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明細書 :共振型漏洩波空中線

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3062602号 (P3062602)
登録日 平成12年5月12日(2000.5.12)
発行日 平成12年7月12日(2000.7.12)
発明の名称または考案の名称 共振型漏洩波空中線
国際特許分類 H01Q 13/10      
H01Q 21/06      
FI H01Q 13/10
H01Q 21/06
請求項の数または発明の数 8
全頁数 9
出願番号 特願平11-055784 (P1999-055784)
出願日 平成11年3月3日(1999.3.3)
審査請求日 平成11年3月3日(1999.3.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391016923
【氏名又は名称】北海道大学長
発明者または考案者 【氏名】伊藤 精彦
【氏名】山本 学
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
審査官 【審査官】富澤 哲生
参考文献・文献 特開 平6-77723(JP,A)
特開 平5-183333(JP,A)
特開 平1-194702(JP,A)
IEEE Trans,MTT,Vol.46,No.11,1998,pp.1767-1773
調査した分野 H01P 5/02 607
H01P 5/08
H01Q 13/00 - 13/28
H01Q 21/00 - 21/30
要約 【課題】 構造が簡単で、かつ良好な指向性を有し、所望の周波数の漏洩波を効率良く放射できる新規な共振型漏洩波空中線を提供する。
【解決手段】 接地板1と、該接地板1の一方の面上にそれぞれ垂直に接して平行に離間対向して配置した二枚の金属平板2と、これら二枚の金属平板2間に、該二枚の金属平板2および接地板1に接して配置した誘電体ロッド4と、該誘電体ロッド4に給電する給電手段5とを有し、二枚の金属平板2間の開口3から共振型の波源分布を有する漏洩波を放射するよう構成する。
特許請求の範囲 【請求項1】
接地板と、該接地板の一方の面上にそれぞれ垂直に接して平行に離間対向して配置した二枚の金属平板と、これら二枚の金属平板間に、該二枚の金属平板および上記接地板に接して配置した誘電体ロッドと、該誘電体ロッドに給電する給電手段とを有し、
前記二枚の金属平板間の開口から共振型の波源分布を有する漏洩波を放射するよう構成したことを特徴とする共振型漏洩波空中線。

【請求項2】
前記給電手段は同軸線路を有し、該同軸線路の外導体を前記接地板に接続し、内導体を前記誘電体ロッドの端面の中央に接触させたことを特徴とする請求項1記載の共振型漏洩波空中線。

【請求項3】
前記給電手段は、前記接地板の前記誘電体ロッドの中央部に対応する部分に形成したスロットと、前記接地板の他方の面上に誘電体層を介して形成したマイクロストリップ線路とを有し、
前記マイクロストリップ線路により前記スロットを介して給電するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の共振型漏洩波空中線。

【請求項4】
接地板と、該接地板の一方の面上に平行に配列して設けた複数のアンテナ素子と、これらアンテナ素子に給電する給電手段とを有すると共に、前記各アンテナ素子は、前記接地板にそれぞれ垂直に接して平行に離間対向して配置した二枚の金属平板と、これら二枚の金属平板間に、該二枚の金属平板および上記接地板に接して配置した誘電体ロッドとを具え、
前記各アンテナ素子において、前記二枚の金属平板間の開口から共振型の波源分布を有する漏洩波を放射するよう構成したことを特徴とする共振型漏洩波空中線。

【請求項5】
前記給電手段は方形導波管を有し、該方形導波管のH面に前記接地板の他方の面を接して配置すると共に、前記各アンテナ素子の前記誘電体ロッドの中央部に対応して前記方形導波管のH面および前記接地板にそれぞれ連通するようにスロットを形成して、前記方形導波管から前記複数のアンテナ素子に給電するよう構成したことを特徴とする請求項4記載の共振型漏洩波空中線。

【請求項6】
前記方形導波管内に移相器を配置して、前記複数のアンテナ素子に異なる位相で給電するよう構成したことを特徴とする請求項5記載の共振型漏洩波空中線。

【請求項7】
前記給電手段は、前記各アンテナ素子の前記誘電体ロッドの中央部に対応して前記接地板に形成したスロットと、前記接地板の他方の面上に誘電体層を介して形成したマイクロストリップ線路とを有し、
前記マイクロストリップ線路により対応する前記スロットを介して前記各アンテナ素子に給電するよう構成したことを特徴とする請求項4記載の共振型漏洩波空中線。

