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Specification :(In Japanese)把持装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2020-069578A
Date of publication of application May 7, 2020
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)把持装置
IPC (International Patent Classification) B25B   5/16        (2006.01)
FI (File Index) B25B 5/16
Number of claims or invention 9
Filing form OL
Total pages 15
Application Number P2018-205019
Date of filing Oct 31, 2018
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】松本 光広
Applicant (In Japanese)【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100098626、【弁理士】、【氏名又は名称】黒田 壽
【識別番号】100134728、【弁理士】、【氏名又は名称】奥川 勝利
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 3C020
F-term 3C020CC08
3C020EE03
3C020FF00
Abstract (In Japanese)【課題】ユーザーが可動部材を押して把持する構成において、押付力の調整を容易にする。
【解決手段】可動部材110(押付部111)を受け部材2側へ押すユーザー操作力F1により該可動部材を受け部材側へ移動させて、該可動部材と該受け部材との間に被把持物Pを把持する把持装置であって、前記被把持物が前記可動部材から受ける押付力Fの大きさと前記可動部材が受ける前記ユーザー操作力F1の大きさとの差分が小さくなるように、前記可動部材に外力を付与する外力付与手段50(51,52)を有する。
【選択図】図2
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
可動部材を受け部材側へ押すユーザー操作力により該可動部材を受け部材側へ移動させて、該可動部材と該受け部材との間に被把持物を把持する把持装置であって、
前記被把持物が前記可動部材から受ける押付力の大きさと前記可動部材が受ける前記ユーザー操作力の大きさとの差分が小さくなるように、前記可動部材に外力を付与する外力付与手段を有することを特徴とする把持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の把持装置において、
前記外力付与手段が付与する外力は、前記差分が略ゼロになるように設定されていることを特徴とする把持装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の把持装置において、
前記外力付与手段が付与する外力は、前記可動部材が前記ユーザー操作力を受けていないときに、前記可動部材が前記受け部材から離れる側へ移動するように設定されていることを特徴とする把持装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の把持装置において、
前記可動部材の位置を固定する固定手段と、
前記固定手段により前記可動部材の位置を固定するロック状態と該ロック状態を解除するロック解除状態とを切り替える切替手段とを有することを特徴とする把持装置。
【請求項5】
請求項4に記載の把持装置において、
前記固定手段は、電磁ブレーキであることを特徴とする把持装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の把持装置において、
前記切替手段は、ユーザーの手とは異なる体部位によって操作される操作部を備え、該操作部に対する操作内容に応じて前記ロック状態と前記ロック解除状態とを切り替えることを特徴とする把持装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の把持装置において、
前記可動部材は、前記受け部材に対して鉛直方向上方に配置され、
前記外力付与手段は、前記可動部材を前記受け部材から離す向きに、該可動部材の自重分の押付力と略一致する外力を付与することを特徴とする把持装置。
【請求項8】
請求項7に記載の把持装置において、
前記可動部材は、水平方向に延びる回転軸回りの回転運動を前記受け部材への並進運動に変換する運動変換機構と、該運動変換機構によって並進運動する押付部とを備え、
前記外力付与手段は、前記回転運動により回転するアームと、前記アームに取り付けられるおもり部材とを備えることを特徴とする把持装置。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の把持装置において、
前記可動部材は、前記受け部材に対して鉛直方向側方に配置され、
前記外力付与手段は、前記可動部材を前記受け部材へ近づける向きに、前記ユーザー操作力により該可動部材が前記受け部材側へ移動する際に該可動部材に作用する移動抵抗力と略一致する外力を付与することを特徴とする把持装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、被把持物を固定したり移動させたりする際に用いられる把持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の把持装置としては、ユーザー操作によって可動部材を受け部材側へ移動させて可動部材と受け部材との間に被把持物を把持する把持装置が知られている。例えば、特許文献1には、基台上に固定された固定バイス(受け部材)とスクリュー軸の軸方向に沿って水平移動可能な移動バイス(可動部材)との間に被把持物を把持するクイックバイス装置が開示されている。このクイックバイス装置は、移動バイスがスクリュー軸に噛み合う噛合状態と噛み合わない非噛合状態とに切り替える構成を備えている。
【0003】
このクイックバイス装置で被把持物を把持する場合、まず、移動バイスを非噛合状態にし、ユーザーはスクリュー軸を回転させることなく移動バイスを直接操作して、移動バイスをスクリュー軸に沿って水平移動させ、移動バイスと固定バイスとの間隔を被把持物の大きさにあった間隔に調整する。その後、移動バイスを噛合状態にし、スクリュー軸に設けられるレバーをユーザーが回してスクリュー軸を回転させ、移動バイスを固定バイス側へ移動させる。これにより、レバーの回し量に応じた押付力で移動バイスが被把持物を固定バイスへ押し付け、移動バイスと固定バイスとの間に被把持物が把持される。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平9-295273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば強度の低い被把持物(壊れやすい被把持物等)を把持するとき、被把持物が可動部材から受ける押付力の許容範囲が狭くなる場合がある。このように押付力の許容範囲が狭い場合であっても、ユーザーが当該被把持物を直接押さえて把持する場合(受け部材との間で被把持物をユーザーの指で押さえて把持するような場合)、ユーザーは、被把持物が受ける押付力を直接的に感知でき、押付力を当該狭い許容範囲内に調整することが容易である。しかしながら、ユーザーがレバーを回して被把持物の押付力を調整するような従来の把持装置では、被把持物が受ける押付力を直接的に感知することができず、当該狭い許容範囲内に押付力を調整することが困難である。
【0006】
ところで、上述した特許文献1に開示されたクイックバイス装置のように、移動バイス(可動部材)がスクリュー軸に噛み合う噛合状態(可動部材の位置がロックされたロック状態)と噛み合わない非噛合状態(非ロック状態)とに切り替える構成を備えた把持装置では、次のような利用方法が考えられる。すなわち、可動部材を非ロック状態にし、ユーザーは可動部材を受け部材側へ押して移動させ、可動部材により被把持物を受け部材へ押し付けて把持し、その後、可動部材をロック状態にして可動部材の位置を固定するという利用方法である。この利用方法によれば、ユーザーが可動部材を介して被把持物を押さえるので、ユーザーが被把持物を直接(可動部材を介さずに)押さえる場合と同様に、被把持物が受ける押付力を感知しやすく、許容範囲が狭い場合でも押付力を当該許容範囲内に調整することが比較的容易となる。
【0007】
しかしながら、ユーザーが可動部材を押して把持する場合、可動部材が移動するときの移動抵抗力(摩擦力等)などが作用して、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさが、可動部材を押すユーザー操作力の大きさと一致せず、ズレたものとなる。このようなズレが大きいと、ユーザーが当該被把持物を直接(可動部材を介さずに)押さえて把持する場合と比べて、被把持物が受ける押付力を正確に感知しにくく、押付力の調整が困難となる。
【0008】
なお、以上の説明は、可動部材が受け部材に対して水平移動して把持する例であるが、可動部材が受け部材に対して鉛直方向に沿って移動して把持する例でも、可動部材の自重などが作用して、同様に、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさが、可動部材を押すユーザー操作力の大きさと一致せず、ズレたものとなる。そのため、被把持物が受ける押付力を正確に感知しにくく、押付力の調整が困難となるという同様の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、可動部材を受け部材側へ押すユーザー操作力により該可動部材を受け部材側へ移動させて、該可動部材と該受け部材との間に被把持物を把持する把持装置であって、前記被把持物が前記可動部材から受ける押付力の大きさと前記可動部材が受ける前記ユーザー操作力の大きさとの差分が小さくなるように、前記可動部材に外力を付与する外力付与手段を有することを特徴とする。
