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明細書 :造形装置、液滴移動装置、目的物生産方法、液滴移動方法及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和3年1月28日(2021.1.28)
発明の名称または考案の名称 造形装置、液滴移動装置、目的物生産方法、液滴移動方法及びプログラム
国際特許分類 B29C  64/135       (2017.01)
B29C  64/205       (2017.01)
B29C  64/295       (2017.01)
B29C  64/336       (2017.01)
B33Y  30/00        (2015.01)
B33Y  10/00        (2015.01)
B29C  64/35        (2017.01)
B29C  64/112       (2017.01)
FI B29C 64/135
B29C 64/205
B29C 64/295
B29C 64/336
B33Y 30/00
B33Y 10/00
B29C 64/35
B29C 64/112
国際予備審査の請求
全頁数 32
出願番号 特願2019-571146 (P2019-571146)
国際出願番号 PCT/JP2019/004425
国際公開番号 WO2019/156170
国際出願日 平成31年2月7日(2019.2.7)
国際公開日 令和元年8月15日(2019.8.15)
優先権出願番号 2018020556
優先日 平成30年2月7日(2018.2.7)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】丸尾 昭二
【氏名】久保田 将
【氏名】古川 太一
出願人 【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001634、【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4F213
Fターム 4F213AC05
4F213AR06
4F213AR11
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL12
4F213WL24
4F213WL32
4F213WL67
4F213WL74
4F213WL85
4F213WL87
4F213WL96
要約 造形装置が、液滴を移動させる移動処理部と、所定の造形領域内で前記液滴を部分的に固体に変化させることで造形を行う造形部と、を備える。
特許請求の範囲 【請求項1】
液滴を移動させる移動処理部と、
所定の造形領域内で前記液滴を部分的に固体に変化させることで造形を行う造形部と、
を備える造形装置。
【請求項2】
前記移動処理部は、電磁波によるポイントヒータを用いて前記液滴に温度勾配を生じさせることで前記液滴を移動させる、請求項1に記載の造形装置。
【請求項3】
前記移動処理部は、撥水性の素材が部分的に配置されている面上にて前記液滴を移動させる、請求項2に記載の造形装置。
【請求項4】
前記移動処理部は、前記液滴を移動させるべき距離が大きいほど前記ポイントヒータによる加熱量を大きくする、請求項2または請求項3に記載の造形装置。
【請求項5】
前記移動処理部は、前記液滴の濡れ性が小さいほど前記ポイントヒータによる加熱量を大きくする、請求項2から4の何れか一項に記載の造形装置。
【請求項6】
前記移動処理部は、前記液滴の粘度が大きいほど、前記ポイントヒータによる加熱量を大きくする、請求項2から5の何れか一項に記載の造形装置。
【請求項7】
前記移動処理部は、互いに異なる種類の材料からなる複数の液滴それぞれを別々のタイミングで移動させ、
前記造形部は、前記造形領域内で前記複数の液滴それぞれを部分的に固体に変化させることで前記造形を行う、
請求項1から6の何れか一項に記載の造形装置。
【請求項8】
前記移動処理部は、目的物の材料となる液滴と、洗浄液の液滴とのそれぞれを別々のタイミングで移動させ、
前記造形部は、前記造形領域内で前記目的物の材料となる液滴を部分的に固体に変化させることで前記目的物を造形する、
請求項1から7の何れか一項に記載の造形装置。
【請求項9】
前記造形部は、レーザ光を透過させる基板に載っている前記液滴に対し、前記液滴内に焦点を結ぶように前記レーザ光を前記基板の下から照射する、請求項1から8の何れか一項に記載の造形装置。
【請求項10】
目的物の材料となるとともに互いに異なる種類の材料からなる複数の液滴それぞれを別のタイミングで移動させ、また、前記複数の液滴を移動させるタイミングとは異なるタイミングで洗浄液の液滴を移動させる移動処理部と、
所定の造形領域内で前記複数の液滴を部分的に固体に変化させることで前記目的物を造形する造形部と、
を備える造形装置。
【請求項11】
電磁波によるポイントヒータを用いて液滴に温度勾配を生じさせることで前記液滴を移動させる移動処理部を備える液滴移動装置。
【請求項12】
所定の造形領域内で液滴を部分的に固体に変化させることで造形を行う工程と、
前記造形を行う工程を適用後の液滴を前記造形領域外へ移動させる工程と、
を含む目的物生産方法。
【請求項13】
電磁波によるポイントヒータを用いて液滴に温度勾配を生じさせることで前記液滴を移動させる工程を含む液滴移動方法。
【請求項14】
コンピュータに、
所定の造形領域内で液滴を部分的に固体に変化させることで造形を行う工程と、
前記造形を行う工程を適用後の液滴を前記造形領域外へ移動させる工程と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項15】
コンピュータに、
電磁波によるポイントヒータを用いて液滴に温度勾配を生じさせることで前記液滴を移動させる工程を実行させるためのプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、造形装置、液滴移動装置、目的物生産方法、液滴移動方法及びプログラムに関する。
この出願は、2018年2月7日に出願された日本国特願2018-20556を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
3次元の目的物を造形可能な方法の1つに光造形(Stereolithography)がある。光造形では、液体の材料に紫外線レーザ光等の光を当てて材料を部分的に固体に変化させることで目的物を造形する。
光造形に関連して、非特許文献1には、光還元(Photoreduction)にて銀の微細構造を造形する方法が示されている。非特許文献1に記載の方法では、銀イオンを含む水溶液にレーザ光を照射して銀を目的の形状に凝縮させたのち、水溶液を除去する。
【0003】
また、非特許文献2には、複数の材料を組み合わせた光造形を行う実験例が示されている。非特許文献2に記載の実験例では、アクリル樹脂とメタクリル樹脂とをそれぞれ光重合(Photopolymerization)にて造形した後、磁性材料を無電解めっきしている。その結果、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂のうち、アクリル樹脂のみが選択的にめっきされている。
このように、複数種類の材料を用いて光造形を行うことで、多様な特性を有する目的物を造形することができる。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Yao-Yu Cao, Nobuyuki Takeyasu, Takuo Tanaka, Xuan-Ming Duan, and Satoshi Kawata、"3D Metallic Nanostructure Fabrication by Surfactant-Assisted Multiphoton-Induced Reduction"、Small、2009年、第5巻、第10号、p.1144-1148
