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明細書 :渦電流探傷用プローブ及び渦電流探傷装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-159983 (P2020-159983A)
公開日 令和2年10月1日(2020.10.1)
発明の名称または考案の名称 渦電流探傷用プローブ及び渦電流探傷装置
国際特許分類 G01N  27/90        (2006.01)
FI G01N 27/90
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2019-062222 (P2019-062222)
出願日 平成31年3月28日(2019.3.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 日本原子力研究開発機構 新技術説明会、平成31年1月31日
発明者または考案者 【氏名】山口 智彦
【氏名】ミハラケ オビデウ
出願人 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100214260、【弁理士】、【氏名又は名称】相羽 昌孝
【識別番号】100139114、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 貞嗣
【識別番号】100139103、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 卓志
【識別番号】100119220、【弁理士】、【氏名又は名称】片寄 武彦
【識別番号】100088041、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 龍吉
審査請求 未請求
テーマコード 2G053
Fターム 2G053AA11
2G053AB21
2G053BA03
2G053BA12
2G053BA26
2G053BC02
2G053BC14
2G053CA03
2G053CA18
2G053CB05
2G053CB16
2G053CB24
2G053CB25
2G053DA01
2G053DA03
2G053DA09
2G053DA10
2G053DB04
2G053DB27
要約 【課題】配管に加工痕が形成されていた場合であっても、加工痕の影響を低減し、微小欠陥を的確に検出することができる渦電流探傷用プローブ及び渦電流探傷装置を提供する。
【解決手段】渦電流探傷用プローブ1Bは、間接磁場を利用した渦電流探傷系4を備える。渦電流探傷系4は、第1の磁性体コア群5を有し、第1の中心軸O1に沿って並列して配置された一対の検出コイル群41A、41Bと、第2の磁性体コア6A、6Bを有し、第1の中心軸O1に沿って一対の検出コイル群41A、41Bの軸方向外側に配置された励磁コイル40A、40Bとを備える。第1の磁性体コア群5は、複数の第2の中心軸O2に沿って配置されているとともに、複数の検出コイル41A、41Bの軸方向外側に対して第1のコア長さL5だけ長く配置されており、第1のコア長さL5は、複数の検出コイル41A、41Bの軸方向のコイル長さL6よりも長く構成されている。
【選択図】 図9
特許請求の範囲 【請求項1】
配管内に挿入されて前記配管と同軸に配置される本体の第1の中心軸に沿って、間接磁場を利用した渦電流探傷系を備える渦電流探傷用プローブであって、
前記渦電流探傷系は、
第1の磁性体コア群を有し、前記第1の中心軸に沿って前記第1の中心軸と平行な軸方向に並列して配置された一対の検出コイル群と、
第2の磁性体コアを有し、前記第1の中心軸に沿って前記一対の検出コイル群の前記軸方向外側に配置されて、前記第1の中心軸をコイルの中心とする励磁コイルとを備え、
前記一対の検出コイル群の各々は、
前記第1の中心軸を中心として周方向に所定の間隔でそれぞれ配置されて、前記第1の中心軸に平行な複数の第2の中心軸をコイルの中心とする複数の検出コイルにより構成されており、
前記第1の磁性体コア群は、
前記複数の第2の中心軸に沿って配置されているとともに、前記複数の検出コイルの前記軸方向外側に対して第1のコア長さだけ長く配置されており、
前記第1のコア長さは、
前記複数の検出コイルの前記軸方向のコイル長さよりも長い、
ことを特徴する渦電流探傷プローブ。
【請求項2】
前記第1の磁性体コア群は、
前記複数の第2の中心軸に沿ってそれぞれ配置されて、前記複数の検出コイルと同数の複数の第1の磁性体コアにより構成されており、
前記一対の検出コイル群の各々を構成する前記複数の検出コイルの各々は、
前記複数の第1の磁性体コアにそれぞれ巻回されている、
ことを特徴する請求項1に記載の渦電流探傷用プローブ。
【請求項3】
前記複数の第1の磁性体コアの各々は、
周方向に少なくとも2つの周溝を有するとともに、軸方向が前記複数の第2の中心軸に沿ってそれぞれ配置された棒状部材により構成されており、
前記2つの周溝は、
前記軸方向両端部から前記第1のコア長さだけ前記軸方向内側の位置にそれぞれ形成されており、
前記一対の検出コイル群の各々を構成する前記複数の検出コイルの各々は、
前記2つの周溝にそれぞれ巻回されている、
ことを特徴する請求項2に記載の渦電流探傷用プローブ。
【請求項4】
前記励磁コイルとして、前記第1の中心軸に沿って前記一対の検出コイル群の前記軸方向外側にそれぞれ配置された一対の励磁コイルを備える、
ことを特徴する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の渦電流探傷プローブ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の渦電流探傷用プローブと、
前記渦電流探傷用プローブにより検出された検出信号を処理する処理装置とを備える、
ことを特徴する渦電流探傷装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、渦電流探傷用プローブ及び渦電流探傷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性材料で形成された配管の探傷試験において、配管内に渦電流探傷用プローブを挿入し、配管の内面及び外面に対する探傷試験を行う渦電流探傷装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、間接磁場を利用した渦電流探傷試験(Remote Field-Eddy Current Testing:RF-ECT)を行うRFEC法測定プローブ11が開示されている。特許文献1に開示されたRFEC法測定プローブ11は、複数の受信コイル14を備え、複数の受信コイル14を、中心軸13を中心とする全周に対して等間隔で配置したものである。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2001-289825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたRFEC法測定プローブ11は、所謂、マルチコイル型と呼ばれるものであり、複数の検出コイルを周方向に配置するため、各検出コイルのサイズを小さくする必要がある。しかし、検出コイルのサイズを小さくすると、検出コイルによる検出信号も小さくなることから、検出性能(S/N比)が低下することになる。
【0006】
