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明細書 :AlN分極反転構造の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-197562 (P2020-197562A)
公開日 令和2年12月10日(2020.12.10)
発明の名称または考案の名称 AlN分極反転構造の製造方法
国際特許分類 G02F   1/37        (2006.01)
G02F   1/355       (2006.01)
C30B  29/38        (2006.01)
C30B  25/20        (2006.01)
C23C  16/34        (2006.01)
FI G02F 1/37
G02F 1/355
C30B 29/38 C
C30B 25/20
C23C 16/34
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2019-101995 (P2019-101995)
出願日 令和元年5月31日(2019.5.31)
発明者または考案者 【氏名】岡田 成仁
【氏名】只友 一行
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001427、【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2K102
4G077
4K030
Fターム 2K102AA08
2K102BA18
2K102BB02
2K102BC01
2K102CA29
2K102DA10
2K102DA20
2K102DD10
4G077AA03
4G077AB02
4G077BE13
4G077DB08
4G077EC09
4G077EF01
4G077GA03
4G077HA02
4G077TA04
4G077TA08
4G077TB05
4G077TJ01
4G077TK06
4K030AA03
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA17
4K030BA02
4K030BA38
4K030BB01
4K030BB13
4K030CA05
4K030FA10
4K030HA04
4K030JA06
要約 【課題】歩留まりが高いAlN分極反転構造の製造方法を提供する。
【解決手段】AlN分極反転構造の製造方法では、厚さ方向に分極した第1AlN層11の表面を、Al源ガス及びN源ガスが流通する雰囲気に曝し、第1AlN層11上にAlNを結晶成長させて第1AlN層11とは分極が反転した第2AlN層12を形成する。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
厚さ方向に分極した第1AlN層の表面を、Al源ガス及びN源ガスが流通する雰囲気に曝し、前記第1AlN層上にAlNを結晶成長させて前記第1AlN層とは分極が反転した第2AlN層を形成するAlN分極反転構造の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたAlN分極反転構造の製造方法において、
前記Al源ガスによるAl原子の供給モル数に対する前記N源ガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を1以上20以下とするAlN分極反転構造の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、AlN分極反転構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力レーザの開発において、既存のレーザに非線形光学結晶を組み合わせて第二次高調波発生(SHG)を利用することが検討されている。ここで、非線形光学材料としては、例えば分極反転構造を含むAlN結晶が挙げられる。そして、非特許文献1には、その製造方法として、c面サファイア基板上にスパッタリングによりAlNを成膜したものを2個作製し、それらをAlN同士が当接するように重ねてアニーリングすることにより接合するFFA法(Face-to-Face Annealing)が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】H. Miyake et al., JCG, 456, 155 (2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、FFA法では、AlNの全面を接合させることが困難であり、そのため歩留まりが低いという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、歩留まりが高いAlN分極反転構造の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、厚さ方向に分極した第1AlN層の表面を、Al源ガス及びN源ガスが流通する雰囲気に曝し、前記第1AlN層上にAlNを結晶成長させて前記第1AlN層とは分極が反転した第2AlN層を形成するAlN分極反転構造の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、厚さ方向に分極した第1AlN層上にAlNを結晶成長させて第1AlN層とは分極が反転した第2AlN層を形成するので、第1及び第2AlN層間の全面が概ね一様に接合された構造となり、そのため高い歩留まりを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1AlN層形成工程を示す説明図である。
【図2】第2AlN層形成工程を示す説明図である。
【図3】実施例におけるAlNを結晶成長させたときのタイミングチャートである。
【図4A】実施例で得られたAlN分極反転構造の表面の走査型顕微鏡写真である。
【図4B】実施例で得られたAlN分極反転構造をKOH水溶液に30秒浸した後の表面の走査型顕微鏡写真である。
【図4C】実施例で得られたAlN分極反転構造をKOH水溶液に90秒浸した後の表面の走査型顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について詳細に説明する。

【0010】
実施形態に係るAlN分極反転構造の製造方法は、第1AlN層形成工程と、第2AlN層形成工程とを含む。

【0011】
(第1AlN層形成工程)
第1AlN層形成工程では、図1に示すように、ベース基板10上に第1AlN層11を形成する。

【0012】
ベース基板10としては、例えば、サファイア基板、ZnO基板、SiC基板、AlN基板等が挙げられる。ベース基板10は、その主面がc面又は-c面である。ここで、本願における「主面」とは、半導体の積層成長方向に対して垂直な面であって、通常は表面における最も広い面である。