本発明においては、可動部材を受け部材側へ押すユーザー操作力によって可動部材を受け部材側へ移動させて可動部材と受け部材との間に被把持物を把持するので、被把持物をユーザーが直接(可動部材を介さずに)押さえる場合と同様に、被把持物が受ける押付力を感知しやすい。よって、許容範囲が狭い場合でも押付力を当該許容範囲内に調整することが比較的容易である。
ここで、上述したように、ユーザー操作力によって可動部材が移動するとき、移動抵抗力(摩擦力等)や可動部材の自重などの作用により、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさが、可動部材を押すユーザー操作力の大きさと一致せず、ズレたものとなり、押付力の調整を困難にする。
そこで、本発明においては、外力付与手段により可動部材に外力を付与し、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさと、可動部材が受けるユーザー操作力の大きさとの差分が小さくなるようにしている。これにより、ユーザー操作力によって可動部材が移動するときに移動抵抗力(摩擦力等)や可動部材の自重などが作用していても、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさと、可動部材を押すユーザー操作力の大きさとのズレを小さくし、又は無くすことが可能となる。これにより、ユーザーが可動部材を押して把持する構成であっても、被把持物をユーザーが直接(可動部材を介さずに)押さえる場合の感覚により近づけることができ、押付力の調整が容易なものとなる。
【0010】
また、前記把持装置において、前記外力付与手段が付与する外力は、前記差分が略ゼロになるように設定されていることを特徴とする。
これによれば、ユーザー操作力によって可動部材が移動するときに移動抵抗力(摩擦力等)や可動部材の自重などが作用していても、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさと、可動部材を押すユーザー操作力の大きさとのズレを、実質的に無くすことができる。これにより、ユーザーが可動部材を押して把持する構成であっても、被把持物をユーザーが直接(可動部材を介さずに)押さえる場合と同等の感覚を実現することができる。その結果、ユーザーは被把持物が受ける押付力を直接的に感知することができ、許容範囲が狭い場合でも、押付力を当該許容範囲内に調整することが更に容易なものとなる。
【0011】
また、前記把持装置において、前記外力付与手段が付与する外力は、前記可動部材が前記ユーザー操作力を受けていないときに、前記可動部材が前記受け部材から離れる側へ移動するように設定されていることを特徴とする。
可動部材と受け部材との間に被把持物を把持させる際、ユーザーは可動部材と受け部材との間隔を広げて、その間に被把持物を入れるという作業を行う。本発明によれば、可動部材と受け部材との間に被把持物を入れる作業の際、外力付与手段が付与する外力により可動部材が受け部材から離れる側へ移動していて、可動部材と受け部材との間隔が広がった状態になっている。よって、ユーザーが可動部材を操作して可動部材と受け部材との間隔を広げるという作業が不要となり、ユーザーの利便性が向上する。
【0012】
また、前記把持装置において、前記可動部材の位置を固定する固定手段と、前記固定手段により前記可動部材の位置を固定するロック状態と該ロック状態を解除するロック解除状態とを切り替える切替手段とを有することを特徴とする。
これによれば、ユーザーが可動部材を押す力(ユーザー操作力)を加減して被把持物が可動部材から受ける押付力を適切に調整した後、可動部材の位置を固定手段により固定してロック状態にすることができる。これにより、ユーザーがその後に可動部材から手を放しても、当該調整された押付力で被把持物を把持し続けることができる。
【0013】
また、前記把持装置において、前記固定手段は、電磁ブレーキであることを特徴とする。
ユーザーが可動部材を押す力(ユーザー操作力)を加減して被把持物が可動部材から受ける押付力を適切に調整した後、固定手段により可動部材の位置を固定するまでの間に、例えば切替手段の操作を行うこと等が原因で、調整した押付力が変化してしまうおそれがある。本発明によれば、固定手段として電磁ブレーキを用いるため、切替手段の操作(電磁ブレーキのオン/オフ操作)により、可動部材の位置を即座に固定できる。よって、固定手段により可動部材の位置を固定する(ロック状態にする)までの間に、調整した押付力が変化してしまう事態の発生が抑制される。
【0014】
また、前記把持装置において、前記切替手段は、ユーザーの手とは異なる体部位によって操作される操作部を備え、該操作部に対する操作内容に応じて前記ロック状態と前記ロック解除状態とを切り替えることを特徴とする。
これによれば、ユーザーが手で可動部材を押している状態のまま、ユーザーの他の体部位(足など)で操作部を操作して、ロック状態にすることができる。よって、切替手段の操作のために、調整した押付力が変化してしまう事態の発生が更に抑制される。
【0015】
また、前記把持装置において、前記可動部材は、前記受け部材に対して鉛直方向上方に配置され、前記外力付与手段は、前記可動部材を前記受け部材から離す向きに、該可動部材の自重分の押付力と略一致する外力を付与することを特徴とする。
これによれば、受け部材の上に載せた被把持物を可動部材で上から押し付けて把持することができる。このとき、上述した外力付与部材を備えていない構成では、可動部材の自重分の押付力が常に被把持物に加わった状態となるため、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさは、可動部材の自重分だけ、可動部材を押すユーザー操作力の大きさよりも大きいものとなってしまい、押付力の調整が困難になる。
本発明によれば、外力付与手段による外力付与によって、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさのうち、可動部材の自重分が実質的にキャンセルされる。これにより、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさと、可動部材を押すユーザー操作力の大きさとのズレを、実質的に無くすことができる。その結果、ユーザーが可動部材を押して把持する構成であっても、被把持物をユーザーが直接(可動部材を介さずに)押さえる場合と同等の感覚を実現することができ、押付力の調整が容易なものとなる。
【0016】
また、前記把持装置において、前記可動部材は、水平方向に延びる回転軸回りの回転運動を前記受け部材への並進運動に変換する運動変換機構と、該運動変換機構によって並進運動する押付部とを備え、前記外力付与手段は、前記回転運動により回転するアームと、前記アームに取り付けられるおもり部材とを備えることを特徴とする。
これによれば、外力付与手段を比較的簡易な構成で実現することができる。
【0017】
また、前記把持装置において、前記可動部材は、前記受け部材に対して鉛直方向側方に配置され、前記外力付与手段は、前記可動部材を前記受け部材へ近づける向きに、前記ユーザー操作力により該可動部材が前記受け部材側へ移動する際に該可動部材に作用する移動抵抗力と略一致する外力を付与することを特徴とする。
これによれば、被把持物を水平方向から挟み込むようにして可動部材と受け部材との間に把持することができる。このとき、上述した外力付与部材を備えていない構成では、ユーザー操作力による可動部材の移動時には、摩擦力などの移動抵抗力が常に作用するため、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさは、移動抵抗力の分だけ、可動部材を押すユーザー操作力の大きさよりも小さいものとなってしまい、押付力の調整が困難になる。
本発明によれば、外力付与手段による外力付与によって、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさのうち、移動抵抗力の分が実質的にキャンセルされる。これにより、被把持物が可動部材から受ける押付力の大きさと、可動部材を押すユーザー操作力の大きさとのズレを、実質的に無くすことができる。その結果、ユーザーが可動部材を押して把持する構成であっても、被把持物をユーザーが直接(可動部材を介さずに)押さえる場合と同等の感覚を実現することができ、押付力の調整が容易なものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザーが可動部材を押して把持する構成であっても、被把持物をユーザーが直接(可動部材を介さずに)押さえる場合と同等の感覚を実現して、押付力の調整が容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る物体固定装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】(a)は、把持前状態における同物体固定装置のバイス部を水平方向から見た模式図。(b)は、把持状態における同物体固定装置のバイス部を水平方向から見た模式図。
【図3】ユーザーがガラス基板を基台の上にセットした状態を示す斜視図。
【図4】ユーザーがバイス部の押付部を指で押し下げて、押付部と基台との間にガラス基板を挟んだ状態を示す斜視図。
【図5】バイス部をロック状態にして押付部と基台との間にガラス基板を把持した状態を示す斜視図。
【図6】(a)は、把持前状態における変形例の物体固定装置のバイス部を水平方向から見た模式図。(b)は、把持状態における変形例の物体固定装置のバイス部を水平方向から見た模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る把持装置の一実施形態について、図面に用いて説明する。
本実施形態の把持装置は、被把持物である加工対象物であるガラス基板を固定する物体固定装置として用いられるものである。ただし、本発明に係る把持装置は、可動部材を受け部材側へ押すユーザー操作力により可動部材を受け部材側へ移動させて、可動部材と受け部材との間に被把持物を把持するものであれば、その用途が特に制限されるものではない。

