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明細書 :C60フラーレン分子誘導体、C60フラーレン分子誘導体の合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3148987号 (P3148987)
公開番号 特開2000-344764 (P2000-344764A)
登録日 平成13年1月19日(2001.1.19)
発行日 平成13年3月26日(2001.3.26)
公開日 平成12年12月12日(2000.12.12)
発明の名称または考案の名称 C60フラーレン分子誘導体、C60フラーレン分子誘導体の合成方法
国際特許分類 C07D321/00      
G02B  1/04      
FI C07D 321/00
G02B 1/04
請求項の数または発明の数 8
全頁数 8
出願番号 特願平11-150264 (P1999-150264)
出願日 平成11年5月28日(1999.5.28)
審査請求日 平成11年5月28日(1999.5.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012327
【氏名又は名称】東京大学長
発明者または考案者 【氏名】西郷 和彦
【氏名】金原 数
【氏名】鄭 健禺
【氏名】野口 秀一
【氏名】宮内 健常
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
審査官 【審査官】大宅 郁治
参考文献・文献 Helvetica Chimica Acta,vol.80(1997),pages2238-2276
調査した分野 C07D 321/00
G02B 1/04
特許請求の範囲 【請求項1】

【化1】
JP0003148987B2_000002t.gif(nは0ないし5であり、X及びYはメチレン、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換メチレン、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換メチレン、無置換又は置換アリール基一置換メチレン、無置換又は置換アリール基二置換メチレン、エーテル酸素、チオエーテル硫黄、アミノ窒素、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基置換アミノ窒素、若しくは無置換又は置換アリール基置換アミノ基であり、Zはカルボニル酸素又はチオカルボニル硫黄であり、R1 、R3 は水素、水酸基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、無置換又は置換アリールオキシ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキルチオ基、無置換又は置換アリールチオ基、アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換アミノ基、無置換又は置換アリール基一置換アミノ基、若しくは無置換又は置換アリール基二置換アミノ基であり、R2 、R4 は、水酸基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、無置換又は置換アリールオキシ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキルチオ基、無置換又は置換アリールチオ基、アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換アミノ基、無置換又は置換アリール基一置換アミノ基、若しくは無置換又は置換アリール基二置換アミノ基であり、R5 は炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、無置換又は置換アリール基若しくはシリル基である)のC60フラーレン分子誘導体。

【請求項2】

【化2】
JP0003148987B2_000003t.gif(R1 、R2 のうち、少なくとも1つは水酸基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、無置換又は置換アリールオキシ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキルチオ基、無置換又は置換アリールチオ基、アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換アミノ基、無置換又は置換アリール基一置換アミノ基、若しくは無置換又は置換アリール基二置換アミノ基である)のC60フラーレン分子誘導体。

【請求項3】

【化3】
JP0003148987B2_000004t.gifのC60フラーレン分子誘導体。

【請求項4】

【化4】
JP0003148987B2_000005t.gifのC60フラーレン分子誘導体。

【請求項5】

【化5】
JP0003148987B2_000006t.gifのC60フラーレン分子誘導体。

【請求項6】

【化6】
JP0003148987B2_000007t.gif(R1 は水素、水酸基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、無置換又は置換アリールオキシ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキルチオ基、無置換又は置換アリールチオ基、アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換アミノ基、無置換又は置換アリール基一置換アミノ基、若しくは無置換又は置換アリール基二置換アミノ基であり、R2 は、水酸基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、無置換又は置換アリールオキシ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキルチオ基、無置換又は置換アリールチオ基、アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換アミノ基、無置換又は置換アリール基一置換アミノ基、若しくは無置換又は置換アリール基二置換アミノ基)に示すビスマロン酸エステル誘導体と、C60フラーレン分子とを、I2 と1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンの存在下で反応させる事により
【化7】
JP0003148987B2_000008t.gif(R1 は水素、水酸基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、無置換又は置換アリールオキシ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキルチオ基、無置換又は置換アリールチオ基、アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換アミノ基、無置換又は置換アリール基一置換アミノ基、若しくは無置換又は置換アリール基二置換アミノ基であり、R2 は、水酸基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、無置換又は置換アリールオキシ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキルチオ基、無置換又は置換アリールチオ基、アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換アミノ基、無置換又は置換アリール基一置換アミノ基、若しくは無置換又は置換アリール基二置換アミノ基)に示すC60フラーレン分子誘導体を得る過程より成る、C60フラーレン分子誘導体の合成方法。

