濃度が1mMとなる溶液を調製した(溶液J)。このように、溶液を次々に薄めていくことで0.75、0.50、0.25、0.10、0.05、0.01mMの溶液を調製した。それらの溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。
【実施例】
【0055】
【表5】
JP2020139030A_000010t.gif
【実施例】
【0056】
結果を図6~8及び表6に示す。その結果、塩化メチレン中の成分(a)(ミヒラーケトン誘導体2)の濃度(もしくは成分(b)(ボラン)の濃度)を変化させることにより、青色から赤色の広い範囲の強い発光が観察された。
【実施例】
【0057】
【表6】
JP2020139030A_000011t.gif
【実施例】
【0058】
実施例4
ミヒラーケトン誘導体2であるN,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(5.2mg、0.01mmol)と、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(5.1mg、0.01mmol)を、5mLの塩化メチレンに加えて溶解させ、ミヒラーケトン誘導体2の濃度が2.0mMの溶液を調製した(溶液K)。そこから0.25mL取り出して、4.75mLのトルエンで希釈した。それらの溶液の溶液色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その溶液の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。同様に、希釈する溶媒の比率を変えることで、混合溶媒の比率がトルエン:ヘキサン=10:0~9.5:0.5となるような溶液を調製した。
【実施例】
【0059】
【表7】
JP2020139030A_000012t.gif
【実施例】
【0060】
結果を図9、図10及び表8に示す。その結果、成分(c)中の成分(a)と成分(b)の濃度を変化させることにより青色から赤色の広い範囲の強い発光が観察された。
【実施例】
【0061】
【表8】
JP2020139030A_000013t.gif
【実施例】
【0062】
実施例5
ミヒラーケトン誘導体であるN,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(5.2mg、0.01mmol)と、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(5.1mg、0.01mmol)を、5mLの塩化メチレンに加えて溶解させ、ミヒラーケトン誘導体の濃度が2mMの溶液を調製した(溶液L)。溶液Lの重量濃度を((N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン+トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)/塩化メチレンの体積)=10.3/5mL=2.06mg/mLとした。ポリスチレン(1000mg)を10mLの塩化メチレンに加えて溶解させた(溶液M)。溶液Lから0.01mL、溶液Mから0.2mL取り出して全体が1.5mLになるように塩化メチレンで薄めた。これを5分間撹拌した。ここから0.01mL取り出し、石英基板上に滴下した。それを風乾して溶媒を留去し、さらに減圧乾燥にて完全に溶媒を取り除いて成膜した。ミヒラーケトンとボラン化合物のポリマーへの担持量は、溶液Lと溶液Mの重量濃度から、((2.06×溶液Gの取り出し量)/(100×溶液Hの取り出し量))で算出した。この薄膜の色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その薄膜の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。
【実施例】
【0063】
【表9】
JP2020139030A_000014t.gif
【実施例】
【0064】
この他にPP(実施例6)、PVAc(実施例7)PVC(実施例8)、PMMA(実施例9)、PEG(実施例10)、PVA(実施例11)、PVDF(実施例12)に関しても、100mg/mLの塩化メチレン溶液を調製し、同様の手順にてポリマーフィルムを調製した。
【実施例】
【0065】
結果を図11~図18及び表10及び表11に示す。その結果、成分(a)と成分(b)を成分(c)中に含有する固体状組成物は、成分(a)の濃度変化により青色から赤色の広い範囲で強い発光を示した。
【実施例】
【0066】
【表10】
JP2020139030A_000015t.gif
【実施例】
【0067】
【表11】
JP2020139030A_000016t.gif
【実施例】
【0068】
図13より、成分(a)及び成分(b)の濃度5.0重量%~7.5重量%の場合に白色の発光が得られることを示す。なお、図13において、スペクトルは2色性の発光であることを示しており、青色と赤色の発光が混ざっている状態であり、それらの発光強度がちょうど1:1になるのが5.0~7.5重量%付近である。なお、ここでは青色発光ピークと赤色発光ピークの例を示したが、蛍光スペクトルにおいて、色関係にある2つの波長ピークを有すれば、他の発光ピーク波長であっても構わない。
【実施例】
【0069】
実施例13
白色フィルムの調製
ミヒラーケトン誘導体2であるN,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(5.2mg、0.01mmol)と、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(5.1mg、0.01mmol)を、5mLの塩化メチレンに加えて溶解させ、ミヒラーケトン誘導体2の濃度が2mMの溶液を調製した(溶液L)。溶液Lの重量濃度を((N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン+トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)/塩化メチレンの体積)=10.3/5mL=2.06mg/mLとした。ポリ酢酸ビニル(1000mg)を10mLの塩化メチレンに加えて溶解させた(溶液N)。溶液Nのポリマーの重量濃度を100mg/mLとした。溶液Lから1.166mL、溶液Nから0.2mL取り出して混合し、全体が1.5mLになるように塩化メチレンで薄めた。これを5分間撹拌した。ここから0.01mL取り出し、石英基板上に滴下した。それを風乾して溶媒を留去し、さらに減圧乾燥にて完全に溶媒を取り除いて成膜した。ミヒラーケトン2とボラン化合物のポリマーへの担持量は、溶液Lと溶液Nの重量濃度から、((2.06×溶液Lの取り出し量)/(100×溶液Nの取り出し量))で算出した。この薄膜の色及び紫外線ランプ(λ=365nm)照射下での発光色を目視観察した。その薄膜の吸収スペクトル、発光スペクトル、ならびに絶対量子収率を測定した。この発光色をCIE座標系で表示すると(0.33、0.32)を示した。(比較:白色ならば(0.33、0.33)である)
【実施例】
【0070】
【表12】
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【実施例】
【0071】
結果を図19及び表13に示す。図19及び表13より、成分(a)の樹脂中(PVAc)の濃度を変化させることにより、白色発光も得られることが判明した。
【実施例】
【0072】
【表13】
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【実施例】
【0073】
実施例14
(IRスペクトル測定)
成分(a)(ミヒラーケトン誘導体2)と、成分(b)(ボラン)との錯体の粉末を調製し、それぞれのIRスペクトルを測定した。理論計算からのシミュレーションと並べて、図20に示す。シミュレーションと良い一致を示しており、錯体が成分(a)と成分(b)の部位での相互作用で形成されていることを支持する結果を得た。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19