【0013】
第1AlN層11の形成方法は、特に限定されるものではなく、化学気相成長法(CVD)であっても、また、物理気相成長法(PVD)であっても、いずれでもよい。化学気相成長法(CVD)としては、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)等が挙げられる。物理気相成長法(PVD)としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等が挙げられる。

【0014】
化学気相成長法(CVD)の場合、CVD装置の反応室内において、ベース基板10を、Al源ガス及びN源ガスが流通する雰囲気に曝し、ベース基板10上にAlNをエピタキシャル結晶成長させて第1AlN層11を形成する。形成される第1AlN層11は、成長条件を適切に選定することにより、c面(Al極性面)又は-c面(N極性面)を得ることが出来る。なお、第1AlN層11の形成前に、ベース基板10上に低温バッファ層を形成してもよい。

【0015】
Al源ガスとしては、有機金属気相成長法(MOVPE)では、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)ガス、トリエチルアルミニウム(TEA)ガス等が挙げられ、ハイドライド気相成長法(HVPE)では、例えばAlClガス、AlClガスが挙げられる。N源ガスとしては、例えばNHガス等が挙げられる。Al源ガス及びN源ガス以外に用いられるキャリアガスとしては、例えばHガス等が挙げられる。

【0016】
Al源ガスによるAl原子の供給モル数に対するN源ガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比は、例えば10以上100以下である。結晶成長温度は、例えば1150℃以上1600℃以下である。

【0017】
なお、物理気相成長法(PVD)の場合、形成される第1AlN層11が、ベース基板10の主面の極性をそのまま保持し、その主面がベース基板10と同一のc面(Al極性面)又は-c面(N極性面)となるように条件設定する。

【0018】
(第2AlN層形成工程)
第2AlN層形成工程では、化学気相成長法(CVD)により、CVD装置の反応室内において、第1AlN層形成工程で形成したベース基板10上の第1AlN層11を、Al源ガス及びN源ガスが流通する雰囲気に曝し、図2に示すように、第1AlN層11上にAlNを結晶成長させて第1AlN層11とは分極が反転した第2AlN層12を形成する。形成される第2AlN層12は、第1AlN層11とは分極が反転するので、第1AlN層11の主面がc面(Al極性面)の場合は、その主面が-c面(N極性面)となり、第1AlN層11の主面が-c面(N極性面)の場合は、その主面がc面(Al極性面)となる。

【0019】
Al源ガスとしては、第1AlN層形成工程と同様、有機金属気相成長法(MOVPE)では、例えばTMAガス、TEAガス等が挙げられ、ハイドライド気相成長法(HVPE)では、例えばAlClガス、AlClガスが挙げられる。N源ガスとしては、例えばNHガス等が挙げられる。なお、Al源ガス及びN源ガス以外に用いられるキャリアガスとしては、例えばHガス等が挙げられる。

【0020】
Al源ガスによるAl原子の供給モル数に対するN源ガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比は、第1AlN層11とは分極が反転したAlNの結晶成長を促進する観点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは5以上15以下である。結晶成長温度は、例えば1200℃以上1450℃以下である。第1及び第2AlN層11,12のいずれも化学気相成長法(CVD)により形成する場合、それらの結晶成長温度は、同一であることが好ましい。

【0021】
第1AlN層11とは分極が反転したAlNの結晶成長を促進する観点からは、第1AlN層11上にAlNを結晶成長させる前に、N源ガスの供給量がAlNの結晶成長時と同じ量の雰囲気、AlNの結晶成長時よりも少ない量の雰囲気およびN源ガスを流通させない雰囲気のうちのいずれかの雰囲気に曝すサーマルクリーニングの期間を設けることが好ましい。N源ガスの節約の観点からはN源ガスを流通させない雰囲気がより好ましい。このサーマルクリーニングは、第1AlN層11の表面の温度を1200℃以上1450℃以下とする期間を含むことが好ましい。サーマルクリーニング期間内の第1AlN層11の表面の温度は、かかる範囲内の温度で第2AlN層形成工程における結晶成長温度と同一であってもよい。サーマルクリーニングの期間の長さは、好ましくは5分以上60分以下、より好ましくは10分以上50分である。