特に、30mm以下の小口径配管は、配管製造時に配管の撓みを矯正加工する工程において、所定のピッチ(例えば、5mm~30mm程度)で僅かな加工痕が配管の表面に形成される。このような加工痕が形成された小口径配管に対して渦電流探傷試験を行う場合、検出コイルによる検出信号が、加工痕の影響を受けることで、加工痕を微小欠陥として誤って検出したり(誤検出)、加工痕による検出信号の乱れの中に実際の微小欠陥による検出信号の乱れが埋もれてしまい(例えば、図11(b)参照)、微小欠陥を検出できなかったりする(検出漏れ)ことから、微小欠陥を的確に検出することは極めて困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、配管に加工痕が形成されていた場合であっても、加工痕の影響を低減し、微小欠陥を的確に検出することができる渦電流探傷用プローブ及び渦電流探傷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係る渦電流探傷用プローブは、
配管内に挿入されて前記配管と同軸に配置される本体の第1の中心軸に沿って、間接磁場を利用した渦電流探傷系を備える渦電流探傷用プローブであって、
前記渦電流探傷系は、
第1の磁性体コア群を有し、前記第1の中心軸に沿って前記第1の中心軸と平行な軸方向に並列して配置された一対の検出コイル群と、
第2の磁性体コアを有し、前記第1の中心軸に沿って前記一対の検出コイル群の前記軸方向外側に配置されて、前記第1の中心軸をコイルの中心とする励磁コイルとを備え、
前記一対の検出コイル群の各々は、
前記第1の中心軸を中心として周方向に所定の間隔でそれぞれ配置されて、前記第1の中心軸に平行な複数の第2の中心軸をコイルの中心とする複数の検出コイルにより構成されており、
前記第1の磁性体コア群は、
前記複数の第2の中心軸に沿って配置されているとともに、前記複数の検出コイルの前記軸方向外側に対して第1のコア長さだけ長く配置されており、
前記第1のコア長さは、
前記複数の検出コイルの前記軸方向のコイル長さよりも長い、ことを特徴する。
【0009】
また、上記渦電流探傷用プローブにおいて、
前記第1の磁性体コア群は、
前記複数の第2の中心軸に沿ってそれぞれ配置されて、前記複数の検出コイルと同数の複数の第1の磁性体コアにより構成されており、
前記一対の検出コイル群の各々を構成する前記複数の検出コイルの各々は、
前記複数の第1の磁性体コアにそれぞれ巻回されている、ことを特徴する。
【0010】
また、上記渦電流探傷用プローブにおいて、
前記複数の第1の磁性体コアの各々は、
周方向に少なくとも2つの周溝を有するとともに、軸方向が前記複数の第2の中心軸に沿ってそれぞれ配置された棒状部材により構成されており、
前記2つの周溝は、
前記軸方向両端部から前記第1のコア長さだけ前記軸方向内側の位置にそれぞれ形成されており、
前記一対の検出コイル群の各々を構成する前記複数の検出コイルの各々は、
前記2つの周溝にそれぞれ巻回されている、ことを特徴する。
【0011】
また、上記渦電流探傷用プローブは、
前記励磁コイルとして、前記第1の中心軸に沿って前記一対の検出コイル群の前記軸方向外側にそれぞれ配置された一対の励磁コイルを備える、ことを特徴する。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る渦電流探傷装置は、
上記渦電流探傷用プローブと、
前記渦電流探傷用プローブにより検出された検出信号を処理する処理装置とを備える、ことを特徴する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態に係る渦電流探傷用プローブ及び渦電流探傷装置によれば、第1の磁性体コア群が、第1の中心軸に平行な軸方向において複数の検出コイルの軸方向外側に対して第1のコア長さだけ長く配置されており、その第1のコア長さは、複数の検出コイルの軸方向のコイル長さよりも長く構成されているので、配管に加工痕が形成されていた場合であっても、加工痕の影響を低減し、微小欠陥を的確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る渦電流探傷装置100の全体構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプローブ1Aの一例を示し、(a)はプローブ1Aが配管Pに挿入されていない状態、(b)はプローブ1Aが配管Pに挿入された状態を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るプローブ1Aの内部構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るプローブ1Aの内部構造を示し、(a)はA-A線断面図、(b)はB-B線断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る第1の磁性体コア50の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るプローブ1A及び処理装置11の接続状態を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る処理装置11を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る渦電流探傷装置100により配管支持構造物Sで支持された配管Pに対して渦電流探傷試験を行った検出結果(X信号及びY信号)を示し、(a)は、欠陥がない配管Pに対する第1の渦電流探傷系3による検出結果、(b)は、欠陥がある配管Pに対する第1の渦電流探傷系3による検出結果、(c)は、欠陥がない配管Pに対する第2の渦電流探傷系4による検出結果、(d)は、欠陥がある配管Pに対する第2の渦電流探傷系4による検出結果を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るプローブ1Bの一例を示し、(a)はプローブ1Bが配管Pに挿入されていない状態、(b)はプローブ1Bが配管Pに挿入された状態を示す模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る第1の磁性体コア50の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図11】(a)は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bの検出性能に関する評価結果として、配管Pに形成された加工痕Mのピッチ(横軸)と、第1のコア長さL5(縦軸)との間の関係を示すグラフである。(b)は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bにおいて、加工痕Mが形成された配管Pに対する検出信号の一例を示す図である。
【図12】本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bの検出性能に関する評価結果として、励磁周波数毎の第1のコア長さL5(横軸)と、S/N比(縦軸)との間の関係を示し、(a)は励磁周波数150Hz、(b)は励磁周波数300Hz、(c)は励磁周波数600Hzに対するグラフである。
【図13】本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bの検出性能に関する評価結果として、本発明を適用した適用例(第1のコア長さL5=4.0mm)と、本発明を適用していない比較例とについて、励磁周波数(横軸)と、S/N比(縦軸)との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。

