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明細書 :噴流方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2021-016433 (P2021-016433A)
公開日 令和3年2月15日(2021.2.15)
発明の名称または考案の名称 噴流方法
国際特許分類 A62C  33/04        (2006.01)
FI A62C 33/04
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2019-132168 (P2019-132168)
出願日 令和元年7月17日(2019.7.17)
発明者または考案者 【氏名】鳥飼 宏之
【氏名】今淵 友貴
出願人 【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100113435、【弁理士】、【氏名又は名称】黒木 義樹
【識別番号】100128107、【弁理士】、【氏名又は名称】深石 賢治
審査請求 未請求
テーマコード 2E189
Fターム 2E189LA02
要約 【課題】 安全な高所からの放水等を容易に行う。
【解決手段】 噴流方法は、弾性材料によって形成されたホース11と当該ホースの一方の端部に接続されると共に所定の角度で曲がった管状のノズル12とを備える噴流装置10を用いて流体Fをホース11に流入させてノズル12から噴流させる方法であって、ホース11を一方の端部とは異なる位置で固定する固定工程と、ノズル12、及びホース11の一方の端部から固定された位置までの部分を保持しない状態で、流体Fをホース11の他方の端部から流入させてノズル12から噴流させると共に、当該流入を、当該流体Fによってノズル12にかかる力によって当該ホースの当該部分の一箇所において湾曲する流量で行う噴流工程とを含み、流入させる流体の流量を、ホース11を湾曲させる度合いに応じたものとする。
【選択図】 図3
特許請求の範囲 【請求項1】
弾性材料によって形成されたホースと当該ホースの一方の端部に接続されると共に所定の角度で曲がった管状のノズルとを備える噴流装置を用いて流体をホースに流入させてノズルから噴流させる噴流方法であって、
前記ホースを前記一方の端部とは異なる位置で固定する固定工程と、
前記ノズル、及び前記ホースの前記一方の端部から前記固定工程で固定された位置までの部分を保持しない状態で、流体を前記ホースの他方の端部から流入させてノズルから噴流させると共に、当該流入を、当該流体によってノズルにかかる力によって当該ホースの当該部分の一箇所において湾曲する流量で行う噴流工程と、
を含み、
前記噴流工程において流入させる流体の流量を、前記ホースを湾曲させる度合いに応じたものとする噴流方法。
【請求項2】
前記噴流工程において流入させる流体の流量を、前記ホースの曲げ剛性、及び当該ホースの湾曲する部分の長さに応じたものとする請求項1に記載の噴流方法。
【請求項3】
前記固定工程において、前記ホースが水平方向に向くと共に前記管状のノズルの曲がった方向が鉛直方向の下方向に向くように固定する請求項1又は2に記載の噴流方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースを介してノズルから流体を噴流させる噴流方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消火活動において、通常、消防士は地上に立ち、消火ノズルとホースとを腕によって保持し、体全体で空間中にホース先端の直管ノズルを固定して放水を行う。ホース内を流れる水流によってホースの湾曲部には湾曲方向にホースを押す力がかかるが、これを消防士からホースに作用する力によって相殺し静止状態が保たれる。特にこのとき、消防士の体を固定する上で、消防士の接地している地面との摩擦も重要となる。
【0003】
他方で、建物火災等で高い位置での(例えば、屋根からの)放水が必要になる場合がある。このとき、消防士は片手でホースを抱え、もう片方の手ではしごをつかんで登らなければならない。その後に高所からの放水を行う。これら一連の作業は、消防士が体勢を崩して転落する可能性があり極めて危険である。
【0004】
安全に高所からの放水を行うため、高層ビル火災等で用いられる高所放水車、及び海上火災等に対して用いられる消防艇では、放水塔が設けられている。放水塔は、例えば、金属部材で構成された伸縮式(又は屈折式)であり、その先端に放水砲(又は放水銃)が設置されているものが用いられる。
【0005】
また、特許文献1には、安全に高所からの放水を行うための装置として、火災時に利用できる液体噴射装置が提案されている。この液体噴射装置では、曲がったノズルから放出される水流噴流によって生じる反力でホースを湾曲させて、ノズルを浮遊させることを目指している。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2017-164069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した放水塔を製作するには高いコストを要し、そして装置構成上、接合部と可動部とが多いためメンテナンスにも大きな労力とコストとを必要とする。また、特許文献1に記載されている液体噴射装置は、ホース形状を一定に保つための制御機構を必要としており、容易に実現することはできない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、安全な高所からの放水等を容易に行うことができる噴流方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る噴流方法は、弾性材料によって形成されたホースと当該ホースの一方の端部に接続されると共に所定の角度で曲がった管状のノズルとを備える噴流装置を用いて流体をホースに流入させてノズルから噴流させる噴流方法であって、ホースを一方の端部とは異なる位置で固定する固定工程と、ノズル、及びホースの一方の端部から固定工程で固定された位置までの部分を保持しない状態で、流体をホースの他方の端部から流入させてノズルから噴流させると共に、当該流入を、当該流体によってノズルにかかる力によって当該ホースの当該部分の一箇所において湾曲する流量で行う噴流工程と、を含み、噴流工程において流入させる流体の流量を、ホースを湾曲させる度合いに応じたものとする。
【0010】
本発明に係る噴流方法では、ホースを介してノズルから流体を噴流させる際にホースが湾曲する。このホースの湾曲によって、例えば、高所からの流体の噴流を実現することができる。また、本発明に係る噴流方法では、流体の噴流の際に消防士等によるノズル及びホースの保持が不要である。また、本発明に係る噴流方法では、構成する部品が従来の装置等に比べて少ないため、容易な実現が可能である。このように本発明に係る噴流方法によれば、安全な高所からの放水等を容易に行うことができる。
【0011】
噴流工程において流入させる流体の流量を、ホースの曲げ剛性、及び当該ホースの湾曲する部分の長さに応じたものとすることとしてもよい。この構成によれば、ホースの曲げ剛性、及び当該ホースの湾曲する部分の長さに応じて確実にホースを湾曲させることができ、その結果、高所での放水等をより確実に行うことができる。
【0012】
固定工程において、ホースが水平方向に向くと共に管状のノズルの曲がった方向が鉛直方向の下方向に向くように固定することとしてもよい。この構成によれば、鉛直方向の上方向にホースを湾曲させることができ、その結果、高所での放水等をより確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安全な高所からの放水等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る噴流方法に用いられる噴流装置を示す図である。
【図2】流体をホースに流入する前にホースを固定した状態を示す図である。
【図3】流体をホースに流入してノズルから噴流させている状態を示す図である。
【図4】噴流によってノズルに作用する力と、ホースの弾性によってはたらく復元力との関係を示すグラフである。
【図5】ホースが立ち上がるときの高さとホースの湾曲する部分の長さとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面と共に本発明に係る噴流方法の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。

