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明細書 :Si微結晶構造の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第2929005号 (P2929005)
登録日 平成11年5月21日(1999.5.21)
発行日 平成11年8月3日(1999.8.3)
発明の名称または考案の名称 Si微結晶構造の製造方法
国際特許分類 H01L 21/20      
H01L 29/06      
FI H01L 21/20
H01L 29/06
請求項の数または発明の数 8
全頁数 5
出願番号 特願平10-186637 (P1998-186637)
出願日 平成10年7月1日(1998.7.1)
審査請求日 平成10年7月1日(1998.7.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390002901
【氏名又は名称】科学技術庁金属材料技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】古屋 一夫
【氏名】竹口 雅樹
【氏名】吉原 一紘
審査官 【審査官】高木 康晴
参考文献・文献 Appl.Phys.Lett.62[4](1993-4-19)(米)p1949-1951
調査した分野 H01L 21/20
H01L 29/06
要約 【課題】 単結晶のSi微結晶の構造を位置およびサイズ制御可能として形成する。
【解決手段】 400℃以上の温度において、SiO2 基板に電子線照射により電子線励起分解反応させてSi微結晶を形成する。
特許請求の範囲 【請求項1】
400℃以上の温度において、SiO2 基板に電子線を照射して電子線励起分解反応により単結晶のSi微結晶をSiO2 基板に形成することを特徴とするSi微結晶構造の製造方法。

【請求項2】
Si微結晶の大きさを5nm以下とする請求項1の製造方法。

【請求項3】
Si微結晶をSiO2 基板に二次元に配列した状態として形成する請求項1または2の製造方法。

【請求項4】
Si微結晶の大きさが5nm以下であり、Si微結晶の相互の間隔が5~10nmである請求項3の製造方法。

【請求項5】
電子線の強度を2×108 Cm-2-1以上で、線量を1×109 Cm-2-1以上とする請求項1ないし4のいずれかの製造方法。

【請求項6】
結晶性SiO2 基板に電子線を照射して非晶質化し、次いで400℃以上の温度において、電子線照射による電子線励起分解反応させる請求項1ないし5のいずれかの製造方法。

【請求項7】
SiO2 基板上に形成されたSi微結晶構造であって、5nm以下の大きさの単結晶のSi微結晶が、5~10nmの間隔で二次元に配列されていることを特徴とするSi微結晶構造。

【請求項8】
Si微結晶の大きさが2nm以下である請求項7の構造。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、Si微結晶構造の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、半導体量子ドット、非線形光学素子、量子波干渉材料等への応用において有用な、Si微結晶構造とその製造方法に関するものである。

【0002】
【従来の技術とその課題】従来、半導体超格子構造の作製方法としては、MBEやCVDを用いた蒸着法を応用して、一次元の層状構造を作製したり、リソグラフィーとエッチング技術を応用して、二次元あるいは三次元構造を作製するものが知られている。ただ、前者の方法では配置位置の制御が難しいため、近年は微粒子をランダムに蒸着した後、自己修復過程を利用して規則的な配置を作り出すことが考えられているが、いまだ技術としては確立されていない。一方後者の方法の場合、位置の制御は可能であるが、構造の最小単位は数10nmであり、さらに微細な構造の作製が望まれているのが実情である。

【0003】
このような状況において、より微細な構造を作製するためのリソグラフィー・エッチング技術の応用については、集束した電子線を使用することが考えられている。たとえば、集束した電子線を結縁体(SiO2 )に照射すると、SiO2 の分解が起こり、Siが表面に析出することは電子線励起分解機構(Electron-stimulated desorption mechanism,ESD)として、知られている(M.L.Knotek andP.J.Feibelman, Surf. Sci., 90,78(1979))。また、近年では、電界放射型電子顕微鏡の集束した電子ビームを利用して、ESDにより2nmのSiの微粒子を室温で作製し、位置を制御して非晶質のSiO2 中に並べる研究が報告されてもいる(G.S.Chen, C.B.Boothroyd and C.J.Humphreys, Appl. Phys.Lett., 62,1949(1993))。しかしながら、ESDによるSi微結晶の形成についてはその詳細な検討は充分でなく、実際、後者の研究で作製できたSiは非晶質構造であるにすぎない。超格子での量子サイズ効果は結晶において顕著であり、非晶質ではバンド構造が粒子サイズに依存しないために量子サイズ効果は小さく、その機能は期待できないのである。

【0004】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの従来技術の限界を克服し、電子線照射によって単結晶のSi微結晶構造を、優れた位置制御性と、優れた微結晶サイズの制御性をもって形成することのできる新しい方法と、この方法により得られるこれまでに知られていないSi微結晶構造を提供することを課題としている。

【0005】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、400℃以上の温度において、SiO2 基板に電子線を照射して電子線励起分解反応により単結晶のSi微結晶をSiO2 基板に形成することを特徴とするSi微結晶構造の製造方法を提供する。