【請求項8】
方形導波管と、該方形導波管のH面中央部に両端面に亘って延在して形成した空隙と、該空隙を介して前記方形導波管のH面にそれぞれ垂直に接して両端面に亘って平行に延在する二枚の金属平板と、これら二枚の金属平板の両端面および前記方形導波管の両端面をそれぞれ短絡する金属短絡板と、前記方形導波管の前記空隙を形成したH面と対向する面に外導体を接続し、内導体を前記方形導波管内に挿入して設けた給電用の同軸線路とを有し、
前記方形導波管をTE01モードが支持されるように形成して、前記二枚の金属平板間の開口から共振型の波源分布を有する漏洩波を放射するよう構成したことを特徴とする共振型漏洩波空中線。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、漏れ導波路のカットオフ周波数近傍における共振現象を利用して、共振型の波源分布を有する漏洩波を放射させる新規な共振型漏洩波空中線に関するものである。

【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やPHSなどの移動体通信の普及に伴い、無線に利用できる周波数資源の枯渇が問題となってきている。さらに、無線LANなどの高速データ通信を無線で行なう動きや、自動車の衝突防止を電波を用いるレーダで行なうことも活発となってきている。これらの周波数資源の需要の高まりは、情報通信の先進国である米国を始め欧州、さらには情報通信のインフラストラクチャーの構築を積極的に進めている韓国などのアジア諸国でも同様である。このように逼迫している周波数資源に対応する有力な未利用周波数資源として、マイクロ波帯、特にミリ波帯が注目されている。

【0003】
このようなミリ波帯での空中線としては、種々のものが提案されているが、構成が簡単なものとして、漏れ導波路を用いるものがある。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提案されている漏れ導波路を利用する空中線にあっては、進行波の形態で波源配置を行う非共振型であるため、最大放射方向がブロードサイド方向を向かず、放射効率が悪いという改良すべき点があった。

【0005】
この発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、構造が簡単で、かつ良好な指向性を有し、所望の周波数の漏洩波を効率良く放射できるよう適切に構成した新規な共振型漏洩波空中線を提供することを目的とするものである。

【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の共振型漏洩波空中線の発明は、接地板と、該接地板の一方の面上にそれぞれ垂直に接して平行に離間対向して配置した二枚の金属平板と、これら二枚の金属平板間に、該二枚の金属平板および上記接地板に接して配置した誘電体ロッドと、該誘電体ロッドに給電する給電手段とを有し、前記二枚の金属平板間の開口から共振型の波源分布を有する漏洩波を放射するよう構成したことを特徴とするものである。

【0007】
請求項1の発明によれば、誘電体ロッドが配置されている区間では、LSEモードが支持されるので、誘電体ロッドの長さをLSE11モードのカットオフ周波数の波長近傍の値とすることにより、誘電体ロッドは共振する。したがって、二枚の金属平板の接地板からの高さを適切に設定すれば、LSE11モードは漏洩波となって誘電体ロッドの設置区間において二枚の金属平板間の開口から自由空間中に放射されることになる。

【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の共振型漏洩波空中線において、前記給電手段は同軸線路を有し、該同軸線路の外導体を前記接地板に接続し、内導体を前記誘電体ロッドの端面の中央に接触させたことを特徴とするものである。

【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の共振型漏洩波空中線において、前記給電手段は、前記接地板の前記誘電体ロッドの中央部に対応する部分に形成したスロットと、前記接地板の他方の面上に誘電体層を介して形成したマイクロストリップ線路とを有し、前記マイクロストリップ線路により前記スロットを介して給電するよう構成したことを特徴とするものである。

【0010】
請求項3の発明によれば、誘電体ロッドの中央部から給電することから、二枚の金属平板間の開口から放射される漏洩波の誘電体ロッドの長さ方向における開口面分布を、誘電体ロッドの長さによらずほぼ対称な余弦分布とすることができ、これにより漏洩波の放射指向性を向上することが可能となる。

