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明細書 :単結晶薄膜の形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3007971号 (P3007971)
登録日 平成11年12月3日(1999.12.3)
発行日 平成12年2月14日(2000.2.14)
発明の名称または考案の名称 単結晶薄膜の形成方法
国際特許分類 C30B 29/40      
FI C30B 29/40 502J
請求項の数または発明の数 16
全頁数 8
出願番号 特願平11-052376 (P1999-052376)
出願日 平成11年3月1日(1999.3.1)
審査請求日 平成11年3月1日(1999.3.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012327
【氏名又は名称】東京大学長
発明者または考案者 【氏名】西永 頌
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
審査官 【審査官】五十棲 毅
参考文献・文献 特開 平1-161822(JP,A)
特公 平6-105797(JP,B2)
Y.Matsunaga et al.,”Microchannel epitaxy of GaAs on Si(001)substrtates using SiO2 shadow masks,”Electrochemical Society Proceedings,Vol.97-21,pp.184-188
調査した分野 C30B 1/00 - 35/00
要約 【課題】 気相成長法を用いたマイクロチャネルエピタキシー技術によって、非晶質膜上に単結晶薄膜を形成する新たな方法を提供する。
【解決手段】 単結晶基板1上に非晶質薄膜2を形成する。次いで、エッチングによって非晶質薄膜2に線状の開口部3を形成し、単結晶基板1の表面を露出させる。次いで、減圧下において、分子ビーム6-2を単結晶基板1の表面1Aに対して40°以下の入射角度で開口部3に入射させ、開口部3の前記露出した単結晶基板表面上に単結晶薄膜4を選択的にエピタキシャル成長させる。その後、縦方向単結晶薄膜8を成長させるとともに、非晶質薄膜2上において横方向に成長してなる横方向単結晶薄膜9を形成する。
特許請求の範囲 【請求項1】
単結晶基板上に非晶質薄膜を形成するとともに、前記非晶質薄膜に開口部を形成して前記単結晶基板表面の一部を露出させ、減圧下において原子ビーム又は分子ビームを前記単結晶基板表面に対して40°以下の入射角度で入射させ、前記露出した単結晶基板表面上に単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させることを特徴とする、単結晶薄膜の形成方法。

【請求項2】
前記原子ビーム又は分子ビームの前記単結晶基板表面への入射角度が25°以下であることを特徴とする、請求項1に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項3】
周期律表第V族の原子ビーム又は周期律表第V族の元素を含んでなる分子ビームを、前記単結晶基板の表面に対して40°以下の入射角度で入射させ、周期律表第III 族の原子ビーム又は周期律表第III 族の元素を含んでなる分子ビームを、前記単結晶基板の表面に対して任意の入射角度で入射させることにより、前記露出した単結晶基板表面上にIII —V族化合物半導体からなる単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させることを特徴とする、請求項1に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項4】
前記周期律表第V族の原子ビーム又は前記周期律表第V族の元素を含んでなる分子ビームの前記単結晶基板表面への入射角度が、25°以下であることを特徴とする、請求項3に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項5】
周期律表第III 族の原子ビーム又は周期律表第III 族の元素を含んでなる分子ビームを、前記単結晶基板の表面に対して40°以下の入射角度で入射させ、周期律表第V族の原子ビーム又は周期律表第V族の元素を含んでなる分子ビームを、前記単結晶基板の表面に対して任意の入射角度で入射させることにより、前記露出した単結晶基板表面上にIII —V族化合物半導体からなる単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させることを特徴とする、請求項1に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項6】
前記周期律表第III 族の原子ビーム又は前記周期律表第III 族の元素を含んでなる分子ビームの前記単結晶基板表面への入射角度が、25°以下であることを特徴とする、請求項5に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項7】
周期律表第VI族の原子ビーム、又は周期律表第VI族の元素を含んでなる分子ビームを、前記単結晶基板表面に対して40°以下の入射角度で入射させ、周期律表第II族の原子ビーム又は周期律表第II族の元素を含んでなる分子ビームを、前記単結晶基板表面に対して任意の入射角度で入射させることにより、前記露出した単結晶基板上にII—VI族化合物半導体からなる単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させることを特徴とする、請求項1に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項8】
前記周期律表第VI族の原子ビーム又は前記周期律表第VI族の元素を含んでなる分子ビームの前記単結晶基板表面への入射角度が、25°以下であることを特徴とする、請求項7に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項9】
周期律表第II族の原子ビーム、又は周期律表第II族の元素を含んでなる分子ビームを、前記単結晶基板表面に対して40°以下の入射角度で入射させ、周期律表第VI族の原子ビーム又は周期律表第VI族の元素を含んでなる分子ビームを、前記単結晶基板表面に対して任意の入射角度で入射させることにより、前記露出した単結晶基板上にII—VI族化合物半導体からなる単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させることを特徴とする、請求項1に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項10】
前記周期律表第II族の原子ビーム、又は前記周期律表第II族の元素を含んでなる分子ビームの前記単結晶基板表面への入射角度が、25°以下であることを特徴とする、請求項9に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項11】
前記開口部は線状であって、その幅が0.001~10μmであることを特徴とする請求項1~10のいずれか一に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項12】
前記非晶質薄膜は、絶縁物又は高融点金属からなることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項13】
前記露出した単結晶基板表面上に選択的にエピタキシャル成長させて形成した単結晶薄膜を種として、前記非晶質薄膜上に単結晶薄膜を横方向にエピタキシャル成長させて形成することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項14】
前記非晶質薄膜上に形成された単結晶薄膜の転位密度が、104 個/cm2 以下であることを特徴とする、請求項13に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項15】
前記単結晶基板と前記単結晶薄膜との格子定数が異なることを特徴とする請求項14に記載の単結晶薄膜の形成方法。