【0021】
図1は、本実施形態に係る把持装置としての物体固定装置の全体構成を示す斜視図である。
本実施形態の物体固定装置1は、主に、可動部材としてのバイス部10と、ロック部20と、電源部30と、フット操作部40とから構成されている。バイス部10は、押付部11を受け部材としての基台2側へユーザーが押すことにより、その押す力(ユーザー操作力)で押付部11を基台2側へ移動させて、押付部11と基台2との間に被把持物としてのガラス基板を把持する。ロック部20は、バイス部10の押付部11の位置を固定する固定手段である。電源部30は、ロック部20を構成する電磁ブレーキ22A,22Bへの通電をオン、オフすることで、ロック部20によりバイス部10の押付部11の位置を固定するロック状態と、そのロック状態を解除するロック解除状態とを切り替える切替手段である。フット操作部40は、電源部30の通電のオン、オフを指示するためのユーザー操作を受け付ける操作部である。

【0022】
図2(a)及び(b)は、本実施形態における物体固定装置1のバイス部10を水平方向から見た模式図である。
バイス部10は、基台2に対して鉛直方向上方に配置され、押付部11を鉛直方向下側へ移動させることで、基台2上に置いたガラス基板Pを押付部11で押さえ、押付部11と基台2との間にガラス基板Pを把持する。バイス部10は、基台2上に設けられたロック部20によって支持されている。具体的には、ロック部20は、基台2上に立設された2つの支持柱21A,21Bの上部にそれぞれ電磁ブレーキ22A,22Bが取り付けられている。バイス部10には、水平方向に延びる第一回転軸12が設けられており、その第一回転軸12の両端部がそれぞれ電磁ブレーキ22A,22Bに支持されている。