【0011】
請求項4に記載の共振型漏洩波空中線の発明は、接地板と、該接地板の一方の面上に平行に配列して設けた複数のアンテナ素子と、これらアンテナ素子に給電する給電手段とを有すると共に、前記各アンテナ素子は、前記接地板にそれぞれ垂直に接して平行に離間対向して配置した二枚の金属平板と、これら二枚の金属平板間に、該二枚の金属平板および上記接地板に接して配置した誘電体ロッドとを具え、前記各アンテナ素子において、前記二枚の金属平板間の開口から共振型の波源分布を有する漏洩波を放射するよう構成したことを特徴とするものである。

【0012】
請求項4の発明によれば、複数のアンテナ素子に例えば同位相で給電することにより、これらアンテナ素子から合成されて放射される漏洩波の放射方向と素子配列方向とを含む平面における放射指向性の半値角を小さくでき、高い指向性利得を得ることが可能となる。しかも、複数のアンテナ素子の配列間隔は、自由空間中に放射される漏洩波の波長よりも短くなるので、グレーティングローブの発生も回避されることになる。

【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の共振型漏洩波空中線において、前記給電手段は方形導波管を有し、該方形導波管のH面に前記接地板の他方の面を接して配置すると共に、前記各アンテナ素子の前記誘電体ロッドの中央部に対応して前記方形導波管のH面および前記接地板にそれぞれ連通するようにスロットを形成して、前記方形導波管から前記複数のアンテナ素子に給電するよう構成したことを特徴とするものである。

【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の共振型漏洩波空中線において、前記方形導波管内に移相器を配置して、前記複数のアンテナ素子に異なる位相で給電するよう構成したことを特徴とするものである。

【0015】
請求項6の発明によれば、放射される漏洩波の主ビーム方向を走査することができるので、例えばレーダ用空中線として有効に適用することが可能となる。

【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の共振型漏洩波空中線において、前記給電手段は、前記各アンテナ素子の前記誘電体ロッドの中央部に対応して前記接地板に形成したスロットと、前記接地板の他方の面上に誘電体層を介して形成したマイクロストリップ線路とを有し、前記マイクロストリップ線路により対応する前記スロットを介して前記各アンテナ素子に給電するよう構成したことを特徴とするものである。

【0017】
請求項8に記載の共振型漏洩波空中線の発明は、方形導波管と、該方形導波管のH面中央部に両端面に亘って延在して形成した空隙と、該空隙を介して前記方形導波管のH面上にそれぞれ垂直に接して両端面に亘って平行に延在する二枚の金属平板と、これら二枚の金属平板の両端面および前記方形導波管の両端面をそれぞれ短絡する金属短絡板と、前記方形導波管の前記空隙と対向する面に外導体を接続し、内導体を前記方形導波管内に挿入して設けた給電用の同軸線路とを有し、前記方形導波管をTE01モードが支持されるように形成して、前記二枚の金属平板間の開口から共振型の波源分布を有する漏洩波を放射するよう構成したことを特徴とするものである。

【0018】
請求項8の発明によれば、方形導波管内においてTE01モードが支持されるので、空隙すなわち開口の幅と二枚の金属平板の方形導波管からの高さとを適切に設定することにより、TE01モードのZ軸方向に対する減衰因子を制御して、開口面から所望の分布強度の共振型の漏洩波を放射することが可能となる。

【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明に係る共振型漏洩波空中線の実施の形態について詳細に説明する。図1は、この発明の第1実施の形態の構成を示す斜視図である。接地板1には、その一方の面上にそれぞれ垂直に接して二枚の金属平板2を離間対向して平行に配置する。二枚の金属平板2は、接地板1からの高さを同じとして接地板1の両端面に亘って延在させて、接地板1と反対側に開口3を形成する。これら二枚の金属平板2間には、接地板1および二枚の金属平板2にそれぞれ密着するように、矩形断面を有する誘電体ロッド4を挿入して配置する。なお、誘電体ロッド4は、接地板1および金属平板2の長さよりも短くして、二枚の金属平板2間の両端部に同じ長さの空気領域が形成されるように配置する。また、誘電体ロッド4に給電するため、給電用の同軸線路5の外導体を接地板1に接続し、内導体であるプローブ6を誘電体ロッド4の端面中央に接触させる。

