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明細書 :半導体基板及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-200222 (P2020-200222A)
公開日 令和2年12月17日(2020.12.17)
発明の名称または考案の名称 半導体基板及びその製造方法
国際特許分類 C30B  29/38        (2006.01)
C30B  25/16        (2006.01)
H01L  21/205       (2006.01)
FI C30B 29/38 D
C30B 25/16
H01L 21/205
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2019-108822 (P2019-108822)
出願日 令和元年6月11日(2019.6.11)
発明者または考案者 【氏名】岡田 成仁
【氏名】只友 一行
【氏名】金子 拓司
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001427、【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G077
5F045
Fターム 4G077AA03
4G077BE15
4G077DB04
4G077DB05
4G077DB08
4G077EA02
4G077EA06
4G077EC09
4G077ED05
4G077ED06
4G077EE03
4G077EF03
4G077EF04
4G077HA02
4G077HA06
4G077HA12
4G077TA04
4G077TB02
4G077TB03
4G077TB05
4G077TC06
4G077TC14
4G077TJ03
4G077TK06
4G077TK08
5F045AA03
5F045AA04
5F045AB09
5F045AB14
5F045AB17
5F045AB18
5F045AC03
5F045AC08
5F045AC09
5F045AC12
5F045AC15
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AD12
5F045AD13
5F045AD14
5F045AF02
5F045AF09
5F045BB11
5F045DA53
要約 【課題】化学気相成長法により半導体基板を製造する際に、反りの発生を抑制する。
【解決手段】化学気相成長法による半導体基板の製造方法は、ベース基板10上にIII族窒化物半導体を結晶成長させて低温バッファ層11を形成し、低温バッファ層11上に、低温バッファ層11を形成するときの結晶成長温度よりも高い結晶成長温度でIII族窒化物半導体を結晶成長させて中間半導体層12を形成し、中間半導体層12上に、中間半導体層12を形成するときの結晶成長温度よりも高い結晶成長温度でIII族窒化物半導体を結晶成長させてメイン半導体層13を形成する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
化学気相成長法による半導体基板の製造方法であって、
ベース基板上にIII族窒化物半導体を結晶成長させて低温バッファ層を形成し、
前記低温バッファ層上に、前記低温バッファ層を形成するときの結晶成長温度よりも高い結晶成長温度でIII族窒化物半導体を結晶成長させて中間半導体層を形成し、
前記中間半導体層上に、前記中間半導体層を形成するときの結晶成長温度よりも高い結晶成長温度でIII族窒化物半導体を結晶成長させてメイン半導体層を形成する半導体基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された半導体基板の製造方法において、
前記中間半導体層が半導体超格子を含む半導体基板の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載された半導体基板の製造方法において、
前記半導体超格子が、三元化合物のIII族窒化物半導体と、それから一方のIII族元素が減じられた二元化合物のIII族窒化物半導体との交互積層構造を有する半導体基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載された半導体基板の製造方法において、
前記三元化合物のIII族窒化物半導体及び前記二元化合物のIII族窒化物半導体の積層体の積層数が2以上である半導体基板の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された半導体基板の製造方法において、
前記三元化合物のIII族窒化物半導体中のIII族元素における前記一方のIII族元素のモル分率が2.0%以上である半導体基板の製造方法。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかに記載された半導体基板の製造方法において、
前記三元化合物のIII族窒化物半導体がInGaNであり、且つ前記二元化合物のIII族窒化物半導体がGaNである半導体基板の製造方法。
【請求項7】
ベース基板と、
前記ベース基板上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成された低温バッファ層と、
前記低温バッファ層上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成された中間半導体層と、
前記中間半導体層上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成されたメイン半導体層と、
を備え、
前記中間半導体層が半導体超格子を含む半導体基板。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高効率の発光デバイスやパワーデバイスを得るためには、高品質なGaN基板が必要である。そのようなGaN基板の製造方法として、非特許文献1には、サファイア基板上にTiCバッファ層を設け、そのTiCバッファ層上にGaN層を結晶成長させ、それをサファイア基板から分離してGaN基板を製造することが開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Journal of Crystal Growth 350 (2012) 44-49 Huiyuan Geng, Haruo Sunakawa, Norihiko Sumi, Kazutomi Yamamoto, A. Atsushi Yamaguchi, Akira Usui Growth and strain characterization of high quality GaN crystal by HVPE
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今後、GaN基板に対する需要は益々高まることが予想されるが、低コストであることから、化学気相成長法によるGaN基板の製造に期待が寄せられている。ところが、化学気相成長法の場合、製造するGaN基板に大きな反りが発生するため、基板面内の品質の均一性の要求による制約から、大口径化を図ることができないという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、化学気相成長法により半導体基板を製造する際に、反りの発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、化学気相成長法による半導体基板の製造方法であって、ベース基板上に半導体を結晶成長させて低温バッファ層を形成し、前記低温バッファ層上に、前記低温バッファ層を形成するときの結晶成長温度よりも高い結晶成長温度で半導体を結晶成長させて中間半導体層を形成し、前記中間半導体層上に、前記中間半導体層を形成するときの結晶成長温度よりも高い結晶成長温度で半導体を結晶成長させてメイン半導体層を形成する。
【0007】
本発明は、ベース基板と、前記ベース基板上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成された低温バッファ層と、前記低温バッファ層上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成された中間半導体層と、前記中間半導体層上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成されたメイン半導体層とを備え、前記中間半導体層が半導体超格子を含む半導体基板である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、化学気相成長法により半導体基板を製造する際に、低温バッファ層とメイン半導体層との間に中間半導体層を設け、その中間半導体層を形成するときの結晶成長温度を、低温バッファ層を形成するときの結晶成長温度よりも高く且つメイン半導体層を形成するときの結晶成長温度よりも低くすることにより、反りの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】実施形態に係る半導体基板の製造方法における低温バッファ層形成ステップを示す第1の説明図である。
【図1B】実施形態に係る半導体基板の製造方法における低温バッファ層形成ステップを示す第2の説明図である。
【図2A】実施形態に係る半導体基板の製造方法における中間半導体層形成ステップを示す第1の説明図である。
【図2B】実施形態に係る半導体基板の製造方法における中間半導体層形成ステップを示す第2の説明図である。
【図3】実施形態に係る半導体基板の製造方法におけるメイン半導体層形成ステップを示す説明図である。
【図4A】実施例1の半導体基板の作製におけるタイミングチャートである。
【図4B】実施例2の半導体基板の作製におけるタイミングチャートである。
【図4C】実施例3~5の半導体基板の作製におけるタイミングチャートである。
【図5】InGaN中のIII族元素におけるInのモル分率と半導体基板の基板表面の曲率半径との関係を示すグラフである。
【図6】InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体の積層数と半導体基板の基板表面の曲率半径との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について詳細に説明する。