【0023】
バイス部10の第一回転軸12は、電磁ブレーキ22A,22Bが通電していないときにロック状態となり、電磁ブレーキ22A,22Bによって回転不能に支持される。一方、電磁ブレーキ22A,22Bが通電しているときにはロック解除状態となり、電磁ブレーキ22A,22Bによって回転自在に支持される。

【0024】
本実施形態のバイス部10は、第一回転軸12の回転運動を基台2への並進運動に変換する運動変換機構としてのリンク機構を備え、押付部11は第一回転軸12の回転に応じてリンク機構によって並進運動するように構成されている。これは、押付部11を第一回転軸12の回りで回転移動させて基台2へ移動させる構成であると、基台2と押付部11との間隔がかわると、押付部11の下面(被把持物に接触する面)と基台2の上面との平行度が変化してしまうため、被把持物の厚みによって押付部11の下面と被把持物との接触状態が変化し、一定の接触状態を確保しにくいためである。本実施形態のようにリンク機構を採用することで、基台2と押付部11との間隔がかわっても、押付部11の下面と基台2の上面との平行度が維持されるため、被把持物の厚みによらず一定の接触状態を確保しやすい。

【0025】
バイス部10のリンク機構は、4節リンクの平行クランク構造であり、ジョイント部となる4つの回転軸12~15の両端にそれぞれ、リンク部材16A,16B,17A,17B,18A,18B,19A,19Bが回転自在に取り付けられている。第一リンク部材16A,16Bは、その長手方向が鉛直方向に平行となるように、ロック部20の支持柱21A,21Bに固定されている。第一回転軸12は、第一リンク部材16A,16Bの下端部に回転自在であり、第二リンク部材17A,17Bの一端部は、第一回転軸12に固定されている。

【0026】
第二リンク部材17A,17Bの他端部には、第二回転軸13が固定されている。第二回転軸13には、第三リンク部材18A,18Bが回転自在に取り付けられている。第三リンク部材18A,18Bには、第三回転軸14にも回転自在に取り付けられている。第三回転軸14は、第四リンク部材19A,19Bの一端部に固定され、第四リンク部材19A,19Bの他端部には第四回転軸15が固定されている。第四回転軸15には、第一リンク部材16A,16Bの上端部が回転自在に取り付けられている。

【0027】
このようなリンク機構を採用することで、バイス部10は、図2(a)に示す把持前状態から図2(b)に示す把持状態にするために、ユーザーが押付部11の上面を指で押し下げるとき、押付部11は基台2に対して並進移動することができる。

【0028】
図3は、ユーザーがガラス基板Pを基台2の上にセットした状態を示す斜視図である。
図4は、ユーザーがバイス部10の押付部11を指で押し下げて、押付部11と基台2との間にガラス基板Pを挟んだ状態を示す斜視図である。
図5は、バイス部10をロック状態にして押付部11と基台2との間にガラス基板Pを把持した状態を示す斜視図である。

