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明細書 :アモルファスシリコン薄膜の成膜方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3507889号 (P3507889)
公開番号 特開2002-299266 (P2002-299266A)
登録日 平成16年1月9日(2004.1.9)
発行日 平成16年3月15日(2004.3.15)
公開日 平成14年10月11日(2002.10.11)
発明の名称または考案の名称 アモルファスシリコン薄膜の成膜方法
国際特許分類 H01L 21/205     
C23C 16/24      
C23C 16/509     
H01L 21/336     
H01L 29/786     
H01L 31/04      
FI H01L 21/205
C23C 16/24
C23C 16/509
H01L 31/04
H01L 29/78
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2001-105872 (P2001-105872)
出願日 平成13年4月4日(2001.4.4)
審査請求日 平成13年4月4日(2001.4.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012501
【氏名又は名称】九州大学長
発明者または考案者 【氏名】渡辺 征夫
【氏名】白谷 正治
【氏名】古閑 一憲
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
審査官 【審査官】池渕 立
参考文献・文献 特開 平8-167596(JP,A)
特開 平4-239129(JP,A)
特開 平10-88358(JP,A)
特開2002-93721(JP,A)
実開 平5-90939(JP,U)
調査した分野 H01L 21/205
C23C 16/24
C23C 16/509
特許請求の範囲 【請求項1】
真空容器と、この真空容器内に配置され、被成膜部材を保持する第1電極と、前記真空容器内に前記第1電極と対向して配置され、その第1電極との対抗面に複数のガス排気部を有する第2電極と、前記真空容器の側壁に形成されたガス排気穴と、前記第2電極に接続された高周波電源と、原料ガス供給手段とを具備した成膜装置を用いて前記第1電極に保持された被成膜部材にアモルファスシリコン薄膜を成膜するにあたり、
前記第1電極に被成膜部材を保持する工程と、
前記第1電極を240~260℃の高温に加熱し、前記第2電極をこの第1電極より低い温度に維持する工程と、
前記真空容器内にシランガスを前記原料ガス供給手段により供給し、前記第2電極のガス排気部および前記真空容器のガス排気穴を通して前記真空容器内のガスを排気すると共に、前記高周波電源から高周波電力を前記第2電極に印加して前記第1、第2の電極間にシランガス放電プラズマを発生させることにより前記被成膜部材にアモルファスシリコン薄膜を成膜する工程とを具備したことを特徴とするアモルファスシリコン薄膜の成膜方法。

【請求項2】
前記第2電極は、前記第1電極の温度に対して150℃以上の温度差を持つ低い温度に設定されることを特徴とする請求項1記載のアモルファスシリコン薄膜の成膜方法。

【請求項3】
前記原料ガス供給手段は、前記真空容器内に前記第1電極に対して同心円状に配置され、前記第2電極に向けてガス噴出口が複数開口された環状原料ガス供給部材を有し、前記シランガスを前記環状原料ガス供給部材を通して前記真空容器内に供給されることを特徴とする請求項1または2記載のアモルファスシリコン薄膜の成膜方法。

【請求項4】
前記シランガスは、前記真空容器内に5~30sccmの流量で供給されることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のアモルファスシリコン薄膜の成膜方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アモルファスシリコン薄膜の成膜方法に関し、特に太陽電池、液晶表示装置の薄膜トランジスタ等に適用されるアモルファスシリコン薄膜の成膜方法に係る。

【0002】
【従来の技術】例えば、太陽電池の光電変換素子に用いられるアモルファスシリコン薄膜は、従来、次のような方法により成膜されている。すなわち、真空容器内に一対の平板電極を平行に配置し、この平板電極の一方に基板のような被成膜部材を保持させ、前記真空容器内にシランガスを供給して所望の真空度にした後、前記基板が保持された平板電極と対向する平板電極に高周波電力を印加して容量結合型高周波放電プラズマを生成し、前記基板表面にアモルファスシリコン薄膜を成膜する。このときの放電は、生成されるプラズマ中に微粒子が可能な限り少なくなる条件でなされている。

【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の方法で成膜されたアモルファスシリコン薄膜は例えば赤外線吸収法で評価した(SiH2結合/SiH結合)の赤外線吸収強度比が大きく、光電変換素子を作製して評価した電流-電圧特性における曲線因子(特性曲線における電流と電圧の席の最大値/開放電圧と短絡電流の積)が小さく、さらに光劣化が生じ易いという問題があった。

