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明細書 :キラル化合物の絶対配置決定試薬および決定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3416777号 (P3416777)
登録日 平成15年4月11日(2003.4.11)
発行日 平成15年6月16日(2003.6.16)
発明の名称または考案の名称 キラル化合物の絶対配置決定試薬および決定方法
国際特許分類 G01N 21/19      
C07D487/22      
C07F  3/02      
G01N 21/77      
FI G01N 21/19
C07D 487/22
C07F 3/02
G01N 21/77
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2002-051505 (P2002-051505)
出願日 平成14年2月27日(2002.2.27)
審査請求日 平成14年2月27日(2002.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
発明者または考案者 【氏名】井上 佳久
【氏名】ビクトル ボロフコフ
【氏名】ユハ リントウルト
個別代理人の代理人 【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
審査官 【審査官】樋口 宗彦
参考文献・文献 特開2001-220392(JP,A)
特開 平10-29993(JP,A)
TETRAHEDRON,1998年,54(1998),p5041-5064
TETRAHEDRON LETTERS,1997年,Vol.38,No.9(1997),p1603-1606
CHEM.COMMUN.,1997年,p1575-1576
CHEM.COMMUN.,1996年,p1867-1868
J.AM.CHEM.SOC.,2000年,122(18),p4403-4407
BULL.CHEM.SOC.JAP.,1997年,70(5),p1115-1123
BULL.CHEM.SOC.JAP.,1997年,70(8),p1923-1933
CHIRALITY,2001年,13(6),329-335
JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2001年,123(13),2979-2989
JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY A,2000年,104(40),9213-9219
BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN,2000年,73(5),1259-1275
ORGANIC LETTERS,2000年,2(11),1565-1568
JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2000年,122(18),4403-4407
BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN,1999年,72(8),1887-1898
調査した分野 G01N 21/00 - 21/61
G01N 21/62 - 21/74
C07D 487/22
C07F 3/02
G01N 21/75 - 21/83
要約 【課題】冷却などの煩雑な操作をすることなく簡便に、しかも高い感度で精度よくモノアルコールなどのキラル化合物の絶対配置を決定できる試薬および該試薬を用いた決定方法を提供する。
【解決手段】炭素鎖で架橋された金属ポルフィリン2量体であり、前記2量体の少なくとも一方のポルフィリン環において、架橋炭素鎖に結合した炭素からポルフィリン環の外周に沿って二つめの炭素の少なくとも一方にメチル基以上にバルキーな置換基を有し、且つ中心金属が、アルカリ土類金属イオンである金属ポルフィリン2量体を有効成分として含むキラル化合物の絶対配置決定試薬および該試薬を用いたキラル化合物の不斉炭素の絶対配置を決定する方法。
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素鎖で架橋された金属ポルフィリン2量体であり、前記2量体の少なくとも一方のポルフィリン環において、架橋炭素鎖に結合した炭素からポルフィリン環の外周に沿って二つめの炭素の少なくとも一方にメチル基以上にバルキーな置換基を有し、且つ中心金属が、アルカリ土類金属イオンである金属ポルフィリン2量体を有効成分として含むキラル化合物の絶対配置決定試薬。

【請求項2】
炭素鎖で架橋された金属ポルフィリン2量体が、以下の式(1)に示す金属ポルフィリン2量体である請求項1に記載のキラル化合物の絶対配置決定試薬。
【化1】
JP0003416777B1_000002t.gif[式中、M2+およびM'2+は、同一または相異なってアルカリ土類金属イオンを示し、nは、2または3を示し、Ra~Rdは、同一または相異なって、水素原子またはメチル基以上にバルキーな置換基を示し、但し、Ra~Rdのうち少なくとも1つは、メチル基以上にバルキーな置換基を示し、R1~R12は、同一または相異なって、水素原子または炭化水素基を示す。]

【請求項3】
式(1)におけるRa~Rdの少なくとも1つが、1)炭素数1~8の炭化水素基、2)含酸素置換基、3)含窒素置換基、4)ハロゲン原子および5)ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される1種である請求項2に記載の試薬。

【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の試薬と、以下の特性を有するキラル化合物とを含む試料溶液について、円二色性分光光度分析を行い、コットン効果の符号から前記キラル化合物の不斉炭素の絶対配置を決定する方法:(i)有効成分である金属ポルフィリン2量体に配位可能なキラル化合物であり、且つ(ii) 金属ポルフィリン2量体に配位可能な基と不斉炭素が直接結合しているキラル化合物、または前記配位可能な基と不斉炭素との間に炭素原子が1原子介在しているキラル化合物。