【非特許文献2】Tommaso Zandrini, Shuhei Taniguchi and Shoji Maruo、"Magnetically Driven Micromachines Created by Two-Photon Microfabrication and SelectiveElectroless Magnetite Plating for Lab-on-a-Chip Applications"、Micromachines、2017年、第8巻、第35号、p.1-8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光造形または光還元のように液体の材料を固体に変化させて目的物を造形する場合、レーザ光の照射可能範囲など造形が行われる領域に液体の材料を設置する必要がある。このような方法は、設置を行うユーザにとって負担となる。特に、複数の材料を用いて造形を行う場合、材料を取り換える毎に、造形途中の目的物を洗浄し、洗浄された目的物と次の材料とを、造形が行われる領域に設置する必要がある。このため、作業を行うユーザの負担が大きい。さらに、目的物が小さい場合など精密加工を行う場合、洗浄された目的物を設置する際に設置位置および向きの精度が要求され、作業を行うユーザの負担がさらに大きい。
【0006】
本発明は、液体の材料を固体に変化させて目的物を造形する場合に、液体の材料を設置する負担を軽減することができる造形装置、液滴移動装置、目的物生産方法、液滴移動方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば造形装置は、液滴を移動させる移動処理部と、所定の造形領域内で前記液滴を部分的に固体に変化させることで造形を行う造形部と、を備える。
【0008】
前記移動処理部は、電磁波によるポイントヒータを用いて前記液滴に温度勾配を生じさせることで前記液滴を移動させるようにしてもよい。
【0009】
前記移動処理部は、撥水性の素材が部分的に配置されている面上にて前記液滴を移動させるようにしてもよい。
【0010】
前記移動処理部は、前記液滴を移動させるべき距離が大きいほど前記ポイントヒータによる加熱量を大きくするようにしてもよい。
【0011】
前記移動処理部は、前記液滴の濡れ性が小さいほど前記ポイントヒータによる加熱量を大きくするようにしてもよい。
【0012】
前記移動処理部は、前記液滴の粘度が大きいほど、前記ポイントヒータによる加熱量を大きくするようにしてもよい。
【0013】
前記移動処理部は、互いに異なる種類の材料からなる複数の液滴それぞれを別々のタイミングで移動させ、前記造形部は、前記造形領域内で前記複数の液滴それぞれを部分的に固体に変化させることで前記造形を行うようにしてもよい。
【0014】
前記移動処理部は、目的物の材料となる液滴と、洗浄液の液滴とのそれぞれを別々のタイミングで移動させ、前記造形部は、前記造形領域内で前記目的物の材料となる液滴を部分的に固体に変化させることで前記目的物を造形してもよい。
【0015】
前記造形部は、レーザ光を透過させる基板に載っている前記液滴に対し、前記液滴内に焦点を結ぶように前記レーザ光を前記基板の下から照射するようにしてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様によれば造形装置は、目的物の材料となるとともに互いに異なる種類の材料からなる複数の液滴それぞれを別のタイミングで移動させ、また、前記複数の液滴を移動させるタイミングとは異なるタイミングで洗浄液の液滴を移動させる移動処理部と、所定の造形領域内で前記複数の液滴を部分的に固体に変化させることで前記目的物を造形する造形部と、を備える。
【0017】
本発明の第3の態様によれば、液滴移動装置は、電磁波によるポイントヒータを用いて液滴に温度勾配を生じさせることで前記液滴を移動させる移動処理部を備える。
【0018】
本発明の第4の態様によれば、目的物生産方法は、所定の造形領域内で液滴を部分的に固体に変化させることで造形を行う工程と、前記造形を行う工程を適用後の液滴を前記造形領域外へ移動させる工程と、を含む。
【0019】
本発明の第5の態様によれば、液滴移動方法は、電磁波によるポイントヒータを用いて液滴に温度勾配を生じさせることで前記液滴を移動させる工程を含む。
【0020】
本発明の第6の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、所定の造形領域内で液滴を部分的に固体に変化させることで造形を行う工程と、前記造形を行う工程を適用後の液滴を前記造形領域外へ移動させる工程と、を実行させるためのプログラムである。
【0021】
本発明の第7の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、電磁波によるポイントヒータを用いて液滴に温度勾配を生じさせることで前記液滴を移動させる工程を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によれば、液体の材料を固体に変化させて目的物を造形する場合に、液体の材料を設置する負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態に係る造形システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
【図2】実施形態に係る造形部がレーザ光の焦点を結ばせる位置の例を示す図である。
【図3】実施形態に係る造形部のレーザ光発射部分と液滴との位置関係の例を示す図である。
【図4】実施形態に係る液滴の配置例を示す図である。
【図5】実施形態に係る移動処理部が加熱用ビームを照射する位置の例を示す図である。
【図6】温度勾配が生じていない場合の液滴における力の関係の例を示す図である。
【図7】温度勾配が生じている場合の液滴における力の関係の例を示す図である。
【図8】実施形態で液滴に生じる力の向きの例を示す図である。
【図9】実施形態に係る移動処理部のレーザ光発射部分と液滴との位置関係の例を示す図である。
【図10】実施形態に係る観察部の構成例を示す図である。
【図11】実施形態に係る材料の配置の第1例を示す図である。
【図12】実施形態に係る材料の配置の第2例を示す図である。
【図13】実施形態に係る材料の配置の第3例を示す図である。
【図14】実施形態に係る材料の配置の第4例を示す図である。
【図15】実施形態に係る材料の配置の第5例を示す図である。
【図16】実施形態に係る材料の配置の第6例を示す図である。
【図17】実施形態に係る材料の配置の第7例を示す図である。
【図18】実施形態に係る材料の配置の第8例を示す図である。
【図19】実施形態に係る材料の配置の第9例を示す図である。
【図20】実施形態に係る材料の配置の第10例を示す図である。
【図21】実施形態に係る移動処理部による液滴の加熱温度と液滴の移動距離との関係の例を示すグラフである。
【図22】実施形態に係る液滴の濡れ性と液滴の移動距離との関係の例を示すグラフである。
【図23】実施形態に係る液滴の粘度と液滴の移動距離との関係の例を示すグラフである。
【図24】実施形態に係る制御装置が造形装置を制御して目的物を生成させる処理手順の例を示すフローチャートである。
【図25】実施形態に係る造形装置を用いて得られる目的物の第1例を示す図である。
【図26】実施形態に係る造形装置を用いて得られる目的物に銅めっきを施した第1例を示す図である。
【図27】実施形態に係る造形装置を用いて得られる目的物の第2例を示す図である。
【図28】実施形態に係る造形装置を用いて得られる目的物に銅めっきを施した第2例を示す図である。
【図29】実施形態に係る造形装置を用いて得られる目的物の第3例を示す図である。
【図30】実施形態に係る第5固形物の一部を横斜め上から見た図である。
【図31】実施形態に係る造形装置を用いて得られる目的物に銅めっきを施した第3例を示す図である。
【図32】実施形態に係る造形用ビームの角度と焦点の位置との関係の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る造形システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、造形システム1は、造形装置100と、制御装置200とを備える。造形装置100は、造形部110と、移動処理部120と観察部150とを備える。制御装置200は、表示部210と、操作入力部220と、記憶部280と、処理部290とを備える。