【請求項16】
前記単結晶基板と前記単結晶薄膜との格子定数差が0.1~30%であることを特徴とする、請求項15に記載の単結晶薄膜の形成方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単結晶薄膜の形成方法に関し、さらに詳しくは、電子デバイス、光デバイス、集積回路、及び光・電子集積デバイスなどに好適に用いることのできる単結晶薄膜の形成方法に関する。

【0002】
【従来の技術】単結晶基板上に単結晶薄膜を形成する技術は、集積回路や電子素子、及び光素子などに現在多く用いられている。この単結晶薄膜は、単結晶基板上に分子線エピタキシー法などによってエピタキシャル成長させることによって形成する。しかしながら、単結晶基板と単結晶薄膜との格子定数差や単結晶基板自体が有する転位に基づいて、単結晶基板上にエピタキシャル成長させた単結晶薄膜中には多数の転位が取り込まれる場合があった。このような転位は、素子寿命の劣化や素子特性の不均一性の原因となるため、できるだけ少ないことが好ましい。

【0003】
本発明者は、かかる問題を解決すべく、特公平1—161822号公報や特公平6-105797号公報において、いわゆるマイクロチャネルエピタキシー技術を開示している。この技術は、単結晶基板上に絶縁性の非晶質薄膜を堆積するとともに、この非晶質薄膜に線状の開口部を形成し、この開口部中に単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させるものである。そして、形成された単結晶薄膜によって開口部が埋め込まれた後は、この部分に形成された単結晶薄膜を種として横方向にエピタキシャル成長させ、前記非晶質薄膜上に単結晶薄膜を形成するものである。単結晶基板に起因して発生した転位は横方向には伝搬しないため、前記非晶質薄膜上には極めて転位の少ない単結晶薄膜を形成することができる。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方法は液相エピタキシャル法を用いるために、大型の基板上に均一な薄膜を成長させることは困難であった。したがって、実際の半導体工業の現場で用いることができ、上述したような集積回路などの実用に供することができる単結晶薄膜の形成方法としては不十分であった。このため、均一性及び制御性に優れた分子線エピタキシャル法や有機金属気相エピタキシー、ハライド原料エピタキシーなどの気相成長によって、マイクロチャネルエピタキシーを可能にする技術の出現が望まれていた。

【0005】
本発明は、気相成長法を用いたマイクロチャネルエピタキシー技術によって、単結晶基板上に単結晶薄膜を形成する新たな方法を提供することを目的とする。

【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、単結晶基板上に非晶質薄膜を形成するとともに、前記非晶質薄膜に開口部を形成して前記単結晶基板表面の一部を露出させ、減圧下において原子ビーム又は分子ビームを前記単結晶基板表面に対して40°以下の入射角度で入射させ、前記露出した単結晶基板表面上に単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させることを特徴とする、単結晶薄膜の形成方法である。

