TOP > 国内特許検索 > 針状ダイヤモンド配列構造体の作製方法 > 明細書

明細書 :針状ダイヤモンド配列構造体の作製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3020155号 (P3020155)
公開番号 特開2000-001392 (P2000-001392A)
登録日 平成12年1月14日(2000.1.14)
発行日 平成12年3月15日(2000.3.15)
公開日 平成12年1月7日(2000.1.7)
発明の名称または考案の名称 針状ダイヤモンド配列構造体の作製方法
国際特許分類 C30B 29/04      
FI C30B 29/04 V
請求項の数または発明の数 1
全頁数 4
出願番号 特願平10-164772 (P1998-164772)
出願日 平成10年6月12日(1998.6.12)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 平成10年春季第45回応用物理学関係連合講演会講演予稿集No.2、29a-ZG-3(平成10年3月28日)に発表
特許法第30条第1項適用申請有り 平成10年5月28日、29日にティアラこうとうで開催された「1998年度年次大会 Annual Meeting of SPSTJ’98」において発表
審査請求日 平成10年6月12日(1998.6.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012327
【氏名又は名称】東京大学長
発明者または考案者 【氏名】藤嶋 昭
【氏名】益田 秀樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100059258、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
審査官 【審査官】関 美祝
参考文献・文献 特開 昭63-34927(JP,A)
特開 平7-202164(JP,A)
調査した分野 C30B 29/04
H01L 21/30
特許請求の範囲 【請求項1】
ダイヤモンド基板上に貫通孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナをマスクとして載せ、酸素プラズマエッチングに対する耐性を有する物質を真空蒸着法により蒸着することで前記ダイヤモンド基板上に蒸着ドットを形成し、前記陽極酸化ポーラスアルミナを前記ダイヤモンド基板から除去したのち、前記蒸着ドットをマスクとして前記ダイヤモンド基板を酸素プラズマエッチングすることによって、針状ダイヤモンドが規則的に配列した構造体を形成することを特徴とする、針状ダイヤモンド配列構造体の作製方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイヤモンド針状構造体の製造方法に関する。

【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド針状構造体、特にドーピングを施すことにより導電性を付与したダイヤモンド針状構造体は、ディスプレー用電子放出源、ガスセンサ、電極材料等に用いられるが、これらの目的には、通常、微細、且つ規則的な構造を形成することが性能を向上する上で重要とされている。この目的のためには、従来、ダイヤモンド基板上に耐エッチング性を有するレジストの塗布およびフォトマスクを用いることでパターニングをし、その後、ドライエッチング法による選択的にエッチングする方法がとられている。

【0003】
このほか、あらかじめ微細、且つ規則的な窪みの配列を有する構造を通常のリソグラフィーによりSi等の材料により形成し、これを鋳型としてダイヤモンドを気相成長させ、その後、鋳型を選択的に溶解除去することにより微細針状構造の規則配列を得る方法等が知られている。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記通常のレジストと露光を行う方法においては、微細加工のサイズに光の回折限界に由来する限界を有している。更に、より微細なパターン描画が可能な電子ビーム描画においては、描画に長時間を要し、費用の大幅な増大をまねく。更に、これらレジストを用いるパターニング方法においては、共通に、レジスト塗布、露光、レジスト除去という煩雑な工程が作製に必要であるという問題点を有していた。

【0005】
また、通常のリソグラフィーにより鋳型構造を作製し、これに気相成長法によりダイヤモンド薄膜を形成する方法においては、微細化の限界は気相成長ダイヤモンド薄膜の均一性に依存し、気相成長法におけるダイヤモンドの核発生密度が低いことから、微細化には限界を有していた。

【0006】
本発明の課題は、微細な、針状構造が規則的に配列した針状ダイヤモンドの規則配列を作製する方法を提供することである。

【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ダイヤモンド基板上に貫通孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナをマスクとして載せ、酸素プラズマエッチングに対する耐性を有する物質を真空蒸着法により蒸着することでダイヤモンド基板上に蒸着ドットを形成し、陽極酸化ポーラスアルミナを前記ダイヤモンド基板から水酸化ナトリウム等により除去したのち、蒸着ドットをマスクとしてダイヤモンド基板を酸素プラズマエッチングすることによって、針状ダイヤモンドが規則的に配列した構造体を形成することを特徴とする、針状ダイヤモンド配列構造体の作製方法に係るものである。陽極酸化ポーラスアルミナは、微細で直行した貫通孔を多数有する。真空蒸着用マスクとして用いる陽極酸化ポーラスアルミナの細孔径、細孔間隔は、陽極酸化時の条件、および後処理により調整することができる。陽極酸化ポーラスアルミナを蒸着用マスクとして用いるためには、陽極酸化ポーラスアルミナを地金アルミニウムを除去した後、皮膜底部をリン酸等の溶液を用いて溶解除去し得ることができる〔Japanese Journal of Applied Physics Vol.35, P.L126(1996) 〕。陽極酸化ポーラスアルミナをマスクとして真空蒸着法によりダイヤモンド上に微小ドットを形成する物質としては、Au,Ag,Ni,Cr等の金属のほか、金属酸化物、金属窒化物等真空蒸着法により蒸着可能で、その後のプラズマエッチングに対する耐性を有するものであれば広範なものを利用することができる。

