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明細書 :単色矩形波格子を用いる形状計測方法及び形状計測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3500430号 (P3500430)
公開番号 特開2003-121124 (P2003-121124A)
登録日 平成15年12月12日(2003.12.12)
発行日 平成16年2月23日(2004.2.23)
公開日 平成15年4月23日(2003.4.23)
発明の名称または考案の名称 単色矩形波格子を用いる形状計測方法及び形状計測装置
国際特許分類 G01B 11/25      
FI G01B 11/24 E
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2001-315178 (P2001-315178)
出願日 平成13年10月12日(2001.10.12)
審査請求日 平成13年10月12日(2001.10.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】396019376
【氏名又は名称】和歌山大学長
発明者または考案者 【氏名】森本 吉春
【氏名】藤垣 元治
【氏名】米山 聡
【氏名】岩井 一能
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】岡田 卓弥
参考文献・文献 特開2001-4338(JP,A)
特開2002-90126(JP,A)
特開2003-14426(JP,A)
調査した分野 G01B 11/00 - 11/30
特許請求の範囲 【請求項1】
物体の高さ分布を得る形状測定方法において、
各々の白黒比が異なり、互いのピッチ比が、mとnを3以上の互いに素である整数として、m:nである2つの異なる矩形波成分を合成した単色矩形波格子を物体に投影するステップと、
この単色矩形波格子全体の周期の1/(m×n)ずつずらしてm×n枚の画像を撮影するステップと、
前記m×n枚の画像のうちm枚おきに抜き出したn枚の画像から周期がm/(m×n)の矩形波成分に関する位相分布を求め、n枚おきに抜き出したm枚の画像から周期がm/(m×n)の矩形波成分に関する位相分布を求めるステップと、
前記双方の矩形波成分に関する位相分布から前記物体の高さ分布に対応する連続化された位相分布を得るステップとを含むことを特徴とする形状測定方法。

【請求項2】
請求項1に記載の形状測定方法において、前記画像を、撮影時間中の光の強度の積分値を輝度として撮影した画像とし、各々の矩形波成分に関する位相分布を得るステップにおいて、積分型位相シフト法を用いることを特徴とする形状測定方法。

【請求項3】
物体の高さ分布を得る形状測定装置において、
各々の白黒比が異なり、互いのピッチ比が、mとnを3以上の互いに素である整数として、m:nである2つの異なる矩形波成分を合成した単色矩形波格子と、前記単色矩形波格子を物体に投影する投影手段と、
前記単色矩形波格子を移動する格子移動手段と、
前記物体を撮影する撮影手段とを具え、
前記格子移動手段を、前記撮影手段の撮影周期において、前記単色矩形波格子をこの単色矩形波格子全体の周期の1/(m×n)だけ移動するように構成し、
前記撮影手段が前記格子移動手段によって前記単色矩形波格子を移動しながら前記撮影手段によって連続してm×n枚の画像を撮影し、該装置が、
前記m×n枚の画像のうちm枚おきに抜き出したn枚の画像から周期がm/(m×n)の矩形波成分に関する位相分布を求め、n枚おきに抜き出したm枚の画像から周期がm/(m×n)の矩形波成分に関する位相分布を求める手段と、
前記双方の矩形波成分に関する位相分布から前記物体の高さ分布に対応する連続化された位相分布を得る手段とをさらに具えることを特徴とする形状測定装置。

【請求項4】
請求項3に記載の形状測定装置において、前記撮影手段が、撮影時間中の光の強度の積分値を輝度として撮影し、前記矩形波成分の位相分布を求める手段が、積分型位相シフト法を用いて位相分布を求めることを特徴とする形状測定装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計測装置、形状計測、監視装置の分野に関係し、特に、非接触で物体の等高線の位相分布を得る形状計測方法に関する。本発明はさらにこのような方法を行う形状計測装置にも関する。

【0002】
【従来の技術】物体の形状を非接触で計測する方法としては、物体に投影された格子のゆがみを解析する方法がよく用いられている。物体に等ピッチの格子を投影し、投影方向とは異なった方向から撮影すると、前記物体の形状に応じてゆがんだ格子画像が得られる。既知であるモアレトポグラフィの手法を用いれば、このゆがんだ格子画像から簡単な画像処理によって前記物体の等高線画像を得ることができる。この等高線の位相値は前記物体の高さを表す値であるため、等高線の位相分布をリアルタイムで求めることにより、リアルタイム形状計測を実現することができる。