【0029】
本実施形態の物体固定装置1を用いてガラス基板Pを把持して固定する場合、まず、ユーザーは、図3に示すように、ガラス基板Pを手で持って基台2の上に置く。このとき、ガラス基板Pの把持される箇所がバイス部10の押付部11の下方に位置するように置く。その後、ユーザーは、自分の足元に配置されたフット操作部40を足で踏むことで、電源部30からロック部20の電磁ブレーキ22A,22Bへの通電をオンにし、電磁ブレーキ22A,22Bによるバイス部10の第一回転軸12のロック状態を解除する(ロック解除状態にする)。これにより、バイス部10の第三リンク部材18A,18Bに取り付けられた押付部11の位置を動かすことができるようになる。

【0030】
ユーザーは、フット操作部40を足で踏みつづけて、電磁ブレーキ22A,22Bへの通電をオンにしたまま(ロック解除状態のまま)、図4に示すように、バイス部10の押付部11の上面に指を掛け、指で押付部11を押し下げる。なお、押付部11の上方には、第二回転軸13が配置されているが、本実施形態では、ユーザーが押付部11の上面に指が掛けられるように、指を入れる分のスペースが確保されている。

【0031】
ユーザーが指で押付部11を押し下げると、そのユーザーの押し下げる力(ユーザー操作力)で、バイス部10を構成するリンク機構(平行クランク)が1自由度で動き、第三リンク部材18A,18Bが鉛直方向に沿ってまっすぐに下降する。そして、押付部11がガラス基板Pに接したら、ユーザーは、ガラス基板Pが割れず(ガラス基板Pが割れない押付力Fの許容範囲の上限値以下で)、かつ、必要な固定力が発揮されるように(ガラス基板Pを固定するために必要な押付力Fの範囲の下限値以上で)、ガラス基板Pが基台2と押付部11との間に把持されるように、押し下げる力(ユーザー操作力)を調整(力加減)する。

【0032】
このとき、本実施形態の被把持物であるガラス基板Pは、強度が低く、壊れやすい物であるため、押付部11からガラス基板Pが受ける押付力Fの許容範囲は狭い。このように狭い許容範囲であっても、ユーザーがガラス基板Pを直接(押付部11を介さずに)押さえる場合(ユーザーの指と基台2との間にガラス基板Pを把持する場合)には、ユーザーがガラス基板Pが受ける押付力Fを直接的に感知できるので、押付力Fを当該狭い許容範囲内に調整することが容易である。

【0033】
そこで、本実施形態の物体固定装置1では、ユーザーが指で押付部11を押し下げる力(ユーザー操作力)F1によって押付部11を基台2側へ移動させて押付部11と基台2との間にガラス基板Pを把持するようにしている。これにより、ガラス基板Pをユーザーが直接(押付部11を介さずに)押さえる場合に近い感覚で、押付部11と基台2との間にガラス基板Pを把持することが可能となる。その結果、ガラス基板Pが受ける押付力Fを感知しやすく、許容範囲が狭い場合でも押付力Fを当該許容範囲内に調整することが比較的容易である。

【0034】
ところが、基台2上のガラス基板Pを押付部11で上から押さえて把持する構成では、図2(b)に示すように、ガラス基板Pを押し付ける力Fには、ユーザーが指で押付部11を押し下げる力(ユーザー操作力)F1だけでなく、押付部11及びこれを支持する第三リンク部材18A,18Bを含むバイス部10の自重よる力F2が含まれる。そのため、ガラス基板Pが押付部11から受ける押付力Fの大きさは、自重よる力F2の分だけ、ユーザー操作力F1からズレたものとなる。すなわち、ユーザーが指で押付部11を押し下げる力F1は、ガラス基板Pが押付部11から受ける押付力Fとは一致しない。その結果、ユーザーは、ガラス基板Pが受ける押付力Fを正確に感知することが難しく、ガラス基板Pが受ける押付力Fを当該狭い許容範囲内に調整することが難しいものとなる。

【0035】
そこで、本実施形態においては、ガラス基板Pが押付部11から受ける押付力Fの大きさと押付部11が受けるユーザー操作力F1の大きさとの差分が小さくなるように、押付部11に外力を付与する外力付与手段を設けている。本実施形態の外力付与手段は、図2(b)に示すように、第四リンク部材19A,19Bの他端部を連結している連結部19Cに一端が固定されたアーム51と、アーム51に取り付けられるおもり部材52とから構成されたバランス機構50である。

【0036】
本実施形態のバランス機構50では、おもり部材52の自重F3によって、そのおもり部材52が取り付けられたアーム51が固定されている第四リンク部材19A,19Bに固定された第四回転軸15の軸回りに、回転モーメントが常に与えられる。この回転モーメントは、バイス部10を構成するリンク機構に対し、第三リンク部材18A,18Bの下端部に取り付けられた押付部11を基台2から離す向きに作用する。よって、ガラス基板Pを押し付ける力Fに含まれるバイス部10の自重よる力F2の少なくとも一部が、バランス機構50によるおもり部材52の自重F3によってキャンセルされる。これにより、ガラス基板Pが押付部11から受ける押付力Fの大きさと、押付部11が受けるユーザー操作力F1の大きさとの差分(ズレ)が小さくなるので、ユーザーは、ガラス基板Pが受ける押付力Fを正確に感知することが可能となり、ガラス基板Pが受ける押付力Fの調整が容易になる。