【請求項5】
キラル化合物が、1)一級モノアミン、2)二級モノアミン、3)モノアルコールおよび4)アミノアルコールからなる群から選択される1種である請求項4に記載の方法。

【請求項6】
-10~30℃において円二色性分光光度分析を行う請求項4または5に記載の方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キラル化合物の絶対配置を決定する試薬および該試薬を用いるキラル化合物の絶対配置決定方法に関する。

【0002】
【従来技術】従来から、キラル化合物の絶対配置を決定する方法として、キラル化合物と特定の化合物との複合体(例えば錯体)について、円二色性(CD)分光光度分析を行い、コットン効果の符号とキラル化合物の絶対配置との相関関係を利用してキラル化合物の絶対配置を決定する方法が用いられている。例えば、以下のような報告がなされている。

【0003】
(1) J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 6185-6186, X. Huang, B. H. Rickmann,B. Borhan, N. Berova, K. Nakanishiには、長い架橋鎖で架橋されたポルフィリン二量体にキラル化合物が配位することによって円二色性が誘起され、コットン効果の符号とキラル化合物の絶対配置の間に相関がある旨報告されている。

【0004】
しかしながら、この系は、一分子のキラル化合物が同時に二つのポルフィリンユニットに配位することによって初めて円二色性が誘起されるので、ジアミン、アミノアルコールなどの二官能性のキラル化合物にしか適用できない。

【0005】
(2) Bull. Chem. Soc. Jpn., 1998, 71, 1117-1123, M. Takeuchi, T. Imada,S. Shinkaiには、フェニルボロン酸ユニットを有するポルフィリン二量体が、各種の糖の存在下において円二色性を示すことが報告されている。

【0006】
この系は、ボロン酸との間に結合を作る糖にしか適用できない。しかも、糖が有する多数の不斉中心のうち特定の不斉中心について絶対配置を直接決めることができない。

【0007】
以上のように、モノアルコールなどの様々なキラル化合物に対して適用できるような絶対配置の決定方法は報告されていなかった。

【0008】
一方、キラル化合物の絶対配置の決定方法として、X線回折法が知られている。しかしながら、この方法には、結晶性の化合物にしか適用できないという制限がある。

【0009】
そこで、本発明者は、様々なキラル化合物の絶対配置を精度良く、簡便に決定することのできるキラル化合物の絶対配置の決定方法を研究した。近年、金属中心として、Zn、Fe、MnまたはRuを含む金属ポルフィリン二量体にキラル化合物が配位することによって円二色性が誘起され、コットン効果の符号とキラル化合物の絶対配置の間に相関があることを見出し、新たなキラル化合物の絶対配置の決定方法を完成した(特開2001-220392)。

【0010】
しかしながら、この方法であっても、キラル化合物がモノアルコールなどの場合には、試料溶液を-80℃程度に冷却しないと誘起コットン効果を検知することができないという問題点がある。

【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の問題点を鑑みなされたものであって、冷却などの煩雑な操作をすることなく簡便に、しかも高い感度で精度よくモノアルコールなどのキラル化合物の絶対配置を決定できる試薬および該試薬を用いた決定方法を提供することを主な目的とする。

【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の金属ポルフィリン2量体を有効成分として含む試薬および該試薬を用いる方法が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。

【0013】
即ち、本発明は、下記のキラル化合物の絶対配置決定試薬および決定方法に係るものである。
1.炭素鎖で架橋された金属ポルフィリン2量体であり、前記2量体の少なくとも一方のポルフィリン環において、架橋炭素鎖に結合した炭素からポルフィリン環の外周に沿って二つめの炭素の少なくとも一方にメチル基以上にバルキーな置換基を有し、且つ中心金属が、アルカリ土類金属イオンである金属ポルフィリン2量体を有効成分として含むキラル化合物の絶対配置決定試薬。
2.炭素鎖で架橋された金属ポルフィリン2量体が、以下の式(1)に示す金属ポルフィリン2量体である上記1に記載のキラル化合物の絶対配置決定試薬。