【0003】
本願人は、特願平11-179950号明細書において、明暗比1:1の矩形波状の格子を連続的に位相シフトしながら撮影した画像から位相分布を求めることができる積分型位相シフト法を開示している。投影格子に矩形波を用いることにより、物体の反射率の影響や、投影・撮影装置における輝度変換の非線形性の影響を受けにくくなる。また、連続的に位相シフトするため、撮影するたびに格子の移動を停止させる従来の方法と比較して、位相シフト機構とその制御が単純で、高速化も簡単に行うことができる。この方法によれば、明暗比が1:1の矩形波状格子を用い、過去の4フレームの画像から、各フレーム時間ごとに物体の高さ分布を表す位相差分布を表示することができる。

【0004】
さらに本願人は、特願2000-279457号明細書において、カラー矩形波格子を用いてリアルタイムに位相解析を行う方法を開示している。この方法によれば、ピッチ及び色が異なる2種類の格子を用い、連続的に位相シフトを行うことにより、格子を撮影するCCDカメラの各フレーム時間ごとに物体の高さ分布を表す位相差分布を表示することができる。

【0005】
また、本願人は、特願2001-195032号明細書において、干渉縞の2成分分離型位相シフト手法を開示している。この手法によれば、2種類のピッチが異なる正弦波状の格子を合成し、位相シフトを行うことにより、各格子の位相分布を求めることができる。

【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特願2000-279457号明細書に記載の方法においては、2種類の矩形波の色分離を行うための特殊なフィルタとCCDカメラが必要になるという欠点があった。また、完全に色分離を行うのが困難であるという欠点があった。

【0007】
上記特願2001-195032号明細書に記載の方法においては、フィルムで格子を作成する場合、精度の良い正弦波格子を作ることは困難であるという欠点があった。

【0008】
上述したことを鑑み、本発明は、従来の方法における欠点を解消した形状測定方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、このような方法を実行する装置を提供することも目的とする。

【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載の第1発明による形状測定方法は、各々の白黒比が異なり、互いのピッチ比が、mとnを3以上の互いに素である整数として、m:nである2つの異なる矩形波成分を合成した単色矩形波格子を物体に投影するステップと、この単色矩形波格子全体の周期の1/(m×n)ずつずらしてm×n枚の画像を撮影するステップと、前記m×n枚の画像のうちm枚おきに抜き出したn枚の画像から周期がm/(m×n)の矩形波成分に関する位相分布を求め、n枚おきに抜き出したm枚の画像から周期がm/(m×n)の矩形波成分に関する位相分布を求めるステップと、前記双方の矩形波成分に関する位相分布から前記物体の高さ分布に対応する連続化された位相分布を得るステップとを含むことを特徴とする。

【0010】
本発明の請求項2に記載の第2発明による形状測定方法は、前記第1発明の形状測定方法において、前記画像を、撮影時間中の光の強度の積分値を輝度として撮影した画像とし、各々の矩形波成分に関する位相分布を得るステップにおいて、積分型位相シフト法を用いることを特徴とする。

【0011】
本発明の請求項3に記載の第3発明による形状測定装置は、各々の白黒比が異なり、互いのピッチ比が、mとnを3以上の互いに素である整数として、m:nである2つの異なる矩形波成分を合成した単色矩形波格子と、前記単色矩形波格子を物体に投影する投影手段と、前記単色矩形波格子を移動する格子移動手段と、前記物体を撮影する撮影手段とを具え、前記格子移動手段を、前記撮影手段の撮影周期において、前記単色矩形波格子をこの単色矩形波格子全体の周期の1/(m×n)だけ移動するように構成し、前記撮影手段が前記格子移動手段によって前記単色矩形波格子を移動しながら前記撮影手段によって連続してm×n枚の画像を撮影し、該装置が、前記m×n枚の画像のうちm枚おきに抜き出したn枚の画像から周期がm/(m×n)の矩形波成分に関する位相分布を求め、n枚おきに抜き出したm枚の画像から周期がm/(m×n)の矩形波成分に関する位相分布を求める手段と、前記双方の矩形波成分に関する位相分布から前記物体の高さ分布に対応する連続化された位相分布を得る手段とをさらに具えることを特徴とする。

【0012】
本発明の請求項4に記載の第4発明による形状測定装置は、前記第3発明による形状測定装置において、前記撮影手段が、撮影時間中の光の強度の積分値を輝度として撮影し、前記矩形波成分の位相分布を求める手段が、積分型位相シフト法を用いて位相分布を求めることを特徴とする。

