TOP > 国内特許検索 > 燃料噴射ノズル > 明細書

明細書 :燃料噴射ノズル

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3455780号 (P3455780)
公開番号 特開2002-227749 (P2002-227749A)
登録日 平成15年8月1日(2003.8.1)
発行日 平成15年10月14日(2003.10.14)
公開日 平成14年8月14日(2002.8.14)
発明の名称または考案の名称 燃料噴射ノズル
国際特許分類 F02M 61/18      
F02M 61/04      
F02M 61/10      
FI F02M 61/18 350A
F02M 61/18
F02M 61/04
F02M 61/10
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2001-028158 (P2001-028158)
出願日 平成13年2月5日(2001.2.5)
審査請求日 平成13年2月5日(2001.2.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012648
【氏名又は名称】広島大学長
発明者または考案者 【氏名】西田 恵哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
審査官 【審査官】嶋田 研司
参考文献・文献 特開 平10-110661(JP,A)
特開 平11-324868(JP,A)
特開 平6-81750(JP,A)
実開 平4-129873(JP,U)
調査した分野 F02M 61/18 350
F02M 61/18 310
F02M 61/18 330
F02M 61/04
F02M 61/10
特許請求の範囲 【請求項1】
先端部に出口が先細になるテーパ形状の第1噴孔と全体がストレート形状の第2噴孔がそれぞれ形成され、内部に前記噴孔を開閉する針弁を有し、該針弁の開弁にしたがい燃料を前記噴孔へ導くノズルボディと、
前記針弁に設けられ、ホローコーン型の噴霧形の噴霧にすべく、前記噴孔へ流入する燃料を当該噴孔の周方向に旋回させる旋回流発生手段と、
前記旋回した燃料を前記第1噴孔あるいは前記第2噴ら噴射させる噴孔切換手段とを具備してなることを特徴とする燃料噴射ノズル。

【請求項2】
前記噴孔切換手段は、一端側が前記針弁の先端部に回転およびスライド可能に収められ他端部が噴孔入口側に回動可能に支持されて前記針弁の周方向に回動可能に設けられ、外周面には燃料を噴孔入口に導く通路が形成され、回動変位により該通路を前記第1噴孔あるいは前記第2噴孔に連通させることによって噴孔切換えを行うロータリバルブを有して構成され、
前記旋回流発生手段は、前記ロータリバルブの通路の出口部に形成され、該通路の流れを噴孔周方向の流れにする渦巻室を有して構成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射ノズル。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジンや筒内噴射式ガソリンエンジンなどに用いられ、噴霧特性を使用条件に応じて可変可能とした燃料噴射ノズルに関する。

【0002】
【従来の技術】車両に搭載される直噴式のディーゼルエンジンでは、燃料噴射ノズルを用いて、直接、燃料を燃焼室内に噴射することが行われている。

【0003】
燃料噴射ノズルは、通常、先端部に噴孔を有し、内部に噴孔を開閉させる針弁(ニードルバルブ)を摺動自在に収めたノズルボディが採用され、開弁にしたがい燃料を噴孔から燃焼室内へ噴射する構造となっている。

【0004】
しかし、同ノズルは、画一的なので、エンジンの運転状態に応じて、噴霧特性が変えられない。

【0005】
そこで、近時、燃料噴射ノズルの噴孔の数や、燃焼室に対する燃料噴射方向が検討され、燃料の噴射状態や噴射期間を調整することにより、自発的な燃焼の促進、エンジンの出力・燃費の向上、燃焼騒音の低減やNOxなどの排出を低減可能とすることが検討されている。

【0006】
例えば燃料噴霧量を無段階に変化する技術の一例として、「長谷川敏行、他5名、自動車技術会学術講演会前刷集No.68-99(1999)p.1」がある。

【0007】
これは、ロータリバルブ方式の可変噴孔ノズル、具体的にはロータリバルブの先端部に穿設された燃料流路断面とノズルボディに穿設された噴孔断面の重なり度合いを変えるノズル構造を用いて、噴孔開度を可変可能とし、種々のノズル噴射特性(燃料流量—燃料圧力特性)が得られるようにした技術である。

【0008】
このノズルにおいては、噴孔開度を小さくすると、噴霧角度が大きくなることが観測されている。これは、ロータリバルブの先端部に穿設された燃料流路断面とノズルボディに穿設された噴孔断面の重なりに非対称が生じ、噴孔内で燃料が旋回流を発生しているためであろうと推論されている。すなわち、噴霧形態がフルコーン状態から、ホロコーン状態に変化していると推論されている。通常、このような噴霧形態が得られた場合は、噴霧粒径も小さくなり、燃料と空気との混合も促進されるので、未燃分(T-HC)や煤(スモーク)の減少が期待される。