【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る渦電流探傷装置100の全体構成の一例を示す模式図である。渦電流探傷装置100は、被検体である配管P内に挿入可能な渦電流探傷用プローブ(以下、「プローブ」という)1Aと、プローブ1Aにケーブル12を介して接続された処理装置11とを備える。

【0017】
配管Pは、例えば、磁性材料で形成されており、原子力プラントの各種熱交換器の伝熱管や、石油プラント、化学プラント等の各種プラントの小口径配管として用いられる。配管Pは、例えば、二重伝熱管であり、その外径R1が、19.0mm程度、その内径R2が、12.8mm程度、管肉厚が、3.1mm程度である。配管Pには、配管製造時に配管Pの撓みを矯正加工する工程において、所定のピッチ(例えば、5mm~30mm程度)の加工痕Mが形成されている。また、配管Pは、所定の間隔で配管支持構造物Sにより支持されている。

【0018】
プローブ1Aは、配管Pの内径R2よりも小径の円筒状に形成された本体2を備え、配管P内に挿入されたとき、本体2の第1の中心軸O1が、配管Pの配管中心軸OPと同軸に配置される。また、プローブ1Aは、本体2の第1の中心軸O1に沿って、直接磁場を利用した自己比較方式の第1の渦電流探傷系3と、間接磁場を利用した自己比較方式の第2の渦電流探傷系4とを備える。

【0019】
処理装置11は、プローブ1Aにより検出された検出信号を処理する装置である。具体的には、処理装置11は、第1の渦電流探傷系3に励磁電流を出力する第1の励磁出力部110と、第2の渦電流探傷系4に励磁電流を出力する第2の励磁出力部111と、第1の渦電流探傷系3により検出された信号を入力する第1の検出入力部112と、第2の渦電流探傷系4により検出された信号を入力する第2の検出入力部113と、第1の検出入力部112及び第2の検出入力部113に入力された信号を処理する信号解析部114と、信号解析部114により処理された処理結果を各種表示形式で表示する表示部115とを備える。なお、処理装置11は、第1の検出入力部112及び第2の検出入力部113に入力された信号、並びに、信号解析部114により処理された処理結果を記憶する記憶部を備えていてもよい。

【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るプローブ1Aの一例を示し、(a)はプローブ1Aが配管Pに挿入されていない状態、(b)はプローブ1Aが配管Pに挿入された状態を示す模式図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係るプローブ1Aの内部構造を示す斜視図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るプローブ1Aの内部構造を示し、(a)はA-A線断面図、(b)はB-B線断面図である。

【0021】
プローブ1Aは、上記したように、本体2と、第1の渦電流探傷系3と、第2の渦電流探傷系4とを備える。

【0022】
第1の渦電流探傷系3は、第1の励磁兼検出コイル30A及び第2の励磁兼検出コイル30Bからなる一対の励磁兼検出コイル30A、30Bを備える。

【0023】
一対の励磁兼検出コイル30A、30Bは、図2(a)、図3に示すように、第1の中心軸O1に沿って第1の中心軸O1に平行な軸方向に並列して配置されている。また、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bは、所謂、ボビンコイル型と呼ばれるものであり、図4(a)に示すように、第1の中心軸O1をコイルの中心として、巻線が巻回されている。

【0024】
一対の励磁兼検出コイル30A、30Bは、ケーブル12を介して第1の励磁出力部110に接続されているとともに、差動結線により第1の検出入力部112に接続されている。一対の励磁兼検出コイル30A、30Bの外周は、例えば、絶縁性シート等により被覆されて保護されている。

【0025】
第1の渦電流探傷系3では、第1の励磁出力部110から一対の励磁兼検出コイル30A、30Bに所定の周波数(例えば、10kHz~1000kHz程度)の交流電流が励磁電流として供給されることにより、図2(b)に示すように、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bは、配管Pの内面領域に流れる磁束300の流路(直接磁場)を形成する。そして、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bは、磁束300により配管P内に発生する渦電流の変化(欠陥が存在する場合には、渦電流の流れが乱れる)を検出することにより、直接磁場を利用した渦電流探傷試験(ECT)を行う。

【0026】
第2の渦電流探傷系4は、第1の励磁コイル40A及び第2の励磁コイル40Bからなる一対の励磁コイル40A、40Bと、第1の検出コイル群41A及び第2の検出コイル群41Bからなる一対の検出コイル群41A、41Bとを備える。

【0027】
一対の検出コイル群41A、41Bは、図2(a)、図3に示すように、第1の中心軸O1に沿って一対の励磁兼検出コイル30A、30Bの軸方向外側にそれぞれ配置されている。一対の励磁コイル40A、40Bは、図2(a)、図3に示すように、第1の中心軸O1に沿って一対の検出コイル群41A、41Bの軸方向外側にそれぞれ配置されて、第1の中心軸O1をコイルの中心として、巻線が巻回されている。

【0028】
一対の検出コイル群41A、41Bは、所謂、マルチコイル型と呼ばれるものである。すなわち、一対の検出コイル群41A、41Bの各々は、図4(b)に示すように、第1の中心軸O1を中心とする所定の半径R3の円周上に対して周方向に所定の間隔でそれぞれ配置された複数の検出コイル410A、410Bにより構成されている。そして、複数の検出コイル410A、410Bの各々は、第1の中心軸O1に平行な複数の第2の中心軸O2をコイルの中心として、巻線が巻回されている。

【0029】
なお、本実施形態では、第1の検出コイル群41Aを構成する複数の検出コイル410Aの個数は12個、第2の検出コイル群41Bを構成する複数の検出コイル410Bの個数は12個であるものとして説明するが、検出コイル410A、410Bの個数は、8個でもよいし、9個でもよいし、これら以外の個数でもよい。

【0030】
一対の励磁コイル40A、40Bは、ケーブル12を介して第2の励磁出力部111に接続されている。一対の検出コイル群41A、41Bは、ケーブル12を介して差動結線により第2の検出入力部113に接続されている。一対の励磁コイル40A、40B及び一対の検出コイル群41A、41Bの外周は、例えば、絶縁性シート等により被覆されて保護されている。