【0037】
特に、本実施形態においては、ガラス基板Pを押し付ける力Fに含まれるバイス部10の自重よる力F2が、バランス機構50によるおもり部材52の自重F3によってキャンセルされるように設定されている。すなわち、バランス機構50により付与する外力がバイス部10の自重よる力F2と略一致するように設定されている。これにより、ガラス基板Pが押付部11から受ける押付力Fの大きさと、押付部11が受けるユーザー操作力F1の大きさとの差分(ズレ)は実質的にゼロとなるので、ユーザーは、ガラス基板Pが受ける押付力Fを正確に感知でき、ガラス基板Pが受ける押付力Fの調整が容易になる。

【0038】
本実施形態のバランス機構50は、アーム51に対するおもり部材52の取り付け位置を変えることが可能な構成となっている。おもり部材52の取り付け位置を変えることで、第四回転軸15の軸回りの回転モーメントの大きさが変化するので、バランス機構50により付与する外力の大きさを調整できる。すなわち、本実施形態では、アーム51に対するおもり部材52の取り付け位置を調整することで、おもり部材52を変えなくても、バイス部10の自重よる力F2をキャンセルできるように設定できる。よって、その設定作業が容易である。

【0039】
ただし、本実施形態では、押付部11の位置によって、第四回転軸15回りのアーム51の回転位置が変わり、これにより、おもり部材52の自重F3における第四回転軸15回りの回転方向成分の大きさが変化して、第四回転軸15の軸回りの回転モーメントの大きさが変動する。そのため、ガラス基板Pを基台2との間に挟み込む位置又はその近傍に押付部11が位置するときに、バイス部10の自重よる力F2がおもり部材52の自重F3によってキャンセルされるように設定するのがよい。

【0040】
以上のようにして、ユーザーは、押付部11を押し下げる力(ユーザー操作力)F1を調整(力加減)して、押付部11からガラス基板Pが受ける押付力Fを適切に調整したら(許容範囲内に調整したら)、フット操作部40を足で踏むのを止める。これにより、電磁ブレーキ22A,22Bへの通電がオフになり、電磁ブレーキ22A,22Bによりバイス部10の第一回転軸12がロック状態になる。これにより、バイス部10の第三リンク部材18A,18Bに取り付けられた押付部11の位置が固定され、ユーザーが押付部11から手を放しても、押付部11からガラス基板Pが受ける押付力Fは維持される。その結果、適切に調整された押付力Fでガラス基板Pを把持して固定することができる。

【0041】
本実施形態の固定手段としては、ユーザーの力(人力)を作用させて押付部11の位置を固定するような人力の固定手段(ネジ止め手段など)であってもよい。しかしながら、このような人力の固定手段だと、ロック解除状態からロック状態へ切り替える際、押付部11の位置を固定する作業を行っている間に、押付部11を押し付けているユーザー操作力F1が変動しやすい。そのため、ロック解除状態においてガラス基板Pが受ける押付力Fを適切に調整しても、ロック状態にするときには当該押付力Fが変化して不適切なものとなってしまうおそれがある。

【0042】
そのため、本実施形態においては、上述したとおり、固定手段として、ロック状態とロック解除状態とを電気的に制御可能な電磁ブレーキ22A,22Bを採用している。これによれば、スイッチ操作等のように大きな力が不要でごく単純な作業によって、ロック解除状態からロック状態へ切り替えることができる。よって、人力の固定手段と比べて、ロック解除状態からロック状態へ切り替える際に、押付部11を押し付けているユーザー操作力F1が変動しにくく、適切に調整した押付力Fでロック状態にすることができる。なお、電磁ブレーキ22A,22Bに限らず、ロック状態とロック解除状態とを電気的に制御可能なものであれば、同様の効果を得ることができる。

【0043】
また、本実施形態においては、ロック状態とロック解除状態とを切り替える切替手段が、ユーザーの手とは異なる体部位である足によって操作されるフット操作部40に対する操作によって、ロック状態とロック解除状態とを切り替えるものである。そのため、ロック状態とロック解除状態とを切り替える操作をユーザーの手で行う構成と比べて、その操作時に、ユーザーが手で押付部11を押さえている力(ユーザー操作力F1)が変動しにくい。よって、適切に調整した押付力Fでロック状態にするうえで、より好ましい構成である。

【0044】
また、本実施形態においては、ユーザーが指で押付部11を押し下げて押付部11を移動させる際、バイス部10の回転軸12~15とリンク部材16A,16B,17A,17B,18A,18B,19A,19Bとの間の摺動部分で発生する摩擦力、電磁ブレーキ22A,22Bの負荷など、押付部11に移動抵抗力が影響する。よって、この移動抵抗力が大きい場合には、ガラス基板Pが押付部11から受ける押付力Fの大きさと、押付部11が受けるユーザー操作力F1の大きさとの差分(ズレ)が大きくなる。そのため、この移動抵抗力の分もキャンセルできるように、おもり部材52の自重F3によってバランス機構50が付与する外力を調整するのが好ましい。