【0009】
しかるに、噴霧粒径の測定結果では、噴孔断面を固定したモデルでの測定結果とさほど変化は無く、測定された燃焼特性においても未燃分(T-TC)や煤(スモーク)の発生に改善の効果は認められなかったとしている。

【0010】
本報告においては、この原因を噴霧粒径とは関係なく、噴霧形状や噴霧流の分布の変化であろうと推論し、むしろ、噴孔内の旋回流の発生を噴霧特性に及ぼす弊害要因とみなしている。

【0011】
しかし、やはり未燃分(T-TC)や煤(スモーク)の減少に最も大きく影響するのは噴霧粒径であり、この噴霧角度が大きくなった状態で噴霧粒径をもっと小さくできれば、未燃分(T-TC)や煤(スモーク)を共にもっと発生しにくことが期待できる。

【0012】
また、特開平10-141179号においては、針弁の先端にロータリバルブを設け、燃料圧力の高低による針弁の開閉(自動弁方式)を行えることを前提として、ロータリバルブの先端部に大小2種の燃料通路を設け、該燃料通路をノズルボディに穿設された噴孔位置に一致させる2種の組み合わせを利用し、同じ燃料圧力に対して異なる2種の噴霧特性が得られる技術が提案されている。

【0013】
この技術は、2種の噴霧特性をパイロット噴霧と本噴霧として使い分けることにより、エンジンの負荷と回転数に即した噴射圧力、噴射期間、噴射量となる設定が可能となる。

【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、いずれの技術も、エンジンの低負荷時には、なお燃料の噴霧粒径が大きく、未燃分(T-TC)や煤(スモーク)の発生に対して十分に対応できるものではなく、エンジンの運転状態に適した噴霧特性の確保には十分ではなかった。

【0015】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、エンジンの運転状態に最も好適な噴霧特性が作り出せる燃料噴射ノズルを提供することにある。

【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載の燃料噴射ノズルは、先端部に出口が先細になるテーパ形状の第1噴孔と全体がストレート形の第2噴孔がそれぞれ形成され、内部に前記噴孔を開閉する針弁を有し、該針弁の開弁にしたがい燃料を前記噴孔へ導くノズルボディと、針弁に設けられ、ホローコーン型の噴霧形の噴霧にすべく、噴孔へ流入する燃料を当該噴孔の周方向に旋回させる旋回流発生手段と、旋回した燃料を前記第1噴孔あるいは前記第2噴孔から噴射させる噴孔切換手段とを有して構成した。

【0017】
この燃料噴射ノズルによると、第2噴孔を選択してから針弁を開弁させる。

【0018】
すると、燃料は、通路から当該噴孔へ流入される際、噴孔の周方向回りに旋回する(旋回流)。そして、この旋回力を保ったまま、円筒状の第2噴孔内を流れ外部へ噴射される。

【0019】
これにより、燃料は、ホローコーン型の噴霧形状を描いて小さい噴霧粒径で噴霧される。

【0020】
また第1噴孔を選択してから針弁を開弁させる。

【0021】
すると、燃料は、通路から当該噴孔へ流入される際、噴孔の周方向回りに旋回する(旋回流)。そして、この旋回力を保ったまま、円錐状の第1噴孔内を流れ外部へ噴射される。

【0022】
このとき、第1噴孔は、出口に向かうにしたがい先細となる形状をなしているから、燃料の流れが噴孔出口にいくほど旋回速度が増す。

【0023】
これにより、燃料は、円筒状の第2噴孔のときより、強いホロコーン型の噴霧形状で、さらには噴霧粒径が小さくなった状態で噴霧される。

【0024】
いずれの燃料噴射も、ホロコーン型の噴霧により、噴霧粒径が小さく燃料と空気との混合が促進される。特に第1噴孔からの燃料噴霧は、燃料の旋回速度が増すので、安定した大きな噴霧角度で、かなり小さな噴霧粒径となる。

【0025】
それ故、第1噴孔、第2噴孔の切換えにより、エンジンの運転状態に応じて求められる最適な噴霧状態(噴霧特性)が作り出せ、エンジンの燃焼の促進、出力・燃費の向上、燃焼音の低減、NOxや燃料の未燃分(T-TC)や煤(スモーク)などの減少が図れる。