【0031】
第2の渦電流探傷系4では、第2の励磁出力部111から一対の励磁コイル40A、40Bに所定の周波数(例えば、100Hz~1000Hz程度)の交流電流が励磁電流として供給されることにより、図2(b)に示すように、一対の励磁コイル40A、40Bは、配管Pを貫通して配管Pの外側に沿って流れた後に一対の検出コイル群41A、41Bが配置された位置で配管P内に流れ込む磁束400の流路(間接磁場)を形成する。そして、一対の検出コイル群41A、41Bは、磁束400により配管P内に発生する渦電流の変化(欠陥が存在する場合には、渦電流の流れが乱れる)を検出することにより、間接磁場を利用した渦電流探傷試験(RF-ECT)を行う。

【0032】
したがって、プローブ1Aは、第1の渦電流探傷系3と、第2の渦電流探傷系4とを併用し、配管Pの同一の場所に対してECT及びRF-ECTを同時に行うことにより配管Pの内面及び外面に対する探傷試験を行う。

【0033】
本体2は、図2(a)に示すように、本体2の軸方向外側端部に取り付けられたガイド部20A、20Bと、第1の励磁コイル40A及び第1の検出コイル群41Aの間を連結する第1の連結部21Aと、第2の励磁コイル40B及び第2の検出コイル群41Bの間を連結する第2の連結部21Bと、ケーブル12を挿通可能な筒状部22とを備える。

【0034】
ガイド部20A、20Bは、配管Pの直径よりも大径であって、弾性を有する材料で形成されている。ガイド部20A、20Bは、配管P内に挿入されたときに小径に弾性変形することにより、図2(b)に示すように、本体2の第1の中心軸O1が、配管Pの配管中心軸OPと同軸に配置される。

【0035】
第1の連結部21A及び第2の連結部21Bは、ケーブル12を挿通可能な円筒状であって、例えば、樹脂材料等で形成されている。筒状部22は、第1の連結部21A及び第2の連結部21Bに取り付けられることで、第1の中心軸O1に沿って配置されている。また、筒状部22は、図4(a),(b)に示すように、一対の励磁兼検出コイル30A、30B及び一対の検出コイル群41A、41Bの内側に配置されている。

【0036】
また、プローブ1Aは、図2(a)、図3に示すように、一対の励磁兼検出コイル30A、30B及び一対の検出コイル群41A、41Bが巻回された第1の磁性体コア群5と、一対の励磁コイル40A、40Bがそれぞれ巻回された一対の第2の磁性体コア6A、6Bとをさらに備える。

【0037】
第1の磁性体コア群5及び一対の第2の磁性体コア6A、6Bは、例えば、フェライト、パーマロイ、ケイ素鋼板等の透磁率が高い磁性材料で形成されている。本実施形態では、フェライトで形成されているものとして説明する。

【0038】
第1の磁性体コア群5は、図4(a)、(b)に示すように、複数の検出コイル410A、410Bと同数(本実施形態では、12個)の複数の第1の磁性体コア50により構成されている。複数の第1の磁性体コア50の各々は、第1の中心軸O1を中心とする所定の半径R3の円周上に対して周方向に所定の間隔で配置されており、本実施形態では、第1の中心軸O1を中心とする円周上において、隣接する第1の磁性体コア50と第1の中心軸O1との間のなす角度が30度となるように配置されている。

【0039】
一対の励磁兼検出コイル30A、30Bの各々は、図4(a)に示すように、複数の第1の磁性体コア50に外接すように巻回されている。一対の検出コイル群41A、41Bの各々を構成する複数の検出コイル410A、410Bの各々は、図4(b)に示すように、複数の第1の磁性体コア50にそれぞれ巻回されている。

【0040】
一対の第2の磁性体コア6A、6Bの各々は、図3に示すように、ケーブル12を挿通可能な円筒状に形成されており、第1の中心軸O1に沿って配置されている。

【0041】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る第1の磁性体コア50の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。複数の第1の磁性体コア50の各々は、例えば、断面が円形状の棒状部材500により構成されている。複数の棒状部材500の各々は、棒状部材500の周方向に対して全周に亘って形成された4つの周溝501A、501B、502A、502Bを有する。なお、棒状部材500は、周溝501A、501B、502A、502Bの軸方向外側に対して鍔状に形成された鍔状部(巻線を巻くためのボビンケースとして機能する)を備えていてもよい。

【0042】
また、複数の棒状部材500の各々は、その軸方向両端部が、例えば、第1の連結部21A及び第2の連結部21Bに取り付けられることで、棒状部材500の軸方向が複数の第2の中心軸O2に沿ってそれぞれ配置されている。

【0043】
一対の励磁兼検出コイル30A、30Bの各々は、4つの周溝501A、501B、502A、502Bのうち軸方向内側の一対の内側周溝501A、501Bに外接するように巻回されている。

【0044】
一対の検出コイル群41A、41Bの各々を構成する複数の検出コイル410A、410Bの各々は、4つの周溝501A、501B、502A、502Bのうち軸方向外側の一対の外側周溝502A、502Bにそれぞれ巻回されている。

【0045】
ここで、プローブ1Aの外形、特に軸方向の長さについて、図2(a)、図5(b)を参照しつつ説明する。まず、図2(a)に示すように、励磁コイル40A、40Bのコイル長さL2は、例えば、30mm~100mm程度であり、コイル直径は、配管Pの内径R2よりも小さく、例えば、6mm~10mm程度である。第2の磁性体コア6A、6Bは、励磁コイル40A、40Bの軸方向両側に対して第2のコア長さL1、L3だけ長く配置されており、第2の磁性体コア6A、6Bの第2のコア長さL1、L3は、例えば、例えば、1mm~5mm程度である。第1の連結部21A及び第2の連結部21Bの長さ、すなわち、第1の磁性体コア群5と第2の磁性体コア6A、6Bとの間のコア間長さL4は、例えば、20mm~50mm程度である。

【0046】
図5(b)に示すように、一対の検出コイル群41A、41Bを構成する検出コイル410A、410Bのコイル長さL6は、0.5mm~3mm程度であり、コイル直径は、例えば、1mm~2mm程度である。励磁兼検出コイル30A、30Bのコイル長さL8は、0.5mm~3mm程度であり、コイル直径は、例えば、配管Pの内径R2よりも小さく、例えば、6mm~10mm程度である。