【0025】
造形システム1は、液体の材料を部分的に個体に変化させて目的物を生成する。
造形装置100は、目的物の生成を実行する装置である。特に、造形装置100は、1つ以上の材料それぞれの液滴を部分的に固体に変化させることで目的物を造形する。ここでいう液滴は、表面張力でまとまっている液体のかたまりである。ここでいう造形は、形のあるものを作ることである。

【0026】
造形部110は、造形領域内で材料の液滴を部分的に固体に変化させることで造形を行う。具体的には、液滴にレーザ光を照射し液滴内にレーザ光の焦点を結ばせることで、焦点の位置で液体の材料を固体に変化させる。ここでいう造形領域は、造形部110が材料を固形に変化可能な領域である。具体的には、造形領域は、造形部110がレーザ光の焦点を結ばせることができる領域である。

【0027】
以下では、材料が光硬化性樹脂であり、造形部110が、光造形にて光硬化性樹脂を液体から固体に硬化させる場合を例に説明する。
但し、造形部110が造形を行う方法は、材料の液滴を部分的に固体に変化させることができる方法であればよく、特定の方法に限定されない。例えば、造形部110が造形を行う方法は、光重合(Photopolymerization)、光架橋(Photocrosslink)、光還元(Photoreduction)のいずれか、またはこれらの組み合わせであってもよい。

【0028】
また、造形部110が造形に用いるレーザ光は、材料を硬化可能なレーザ光であればよく、特定の波長のレーザ光に限定されない。例えば、造形部110が、紫外線レーザ光を用いるようにしてもよいし、青色レーザ光を用いるようにしてもよい。あるいは、造形部110が、近赤外フェムト秒パルスレーザ(Femtosecond-pulse Laser)光を用いて2光子吸収による2光子造形法にて造形を行うようにしてもよい。

【0029】
図2は、造形部110がレーザ光の焦点を結ばせる位置の例を示す。図2では、造形部110、移動処理部120それぞれのレーザ光発射部分が示されている。また、造形装置100は、移動処理部120および造形部110に加えて、支持台130および滴下口140を備えている。支持台130には、目的物造形用の基板として用いられているガラス板の基板810が載置される。支持台130はこの基板810を支持している。また、基板810の上には液滴820が載っている。造形部110が照射するレーザ光を造形用ビームB11とも称する。
図2は、造形部110、移動処理部120それぞれのレーザ光発射部分、支持台130、基板810および液滴820を横(水平方向)から見た例を示している。

【0030】
図2に示す液滴820は、材料の液滴である。滴820は基板810に載っている。造形部110は、造形用ビームB11を透過させる液滴820に対し、液滴820内に焦点を結ぶように造形用ビームB11を基板810の下から照射している。造形部110が照射した造形用ビームB11は、点P11で焦点を結んでいる。このため、液滴820のうち点P11の部分が液体から固体に変化する。

【0031】
造形部110のレーザ光発射部分は図2の前後および左右に移動可能である。また、造形部110は、造形用ビームB11の焦点の位置を図2の上下に移動させることができる。したがって、造形部110は、造形用ビームB11の焦点の位置を図2の上下左右および前後へと、三次元的に移動させることができる。
造形部110が、液滴820内で造形用ビームB11の焦点位置を目的物の形状に沿って移動させることで、材料を目的物の形状に加工することができる。

【0032】
また、図2に示すように、造形部110が基板810の下側から造形用ビームB11を照射させることで、造形用ビームB11は、焦点を結んだ後に液滴820の上面に到達する。したがって、造形用ビームB11が焦点を結ぶ位置は、表面張力による液滴820の形状に応じた屈折の影響を受けない。この点で、造形システム1は、造形用ビームB11の焦点の位置合わせを高精度に行うことができる。
但し、造形部110が液滴820の上側から造形用ビームB11を照射するようにしもよい。これにより、液滴820が不透明な盤の上面に滴下されている場合など、液滴820が不透明な物の上に位置する場合でも、液滴820に造形用ビームB11を照射させて材料を部分的に固体に変化させることができる。

【0033】
滴下口140は、洗浄液を滴下する。この洗浄液は、液体の材料を加工した後、固体になった材料に付着している液体の材料を除去するための液である。滴下口140は、造形領域に向けて洗浄液を滴下することで、造形領域に位置する固体の材料を洗浄する。すなわち、滴下口140は、造形領域に位置する固体になった材料に付着している液体の材料を除去する。
但し、造形システム1が固体の材料を洗浄する方法は、滴下口140から洗浄液を滴下させる方法に限定されない。造形システム1が、あらかじめ液滴820の形態で用意されている洗浄液を移動させることで固体の材料を洗浄液に浸し、これによって固形の材料を洗浄するようにしてもよい。

【0034】
図3は、造形部110のレーザ光発射部分と液滴820との位置関係の例を示す。図3は、造形部110のレーザ光発射部分を上側から見た例を示している。この例では、支持台130に支持された基板810が造形部110のレーザ光発射部分の上に位置し、基板810の上に材料が異なる2つの液滴820が載っている。2つの液滴820は、第1材料の液滴821-11および第2材料の液滴821-12である。材料の液滴と洗浄液の液滴と区別するため、材料の液滴に符号821を付している。

【0035】
材料の液滴821のうち第1材料の液滴821-11は、造形部110のレーザ光発射部分の上に位置している。造形部110が造形用ビームB11を照射して第1材料の液滴821-11内に焦点を結ばせることで、液滴821-11のうち焦点の部分が液体から固体に変化する。
造形システム1は、第1材料の液滴821-11を用いた第1材料の加工の後、第2材料の液滴821-12を用いて第2材料の加工を行うことで、第1材料および第2材料の両方を含む目的物を生成することができる。かかる加工のために、移動処理部120が液滴820を移動させる。

【0036】
移動処理部120は、液滴820を移動させる。具体的には、移動処理部120は、電磁波によるポイントヒータを用いて液滴820に温度勾配を生じさせることで液滴820を移動させる。
移動処理部120を備える造形装置100は、液滴移動装置の例に該当する。
移動処理部120は、ポイントヒータ用の電磁波(例えば赤外線レーザ光)を液滴820の端または液滴820近傍の基板810、あるいはそれら両方に照射して部分的に温めることで、液滴820に温度勾配を生じさせる。但し、移動処理部120がポイントヒータに用いる電磁波は液体の材料を固体に変化させるもの以外の電磁波であればよく、特定の周波数の電磁波、および、特定の方式の電磁波に限定されない。

【0037】
図4は、液滴820の配置例を示す。図4は、基板810を斜め上から見た場合の例を示す。この例では、基板810上には第3材料の液滴821-21と、第4材料の液滴821-22と、第5材料の液滴821-23と、洗浄液の液滴とが位置している。材料の液滴と洗浄液の液滴と区別するため、洗浄液の液滴には、符号822を付している。
造形システム1は、第3材料の液滴821-21、第4材料の液滴821-22および第5材料の液滴821-23の各々を造形領域に位置させて部分的に固体に変化させることで、第1材料、第2材料および第3材料を含む目的物を生成することができる。

【0038】
また、造形システム1は、第3材料の液滴821-21、第4材料の液滴821-22および第5材料の液滴821-23の各々を部分的に固形に変化させる毎に、洗浄液の液滴822を造形領域に移動させて固形の材料を洗浄する。上述したように、固体の材料を洗浄する方法として、洗浄液の液滴822を移動させる方法に代えて、洗浄液を滴下口140から滴下する方法を用いるようにしてもよい。

