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明細書 :電磁波増幅器および電磁波発生器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3057229号 (P3057229)
登録日 平成12年4月21日(2000.4.21)
発行日 平成12年6月26日(2000.6.26)
発明の名称または考案の名称 電磁波増幅器および電磁波発生器
国際特許分類 H01S  3/30      
G02F  1/01      
FI H01S 3/30 A
G02F 1/01
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願平11-139890 (P1999-139890)
出願日 平成11年5月20日(1999.5.20)
審査請求日 平成11年5月20日(1999.5.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591006335
【氏名又は名称】金沢大学長
発明者または考案者 【氏名】山田 実
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
審査官 【審査官】河原 正
参考文献・文献 特開 平11-135861(JP,A)
特開 平10-270808(JP,A)
特表 昭62-502145(JP,A)
電子情報通信学会技術研究報告 Vol.197 No.360 p.39-44 電気学会 自由電子レーザ調査専門委員会編「自由電子レーザとその応用」(1990年8月15日)コロナ社 p.1-5,61-65
調査した分野 H01S 3/30
G02F 1/01
要約 【課題】 真空中の電子と、波状形状に加工された誘電体光導波路から真空中にしみ出した電磁波とを用いて電磁波増幅を行う、電磁波増幅器を実現する。
【解決手段】 電子放射部1と、該電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビーム4から受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を一方向に増幅する増幅部2とを真空中に配置して成る電磁波増幅器において、増幅部1は、電子ビーム走行方向に誘電体導波路6が形成された誘電体基板5と、誘電体導波路6を挟むように対向配置された電子ビーム収束用電極9,10とから成り、誘電体導波路6は、入力された電磁波12の一部と電子放射部1から放射される電子ビーム4とが交差することにより電子ビーム走行方向に電磁波の電界成分Eを生じさせるとともに、電子ビーム走行方向の電磁波の走行速度を低下させるように所定周期長の波状形状に形成されている。
特許請求の範囲 【請求項1】
電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を一方向に増幅する増幅部とを真空中に配置して成る電磁波増幅器であって、
前記増幅部は、電子ビーム走行方向に誘電体導波路が形成された誘電体基板と、前記誘電体導波路を挟むように対向配置された一対の電子ビーム収束用電極とから成り、
前記誘電体導波路は、入力された電磁波の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより電子ビーム走行方向に電磁波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビーム走行方向の電磁波の走行速度を低下させるように、その表面が所定周期長の波状形状に加工されていることを特徴とする電磁波増幅器。

【請求項2】
前記誘電体基板は、前記誘電体導波路の両端部にそれぞれ曲線部を介して直交方向から接続される入力導波路および出力導波路を具備して成ることを特徴とする請求項1記載の電磁波増幅器。

【請求項3】
前記誘電体導波路は、当該波長領域において透明性を有する高屈折率の材料であって、可視光領域に用いる場合にはZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaN 等のIII-V 族化合物半導体より成り、マイクロ波領域から近赤外領域に用いる場合にはSi, Ge等のIV族半導体、ZnSe,CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaAs, InP, GaNおよびこれらの混晶等のIII-V 族化合物半導体より成ることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波増幅器。

【請求項4】
電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームを利用して電磁波を発生する発振部とを真空中に配置して成る電磁波発生器であって、
前記発振部は、電子ビーム走行方向に誘電体導波路が形成された誘電体基板と、前記誘電体導波路を挟むように対向配置された一対の電子ビーム収束用電極とから成り、
前記誘電体導波路は、前記電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームに応じて発生する電磁波の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより電子ビーム走行方向に前記電磁波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビーム走行方向の電磁波の走行速度を低下させるように、その表面が2種類の周期長の波状形状を組み合わせた複合波状形状に加工されており、
前記誘電体導波路の利得定数は該誘電体導波路の損失係数以上となるように構成されていることを特徴とする電磁波発生器。

【請求項5】
前記誘電体基板は、前記誘電体導波路の終端部に曲線部を介して直交方向から接続される出力導波路を具備して成ることを特徴とする請求項4記載の電磁波発生器。

【請求項6】
前記誘電体導波路は、当該波長領域において透明性を有する高屈折率の材料であって、可視光領域に用いる場合にはZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaN 等のIII-V 族化合物半導体より成り、マイクロ波領域から近赤外領域に用いる場合にはSi, Ge等のIV族半導体、ZnSe,CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaAs, InP, GaNおよびこれらの混晶等のIII-V 族化合物半導体より成ることを特徴とする請求項4または5記載の電磁波発生器。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子工学、通信工学、電磁波工学、電子デバイス工学、量子電子工学、光エレクトロニクス、レーザ工学等の多くの分野に適用可能な、電磁波を一方向のみに増幅する電磁波増幅器および電磁波を発生する電磁波発生器に関するものである。