【0007】
本発明者は、気相成長法を用いたマイクロチャネルエピタキシーを可能にすべく鋭意検討した。その結果、減圧下において原子ビーム又は分子ビームの入射角度を単結晶基板表面に対してある一定の範囲内に設定することにより、単結晶薄膜を構成する原子が非晶質薄膜に形成した開口部のみに堆積、エピタキシャル成長し、非晶質薄膜上には形成されないことを見いだした。これにより、開口部内に形成された単結晶薄膜を種としてエピタキシャル成長を続けることにより、マイクロチャネルエピタキシーによって、転位の極めて少ない単結晶薄膜を非晶質薄膜上に形成することに成功したものである。

【0008】
図1は、本発明の単結晶薄膜の形成方法を説明するための概念図である。本発明の形成方法では、単結晶基板1上に酸化シリコンなどからなる非晶質薄膜2を形成する。次いで、非晶質薄膜2にエッチングなどによって幅Wを有する開口部3を形成し、単結晶基板1の一部を露出させる。開口部3は、紙面に垂直な方向において連続しており、単結晶基板1上において線状を呈している。そして、本発明にしたがって、減圧下において、例えば分子ビームを単結晶基板1の表面1Aに対して40°よりも小さい入射角度θで入射させる。すると、非晶質薄膜2に入射した分子ビーム6-1及び6-3は、この非晶質薄膜2上に堆積することなく矢印の方向に沿って反射される。一方、開口部3に入射した分子ビーム6-2の多くは、反射することなく単結晶基板1上に堆積してエピタキシャル成長する。したがって、開口部3においてのみ選択的にエピタキシャル成長が生じ、単結晶薄膜4を形成する。

【0009】
開口部3における選択的なエピタキシャル成長を継続させると、単結晶薄膜4は厚さを増し、図2に示すように非晶質薄膜2の膜厚より厚くなった種単結晶薄膜7を形成する。すると、図1の場合と同様に、非晶質薄膜2に入射する分子ビーム6-1及び6-3は、非晶質薄膜2上に堆積することなく反射される。一方、種単結晶薄膜7の上面7A及び側面7Bに入射した分子ビーム6-2の多く及び6-5のほとんどは反射されることなく、種単結晶薄膜7を種としてさらにエピタキシャル成長を続ける。したがって、エピタキシャル成長は単結晶基板1の表面1Aに対して垂直な方向のみでなく、平行な方向へも発生する。その結果、図3に示すように、垂直方向に成長してなる縦方向単結晶薄膜8と、非晶質薄膜2上において横方向に成長してなる横方向単結晶薄膜9とが形成される。

【0010】
このため、仮に単結晶基板1と単結晶薄膜4及び7との格子不整合や、単結晶基板1自体が本来的に有する転位によって、単結晶薄膜中に転位が発生したとしても、この転位は単結晶基板1の表面1Aにある角度を持って上方に伝搬するので、横方向に伝搬することはない。したがって、図3に示す縦方向単結晶薄膜8中には単結晶基板1に起因する転位が存在する場合が生じるが、非晶質薄膜2上に形成された横方向単結晶薄膜9中には単結晶基板1に起因する転位は存在しない。したがって、転位の極めて少ない単結晶薄膜を気相成長法を用いたマイクロチャネルエピタキシー技術によって形成することができる。

【0011】
以上説明したように、本発明によれば気相成長法を用いたマイクロチャネルエピタキシーによって極めて転位の少ない単結晶薄膜を形成することができる。したがって、半導体工業などの現場で実際に使用することができ、集積回路などの実用に供することのできる単結晶薄膜の形成方法を提供することができる。

【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。本発明の形成方法では、単結晶基板上に非晶質薄膜を形成するとともに、この非晶質薄膜に開口部を形成して、単結晶基板の表面の一部を露出させることが必要である。開口部の形状については特に限定されるものではない。しかしながら、開口部の形状は線状又は矩形状であることが好ましく、特には図1に示すように、線状であることが好ましい。これにより、図2に示すような種単結晶薄膜7を種として、図3に示すような横方向単結晶薄膜9を、非晶質薄膜2上に均一な成長速度で均一に形成することができる。図1に示すような開口部3においては、その幅Wを0.001~10μm、さらには0.005~10μm、特には0.005~1μmに設定することが好ましい。これによって、分子ビーム6-2を効率よく開口部3中に入射させることができ、非晶質薄膜2上における横方向単結晶薄膜9の種となる種単結晶薄膜7を効率よく形成することができる。また、開口部の形成方法についても特に限定されるものではなく、フォトリソグラフィや電子線リソグラフィ、及びエックス線リソグラフィなどの微細加工技術を用いて形成することができる。