【0045】
ところで、ガラス基板Pが押付部11から受ける押付力Fの大きさと、押付部11が受けるユーザー操作力F1の大きさとの差分(ズレ)が完全にゼロとなるように設定されると、ユーザーが押付部11から手を放しても、押付部11の位置はほとんど動かない。そのため、基台2の上にガラス基板Pをセットする際や、あるいは、基台2からガラス基板Pを取り出す際には、押付部11と基台2との間隔を広げるためにユーザーが押付部11を持ち上げるという作業が必要となる場合がある。この作業を省略して利便性の向上を図る観点からすれば、ユーザー操作力F1を受けていない押付部11が基台2から離れる側へ移動するように、バランス機構50によって付与される外力を設定してもよい。このように設定すれば、ユーザーが押付部11から手を放すことで、バランス機構50によって付与される外力により押付部11が基台2から離れる側へ自動的に移動するので、押付部11と基台2との間隔を広げるためのユーザー作業が不要になる。

【0046】
〔変形例〕
次に、上述した実施形態における物体固定装置1の一変形例について説明する。
上述した実施形態では、可動部材としてのバイス部10が受け部材としての基台2に対して鉛直方向上方に配置され、押付部11を鉛直方向下側へ移動させることで、基台2上に置いたガラス基板Pを押付部11で押さえ、押付部11と基台2との間にガラス基板Pを把持する。これに対し、本変形例は、可動部材としてのバイス部が受け部材としての基壁部に対して鉛直方向側方に配置され、バイス部の押付部を基壁部へ近づける向きに移動させて、押付部と基壁部との間にガラス基板を水平方向から挟み込んで把持する。なお、本変形例の説明では、上述した実施形態と同様の構成、動作については、適宜省略する。

【0047】
図6(a)及び(b)は、本変形例における物体固定装置100のバイス部110を水平方向から見た模式図である。
本変形例において、基壁部102は、被把持物であるガラス基板Pに接触する基面102aが略鉛直面に平行となるように、台部103上に立設されている。バイス部110は、台部103上に設けられたロック部120によって支持されている。具体的には、ロック部120は、台部103上に立設された2つの第一支持柱121A,121Bの上部にそれぞれ電磁ブレーキ122A,122Bが取り付けられている。バイス部110には、水平方向に延びる第一回転軸112が設けられており、その第一回転軸112の両端部がそれぞれ電磁ブレーキ122A,122Bに支持されている。また、ロック部120においては、台部103上に立設された2つの第二支持柱123A,123Bの上部に、第四回転軸115が固定され、支持している。

【0048】
バイス部110の第一回転軸112は、上述した実施形態と同様、電磁ブレーキ122A,122Bが通電していないときにロック状態となり、電磁ブレーキ122A,122Bによって回転不能に支持され、通電しているときにはロック解除状態となり、電磁ブレーキ22A,22Bによって回転自在に支持される。また、本変形例のバイス部110は、上述した実施形態と同様のリンク機構(平行クランク構造)で構成されている。このようなリンク機構を採用することで、バイス部110も、図6(a)に示す把持前状態から図6(b)に示す把持状態にするために、ユーザーが押付部111の側面を指で押すとき、押付部111は基壁部102に対して並進移動することができる。

【0049】
本変形例の物体固定装置100を用いてガラス基板Pを把持して固定する場合、まず、ユーザーは、ガラス基板Pを手で持って基壁部102の基面102aに接するように、ガラス基板Pの把持される箇所がバイス部110の押付部111の対向位置に位置するように持つ。その後、ユーザーは、上述した実施形態と同様、自分の足元に配置されたフット操作部を足で踏むことで、電源部からロック部120の電磁ブレーキ122A,122Bへの通電をオンにし、電磁ブレーキ122A,122Bによるバイス部110の第一回転軸112のロック状態を解除する(ロック解除状態にする)。これにより、バイス部110の第三リンク部材118A,118Bに取り付けられた押付部111の位置を動かすことができるようになる。

【0050】
ユーザーは、フット操作部を足で踏みつづけて、電磁ブレーキ122A,122Bへの通電をオンにしたまま(ロック解除状態のまま)、バイス部110の押付部111の側面に指を掛け、指で押付部111を基壁部102に向けて押す。これにより、そのユーザーの押す力(ユーザー操作力)で、バイス部110を構成するリンク機構(平行クランク)が1自由度で動き、第三リンク部材118A,118Bが水平方向へまっすぐに移動する。そして、押付部111がガラス基板Pに接したら、ユーザーは、ガラス基板Pが割れず(ガラス基板Pが割れない押付力Fの許容範囲の上限値以下で)、かつ、必要な固定力が発揮されるように(ガラス基板Pを固定するために必要な押付力Fの範囲の下限値以上で)、ガラス基板Pが基壁部102と押付部111との間に把持されるように、押す力(ユーザー操作力)を調整(力加減)する。

【0051】
本変形例の物体固定装置100でも、上述した実施形態と同様、ユーザーが指で押付部111を押す力(ユーザー操作力)F1によって押付部111を基壁部102側へ移動させて押付部111と基壁部102との間にガラス基板Pを把持するようにしている。よって、ガラス基板Pをユーザーが直接(押付部111を介さずに)押さえる場合に近い感覚で、押付部111と基壁部102との間にガラス基板Pを把持することが可能となる。その結果、ガラス基板Pが受ける押付力Fを感知しやすく、許容範囲が狭い場合でも押付力Fを許容範囲内に調整することが比較的容易である。