【0022】
以上の実施形態に係るAlN分極反転構造の製造方法によれば、厚さ方向に分極した第1AlN層11上にAlNを結晶成長させて第1AlN層11とは分極が反転した第2AlN層12を形成するので、第1及び第2AlN層11,12間の全面が概ね一様に接合された構造となり、大半を素子形成に用いることができ、そのため高い歩留まりを得ることができる。しかも、第1及び第2AlN層11,12の界面における不純物の濃度を低く抑えることができる。

【0023】
得られたAlN分極反転構造は、第1及び第2AlN層11,12の界面が光導波路とされた波長変換素子を構成し、既存のレーザとの組み合わせにより第二次高調波発生(SHG)が利用され、それが、例えば、記録光源、医療応用、加工用途等の分野で用いられる深紫外線レーザに適用することができる。また、N極性面のAlNでは、表面平坦性に問題があることがよく知られた事実であるが、表面平坦性の優れたAl極性面の第1AlN層11上にN極性面の第2AlN層12の薄膜を積層することにより、表面平坦性の優れるN極性面のAlNが得られることから、それを様々なデバイスに適用することが可能となる。
【実施例】
【0024】
以下、有機金属気相成長法(MOVPE)により第1及び第2AlN層を形成したAlN分極反転構造の製造実験について説明する。
【実施例】
【0025】
第1AlN層形成工程では、まず、CVD装置の反応室に、主面がc面のサファイア基板をセットし、反応室にキャリアガスのHガスを流し始め、圧力100kPa下で、16分間かけてサファイア基板の温度を1300℃まで昇温した。次いで、サファイア基板の温度が1300℃になった時、反応室内の減圧を開始し、11分間かけて圧力を100kPaから20kPaまで減圧した。その後、NHガスを流し始め、その10秒後、TMAガスを流し始め、60分間TMAガスを流し、サファイア基板上にAlNをエピタキシャル結晶成長させて主面がc面の第1AlN層を形成した。このとき、Al源ガスのTMAガスによるAl原子の供給モル数に対するN源ガスのNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を100とした。そして、TMAガスを停止し、Hガス及びNHガスを流しながら、室温まで冷却した後、NHガスを停止した。
【実施例】
【0026】
次の第2AlN層形成工程では、図3に示すように、(i)まず、Hガスを流しながら、圧力100kPa下で、16分間かけてサファイア基板及び第1AlN層の温度を1300℃まで昇温した。(ii)次いで、サファイア基板及び第1AlN層の温度が1300℃になった時、この温度を維持しつつ反応室内の減圧を開始し、11分間かけて圧力を100kPaから20kPaまで減圧した。この減圧過程において第1AlN層の表面温度をN源ガスのNHガスを流通させない雰囲気に曝すことによるサーマルクリーニングを10分間行った。(iii)減圧過程終了後、NHガスを流し始め、(iv)その10秒後、TMAガスを流し始め、60分間TMAガスを流し、第1AlN層上にAlNを結晶成長させて第1AlN層とは分極が反転した主面が-c面の第2AlN層を形成した。このとき、Al源ガスのTMAガスによるAl原子の供給モル数に対するN源ガスのNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を10とした。(v)そして、TMAガスを停止し、Hガス及びNHガスを流しながら、室温まで冷却した後、Hガス及びNHガスを停止した。これにより、サファイア基板上に分極が反転した第1及び第2AlN層が積層されて構成されたAlN分極反転構造を得た。
【実施例】
【0027】
図4Aは、得られたAlN分極反転構造の表面を示し、図4B及びCは、それぞれKOH水溶液に30秒及び90秒浸した後の表面を示すが、これらより、第2AlN層がKOH水溶液によりエッチングされており、このことから、第2AlN層の主面が-c面(N極性面)であることを確認した。また、エッチングされた以外の膜表面は+c面(Al極性面)であることも確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、AlN分極反転構造の製造方法の技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0029】
10 ベース基板
11 第1AlN層
12 第2AlN層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4A】
3
【図4B】
4
【図4C】
5