【0002】
【従来の技術】より大容量の情報をより高速に伝達したり処理する技術を開発する目的に向かって、エレクトロニクスは発展してきている。この目的のため、エレクトロニクスにおいては、より高い周波数領域を扱う技術が開発されており、1015という高い周波数に達する光の領域をも電子工学として扱うようになった。しかし、マイクロ波領域~光領域(109 ~1015Hz)では、エレクトロニクスの主役であるトランジスタやICが利用できないため、代わりに特殊な素子や方式が用いられている結果、以下のような種々の技術的な制約が存在していた。

【0003】
光領域(1014~1015Hz)では、信号を発生させたり増幅する能動素子としてレーザが用いられているが、レーザ内では前進する信号および後退する信号の両方を増幅してしまう。つまり、レーザにおいては信号増幅が一方向性(非可逆)とはならず、双方向性(可逆)となっている。このレーザの双方向性の増幅特性はトランジスタや電子管が有する一方向性の増幅特性とは対照的であり、この一方向性の増幅特性を利用してコンピュータにおける論理演算が可能になっていることを考慮すると、光領域(1014~1015Hz)において能動素子としてレーザを用いたのでは、光そのものを制御する情報処理を実現することができない。

【0004】
マイクロ波領域(109 ~1011Hz)では、一方向性の能動素子として進行波管が用いられている。進行波管は、一方向性の機能電子素子である通常の電子管やトランジスタの動作可能周波数の上限値(1GHz=109 Hz程度)を上回る、最も高い動作可能周波数を有する一方向性の電子管である。この進行波管は、金属による遅延伝送路を用いて電磁波の伝搬速度を低下させ、この電磁波に電子銃から放射された電子ビームがエネルギーを与えるものであり、周囲を真空にすることにより、電子が周囲物質と衝突して散乱することに伴うエネルギー損失を抑制している。

【0005】
この進行波管では、電子ビームの速度および電磁波の伝搬速度が一致したときに電磁波が増幅されるため、逆方向へ伝搬する電磁波は増幅されない。しかし、波長は高周波になるほど短くなり、進行波管の使用周波数の上限値は伝送路の金属加工技術により決定されるため、進行波管は数十GHz以上の周波数では使用できない。したがって、1011Hzを越える周波数で使用し得る進行波管を作製することは、現在の金属加工技術の限界を遥かに越えることになり、現時点では不可能である。

【0006】
1011~1014Hzの周波数帯はサブミリ波から赤外線の領域になるが、この領域はエレクトロニクスとしては未開発の領域である。つまり、この領域でのコヒーレントな(位相の制御された)電磁波増幅器や電磁波発生器(発振器)等は、未だに実用化に至っていない。上記領域の利用が困難である理由は、物質中の電子散乱(衝突)や熱的な分子運動等の不規則な現象が支配する周波数帯となっているからである。しかしながら、1011~1014Hzの周波数帯に関する技術は、大気中の汚染物質の検出等、環境問題の解決のための技術を提供するばかりでなく、1014~1014Hzをキャリア周波数として使用する光通信技術において超大容量の伝送を可能にする技術として、開発が期待されている。

【0007】
マイクロ波領域から光領域で電磁波の発生および増幅が可能な装置としては、一方向性の電磁波増幅作用を有する自由電子レーザやチャンレンコフ・メーザがある。自由電子レーザは、広範囲な波長で発振可能な光発生装置であり、他種類のレーザとは異なる動作原理を用いて、真空中で一方向に伝搬する電子ビームのエネルギーを光に与えるようにしているため、電子ビームと同ー方向に伝搬する光成分のみを増幅する特性を有している。しかし、自由電子レーザは、光の発生に主眼を置いて開発されたものであるため、上記一方向性増幅特性を生かすような設計は行われていない。さらに、自由電子レーザやチャンレンコフ・メーザでは、動作電圧(電子ビームの励起電圧)が1MV以上と極めて高く、また電子ビームに振動を与えるために超高磁場を必要とすることから、特殊な高エネルギー用途を目標に開発されているため、エレクトロニクスへの利用は困難である。

【0008】
上述した種々の問題を解決するため、本願発明者は、先に、特開平10-270808号公報において、固体中の電子ビームを用いた一方向性光増幅器を提案済みである。この一方向性光増幅器では、固体中に放射される電子ビームを走行させるための電子ビーム走行路と、増幅すべき光を遅延させるための誘電体遅延導波路とを組み合わせることにより、光(電磁波)の一方向性増幅が実現可能であることを理論的に示している。