【0052】
ただし、基壁部102上のガラス基板Pを押付部111で略水平方向から挟み込んで把持する構成では、図6(b)に示すように、ガラス基板Pを押し付ける力Fは、ユーザーが指で押付部111を押す力(ユーザー操作力)F1だけでは決まらない。例えば、ユーザーが指で押付部111を押して押付部111を移動させる際、バイス部110の回転軸112~115とリンク部材116A,116B,117A,117B,118A,118B,119A,119Bとの間の摺動部分で発生する摩擦力、電磁ブレーキ122A,122Bの負荷など、押付部111に移動抵抗力が影響する。また、本変形例では、押付部111及びこれを支持する第三リンク部材118A,18Bを含むバイス部110の自重より、リンク機構を動かす回転モーメントも影響する。したがって、ガラス基板Pを押し付ける力Fは、ユーザーが指で押付部111を押す力(ユーザー操作力)F1のほか、このような移動抵抗力や回転モーメントによる力(以下、これらの力を「抵抗力F2’」という。)によっても左右される。

【0053】
そのため、ガラス基板Pが押付部111から受ける押付力Fの大きさは、このような抵抗力F2’の分だけ、ユーザー操作力F1からズレたものとなる。すなわち、ユーザーが指で押付部111を押す力F1は、ガラス基板Pが押付部111から受ける押付力Fとは一致しない。その結果、本変形例においても、ユーザーは、ガラス基板Pが受ける押付力Fを正確に感知することが難しく、ガラス基板Pが受ける押付力Fを狭い許容範囲内に調整することが難しいものとなる。

【0054】
そこで、本変形例においても、ガラス基板Pが押付部111から受ける押付力Fの大きさと押付部111が受けるユーザー操作力F1の大きさとの差分が小さくなるように、押付部111に外力を付与する外力付与手段を設けている。本変形例の外力付与手段は、図6(a)及び(b)に示すように、第四リンク部材119A,119Bの他端部を連結している連結部119Cに一端が固定されたアーム151と、アーム151に取り付けられる付勢手段としてのバネ部材152とから構成されたバランス機構150である。

【0055】
本変形例のバランス機構150では、バネ部材152の付勢力F3’によって、そのバネ部材152が取り付けられたアーム151が固定されている第四リンク部材119A,119Bに固定された第四回転軸15の軸回りに、回転モーメントが常に与えられる。この回転モーメントは、バイス部110を構成するリンク機構に対し、第三リンク部材118A,118Bに取り付けられた押付部111を基壁部102へ近づける向きに作用する。よって、ガラス基板Pを押し付ける力Fに影響する抵抗力F2’の少なくとも一部が、バランス機構150によるバネ部材152の付勢力F3’によってキャンセルされる。これにより、ガラス基板Pが押付部111から受ける押付力Fの大きさと、押付部111が受けるユーザー操作力F1の大きさとの差分(ズレ)が小さくなるので、ユーザーは、ガラス基板Pが受ける押付力Fを正確に感知することが可能となり、ガラス基板Pが受ける押付力Fの調整が容易になる。

【0056】
特に、本変形例においては、ガラス基板Pを押し付ける力Fに影響する抵抗力F2’が、バランス機構150によるバネ部材152の付勢力F3’によってキャンセルされるように設定されている。すなわち、バランス機構150により付与する外力が、摩擦力(動摩擦力)などの移動抵抗力やバイス部110の自重よる回転モーメント等による抵抗力F2’と略一致するように設定されている。これにより、ユーザーが押付部111を押すとき、ガラス基板Pが押付部111から受ける押付力Fの大きさと、押付部111が受けるユーザー操作力F1の大きさとの差分(ズレ)は実質的にゼロとなり、ユーザーは、ガラス基板Pが受ける押付力Fを正確に感知でき、ガラス基板Pが受ける押付力Fの調整が容易になる。

【0057】
以上のようにして、ユーザーは、押付部111を押す力(ユーザー操作力)F1を調整(力加減)して、押付部111からガラス基板Pが受ける押付力Fを適切に調整したら(許容範囲内に調整したら)、フット操作部を足で踏むのを止める。これにより、電磁ブレーキ122A,122Bへの通電がオフになり、電磁ブレーキ122A,122Bによりバイス部110の第一回転軸112がロック状態になる。これにより、バイス部110の第三リンク部材118A,118Bに取り付けられた押付部111の位置が固定され、ユーザーが押付部111から手を放しても、押付部111からガラス基板Pが受ける押付力Fは維持される。その結果、適切に調整された押付力Fでガラス基板Pを把持して固定することができる。
【符号の説明】
【0058】
1,100:物体固定装置
2 :基台
10,110:バイス部
11,111:押付部
12,112:第一回転軸
13,113:第二回転軸
14,114:第三回転軸
15,115:第四回転軸
16A,16B,116A,116B:第一リンク部材
17A,17B,117A,117B:第二リンク部材
18A,18B,118A,118B:第三リンク部材
19A,19B,119A,119B:第四リンク部材
20,120:ロック部
21A,21B,121A,121B,123A,123B:支持柱
22A,22B,122A,122B:電磁ブレーキ
30 :電源部
40 :フット操作部
50,150:バランス機構
51,151:アーム
52 :おもり部材
102 :基壁部
102a :基面
103 :台部
152 :バネ部材
P :ガラス基板
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5