【請求項7】

【化8】
JP0003148987B2_000009t.gif(R1 、R2 のうち、少なくとも1つは電子供与基である)に示すビスマロン酸エステル誘導体と、C60フラーレン分子とを、I2 と1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンの存在下で反応させる事により
【化9】
JP0003148987B2_000010t.gif(R1 、R2 のうち、少なくとも1つは電子供与基である)に示すC60フラーレン分子誘導体を得る過程より成る、C60フラーレン分子誘導体の合成方法。

【請求項8】

【化10】
JP0003148987B2_000011t.gif(R1 はメトキシ基でありR2 は水素、又はR1 はメトキシ基でありR2 はメトキシ基、又はR1 -R2 はビスメチレンジオキシ基で架橋されている)に示すビスマロン酸エステル誘導体と、C60フラーレン分子とを、I2 と1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エンの存在下で反応させる事により
【化11】
JP0003148987B2_000012t.gif(R1 はメトキシ基でありR2 は水素、又はR1 はメトキシ基でありR2 はメトキシ基、又はR1 -R2 はビスメチレンジオキシ基で架橋されている)に示すC60フラーレン分子誘導体を得る過程より成る、C60フラーレン分子誘導体の合成方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、C60フラーレン分子を電子受容体、ビスマロン酸エステルのベンゼン環に種々の電子供与基を導入した分子を電子供与体とする、対面型ドナー・アクセプター化合物より成る、新規の機能性有機化合物に関する。

【0002】
【従来の技術】C60フラーレン分子は高い求電子性を有するため、C60フラーレン分子を電子受容体とするドナー・アクセプター化合物は、電子デバイス、光学デバイス、導電素子等の、機能性有機分子として、注目されている。C60フラーレン分子を電子受容体とするドナー・アクセプター化合物としては、これまでC60フラーレン分子と電子供与体を一点で連結した直線型化合物が知られており、それらの電子的あるいは光学的性質や機能が知られている。しかしながら、それらを材料として利用する場合、C60フラーレン分子の特異的形状のために分子間のスタックが不十分であり、集合体としての十分な性質、機能は発現しなかった。

【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記直線型C60フラーレン化合物の欠点を解決する、新規のドナー・アクセプター化合物を提供し、よって電子デバイス、光学デバイス、導電素子等の素材としての使用に適する新規化合物、即ち対面型ドナー・アクセプター化合物を提供する事にある。

【0004】
【課題を解決するための手段】従来の、1点で連結した直線型C60フラーレン分子の問題点を解決するために、電子受容体(アクセプター)であるC60フラーレン分子と、電子供与体(ドナー)である芳香族化合物を2点で連結した二付加体に、発明者らは注目した。両者を対面固定することによって、上述した欠点が克服され、電子授受の効率が向上する事が期待される。ドナー・アクセプター間の電荷移動相互作用は、フラーレンの対面型配置においてしばしば観察される。対面型ドナー・アクセプターC60化合物においては、ドナーとアクセプターが2点で固定されているため、C60フラーレン分子部位の運動が抑制され、強力な分子間スタックによって分子結晶となる。対面型ドナー・アクセプター系C60フラーレン化合物は、二官能性化合物であるので、各種高分子の合成材料となり、C60フラーレン分子を高分子主鎖に含む主鎖・側鎖併用型ドナー・アクセプター高分子を構築できる。これらの有機材料は、新規な電子材料、光学材料としての応用が期待できる(図1)。

【0005】
ところで、C60フラーレン分子と、テター(つなぎわ)としてのビスマロン酸エステルとを、I2 と1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)の存在下で反応させる事により、C60フラーレン分子と芳香族化合物を2点で連結した二付加体を合成する手法が報告された(Nierengarten.et al.Angew.Chem.Int.Ed.Engel.,1996,35,2101:F.Diederich et al.Helvetica Chemica Acta.,1997,80,2238)。発明者らはその手法に注目し、テターであるビスマロン酸エステルのベンゼン環に種々の電子供与基を導入する事により、より良いドナー・アクセプター相互作用を得る事を試みた。

【0006】
【発明の実施の形態】本発明の対面型ドナー・アクセプターC60フラーレン化合物は、ビスマロン酸エステルのベンゼン環に種々の電子供与基を導入しする事により、電子を豊富にしたてテターである電子供与体と、電子受容体であるC60フラーレン分子とを二カ所で結合させた
【化12】
JP0003148987B2_000013t.gifで示される化合物である。