【0013】
本発明で使用することのできる単結晶基板としては、特に限定されるものでない。選択的にエピタキシャル成長させる単結晶薄膜の種類に応じていかなる種類の単結晶基板をも使用することができる。例えば、シリコン(Si)単結晶基板、砒化ガリウム(GaAs)単結晶基板、セレン化亜鉛(ZnSe)単結晶基板、サファイア単結晶基板などを挙げることができる。

【0014】
また、非晶質薄膜を構成する材料についても特に限定されるものではない。本発明の方法によって形成された単結晶薄膜及び単結晶基板を含むアセンブリの用途に応じて、以下なる材料をも使用することができる。例えば、非晶質薄膜を酸化シリコン及び窒化シリコンなどの絶縁物で構成することにより、いわゆるSOI(Semiconductor on Insulator)構造のアセンブリを形成することができる。したがって、電界効果型トランジスタ、へテロバイポーラトランジスタ、集積回路などへ応用することができる。一方、タンタルなどの高融点金属で非晶質薄膜を構成することにより、金属を半導体中に埋め込んだ構造のアセンブリを形成することができる。したがって、超高速電子デバイスなどのへの応用が可能となる。

【0015】
本発明の形成方法は、減圧下において原子ビーム又は分子ビームを単結晶基板の表面に対して40°以下の入射角度で入射させることが必要である。また、前記入射角度の上限は30°であることが好ましく、さらには25°、特には20°であることが好ましい。これによって、開口部において露出した単結晶基板上に均一な成長速度で、均一な単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させることができる。

【0016】
入射角度の下限については、開口部中に単結晶薄膜をエピタキシャル成長することができれば、特に限定されない。しかしながら、例えば、図1に示すような線状の開口部3を有する非晶質薄膜2を単結晶基板1上に形成した場合においては、非晶質薄膜2の厚さdが一般に0.001~2μmであり、開口部3の幅Wが上述したように0.001~10μmである。したがって、開口部3中に分子ビーム6-2を入射させるためには、分子ビーム6-2の入射角度の下限を5°にすることが好ましく、さらには3°にすることが好ましい。

【0017】
また、原子ビーム又は分子ビームの区別は、単結晶薄膜の形成方法に依存して決定される。例えば、シリコン単結晶薄膜を形成する場合においては、超高真空分子線エピタキシャル成長装置を用い、シリコン原子ビームを単結晶基板上に照射して形成する。また、GaAs単結晶薄膜を形成する場合においては、分子線エピタキシー装置を用い、Ga原子ビームとAs2 又はAs4 分子ビームを単結晶基板上に照射して形成する。さらに、減圧下の具体的な真空度についても特に限定されるものではなく、上述したような単結晶薄膜の形成方法に応じて決定される。例えば、超高真空分子線エピタキシャル成長装置を用いる場合においては、10-11 ~10-7torr程度に減圧する。また、化学分子線エピタキシー装置を用いる場合は、10-9~10-3torr程度に減圧する。

【0018】
本発明の形成方法は、あらゆる種類の単結晶薄膜の形成に対して用いることができる。例えば、シリコン単結晶薄膜や、GaAs単結晶薄膜、GaN単結晶薄膜、Ga1-X AlX As単結晶薄膜などのIII -V族化合物半導体及び合金半導体、ZnSe単結晶薄膜、ZnS単結晶薄膜、CdTe単結晶薄膜などのII-VI族化合物半導体および合金半導体、YBCO(Y-Ba-Cu酸化物)などの酸化物単結晶薄膜の形成などに用いることができる。