【0026】
特にエンジンの低負荷運転が良好に行われるよう、燃料噴射ノズルは、エンジンの低負荷運転時には第1噴孔に切り変わり、それ以外の運転時には第2噴孔に切り変わるようにしてあることが望ましい。

【0027】
請求項2に記載の燃料噴射ノズルは、上記目的に加え、さらにロータリバルブを用いた簡単な構造で、第1噴孔や第2噴孔からの燃料噴霧が実現されるよう、噴孔切換手段は、一端側が針弁の先端部にスライド可能に収められ他端部が噴孔入口側に回動可能に支持されて針弁の周方向に回動可能に設けられ、外周面には燃料を噴孔入口に導く通路が形成され、回動変位により該通路を第1噴孔あるいは第2噴孔に連通させることによって噴孔切換えを行うロータリバルブを有した構成とし、旋回流発生手段は、ロータリバルブの通路の出口部に形成され、該通路の流れを噴孔周方向の流れにする渦巻室を有した構成とした。

【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1ないし図8に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。

【0029】
図1および図2は、本発明を適用した燃料噴射ノズル、例えば噴霧特性を調べるためのモデル(実機とは各部の寸法や形状が異なり、噴霧状態を観測するだけの機能を有するもの)の断面を示している。なお、図1は燃料噴射ノズルの閉弁状態を示し、図2は開弁状態を示している。

【0030】
同図中1は、燃料噴射ノズルのノズルボディである。

【0031】
ノズルボディ1は、例えば内部に上下方向に延びる筒状の通孔2が形成されたブロック状のノズル本体3と、同ノズル本体3の下端部から突き出た段部3aに着脱可能に嵌まるキャップ状のノズルホルダ4とを有して形成される。なお、ノズルホルダ4は、通孔2の下端を塞ぐように組合う。またノズルホルダ4のうち、通孔2の下端と向き合う部分は、下側に円錐状に突き出て、サック部5を形成している。このサック部5内面からノズル本体3の下端に向かう内面部分には、通孔2と向き合う円錐状の内面が形成されていて、後述する針弁6の先端部と接離する着座面5a(受圧面)を形成している。

【0032】
この着座面5aと通孔2の内面で囲まれる空間部に、針弁6(ニードルバルブ)が収めてある。針弁6は、下端部(先端部)に異なる角度の2種の円錐状部7a,7bを連ねて形成される円錐状部7(尖頭部)を有し、上端部(基端部)にねじ軸8を有して形成される。このうちのねじ軸8が、通孔2の上端部に据付けてある柱状の針弁支持部材9に支持してある。具体的には、例えば針弁支持部材9の内部には、針弁支持部材9の頭部に設けた摘み部10の回動操作によって回動される回動筒11が収めてある。そして、針弁6のねじ軸8が、回動筒11の下端部に進退自在に螺挿される。またねじ軸8の直後に形成された段部部分12が、針弁支持部材9の下端部に形成されている嵌挿部14に進退可能(軸方向)に嵌挿してある。こうした針弁6の支持構造により、人手による摘み部10の回動操作によって、針弁6が、図2に示される先端の円錐状部7が着座面5aに密接する閉弁位置から、図1に示される着座面5aから円錐状部7が離れる開弁位置までリフトされるようにしてある(ねじ軸8のねじ込み深さの調節による)。

【0033】
また針弁6と通孔2の内面との間には、上段に環状の燃料溜まり15を有した環状の流路16が形成されている。これで、燃料溜まり15につながる供給路17から燃料(加圧燃料)を供給して針弁6を開弁すると、当該燃料が、燃料溜まり15、流路16、針弁6の開閉部を通じて、サック部5内へ導けるようにしてある。

【0034】
サック部5をなす傾斜した周壁には、周方向に沿って所定の間隔で複数の噴孔18が形成されている。噴孔18は、図5および図6に示されるように出口が先細になるテーパ形状(円錐形状)のテーパ噴孔18a(円錐状の第1噴孔に相当)と、全体がストレート形状のストレート噴孔18b(円筒状の第2噴孔に相当)とを交互、例えば45°間隔で交互に配置した構造で構成してある。