【0047】
第1の検出コイル群41Aを構成する検出コイル410Aと第1の励磁兼検出コイル30Aとの間のコイル間長さL7、及び、第2の検出コイル群41Bを構成する検出コイル410Bと第2の励磁兼検出コイル30Bとの間のコイル間長さL7は、例えば、0.5mm~3mm程度である。第1の励磁兼検出コイル30Aと第2の励磁兼検出コイル30Bとの間のコイル間長さL9は、例えば、0.5mm~3mm程度である。

【0048】
第1の磁性体コア群5を構成する第1の磁性体コア50は、検出コイル410A、410Bの軸方向外側に第1のコア長さL5だけ長く配置されており、第1の磁性体コア50の第1のコア長さL5は、例えば、1mm~10mm程度である。したがって、棒状部材500において、一対の外側周溝502A、502Bは、軸方向両端部503A、503Bから第1のコア長さL5だけ軸方向内側の位置にそれぞれ形成されている。

【0049】
図6は、本発明の第1の実施形態に係るプローブ1A及び処理装置11の接続状態を示すブロック図である。

【0050】
第1の渦電流探傷系3において、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bは、芯線120a及びシールド線120bを介して第1の励磁出力部110に接続されるとともに、芯線122a及びシールド線122bを介して差動結線により第1の検出入力部112に接続される。

【0051】
第1の励磁出力部110は、励磁電流を一対の励磁兼検出コイル30A、30Bに出力すると、この励磁電流が一対の励磁兼検出コイル30A、30Bを流れることにより直接磁場を生成する。この直接磁場による電磁誘導作用によって配管P内に渦電流が発生し、この渦電流により発生する磁束が、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bに電圧を誘起することにより検出電流を発生する。この検出電流が、第1の検出信号として第1の検出入力部112に入力される。なお、配管Pに欠陥が存在する場合には、第1の検出信号に乱れ(欠陥による渦電流の乱れ)が発生する。

【0052】
第2の渦電流探傷系4において、一対の励磁コイル40A、40Bは、芯線121a及びシールド線121bを介して第2の励磁出力部111に接続される。また、一対の検出コイル群41A、41Bは、芯線123a及びシールド線123bを介して差動結線により第2の検出入力部113に接続される。

【0053】
第2の励磁出力部111は、励磁電流を一対の励磁コイル40A、40Bに出力すると、この励磁電流が一対の励磁コイル40A、40Bを流れることにより生成された間接磁場を生成する。この間接磁場による電磁誘導作用によって配管P内に渦電流が発生し、この渦電流により発生する磁束が、一対の検出コイル群41A、41Bに電圧を誘起することにより検出電流を発生する。この検出電流が、第2の検出信号として第2の検出入力部113に入力される。配管Pに欠陥が存在する場合には、第2の検出信号に乱れ(欠陥による渦電流の乱れ)が発生する。

【0054】
なお、芯線120a~123a及びシールド線120b~123bは、ケーブル12を構成する。また、図6では図示していないが、第2の検出入力部113は、合計24個の入力チャンネル(1個の入力チャンネルは、芯線42b及びシールド線43bが接続可能な1組の入力端子で構成される)を備え、各入力チャンネルには、第1の検出コイル群41Aを構成する12個の検出コイル410Aと、第2の検出コイル群41Bを構成する12個の検出コイル410Bとが独立に接続されて、合計24個の検出コイル410A、410Bの各々から検出信号が独立して入力される。

【0055】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る処理装置11を示すブロック図である。処理装置11は、信号解析部114として、第1の渦電流探傷系3に対する第1の処理回路1140と、第2の渦電流探傷系4に対する第2の処理回路1141と、判定回路1142とを備える。

【0056】
第1の処理回路1140は、励磁信号発振器1140a、位相器1140b、ブリッジ回路1140c、増幅回路1140d、位相検波回路1140e、フィルタ1140f、及び、XY処理回路1140gを備える。第2の処理回路1141は、励磁信号発振器1141a、位相器1141b、ブリッジ回路1141c、増幅回路1141d、位相検波回路1141e、フィルタ1141f、及び、XY処理回路1141gを備える。

【0057】
第1の処理回路1140では、励磁信号発振器1140aの発振出力を、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bと、位相器1140bに分配して入力する。一対の励磁兼検出コイル30A、30Bに入力された励磁信号は、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bに励磁電流を流して直接磁場を発生させる。

【0058】
位相器1140bは、励磁信号発振器1140aから入力された励磁信号をシフトして位相検波用の基準信号を生成する。ブリッジ回路1140cは、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bと、可変抵抗器で構成し、可変抵抗器を変化させることで配管Pの系全体でバランスが取れるように調整されており、配管Pに欠陥が存在する場所では、ブリッジ回路1140cのバランスが崩れ、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bのインピーダンス変化に応じた電圧(第1の検出信号)が得られるように構成する。この第1の検出信号(電圧)は、非常に小さいことから、増幅回路1140dにより増幅する。

【0059】
位相検波回路1140eは、位相器1140bの出力信号と、増幅回路1140dの出力信号の位相を比較して検出信号として出力し、フィルタ1140fで直接磁場に基づく検出信号成分のみを抽出し、XY処理回路1141gにより検出信号の位相のずれを処理して、X信号及びY信号として出力する。

【0060】
第2の処理回路1141では、励磁信号発振器1141aの発振出力を一対の励磁コイル40A、40Bと、位相器1141bに分配して入力する。一対の励磁コイル40A、40Bに入力された励磁信号は、一対の励磁コイル40A、40Bに励磁電流を流して間接磁場を発生させる。

【0061】
位相器1141bは、励磁信号発振器1141aから入力された励磁信号をシフトして位相検波用の基準信号を生成する。ブリッジ回路1141cは、一対の検出コイル群41A、41Bと可変抵抗器で構成し、可変抵抗器を変化させることで配管Pの系全体でバランスが取れるように調整しておくことにより、配管Pに欠陥が存在する場所ではブリッジ回路1141cのバランスが崩れ、一対の検出コイル群41A、41Bのインピーダンス変化に応じた電圧(第2の検出信号)が得られるように構成する。この第2の検出信号(電圧)は、非常に小さいことから、増幅回路1141dにより増幅する。