【0019】
III -V族化合物半導体の形成は、例えば、分子線エピタキシー法又は減圧気相エピタキシー法によって行う。この場合、Ga、Al、及びInなどのIII 族原子ビームや、Ga(CH33 (TMG)、Al(C253 (TEAl)、及びIn(CH33 (TMIn)などのIII 族元素含有有機金属分子線、又はGaCl3 、AlCl3 、及びInCl3 などのIII 族元素含有ハライド分子線などのIII 族元素含有分子ビームと、As2 、P2 、及びSb4 などのV族分子ビームや、As(CH33 (TMAs)、As(C253 (TEAs)、及びP(CH33 (TMP)などのV族元素含有有機金属分子線、AsH3、PH3 、及びNH3 などのV族元素含有水素化物分子線、又はAsCl3 、PCl3 、及びSbCl3 などのV族元素含有ハライド分子線などのV族元素含有分子ビームとを、所定温度に加熱された単結晶基板上に照射し、互いの原子ビームあるいは分子ビームなどを反応させることによって形成する。

【0020】
この場合においては、本発明にしたがってIII 族元素含有分子ビーム及びV族元素含有分子ビームなどを、それぞれ単結晶基板の表面に対して40°以下の入射角度で入射させることによって、非晶質薄膜の開口部にIII -V族化合物半導体の単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させて形成することもできる。しかしながら、III -V族化合物半導体を形成する場合においては、V族分子ビームあるいはV族元素含有分子ビームの、単結晶基板の表面に対する入射角度を40°以下、好ましくは30°以下、さらに好ましくは25°以下、特に好ましくは20°以下にすることにより、III 族原子ビームあるいはIII 族元素含有分子ビームの入射角度を任意の値に設定しても、開口部中にIII -V族化合物半導体薄膜を形成することができる。この原因は、半導体薄膜を形成する際のV族分子線又はV族元素含有分子線が核形成を支配しているからである。

【0021】
同様に、II-VI族化合物半導体の形成は、例えば、分子線エピタキシー法又は減圧気相エピタキシー法によって行う。この場合、Zn、Cd、及びHgなどのII族原子ビームや、Zn(CH32 、Zn(C252 及びCd(CH32 などのII族元素含有有機金属分子線、又はZnCl2 、CdCl2 及びHgCl2 などのII族元素含有ハライド分子線などのII族元素含有分子ビームと、S、Se、及びTeなどのVI族原子ビームや、Te(CH32 、Te(C252 、及びSe(CH32 などのVI族元素含有有機金属分子線などのVI族元素含有分子ビームとを、所定温度に加熱された単結晶基板上に照射し、互いの原子ビームあるいは分子ビームなどを反応させることによって形成する。

【0022】
この場合においても、本発明にしたがってII族元素含有分子ビーム及びVI族元素含有分子ビームなどを、それぞれ単結晶基板の表面に対して40°以下の入射角度で入射させることによって、非晶質薄膜の開口部にII-VI族化合物半導体の単結晶薄膜を選択的にエピタキシャル成長させて形成することもできる。しかしながら、II-VI族化合物半導体を形成する場合においては、II族原子ビーム若しくはII族元素含有分子ビーム、又はVI族原子ビーム若しくはVI族元素含有分子ビームのいずれか一方を、単結晶基板の表面に対して40°以下、好ましくは30°以下、さらに好ましくは25°以下、特に好ましくは20°以下の入射角度で開口部中に入射させることにより、VI族元素含有分子ビームあるいはII族元素含有分子ビームなどの入射角度を任意の値に設定しても、開口部中にII-VI族化合物半導体薄膜を形成することができる。この原因は、II— VI 族化合物半導体薄膜を形成する際に、II族元素又はVI族元素の一方が核形成を律速するからである。

【0023】
上記のようにして形成したIII -V族化合物半導体あるいはII-VI族化合物半導体からなる単結晶薄膜の場合においても、エピタキシャル成長を継続することによって、これらを種として横方向のエピタキシャル成長が生じる。したがって、図3に示すように、非晶質薄膜2上にIII -V族化合物半導体などからなる横方向単結晶薄膜9を形成することができる。

【0024】
本発明の形成方法にしたがって、非晶質薄膜上に形成した横方向単結晶薄膜の転位密度は、104 個/cm2 以下であり、さらには102 個/cm2 以下である。単結晶基板と単結晶薄膜との格子定数差が0.1~30%と比較的大きい範囲にあっても、本発明の形成方法を実施することによって、上記低転位密度の単結晶薄膜を常に得ることができる。