【0014】
【化2】
JP0003416777B1_000003t.gif【0015】[式中、M2+およびM'2+は、同一または相異なってアルカリ土類金属イオンを示し、nは、2または3を示し、Ra~Rdは、同一または相異なって、水素原子またはメチル基以上にバルキーな置換基を示し、但し、Ra~Rdのうち少なくとも1つは、メチル基以上にバルキーな置換基を示し、R1~R12は、同一または相異なって、水素原子または炭化水素基を示す。]
3.式(1)におけるRa~Rdの少なくとも1つが、1)炭素数1~8の炭化水素基、2)含酸素置換基、3)含窒素置換基、4)ハロゲン原子および5)ハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される1種である上記2に記載の試薬。
4.上記1~3のいずれかに記載の試薬と、以下の特性を有するキラル化合物とを含む試料溶液について、円二色性分光光度分析を行い、コットン効果の符号から前記キラル化合物の不斉炭素の絶対配置を決定する方法。
(i)有効成分である金属ポルフィリン2量体に配位可能なキラル化合物であり、且つ(ii) 金属ポルフィリン2量体に配位可能な基と不斉炭素が直接結合しているキラル化合物、または前記配位可能な基と不斉炭素との間に炭素原子が1原子介在しているキラル化合物
5.キラル化合物が、1)一級モノアミン、2)二級モノアミン、3)モノアルコールおよび4)アミノアルコールからなる群から選択される1種である上記4に記載の方法。
6.-10~30℃において円二色性分光光度分析を行う上記4または5に記載の方法。

【0016】
【発明の実施の形態】本発明は、炭素鎖で架橋された金属ポルフィリン2量体であり、前記2量体の少なくとも一方のポルフィリン環において、架橋炭素鎖に結合した炭素からポルフィリン環の外周に沿って二つめの炭素の少なくとも一方にメチル基以上にバルキーな置換基を有し、中心金属がアルカリ土類金属イオンである金属ポルフィリン2量体を有効成分として含むキラル化合物の絶対配置決定試薬に係る。

【0017】
有効成分として含まれる金属ポルフィリン2量体は、上記の条件を満たす限り特に制限されないが、例えば、以下の式(1)で示される化合物を例示することができる。

【0018】
【化3】
JP0003416777B1_000004t.gif【0019】式(1)において、M2+およびM'2+は、金属中心を示す。M2+およびM'2+は、同一または相異なってMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+などのアルカリ土類金属イオンを示し、これらの中ではMg2+、Ca2+が好ましく、Mg2+が特に好ましい。

【0020】
本発明において用いる金属ポルフィリン2量体は、二つの金属ポルフィリンユニットが、炭素鎖によって架橋されている。例えば、式(1)では、-(CH2)n-により二つの金属ポルフィリンユニットが架橋されている。架橋炭素鎖の炭素数は、特に制限されず、通常2~3程度であり、好ましくは2である。例えば、式(1)では、nは2または3であり、2が好ましい。

【0021】
式(1)においてRa~Rdは、いずれも架橋炭素鎖に結合した炭素からポルフィリン環の外周に沿って二つめの炭素に結合した置換基である。本発明において用いる金属ポルフィリン2量体においては、架橋炭素鎖に結合した炭素からポルフィリン環の外周に沿って二つめの炭素のうち少なくとも一つが、メチル基以上にバルキーな置換基によって置換されている。

【0022】
式(1)においては、Ra~Rdは、同一または相異なって、水素原子またはメチル基以上にバルキーな置換基を示す。但し、Ra~Rdのうち少なくとも1つは、メチル基以上にバルキーな置換基を示す。

【0023】
メチル基以上にバルキーな置換基とは、メチル基と同等またはそれ以上に嵩の大きな置換基を意味する。メチル基以上にバルキーな置換基としては、例えば、1)炭素数1~8の炭化水素基、2)含酸素置換基、3)含窒素置換基、4)ハロゲン原子、5)ハロゲン化炭化水素基などを例示することができる。

【0024】
1)炭素数1~8の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの直鎖または分枝状アルキル基を例示することができる。この炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~4程度である。

【0025】
2)含酸素置換基としては、例えば、エステル基、カルボキシルアルキル基などを例示することができる。エステル基としては、例えば、メチルエステル基、エチルエステル基などを例示することができる。カルボキシアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基などを例示することができる。

【0026】
3)含窒素置換基としては、例えば、アミノ基、アミド基、2-アミノエチル基などを例示することができる。

【0027】
4)ハロゲン原子としては、例えば、Cl、Br、Fなどを例示することができる。

【0028】
5)ハロゲン化炭化水素基としては、例えば、塩化メチル基、塩化エチル基、塩化プロピル基、塩化ブチル基などを例示することができる。

【0029】
式(1)において、R1~R12は、同一または相異なって、水素原子、炭化水素基などを示す。炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの直鎖または分枝状アルキル基などを例示することができる。R1~R12で示される炭化水素基の炭素数は、特に制限されないが、通常1~10程度であり、好ましくは1~4程度である。

【0030】
本発明で用いる金属ポルフィリン2量体として、例えば、以下の式(2)で示す化合物を好適に用いることができる。以下、式(2)の化合物を<HAN>「</HAN>化合物1<HAN>」</HAN>ということがある。

【0031】
【化4】
JP0003416777B1_000005t.gif【0032】本発明の試薬には、所望の効果が得られる範囲内において添加成分が含まれていてもよい。