【0011】
実施形態に係る半導体基板の製造方法では、化学気相成長法(CVD)により半導体基板の製造を行う。化学気相成長法(CVD)としては、例えば、有機金属気相成長法(MOVPE)、ハイドライド気相成長法(HVPE)等が挙げられる。

【0012】
実施形態に係る半導体基板の製造方法は、低温バッファ層形成ステップと、中間半導体層形成ステップと、メイン半導体層形成ステップとを含む。

【0013】
<低温バッファ層形成ステップ>
低温バッファ層形成ステップでは、図1Aに示すように、反応室C内のステージSにベース基板10をセットした後、反応室C内にIII族元素源ガス及びN源ガスをキャリアガスとともに供給し、図1Bに示すように、ベース基板10上にIII族窒化物半導体をエピタキシャル結晶成長させて低温バッファ層11を形成する。

【0014】
ベース基板10としては、例えば、サファイア基板、ZnO基板、SiC基板等が挙げられる。ベース基板10の主面は、a面、c面、m面、及びr面のいずれであってもよく、また、他の面方位の結晶面であってもよいが、高品質の半導体基板を製造する観点から、これらのうちのc面であることが好ましい。ここで、「主面」とは、半導体の積層成長方向に対して垂直な面をいい、通常は基板表面における最も広い面である。

【0015】
低温バッファ層11を形成するIII族窒化物半導体としては、例えば、二元化合物のGaN、InN、AlN;三元化合物のAlGaN、InGaN;四元化合物のAlGaInN等のIII族窒化物半導体が挙げられる。低温バッファ層11を形成するIII族窒化物半導体は、後述のメイン半導体層13を形成するIII族窒化物半導体と同一であることが好ましい。