【0035】
この針弁6の先端部と噴孔18側との間には、図1および図2に示されるように燃料を微粒化する旋回流発生機能付の噴孔切換機構20が組込まれている。

【0036】
噴孔切換機構20には、例えばロータリバルブ21(噴孔切換手段に相当)が用いられている。具体的には、ロータリバルブ21には、上下方向に延びる円柱状の小径なバルブ部材が採用される。このロータリバルブ21の上端側(一端側)が、針弁6の先端中央から軸心方向に向かって開口してある有底の小孔6a内に回転自在および軸心方向沿いにスライド自在に挿入してある。またロータリバルブ21の下端側は針弁6の先端から突き出ている。そして、この突き出たロータリバルブ21の下端部(他端部)が、噴孔入口を臨ませているサック部5内側に形成してある円筒形の窪み22(ホール)に回転可能に嵌め込んである。ここで、小孔6aの底側は、針弁6の内部に形成した径方向に延びる複数の通路6bを通じて流路16と連通していて、流路16内から加わる燃料の圧力で、ロータリバルブ21を上側から押圧するようにしてある。これで、ロータリバルブ21の下端部をサック部5に回転可能に支持させてある。また図3ないし図6に示されるようにロータリバルブ21の外周面のうち、針弁6の先端側から針弁6のリフト量分、奥側に入り込んだ地点(開弁位置で露出する地点)から噴孔入口までの部位には、複数、例えば4つの軸心方向に延びる燃料連絡通路23(切換通路)が、周方向沿いに所定の間隔、例えば90°の間隔で並設されている。これら燃料連絡通路23は、いずれも直線状の溝から形成されている。そして、入口となる溝上端側が、針弁6の先端周りの燃料通路部分に臨み、出口となる溝下端が、各通孔18の入口が開口している窪み22の内面部分に臨み、針弁6の先端部と噴孔18の間をむすぶ構造としている。この構造によって、ロータリバルブ21が、図5に示されるように各燃料連絡通路23とテーパ噴孔18aとが組合うように回動させたり、図6に示されるように各燃料連絡通路23とストレート噴孔18bとが組合うように回動させたりすることにより、開弁により針弁6の開閉部から流出する燃料をテーパ噴孔18aへ導いたり、あるいはストレート噴孔18bへ導いたりする噴孔切換えが行えるようにしてある。なお、燃料噴射ノズルは、実験モデルであるために、ロータリバルブ21の切換えには、人手により、ノズルホルダ4をノズル本体3から取り外し、針弁6からロータリバルブ21を抜去して、ロータリバルブ21を回動変位させて燃料連絡通路23の開口位置を必要な向きに位置決めてから、再びノズル本体3、針弁6にセットし直すという切換構造が用いてある。

【0037】
各燃料連絡通路23の出口部には、図3および図4に示されるように渦巻室24(旋回流発生手段に相当)が設けられている。この渦巻室24は、いずれも燃料連絡通路23の出口の溝形状を、噴孔18の入口形状と合致する円形な渦巻室形状に形成してなる。詳しくは、渦巻室24は、渦巻室24の側部に形成されている入口が燃料連絡通路23の出口に連通する。また渦巻室24の円形な開口全体が噴孔入口と互いに向き合うようになっていて、各噴孔18へ流入する燃料に対して、噴孔18の周方向に向かう旋回を与えることができるようにしてある。

【0038】
この燃料の旋回流により、燃料を、テーパ噴孔18a、ストレート噴孔18bから、噴霧粒径の微細化に富むホロコーン型の噴霧形で噴霧できることがわかった。

【0039】
すなわち、このように構成された燃料噴射ノズルを用いて、噴霧特性の調べる実験を行うとする。

【0040】
なお、この実験に使用する燃料噴射ノズルの主要寸法は、針弁6の外形が32mmφ、ロータリバブル21の外径が8.5mmφ、燃料連絡通路23の幅1mm、同じく溝深さが2mm、同じく溝長さが13mm、噴孔(入口)の直径が2mmである(実際に使用される燃料噴射ノズルは、この約1/10の寸法程度)。実験には燃料(噴霧流体)の代わりに水を使用した。

【0041】
まず、図4(a)および図6(b)に示されるように燃料連絡通路23とストレート噴孔18bとが合致するようロータリバルブ21を組み付けた(第2噴孔の選択)状態(閉弁状態)にする。この状態から、加圧燃料に代わる水(、以下、燃料という)を供給路17へ与えつつ、針弁6を図2の閉弁位置から、図1の開弁位置へリフトしたとする(摘み部10の回動操作による)。

【0042】
このとき、ロータリバルブ21は、通路6aの底側から加わる燃料の圧力で、下側、すなわちサック部5の窪み22に押付けられている。

【0043】
これにより、図1および図4(b)に示されるように針弁6は、ロータリバルブ21を引き出しながら、すなわち窪み22にロータリバルブ21を残したままリフトされる。