【0062】
位相検波回路1141eは、位相器1141bの出力信号と、増幅回路1141dの出力信号の位相を比較して検出信号として出力し、フィルタ1141fで間接磁場に基づく検出信号成分のみを抽出し、XY処理回路1141gにより検出信号の位相のずれを処理して、X信号及びY信号として出力する。

【0063】
判定回路1142は、第1の処理回路1140から出力されたX信号及びY信号と、第2の処理回路1141から出力されたX信号及びY信号とを、平滑化して評価することにより、配管Pに欠陥があるか否かを判定する。そして、判定回路1142は、欠陥があると判定した場合には、その欠陥が、配管Pにおける外面の傷か内面の傷かを判定する。具体的には、判定回路1142は、第1の渦電流探傷系3と第2の渦電流探傷系4の双方により欠陥が検出されたときには、内面の傷と判定し、第2の渦電流探傷系4のみにより欠陥が検出されたときには、外面の傷と判定する。

【0064】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る渦電流探傷装置100により配管支持構造物Sで支持された配管Pに対して渦電流探傷試験を行った検出結果(X信号及びY信号)を示し、(a)は、欠陥がない配管Pに対する第1の渦電流探傷系3による検出結果、(b)は、欠陥がある配管Pに対する第1の渦電流探傷系3による検出結果、(c)は、欠陥がない配管Pに対する第2の渦電流探傷系4による検出結果、(d)は、欠陥がある配管Pに対する第2の渦電流探傷系4による検出結果を示す図である。なお、図8(a)~(d)に示すグラフは、表示部115に表示される。

【0065】
第1の渦電流探傷系3は、配管Pの内面領域を通る直接磁場を利用するものであるため、図8(a)に示すように、第1の処理回路1140から出力されたX信号及びY信号において、配管支持構造物Sや配管Pの外面に付着するナトリウムによる影響は小さい。そのため、配管Pに欠陥がある場合には、図8(b)に示すように、欠陥によるX信号及びY信号の変化が相対的に大きくなる。

【0066】
第2の渦電流探傷系4は、配管Pの外側を通る間接磁場を利用するものであり、図8(c)に示すように、第2の処理回路1141から出力されたX信号及びY信号において、配管支持構造物Sや配管Pの外面に付着するナトリウムによる影響は大きい。そのため、配管Pに欠陥がある場合には、図8(d)に示すように、欠陥によるX信号及びY信号の変化が相対的に小さくなる。

【0067】
したがって、処理装置11は、配管支持構造物Sで支持されていない場所では、第1の処理回路1140から出力されたX信号及びY信号の変化と、第2の処理回路1141から出力されたX信号及びY信号の変化とに基づいて欠陥の有無を判定し、配管支持構造物Sで支持された場所では、処理装置11は、第1の処理回路1140から出力されたX信号及びY信号の変化に基づいて欠陥の有無を判定することが可能である。

【0068】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係るプローブ1A及びプローブ1Aを備える渦電流探傷装置100によれば、直接磁場を利用した第1の渦電流探傷系3(一対の励磁兼検出コイル30A、30B)は、軸方向内側に配置されており、間接磁場を利用した第2の渦電流探傷系4(一対の励磁コイル40A、40B及び一対の検出コイル群41A、41B)は、軸方向外側に配置されているので、第1の渦電流探傷系3及び第2の渦電流探傷系4による双方の磁場が互いに悪影響を与えることなく、配管Pの同一の場所に対してECT及びRF-ECTを同時に行うことができる。

【0069】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態に係るプローブ1Bの一例を示し、(a)はプローブ1Bが配管Pに挿入されていない状態、(b)はプローブ1Bが配管Pに挿入された状態を示す模式図である。

【0070】
本実施形態に係るプローブ1Bは、第1の実施形態に係るプローブ1Aと比較して、間接磁場を利用した第2の渦電流探傷系4を備える点は共通するが、直接磁場を利用した第1の渦電流探傷系3を備えていない点で異なるものある。その他の基本的な構成は共通するため、説明を省略する。

【0071】
すなわち、プローブ1Bが備える渦電流探傷系4は、第1の磁性体コア群5を有し、第1の中心軸O1に沿って第1の中心軸O1と平行な軸方向に並列して配置された一対の検出コイル群41A、41Bと、第2の磁性体コア6A、6Bを有し、第1の中心軸O1に沿って一対の検出コイル群41A、41Bの軸方向外側にそれぞれ配置されて、第1の中心軸O1をコイルの中心とする一対の励磁コイルとを備える。

【0072】
一対の検出コイル群41A、41Bの各々は、第1の実施形態と同様に、第1の中心軸O1を中心として周方向に所定の間隔でそれぞれ配置されて、第1の中心軸O1に平行な複数の第2の中心軸O2をコイルの中心とする複数の検出コイル410A、410Bにより構成されている。

【0073】
第1の磁性体コア群5は、複数の検出コイル410A、410Bと同数(本実施形態では、12個)の複数の第1の磁性体コア50により構成されている。複数の第1の磁性体コア50の各々は、第2の中心軸O2に沿ってそれぞれ配置されている。

【0074】
一対の検出コイル群41A、41Bの各々を構成する複数の検出コイル410A、410Bの各々は、複数の第1の磁性体コア50にそれぞれ巻回されている。

【0075】
図10は、本発明の第2の実施形態に係る第1の磁性体コア50の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。複数の第1の磁性体コア50の各々は、例えば、断面が円形状の棒状部材500により構成されている。複数の棒状部材500の各々は、棒状部材500の周方向に対して全周に亘って形成された2つの周溝502A、502Bを有する。

【0076】
複数の棒状部材500の各々は、その軸方向両端部が、例えば、第1の連結部21A及び第2の連結部21Bに取り付けられることで、棒状部材500の軸方向が複数の第2の中心軸O2に沿ってそれぞれ配置されている。