【0004】
本発明は、シラン放電プラズマ中のクラスタ量を激減させて優れた膜質を有するアモルファスシリコン薄膜の成膜方法を提供しようとするものである。

【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアモルファスシリコン薄膜の成膜方法は、真空容器と、この真空容器内に配置され、被成膜部材を保持する第1電極と、前記真空容器内に前記第1電極と対向して配置され、その第1電極との対抗面に複数のガス排気部を有する第2電極と、前記真空容器の側壁に形成されたガス排気穴と、前記第2電極に接続された高周波電源と、原料ガス供給手段とを具備した成膜装置を用いて前記第1電極に保持された被成膜部材にアモルファスシリコン薄膜を成膜するにあたり、前記第1電極に被成膜部材を保持する工程と、前記第1電極を240~260℃の高温に加熱し、前記第2電極をこの第1電極より低い温度に維持する工程と、前記真空容器内にシランガスを前記原料ガス供給手段により供給し、前記第2電極のガス排気部および前記真空容器のガス排気穴を通して前記真空容器内のガスを排気すると共に、前記高周波電源から高周波電力を前記第2電極に印加して前記第1、第2の電極間にシランガス放電プラズマを発生させることにより前記被成膜部材にアモルファスシリコン薄膜を成膜する工程とを具備したことを特徴とするものである。

【0006】
本発明に係るアモルファスシリコン薄膜の成膜方法において、前記第2電極は前記第1電極の温度に対して150℃以上の温度差を持つ低い温度に設定されることが好ましい。

【0007】
本発明に係るアモルファスシリコン薄膜の成膜方法において、前記原料ガス供給手段は前記真空容器内に前記第1電極に対して同心円状に配置され、前記第2電極に向けてガス噴出口が複数開口された環状原料ガス供給部材を有し、前記シランガスを前記環状原料ガス供給部材を通して前記真空容器内に供給されることが好ましい。

【0008】
本発明に係るアモルファスシリコン薄膜の成膜方法において、前記シランガスは前記真空容器内に5~30sccmの流量で供給されることが好ましい。

【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るアモルファスシリコン薄膜の成膜方法を図1、図2に示すCVD装置(成膜装置)を参照して詳細に説明する。

【0010】
図1は、成膜装置の概略斜視図、図2は図1の縦断面図である。

【0011】
例えば円筒型の真空容器1は、ガラス製の円筒状容器本体2と、この本体2の上下の開口面に取り付けられた金属製の上部円板3および金属製の下部円板4とから構成されている。

【0012】
円柱状の第1電極5は、前記真空容器1内の下部円板4上に設置されている。真空容器1の外部に配置された電源により加熱されるヒータ(いずれも図示せず)は、前記第1電極5に内蔵されている。前記第1電極5は、接地されている。

【0013】
底板6を有する円筒状の第2電極7は、その底板6が前記第1電極5と所望の距離をあけて対向するように前記上部円板3の中央部を容器本体2の内部側に向けて陥没させることにより形成されている。この第1、第2の電極5、7間の距離は、2~4cmにすることが好ましい。複数のガス排気部(例えばガス排気孔)8は、前記第2電極7の底板6に穿設されている。排気管9は、前記第2電極7の上部開口部に取り付けられている。この排気管9の他端は、図示しない真空ポンプのような排気装置に連結されている。

【0014】
なお、前記第2電極7の底部に形成されるガス排気部は前記底板6に複数のガス排気孔9を穿設した構造に限らず、メッシュ板により構成してもよい。

【0015】
また、前記第2電極7は前記第1電極5の温度との関係で加熱手段を付設したり、冷却手段を付設してもよい。

【0016】
高周波電源10は、ケーブル11を通して前記第2電極7に接続されている。容量12は、このケーブル11に介装されている。

【0017】
原料ガス供給リング13は、前記第1、第2の電極5、7間に前記円柱状の第1電極5に対して同心円状に配置されている。図示しない複数のガス噴出口は、前記原料ガス供給リング13に前記第2電極7側に向かうように開口されている。原料ガス供給管14は、前記上部円板3を貫通して前記リング3に連通されている。

【0018】
複数、例えば4つの排気筒体15は、前記真空容器1の容器本体2に90°の周角度をあけて挿着され、かつこれら排気筒体15の外部に突出した端部には蓋体16がそれぞれ取り付けられている。排気管17は、一端が前記各排気筒体15の前記真空容器1外部に突出した部分にそれぞれ連結され、他端が大口径排気管18に連結、集合されている。この大口径排気管18の他端は、図示しない真空ポンプのような排気装置に連結されている。