【0033】
本発明において用いる金属ポルフィリン2量体の製造方法は、特に限定されず、公知の方法に従って合成することができる。例えば、金属中心が導入されていないポルフィリン2量体(以下<HAN>「</HAN>フリーのポルフィリン2量体<HAN>」</HAN>ということがある)と、アルカリ土類金属のハロゲン化物(例えば、MgBr2<HAN>・</HAN>Et2Oなど)とを、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ジメチルピリジン、ジアジン、メチルジアジン、ピラジン、エチルピラジン、ピリミジン、ピペラジン、モルホリンなどの塩基性化合物の存在下において反応させることにより、フリーのポルフィリン2量体に金属中心であるアルカリ土類金属イオンを導入する方法などにより製造することができる。

【0034】
フリーのポルフィリン2量体は、公知の方法により製造することができる。例えば、V. V. Borovkov, J. M. Lintuluoto and Y. Inoue, Helv. Chem. Acta, 1999, 82, 919-934, V. V. Borovkov, J. M. Lintuluoto and Y. Inoue, Synlett, 1998, 768などに記載されている方法を例示することができる。

【0035】
フリーのポルフィリン2量体へのアルカリ土類金属イオンの導入方法として、例えば、J. S. Lindsey and J. N. Woodford, Inorg. Chem. 1995, 34, 1063-1069に記載されている方法などの公知の方法を適用することができる。

【0036】
本発明の試薬と、以下の1~2の特性を有するキラル化合物について、円二色性分光光度分析を行うと、コットン効果の符号から前記キラル化合物の不斉炭素の絶対配置を決定することができる。
(i)有効成分である金属ポルフィリン2量体に配位可能なキラル化合物であり、且つ(ii)金属ポルフィリン2量体に配位可能な基と不斉炭素が直接結合しているキラル化合物、または前記配位可能な基と不斉炭素との間に炭素原子が1原子介在しているキラル化合物。

【0037】
本発明は、上述の試薬と、以下の特性を有するキラル化合物とを含む試料溶液について円二色性分光光度分析を行い、コットン効果の符号から前記キラル化合物の不斉炭素の絶対配置を決定する方法を含む。
(i)有効成分である金属ポルフィリン2量体に配位可能なキラル化合物であり、且つ(ii)金属ポルフィリン2量体に配位可能な基と不斉炭素が結合しているキラル化合物、または前記配位可能な基と不斉炭素との間に炭素原子が1原子介在しているキラル化合物。

【0038】
金属ポルフィリン2量体に配位できる化合物として、例えば、金属ポルフィリン2量体に配位可能な基として、アミノ基、水酸基などの塩基性基を有する化合物を例示できる。より具体的には、たとえば、1)一級モノアミン、2)二級モノアミン、3)モノアルコール、4)アミノアルコールなどを例示できる。アミノアルコールの場合には、一般にアミノ基の方が金属ポルフィリン2量体に配位しやすいので、通常はアミノ基に直接結合している不斉炭素またはアミノ基との間に炭素元素が1原子介在している不斉炭素について絶対配置を決定することができる。

【0039】
本発明の方法により絶対配置を決定できるキラル化合物は、有効成分である金属ポルフィリン2量体の中心金属に配位可能な基と不斉炭素が結合しているキラル化合物、または前記配位可能な基と不斉炭素との間に炭素原子が1原子介在しているキラル化合物である。例えば、2-ブタノール、1-フェニルエタノール、1-フェニルエチルアミンなどは、金属ポルフィリン2量体の中心金属に配位可能な基と不斉炭素が直接結合しているキラル化合物に相当する。一方、2-メチル-1-ブチルアミンなどは、前記配位可能な基と不斉炭素との間に炭素原子が1原子介在するキラル化合物に相当する。

【0040】
ボルネオール、メントールなどのように不斉炭素を複数有するキラル化合物の場合には、ポルフィリン2量体の金属中心に配位可能な基に直接結合している不斉炭素、または前記配位可能な基と1原子の炭素原子を介して結合している不斉炭素について絶対配置を決定することができる。

【0041】
円二色性分光光度分析に用いる試料溶液は、上記試薬とキラル化合物を含んでいる。試料溶液の調製は特に限定されず、例えば、有効成分である金属ポルフィリン2量体、キラル化合物などを溶媒に溶解する方法などにより調製することができる。

【0042】
試料溶液を調製する時に使用する溶媒としては、金属ポルフィリン2量体に配位しない溶媒が好ましい。金属ポルフィリン2量体に配位しない溶媒としては、例えばクロロホルム(CHCl)、二塩化メタン(CHCl)、二塩化エタン(CHClCHCl)、四塩化エタン(CHClCHCl)、四塩化炭素(CCl)などのハロゲン化脂肪族炭化水素;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素などを例示することができる。