【0077】
一対の検出コイル群41A、41Bの各々を構成する複数の検出コイル410A、410Bの各々は、2つの周溝502A、502Bにそれぞれ巻回されている。

【0078】
ここで、プローブ1Bの外形、特に軸方向の長さについて、図9(a)、図10(b)を参照しつつ説明する。まず、図9(a)に示すように、励磁コイル40A、40Bのコイル長さL2は、例えば、30mm~100mm程度であり、コイル直径は、配管Pの内径R2よりも小さく、例えば、6mm~10mm程度である。第2の磁性体コア6A、6Bは、励磁コイル40A、40Bの軸方向両側に対して第2のコア長さL1、L3だけ長く配置されており、第2の磁性体コア6A、6Bの第2のコア長さL1、L3は、例えば、例えば、1mm~5mm程度である。第1の連結部21A及び第2の連結部21Bの長さ、すなわち、第1の磁性体コア群5と第2の磁性体コア6A、6Bとの間のコア間長さL4は、例えば、20mm~50mm程度である。

【0079】
また、図10(b)に示すように、一対の検出コイル群41A、41Bを構成する検出コイル410A、410Bのコイル長さL6は、0.5mm~3mm程度であり、コイル直径は、例えば、1mm~2mm程度である。第1の検出コイル群41Aを構成する検出コイル410Aと第2の検出コイル群41Bを構成する検出コイル410Bとの間のコイル間長さL10は、例えば、0.5mm~3mm程度である。

【0080】
第1の磁性体コア群5を構成する第1の磁性体コア50は、検出コイル410A、410Bの軸方向外側に第1のコア長さL5だけ長く配置されており、第1の磁性体コア50の第1のコア長さL5は、例えば、1mm~10mm程度である。したがって、棒状部材500において、2つの周溝502A、502Bは、軸方向両端部503A、503Bから第1のコア長さL5だけ軸方向内側の位置にそれぞれ形成されている。

【0081】
(第1の磁性体コア50の第1のコア長さL5について)
次に、第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bにおいて、加工痕Mが形成された配管Pに対して渦電流探傷試験を行う場合の第1の磁性体コア50の第1のコア長さL5と、S/N比との関係について説明する。

【0082】
図11(a)は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bの検出性能に関する評価結果として、配管Pに形成された加工痕Mのピッチ(横軸)と、第1のコア長さL5(縦軸)との間の関係を示すグラフである。図11(b)は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bにおいて、加工痕Mが形成された配管Pに対する検出信号の一例を示す図である。

【0083】
図11(a)では、第2の励磁出力部111から一対の励磁コイル40A、40Bに3種類の励磁周波数(150Hz、300Hz、600Hz)の励磁電流をそれぞれ出力した場合において、第1のコア長さL5を1mm~7mmの範囲で変化させたときに、最も高いS/N比が得られた第1のコア長さL5を示す。ここで、S/N比は、図11(b)に示すように、加工痕Mに対するN信号を基準として、欠陥に対するS信号の大きさを比率で示すものである。

【0084】
なお、第1のコア長さL5以外の軸方向の長さとして、第1の実施形態に係るプローブ1Aでは、励磁コイル40A、40Bのコイル長さL2は50mm、第2の磁性体コア6A、6Bの第2のコア長さL1、L3は4mm、第1の磁性体コア50と第2の磁性体コア6A、6Bとの間のコア間長さL4は30mm、検出コイル410A、410Bのコイル長さL6は1mm、励磁兼検出コイル30A、30Bのコイル長さL8は0.5mm、検出コイル410A、410B及び励磁兼検出コイル30A、30Bの間のコイル間長さL7は1.25mmm、一対の励磁兼検出コイル30A、30Bの間のコイル間長さL9は0.5mmとした。

【0085】
また、第2の実施形態に係るプローブ1Bでは、励磁コイル40A、40Bのコイル長さL2は50mm、第2の磁性体コア6A、6Bの第2のコア長さL1、L3は4mm、第1の磁性体コア50と第2の磁性体コア6A、6Bとの間のコア間長さL4は30mm、検出コイル410A、410Bのコイル長さL6は1mm、検出コイル410A及び検出コイル410Bの間のコイル間長さL10は、1.25mmとした。

【0086】
上記各パラメータ(L1~L4、L6からL10)の値は、各パラメータを所定の範囲内において所定の変化量(例えば、0.5mm)で変化させて数値計算を繰り返すことで、S/N比が高くなる組み合わせとして求めたものである。

【0087】
このとき、第1のコア長さL5の影響を評価したところ、図11(a)に示すように、加工痕Mのピッチが5mm~30mmの全ての範囲において、第1のコア長さL5は、検出コイル410A、410Bのコイル長さL6である1mmよりも大きい場合に、最も高いS/N比が得られることが分かった。

【0088】
図12は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bの検出性能に関する評価結果として、励磁周波数毎の第1のコア長さL5(横軸)と、S/N比(縦軸)との間の関係を示し、(a)は励磁周波数150Hz、(b)は励磁周波数300Hz、(c)は励磁周波数600Hzに対するグラフである。

【0089】
図12(a)~(c)では、配管Pに形成された加工痕Mのピッチが、15mm、17.5mm、20mmである場合において、第1の磁性体コア50の第1のコア長さL5を1mm~7mm((b)では1.0mm~4.5mm、(c)では1.0mm~4.0mm)の範囲で変化させたときのS/N比の値を示す。

【0090】
図12(a)~(c)に示すように、励磁周波数が、150Hz、300Hz、600Hzであって、加工痕Mのピッチが、15mm、17.5mm、20mmの条件では、第1のコア長さL5が1mmよりも大きい場合、S/N比の値は、2よりも大きくなることが分かった。そして、第1のコア長さL5が1mmよりも長くなるほど、S/N比は上昇し、上昇したときのS/N比のピークは、励磁周波数及び加工痕Mのピッチに応じて変動するが、第1のコア長さL5が、3mm~6mm程度であることが分かった。