【0016】
III族元素源ガスとしては、有機金属気相成長法(MOVPE)では、例えば、TMGガス、TEGガス、TMIガス、TEIガス、TMAガス、TEAガス等が挙げられ、ハイドライド気相成長法(HVPE)では、例えば、GaClガス、GaClガス、InClガス、InClガス、AlClガス、AlClガス等が挙げられる。N源ガスとしては、例えば、NHガス、Nガス等が挙げられる。キャリアガスとしては、例えば、Nガス、Hガス等が挙げられる。キャリアガスは、これらのうちの一方又は両方を用いることが好ましく、Hガスを用いることがより好ましい。III族元素源ガスによるIII族原子の供給モル数に対する窒素源ガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比は、一般的には、例えば1000以上30000以下、特にInGaNを結晶成長させる場合には、例えば10000以上30000以下である。

【0017】
低温バッファ層11を形成するときの結晶成長温度は、例えば400℃以上600℃以下である。低温バッファ層11の厚さは、例えば10nm以上50nm以下である。

【0018】
なお、低温バッファ層11の形成前に、ベース基板10の基板表面をサーマルクリーニングすることが好ましい。

【0019】
<中間半導体層形成ステップ>
中間半導体層形成ステップでは、低温バッファ層形成ステップから条件を変更し、図2Aに示すように、低温バッファ層11上に、低温バッファ層11を形成するときの結晶成長温度よりも高い結晶成長温度でIII族窒化物半導体をエピタキシャル結晶成長させて中間半導体層12を形成する。

【0020】
中間半導体層12を形成するIII族窒化物半導体としては、低温バッファ層11と同様、例えば、二元化合物のGaN、InN、AlN;三元化合物のAlGaN、InGaN;四元化合物のAlGaInN等のIII族窒化物半導体が挙げられる。III族元素源ガス、N源ガス、及びキャリアガスも、低温バッファ層11の形成の場合と同様のものが挙げられる。キャリアガスは、Nガス及びHガスのうちの一方又は両方を用いることが好ましく、Nガスを用いることがより好ましい。

【0021】
III族元素源ガスによるIII族原子の供給モル数に対する窒素源ガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比は、例えば5000以上40000以下である。III族元素源ガスの流量は、低温バッファ層形成ステップでの流量よりも少ないことが好ましい。窒素源ガスの流量は、低温バッファ層形成ステップでの流量よりも多いことが好ましい。

【0022】
中間半導体層12は、単一種のIII族窒化物半導体で構成されていてもよいが、後述する製造する半導体基板の反りの発生を抑制する観点から、複数種のIII族窒化物半導体の積層体の半導体超格子を含むことが好ましい。

【0023】
半導体超格子は、製造する半導体基板の反りの発生を抑制する観点から、図2Bに示すように、三元化合物のIII族窒化物半導体の第1層121と、それから一方のIII族元素が減じられた二元化合物のIII族窒化物半導体の第2層122との交互積層構造を有することが好ましい。具体的には、かかる半導体超格子の中間半導体層12としては、例えばInGaNとGaNとの交互積層構造等が挙げられる。また、この場合、二元化合物又は三元化合物のIII族窒化物半導体は、同様の観点から、後述のメイン半導体層13を形成するIII族窒化物半導体と同一であることが好ましく、二元化合物のIII族窒化物半導体がメイン半導体層13を形成するIII族窒化物半導体と同一であることがより好ましい。

【0024】
半導体超格子は、製造する半導体基板の反りの発生を抑制する観点から、三元化合物のIII族窒化物半導体の第1層121及び二元化合物のIII族窒化物半導体の第2層122の積層体を1単位として、その積層数が、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、一方、高い結晶品質を維持する観点から、好ましくは25以下である。

【0025】
三元化合物のIII族窒化物半導体中のIII族元素における上記一方のIII族元素のモル分率は、製造する半導体基板の反りの発生を抑制する観点から、好ましくは2.0%以上、より好ましくは10.0%以上であり、更に好ましくは20.0%以上であり、一方、高い結晶品質を維持する観点から、好ましくは25.0%以下である。