【0020】
図1において、誘電体ロッド4が挿入されている区間では、LSE11モードが支持される。したがって、LSE11モードの管内波長をλgとすると、誘電体ロッド4の長さが、m×λg/2(mは1以上の整数)と一致した場合に、誘電体ロッド4の挿入区間において共振が生じる。ここで、XYZ直交座標系におけるZ軸方向を誘電体ロッド4の長さ方向、Y軸方向を金属平板2の高さ方向、X軸方向を誘電体ロッド4の幅方向とすると、Z軸方向に対するLSE11モードの減衰因子が十分に小さな値であれば、最低次(m=1)の共振が生じた場合、誘電体ロッド4において、Z軸に沿ったLSE11モードの電界の強度分布は、図2に示すように余弦分布となる。また、位相分布は、位置によらず一定となる。

【0021】
一方、Y軸に沿う電界分布は、そのX成分およびZ成分がそれぞれ図3(a)および(b)に示すようになって、電界の強度分布は図4に示すように指数関数的に減衰するが、その減衰因子は小さい。したがって、金属平板2の高さを適切に設定すれば、LSE11モードは漏洩波となり、誘電体ロッド4の挿入区間は漏れ導波路となる。このとき、開口3には、図2に示すように、誘電体ロッド4における電界の強度分布と相似な強度分布を有する電界が形成され、この電界が波源となって、Y軸の正方向が最大となるように、開口3から漏洩波が放射されるので、漏洩波の共振を利用した空中線となる。なお、図4は、誘電体ロッド4として比誘電率が2.0の低分散性のテフロン(商品名)を用い、その幅a=10mm、高さb=6mmとし、励振周波数f=14.65GHzとして、誘電体ロッド4の表面からの高さh(mm)に対する強度分布を正規化して示している。

【0022】
また、LSE11モードは速波であるため、図5に示すように、管内波長λgは自由空間中の波長λ0よりも長く、カットオフ周波数に近づくにつれて増加する。このため、誘電体ロッド4の長さが波長λ0と比較して長く設定された場合であっても、カットオフ周波数付近で共振が生じ、その共振周波数は誘電体ロッド長の増加に従って低くなる。したがって、十分に長い誘電体ロッド4を用いれば、開口面分布はλ0と比較して長い区間にわたる余弦分布となり、このときYZ平面内において鋭い放射指向性を呈することになる。しかも、X軸方向に対するLSE11モードの電界の強度分布は、図3(a),(b)に示したように、X成分が奇対称、Z成分が偶対称であるので、開口3から放射される漏洩波の偏波面は、Z軸に平行となる。なお、図5は、誘電体ロッド4として、図4のものと同じものを用いた場合の管内波長λgの特性を示している。

【0023】
以上の効果を確認するために、図1において、接地板1および金属平板2の長さを200mm、金属平板2の高さを30mm、二枚の金属平板2間の幅すなわち開口3の幅を10mmとし、誘電体ロッド4として、上記の材料で幅を10mm、高さを6mmとし、長さdを50mm、100mmおよび150mmとしたそれぞれの場合について、LSE11モードのカットオフ周波数を含むKuバンド内の14GHz~15GHzの帯域で、絶対利得、開口面分布および放射指向性を測定した。なお、誘電体ロッド長dを、d=50mm、100mm、150mmとした場合に、二枚の金属平板2の両端部にそれぞれ形成される空気領域の長さは、75mm、50mm、25mmとなる。

【0024】
図6は、Y軸の正方向に対するZ軸に平行な偏波の絶対利得の測定結果を示すものである。図6から明らかなように、d=50mmの場合には14.670GHz、d=100mmの場合には14.340GHz、d=150mmの場合には14.290GHzの共振周波数でそれぞれ利得が極大となる。このことは、開口3から漏洩波が有効に放射されていることを示していると共に、誘電体ロッド長dの増加に伴って共振周波数が低下することを示している。