【0043】
試料溶液中のキラル化合物および金属ポルフィリン2量体の濃度は、限定的ではない。これらの濃度の下限は、第1または第2コットン効果を検知できる限り特に制限されず、用いる金属ポルフィリン2量体の種類、キラル化合物の種類、溶媒の種類などに応じて適宜設定することができる。試料溶液中のキラル化合物の濃度の上限および金属ポルフィリン2量体の濃度の上限は、例えば円二色性スペクトル(CDスペクトル)において第1または第2コットン効果の楕円率の値が、ノイズレベルの2倍以上程度(例えば1mdeg以上程度)となり、光電子増倍管の電圧が-700kV以内で第1または第2コットン効果の楕円率ができるだけ大きくなるよう設定するのが好ましく、第1または第2コットン効果の楕円率が、10mdeg~50mdeg程度となるよう設定するのがより好ましい。

【0044】
試料溶液中におけるキラル化合物の濃度は、キラル化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、通常10-4mol/l以上程度であり、好ましくは10-5~10-1mol/l程度であり、より好ましくは10-4~10-3mol/l程度である。

【0045】
試料溶液中における金属ポルフィリン2量体の濃度は、キラル化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、通常10-7mol/l以上程度であり、好ましくは10-6 mol/l以上程度である。試料溶液中における金属ポルフィリン2量体の濃度の上限は、特に制限されず、キラル化合物の種類などに応じて適宜設定することができるが、通常5x10-5mol/l以下程度であり、好ましくは5x10-6mol/l以下程度である。

【0046】
充分にコットン効果を検知するために必要な試料溶液中のキラル化合物の最低濃度は、試薬として前記式(2)で示される化合物1を用いる場合などには、1級非環状モノアミンで約10-6mol/l、芳香族環状モノアミンで約10-5mol/l、2級モノアミンで約10-6 mol/l、アミノアルコールで約10-4mol/lであり、モノアルコールでは10-1~10-2mol/l程度である。前記濃度の金属ポルフィリン2量体を使用すれば、モノアルコールを用いる場合であっても-10~30℃程度において充分なコットン効果を得ることができる。

【0047】
円二色性分光光度分析を行う温度は、コットン効果を検知できる限り特に制限されない。低温であるほど高感度で分析を行うことができるが、試料溶液を冷却しなくとも充分にコットン効果を検知することができる。

【0048】
より具体的な分析条件の例として、次のケース1~4を例示することができる。

【0049】
<ケース1>1級モノアミンの絶対配置を決定する場合について
溶媒としては、例えば、クロロホルム、二塩化メタン、四塩化炭素、四塩化エタン、ヘキサン、へプタン、二塩化エタンなどが好ましい。試料溶液中での1級非環状モノアミンの濃度は、10-6mol/l以上が好ましく、芳香族環状モノアミンの濃度は約10-5mol/l以上が好ましい。前記の式(2)のマグネシウムポルフィリン2量体などを用いる場合、その試料溶液中における濃度は、10-6mol/l以上程度であることが好ましい。測定対象となる1級モノアミンとしては、たとえば、2-ブチルアミン、1-フェニルエチルアミン、1-(1-ナフチル)エチルアミン、1-シクロヘキシルエチルアミン、2-メチル-1-ブチルアミン、〔エンド-(1R)-1,7,7-トリメチルビシクロ〔2,2,1〕へプタン-2-アミン〕などが挙げられる。

【0050】
<ケース2>2級モノアミンの絶対配置を決定する場合について
溶媒としては、例えば、クロロホルム、二塩化メタン、四塩化炭素、四塩化エタン、ヘキサン、ヘプタン、二塩化エタンなどが好ましい。試料溶液中での第2級モノアミンの濃度は、10-6mol/l以上程度が好ましい。前記の式(2)のマグネシウムポルフィリン2量体(化合物1)などを用いる場合、その試料溶液中における濃度は、10-6mol/l以上程度であることが好ましい。測定対象となる2級モノアミンとしては、たとえばN-メチル-1-フェニルエチルアミンなどが挙げられる。

【0051】
<ケース3>アミノアルコールの絶対配置を決定する場合について
溶媒としては、例えば、クロロホルム、二塩化メタン、四塩化炭素、四塩化エタン、ヘキサン、ヘプタン、二塩化エタンなどが好ましい。試料溶液中でのアミノアルコールの濃度は、10-4mol/l以上程度が好ましい。化合物1などを用いる場合、その試料溶液中における濃度は、10-6mol/l以上程度であることが好ましい。測定対象となるアミノアルコールとしては、たとえば1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-4-メチル-1-ペンタノールなどが挙げられる。