【0016】
本実施形態に係る噴流方法は、ホースを介してノズルから流体を噴流(噴射、噴出、出射)させる方法である。本実施形態に係る流体の噴流は、例えば、火災の消火のために行われる。消火剤として用いられる当該流体は、気体、液体、粉末消火剤のような固-気混相流、固-液混相流、及び泡消火剤のような気液二層流の何れかであってもよい。具体的には、当該流体として水が用いられる。なお、本発明に係る流体の噴流は、消火以外のために行われるものであってもよい。

【0017】
まず、本実施形態に係る噴流方法の実行に用いる噴流装置を説明する。本実施形態で説明する噴流装置は、本発明者による噴流方法の実験に用いられた装置である。従って、実際の消火等に用いる場合には、それに応じて構成及び部材のサイズ等を変更してもよい。

【0018】
図1に本実施形態に係る噴流装置10を示す。噴流装置10は、流体を噴流させる構成として、ホース11と、ノズル12とを備える。

【0019】
ホース11は、弾性材料によって形成されている。ホース11は、力を受けた際に湾曲変形が可能であり、受けた力が取り除かれると元の形に戻るものである。例えば、ホース11としては、ポリ塩化ビニール製又はポリエチレン製の従来のものを用いることができる。具体的には、ホース11として、外径15mm、内径12mmのMEGAサンブレーホース等を用いることができる。ホース11の長さは、消火に用いる場合には、例えば、数m~数十mのものを用いることができる。但し、この範囲に含まれない長さのホース11が用いられてもよい。更には、ホース11として、以下の表に示すホースも用いることができる。
【表1】
JP2021016433A_000003t.gif

