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明細書 :プローブ及びその製造方法並びにプローブを有する顕微鏡及びテスタ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3527947号 (P3527947)
公開番号 特開2002-257507 (P2002-257507A)
登録日 平成16年3月5日(2004.3.5)
発行日 平成16年5月17日(2004.5.17)
公開日 平成14年9月11日(2002.9.11)
発明の名称または考案の名称 プローブ及びその製造方法並びにプローブを有する顕微鏡及びテスタ
国際特許分類 G01N 13/22      
G01R 33/09      
G12B 21/10      
FI G01N 13/22 B
G01R 33/06
G12B 1/00
請求項の数または発明の数 26
全頁数 9
出願番号 特願2001-058528 (P2001-058528)
出願日 平成13年3月2日(2001.3.2)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 2000年9月3日 (社)応用物理学会発行の「2000年(平成12年)秋季 第61回応用物理学会学術講演会 講演予稿集 第2分冊」に発表
審査請求日 平成13年3月2日(2001.3.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391016923
【氏名又は名称】北海道大学長
発明者または考案者 【氏名】武笠 幸一
【氏名】末岡 和久
【氏名】木村 道哉
【氏名】澤村 誠
【氏名】細井 浩貴
個別代理人の代理人 【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特開 平6-59004(JP,A)
特開 平4-282401(JP,A)
特開 平3-62546(JP,A)
特開 平10-19907(JP,A)
特開 平4-249703(JP,A)
特開 平11-23724(JP,A)
特開 平10-172116(JP,A)
特開2000-346786(JP,A)
特開2000-174358(JP,A)
調査した分野 G01N 13/22
G01R 33/09
G12B 21/10
特許請求の範囲 【請求項1】
基板と、
一端が基板に固定された可撓性のカンチレバーと、
そのカンチレバーの他端に配置された磁気抵抗素子とを具え、
前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、磁性体探針を接合することなく波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるように10nmと1μmの間としたことを特徴とするプローブ。

【請求項2】
前記磁気抵抗素子を、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子としたことを特徴とする請求項1記載のプローブ。

【請求項3】
前記磁気抵抗素子に電気的に接続した抵抗ブリッジ回路を更に具えることを特徴とする請求項1又は2記載のプローブ。

【請求項4】
前記磁気抵抗素子に接続した位置制御用の突起部材を更に具えることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のプローブ。

【請求項5】
前記突起部材をカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカとしたことを特徴とする請求項4記載のプローブ。

【請求項6】
前記磁気抵抗素子の個数を2個以上としたことを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載のプローブ。

【請求項7】
可撓性材料によって構成した層を、基板の一方の面に設けるステップと、
前記可撓性材料によって構成した層の上に磁性抵抗素子をリソグラフィによって形成するステップと、
前記基板の一部を除去して、一端が前記基板に固定されるとともに他端に前記磁性抵抗素子が配置されたカンチレバーを形成するステップとを具え、
前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、磁性体探針を接合することなく波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるように10nmと1μmの間としたことを特徴とするプローブの製造方法。

【請求項8】
前記磁気抵抗素子を、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子としたことを特徴とする請求項7記載のプローブ。

【請求項9】
前記磁気抵抗素子に電気的に接続した抵抗ブリッジ回路を前記カンチレバー上に形成するステップを更に具えることを特徴とする請求項7又は8記載のプローブの製造方法。

【請求項10】
前記磁気抵抗素子に位置制御用の突起部材を接続するステップを更に具えることを特徴とする請求項7から9のうちのいずれか1項に記載のプローブの製造方法。

【請求項11】
前記突起部材をカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカとすることを特徴とする請求項10記載のプローブの製造方法。

【請求項12】
前記磁気抵抗素子の個数を2個以上とすることを特徴とする請求項7から11のうちのいずれか1項に記載のプローブの製造方法。

【請求項13】
試料表面からの漏洩磁場を定量的に測定するプローブを具え、そのプローブが、
基板と、
一端が基板に固定された可撓性のカンチレバーと、
そのカンチレバーの他端に配置された磁気抵抗素子とを具え、
前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、磁性体探針を接合することなく波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるように10nmと1μmの間としたことを特徴とする顕微鏡。