【0013】
【発明の効果】第1発明の方法及び第3発明の装置によれば、従来の方法及び装置より高分解能、または高さ方向に広範囲に形状計測を行うことが可能となる。従来(上記で引用した特願2000-279457号明細書)の方法ではカラー格子を用いていたが、本発明による方法及び装置では単色格子を用いているため、通常のCCDカメラで解析することができる。また、色分離を行う必要がないため、特殊な手段や装置を必要とせず、位相接続を行うことができるため、従来の方法及び装置より高分解能に形状計測を行うことが可能となるといった利点がある。過去に撮影されたm×n枚の画像から各矩形波成分の位相値をそれぞれ求めることができるため、1フレーム撮影毎に結果が得られるといった利点もある。

【0014】
第2発明の方法及び第4発明の装置は、CCDカメラのような撮影時間中の光の強度の積分値を輝度として撮影する撮影装置を想定しており、積分型位相シフト法を用いているため、高速度カメラへの適用が可能となる。

【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明による形状計測方法を行う装置の構成の一例を示す線図である。測定対象である物体1に、格子投影プロジェクタ2によって格子を投影し、物体1に投影された格子をCCDカメラ3によって撮影する。格子投影プロジェクタ2は、単色矩形波格子4と、格子移動機構5と、光源6と、レンズ7を含む。光源6から放射された光は、格子移動機構5によって移動される単色矩形波格子4を通過し、レンズ7によって物体1の表面に合焦される。このような構成によって撮影された画像を、例えば、CCDカメラ3に接続されたコンピュータのような解析手段(図示せず)によって、後述するような積分型位相シフト方法や位相接続方法によって解析し、物体1の高さ分布を得る。

【0016】
図2は、図1に示す単色矩形波格子4の一例を示す図である。図2a及び2bは、それぞれ白黒比1:1、1:2の矩形波格子成分を示す。これら白黒比1:1及び1:2の格子成分間のピッチの比は、4:3となっている。図2cは、これら2種類の矩形波格子成分を組み合わせた単色矩形波格子を示し、この単色矩形波格子を本発明による形状計測方法において用いる。

【0017】
本発明による形状計測方法の一実施形態では、図2cに示すような単色矩形波格子4を、格子移動機構5によって、CCDカメラ3のフレームレート(通常1/30秒)毎に、1/12周期変化するように等速で連続的にシフトさせる。このようにして撮影された連続する12枚の画像から、積分型位相シフト法を用いて各々の矩形波成分に関する位相分布画像を求める。以下に位相分布画像の求め方を示す。

【0018】
図3は、CCDカメラのある1画素における投影格子の光の強度変化を示す図である。図3a及び3bは、それぞれ白黒比1:1、1:2の格子成分、すなわち、図2a及び2bに示すような格子に関する強度変化を示す。ここでIは1:1格子成分の強度,Iは1:2格子成分の強度を表している。図3は、合成された矩形波、すなわち図2cに示すような本発明による形状測定方法に用いる単色矩形波格子に関する強度変化Iを示す。このとき背景の光の強度Ibacも考慮してIを時間tの関数として表せば、以下の式(1)のようになる。
(t)=I(t)+I(t)+Iback(t) (1)
CCDカメラは、1フレームの撮影時間中の光の強度の積分値を輝度として撮影する。したがって、この合成矩形波格子を1フレームで1/12周期づつ変化するように連続的に位相シフトした時にCCDカメラで得られる輝度Icnは以下の式(2)のように表される。
【数1】
JP0003500430B2_000002t.gifここで、nは位相シフト回数を、Tはカメラの1フレームの撮影時間を表している。

【0019】
図4は、図2cの単色矩形波格子を1/12ピッチずつ連続的に等速で位相シフトさせながら撮影すると得られる12枚の画像である。この図の横方向は位置を表している。撮影された格子の輝度分布は、例として1フレーム目の画像に関して、その上に示すような形となる。

【0020】
図5は、図2のそれぞれの格子を1/12周期毎に等速で位相シフトして撮影された際の光の強度の積分値の変化を示している。図中の点線は、図4に示した位置に対する輝度変化と同じ値を示している。これは実際には撮影できる値ではないが、説明を容易にするため便宜上示している。CCDカメラで撮影される輝度は、tがTの整数倍となる時刻でのみ得られ、この時刻での点線上の値となる。(a)及び(b)における点線は、(c)の点線で表した便宜上の輝度変化の1:1格子成分と1:2格子成分をそれぞれ表している。そのため、(a)及び(b)においても、これらの点線上でtがTの整数倍の位置に各成分は現れることになる。