【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例に則して具体的に説明する。
実施例1
直径50mm、厚さ0.5mmのシリコン単結晶基板上に、プラズマCVDにより、シリコン酸化膜を厚さ200nmに形成した。次いで、フォトリソグラフィにより図1に示すような幅1μmの線状の開口部を形成し、シリコン単結晶基板の表面を露出させた。次いで、シリコン単結晶基板を加熱して酸化膜を除去した後、温度を950℃に保ち、ガスソース分子線エピタキシー装置によってSiH4 分子ビームを、シリコン単結晶基板の表面に対し、入射角度20℃で入射させた。すると、前記開口部中に選択的なエピタキシャル成長が生じ、単結晶薄膜が形成された。かかる分子ビームの照射を継続させてエピタキシャル成長を続けたところ、単結晶薄膜の厚さがシリコン酸化膜の厚さよりも厚くなった時点で横方向のエピタキシャル成長が生じ、シリコン酸化膜上に単結晶薄膜が形成された。このシリコン酸化膜上に形成された単結晶薄膜の厚さは0.2μmであった。

【0026】
この単結晶薄膜を高速反射電子線回折法によって調べたところ、シリコン単結晶からなることが判明した。また、この単結晶薄膜に化学エッチングを実施したところ、エッチピットの発生は見られなかった。さらに、透過型電子顕微鏡によって転位密度を調べたところ102 個/cm2 以下であった。

【0027】
実施例2
超高真空分子線エピタキシャル成長装置によって、シリコン原子ビームを入射角度10°で、シリコン単結晶基板上に入射させた以外は、実施例1と同様にして実施した。シリコン酸化膜上に形成された単結晶薄膜の厚さは0.2μmであった。また、この単結晶薄膜を高速反射電子線回折によって調べたところ、シリコン単結晶からなることが判明した。さらに、この単結晶薄膜に化学エッチングを実施したところ、エッチピットの発生は見られなかった。また透過型電子顕微鏡によって転位密度を調べたところ102 個/cm2 以下であった。

【0028】
実施例3
シリコン酸化膜に代えて厚さ20nmのTa薄膜を形成した以外は、実施例1と同様にして実施した。Ta薄膜上に形成された単結晶薄膜の厚さは0.2μmであった。また、この単結晶薄膜を高速反射電子線回折法によって調べたところ、シリコン単結晶からなることが判明した。さらに、この単結晶薄膜に化学エッチングを実施したところ、エッチピットの発生は見られなかった。また透過型電子顕微鏡によって転位密度を調べたところ102 個/cm2 以下であった。

【0029】
実施例4
シリコン酸化膜に代えて厚さ20nmのTa薄膜を形成した以外は、実施例2と同様にして実施した。Ta薄膜上に形成された単結晶薄膜の厚さは0.2μmであった。また、この単結晶薄膜を高速反射電子線回折法によって調べたところ、シリコン単結晶からなることが判明した。さらに、この単結晶薄膜に化学エッチングを実施したところ、エッチピットの発生は見られなかった。また透過型電子顕微鏡によって転位密度を調べたところ102 個/cm2 以下であった。

【0030】
実施例5
直径50mm、厚さ0.5mmのGaAs単結晶基板上に、プラズマCVDによってシリコン酸化膜を厚さ200nmに形成した。次いで、実施例1と同様にして幅1μmの線状の開口部を形成した。次いで、この単結晶基板を分子線エピタキシー装置に入れ、GaAs単結晶基板を610℃に加熱するとともに、As4 分子ビーム及びGa原子ビームを、それぞれ入射角度20°及び40°で前記開口部に入射させた。すると、前記開口部中に選択的なエピタキシャル成長が生じ、単結晶薄膜が形成された。かかる分子線ビームの照射を継続させてエピタキシャル成長を続けたところ、単結晶薄膜の厚さがシリコン酸化膜の厚さよりも厚くなった時点で横方向のエピタキシャル成長が生じ、シリコン酸化膜上に単結晶薄膜が形成された。このシリコン酸化膜上に形成された単結晶薄膜の厚さは0.5μmであった。

【0031】
この単結晶薄膜を高速反射電子線回折によって調べたところ、GaAs単結晶からなることが判明した。また、この単結晶薄膜に化学エッチングを実施したところ、エッチピットの発生は見られなかった。さらに、透過型電子顕微鏡によって転位密度を調べたところ102 個/cm2 以下であった。