【請求項14】
前記磁気抵抗素子を、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子としたことを特徴とする請求項13記載の顕微鏡。

【請求項15】
前記磁気抵抗素子に電気的に接続した抵抗ブリッジ回路を更に具えることを特徴とする請求項13又は14記載の顕微鏡。

【請求項16】
前記磁気抵抗素子に接続された位置制御用の突起部材を更に具えることを特徴とする請求項13から15のうちのいずれか1項に記載の顕微鏡。

【請求項17】
前記突起部材をカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカとしたことを特徴とする請求項16記載の顕微鏡。

【請求項18】
前記磁気抵抗素子の個数を2個以上としたことを特徴とする請求項13から17のうちのいずれか1項に記載の顕微鏡。

【請求項19】
前記磁気抵抗素子を、その厚さ方向が前記漏洩磁場の方向とほぼ一致するように配置したことを特徴とする請求項13から19のうちのいずれか1項に記載の顕微鏡。

【請求項20】
所定幅の配線から漏洩磁場分布を測定するプローブを具え、そのプローブが、
基板と、
一端が基板に固定された可撓性のカンチレバーと、
そのカンチレバーの他端に配置された磁気抵抗素子とを具え、
前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、磁性体探針を接合することなく波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるように10nmと1μmの間としたことを特徴とするテスタ。

【請求項21】
前記磁気抵抗素子を、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子としたことを特徴とする請求項20記載のテスタ。

【請求項22】
前記磁気抵抗素子に電気的に接続した抵抗ブリッジ回路を更に具えることを特徴とする請求項20又は21記載のテスタ。

【請求項23】
前記磁気抵抗素子に接続された位置制御用の突起部材を更に具えることを特徴とする請求項20から22のうちのいずれか1項に記載のテスタ。

【請求項24】
前記突起部材をカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカとしたことを特徴とする請求項23記載のテスタ。

【請求項25】
前記磁気抵抗素子の個数を2個以上としたことを特徴とする請求項20から24のうちのいずれか1項に記載のテスタ。

【請求項26】
前記磁気抵抗素子を、その厚さ方向が前記漏洩磁場の方向とほぼ一致するように配置したことを特徴とする請求項20から25のうちのいずれか1項に記載のテスタ。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗素子付きプローブ及びその製造方法並びにプローブを有する顕微鏡及びIC回路に関するものである。

【0002】
【従来の技術】磁性体表面の磁気構造を高い空間分解能で測定するプローブ顕微鏡技術として、例えば、磁気力顕微鏡(MFM)、近接場磁気光学効果顕微鏡(SNMON)及び磁気抵抗効果顕微鏡(SMRM)がある。

【0003】
MFMでは、試料からの漏洩磁場の勾配を測定するので、測定値から漏洩磁場分布及び磁気構造を定量的に求めるのが困難である。SNMONでは、近接場の磁気光学効果を利用しているが、近接場領域における磁気光学効果についての物理的な原因が明確になっていないことや、近接場における偏光制御が困難であることから、測定データの定量的解釈が困難となっている。

【0004】
SMRMでは、磁気抵抗素子を用いることによって、試料からの漏洩磁場を直接測定しており、MFM及びSNMONに比べて定量的な測定が容易になる。SMRMについては、IEEE. Trans. Mag. 33(1) 891 (1997)において基礎的な実験が報告されており、このようなSMRMは、例えば特開平6-59004号及び特開平10-19907号に開示されている。

【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特開平6-59004号公報及び特開平10-19907号公報に開示されたような従来のプローブでは、磁気抵抗素子の幅が数μmと比較的大きく、そのままでは高分解能の磁気情報を取得するのが困難である。このようなプローブの分解能を向上させるためには、磁気抵抗素子の表面に磁性体探針を接合するなどの特別な工夫が必要となってくる。その結果、プローブの製造方法が複雑になり、高分解能のプローブを歩留まり良く多量に製造するのが困難となる。