【0026】
中間半導体層12を形成するときの結晶成長温度は、低温バッファ層11を形成するときの結晶成長温度よりも高く、製造する半導体基板の反りの発生を抑制する観点から、好ましくは500℃以上1000℃以下、より好ましくは600℃以上900℃以下、更に好ましくは650℃以上850℃以下である。中間半導体層12を形成するときの結晶成長温度と、低温バッファ層11を形成するときの結晶成長温度との温度差は、同様の観点から、好ましくは100℃以上500℃以下、より好ましくは150℃以上450℃以下、更に好ましくは200℃以上400℃以下である。

【0027】
中間半導体層12が半導体超格子を含む場合、複数種のIII族窒化物半導体の結晶成長温度が同一であってもよく、また、複数種のIII族窒化物半導体の結晶成長温度が種類毎に異なってもよい。なお、この結晶成長温度により、III族窒化物半導体中のIII族元素のモル分率を制御することができる。

【0028】
中間半導体層12の厚さは、例えば5nm以上50nm以下である。中間半導体層12が半導体超格子を含む場合、各III族窒化物半導体の厚さは、例えば1nm以上10nm以下である。

【0029】
<メイン半導体層形成ステップ>
メイン半導体層形成ステップでは、中間半導体層形成ステップから条件を変更し、図3に示すように、中間半導体層12上に、中間半導体層12を形成するときの結晶成長温度よりも高い結晶成長温度で半導体をエピタキシャル結晶成長させてメイン半導体層13を形成する。

【0030】
メイン半導体層13を形成するIII族窒化物半導体としては、低温バッファ層11及び中間半導体層12と同様、例えば、二元化合物のGaN、InN、AlN;三元化合物のAlGaN、InGaN;四元化合物のAlGaInN等のIII族窒化物半導体が挙げられる。III族元素源ガス、N源ガス、及びキャリアガスも、低温バッファ層11及び中間半導体層12の形成の場合と同様のものが挙げられる。キャリアガスは、Nガス及びHガスのうちの一方又は両方を用いることが好ましく、Hガスを用いることがより好ましい。

【0031】
III族元素源ガスによるIII族原子の供給モル数に対する窒素源ガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比は、例えば1000以上5000以下である。III族元素源ガスの流量は、低温バッファ層形成ステップ及び中間半導体層形成ステップでの流量よりも多いことが好ましい。

【0032】
メイン半導体層13を形成するときの結晶成長温度は、中間半導体層12を形成するときの結晶成長温度よりも高く、例えば900℃以上1400℃以下である。メイン半導体層13を形成するときの結晶成長温度と、中間半導体層12を形成するときの結晶成長温度との温度差は、好ましくは200℃以上600℃以下、より好ましくは300℃以上500℃以下である。メイン半導体層13の厚さは、例えば1μm以上10μm以下である。

【0033】
本実施形態で製造される半導体基板は、ベース基板10と、そのベース基板10上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成された低温バッファ層11と、その低温バッファ層11上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成された中間半導体層12と、その中間半導体層12上にIII族窒化物半導体が結晶成長して形成されたメイン半導体層13とを備えたものである。そして、中間半導体層12は、複数種のIII族窒化物半導体の積層体の半導体超格子を含んでいてもよい。また、メイン半導体層13は、ベース基板10から分離されて自立基板を構成していてもよい。なお、メイン半導体層13をベース基板10から自発分離させる観点からは、中間半導体層12が、三元化合物のIII族窒化物半導体の第1層121と、それから一方のIII族元素が減じられた二元化合物のIII族窒化物半導体の第2層122との交互積層構造を有し、それらの三元化合物及び二元化合物のIII族窒化物半導体の積層体を1単位として、その積層数が15以上であることが好ましい。また、同様の観点からは、三元化合物のIII族窒化物半導体中のIII族元素における別のIII族元素のモル分率が15.0%以上であることが好ましい。