【0032】
実施例6
直径50mm、厚さ0.5mmのシリコン単結晶基板を用い、開口部内に単結晶薄膜を形成する以前に前記単結晶基板を1000℃に加熱して、基板表面の自然酸化膜を除去した以外は、実施例5と同様にして実施した。シリコン酸化膜上に形成された単結晶薄膜の厚さは0.5μmであった。また、この単結晶薄膜を高速反射電子線回折法によって調べたところ、GaAs単結晶からなることが判明した。さらに、この単結晶薄膜に化学エッチングを実施したところ、エッチピットの発生は見られなかった。また、透過型電子顕微鏡によって転位密度を調べたところ102 個/cm2 以下であった。

【0033】
実施例7
面積1cm2 、厚さ0.5mmのZnSe単結晶基板を用い、この基板上にプラズマCVDによって厚さ200nmのシリコン酸化膜を形成した。次いで、実施例1と同様にして幅1μmの線状の開口部を形成し、前記基板表面を露出させた。次いで、この単結晶基板を分子線エピタキシー装置に入れ、ZnSe単結晶基板を500℃に加熱するとともに、Se原子ビーム及びZn原子ビームを、それぞれ入射角度20°及び30°で前記開口部に入射させた。すると、前記開口部中に選択的なエピタキシャル成長が生じ、単結晶薄膜が形成された。かかる原子ビームの照射を継続させてエピタキシャル成長を続けたところ、単結晶薄膜の厚さがシリコン酸化膜の厚さよりも厚くなった時点で横方向のエピタキシャル成長が生じ、シリコン酸化膜上に単結晶薄膜が形成された。このシリコン酸化膜上に形成された単結晶薄膜の厚さは0.2μmであった。

【0034】
この単結晶薄膜を高速反射電子線回折法によって調べたところ、ZnSe単結晶からなることが判明した。また、この単結晶薄膜に化学エッチングを実施したところ、エッチピットの発生は見られなかった。さらに、透過型電子顕微鏡によって転位密度を調べたところ102 個/cm2 以下であった。
実施例8
面積1cm2 、厚さ0.5mmのSrTiO3 基板を用い、この基板上にプラズマCVDによって厚さ200nmのシリコン酸化膜を形成した。次いで、実施例1と同様にして幅1μmの線状の開口部を形成し、前記SrTiO3 基板の表面を露出させた。次いで、SrTiO3 基板を800℃に加熱した。その後、Y、Ba、Cuの原子ビームを、それぞれ入射角度20°で開口部に入射させるとともに、オゾンを含有した酸素分子ビームを入射角度30°で同じ開口部内に入射させた。すると、前記開口部中に選択的なエピタキシャル成長が生じ、単結晶薄膜が形成された。かかる原子ビーム及び分子ビームの照射を継続させてエピタキシャル成長を続けたところ、単結晶薄膜の厚さがシリコン酸化膜の厚さよりも厚くなった時点で横方向のエピタキシャル成長が生じ、シリコン酸化膜上に単結晶薄膜が形成された。このシリコン酸化膜上に形成された単結晶薄膜の厚さは0.2μmであった。

【0035】
この単結晶薄膜を高速反射電子線回折によって調べたところ、YBCO単結晶からなることが判明した。また、この単結晶薄膜に化学エッチングを実施したところ、エッチピットの発生は見られなかった。さらに、透過型電子顕微鏡によって転位密度を調べたところ10個/cm2 以下であった。

【0036】
以上、実施例から明らかなように、本発明の形成方法によれば、シリコン酸化膜あるいはTa薄膜などの非晶質薄膜上に、転位密度が102 個/cm2 以下程度の極めて転位の少ない単結晶薄膜を形成できることが分かる。

【0037】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変更や変形が可能である。

【0038】
【発明の効果】本発明の形成方法によれば、所定の開口部のみに単結晶薄膜を選択的に形成することが可能である。したがって、かかる部分に形成された単結晶薄膜を種とすることにより、気相成長法によりマイクロチャネルエピタキシーが可能となる。この結果、実際の半導体工業などにおいて使用することができ、集積回路や電子素子、及び光素子などの実用に供することのできる転位の少ない単結晶薄膜の形成方法を提供することができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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