【0006】
本発明の目的は、歩留まり良く多量に製造することができる、高分解能のプローブ及びその製造方法並びにプローブを有する顕微鏡及びIC回路を提供することである。

【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によるプローブは、基板と、一端が基板に固定された可撓性のカンチレバーと、そのカンチレバーの他端に配置された磁気抵抗素子とを具え、前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、磁性体探針を接合することなく波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるように10nmと1μmの間としたことを特徴とするものである。

【0008】
本発明によるプローブは、カンチレバーの長手方向に垂直な方向(感磁方向)における磁気抵抗素子の長さを小さくするに従って磁気抵抗素子の分解能が良好になるという特性を利用している。本発明によれば、磁気抵抗素子の感磁方向における長さを1μm以下にすることによって、従来のように磁性体探針を接合することなく、波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるようになる。その結果、高分解能のプローブを、歩留まり良く多量に製造することができるようになる。なお、感磁方向における長さが1μm以下の磁気抵抗素子を、電子線リソグラフのようなリソグラフ技術を用いて形成することができる。

【0009】
磁気抵抗素子の感磁方向における長さを小さくするに従って、更に小さい波長の漏洩磁場を検出できるようになるが、磁気抵抗素子の感磁方向の長さが10nmより小さくなると、磁気抵抗素子を構成する磁性体膜の磁化が熱振動により揺らぎ、磁気抵抗素子が所定の特性を有さなくなるおそれがある。その結果、磁気抵抗素子の感磁方向の長さを10nm以上にする必要がある。

【0010】
前記磁気抵抗素子を、例えば、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子とする。

【0011】
好適には、前記磁気抵抗素子に電気的に接続した抵抗ブリッジ回路を更に具える。これによって、カンチレバー外部の配線に起因する雑音を低減させることができ、その結果、歩留まり良く多量に製造することができるプローブの測定の精度を、更に向上させることができる。

【0012】
好適には、前記磁気抵抗素子に接続した位置制御用の突起部材を更に具える。これによって、凹凸の比較的大きな試料を測定する場合でも、位置制御の試料面内追従性が悪化するおそれが大幅に軽減し、その結果、歩留まり良く多量に製造することができるプローブの測定の精度を、更に向上させることができる。突起部材を磁気抵抗素子に接続するに当たり、従来の製造方法のような複雑な工程を必要としない。なお、前記突起部材を、例えばカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカとする。

【0013】
好適には、前記磁気抵抗素子の個数を2個以上とする。これによって、磁気抵抗素子が連続する方向、例えば高さ方向の依存性を同時に測定することができ、かつ、高分解能の磁場高さ分布測定が可能となる。

【0014】
本発明によるプローブの製造方法は、可撓性材料によって構成した層を、基板の一方の面に設けるステップと、前記可撓性材料によって構成した層の上に磁性抵抗素子をリソグラフィによって形成するステップと、前記基板の一部を除去して、一端が前記基板に固定されるとともに他端に前記磁性抵抗素子が配置されたカンチレバーを形成するステップとを具え、前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、磁性体探針を接合することなく波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるように10nmと1μmの間とすることを特徴とするものである。

【0015】
本発明によれば、磁気抵抗素子をリソグラフィによって形成しているので、磁気抵抗素子の感磁方向の幅を1μm以下にすることができる。その結果、高性能のプローブを、歩留まり良く多量に製造することができる。なお、リソグラフィを、例えば電子線リソグラフィとする。

【0016】
また、前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、10nmと1μmの間とする。

【0017】
前記磁気抵抗素子を、例えば、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子とする。

【0018】
好適には、前記磁気抵抗素子に電気的に接続した抵抗ブリッジ回路を前記カンチレバー上に形成するステップを更に具える。これによって、更に測定の精度が向上したプローブを、歩留まり良く多量に製造することができる。