【0008】
ダイヤモンド上に形成された蒸着ドットをマスクとして、プラズマエッチング処理を施し、その後マスクとした物質を選択的に溶解除去することにより、蒸着ドットの配列に対応した規則配列を有する微小針状ダイヤモンド配列構造体を得ることができる。作製される針状構造の直径、および間隔は、陽極酸化ポーラスアルミナをマスクとして形成される蒸着ドットの直径、および間隔に一致することから、陽極酸化ポーラスアルミナの幾何学形状を調整することにより得られる針状ダイヤモンドの構造を制御することが可能となる。

【0009】
本発明による方法によりダイヤモンド基板に形成される多孔構造は、マスクとして用いる陽極酸化ポーラスアルミナの形状により決定される。陽極酸化ポーラスアルミナは、孔径10nm~400nmの範囲で均一な孔径を有する孔を有することが知られており、陽極酸化時の条件、および後処理工程によりその孔径を制御することが可能である。

【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の具体的な方法について図面を用い説明する。図1は、本発明において蒸着用マスクとして用いられるポーラスな陽極酸化ポーラスアルミナを示したものである。陽極酸化ポーラスアルミナ1は、図2に模式的に示したような規則細孔配列を有しており、細孔2の径および細孔2の間隔をそれぞれ、5~500nm、および、100~500nmの範囲のものを用いることができる。蒸着用マスクとして用いるためには、厚さ0.1~0.5ミクロンの範囲で良好な結果が得られる。

【0011】
図3は、ダイヤモンド基板3上に陽極酸化ポーラスアルミナ1をマスクとして設置した様子を示したものである。基板となるダイヤモンドとしては、天然あるいは合成法により作製されたダイヤモンド単結晶、あるいは多結晶を用いることができる。これらダイヤモンドは、必要に応じて表面の研磨加工を施す。

【0012】
図4に示すように、表面にマスクを載せたダイヤモンド基板3に真空蒸着器を用い、金属、金属酸化物、あるいは、金属窒化物を蒸着する。蒸着量は、この後のプラズマエッチング処理において、耐プラズマエッチング用マスクとして機能するのに十分な厚みがあれば十分であり、通常、20nm~30nmの厚みの真空蒸着層である蒸着ドットが形成される。真空蒸着後、マスクとした陽極酸化ポーラスアルミナを溶解除去することにより、図5に示すようにダイヤモンド基板3の表面上に微小の蒸着ドット4の配列を得ることができる。マスクを選択的に除去するためには、水酸化ナトリウムをはじめとするアルカリ性溶液、あるいは酸溶液の中から、陽極酸化ポーラスアルミナに対し溶解性を有し、一方、蒸着ドットとして用いた物質を溶解しない溶液を用いることができる。

【0013】
図6に示すように、表面に蒸着ドット4の配列を形成したダイヤモンド基板3を、プラズマエッチング容器内のプラズマ用電極5上に置き、プラズマエッチングを施す。プラズマにより励起された活性種は、ダイヤモンドをエッチングするが、このとき蒸着ドットが存在する部では蒸着ドットがマスクとなりダイヤモンドはエッチングされない。この結果、ダイヤモンドの選択的なエッチングが進行し、図7に示すように、蒸着ドット配列に対応したかたちで針状ダイヤモンドの規則配列構造6が得られる。このとき、プラズマ励起用気体中に酸素を加えることにより、エッチング速度の著しい向上をはかることが可能となる。

【0014】
その後、エッチング用マスクとした微小な蒸着ドット4を選択溶解することにより、図8に示す微細な針状ダイヤモンド配列構造体7を得ることができる。

【0015】
【実施例】実施例1
次に実施の形態1を挙げ、本発明を更に具体的に説明する。気相成長法により作製したダイヤモンド基板の表面を研磨した。その後、貫通孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナをダイヤモンド基板上に載せた。陽極酸化ポーラスアルミナの孔径、および孔間隔は、それぞれ、70nm,100nm、厚さは、0.2ミクロンとした。

【0016】
真空蒸着装置を用い、金を20nm真空蒸着した。真空度は、1×10-5Torr、蒸着速度は、毎秒0.2nmとした。蒸着後、陽極酸化ポーラスアルミナを0.1M水酸化ナトリウムにより溶解除去し、ダイヤモンド基板上に金の蒸着ドット配列を得た。

【0017】
金の蒸着ドット配列を形成したダイヤモンド基板を、並行板型プラズマエッチング装置の電極上に置き、濃度100%の酸素を放電ガスとして用い、ガス圧1Torr、放電周波数13.56MHz、放電入力150Wで、10分間エッチング処理を行った。エッチング終了後、金を王水〔硝酸:塩酸=1:3混合溶液〕により溶解除去し、母型陽極酸化ポーラスアルミナの細孔配列と同一の配列を有する針状ダイヤモンド配列を得た。針状ダイヤモンドの高さは、1.5ミクロンであった。

【0018】
実施例2
実施例1と同様の方法で、孔径20nmの陽極酸化ポーラスアルミナマスクをダイヤモンド基板上に載せた。これを実施例1と同様の方法により金の真空蒸着用マスクとして用い、その後、実施例1と同様の方法でエッチング加工することにより、直径20nmの針状構造からなる規則配列を得た。

【0019】
【発明の効果】本発明によれば、微細な針状ダイヤモンドが規則的に配列した構造の作製が可能となる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7