【0009】
また、上述した種々の問題を解決するため、本願発明者は、先に、特願平9-293819号明細書において、真空中に放射される電子ビームを用いた電子管型一方向性光増幅器を提案済みである。この電子管型一方向性光増幅器では、真空中に配置されて光の遅延導波路を形成する一対の波状形状鏡を用いて、電子放射部から放射される電子ビームから受けたエネルギーを利用して、入力された光を一方向に増幅する光増幅部を構成することにより、光(電磁波)の一方向性増幅が実現可能であることを理論的に示している。

【0010】
さらに、上述した種々の問題を解決するため、本願発明者は、先に、特願平10-231251号明細書において、真空中に放射される電子ビームを用いた一方向性光増幅器を提案済みである。この一方向性光増幅器では、真空中に放射される電子ビームを走行させるための電子ビーム走行路と、増幅すべき光を遅延させるための誘電体遅延導波路とを組み合わせることにより、光(電磁波)の一方向性増幅が実現可能であることを理論的に示している。

【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記本願発明者の先願(特開平10-270808号公報)の一方向性光増幅器にあっては、電子ビーム走行部を例えばZnSeで構成した場合には加速電圧が2.5Vを超えると電子が走行できなくなるため、電子ビームの加速電圧を大きくすることができず、電磁界の空間的位相変化が極めて微細になるため、遅延導波路の作製をnm以下の精度で行う必要がある。そのため、今後の作製技術の進展が課題となっている。また、上記本願発明者の先願(特願平9-293819号明細書)の電子管型一方向性光増幅器にあっては、上記と同様の理由により、波状形状鏡の作製をnm以下の精度で行う必要があるため、今後の作製技術の進展が課題となっている。さらに、上記本願発明者の先願(特願平10-231251号明細書)の一方向性光増幅器にあっては、直線状の誘電体導波路により光を遅延させているため、数十KVの動作電圧が必要となり、動作電圧の低減が課題となっている。

【0012】
本発明は、真空中の電子と、誘電体導波路から真空中にしみ出した電磁波とを用いた電磁波増幅により、これまで不可能と思われていたマイクロ波領域から光領域までの領域の電磁波の一方向性増幅を実現する装置を電磁波増幅器として具体化することにより、上述した問題を解決することを第1の目的とする。本発明は、真空中の電子と、誘電体導波路から真空中にしみ出した電磁波とを用いて、これまで不可能と思われていたマイクロ波領域から光領域までの領域の電磁波を発生する装置を電磁波発生器として具体化することを第2の目的とする。

【0013】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的のため、本発明の請求項1の構成は、電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームから受けたエネルギーを利用して入力された電磁波を一方向に増幅する増幅部とを真空中に配置して成る電磁波増幅器であって、前記増幅部は、電子ビーム走行方向に誘電体導波路が形成された誘電体基板と、前記誘電体導波路を挟むように対向配置された一対の電子ビーム収束用電極とから成り、前記誘電体導波路は、入力された電磁波の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより電子ビーム走行方向に電磁波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビーム走行方向の電磁波の走行速度を低下させるように、その表面が所定周期長の波状形状に加工されていることを特徴とする。

【0014】
本発明の請求項2の構成は、前記誘電体基板は、前記誘電体導波路の両端部にそれぞれ曲線部を介して直交方向から接続される入力導波路および出力導波路を具備して成ることを特徴とする。

【0015】
本発明の請求項3の構成は、前記誘電体導波路は、当該波長領域において透明性を有する高屈折率の材料であって、可視光領域に用いる場合にはZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaN 等のIII-V 族化合物半導体より成り、マイクロ波領域から近赤外領域に用いる場合にはSi, Ge等のIV族半導体、ZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaAs, InP, GaNおよびこれらの混晶等のIII-V 族化合物半導体より成ることを特徴とする。

【0016】
上記第2の目的のため、本発明の請求項4の構成は、電子ビームを放射する電子放射部と、該電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームを利用して電磁波を発生する発振部とを真空中に配置して成る電磁波発生器であって、前記発振部は、電子ビーム走行方向に誘電体導波路が形成された誘電体基板と、前記誘電体導波路を挟むように対向配置された一対の電子ビーム収束用電極とから成り、前記誘電体導波路は、前記電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームに応じて発生する電磁波の一部と前記電子放射部から放射される電子ビームとが交差することにより電子ビーム走行方向に前記電磁波の電界成分を生じさせるとともに、電子ビーム走行方向の電磁波の走行速度を低下させるように、その表面が2種類の周期長の波状形状を組み合わせた複合波状形状に加工されており、前記誘電体導波路の利得定数は該誘電体導波路の損失係数以上となるように構成されていることを特徴とする。