【0019】
好適には、前記磁気抵抗素子に位置制御用の突起部材を接続するステップを更に具える。更に測定の精度が向上したプローブを、歩留まり良く多量に製造することができる。なお、前記突起部材を、例えばカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカとする。

【0020】
好適には、前記磁気抵抗素子の個数を2個以上とする。これによって、磁気抵抗素子が連続する方向、例えば高さ方向の依存性を同時に測定することができ、かつ、高分解能の磁場高さ分布測定が可能となるプローブを製造することができる。

【0021】
本発明による顕微鏡は、試料表面からの漏洩磁場を定量的に測定するプローブを具え、そのプローブが、基板と、一端が基板に固定された可撓性のカンチレバーと、そのカンチレバーの他端に配置された磁気抵抗素子とを具え、前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、磁性体探針を接合することなく波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるように10nmと1μmの間としたことを特徴とするものである。

【0022】
本発明による顕微鏡は、歩留まり良く多量に製造することができる高性能のプローブを具えるので、性能が更に向上する。

【0023】
前記磁気抵抗素子を、例えば、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子とする。

【0024】
好適には、前記磁気抵抗素子に電気的に接続した抵抗ブリッジ回路を更に具える。これによって、歩留まり良く多量に製造することができるプローブの測定の精度を、更に向上させることができ、その結果、顕微鏡の性能が更に向上する。

【0025】
好適には、前記磁気抵抗素子に接続された位置制御用の突起部材を更に具える。これによって、歩留まり良く多量に製造することができるプローブの測定の精度を、更に向上させることができ、その結果、顕微鏡の性能が更に向上する。なお、前記突起部材を、例えばカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカとする。

【0026】
好適には、前記磁気抵抗素子の個数を2個以上とする。これによって、磁気抵抗素子が連続する方向、例えば高さ方向の依存性を同時に測定することができ、かつ、高分解能の磁場高さ分布測定が可能となる。その結果、顕微鏡の性能が更に向上する。

【0027】
更に好適には、前記磁気抵抗素子を、その厚さ方向が前記漏洩磁場の方向とほぼ一致するように配置する。これによって、分解能が更に高い顕微鏡を実現することができる。

【0028】
本発明によるテスタは、所定幅の配線から漏洩磁場分布を測定するプローブを具え、そのプローブが、基板と、一端が基板に固定された可撓性のカンチレバーと、そのカンチレバーの他端に配置された磁気抵抗素子とを具え、前記カンチレバーの長手方向に垂直な方向における前記磁気抵抗素子の長さを、磁性体探針を接合することなく波長が10μm以下の漏洩磁場を検出することができるように10nmと1μmの間としたことを特徴とするものである。

【0029】
本発明によるテスタは、歩留まり良く多量に製造することができる高性能のプローブを具えるので、性能が更に向上する。

【0030】
前記磁気抵抗素子を、例えば、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子とする。

【0031】
好適には、前記磁気抵抗素子に電気的に接続した抵抗ブリッジ回路を更に具える。これによって、歩留まり良く多量に製造することができるプローブの測定の精度を、更に向上させることができ、その結果、テスタの性能が更に向上する。

【0032】
好適には、前記磁気抵抗素子に接続された位置制御用の突起部材を更に具える。これによって、歩留まり良く多量に製造することができるプローブの測定の精度を、更に向上させることができ、その結果、テスタの性能が更に向上する。なお、前記突起部材を、例えばカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカとする。

【0033】
好適には、前記磁気抵抗素子の個数を2個以上とする。これによって、磁気抵抗素子が連続する方向、例えば高さ方向の依存性を同時に測定することができ、かつ、高分解能の磁場高さ分布測定が可能となる。その結果、テスタの性能が更に向上する。

【0034】
更に好適には、前記磁気抵抗素子を、その厚さ方向が前記漏洩磁場の方向とほぼ一致するように配置する。これによって、分解能が更に高い顕微鏡を実現することができる。