【0034】
以上の実施形態に係る半導体基板の製造方法によれば、化学気相成長法により半導体基板を製造する際に、低温バッファ層11とメイン半導体層13との間に中間半導体層12を設け、その中間半導体層12を形成するときの結晶成長温度を、低温バッファ層11を形成するときの結晶成長温度よりも高く且つメイン半導体層13を形成するときの結晶成長温度よりも低くすることにより、反りの発生を抑制することができる。したがって、これにより、化学気相成長法により製造する半導体基板の大口径化を図ることができる。
【実施例】
【0035】
有機金属気相成長法(MOVPE)による半導体基板の作製実験について説明する。
【実施例】
【0036】
(半導体基板)
以下の実施例1~5の半導体基板の作製を行った。
【実施例】
【0037】
<実施例1>
図4Aは、実施例1の半導体基板の作製におけるタイミングチャートを示す。
【実施例】
【0038】
まず、MOVPE装置の反応室のステージに、主面がc面のサファイア基板をセットし、(i)反応室内にNHガスを5slmの流量でキャリアガスのHガスとともに流し始め、圧力100kPaの下、サファイア基板の温度を室温から1150℃まで昇温し、その温度を一定時間保持してサーマルクリーニングした後、460℃まで温度を降下させた。
【実施例】
【0039】
(ii)サファイア基板の温度が460℃になった時、TMGガスを5sccmの流量で流し始め、308.8秒間TMGガスを流し、サファイア基板上にGaNを結晶成長させてGaNの低温バッファ層を形成した。このとき、TMGガスによるGa原子の供給モル数に対するNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を17654とした。TMGガスを停止した後、サファイア基板の温度を800℃まで昇温し、その過程でキャリアガスをHガスからNガスに切り替えた。
【実施例】
【0040】
(iii)サファイア基板の温度が800℃になった時、NHガスの流量を6.5slmに変更するとともに、TMGガスを3.9sccmの流量で流し始め、131秒間TMGガスを流し、低温バッファ層上にGaNを結晶成長させて単層のGaN層の中間半導体層を形成した。このとき、TMGガスによるGa原子の供給モル数に対するNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を28650とした。TMGガスを停止した後、サファイア基板の温度を1150℃まで昇温し、その過程でキャリアガスをNガスからHガスに切り替えた。
【実施例】
【0041】
(iv)サファイア基板の温度が1150℃になった時、NHガスの流量を5slmに変更するとともに、TMGガスを34.8sccmで流し始め、60分間TMGガスを流し、中間半導体層上にGaNを結晶成長させてGaNのメイン半導体層を形成した。このとき、TMGガスによるGa原子の供給モル数に対するNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を2536とした。TMGガスを停止した後、サファイア基板の温度を室温まで降温し、その過程でキャリアガスをHガスからNガスに切り替えた。
【実施例】
【0042】
以上のようにして、中間半導体層をGaNの単層で構成した実施例1の半導体基板を得た。
【実施例】
【0043】
<実施例2>
図4Bは、実施例2の半導体基板の作製におけるタイミングチャートを示す。
【実施例】
【0044】
実施例1の実験方法と同一の方法で、MOVPE装置の反応室のステージに、主面がc面のサファイア基板をセットし、(i)サーマルクリーニング、(ii)低温バッファ層の形成、及び(iii)GaN層の形成を行った。
【実施例】
【0045】
(iv)TMGガスを3.9sccmの流量で流すのに加えて、TMIガスを400sccmの流量で流し始め、126秒間TMGガス及びTMIガスを流し、GaN層上にInGaNを結晶成長させてInGaNの第1層を形成した。このとき、TMGガスによるGa原子及びTMIガスによるIn原子の供給モル数に対するNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を6594とした。
【実施例】
【0046】
(v)TMIガスを停止し、131秒間TMGガスを3.9sccmの流量で流し、InGaNの第1層上にGaNを結晶成長させてGaNの第2層を形成した。このとき、TMGガスによるGa原子の供給モル数に対するNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を28650とした。
【実施例】
【0047】
(vi)(iv)及び(v)の操作をあと9回繰り返し、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体を1単位として、その積層数が10である半導体超格子を含む中間半導体層を形成した。TMGガスを停止した後、サファイア基板の温度を1150℃まで昇温し、その過程でキャリアガスをNガスからHガスに切り替えた。
【実施例】
【0048】
その後、実施例1の(iv)の実験方法と同一の方法で、(vii)中間半導体層上にGaNを結晶成長させてGaNのメイン半導体層を形成した。
【実施例】
【0049】
以上のようにして、中間半導体層が、(iii)のGaN層と、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体の積層数を5とした半導体超格子とを含む実施例2の半導体基板を得た。中間半導体層の第1層のInGaN中のIII族元素におけるInのモル分率は4.0%であった。