【0017】
本発明の請求項5の構成は、前記誘電体導波路の終端部に曲線部を介して直交方向から接続される出力導波路を具備して成ることを特徴とする。

【0018】
本発明の請求項6の構成は、前記誘電体導波路は、当該波長領域において透明性を有する高屈折率の材料であって、可視光領域に用いる場合にはZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaN 等のIII-V 族化合物半導体より成り、マイクロ波領域から近赤外領域に用いる場合にはSi, Ge等のIV族半導体、ZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaAs, InP, GaNおよびこれらの混晶等のIII-V 族化合物半導体より成ることを特徴とする。

【0019】
本発明の請求項1においては、真空中に配置される増幅部に入力される電磁波は、前記増幅部を構成する誘電体基板の電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路内を伝搬する際に、その一部が該誘電体導波路から真空中にしみ出し、このしみ出した電磁波と前記電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームとが交差することにより電磁波の電界成分が生じる。その際、前記誘電体導波路の表面の所定周期長の波状形状および該誘電体導波路の有効屈折率に依存して電磁波の電子ビーム走行方向の走行速度が低下するため、前記電磁波の電界成分が電子ビーム(この電子ビームは、真空中を走行するため、周囲物質との衝突による散乱に伴うエネルギー損失が抑制されている)からエネルギーを受けて前記電磁波が一方向に増幅される。

【0020】
本発明の請求項1によれば、増幅部に形成される誘電体導波路において電子走行方向への電磁波の走行速度を遅延させるとともに真空中にしみ出した電磁波と真空中を走行する電子ビームとを交差させることにより電磁波の電界成分が生じるように構成したため、真空中の電子と電磁波の電界成分とを用いて電磁波の一方向性増幅を行う電磁波増幅器を実現することができる。また、この電磁波増幅器は、主に前記誘電体導波路の表面の所定周期長の波状形状に依存して電磁波の電子ビーム走行方向の走行速度を低下させるため、特願平10-231251号明細書の一方向性光増幅器に比べて大幅に動作電圧を低下させることができる。

【0021】
本発明の請求項2によれば、前記誘電体基板は前記誘電体導波路の両端部にそれぞれ曲線部を介して直交方向から接続される入力導波路および出力導波路を具備しているため、前記入力導波路から導いた電磁波を前記誘電体導波路で電磁波増幅した後に前記出力導波路から出力することができる。

【0022】
本発明の請求項3によれば、前記誘電体導波路は、当該波長領域において透明性を有する高屈折率の材料であって、可視光領域に用いる場合にはZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaN 等のIII-V 族化合物半導体により構成され、マイクロ波領域から近赤外領域に用いる場合にはSi, Ge等のIV族半導体、ZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaAs, InP, GaNおよびこれらの混晶等のIII-V 族化合物半導体により構成されるため、前記誘電体導波路に形成した所定周期長の波状形状に比べると低下効果は小さいが、可視光領域の電磁波を対象とする場合もマイクロ波領域から近赤外領域の電磁波を対象とする場合も、当該誘電体導波路の有効屈折率に依存して前記増幅部における電子ビーム走行方向の電磁波の走行速度を低下させることができる。

【0023】
本発明の請求項4においては、電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームに応じて、発振部を構成する誘電体基板の電子ビーム走行方向に形成された誘電体導波路内に電磁波が発生する。この電磁波の一部が前記誘電体導波路から真空中にしみ出し、このしみ出した電磁波と前記電子放射部から放射されて真空中を走行する電子ビームとが交差することにより電磁波の電界成分が生じる。その際、前記誘電体導波路の表面の2種類の周期長の一方および該誘電体導波路の有効屈折率に依存して電磁波の電子ビーム走行方向の走行速度が低下するため、前記電磁波の電界成分が電子ビーム(この電子ビームは、真空中を走行するため、周囲物質との衝突による散乱に伴うエネルギー損失が抑制されている)からエネルギーを受ける。ここで、前記2種類の周期長の他方が前記電磁波の波長に関する条件を満足し、かつ、前記誘電体導波路の利得定数が損失係数以上になる場合には、誘電体導波路16で前記電磁波が反射して発振が起こり、前記電磁波が所望の周波数領域(マイクロ波領域から光領域までの領域)の電磁波となる。

【0024】
本発明の請求項4によれば、真空中にしみ出した電磁波と真空中を走行する電子ビームとを交差させることにより電磁波の電界成分を発生させるとともに発振部に形成される誘電体導波路において電子走行方向への電磁波の走行速度を遅延させて、前記電磁波を発振させるように構成したため、上記所望の周波数領域の電磁波を発生する電磁波発生器を実現することができる。