【0044】
すると、燃料溜まり15の燃料は、環状の流路16、針弁6の開閉部を通り、ロータリバルブ21の各燃料連絡通路23に流れ込む。

【0045】
ここで、各燃料連絡通路23の出口には渦巻室24が形成されているから、燃料は、燃料連絡通路23の出口、すなわち当該渦巻室24を通過するときは、ストレート噴孔18bの周方向周りの旋回流となる。

【0046】
この燃料が、旋回力を保ったまま、各ストレート噴孔18b内を通じて、燃焼室(図示しない)へ噴射される。

【0047】
これにより、燃料は、ホローコーン型の噴霧形状を描いて小さい噴霧粒径で噴霧される。

【0048】
またテーパ噴孔18aから燃料を噴射させるときは、ノズルホルダ4を取り外し、ノズルホルダ4に挿入されているロータリバルブ21の回動変位して、燃料連絡通路23がテーパ噴孔18aと合致する向き切換えてから、図3(a)に示されるようにロータリバルブ21やノズルホルダ4を針弁6、ノズル本体3に組付け直す。

【0049】
この状態から、先のストレート噴孔18bのときと同じく、燃料を供給路17へ与えつつ、針弁6を図2の閉弁位置から、図1の開弁位置へリフトしたとする(摘み部10の回動操作による)。

【0050】
このときも、先のストレート噴孔18bのときと同じく、ロータリバルブ21は、通路6aの底側から加わる燃料の圧力でサック部5の窪み22に押付けられているから、図1および図3(b)に示されるように針弁6は、窪み22にロータリバルブ21を残したままリフトされる。

【0051】
すると、燃料溜まり15の燃料は、環状の流路16、針弁6の開閉部を通り、ロータリバルブ21の各燃料連絡通路23に流れ込む。

【0052】
ここでも、各燃料連絡通路23の出口には渦巻室24が形成されているから、燃料は、出口、すなわち当該渦巻室24を通過するときに、テーパ噴孔18の周方向周りの旋回流となる。

【0053】
この燃料が、旋回力を保ったまま、各テー噴孔18内を通じて、燃焼室(図示しない)へ噴射される。

【0054】
このとき、テーパ噴孔18aは、出口に向かうにしたがい先細となる形状をなしているから、燃料の流れが噴孔出口にいくほど旋回速度が増す。

【0055】
これにより、燃料は、ストレート噴孔18aのときより、強いホロコーン型の噴霧形状、さらには小さい噴霧粒径で噴霧される。

【0056】
こうしたテーパ噴孔18a、ストレート噴孔18bからの噴霧特性を調べた結果、各ノズルの噴霧粒径の平均粒径は、図8の線図に示されるように従来の針弁6でサック部5の噴孔を開閉させる構造のミニサックノズルと称するノズルの噴霧形態が、約1000μmであったのに対し、渦巻室がもたらす旋回流の燃料をストレート噴孔18bで噴霧させるホロコーン型の噴霧形態のときが、それより小さい860μmで、渦巻室がもたらす旋回流の燃料をテーパ噴孔18bで噴霧させるホロコーン型の噴霧形態のときが、さらに小さい780μmと低減されたことが確認された。つまり、燃料と空気との混合が促進されることがわかる。

【0057】
また噴霧角度ならびに針弁6のリフト量(針弁開度)に対する噴霧角度のばらつきを調べた結果、ミニサックノズルに比べて、噴霧角度が大きく、その角度のばらつきも少なくなる。特にこの噴霧角度ならびに噴霧角度のばらつきは、図7の線図に示されるようにテーパ噴孔18aから噴霧する形態のときに顕著に見られた。すなわち、図7は、テーパ噴孔18aからの噴霧する噴霧形態のときの噴霧角度、噴霧角度のばらつきを、従来のミニサックノズルのときと対比した線図(縦軸が噴霧角度、横軸がリフト量(針弁開度))を示していて、□印が従来のミニサックノズルで噴霧したときを示し、△印がテーパ噴孔18aからの噴霧したときを示している。図7の線図によると、□印の従来のミニサックノズルは、針弁開度による変化はほとんど認められないが、噴霧角度は小さく、その角度のばらつきが非常に多いと認識される。これから、燃料の流れが非常に不安定なことがわかる。これに対して、△印のテーパ噴孔18aからホロコーン型に噴霧させるときの噴霧特性は、噴霧角度が大きく、しかも角度のばらつきも非常に少なくなっている。これから、燃料の流れが非常に安定しており、燃焼性に対して好ましいことがわかる。