【0052】
<ケース4>モノアルコールの絶対配置を決定する場合について
溶媒としては、二塩化メタンまたはへキサンが好ましい。試料溶液中でのモノアルコールの濃度は、10-2mol/l以上程度であることが好ましい。前記の式(2)で示される化合物1などを用いる場合、その試料溶液中における濃度は、10-6mol/l以上程度であることが好ましい。測定温度は、-10~30℃程度でよく、試料溶液を冷却せずともコットン効果を検知することができる。測定対象となるモノアルコールとして、たとえば、ボルネオール、2-ブタノール、1-フェニルエタノールなどが挙げられる。

【0053】
試料溶液の円偏光二色性スペクトルは、二つのピーク(一つの極大値と一つの極小値)を示す。以下、より長波長側のピークを<HAN>「</HAN>第1コットン効果<HAN>」</HAN>といい、より短波長側のピークを<HAN>「</HAN>第2コットン効果<HAN>」</HAN>ということがある。それぞれのピークの符号は、正の場合と負の場合があり、第1コットン効果の符号と第2コットン効果の符号とは相異なる。例えば、図5に示す(S)-(-)-1-フェニルエタノールのCDスペクトルを例にとると、第1コットン効果の符号は正(プラス)であり、第2コットン効果の符号は負(マイナス)である。また、光学異性体同士(例えばR体とS体)では、それぞれのコットン効果の符号が逆になる。例えば、(S)-(+)-1-フェニルエタノールを用いた場合には、図1とは符号が逆となり、第1コットン効果の符号は負となり、第2コットン効果の符号は正となる。絶対配置の決定には、いずれのピークの符号を用いてもよいが、第1コットン効果の方が検知しやすいのでより好適に用いることができる。

【0054】
試料溶液における各コットン効果の符号とキラル化合物の不斉炭素の絶対配置(R体かS体か)との間に一定の対応関係が成立することを明らかにするために、絶対配置が既知の様々なキラル化合物と本発明の試薬を含む試料溶液についてCDスペクトルを測定した。以下の表1に、様々なキラル化合物の絶対配置および符号と試料溶液における各コットン効果の符号とを示す。なお、金属ポルフィリン2量体としては、前記式(2)で示したMgを金属中心とする金属ポルフィリン(化合物1)を使用し、試料溶液中における濃度は、10-6mol/lとした。また、試料溶液における各キラル化合物の濃度は、アミンおよびアミノアルコールの場合には10-4mol/lとし、アルコールの場合には、10-2mol/lとした。

【0055】
【表1】
JP0003416777B1_000006t.gif【0056】表1から明らかなように、アミノ基またはヒドロキシ基のα位またはβ位にある不斉炭素の立体配置と各コットン効果の符号の間には、一定の対応関係が成立している。即ち、第1コットン効果の符号が正の場合には、上記α位またはβ位の不斉炭素の絶対配置は(S)となる。一方、第1コットン効果の符号が負の場合には、上記α位またはβ位の不斉炭素の絶対配置は(R)となる。この相関関係と未知試料溶液のコットン効果の符号とを利用することによって、未知試料溶液中のキラル化合物について、絶対配置を決定することができる。

【0057】
なお、表1において、B遷移とは、吸収帯がBバンド(ソーレー帯)となる二つのポルフィリン環のモーメントが共にポルフィリン環を結合する方向にある場合の遷移であり、B遷移とは、前記モーメントが共にポルフィリン環を結合する方向とは垂直の方向にある場合の遷移である。図2に、キラル化合物が配位する前のアキラルな金属ポルフィリン2量体におけるモーメントの方向を実線で示す。

【0058】
一方、キラル化合物が配位した金属ポルフィリンでは、図2において点線で示すように、B遷移及びB遷移のいずれの場合も、アキラルな金属ポルフィリン2量体の場合に比べて、一方の環のモーメントの方向が他方のモーメントの方向に対して若干ずれる。

【0059】
以下、本発明において、誘導コットン効果が生じる機構を説明する。2つのポルフィリン環の両方が所定の位置にメチル基以上にバルキーな置換基を有する金属ポルフィリン2量体とキラル化合物とを含む溶液を調製すると、キラル化合物は金属ポルフィリン2量体の一方の金属中心へ配位する。キラル化合物は、二つの金属中心のうちいずれに配位してもよい。いずれか一方のポルフィリン環のみがメチル基以上にバルキーな置換基を有する場合には、キラル化合物は、このような置換基を有するポルフィリン環とは他方のポルフィリン環の金属中心に結合する。より具体的には、上述の式(1)において、Raのみがメチル基以上にバルキーな置換基である場合には、M'2+にキラル化合物は配位する。このようなキラル化合物の配位に伴って、金属ポルフィリン2量体は、syn型からanti型へコンホメーション変化を示すと同時に、anti型のコンホーマーに不斉が誘起され、図1に示すような円二色性を示す。以下に上述の式(2)に示した化合物1について、Syn型のコンホーマーを示す。