【0039】
図4の例で、造形部110は、基板810の下から造形用ビームB11を照射する。一方、移動処理部120は、基板810の上からポイントヒータ用の電磁波を照射する。移動処理部120が照射する電磁波を加熱用ビームB12とも称する。移動処理部120が、加熱用ビームB12として赤外線レーザ光を照射するようにしてもよい。但し、移動処理部120が照射する電磁波は、液滴に温度勾配を付けられるものであればよく、特定の周波数の電磁波に限定されない。また、加熱用ビームB12はレーザ光に限定されない。

【0040】
図4では、説明のために造形用ビームB11および加熱用ビームB12の両方を示している。但し、造形部110が造形用ビームB11を照射している間は、移動処理部120は、造形領域に位置する液滴820に対して加熱用ビームB12の照射を行わない。造形部110が造形領域に位置する材料に対する加工を終了したのち、移動処理部120は、この造形領域に位置する材料に対して加熱用ビームB12を照射して、液体のままの材料を造形領域外へ移動させる。

【0041】
図5は、移動処理部120が加熱用ビームB12を照射する位置の例を示す。図2の場合と同様、図5では、造形部110、移動処理部120それぞれのレーザ光発射部分、支持台130および滴下口140と、支持台130に載置された基板810、および、基板810の上に載っている液滴820とが示されている。図2の場合と同様、図5は、造形部110、移動処理部120それぞれのレーザ光発射部分、支持台130、基板810および液滴820を横(水平方向)から見た例を示している。

【0042】
図2では、造形部110が造形用ビームB11を照射している場合の例を示しているのに対し、図5では、移動処理部120が加熱用ビームB12を照射している場合の例を示している。
図5の例で、移動処理部120は、液滴820の近傍の基板810に加熱用ビームB12を照射している。これにより、移動処理部120は、液滴820の加熱用ビームB12の側を加熱し、液滴820に温度勾配を生じさせる。

【0043】
図6は、温度勾配が生じていない場合の液滴820における力の関係の例を示す。図6の例で、γは、液滴820における表面張力を示す。γは、固体の表面張力(基板810における表面張力)を示す。γLSは、固液界面張力を示す。θは液滴820の基板810に対する接触角を示す。
図6の場合、ヤングの式は、式(1)のように示される。

【0044】
【数1】
JP2019156170A1_000003t.gif

【0045】
図6では液滴820内の力が釣り合っており、液滴820は移動しない。

【0046】
図7は、温度勾配が生じている場合の液滴820における力の関係の例を示す。図7の例で、加熱されていない側における力を図6で用いた変数名に「’」を付した変数名で示す。具体的には、γ’は、液滴820における表面張力を示す。γ’は、固体の表面張力(基板810における表面張力)を示す。γ’LSは、固液界面張力を示す。θ’は液滴820の基板810に対する接触角を示す。

【0047】
一方、図7の例で、加熱されている側における力については、変数名に「’’」を付して示す。具体的には、γ’’は、液滴820における表面張力を示す。γ’’は、固体の表面張力(基板810における表面張力)を示す。γ’’LSは、固液界面張力を示す。θ’’は液滴820の基板810に対する接触角を示す。
図7の例では、高温側の温度Tと低温側の温度T(T>T)との温度差が生じ、基板810および液滴820に温度勾配が生じている。この温度勾配によって、高温側、低温側それぞれで接触角および表面張力が図6の場合から変化している。
低温側では、接触角θ’が図6の場合の接触角θよりも大きくなっており、液体と気体との間の表面張力γ’の水平方向成分は減少する。低温側の界面に働く力F’は、固体の表面張力γ’の向きを正として、式(2)のように示される。

【0048】
【数2】
JP2019156170A1_000004t.gif

【0049】
「F’>0」であり、力F’の向きは、固体の表面張力γ’の向きと同じく温度勾配が高い方から低い方への向きとなっている。
一方、高温側では、接触角θ’’が図6の場合の接触角θよりも小さくなっており、液体と気体との間の表面張力γ’’の水平方向成分は増加する。高温側の界面に働く力F’’は、固体の表面張力γ’’の向きを正として、式(3)のように示される。

【0050】
【数3】
JP2019156170A1_000005t.gif

【0051】
「F’’<0」であり、力F’’の向きは、固体の表面張力γ’’の向きと反対に温度勾配が高い方から低い方への向きとなっている。
図8は、液滴に生じる力の向きの例を示す。上記のように、力F’の向き、力F’’の向きの何れも勾配温度が高い方から低い方への向きとなっている。力F’と力F’’とを合成した力FTotalは、式(4)のように示される。

【0052】
【数4】
JP2019156170A1_000006t.gif

【0053】
力F’の向き、力F’’の向き共に温度勾配が高い方から低い方への向きとなっているので、力FTotalの向きも図8に示すように温度勾配が高い方から低い方への向きとなる。液滴820は、力FTotalを駆動力として温度勾配が高い方から低い方へと移動する。したがって、液滴820は、移動処理部120が加熱している位置から遠ざかる方向に移動する。

【0054】
図9は、移動処理部120のレーザ光発射部分と液滴820との位置関係の例を示す。図9は、移動処理部120のレーザ光照射部分および基板810を斜め上側から見た例を示している。この例では、基板810の上に第6材料の液滴821-31が載っている。また、領域A11は、移動処理部120が加熱用ビームB12を照射している部分を示している。移動処理部120は、第6材料の液滴821-31の近傍の基板810に加熱用ビームB12を照射して加熱することで、第6材料の液滴821-31に温度勾配を生じさせる。

【0055】
観察部150は、目的物の画像を撮影する。
図10は、観察部150の構成例を示す図である。図10の例で、観察部150は、観察光光源151と、ビームスプリッタ152と、観察用レンズ153と、CCDカメラ154と、表示装置155とを備える。
観察光光源151は、目的物を撮影するための照明光B13を照射する。ここでの目的物は、造形途中のものであってもよい。照明光B13は、目的物に照射される。照明光B13の一部が反射または吸収された後、残りの光が造形部110のレーザ光発射部分を経由してビームスプリッタ152へ入射される。

【0056】
図10の例で、観察光光源151は、図2における滴下口140と同様に、造形領域の上方に位置している。観察光光源151が、照明光B13を照射する間、滴下口140の配置位置と観察光光源151との配置位置を入れ替えるようにしてもよい。あるいは、滴下口140が、造形領域の斜め上方から造形領域へ向けて洗浄液または液体の材料を滴下するなど、滴下口140の位置と観察光光源151の位置とが重ならない配置としてもよい。

【0057】
ビームスプリッタ152は、ハーフミラーを備え、照明光B13を反射させる。ビームスプリッタ152は、照明光B13の入射だけでなく造形用ビームB11の入射も受ける。ビームスプリッタ152は、造形用ビームB11を通過させ、造形部110のレーザ光発射部分へ向けて進ませる。照明光B13の反射により、ビームスプリッタ152は、造形用ビームB11と同じ経路を造形用ビームB11と逆向きに通過してきた照明光B13を、造形用ビームB11の経路の向きと異なる向きに転向させる。