【0035】
【発明の実施の形態】本発明によるプローブ及びその製造方法並びにプローブを有する顕微鏡及びテスタの実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明によるプローブの製造工程を説明するための図である。先ず、基板としてシリコンウエハ1を用意し、その両面に窒化膜2,3を低圧CVDによって形成する。その後、フォトリソグラフ及び反応性イオンエッチングによって窒化膜2,3をエッチングして、カンチレバーが形成されるように窒化膜2の一部を除去するとともに、後の工程でシリコンウエハ1の一部がエッチングされるように窒化膜3の一部を除去し、次の工程で使用する電子線リソグラフ用の位置合わせマーク4,5を形成する。このようにして得られたパーツの側面及び上面をそれぞれ図1(a)及び図1(b)に示す。

【0036】
次いで、カンチレバーとなるべき部分の先端部に、電子線リソグラフ及び蒸着によってMR素子6を形成する。この場合、MR素子6の大きさを、0.1ミクロン×0.1ミクロン以下とすることができる。このようにして得られたパーツの側面及び上面をそれぞれ図1(c)及び図1(d)に示す。

【0037】
次いで、EBリソグラフ又はフォトリソグラフ及び蒸着によってリード電極7,8を形成し、MR素子6及びリード電極7,8の表面に、保護用の窒化シリコン膜又は酸化シリコン膜を形成する。その後、ボンディングパッド9,10を形成する。このようにして得られたパーツの側面及び上面をそれぞれ図1(e)及び図1(f)に示す。

【0038】
次いで、基板1の一部を異方性エッチングによって裏面から除去する。この場合、基板1の一部が残るように、MR素子6が配置された面へのエッチング液の回り込みを防止する。その後、反応性イオンエッチング又はスパッタリングによって、基板1の一部を除去する。最後に、カンチレバー11の先端部を集束イオンビームによってトリミングする。このようにして得られたパーツの側面及び上面をそれぞれ図1(g)及び図1(h)に示す。

【0039】
本実施の形態では、カンチレバー11の長手方向に垂直な方向(感磁方向)における磁気抵抗素子6の長さを、10nmと1μmとの間とする。また、磁気抵抗素子6を、例えば、磁性体膜からなるAMR素子、磁性体と非磁性体の多層膜からなるGMR素子、又は磁性体-絶縁体-磁性体のトンネル接合からなるTMR素子とする。

【0040】
本実施の形態によって得られるプローブの斜視図及び側面図を、図2及び図3にそれぞれ示す。本実施の形態のように磁気抵抗素子6の感磁方向の長さを10nmと1μmとの間にすることによって、カンチレバー11の先端部分が位置制御用の探針として機能する。

【0041】
図4は、記録波長と磁気抵抗素子の出力との関係を表す図である。この場合、磁気記録媒体の磁場を計測したときのMR素子出力を計算したものである。図4において、曲線a-eはそれぞれ、感磁方向における磁気抵抗素子の長さがそれぞれ5μm,1μm,0.5μm,0.1μm及び0.05μmの場合の特性を示す。なお、何れの場合も、磁気抵抗素子の電流密度を1011A/mとなる。

【0042】
図4から明らかなように、感磁方向における磁気抵抗素子の長さが短くなるに従って、検出しうる記録波長が短くなり、その長さが1μm以下になると、10μm以下の記録波長の漏洩磁場を検出できるようになり、その結果、従来のように磁性体探針を接合する必要がないので、高分解能のプローブを歩留まり良く多量に製造することができる。

【0043】
リソグラフ技術による感磁方向における磁気抵抗素子の長さの下限は数nmである。しかしながら、感磁方向における磁気抵抗素子の長さが小さくなると、磁性体膜で構成された磁気抵抗素子の磁化に対する熱振動の効果が顕著となる。感磁方向における磁気抵抗素子の長さの下限は、磁化を固定する磁気異方性エネルギーと熱振動のエネルギーが等しくなる条件
vK=kT/2
によって与えられる。ここで、vを、磁気抵抗素子の体積とし、Kを、磁気抵抗素子を構成する磁性体の単位体積当たりの磁気異方性エネルギーとし、kをボルツマン定数とし、Tを絶対温度とする。