【0025】
図7は、上記の各誘電体ロッド長および共振周波数でのZ軸方向の開口面分布を示すもので、図7(a)は正規化した強度(振幅)分布を、図7(b)は位相分布をそれぞれ示している。図7(a)から明らかなように、振幅に関しては、誘電体ロッド長が増加するに従って分布が広がることが確認できる。すなわち、d=50mmの場合には、対称な余弦分布となるが、d=100mmおよびd=150mmの場合には非対称な分布となり、特にd=150mmの場合には最大点がプローブ6側に偏った分布となる。しかし、図7(b)から明らかなように、誘電体ロッド4の挿入区間では、位相の大幅な変化はない。このことは、誘電体ロッド長が自由空間中の波長と比較して大きな値となった場合でも、漏洩波の共振が生じることを示している。

【0026】
図8は、上記の各誘電体ロッド長および共振周波数での放射指向性の測定結果を示すもので、図8(a)はYZ平面における放射指向性を、図8(b)はXY平面における放射指向性を、それぞれY軸の正方向を0度として示している。図8(a)から明らかなように、いずれの誘電体ロッド長においてもYZ平面において単峰性の放射指向性が得られ、そのメインローブの半値角は、d=50mmの場合で12度、d=100mmの場合で9度、d=150mmの場合で8.5度となり、誘電体ロッド長の増加による開口面分布の拡大に伴って指向性が鋭くなることが確認できる。また、図8(b)に示すように、XY平面における半値角は、いずれの誘電体ロッド長においても78度であった。以上の半値角から導出される指向性利得は、16dBi~18dBiとなり、十分実用的な空中線であることが確認できた。

【0027】
なお、図6において、d=100mmの場合には、14.75GHz付近で絶対利得が最大となるが、この場合のYZ平面における放射指向性は、図9に示すように単峰性とならないため、空中線としては、上記の14.340GHzを共振周波数とするのが好ましいことが確認できた。

【0028】
図10は、この発明の第2実施の形態の構成を示す斜視図で、共振型漏洩波空中線を裏面側から見た状態を示している。この共振型漏洩波空中線は、図1の同軸線路5に代えて、マイクロストリップ線路により誘電体ロッド4の中央部から給電するようにしたものである。このため、この実施の形態では、誘電体ロッド4の中央部に対応する接地板1にスロット7を形成すると共に、接地板1の誘電体ロッド4を配置した面とは反対側の面(他方の面)には誘電体シート8を設け、この誘電体シート8の表面上にスロット7まで延在させてマイクロストリップ線路9を形成して、マイクロストリップ線路9からスロット7を介して給電するようにする。その他の構成は、図1と同様とする。

【0029】
図10に示す構成において、スロット7をZ軸方向の寸法が1.3mm、X軸方向の寸法が4.9mmに形成し、誘電体シート8として厚さ0.4mm、比誘電率2.2のものを用いて、この上に幅1.2mmのマイクロストリップ線路9を形成し、誘電体ロッド4の長さdを50mm、100mmおよび150mmとしたそれぞれの場合について、絶対利得、開口面分布および放射指向性を測定した。なお、空中線のその他の寸法および測定条件は、第1実施の形態で説明した寸法および測定条件と同様とする。

【0030】
図11は、Y軸の正方向に対するZ軸に平行な偏波の絶対利得の測定結果を示すものである。図11から明らかなように、d=50mmの場合には14.62GHz、d=100mmおよびd=150mmの場合には14.40GHzの共振周波数でそれぞれ利得が極大となる。

【0031】
図12は、上記の各誘電体ロッド長および共振周波数でのZ軸方向の開口面分布を示すもので、図12(a)は正規化した振幅分布を、図12(b)は位相分布をそれぞれ示している。図12(a)から明らかなように、振幅に関しては、いずれの誘電体ロッド長においても対称な余弦分布となることが確認できる。また、図12(b)から明らかなように、位相に関しては、第1実施の形態の場合と同様に、誘電体ロッド4の挿入区間に亘ってほぼ一定となることが確認できる。このことは、スロット7を介した給電であっても、漏洩波の共振が生じることを示している。