【0020】
ノズル12は、管状(例えば、円管状)の部品であり、出口から流体Fを噴流する。ノズル12は、出口とは逆側の開口部でホース11の一方の端部に接続される。ホース11とノズル12とは、例えば、ホースクランプ13によって接続される。ノズル12は、所定の角度に曲がっている。即ち、ノズル12において、ホース11に接続される端部の軸方向と流体Fを噴流する出口の軸方向とに所定の角度がつけられている。曲げられる角度は、例えば、90°である。即ち、ノズル12は、L字状のL字ノズルを用いることができる。但し、角度は、90°以上であってもよいし、90°以下であってもよい。

【0021】
ノズル12は、比較的重量が小さく、また、弾性率が非常に大きな材料である金属又はセラミックス等によって形成される。例えば、ノズル12としては、外径6.35mm、内径4.75mmの銅管によって形成されたL字ノズルを用いることができる。

【0022】
また、噴流装置10は、流体Fをホース11に流入させるための構成として、タンク(槽)14と、第1ポンプ15と、第2ポンプ16と、ニードルバルブ17と、ストップバルブ18と、流量計19とを備える。これらの装置としては、従来と同様のものを用いることができる。

【0023】
タンク14は、ノズル12から噴流させる流体Fの容器である。第1ポンプ15は、タンク14に入っている流体Fを第2ポンプ16に圧送する装置である。第1ポンプ15と第2ポンプとの間には、流体Fが流れる配管20が設けられている。第2ポンプ16は、第1ポンプ15から流入した流体Fをホース11に圧送する装置である。第2ポンプ16には、圧送される流体Fが流れる配管20が設けられている。

【0024】
第2ポンプに接続された配管20は分岐しており、それらの一方はホース11に向かい、他方はタンク14に向かっている。ニードルバルブ17は、ホース11に向かう配管20及びタンク14に向かう配管20にそれぞれ設けられた、流体Fの流量を制御するためのバルブ(流量調整器)である。ストップバルブ18は、ホース11に向かう配管20及びタンク14に向かう配管20にそれぞれ設けられた、流体Fの流れを止めるためのバルブである。流量計19は、ホース11に向かう配管20に設けられた、ホース11に向かう流体Fの流量を計測する装置である。

【0025】
なお、噴流装置10は、流体Fをホースに流入させるための構成として必ずしも上記の構成を取る必要はなく、流体Fをホース11に流入させると共に流入させる流体Fの流量を制御可能できる構成であればよい。

【0026】
また、噴流装置10は、ホース11の一部を固定するための構成(治具)として、バイス21を備える。バイス21としては、従来と同様のものを用いることができる。なお、ホース11の一部を固定するための構成として、必ずしもバイス21を用いる必要はなく、流体Fが流通可能な状態でホース11の一部を固定できるものであれば、どのようなものを用いてもよい。例えば、ポンプとの接続によってホース11の一部が固定されてもよい。以上が、本実施形態に係る噴流装置10の構成である。

【0027】
引き続いて、本実施形態に係る噴流方法を説明する。本方法では、まず、ホース11を、ノズル12が接続された端部とは異なる位置で固定する(固定工程)。図2にホース11が固定された状態を示す。ホース11の固定は、例えば、消火対象の近傍の位置における地面等の水平面において、ノズル12の側が消火対象に向かうように行われる。ホースの水平面への固定は、バイス21によって行われる。ホース11のノズル12が接続された端部からバイス21によって固定される位置までの部分11aは、後述するように湾曲する。当該部分11aの長さLは、湾曲が適切に行える程度の長さとされる。なお、ノズル12の、ホース11に接続される側の端部から曲がっているところの円管中心までの長さ(即ち、ホース11に接続される端部の軸方向の長さ)L、及びホース長さLとノズル長さLとの和である全体長さLも、湾曲が適切に行える程度の長さとされる。