【0060】
【化5】
JP0003416777B1_000007t.gif【0061】不斉誘起の機構は、図3に示すようなポルフィリン環同士のねじれにより説明される。図3には、キラル化合物としてS体のアミンを用いた場合について図示されている。配位子であるキラル化合物のαまたはβ炭素(図3ではα炭素)に結合している最も大きな置換基(X)と、キラル化合物が配位していないポルフィリン環に結合したメチル基以上にバルキーな置換基(図3ではEt:エチル基)との間に立体障害が生じることにより、ポルフィリンの配向にねじれが生じ、ポルフィリン間の励起子相互作用(エキシトンインターラクション)に基づく円二色性があらわれるものと理解できる。

【0062】
CDエキシトン・キラリテイー法によると、二つの相互に作用する電子遷移モーメントが手前から奥側に向かって時計回りに並ぶと正のキラリティーを創出し、反時計回りに並ぶと負のキラリティーを創出する(Harada,N., Nakanishi,K.,"Circular Dichroic Spectroscopy-Excition coupling in Organic Stereochemistry, University Science Books, Mill Valley,1983.、Nakanishi,K., Berova,N., "In Circular Dichroism;Principles and Applications", Woody,R.,Ed, VCH Publishers; New York,1994; pp361-398)<HAN>。</HAN>

【0063】
例えば、絶対配置がSであるキラル化合物が金属ポルフィリン2量体に配位すると、手前から奥側に向かって時計回りにねじれるので(図3参照)、第1コットン効果の符号は<HAN>「</HAN>正<HAN>」</HAN>となる。一方、絶対配置がRであるキラル化合物が金属ポルフィリン2量体に配位すると、手前から奥側に向かって反時計回りにねじれるので、第1コットン効果の符号は<HAN>「</HAN>負<HAN>」</HAN>となる。

【0064】
本発明の方法では、円二色性(CD)分光光度分析法を用いて、キラル化合物、金属ポルフィリンなどを含む試料溶液について分析する。即ち、本発明の方法では、金属ポルフィリン2量体に測定対象であるキラル化合物を配位させたときに得られる円二色性スペクトルのコットン効果の符号によって、前記キラル化合物の絶対配置を決定することができる。本発明の方法によると、キラル化合物に特殊な修飾基を誘導することなしに、直接的に絶対配置を決定することが可能である。

【0065】
【発明の効果】本発明によると、金属ポルフィリン2量体に配位しうるキラル化合物について、金属ポルフィリン2量体に配位可能な基に直接結合している不斉炭素または前記の配位可能な基との間に炭素原子が1原子介在する不斉炭素の絶対配置を直接決定することができる。メントールのように不斉炭素を2以上有する化合物の場合には、金属ポルフィリン2量体に配位する基が結合している不斉炭素または前記基との間に炭素原子が1原子介在している不斉炭素について、その絶対配置を決定することができる。

【0066】
本発明によると、試料溶液を冷却するような煩雑な操作をすることなく、キラル化合物の絶対配置を決定することができる。

【0067】
本発明の方法は、非常に感度の高い方法であるので、ごく少量のキラル化合物があれば、絶対配置を決定することができる。特開2001-220392の方法では、例えば一級非環式モノアミンの場合、10-3mol/l以上のアミンが必要であるが、本発明の方法では10-6 mol/l以上のアミンがあれば絶対配置を決定することができる。また、本発明の方法は、用いる金属ポルフィリン2量体もごく少量である。

【0068】
本発明によると、測定する際にキラル化合物に特殊な修飾基を導入する必要がない。従って、キラル化合物を必要に応じて容易に回収できる。例えば測定後の試料溶液と2 mol/l程度の塩酸水溶液とを撹拌すると、金属ポルフィリン2量体とキラル化合物からなる錯体は、フリーのポルフィリン2量体とキラルアミンの塩酸塩に分解するので、キラル化合物を分離回収できる。分離回収したフリーのポルフィリン2量体は、もう一度アルカリ土類金属イオンを導入することにより、再度使用することができる。

【0069】
本発明によると、非常に迅速にキラル化合物の絶対配置を決定することができる。試料調製とCDスペクトル測定に要する時間は、条件によっては10分以内である。