【0032】
図13は、上記の各誘電体ロッド長および共振周波数でのYZ平面における放射指向性の測定結果を示すものである。図13から明らかなように、YZ平面におけるメインローブの半値角は、d=50mmの場合で16度、d=100mmの場合で12度、d=150mmの場合で9.5度となり、図1の構造よりも大きくなっている。しかし、開口面分布が余弦分布となることから、サイドローブレベルは-20dB未満となり、極めて優れた指向性が得られることが確認できた。以上の測定結果は、図10に示した構造の共振型漏洩波空中線が、十分実用的であることを示すものである。

【0033】
図14は、この発明の第3実施の形態の構成を示す斜視図である。この共振型漏洩波空中線は、接地板11の一方の面上に平行に配列して設けた複数のアンテナ素子12と、各アンテナ素子12に給電するための方形導波管13とを有している。各アンテナ素子12は、図1および図10で説明したと同様に、二枚の金属平板14および誘電体ロッド15を有して構成する。

【0034】
接地板11は、その他方の面を方形導波管13のH面に接続し、各アンテナ素子12の誘電体ロッド15の中央部に対応して接地板11および方形導波管13のH面にスロット16を連通して形成して、各アンテナ素子12に給電するようにする。ここで、方形導波管13の主モードであるTE01モードの管内波長をλgとすると、H面上における管壁電流は、図15に示すように、λg/2ごとに位相が反転し、かつ中心軸B-B′に関して反対称な分布となる。したがって、例えば図15に示すように、λg/2間隔でスロット16を形成してアンテナ素子12を配列すれば、各アンテナ素子12に同位相で給電することができる。

【0035】
この実施の形態によれば、複数のアンテナ素子12を有する一次元の配列型空中線として機能するので、XY平面における放射指向性の半値角を小さくでき、高い指向性利得を得ることができる。また、アンテナ素子12の配列間隔(λg/2)は、自由空間中の波長(λ0)よりも短いので、グレーティングローブの発生も回避することができる。

【0036】
なお、図14に示す共振型漏洩波空中線においては、例えば図15に破線で示すように、方形導波管13内に移相器17を配置して、複数のアンテナ素子12に異なる位相で給電することにより、XY平面において主ビーム方向を電子的に走査可能に構成することもできる。また、方形導波管13に代えて、マイクロストリップ線路を用いて給電するよう構成することもできる。

【0037】
図16は、この発明の第4実施の形態の構成を示す斜視図である。この実施の形態では、方形導波管21のH面中央部に両端面に亘って延在して空隙22を形成すると共に、この空隙22を介してH面にそれぞれ垂直に接続して二枚の金属平板23を方形導波管21の両端面に亘って延在して設け、これら二枚の金属平板23の両端面および方形導波管21の両端面をそれぞれ金属短絡板24で短絡して、Y軸の正方向に対して開放する開口25を形成する。また、方形導波管21の空隙22を形成したH面と対向する面には、同軸線路26の外導体を接続し、内導体であるプローブ27は方形導波管21内に挿入して給電するようにする。

【0038】
ここで、方形導波管21は、管内においてTE01モードが支持されるように、その幅および高さを決定する。また、TE01モードのZ軸方向に対する減衰因子を制御して、余弦分布を有する所望の強度の開口面分布を得るために、空隙22および開口25の幅、方形導波管21のH面からの金属平板23の高さを適切に設定する。

【0039】
このように構成すれば、上述した実施の形態と同様に、開口25から良好な指向性を有する共振型の波源分布を有する所望の周波数の漏洩波を効率良く放射させることができる。なお、二枚の金属平板23は、それらの両端を連結して開口25を有する方形状に一体に形成することもできるし、方形導波管21と一体にプレス加工等により形成することもできる。

【0040】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、漏れ導波路のカットオフ周波数近傍における共振現象を利用して、共振型の波源分布を有する漏洩波を放射するようにしたので、簡単な構造で、かつ良好な指向性を有する所望の周波数の漏洩波を効率良く放射することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図9】
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【図7】
7
【図16】
8
【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図12】
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【図15】
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