【0019】
次に、前述した図1、図2に示す成膜装置を用いて本発明のアモルファスシリコン薄膜の成膜方法を説明する。

【0020】
まず、真空容器1内の第1電極5上に被成膜部材19を載置する。つづいて、内蔵した図示しないヒータにより第1電極5を240~260℃に温度に加熱する。このとき、第2電極7をこれと対向する前記第1電極5より低い温度に設定する。

【0021】
次いで、図示しない排気装置を駆動して前記真空容器1内のガスを前記第2電極7底部の複数のガス排気孔8および排気管9と、4つの排気筒体15および排気管17、大口径排気管18とを通して排気し、この排気を続行しながら、原料ガスであるシラン(SiH4)を原料ガス供給管14から原料ガス供給リング13の複数のガス噴出口を通して前記真空容器1内に供給してプラズマ発生に適した真空度に維持する。つづいて、前記真空容器1内の真空度が安定した後、所望の周波数および電力を持つ高周波を高周波電源10から容量12を通して前記第2電極7に印加し、前記第1、第2の電極5、7間にシランガス放電プラズマを発生させることにより前記第1電極5に保持した被成膜部材19にアモルファスシリコン薄膜を成膜する。

【0022】
前記被成膜部材としては、例えばガラス基板、金属、半導体膜などの各種の膜が形成されたガラス基板、半導体基板、または金属、半導体膜などの各種の膜が形成された半導体基板等を用いることができる。

【0023】
前記第2電極7は、前記第1電極5の温度に対して150℃以上、より好ましくは200℃以上の温度差を持つ低い温度に設定されることが望ましい。前記第1、第2電極5,7間の温度差を150℃未満にすると、前記シランガスプラズマに発生したクラスタを低温側の前記第2電極7への移動を十分に促進させることが困難になり、前記クラスタを前記第2電極7底部のガス排気部を通して効率よく外部に排出することが困難になる虞がある。

【0024】
前記シランガスは、前記真空容器1内に5~30sccmの流量で供給することが好ましい。

【0025】
以上説明した本発明は、真空容器と、この真空容器内に配置され、被成膜部材を保持する第1電極と、前記真空容器内に前記第1電極と対向して配置され、その第1電極との対抗面に複数のガス排気部を有する第2電極と、前記真空容器の側壁に形成されたガス排気穴と、前記第2電極に接続された高周波電源と、原料ガス供給手段とを具備した成膜装置を用いて前記第1電極に保持された被成膜部材にアモルファスシリコン薄膜を成膜するにあたり、前記第1電極に被成膜部材を保持する工程と、前記第1電極を240~260℃の高温に加熱し、前記第2電極をこの第1電極より低い温度に維持する工程と、前記真空容器内にシランガスを前記原料ガス供給手段により供給し、前記第2電極のガス排気部および前記真空容器のガス排気穴を通して前記真空容器内のガスを排気すると共に、前記高周波電源から高周波電力を前記第2電極に印加して前記第1、第2の電極間にシランガス放電プラズマを発生させることにより前記被成膜部材にアモルファスシリコン薄膜を成膜する工程とを具備する。

【0026】
このような本発明方法によれば、前記第1電極を240~260℃の高温に加熱し、前記第2電極をこの第1電極より低い温度に維持することにより、これら電極間に発生させたシランガス放電プラズマ中のクラスタに対して前記第1、第2の電極間の温度勾配による低温側の第2電極に移動させる熱的力を付与する。つまり、シランガス放電プラズマ中のクラスタの低温側の第2電極への移動を促進する力が働く。このとき、前記第2電極には前記第1電極と対向する面に複数のガス排気部が形成されているため、この第2電極に到達した前記クラスタは前記ガス排気部を通して効率よく、かつ円滑に外部に排出される。その結果、プラズマ中のクラスタ量を激減できるため、例えば赤外線吸収法で評価した(SiH2結合/SiH結合)の赤外線吸収強度比が小さく、光電変換素子を作製して評価した電流-電圧特性における曲線因子が大きく、さらに光劣化が非常に少ない等の優れた膜質特性を有するアモルファスシリコン薄膜を被成膜部材に成膜することができる。

【0027】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を前述した図1、図2に示すアモルファスシリコン薄膜の成膜装置を参照して詳細に説明する。