【0058】
このことから、テーパ噴孔18a,ストレート噴孔18bの切換えにより、エンジンの運転状態(運転条件)に応じて求められる最適な噴霧状態(噴霧特性;噴霧角、平均粒径等)が作り出せる。

【0059】
それ故、エンジンの燃焼の促進、出力・燃費の向上、NOxや燃料の未燃分(T-TC)や煤(スモーク)などの減少を図ることができる。また渦巻室24とテーパ噴孔18aとがもたらす微粒化特性(テーパ噴孔18の場合、噴孔内の旋回流が出口にいくにしたがい強くなるので、ストレート噴孔18bより噴霧粒径が小さい)を活かして、エンジンの低負荷運転時にはテーパ噴孔18aを用いて燃料を噴霧(低負荷時用噴霧)させ、その後、ストレート噴孔18bを用いて燃料を噴霧(高負荷時用噴霧)させる(低負荷運転以外の運転時)ようにすると、テーパ噴孔18aの方がストレート噴孔18bより噴霧粒径が小さいことを活用した燃焼効率の向上が図れる。このときには、特にテーパ噴孔18aは、エンジン起動時のような燃料流量の少ない条件のときに使用し、負荷が上昇するにつれてロータリバルブ21を回転させて、ストレート噴孔18bに切換えるようにするのが望ましい(テーパ噴孔18aは、ストレート噴孔18bよりも流動抵抗が大きく、同じ燃料圧に対しては燃料流量が少ない範囲でしか使用できないことによる)。むろん、パイロット噴霧、本噴霧として使い分けるようにしてもよい。

【0060】
しかも、微粒化特性を得る構造は、渦巻室24をもつ燃料連絡通路23を外周面に有するロータリバルブ21を、針弁6の先端部と該先端部直下の噴孔入口側との間でスライド自在に組込んだ構造なので、簡単な構造である。

【0061】
図9ないし図11は、本発明の第2の実施形態を示す。

【0062】
本実施形態は、第1実施形態の燃料噴射ノズルを実機に即した構造としたものである。

【0063】
具体的には、図9に示されるようにノズルボディ1を、ノズル本体とノズルホルダとが一体となった構造体から構成し、これをサック部5が燃焼室内へ突き出るようディーゼルエンジンのシリンダヘッドや筒内噴射式ガソリンエンジンのシリンダヘッド(いずれも図示しない)に組付ける構造とする。針弁6は、自動弁方式(ばねによって閉弁されている針弁を燃料圧力で押し上げて開弁させる構造)やコモンレール方式(針弁の上端に針弁を上下に駆動する上下駆動機構を連結し、閉弁および開弁を上下駆動機構で行う構造)などの開弁機構30でリフトされる構造にしてある。ロータリバルブ21は、該バルブ21を45°回転させるバルブ駆動機構31に連結され、制御部であるECU32からの指令で、ロータリバルブ21の回動(45°)をさせて、エンジンの運転状態(負荷など)の変化に応じ、渦巻室24がある燃料連絡通路23の位置を切換えて、図10に示されるようなストレート噴孔18bからの噴霧と、図11に示されるようなテーパ噴孔18aからの噴霧とを使い分けるようにしたものである。

【0064】
このようにすることにより、渦巻室24がもたらす微粒化特性を用いて、エンジンの運転状態の変化に応じた最適な燃料の噴霧が可能となる。

【0065】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。

【0066】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、旋回流がもたらすホロコーン型の噴霧により、燃料と空気との混合の促進が図れる燃料の微粒化が実現できる。しかも、円筒状の噴孔から円錐状の噴孔に切換えることにより、さらに燃料の微粒化が促進、かつ安定した大きな噴霧角度の噴霧が実現できる。

【0067】
したがって、第1噴孔、第2噴孔の切換えにより、エンジンの運転状態に応じて求められる最適な噴霧状態(噴霧特性)が作り出せ、エンジンの燃焼の促進、出力・燃費の向上、燃焼音の低減、NOxや燃料の未燃分(T-TC)や煤(スモーク)などの減少を図ることができる。

【0068】
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、ロータリバルブを用いた簡単な構造で、燃料の微粒化の促進ができるといった効果を奏する。
図面
【図3】
0
【図5】
1
【図1】
2
【図2】
3
【図6】
4
【図10】
5
【図4】
6
【図11】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10