【0025】
本発明の請求項5によれば、前記誘電体基板は前記誘電体導波路の終端部に曲線部を介して直交方向から接続される出力導波路を具備しているため、前記誘電体導波路内で発生して所望の周波数領域の電磁波となった電磁波を前記出力導波路から出力することができる。

【0026】
本発明の請求項6によれば、前記誘電体導波路は、当該波長領域において透明性を有する高屈折率の材料であって、可視光領域に用いる場合にはZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaN 等のIII-V 族化合物半導体により構成され、マイクロ波領域から近赤外領域に用いる場合にはSi, Ge等のIV族半導体、ZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaAs, InP, GaNおよびこれらの混晶等のIII-V 族化合物半導体により構成されるため、前記誘電体導波路に形成した2種類の周期長の波状形状を組み合わせた複合波状形状に比べると低下効果は小さいが、可視光領域の電磁波を対象とする場合もマイクロ波領域から近赤外領域の電磁波を対象とする場合も、当該誘電体導波路の有効屈折率に依存して前記増幅部における電子ビーム走行方向の電磁波の走行速度を低下させることができる。

【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施形態に係る電磁波増幅器の基本構造を示す原理図およびそのA-A断面図である。本実施形態の電磁波増幅器は、図1(a)に示すように、電子放射部1と増幅部2とから成る。上記電子放射部1および増幅部2は、図示しない真空容器中に配置して、例えば電子管型装置として構成する。なお、上述したように電子放射部1および増幅部2の周囲を真空にした理由は、電子放射部1から放射される電子が増幅部2内を通過する際に不要な物質に衝突して散乱することによりエネルギー損失が生じるのを防止するためである。上記電子放射部1としては、例えば電子銃を用いるものとし、この電子銃1は、所定電圧値の加速電圧を印加することにより電子ビーム4を放射する。

【0028】
上記増幅部2は、誘電体基板5と、誘電体基板5上の電子ビーム走行方向(図示z軸方向)に形成された誘電体導波路6と、図1(b)に示すように、誘電体導波路6の図示左右両端部にそれぞれ曲線部を介して直交方向から接続される入力導波路7および出力導波路8と、誘電体導波路6を上下方向から挟むように対向配置された一対の電子ビーム収束用電極9および10とから成り、電子ビーム収束用電極10は誘電体基板5の下面に結合されている。上記誘電体導波路6は、後述するように電磁波を遅延させるため、図2に示すように表面(電子ビーム走行路側の面)が周期長λg の凹凸波状形状に加工されている。上記電子ビーム収束用電極9および10の間に、所定電圧値の電子ビーム収束電圧11を、電子ビーム収束用電極9側が負電位となり、電子ビーム収束用電極10側が正電位となるように印加すると、誘電体基板5の誘電体導波路6の上部に形成される電子ビーム走行路を走行する電子ビーム4は、誘電体導波路6の表面に収束する。

【0029】
上記誘電体導波路6を構成する材料としては、利用する電磁波の波長において、屈折率ができる限り高く、かつ透明性を有する材料が良い。これらの条件に該当する材料としては、可視光領域に用いる場合にはZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaN 等のIII-V 族化合物半導体を用いることができる。また、マイクロ波領域から近赤外領域に用いる場合には、Si, Ge等のIV族半導体、ZnSe, CdS およびこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体もしくはGaAs, InP, GaNおよびこれらの混晶等のIII-V 族化合物半導体を用いることができる。

【0030】
上記誘電体基板5を構成する材料としては、利用する電磁波の波長領域において、屈折率ができる限り低く、かつ透明性を有する材料が良い。これらの条件に該当する材料としては、マイクロ波領域から可視光領域までの全範囲において、石英ガラスや有機物等を用いることができる。上記電子ビーム収束用電極9および10を構成する材料としては、Ni, Ag, Alや各種合金等の金属材料を用いることができる。

【0031】
次に、第1実施形態の電磁波増幅器の動作原理を説明する。電磁波(入射電磁波12)の角周波数および波長をそれぞれωおよびλとし、電子銃1により放射される電子のエネルギーおよび波数をそれぞれWb およびkb とし、電磁波にエネルギーを与えた後の電子のエネルギーおよび波数をそれぞれWa およびka とし、プランク定数をhとし、誘電体導波路6の有効屈折率をnとすると、以下の式(1)および(2)の関係が満たされる場合に電磁波が増幅される。なお、逆方向の電磁波は波長が負の値となり式(2)を満足しないので増幅されない。また、電子走行方向(z方向)に電磁波の電界成分が無いと電磁波は増幅されない。
b -Wa =h・ω/2π (1)
b -Ka =2πn/λ+2π/λg (2)