【0058】
観察用レンズ153は、照明光B13がCCDカメラ154の撮影素子の位置で像を結ぶように照明光B13を屈折させる。
CCDカメラ154は、照明光B13を受光して光電変換することで、目的物の画像データを生成する。
表示装置155は、例えば液晶パネルまたはLEDパネル等の表示画面を有し、目的物の画像を表示する。具体的には、表示装置155は、CCDカメラが生成した目的物の画像データの入力を受け、この画像データが示す画像を表示する。
ただし、観察部150の構成および配置は図10に示すものに限定されない。例えば、観察部150が、目的物を上方向から撮影するようにしてもよいし、斜め上方向または斜め下方向から撮影するようにしてもよい。

【0059】
制御装置200は、造形装置100を制御して目的物を生成させる。例えば、制御装置200は、造形部110が造形用ビームB11を照射するタイミング、および、造形用ビームB11の焦点の位置を制御する。また、制御装置200は、移動処理部120が加熱用ビームB12を照射するタイミング、照射位置及び加熱用ビームB12の強度を制御する。また、制御装置200は、滴下口140が洗浄液を滴下するタイミングを制御する。
また、制御装置200は、造形システム1のユーザインタフェースとして機能する。
制御装置200は、例えばパソコン(Personal Computer)またはワークステーション(Workstation)等のコンピュータを用いて構成される。

【0060】
表示部210は、例えば液晶パネルまたはLEDパネル等の表示画面を有し、各種画像を表示する。特に、表示部210は、造形システム1に関する情報をユーザに提示する。
表示部210は、表示装置155を用いて構成されていてもよいし、表示装置155とは別に構成されていてもよい。
操作入力部220は、例えばキーボードおよびマウス等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受ける。特に、操作入力部220は、造形システム1に関する設定を行うユーザ操作を受ける。

【0061】
記憶部280は、各種データを記憶する。記憶部280は、制御装置200が備える記憶デバイスを用いて構成される。
処理部290は、制御装置200の各部を制御して各種処理を実行する。処理部290は、制御装置200が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部280からプログラムを読み出して実行することで構成される。
制御装置200が、予め設定されたプログラム等に基づいて自動的に造形装置100を制御するようにしてもよい。あるいは、ユーザがオンラインで制御装置200に指示を入力し、制御装置200がユーザの指示に従って造形装置100を制御するようにしてもよい。

【0062】
次に、図11から図20を参照して、造形領域に位置する液滴820の入れ替えについて説明する。
図11は、材料の配置の第1例を示す。図11は、造形システム1が目的物を生成する処理の開始時における材料の配置の例を示している。図11の例では、基板810の上に第7材料の液滴821-41と、第7材料とは異なる第8材料の液滴821-42とが載っている。また、領域A21は造形領域を示している。
図11の状態から、造形部110が、造形領域(領域A21)内に位置する第7材料の液滴821-41に造形用ビームB11を照射して第7材料の液滴821-41の一部を液体から固体に変化させる。

【0063】
図12は、材料の配置の第2例を示す図である。図12の例で、基板810、第7材料の液滴821-41、第8材料の液滴821-42および領域A21の位置は、図11の場合と同様である。一方、図12の例では、第7材料の液滴821-41内に固形物840がある点で、図11の場合と異なる。
図12における固形物840は、第7材料の固形物840-41であり、生成途中の目的物の例に該当する。具体的には、図11の状態から、造形部110が、第7材料の液滴821-41に造形用ビームB11を照射して第7材料の液滴821-41の一部を液体から固体に変化させたものが、図12の第7材料の固形物840-41である。

【0064】
図13は、材料の配置の第3例を示す。図13の例で基板810、第8材料の液滴821-42、第7材料の固形物840-41および領域A21の位置は、図12の場合と同様である。一方、図13の例では、第7材料の液滴821-41が領域A21の内から外へ移動している点で、図12の場合と異なる。
図12は、造形部110による第7材料の液滴821-41に対する加工が終了した状態の例を示している。移動処理部120が、使用終了後の第7材料の液滴821-41を領域A21の内から外へ移動させることで、図13に示す状態になる。移動処理部120は、液滴を移動させるが、固形の材料については移動させない。図13の例でも、第7材料の液滴821-41が領域A21の内から外へ移動している一方、第7材料の固形物840-41は、領域A21内に留まっている。

【0065】
図14は、材料の配置の第4例を示す。図14の例で基板810、第7材料の液滴821-41、第8材料の液滴821-42、第7材料の固形物840-41および領域A21の位置は、図13の場合と同様である。一方、図14では、領域A21内に洗浄液の液滴822がある点で、図13の場合と異なる。
図13の状態から、滴下口140が洗浄液を造形領域(領域A21)内に滴下することで、図14の状態になる。図13の状態では、第7材料の液滴821-41は領域A21の外へ移動しているが、第7材料の固形物840-41の表面には液体の第7材料が残存している。そこで、滴下口140が、洗浄液を領域A21内に滴下して第7材料の固形物840-41を洗浄液に浸す。これにより、造形システム1は、第7材料の固形物840-41の表面を洗浄する。具体的には、造形システム1は、第7材料の固形物840-41の表面に付着している液体の第7材料を除去する。

【0066】
図15は、材料の配置の第5例を示す。図15の例で基板810、第7材料の液滴821-41、第8材料の液滴821-42、第7材料の固形物840-41および領域A21の位置は、図14の場合と同様である。一方、図15では、洗浄液の液滴822が基板810上から除去されている点で、図14の場合と異なる。
図14の状態から、移動処理部120が、洗浄液の液滴822を領域A21内から基板810の上面の外へと移動させることで、洗浄液の液滴822が基板810上から除去され、図15の状態になる。

【0067】
図16は、材料の配置の第6例を示す。図16の例で基板810、第7材料の液滴821-41、第7材料の固形物840-41および領域A21の位置は、図15の場合と同様である。一方、図16では、第8材料の液滴821-42が領域A21の外から内へ移動している点で、図15の場合と異なる。
図15の状態から、移動処理部120が第8材料の液滴821-42を領域A21内へ移動させることで、図16の状態になる。

【0068】
図17は、材料の配置の第7例を示す。図17の例で基板810、第7材料の液滴821-41、第8材料の液滴821-42、第7材料の固形物840-41および領域A21の位置は、図16の場合と同様である。一方、図17では、第8材料の液滴821-42内に第7材料の固形物840-41に加えて第8材料の固形物840-42がある点で、図16の場合と異なる。図17の例では、第7材料の固形物840-41と第8材料の固形物840-42とが固形物840を構成している。
図16の状態から、造形部110が第8材料の液滴821-42に造形用ビームB11を照射して第8材料の液滴821-42の一部を液体から固体に変化させたものが、図17の第8材料の固形物840-42である。