【0091】
図13は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1Bの検出性能に関する評価結果として、本発明を適用した適用例(第1のコア長さL5=4.0mm)と、本発明を適用していない比較例とについて、励磁周波数(横軸)と、S/N比(縦軸)との間の関係を示すグラフである。

【0092】
本発明を適用していない比較例、すなわち、第1の磁性体コア50が、検出コイル410A、410Bの軸方向外側に長く配置されていない場合には、図13に示す比較例のグラフG2のように、励磁周波数100Hz、150Hzに対するS/N比は、2よりも小さくなり、微小欠陥の誤検出や検出漏れが発生する可能性が高いことが分かった。

【0093】
一方、本発明を適用した適用例、すなわち、第1の磁性体コア50が、検出コイル410A、410Bの軸方向外側に第1のコア長さL5だけ長く配置されており、その第1のコア長さL5(=4.0mm)が、検出コイル410A、410Bのコイル長さL6(=1mm)よりも十分大きい場合には、図13に示す適用例のグラフG1のように、励磁周波数の全ての範囲(100Hz~1000Hz)に対するS/N比は、2よりも大きくなり、微小欠陥の誤検出や検出漏れが発生する可能性が低いことが分かった。また、適用例のグラフG1と、比較例のグラフG2とを比較すると、励磁周波数の全ての範囲(100Hz~1000Hz)において、適用例のS/N比は、比較例のS/N比よりも大きくなることが分かった。

【0094】
以上のように、本発明の第1及び第2の実施形態に係るプローブ1A、1B及びプローブ1A、1Bを備える渦電流探傷装置100によれば、第1の磁性体コア群5が、第1の中心軸O1に平行な軸方向において複数の検出コイル410A、410Bの軸方向外側に対して第1のコア長さL5だけ長く配置されており、その第1のコア長さL5は、複数の検出コイル410A、410Bの軸方向のコイル長さL6よりも長く構成されているので、配管Pに加工痕Mが形成されていた場合であっても、加工痕Mの影響を低減し、微小欠陥を的確に検出することができる。

【0095】
また、一対の検出コイル群41A、41Bの各々は、第1の中心軸O1を中心として周方向に所定の間隔で配置された複数の検出コイル410A、410Bにより構成されているので、配管Pの周方向に対する欠陥検出分解能を向上させることができる。

【0096】
また、第1の磁性体コア群5は、複数の検出コイル410A、410Bと同数の複数の第1の磁性体コア50により構成されており、一対の検出コイル群41A、41Bの各々を構成する複数の検出コイル410A、410Bの各々は、図4(b)、図5(b)、図10(b)に示すように、複数の第1の磁性体コア50にそれぞれ巻回されているので、磁性体により磁化力を高めることにより、S/N比を向上させることができる。また、軸方向に並列して配置された複数のコイル間でコアを共通化して複数のコイルを一体化することにより、複数の第1の磁性体コア50の内側にケーブル12を配置する空間を確保しつつ、渦電流を検出する検出部分の構造の簡素化及び小型化を図ることできる。

【0097】
特に、第1の実施形態では、第1の励磁兼検出コイル30Aが1個、第2の励磁兼検出コイル30Bが1個、第1の検出コイル群41Aを構成する検出コイル410Aが12個、第2の検出コイル群41Bを構成する検出コイル410Bが12個であるから、渦電流の検出部分には、全部で26個のコイルが配置されているが、複数のコイル間でコアを共通化して複数のコイルを一体化することにより、第1の磁性体コア群5は、12個の第1の磁性体コア50により構成されている。また、12個の第1の磁性体コア50の内側には、ケーブル12が配置する空間が確保されている。

【0098】
また、複数の第1の磁性体コア50の各々は、周方向に少なくとも2つの周溝を有する棒状部材500により構成されているので、簡単な加工で製造することができる。

【0099】
また、励磁コイルとして、一対の励磁コイル40A、40Bが、第1の中心軸O1に沿って一対の検出コイル群41A、41Bの軸方向外側にそれぞれ配置されているので、磁性体により磁化力を高めることにより、安定した間接磁場を形成することができる。

【0100】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

【0101】
例えば、上記実施形態では、間接磁場を利用した第2の渦電流探傷系4は、第1の中心軸O1に沿って一対の検出コイル群41A、41Bの軸方向外側にそれぞれ配置された一対の励磁コイル40A、40Bを備えるものとして説明したが、第2の渦電流探傷系4は、一対の励磁コイル40A、40Bのうち、いずれか一方の励磁コイルを備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…渦電流探傷用プローブ、2…本体、3…第1の渦電流探傷系、
4…第2の渦電流探傷系、5…第1の磁性体コア群、6A、6B…第2の磁性体コア、
11…処理装置、12…ケーブル、20A、20B…ガイド部、
21A…第1の連結部、21B…第2の連結部、22…筒状部、
30A…第1の励磁兼検出コイル、30B…第2の励磁兼検出コイル、
40A…第1の励磁コイル、40B…第2の励磁コイル、
41A…第1の検出コイル群、41B…第2の検出コイル群、
50…第1の磁性体コア、100…渦電流探傷装置、
110…第1の励磁出力部、111…第2の励磁出力部、112…第1の検出入力部、
113…第2の検出入力部、114…信号解析部、115…表示部、
120a~123a…芯線、120b~123b…シールド線、
300…磁束、400…磁束、410A、410B…検出コイル、500…棒状部材、
501A、501B…内側周溝、502A、502B…外側周溝、
503A、503B…端部、
1140…第1の処理回路、1140a…励磁信号発振器、1140b…位相器、
1140c…ブリッジ回路、1140d…増幅回路、1140e…位相検波回路、
1140f…フィルタ、1140g…XY処理回路、
1141…第2の処理回路、1141a…励磁信号発振器、1141b…位相器、
1141c…ブリッジ回路、1141d…増幅回路、1141e…位相検波回路、
1141f…フィルタ、1141g…XY処理回路、1142…判定回路、
O1…第1の中心軸、O2…第2の中心軸、OP…配管中心軸、
P…配管、S…配管支持構造物、M…加工痕
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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