【0028】
また、図2に示すように、ホース11の固定の際、上記の部分11aを水平面に配置する等して水平方向に向くようされると共にノズル12の先端である曲がった方向が鉛直方向の下方向に向くようにしてもよい。なお、図2では、ノズル12の先端が、ホース11が置かれる水平面より下に位置しているが、ノズル12の先端が、ホース11が置かれる水平面に接していて、それによってホース11が持ち上げられていてもよい。また、ノズル12が90°に曲がっているため、ノズルの先端が鉛直方向に向いているが、角度が90°でない場合等には、ノズル12の先端が下方向に向いていればよく、必ずしも鉛直方向でなくてもよい。

【0029】
ホース11の固定の後、ノズル12及びホース11の上記の部分11aは、保持されない、即ち、自由に動くことができる状態にされる。その状態で、流体Fを、ノズル12に接続された端部とは逆側の端部からホース11に流入させる(噴流工程)。流体Fの流入は、噴流装置10の上述した流体Fをホース11に流入させるための構成によって行われる。ホース11に流入した流体Fはノズル12から噴流する。流体Fがノズル12から噴流する際に噴流する方向とは逆方向の力πがかかる。そして、流体Fの流量が一定以上であると、図3に示すように、ノズル12にかかる力πによって、ホース11が、上記の部分11aの一箇所において湾曲する。また、ホース11が湾曲する際、ホース11が各部分で伸縮するため、湾曲した方向とは逆向きにホース11の弾性に基づき元の形に戻ろうとする復元力(弾性力)πがはたらく。また、ホース11、ノズル12及びそれらの中を流れる流体Fそれぞれに重力がはたらく。また、ホース11には、地面に設置されたままとなっている部位において摩擦力及び垂直抗力がはたらく。ホース11は、これらの力のバランスが取れた湾曲の状態となり、その状態で安定する。即ち、ホース11は、時間的に変動がなく、湾曲した状態となる。

【0030】
ノズル12から流体が噴流する際にホース11及びノズル12にかかる力から考えられるモーメントについて説明する。図3に示すモーメントM[N・m]は、流体Fを噴流させることによってホース11に生じるモーメントである。モーメントM[N・m]は、ホース11及びノズル12、並びにホース11及びノズル12内を流れる流体Fに作用する重力によって生じるモーメントである。モーメントM[N・m]は、湾曲したホース11内を流れる流体Fによってホース11に作用する力によって生じるモーメントである。モーメントM[N・m]は、ホース11が曲がることによって発生するモーメントである。これらの各モーメントがバランスすることで、噴流によって湾曲したホース11は、一定の湾曲形状を保って空間中に静止する。

【0031】
従って、流体Fは、ホース11が湾曲した状態でノズル12から噴流する。例えば、図3に示すように、ホースが立ち上がって流体Fがノズル12から噴流する。ホース11のノズル12が接続された端部の軸方向と、固定された位置の軸方向との角度(湾曲の角度)が90°になる場合には、流体Fを噴流していない状態では下方向を向いていたノズル12の先端が、ホース11の湾曲に応じた高い位置で水平方向に向き、水平方向に流体Fが噴流される。このようにホース11が湾曲して持ち上がることで、ノズル12の流体放出口を空間的に高く、そして安定して配置することが可能となる。

【0032】
流体Fをホース11に流入させる際の流量は、ホース11を湾曲させる度合いに応じたものとされる。ホース11を湾曲させる度合いは、予め設定されたものであってもよい。流量の制御は、噴流装置10の上述した流体Fをホース11に流入させるための構成によって行われる。

【0033】
ホース11が湾曲してノズル12が立ち上がる高さは、ホース11に流入される流体Fの流量に応じたものとなる。一定の流量までは流量が大きくなるほど、ホース11の湾曲の角度が90°に近づいていき、立ち上がり高さは高くなる。当該一定の流量を超えて流量が更に大きくなると、ホース11の湾曲の角度が90°を超えて、立ち上がり高さは低くなる。図3に示すように、ホース11の湾曲が90°になる場合、最も高い位置から流体Fを噴流することができる。従って、最も高い位置から流体Fを噴流させるため、ホース11を湾曲させる度合いは、90°としてもよい。