【0006】
また、この出願の発明は、第2には、Si微結晶の大きさを5nm以下とする製造方法を、第3には、Si微結晶をSiO2 基板に二次元に配列した状態として形成する製造方法を、第4には、Si微結晶の大きさが5nm以下であり、Si微結晶の相互の間隔が5~10nmである製造方法を、第5には、電子線の強度を2×108 Cm-2-1以上とし、線量を1×109 Cm-2-1以上とする製造方法を、第6には、結晶性SiO2 基板に電子線を照射して非晶質化し、次いで400℃以上の温度において、電子線照射による電子線励起分解反応させる製造方法をも提供する。

【0007】
さらにまた、この出願の発明は、SiO2 基板上に形成されたSi微結晶構造であって、5nm以下の大きさの単結晶のSi微結晶が、5~10nmの間隔で二次元に配列されていることを特徴とするSi微結晶構造と、Si微結晶の大きさが2nm以下であるその構造も提供する。

【0008】
【発明の実施の形態】この発明の方法は上記のとおりの特徴を持つものであるが、ESDによるSiO2 の分解とSi単結晶の微細形成は、400℃以上の温度において行うことが本質的な特徴である。400℃未満においては単結晶のSi微結晶を制御性よく形成することは困難である。そして、400℃以上の温度でのESD機構によって、はじめて5nm以下の大きさのSi単結晶を析出させることができる。

【0009】
SiO2 基板としては、非晶質のものを用いてもよいし結晶性のもの、たとえば石英等を用いてよい。より好適な実施の形態を例示すると、試料に石英(結晶性のSiO2 )を用い、これを電子ビームによりいったん非晶質し、これを400℃以上に加熱した状態で、約1~10nmに集束した電子ビームを2×108 Cm-2-1以上の強度で超高真空中で5秒以下照射して線量を1×109 Cm-2-1以上を達成し、ESD機構でSiO2 を分解すると同時に、Siを結晶化させ、5nm以下の単結晶を析出する点にある。電子ビームのエネルギーは100keV以下であれば可能である。照射時間と強度によりSi微結晶の大きさを制御でき、電子ビームをスポット走査やライン走査をすることで、任意のパターンが作製できる。

【0010】
石英を非晶質化するときの電子ビーム強度と温度は厳密ではなく、室温・高温のいずれでもよい。またビーム強度も1×104 Cm-2-1以上の通常の観察時のままでよい。ESDを作用させるときは2×108 Cm-2-1以上の強力な電子ビームとすることが好ましく、また、400℃以上の温度、超高真空環境とすることが重要である。

【0011】
この際の真空度は、10-7Pa以下とすることが望ましい。そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの発明について説明する。

【0012】
【実施例】電子ビームのエネルギーを100keVとして、まず、2×107 Cm-2-1程度の比較的弱い照射でいったんSiO2 単結晶(石英)薄膜を非晶質化した後、電界放射透過型電子顕微鏡を用いて、600℃の温度において2×10-8Paの超高真空中でビームを約3nmに集束し、ビーム強度を2×108 Cm-2-1以上に増加しスポット走査した。Si微結晶は、ビームを縦5箇所、横5箇所の合計25箇所のスポットに5秒間停止して照射して、各スポットへの線量を1×109 Cm-2以上とし、ESD機構により図1に示した構造を得た。単結晶のSi微結晶の大きさは2nmで、微結晶のお互いの間隔は10nmである。微結晶のコントラストがはっきり確認できる。図2は作製したSi微結晶の拡大写真である。2nmの領域がほぼ円形に変化しており、その内部に結晶を示す格子縞(結晶中に規則的に並んだ原子の間隔を示す)が観察できる。また、格子縞に乱れがないことから、単結晶であると判断される。微結晶の成分分析は電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて行い、その結果を図3に示した。SiのLエッジの形状を観察すると、微結晶の部分では約100eVにエッジが肩を持ち、Si単体であることがわかる。因みに周辺部から得られたLエッジは108eVに肩を持つSiO2 特有の形状であった。また、ビーム径と照射時間を増加すると、微結晶のサイズは増加した。これらの結果は、集束した電子ビームを用いて、位置と大きさを制御してSiO2 中にSi微結晶の配列を作製できることを示している。

【0013】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明によって、Si量子ドット・三次元超格子構造の作製が可能となる。半導体超格子構造により電子状態を制御するためには5~10nm以下の大きさでの周期性が要求されており、これが実現できることになる。半導体量子ドット、非線形光学素子、量子波干渉材料等への応用が期待される。

【0014】
また、次のような効果も実現されることになる。
高速トランジスター、光学素子等が開発できるため、電子機器の高速化・小型化が可能となる。
GaAs等の化合物半導体のような高価な材料で超格子を作製しなくてすむ。

【0015】
MBEやCVD等の蒸着装置が不要になる。
図面
【図3】
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【図1】
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【図2】
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