【0032】
上記式(1)は電子および電磁波の間でのエネルギー保存則を表わしており、上記式(2)は電子および電磁波の間での運動量保存則を表わしている。一般的には、Kb -Ka ≫2πn/λであるため、自由空間を伝搬する電磁波に対しては上記式(2)の運動量保存則が成立せず、電磁波は増幅されない。しかし、本実施形態では、誘電体導波路6の表面が周期長λg の凹凸波状形状に加工されているため、誘電体導波路6内を伝搬する際に電磁波の電子ビーム走行方向の走行速度が低下する結果、上記式(2)が運動量保存則として成立し、電磁波の増幅が実現されることになる。なお、誘電体導波路6での伝搬速度はc/nとなるため、誘電体導波路6の有効屈折率nは電磁波の電子ビーム走行方向の走行速度の低下に寄与するが、上記凹凸波状形状の場合に比べて走行速度の低下に寄与する程度は十分に小さくなる。

【0033】
上述した増幅部2での電磁波増幅作用は、量子力学の解析手法の1つである密度行列法を用いて理論解析され、利得定数gは、次式で表わされる。
【数1】
JP0003057229B1_000002t.gifここで、μ0 は真空中の透磁率、eは電子の電荷、λは電磁波の波長、Jは電子ビームの電流密度、Lは増幅部2の有効長、nは誘電体導波路6の有効屈折率、hはプランクの定数、ξは真空中にしみ出した電磁波の電界成分14の比率および電子ビーム収束性により定まる、電磁波および電子ビームの結合率、Cは波状形状による電磁波および電子ビームの結合率、Dは増幅および吸収の相違を示す係数である。

【0034】
増幅部2における電磁波増幅率Aは、次式で表わされる。
A= exp(gL) (4)
この場合、電磁波増幅に必要な加速電圧Vb は、電子の質量をmとすると、次式で表わされる。
【数2】
JP0003057229B1_000003t.gifここで、mは電子の質量、cは自由空間での光速である。上記式(5)から明らかなように、誘電体導波路6の波状形状の周期長λg を短くすればするほど、加速電圧Vb を低くすることができる。ただし、周期長λg を短くするほど結合率Cが小さくなって利得定数gが低下するので、加速電圧Vb には所定の下限値が存在する。

【0035】
次に、本実施形態の電磁波増幅器の作用を説明する。入射電磁波12は、図1(b)に示すように、電子ビーム走行方向と直交する方向に形成された入力導波路7から入射して、曲線部で方向を90度変えられて誘電体導波路6に導かれた後、増幅されながら誘電体導波路6を伝搬する。その後、曲線部で方向を90度変えられて出力導波路8に導かれ、そこから出射して出力電磁波13となる。

【0036】
その際、誘電体導波路6に導かれた電磁波は、誘電体導波路6の表面の波状形状の周期長λg (および誘電体導波路6の有効屈折率n)に依存して電子走行方向への走行速度を遅延されて、電子ビーム4からエネルギーを受けられる程度の速度となる(周期長λg が小さくなるほど電磁波の速度が遅延されることになる)。また、誘電体導波路6に導かれた電磁波は、誘電体導波路6の中心に集まるように分布して導波されるが、導波路中に完全に閉じこめられることはなく、誘電体導波路6中を伝搬する電磁波の一部は、誘電体基板5側および真空側(誘電体基板5の上部の電子ビーム走行路側)にしみ出す。この真空側にしみ出した電磁波は電子ビーム4と交差するため、図1(a)中の模式図にEで示すような電子ビーム走行方向(z方向)の電界成分14が生じる。この電界成分14は、電子ビーム4からエネルギーを受けるため、電磁波全体が増幅されることになる。

【0037】
図3(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施形態に係る電磁波発生器の基本構造を示す原理図およびそのB-B断面図である。本実施形態の電磁波発生器は、図3(a)に示すように電子放射部1と発振部15とから成る。この発振部15は、図3(b)に示すように、誘電体基板5上の電子ビーム走行方向(図示z軸方向)に形成された誘電体導波路16の図示左端部に入力導波路が存在していない点と、誘電体導波路16の表面に図4に示すような複合波状形状が形成されている点で、上記第1実施形態とは相違している。なお、その他の部分は上記第実施形態と同様に構成する。