【0034】
ホース11が湾曲する度合い、即ち、ノズル12が持ち上がる高さは、ホース11中を流れる流体Fの流量の大きさによって簡単に調節することができる。ホース11が湾曲する度合いは、後述するようにホース11の弾性率、形状及び長さ等に応じたものとなる。

【0035】
なお、ホース11が、中心軸を中心にねじれた場合、上記と同様にホース11には復元力がはたらく。加えて、噴流で立ち上がったホース11の部分11aは、地面等の水平面から浮いているため、当該面との接触抵抗(摩擦力)が生じない。その結果、例えば、風等の外部擾乱によって左右、前後、上下というようなどのような方向からホース11に力がかかったとしても、それらの外部からの力が取り除かれれば、外部の力がかかっていない状態の形状に戻ることになる。なお、ノズル12にかかる重力がホース11の復元力に比して大きくなりすぎないように、比較的小さい質量のノズル12を用いることとするのがよい。

【0036】
また、流体Fをホース11に流入させる際の流量は、ホース11の曲げ剛性、及び当該ホース11の湾曲する部分の長さに応じたものとすることとしてもよい。例えば、以下のようにする。

【0037】
図4に、噴流によって最もホース11が立ち上がる場合における、噴流によってノズル12に作用する力πと、ホース11の弾性によってはたらく復元力πとの関係を示す。なお、この関係は、本発明者の実験及び研究によって発見されたものである。図4のグラフにおいて、横軸(x軸)は、復元力π=EI/l[N]であり、縦軸(y軸)は、噴流の力π=ρ[N]である。

【0038】
ここで、EIは、ホース11の曲げ剛性[N・m]である。ホースの曲げ剛性の値は、ホース11のヤング率E[MPa]及び断面二次モーメントl×10-9[m]から算出することができる。復元力の式中のlは、図3に示すホース11の立ち上がる位置である支点位置Sからノズル12側の先端までの距離[m]である。即ち、lは、ホース11の湾曲する部分の長さである。なお、ホース11の湾曲に対して、ホース11のノズル12が接続された端部からバイス21によって固定される位置までの部分11aの長さが十分に長ければ、支点位置Sは、当該固定される位置よりもノズル12側に位置する。一方で、ホース11の湾曲に対して当該部分11aの長さが十分に長くなければ、支点位置Sは、当該固定される位置に一致する。ρは、流体の密度[kg/m]である。uは、ノズル12出口での噴流の流速[m/s](断面平均流速)である。Dは、ノズル12の内径[m]である。

【0039】
実験の値に基づいて、横軸の値をx、縦軸の値をyとしたときにy=Σa、a=0.570147101、a=1.75707036との関係が導かれた。相関係数r=0.996955873である。このようにこれらの力の関係は、一次関係式となる。EI、ρ及びDは、噴流に用いるホース11及びノズル12によって定まる。lは、ホース11に流体Fを流入させる試験を行って支点位置Sを確認することで算出することができる。これらの値と上記の関係式とから、噴流の流速uを算出することができる。算出した流速uから、ホース11に流入させる際の流量を算出して、算出した流量の流体Fをホース11に流入させる。

【0040】
なお、上記の関係式は、ホース11を湾曲させる度合い毎に実験等で予め用意しておくことができ、流体Fを噴流させる際の予め設定した度合いに応じた関係式を用いて流量を算出してもよい。

【0041】
流体Fの流量は、噴流の流速uから以下の式によって算出することができる。例えば、体積流量Q[m/min]又はQ[l/min]を以下の式によって算出することができる。
=π(D/2)×u×60[m/min]
=π(D/2)×u×60×1000[l/min]
上記の式において、π(D/2)はノズル12の断面積[m]であり、u×60は流速[m/min]である。また、質量流量Q[kg/min]を以下の式によって算出することができる。
=π(D/2)×u×60×ρ[kg/min]