【0028】
(実施例1~4)まず、真空容器1内の第1電極5上に被成膜部材である(100)面を持つ抵抗が0.025~0.05のn+型単結晶シリコン基板19を載置した。つづいて、内蔵した図示しないヒータにより第1電極5を250℃に温度に加熱し、かつこの第1電極5と対向して配置された第2電極7を室温(20℃)に保持した。このとき、前記第1、第2の電極5,7として直径120mmのものを用い、かつそれら電極5,7間の距離を20mmに設定した。

【0029】
次いで、図示しない排気装置を駆動して前記真空容器1内のガスを前記第2電極7底部の複数のガス排気孔8および排気管9と、4つの排気筒体15および排気管17、大口径排気管18とを通して排気し、この排気を続行しながら、原料ガスである100%のシラン(SiH4)を原料ガス供給管14から原料ガス供給リング13の複数のガス噴出口を通して前記真空容器1内に5sccm、10sccm、15sccmおよび20sccmの条件でそれぞれ供給して9.3Paの真空度に維持した。つづいて、前記真空容器1内の真空度が安定した後、高周波電源10から周波数28MHz、電力約10Wの高周波を容量12を通して前記第2電極7に印加し、前記第1、第2の電極5、7間にシランガス放電プラズマを発生させることにより前記第1電極5に保持した単結晶シリコン基板19に厚さ0.8μmのアモルファスシリコン薄膜を成膜した。

【0030】
(比較例1)側壁に例えば4つの排気口を有する真空容器内に第1、第2の平板電極を20mmの間隔をあけて平行に配置し、下部側の第1電極に実施例1と同様なn+型単結晶シリコン基板を載置し、第1電極を250℃に加熱し、第2電極を室温に維持し、前記4つの排気口のみを通して前記真空容器内のガスを排気し、前記真空容器内にシランガスを原料ガス供給管を通して20sccmの流量で供給した以外、実施例1と同様な方法により前記シリコン基板表面にアモルファスシリコン薄膜を成膜した。

【0031】
実施例1~4および比較例1のアモルファスシリコン薄膜について、赤外線吸収法により(SiH2結合/SiH結合)の赤外線吸収強度比(Rα)を測定した。その結果を図3に示す。

【0032】
この図3から明らかなように実施例1~4のアモルファスシリコン薄膜は、Rαが0.057~0.81と比較例1のアモルファスシリコン薄膜に比べて小さい値を示すことがわかる。

【0033】
また、実施例4および比較例1で得られたn+型単結晶シリコン基板のアモルファスシリコン薄膜上に厚さ5nmのNi電極薄膜を形成して光電変換素子を組み立て、AM1.5、100mW/cm2の光を太陽電池に入射して単結晶シリコン基板とNi電極薄膜管に流れる電流、電圧から図4に示す電流-電圧特性を求めた。この電流-電圧特性での最大出力点電圧(maximum out-put power voltage)Vmax、最大出力点電流(maximum out-put power current)Imax、開放電圧(open circuit voltage)Vocおよび短絡電流(short circuit current)IScを求め、これらVmax、Imax、VocおよびIScを下記式に代入することより実施例4および比較例1の曲線因子(FF)を調べた。

【0034】
その結果、比較例1の光電変換素子ではFFが0.51であったのに対し、実施例4の光電変換素子ではFFが0.57と高い値を示した。なお、FF=0.48はnip太陽電池の発電効率9.3%に相当する。

【0035】
さらに、実施例4および比較例1で得られたn+型単結晶シリコン基板のアモルファスシリコン薄膜上に厚さ5nmのNi電極薄膜を形成して光電変換素子を組み立て、単結晶シリコン基板を60℃に加熱した状態で、240mW/cm2の強度の光に曝してFFの変化を調べた。その結果を図5に示す。

【0036】
図5から明らかなように比較例1の光電変換素子では7時間の光照射でのFFの低下が大きいの対し、実施例4の光電変換素子では7時間、15時間の光照射でのFFの低下が小さく、光劣化が非常の少ないことがわかる。

【0037】
なお、前述した実施例4でのシラン流量20sccmにおいて排気条件等を最適化することにより(SiH2結合/SiH結合)の赤外線吸収強度比(Rα)が0.02とさらに低い値のアモルファスシリコン薄膜を成膜することができた。

【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によればシラン放電プラズマ中のクラスタ量を激減させることにより優れた膜質を有し、太陽電池、液晶表示装置の薄膜トランジスタ等に有用なアモルファスシリコン薄膜の成膜方法を提供することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4