【0007】
電子供与体であるビスマロン酸エステルのベンゼン環は、少なくとも二カ所が種々の電子供与基で置換されている必要がある。即ち、化学式12において示される、R1 、R2 、R3 及びR4 のうち少なくとも二つは、水酸基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基、無置換又は置換アリールオキシ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキルチオ基、無置換又は置換アリールチオ基、アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換アミノ基、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換アミノ基、無置換又は置換アリール基一置換アミノ基、若しくは無置換又は置換アリール基二置換アミノ基等で置換されている必要がある。これらの分子でベンゼン環が置換される事により電子供与体の電子が豊富となり、電子授受の効率が向上する。

【0008】
更に、C60フラーレン分子とテター分子は、二カ所で結合している必要がある。上記の化学式12においてX及びYは、X及びYはメチレン、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基一置換メチレン、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基二置換メチレン、無置換又は置換アリール基一置換メチレン、無置換又は置換アリール基二置換メチレン、エーテル酸素、チオエーテル硫黄、アミノ窒素、炭素数1ないし5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基置換アミノ窒素、若しくは無置換又は置換アリール基置換アミノ基等である。

【0009】
また、上記の化学式12のX及びYの間に、nが0ないし5のアルキレン鎖を含む事が可能である。Zはカルボニル酸素又はチオカルボニル硫黄等であり、R5 は炭素数1ないし5の直鎖又は分子鎖のアルキル基、無置換又は置換アリール基若しくはシリル基等である。又、C60フラーレン分子に結合した2つの置換メタノ基の位置は、シスー3、シスー2、シスー1、エカトリアル、トランスー4、トランスー3、トランスー2、トランスー1である。置換基の位置を、図2に示す。

【0010】
また、上記化合物を合成する方法も、本発明の範囲内である。ビスマロン酸エステル誘導体とC60フラーレン分子とを、トルエン等の有機溶媒中、I2 とDBUの存在下において室温で反応させる事により、本発明の化合物を合成する事ができる。

【0011】
【実施例】ビスマロン酸エステルの誘導体とC60フラーレン分子とを、トルエン中でI2とDBUの存在下において反応させる事(F.Diederich et al.Helvetica Chemica Acta.,1997,80,2238参照)により、トランス-4付加体を得た。尚、反応は室温で1晩反応させる事により行った。本反応を図3に示す。
(1)親化合物である、無置換体
(2)メトキシ基二置換体(R1 がメトキシ基、R2 が水素である)
(3)メトキシ基四置換体(R1 がメトキシ基、R2 がメトキシ基である)
(4)ビスメチレンジオキシ基二置換体である、(R1 -R2 がビスメチレンジオキシ基で架橋されている)

【0012】
本反応において、(1)の親化合物である無置換体の収率が33%であるにもかかわらず、(2)のメトキシ基二置換体の収率は71%、(3)のメトキシ基四置換体の収率は43%、(4)のビスメチレンジオキシ基二置換体の収率は35%であった。これらの結果は、(1)の親化合物に対して、特に(2)のメトキシ基二置換体において、生成物の収率及び選択性が向上している事を示している。

【0013】
生成物の物性について、UV/Visスペクトルにより測定し、検討した。その結果、470nm付近の吸収は、溶媒の極性の上昇と共に、(2)のメトキシ基二置換体では1nm、(3)のメトキシ基四置換体では7nm、短波長側にシフトした(図4)。蛍光スペクトルを測定(励起波長:415nm)したところ、(2)、(3)、(4)おいて720nm付近の蛍光が低下した(図5)。また、生成物のCVスペクトルを測定すると、第一還元酸化電位は(1)と比較して、(2)では0.08V、(3)では0.16V低下した。これらの結果から、電子供与体である電子豊富な芳香環と、求電子的な性質を有するアクセプターであるC60フラーレン分子との間で、効果的な電荷移動相互作用が存在している事が示された。

【0014】
【発明の効果】本発明により、C60フラーレン分子を電子受容体、ビスマロン酸エステルのベンゼン環に種々の電子供与基を導入した分子を電子供与体とする、新規の対面型ドナー・アクセプター化合物が提供された。当該化合物はその電荷移動相互作用により、電子デバイス、光学デバイス、導電素子等に使用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4