【0042】
また、ホース11を湾曲させる度合い、例えば、放水位置を最も高くする条件を、噴流する流体Fによってノズル12に作用する力と、使用しているホース11の断面形状、弾性率及び長さとで決まるバランスで予測することとしてもよい。予測した条件に応じた流量の流体Fをホース11に流入させてもよい。

【0043】
図3に示すようなホース11の湾曲の角度が90°になる場合、流体Fが噴流する位置の水平面から高さHは以下のように計算で算出することができる。立ち上がったときのホース11の湾曲部を適当な曲線を用いて近似し、その曲線を示す関数を用いてホースが立ち上がるときの高さHを算出する。図3に示すように噴流によって90°の角度で立ち上がったときのホース11の部分の湾曲を1/4の円として近似する。この場合の曲線の関数は以下となる。
【数1】
JP2021016433A_000004t.gif

ここでRは、近似した円の半径を表し、(x,y)はホース11上の位置である支点位置Sを原点として、水平方向の距離をx、垂直方向をyとした座標を表す。xとyとが取り得る範囲は、0≦x≦R,0≦y≦Rとなる。

【0044】
式(1)の1次導関数dy/dxを以下の式に代入することで、ホース11の湾曲する部分の長さlを表すことができる。
【数2】
JP2021016433A_000005t.gif

その結果、以下の関係式が得られる。
【数3】
JP2021016433A_000006t.gif

また、図3から分かるようにホース11の湾曲する部分によって立ち上がった高さはRと等しくなる。

【0045】
以上から、計算によって予測されるホースの立ち上がり高さHcal(Hの予測値)は以下のように表すことができる。
【数4】
JP2021016433A_000007t.gif

式(4)を用いて計算した結果、上述した表に示すホースを用いた場合の結果を図5に示す。ホース11の湾曲する部分の長さlが求まれば、図5に示す関係を用いて、流体Fが噴流する位置の水平面から高さHを算出することができる。

【0046】
上述したように本実施形態では、ホース11を介してノズル12から流体Fを噴流させる際にホース11が湾曲する。このホースの湾曲によって、例えば、高所からの流体の噴流を実現することができる。また、本実施形態では、ノズル12から離れた位置においてホース11を固定しておくだけで流体の噴流を可能とするため、流体の噴流の際に消防士(消火者)等によるノズル12及びノズル12に近い部分のホース11の保持が不要である。従って、消防士等が安全な地上に居ながらにして、高所から火災が発生している空間に対して当該火災を消火するための流体Fを供給することができる。

【0047】
また、本実施形態では、複雑な構成の装置及び高度な制御機構等を必要とせず、構成する部品が従来の装置等に比べて少ない。そのため、製作及びメンテナンスのコスト等を従来よりも低減することができ、容易な実現が可能である。このように本実施形態によれば、安全な高所からの放水等を容易に行うことができる。

【0048】
また、本実施形態のようにホース11に流入させる流体Fの流量を、ホース11の曲げ剛性、及び当該ホース11の湾曲する部分の長さに応じたものとすることとしてもよい。この構成によれば、ホースの曲げ剛性、及び当該ホースの湾曲する部分の長さに応じて確実に予め設定された度合いでホース11を湾曲させることができ、その結果、高所での放水等をより確実に行うことができる。但し、流量の制御は、必ずしも上記のように行われる必要はなく、流量を変化させて湾曲の度合いを確かめる実験を行って実験に基づいた流量での流体Fの流入を行ってもよい。また、上記以外のパラメータを考慮して流量を決めることとしてもよい。

【0049】
また、本実施形態のようにホース11を固定する際に、ホース11が水平方向に向くと共に管状のノズルの曲がった方向が鉛直方向の下方向に向くようにしてもよい。この構成によれば、鉛直方向の上方向にホース11を湾曲させる、即ち、ホース11を立ち上がらせることができる。その結果、高所での放水等をより確実に行うことができる。但し、ホース11及びノズル12は、噴流の用途等に応じてどのような向きで固定されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…噴流装置、11…ホース、12…ノズル、13…ホースクランプ、14…タンク、15…第1ポンプ、16…第2ポンプ、17…ニードルバルブ、18…ストップバルブ、19…流量計、20…配管、21…バイス。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4