【0038】
上記誘電体導波路16の表面(電子ビーム走行路側の面)は、図4に示すように、隣接する波状形状間の周期長がλg となるとともに、同一パターンを繰り返す波状形状群間の周期長がλf となる、複合波状形状に加工されている。これらの内、周期長成分λg は、上記第1実施形態の電磁波増幅器と同様に式(2)を成立させるための構造を規定している。

【0039】
一方、周期長成分λf は、
λf =λ/(2n) (6)
に選定されるものであり、誘電体導波路16で電磁波を反射させて発振させるための構造を規定している。ここで、誘電体導波路16の損失係数をαとすると、発振の条件は次式で表わされる。
g≧α (7)

【0040】
本実施形態の電磁波発生器においては、電子放射部1から放射されて真空中を走行する電子ビーム4に応じて、発振部15を構成する誘電体基板5の電子ビーム走行方向(z方向)に形成された誘電体導波路16内に電磁波が発生する。この電磁波の一部が誘電体導波路16から真空中にしみ出し、このしみ出した電磁波と電子放射部1から放射されて真空中を走行する電子ビーム4とが交差することにより電磁波の電界成分Eが生じる。その際、誘電体導波路16の表面の波状形状の周期長λg が上記式(2)を満足していると、該波状形状および誘電体導波路16の有効屈折率nに依存して電磁波の電子ビーム走行方向の走行速度が低下するため、前記電磁波の電界成分Eが電子ビーム(この電子ビームは、真空中を走行するため、周囲物質との衝突による散乱に伴うエネルギー損失が抑制されている)からエネルギーを受ける。ここで、周期長λf が上記(6)式を満足し、かつ、誘電体導波路16の利得定数gが損失係数α以上であれば上記式(7)が成立するため、誘電体導波路16で前記電磁波が反射して発振が起こり、前記電磁波が所望の周波数領域(マイクロ波領域から光領域までの領域)の出力電磁波13となる。

【0041】
次に、上記電磁波増幅(電磁波発生)を実現する上記実施形態の電磁波増幅器(電磁波発生器)と、上述した従来技術および本願発明者の先願(特開平10-270808号公報、特願平9-293819号明細書および特願平10-231251号明細書)とを比較して、共通点および相違点を説明する。

【0042】
第1に、上記第1実施形態は、電磁波を一方向にのみ増幅する素子または装置であるため、双方向への可逆増幅を行う従来技術である「レーザ」とは本質的に異なる機能を有している。第2に、上記各実施形態における電磁波増幅の原理は、上記本願発明者の先願と同様に、発明者による新たな理論解析により予見された現象である。第3に、上記各実施形態の電磁波増幅器や電磁波発生器は、原理的にマイクロ波領域から可視光領域までの全範囲で動作可能である。

【0043】
第4に、上記本願発明者の先願の「一方向性増幅器」(特開平10-270808号公報)とは、電子ビームによる電磁波増幅である点で共通している。しかし、上記本願発明者の先願が固体中の電子を使用しているのに対し、上記各実施形態は真空中の電子を使用している点で両者は相違している。さらに、上記各実施形態は表面を波状形状に加工した誘電体導波路により電磁波を遅延させている点で、電磁波を蛇行させるような複雑な形状の誘電体導波路を用いる上記本願発明者の先願と相違している。

【0044】
第5に、上記本願発明者の先願の「電子管型一方向性増幅器」(特願平9-293819号明細書)とは、真空中の電子ビームによる電磁波増幅である点で共通している。しかし、上記本願発明者の先願が2枚の波状形状鏡間を反射させることにより電磁波を遅延させているのに対し、上記各実施形態は表面を波状形状に加工した誘電体導波路により電磁波を遅延させている点で、上記本願発明者の先願と相違している。

【0045】
第6に、上記本願発明者の先願の「一方向性増幅器」(特願平10-231251号明細書)とは、真空中の電子ビームおよび誘電体による導波路を用いた電磁波増幅器である点で共通している。しかし、上記本願発明者の先願が直線状の導波路により電磁波を遅延させているため数十KVの動作電圧を必要とするのに対し、上記各実施形態は表面を波状形状に加工した誘電体導波路により電磁波を遅延させているため数KV以下の動作電圧で動作可能である点で、上記本願発明者の先願と相違している。

【0046】
第7に、上記各実施形態は、真空中で電子銃から放射される電子ビームを用いる電磁波増幅である点および電磁波の遅延導波路を有している点で「進行波管」と類似している。しかし、進行波管では電磁波の遅延を螺旋状(コイル状)線路で行っているが、上記各実施形態では表面を波状形状に加工した誘電体導波路で電磁波を遅延させている点で両者は相違している。また、進行波管はマイクロ波領域では使用できるが、サブミリ波よりも高い周波数領域では利用できない。