【0069】
図18は、材料の配置の第8例を示す。図18の例で基板810、第7材料の液滴821-41、第7材料の固形物840-41、第8材料の固形物840-42および領域A21の位置は、図17の場合と同様である。一方、図18では、第8材料の液滴821-42が領域A21の内から外へ移動している点で、図17の場合と異なる。
図17は、造形部110による第8材料の液滴821-42に対する加工が終了した状態の例を示している。移動処理部120が、使用終了後の第8材料の液滴821-42を領域A21の内から外へ移動させることで、図18に示す状態になる。上記のように、移動処理部120は、液滴を移動させるが、固形の材料については移動させない。図18の例でも、第8材料の液滴821-42が領域A21の内から外へ移動している一方、第8材料の固形物840-42は、領域A21内に留まっている。

【0070】
図19は、材料の配置の第9例を示す。図19の例で基板810、第7材料の液滴821-41、第8材料の液滴821-42、第7材料の固形物840-41、第8材料の固形物840-42および領域A21の位置は、図18の場合と同様である。一方、図19では、領域A21内に洗浄液の液滴822がある点で、図18の場合と異なる。
図18の状態から、滴下口140が洗浄液を造形領域(領域A21)内に滴下することで、図19の状態になる。図18の状態では、第8材料の液滴821-42は領域A21の外へ移動しているが、固形物840の表面には液体の第8材料が残存している。そこで、滴下口140が、洗浄液を領域A21内に滴下して固形物840を洗浄液に浸す。これにより、造形システム1は、固形物840の表面を洗浄する。具体的には、造形システム1は、第7材料の固形物840-41の表面および第8材料の固形物840-42の表面に付着している液体の第8材料を除去する。

【0071】
図20は、材料の配置の第10例を示す。図20の例で基板810、第7材料の液滴821-41、第8材料の液滴821-42、第7材料の固形物840-41、第8材料の固形物840-42および領域A21の位置は、図19の場合と同様である。一方、図20では、洗浄液の液滴822が基板810上から除去されている点で、図19の場合と異なる。
図19の状態から、移動処理部120が、洗浄液の液滴822を領域A21内から基板810の上面の外へと移動させることで、洗浄液の液滴822が基板810上から除去され、図20の状態になる。
図20の固形物840は、完成した目的物の例に該当する。このように、図11~図20の例では、造形システム1は、第7材料および第8材料といった複数の材料を用いたマルチマテリアルの目的物を生成している。

【0072】
液滴820を移動させる際、移動処理部120が、レーザ光発射部分から加熱用ビームB12を発射しながらレーザ光発射部分を動かすようにしてもよい。移動処理部120が、移動する液滴820を追いかけるようにレーザ光照射部分を動かすことで、液滴820を動かし続けることができ、これによって液滴820の移動距離を調整することができる。
あるいは、移動処理部120が、液滴820を移動させる距離に応じた強度のレーザ光を照射するようにしてもよい。移動処理部120が照射するレーザ光(加熱用ビームB12)の強度によって液滴820の移動距離を調整することができる。

【0073】
図21は、移動処理部120による液滴820の加熱温度と液滴820の移動距離との関係の例を示すグラフである。図21は、移動処理部120のレーザ光発射部分を移動させず、加熱用ビームB12の強度を調整することで液滴820の加熱温度を調整した場合の、加熱温度と液滴820の移動距離との関係の例を示している。ここでいう加熱温度は、基板810のうち加熱用ビームB12が最も集光されて加熱されている領域の温度である。
図21では、液滴820としてアクリレート樹脂の液滴を用いた場合の例を示している。

【0074】
図21のグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は液滴820の移動距離を示す。
線L11、L12、L13、L14は、それぞれ加熱温度が75℃、95℃、130℃、160℃の場合の、経過時間と液滴の移動距離との関係の例を示している。線L11、L12、L13、L14のいずれの場合も、液滴は、加熱温度に応じたある程度の距離を移動し、その後は、おおよそ動かずその場に留まっている。
図21の例で、加熱温度が大きいほど液滴820の移動距離(液滴820がおおよそ動かなくなるまでの移動距離)が大きくなっている。

【0075】
そこで、移動処理部120が液滴820を移動させるべき必要移動距離に応じて、必要移動距離が大きいほどポイントヒータによる加熱量を大きくするようにしてもよい。加熱温度の大きさは、移動処理部120のポイントヒータに印加する電圧の大きさによって調整することができる。移動処理部120のポイントヒータに印加する電圧を大きくするほど、液滴820の移動距離が大きくなる。

【0076】
図22は、液滴820の濡れ性と液滴820の移動距離との関係の例を示すグラフである。図22は、移動処理部120のレーザ光発射部分を移動させず、加熱用ビームB12の強度を同じにした場合の、基板810の表面の特性による液滴820の濡れ性と、液滴820の移動距離との関係の例を示している。図22の例では、液滴820としてアクリレート樹脂の液滴を使用し、加熱温度を130℃にしている。

【0077】
図22のグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は液滴820の移動距離を示す。
線L21、L22、L23は、それぞれ基板810の表面をフッ素コートした場合、基板810の表面処理を行っていない場合、基板810の表面に有機官能基のシランカップリング処理を行った場合の、経過時間と液滴の移動距離との関係の例を示している。
液滴820の濡れ性は、フッ素コートの場合(線L21)が最も小さく、液滴820の接触角は66°となった。次に、基板810の表面処理を行わない場合(線L22)の場合の濡れ性が小さく、液滴820の接触角は20°となった。有機官能基のシランカップリング処理の場合(線L23)の濡れ性が最も大きく、液滴820の接触角度は12°となった。

【0078】
線L21、L22、L23のいずれの場合も、液滴は、濡れ性に応じたある程度の距離を移動し、その後は、おおよそ動かずその場に留まっている。
図22の例で、液滴820の濡れ性が大きいほど液滴820の移動距離(液滴820がおおよそ動かなくなるまでの移動距離)が大きくなっている。
そこで、基板810の表面を処理することで、液滴820の移動距離を調整するようにしてもよい。例えば、基板810の表面に対して有機官能基のシランカップリング処理など液滴820の濡れ性を大きくする処理を施すことで、移動処理部120が出力するレーザ光(加熱用ビームB12)の強度を比較的小さくし、かつ、液滴820の移動距離を確保することができる。

【0079】
あるいは、移動処理部120が、液滴820の濡れ性に応じて、濡れ性が小さいほどポイントヒータによる加熱量を大きくするようにしてもよい。これにより、液滴820の移動距離に対する濡れ性の影響を低減させることができ、この点で、液滴820の移動距離を濡れ性にかかわらず一定に近付けることができる。

【0080】
また、フッ素コートの場合(線L21)のように液滴820の移動面に撥水加工をすると液滴820がほぼ移動しなくなる性質を積極的に利用するようにしてもよい。
例えば、基板810の表面にフッ素コートによるパターンを施すことで、液滴820が動く経路をパターニングするようにしてもよい。液滴820はフッ素コートされた部分を避けて移動するので、フッ素コートのパターンにより、液滴820を特定の経路(フッ素コートされていない経路)に沿って移動させることができる。このように、移動処理部120が、撥水性の素材が部分的に配置されている面上にて液滴820を移動させるようにしてもよい。