【実施例】
【0050】
<実施例3>
図4Cは、実施例3の半導体基板の作製におけるタイミングチャートを示す。
【実施例】
【0051】
実施例1の実験方法と同一の方法で、MOVPE装置の反応室のステージに、主面がc面のサファイア基板をセットし、(i)サーマルクリーニング、(ii)低温バッファ層の形成、(iii)GaN層の形成を行った。その後、サファイア基板の温度を700℃まで降下させた。
【実施例】
【0052】
(iv)サファイア基板の温度が700℃になった時、TMGガスを3.9sccmの流量で流すのに加えて、TMIガスを400sccmの流量で流し始め、202秒間TMGガス及びTMIガスを流し、GaN層上にInGaNを結晶成長させてInGaNの第1層を形成した。このとき、TMGガスによるGa原子及びTMIガスによるIn原子の供給モル数に対するNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を6594とした。TMIガスを停止した後、サファイア基板の温度を800℃まで昇温した。
【実施例】
【0053】
(v)サファイア基板の温度が800℃に達してから131秒間TMGガスを3.9sccmの流量で流し、InGaNの第1層上にGaNを結晶成長させてGaNの第2層を形成した。このとき、TMGガスによるGa原子の供給モル数に対するNHガスによるN原子の供給モル数の比であるV/III比を28650とした。その後、サファイア基板の温度を700℃まで降下させた。
【実施例】
【0054】
(vi)(iv)及び(v)の操作をあと9回繰り返し、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体を1単位として、その積層数が10である半導体超格子を含む中間半導体層を形成した。TMGガスを停止した後、サファイア基板の温度を1150℃まで昇温し、その過程でキャリアガスをNガスからHガスに切り替えた。
【実施例】
【0055】
その後、実施例1の実験方法と同一の方法で、(vii)中間半導体層上にGaNを結晶成長させてGaNのメイン半導体層を形成した。
【実施例】
【0056】
以上のようにして、中間半導体層が、(iii)のGaN層と、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体の積層数を5とした半導体超格子とを含む実施例3の半導体基板を得た。中間半導体層の第1層のInGaN中のIII族元素におけるInのモル分率は23.4%であった。
【実施例】
【0057】
<実施例4>
実施例3の(iv)~(vi)の操作において、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体を1単位として、その積層数が5である半導体超格子を含む中間半導体層を形成したことを除いて、実施例3で作製したものと同一構成の半導体基板を作製し、それを実施例4とした。
【実施例】
【0058】
<実施例5>
実施例3の(iv)~(vi)の操作において、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体を1単位として、その積層数が20である半導体超格子を含む中間半導体層を形成したことを除いて、実施例3で作製したものと同一構成の半導体基板を作製し、それを実施例5とした。実施例5の半導体基板では、メイン半導体層のGaNが自発分離していた。
【実施例】
【0059】
(半導体基板の基板表面の曲率半径)
実施例1~4のそれぞれについて、基板表面の曲率半径を測定した。図5は、実施例1~3基づいた、第1層のInGaN中のIII族元素におけるInのモル分率と、半導体基板の基板表面の曲率半径との関係を示す。図6は、実施例1、2、及び4に基づいた、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体の積層数と、半導体基板の基板表面の曲率半径との関係を示す。なお、実施例1は、中間半導体層が半導体超格子を含まないので、Inのモル分率は0%であり、積層体の積層数は0である。
【実施例】
【0060】
図5によれば、第1層のInGaN中のIII族元素におけるInのモル分率が高くなると、基板表面の曲率半径が大きくなり、したがって、反りの発生が抑制されることが分かる。図6によれば、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体の積層数が多くなっても、基板表面の曲率半径が大きくなり、したがって、反りの発生が抑制されることが分かる。また、InGaNの第1層及びGaNの第2層の積層体の積層数が多くなると、メイン半導体層のGaNの自発分離が促進されることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、半導体基板及びその製造方法の技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0062】
10 ベース基板
11 低温バッファ層
12 中間半導体層
121 第1層
122 第2層
13 メイン半導体層
C 反応室
S ステージ
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図2A】
2
【図2B】
3
【図3】
4
【図4A】
5
【図4B】
6
【図4C】
7
【図5】
8
【図6】
9