【0021】
ところで、白黒比1:1の矩形波の位相は、積分型位相シフト法を用いて、連続する4フレームの輝度値から計算することができる。同じく白黒比1:2の矩形波の位相は、連続する3フレームの輝度値から計算することができる。この位相値の求め方は、1:1の矩形波については上記で引用した特願平11-179950に、1:2の矩形波については特願2000-279457に記載されているため、詳しい説明は省略する。

【0022】
図2に示すような格子に関しては、12枚の画像を撮影し、1:1の矩形波の位相は3枚おきに抜き出した4枚の画像から、1:2の矩形波の位相は4枚おきに抜き出した3枚の画像からそれぞれ求めることができる。これは、1:1の矩形波について説明すると、図5の(a)の黒三角印が、3枚おきに抜き出した4点の輝度値である。3枚おきに抜き出すと、図5の(b)の○印に示すように1:2の矩形波の積分値が一定となる。そのため、図5の(c)に示す黒四角印の4点の輝度変化は、黒三角印の輝度変化と同一となる。よって、積分型位相シフト法を用いることにより、1:1の矩形波成分の位相値を得ることができる。同様に4枚おきに抜き出すことによって、1:1の矩形波の影響は受けないものとして1:2の矩形波成分の位相値を得ることができる。この解析手法は過去12枚の画像を用いているので、新たに画像が撮影される毎に一番古い1枚を捨て、新しい1枚を加えることによって同様に位相解析を行うことができる。このようにして1フレーム毎に位相解析結果を得ることができる。

【0023】
2つの異なったピッチの格子を用いる位相接続方法について説明する。格子の位相値は、輝度変化の1周期ごとに2πずつ増加していく。しかし、上述したような位相解析により得られる位相値(および位相差)は、本来の位相値を2πで割ったあまりの値となる。そのために、場所に対する位相値の変化は、0~2πの繰り返しとなり、不連続となる。位相接続(位相の連続化)とは、位相解析によって得られた0~2πの繰り返しの位相値に2nπ(nは整数)を加えることによって、連続的な位相値を求めることである。位相接続を行う方法のひとつとして、複数のピッチの格子を用いる方法がよく用いられている。本発明による形状計測方法では、ピッチの異なる2種類の格子を合成した単色矩形波格子を物体上に投影し、上述したような位相解析手法を用いてそれぞれのピッチの位相値を求め、それらの値から連続化された位相分布画像を実時間で求めている。

【0024】
図6は、1:1の矩形波の位相分布φと、1:2の矩形波の位相分布φと、1:1の矩形波の連続化後の位相分布φとを示す。0≦φ<8πの範囲では、以下の式(3)によってφを求めることができる。
φ=4(φ-φ) (φ≧φの場合)
φ=4(φ-φ+2π) (φ<φの場合) (3)

【0025】
図4の画像を用いて、本発明による形状計測方法における単色矩形波格子による積分型位相シフト法を用いた位相解析アルゴリズムで位相接続が実行できることを確認する。図4の画像から、上述したように、1:1の矩形波及び1:2の矩形波に関してそれぞれ4枚及び3枚ごとに抜き出して積分型位相シフト法により位相解析を行った結果が図7a及び7bである。この2種類の位相分布画像より、上記で説明したような位相接続を行った結果が図7cである。

【0026】
図8は、本発明による形状測定方法により、実際の物体に単色矩形波格子を投影し、位相接続を行った結果を示す図である。図8aは、物体に投影した単色矩形波格子をCCDカメラで撮影したものである。連続的に位相シフトした12枚の画像から1:1の矩形波成分の位相分布を計算した画像を図8bに、1:2の矩形波成分の位相分布画像を図8cに示す。また、あらかじめ同じ方法で求めておいた基準板(平板)の位相分布をそれぞれ図8d及び8eに示す。図8dと8b、図8eと8cの画像から求めた位相差分布画像を、それぞれ図8f及び8gに示す。これらの図から、物体の高さ分布画像が得られることが分かる。ただしこれらの図の場合は位相接続を行っていないため、高さ分布を表す位相差分布画像は0~2πの繰り返しとなっている。そこでこれら2つの位相差分布画像より、上述した方法により位相接続を行った結果を図8hに示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図6】
2
【図7】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図8】
7