【0081】
図23は、液滴820の粘度と液滴820の移動距離との関係の例を示すグラフである。図23は、移動処理部120のレーザ光発射部分を移動させず、加熱用ビームB12の強度を同じにした場合の、液滴820の粘度(材料の粘度)と液滴820の移動距離との関係の例を示している。図23の例では、加熱温度を130℃にしている。また、基板810の表面に有機官能基のシランカップリング処理を行うことで、濡れ性の条件を同じにしている。

【0082】
図23のグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は液滴820の移動距離を示す。
線L31、L32、L33は、それぞれメタクリレート樹脂の液滴、アクリレート樹脂の液滴、洗浄液の液滴の、経過時間と液滴の移動距離との関係の例を示している。
液滴820の粘度に関して、メタクリレート樹脂の場合(線L31)が最も大きかった。メタクリレート樹脂の液滴の粘度は1802cpsであった。次に、アクリレート樹脂の場合(線L32)の粘度が大きく、その粘度は95cpsであった。洗浄液の場合(線L33)の粘度が最も小さく、その粘度は7.4cpsであった。

【0083】
線L31、L32、L33のいずれの場合も、液滴は、粘度に応じたある程度の距離を移動し、その後は、おおよそ動かずその場に留まっている。
図23の例で、液滴820の粘度が大きいほど液滴820の移動距離(液滴820がおおよそ動かなくなるまでの移動距離)が小さくなっている。
そこで、移動処理部120が、液滴820の粘度に応じて、粘度が大きいほど、前記ポイントヒータによる加熱量を大きくするようにしてもよい。これにより、液滴820の移動距離に対する粘度の影響を低減させることができ、この点で、液滴820の移動距離を粘度にかかわらず一定に近付けることができる。

【0084】
次に図24を参照して造形システム1の動作について説明する。
図24は、制御装置200が造形装置100を制御して目的物を生成させる処理手順の例を示すフローチャートである。
図24の処理で、制御装置200は、造形部110を制御して造形処理を行わせる(ステップS101)。造形部110は、制御装置200の制御に従って造形領域内の材料の液滴821に造形用ビームB11を照射して材料の液滴821内で造形用ビームB11の焦点を結ばせる。焦点の位置で材料が液体から個体に変化する。

【0085】
次に、制御装置200は、移動処理部120を制御して材料の液滴821を造形領域外へ退避させる(ステップS102)。移動処理部120は、制御装置200の制御に従って造形領域内の材料の液滴821を造形領域外へ移動させる。
次に、制御装置200は、滴下口140を制御して洗浄液を滴下させる(ステップS103)。滴下口140は、制御装置200の制御に従って洗浄液を造形領域内へ滴下する。この滴下により、造形領域内にある固体の材料を洗浄ずる。

【0086】
次に、制御装置200は、移動処理部120を制御して洗浄液の液滴822を除去させる(ステップS104)。移動処理部120は、制御装置200の制御に従って造形領域内の洗浄液の液滴822を基板810の外へ移動させる。この移動により、移動処理部120は洗浄液の液滴822を基板810の上から除去する。
次に制御装置200は、目的物が完成したか否かを判定する(ステップS105)。目的物が完成したと判定した場合(ステップS105:YES)、制御装置200は、図24の処理を終了する。

【0087】
一方、目的物が完成していないと判定した場合(ステップS105:NO)、制御装置200は、移動処理部120を制御して、次に用いられる材料の液滴821を造形領域へ移動させる(ステップS106)。移動処理部120は、制御装置200の制御に従って次に用いられる材料の液滴821を造形領域外から造形領域内へ移動させる。
ステップS106の後、処理がステップS101へ戻る。

【0088】
次に、図25~図31を参照して、造形装置100を用いて得られる目的物の例について説明する。
図25は、造形装置100を用いて得られる目的物の第1例を示す。図25に示す第1固形物840aは、メタクリレートの固形物840-51とアクリレートの固形物840-52とを含んでいる。第1固形物840aは、造形装置100を用いて得られる目的物の例に該当する。

【0089】
移動処理部120がメタクリレートの液滴、アクリレートの液滴それぞれを造形領域に移動させ、造形部110が、これらの液滴それぞれを用いて加工を行う。これにより、第1固形物840aのようにメタクリレートとアクリレートとを含むマルチマテリアルの目的物を生成することができる。
また、図25に50μm(マイクロメートル)のスケールを示しているように、造形装置100を用いて微小な目的物を生成することができる。

【0090】
図26は、造形装置100を用いて得られる目的物に銅めっきを施した第1例を示す。図26に示す第2固形物840bは、図25に示す第1固形物840aに無電解銅めっきを施して得られる。
図25のメタクリレートの固形物840-51とアクリレートの固形物840-52とのうち、アクリレートの固形物840-52には銅めっきが施されるが、メタクリレートの固形物840-51には銅めっきが施されない。図26の第2固形物840bは、メタクリレートの固形物840-51と銅めっき840-53とを含んでいる。このように、メタクリレートとアクリレートとを含むマルチマテリアルの目的物を生成することで、得られた目的物に対して選択的にめっきを施すことができる。

【0091】
図27は、造形装置100を用いて得られる目的物の第2例を示す。図27に示す第3固形物840cは、メタクリレートの固形物840-51とアクリレートの固形物840-52とを含んでいる。第3固形物840cは、造形装置100を用いて得られる目的物の例に該当する。
移動処理部120がメタクリレートの液滴、アクリレートの液滴それぞれを造形領域に移動させ、造形部110が、これらの液滴それぞれを用いて加工を行う。これにより、第3固形物840cのようにメタクリレートとアクリレートとを含むマルチマテリアルの目的物を生成することができる。

【0092】
また、図27に50μmのスケールを示しているように、造形装置100を用いて微小な目的物を生成することができる。
また、第3固形物840cは、正方形の板状の固形物を積み重ねたピラミッド形状の固形物となっている。このように、造形装置100を用いて立体形状の目的物を生成することができる。

【0093】
図28は、造形装置100を用いて得られる目的物に銅めっきを施した第2例を示す。図28に示す第4固形物840dは、図27に示す第3固形物840cに無電解銅めっきを施して得られる。
図27のメタクリレートの固形物840-51とアクリレートの固形物840-52とのうち、アクリレートの固形物840-52には銅めっきが施されるが、メタクリレートの固形物840-51には銅めっきが施されない。図28の第4固形物840dは、メタクリレートの固形物840-51と銅めっき840-53とを含んでいる。このように、メタクリレートとアクリレートとを含むマルチマテリアルの目的物を生成することで、得られた目的物に対して選択的にめっきを施すことができる。