【0047】
第8に、上記各実施形態は、真空中で電子銃から放射される電子ビームを用いる電磁波増幅である点および誘電体延導波路を使用した電磁波増幅器である点で「自由電子レーザ」や「チャレンコフ・メーザ」と類似している。しかし、自由電子レーザやチャレンコフ・メーザでは円筒状の誘電体導波路により電磁波を遅延させているため約1MVの動作電圧を必要とするが、上記各実施形態では表面を波状形状に加工した誘電体導波路で電磁波を遅延させているため数KV以下の動作電圧で動作可能である点で両者は相違している。

【0048】
以上説明したように、上記各実施形態によれば、現在までに実現されていない単一方向性の電磁波増幅を行う電磁波増幅器や電磁波発生器を実現することができる。このような電磁波増幅器や電磁波発生器の出現は、いわば光周波数領域における電子管やトランジスタの発明に相当するようなものであり、現状のマイクロ波通信、光通信技術、光計測技術、光記録技術等の信号処理を中心とした光エレクトロニクス分野の継続的な発展の他に、電気工学、電子工学、情報工学の分野の飛躍的な発展が期待できる。さらに、上記第1実施形態の電磁波増幅器は、材料加工や核融合等の高エネルギー電磁波の用途や物質の分析化学等への利用も期待できる。

【0049】
上記電磁波増幅器の実現による最大の利点は、光信号を用いた回路合成が可能になることであり、これにより、光発振器、光増幅器、光変調器、光スイッチ、光メモリ等の各種の光機能素子を光回路として構成することができる。例えば、上記電磁波増幅器を光ファイバ通信用の光源に適用したり、各種光計測器に適用した場合、光アイソレータを用いなくても、反射戻り光の障害が生じなくなる。また、光ディスクにおける光ピックアップに適用した場合、反射戻り光の影響はなくなり、高品位の光信号を維持することができる。また、増幅条件を適宜変更することにより光変調器や光スイッチの構成になり、光共振器を挿入すると光発生器になる等、幾多の光機能素子への応用が可能である。また、CD(コンパクトディスク)装置に適用した場合、レーザ光を一方向で増幅することにより低雑音化することが可能になる。

【0050】
また、レーザ光のエネルギーを利用したレーザ加工機やレーザメス等においては、レーザ発振器からのレーザ光を上記電磁波増幅器で増幅して出射するように構成することにより、対象物からの反射戻り光があっても動作が変動しない安定化されたシステムとすることができる。

【0051】
また、上記各実施形態の電磁波増幅器や電磁波発生器は、原理的にマイクロ波領域から可視光領域までの全範囲で動作可能であるため、光領域やマイクロ波領域のみならず、THz領域あるいは遠赤外線領域にも適用可能であり、これまで技術的にほとんど未開発であった電磁波領域(サブミリ波から赤外線の領域;1011~1014Hzの周波数帯)を利用することも可能になる。したがって、THz帯から遠赤外線領域で電磁波発生や増幅を行う装置(例えばTHz帯増幅器、THz帯発振器、遠赤外線増幅器や遠赤外線発坂器)に適用することが可能になる。このように1011~1014Hzの電磁波の増幅や発生が可能になると、通信技術の伝送容量を飛躍的に増大させることが可能になるばかりでなく、物質成分の分析化学等にも応用することができる。

【0052】
【実施例】図1(a),(b)に示すように電子放射部(電子銃)1および増幅部2を構成し、誘電体基板5に石英ガラスを用い、誘電体導波路6にGaAsを用いるとともに電子ビーム収束用電極9および10にAlを用いる。この構成において、電子銃1に加速電圧3を印加するとともに入力導波路7から電磁波12を入力させると、増幅された電磁波13が出力導波路8から出力される。この場合、理論解析を行うと、波長λ=100μmの遠赤外線で、印加電圧(加速電圧Vb )3をVb =2.5KVとし、電流密度JをJ=100A/cm2とすると、増幅部2の長さLを3cmとした場合には、1000倍以上の増幅率Aが得られる。

【0053】
また、図3(a),(b)に示すように電子放射部(電子銃)1および発振部15を構成し、誘電体基板5に石英ガラスを用い、誘電体導波路16にGaAsを用いるとともに電子ビーム収束用電極9および10にAlを用いる。この構成において、電子銃1に加速電圧3を印加すると、電磁波13が出力導波路8から出力される。この場合、理論解析を行うと、周期長λf をλf =29.4μmとし、印加電圧(加速電圧Vb )3をVb =2.5KVとし、電流密度JをJ=100A/cm2 とし、増幅部2の長さLを3cmとした場合には、式(7)により波長λ=100μmの遠赤外線が得られる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3