【0044】
磁気抵抗素子を構成する磁性体の単位体積当たりの磁気異方性エネルギーは5×10J/m前後であり、室温(T=300K)における感磁方向における磁気抵抗素子の長さv-3は10nmとなる。

【0045】
図5は、本発明による他のプローブの上面図である。本実施の形態では、リード線11,12の配線パターン及び構成材料を適切に選択し、カンチレバー13の上面に抵抗ブリッジ回路14を形成することによって、カンチレバー13の外部の配線に起因する雑音を低減させる。これによって、プローブの測定の精度が更に向上する。なお、抵抗ブリッジ素子14のトリミングを行うに当たり、例えばレーザや集束イオンビームを使用する。

【0046】
図6は、本発明による他のプローブの側面図である。本実施の形態では、磁気抵抗素子21に突起部材22を接続している。これによって、プローブの磁場感度が更に向上し、凹凸の比較的大きな試料を測定する場合でも、位置制御の試料面内追従性を良好に維持することができる。突起部材22を、例えばカーボンナノチューブ又は磁性体ウイスカによって構成する。

【0047】
図7は、本発明による他のプローブの斜視図である。図示したように、本発明によるプローブによって、マルチプローブ又はプローブアレイを構成することもできる。

【0048】
図8は、本発明による他のプローブの側面図である。本実施の形態では、複数の磁気抵抗素子31,32,33を、1個のカンチレバー34に形成している。これによって、磁気抵抗素子31-33が連続する方向Aについての測定が可能となる。

【0049】
図9は、本発明による他のプローブの側面図である。本実施の形態では、磁気抵抗素子41の厚さ方向が磁場方向Bとほぼ一致するように配置する。これによって、高分解能のプローブを実現することができる。

【0050】
図10は、本発明による他のプローブの側面図である。本実施の形態では、複数の磁気抵抗素子51,52,53を、1個のカンチレバー54に形成し、磁気抵抗素子51に突起部材55を接続する。これによって、プローブの高さ方向Cの磁気分布を高精度で測定することができる。

【0051】
図11は、本発明による他のプローブの上面図である。本実施の形態では、複数の磁気抵抗素子61,62,63,64,65,66を、1個のカンチレバー67に形成する。これによって、プローブの高さ方向D及び幅方向Eの分布測定が可能となる。

【0052】
図12は、本発明による顕微鏡のブロック図である。この顕微鏡は、本発明によるプローブ71と、試料72が載せ置かれたPZTチューブ73と、それに接続された電流発生器74と、プローブ71にレーザを照射するレーザダイオード75と、磁界を発生させる磁石76と、カンチレバー71によって反射されたレーザ光を受光するフォトダイオード77と、フォトダイオード77からの信号が供給されるAFMコントローラ78と、プローブ71に接続した電流発生器79及びプリアンプ80と、プリアンプ80に接続した2次増幅器81と、それに接続した基準電圧82及びローパスフィルタ83とを具える。

【0053】
AFMコントローラ78は、PZTチューブ73の3次元座標系の動作の制御を行う。本実施の形態では、試料72の表面からの漏洩磁場を定量的に測定することができ、磁性体表面の磁気構造観察や、磁気記録ヘッドの漏洩磁場分布測定への適用が可能となる。

【0054】
図13は、本発明によるテスタのブロック図である。本実施の形態では、回路基板91の微小幅の配線からの漏洩磁場分布測定をして、配線に流れる電流を測定する。また、漏洩磁場分布を測定することによって、多層配線による磁場分布解析を行い、多層部分の電流の測定が可能となる。

【0055】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、磁気抵抗素子を形成するに当たり、上記実施の形態では電子線リソグラフを用いたが、他の任意のリソグラフ技術を用いることができる。また、本発明によるプローブを顕微鏡及びテスタに適用した例を示したが、本発明によるプローブを他の用途に適用することもできる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図7】
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【図13】
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