【0094】
図29は、造形装置100を用いて得られる目的物の第3例を示す。図29に示す第5固形物840eは、メタクリレートの固形物840-51とアクリレートの固形物840-52とを含んでいる。第5固形物840eは、造形装置100を用いて得られる目的物の例に該当する。
移動処理部120がメタクリレートの液滴、アクリレートの液滴それぞれを造形領域に移動させ、造形部110が、これらの液滴それぞれを用いて加工を行う。これにより、第3固形物840cのようにメタクリレートとアクリレートとを含むマルチマテリアルの目的物を生成することができる。

【0095】
図30は、第5固形物840eの一部を横斜め上から見た図である。図29および図30に示すように、第5固形物840eは内部に空洞を有している。このように、造形装置100を用いて内部に空洞を有する立体形状の目的物を生成することができる。
また、図30に6.66μmのスケールを示しているように、造形装置100を用いて微小な目的物を生成することができる。

【0096】
図31は、造形装置100を用いて得られる目的物に銅めっきを施した第3例を示す。図31に示す第6固形物840fは、図29および図30に示す第5固形物840eに無電解銅めっきを施して得られる。
図29および図30のメタクリレートの固形物840-51とアクリレートの固形物840-52とのうち、アクリレートの固形物840-52には銅めっきが施されるが、メタクリレートの固形物840-51には銅めっきが施されない。図31の第6固形物840fは、メタクリレートの固形物840-51と銅めっき840-53とを含んでいる。このように、メタクリレートとアクリレートとを含むマルチマテリアルの目的物を生成することで、得られた目的物に対して選択的にめっきを施すことができる。

【0097】
以上のように、移動処理部120は、液滴820を移動させる。造形部110は、所定の造形領域内で液滴820を部分的に固体に変化させることで造形を行う。
このように、移動処理部120が液滴820を移動させるので、ユーザは、例えば基板810上に材料の液体をスポイトで滴下するなど、手動で液滴を造形領域内に配置する必要がない。造形装置100によればこの点で、液体の材料を固体に変化させて目的物を造形する場合に、液体の材料を設置する負担を軽減することができる。

【0098】
また、移動処理部120は、電磁波によるポイントヒータを用いて液滴820に温度勾配を生じさせることで液滴820を移動させる。
これにより、造形装置100が電磁波によるポイントヒータを備えるという比較的簡単な構成で液滴820を移動させることができる。

【0099】
また、移動処理部120は、撥水性の素材が部分的に配置されている面上にて液滴820を移動させる。
撥水性の素材を用いて液滴820が動く経路を示すことで、液滴820を特定の経路に沿って移動させることができる。

【0100】
また、移動処理部120は、液滴820を移動させるべき必要移動距離に応じて、必要移動距離が大きいほどポイントヒータによる加熱量を大きくする。
ポイントヒータによる加熱量が大きいほど液滴820の移動距離が大きくなるので、造形装置100は、ポイントヒータによる加熱量を調整することで、必要移動量に応じて液滴820の移動量を調整することができる。

【0101】
また、移動処理部120は、液滴820の濡れ性に応じて、濡れ性が小さいほどポイントヒータによる加熱量を大きくする。
これにより、液滴820の移動距離に対する濡れ性の影響を低減させることができ、この点で、液滴820の移動距離を濡れ性にかかわらず一定に近付けることができる。

【0102】
また、移動処理部120は、液滴820の粘度に応じて、粘度が大きいほど、ポイントヒータによる加熱量を大きくする。
これにより、液滴820の移動距離に対する粘度の影響を低減させることができ、この点で、液滴820の移動距離を粘度にかかわらず一定に近付けることができる。

【0103】
また、移動処理部120は、複数種類の材料の液滴821それぞれを別々のタイミングで移動させる。複数種類の材料の液滴821は、互いに独立している。造形部110は、造形領域内で複数種類の材料の液滴821それぞれを用いて造形を行う。
これにより、造形装置100は、複数種類の材料を含む目的物を生成することができる。

【0104】
また、移動処理部120は、材料の液滴821、洗浄液の液滴822それぞれを別々のタイミングで移動させる。造形部110は、造形領域内で材料の液滴821に対して造形を行う。
これにより、ユーザは、材料の液滴821の移動だけでなく洗浄液の液滴822の移動も人手で行う必要がない。造形装置100によればこの点で、ユーザ負担が軽くて済む。

【0105】
また、造形部110は、レーザ光(造形用ビームB11)を透過させる基板810に載っている液滴820に対し、液滴820内に焦点を結ぶようにレーザ光を基板810の下から照射する。
造形部110が基板810の下側からレーザ光を照射させることで、レーザ光は、焦点を結んだ後に液滴820の上面に到達する。したがって、レーザ光が焦点を結ぶ位置は、表面張力による液滴820の形状に応じた屈折の影響を受けない。この点で、造形システム1は、レーザ光の焦点の位置合わせを高精度に行うことができる。

【0106】
なお、造形用ビームB11が焦点を結ぶ位置を変化させる方法は、造形部110のレーザ光発射部分の位置を変化させる方法に限定されない。造形部110のレーザ光発射部分に代えて支持台130を移動させるようにしてもよい。
あるいは、造形部110のレーザ光発射部分が造形用ビームB11を発射する角度を変化させるようにしてもよい。

【0107】
図32は、造形用ビームB11の角度と焦点の位置との関係の例を示す。
図32の例で、造形部110のレーザ光発射部分は対物レンズとして機能し、液滴820と反対側(図32の下側)から入射した造形用ビームを屈折させて液滴820の側(図32の上側)へ照射する。
造形部110のレーザ光発射部分への造形用ビームB11の入射角をθで示す。造形部110のレーザ光発射部分からの造形用ビームB11の出射角をθで示す。出射角θは入射角θに応じて変化する。出射角θの変化に伴って造形用ビームB11が焦点を結ぶ点P11の位置も変化する。したがって、造形部110は、造形用ビームB11のレーザ光発射部分への入射角θを変化させることで、レーザ光発射部分の位置、基板810の位置の何れも変化させる必要なしに、造形用ビームB11が焦点を結ぶ位置を変化させることができる。
入射角θを変化させる方法として、例えば、造形用ビームB11の光源と造形部110のレーザ光発射部分との間にミラーを設け、ミラーの向きを変化させる方法を用いることができる。

【0108】
なお、滴下口140が、洗浄液に加えて、あるいは洗浄液に代えて、液体の材料を造形領域内に滴下するようにしてもよい。この場合、滴下口140が造形領域内に滴下した材料の液滴820に対し、造形部110が造形用ビームB11を照射して材料の液滴820の一部を固化させる。その後、移動処理部120が加熱用ビームB12を照射して材料の液滴820を造形領域外へ移動させる。これにより、上記のように移動処理部120が材料の液滴820を造形領域内へ移動させる場合と同様、造形を行うことができる。

【0109】
なお、制御装置200が行う処理の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。

【0110】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、造形装置、液滴移動装置、目的物生産方法、液滴移動方法及びプログラムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 造形システム
100 造形装置
110 造形部
120 移動処理部
130 支持台
140 滴下口
200 制御装置
210 表示部
220 操作入力部
280 記憶部
290 処理部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
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【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31