【0070】
コットン効果の検出、即ちCDスペクトル測定は、通常400~450nmでなされる。大抵のキラル化合物の吸収は、400nm以下であるので、コットン効果を示すピークとキラル化合物自身の示すピークとは重ならない。従って、本発明によると、非常に広範囲のキラル化合物について、絶対配置を決定することが可能である。

【0071】
本発明によると、非結晶性の化合物についてその絶対配置を決定することができる。

【0072】
【実施例】以下、本発明の実施例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。

【0073】
CDスペクトル測定には、JASCO J-720WIスペクトロポーラリメーターを使用した。

【0074】
製造例1
以下のスキームに従って、マグネシウムポルフィリン2量体を製造した。

【0075】
【化6】
JP0003416777B1_000008t.gif【0076】フリーのポルフィリン2量体(化合物2、1.9mg、1.73μmol)を無水CH2Cl2(1ml)に溶解し、これにトリエチルアミン(9.5μl、68μmol)を加え、更に (CH2H5)2O・MgBr2(10mg、35μmol)を加えた。得られた混合物を室温において1時間混合した。この混合物に10mlのCH2Cl2を添加し、反応混合物を希釈した後、5mlの水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後、濾過し、濾液を1mlまで濃縮した。活性アルミナ(メルク製、aluminium oxide 90 active)を充填した塩基性カラムを使用して、カラムクロマトグラフィーにより精製した。最初の溶出液として、CH2Cl2(未反応のフリーの塩基は検出されず)を使用し、二番目の溶出液として、CH2Cl2とアセトンの1:1混合溶媒を用いた。二番目の溶出液を蒸発乾固することにより、1.95mg(フリーのポルフィリン2量体である化合物2を基準として収率98%)の化合物1を得た。得られた化合物のCH2Cl2中における紫外-可視吸収スペクトルを図4に示す(aで示される太線)。吸収極大:λmaxは、以下の通りであった。なお、かっこ中の値は、各吸収極大におけるモル級吸光係数の対数:logεを示す。λmax/nm:601(3.83)、557(4.18)、416(5.22)、404(5.29)。

【0077】
図4には、紫外-可視吸収スペクトルに使用した化合物1のCH2Cl2溶液に、更に(R)-2-ブチルアミンを添加した溶液に関する紫外-可視吸収スペクトルを同時に示す(bで示される細線)。

【0078】
実施例1
3ml(光路長:1cm)のセルに、約10-6mol/lの化合物1と約10-1mol/lの(1S,2R)-(-)-ボルネオールのCHCl溶液を調製し、22~23℃において、350~500nmの円二色性スペクトルを測定した。結果を図1に示す。

【0079】
図1から明らかなように、より長波側にある第1コットン効果の符号が負であることから、ボルネオールの水酸基に結合している不斉炭素の絶対配置はRであることが確認された。

【0080】
実施例2
ボルネオールの代わりに10-2mol/lの(S)-(-)-1-フェニルエタノールを用いた以外は実施例1と同様にして、円二色性スペクトルを測定した。その結果を図5に実線で示す。

【0081】
この場合は、第1コットン効果の符号が正であることから、絶対配置は(S)であることが確認できた。

【0082】
実施例3
ボルネオールの代わりに10-4mol/lのフェニルエチルアミンを用いた以外は実施例1と同様にして、円二色性スペクトルを測定した。その結果を図6に実線で示す。第1コットン効果の符号が負であることから、絶対配置は(R)であることが確認できた。

【0083】
比較例1
キラル化合物の絶対配置決定試薬として、化合物1の代わりに以下の亜鉛ポルフィリン2量体(約10-6mol/l)を用いた以外は、実施例2と同様にして1-フェニルエタノールを含む試料溶液のCDスペクトルを測定した。

【0084】
結果を図5に点線で示す。コットン効果を検知できなかったので、1-フェニルエタノールの絶対配置を決定することができなかった。試料溶液の温度を-80℃程度まで冷却すると、コットン効果を検知することができた。

【0085】
【化7】
JP0003416777B1_000009t.gif【0086】比較例2
キラル化合物の絶対配置決定試薬として、化合物1の代わりに比較例1において用いた亜鉛ポルフィリン2量体(約10-6mol/l)を用いた以外は、実施例3と同様にして1-フェニルエチルアミンを含む試料溶液のCDスペクトルを測定した。

【0087】
結果を図6に点線で示す。コットン効果を検知できなかったので、1-フェニルエチルアミンの絶対配置を決定することができなかった。1-フェニルエチルアミンの濃度を1×10-3mol/l程度にするとコットン効果を検知できた。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5