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Specification :(In Japanese)基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法及び該方法に使用する装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P3837496
Publication number P2003-253451A
Date of registration Aug 11, 2006
Date of issue Oct 25, 2006
Date of publication of application Sep 10, 2003
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法及び該方法に使用する装置
IPC (International Patent Classification) C23C  16/503       (2006.01)
B01J  19/08        (2006.01)
FI (File Index) C23C 16/503
B01J 19/08 H
Number of claims or invention 10
Total pages 13
Application Number P2002-061361
Date of filing Mar 7, 2002
Date of request for substantive examination Mar 7, 2002
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】斎藤 秀俊
Representative (In Japanese)【識別番号】100102299、【弁理士】、【氏名又は名称】芳村 武彦
Examiner (In Japanese)【審査官】吉田 直裕
Document or reference (In Japanese)特開平04-108534(JP,A)
増田閃一,パルスによるプラズマ化学反応-PPCPとSPCPおよびその応用,静電気学会誌,1990年,Vol.14, No.6,p.473-479
Field of search C23C 16/00-16/56
JMEDPlus(JDream2)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
気化させた原料をキャリヤーガスとともに大気開放下に加熱された基材表面に吹付けて基材表面に酸化物又は水酸化物膜を堆積する大気開放型化学気相析出法において、一対の金属電極間に誘電体層を介在させた電界印加手段を使用して基材をとりまく反応空間に沿面放電プラズマが生じるように電界を印加するとともに、少なくとも一方の電極に隙間を設け、該隙間から気化させた原料及びキャリヤーガスを基材表面に供給することを特徴とする基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
【請求項2】
少なくとも一方の電極が誘電体で覆われた一対の金属電極間に基材を配置し、電界を印加することを特徴とする請求項1に記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
【請求項3】
一対の金属電極間に誘電体層を介在させた電界印加手段と基材を対向させて配置し、電界を印加することを特徴とする請求項1に記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
【請求項4】
少なくとも一方の電極を金属を内包する誘電体により構成したことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
【請求項5】
電界の強度が0.1~100000V/mmであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
【請求項6】
基材が金属、金属酸化物、ガラス、陶磁器、セラミックス、プラスチック又は紙から選択されたものであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
【請求項7】
キャリヤーガス供給手段、原料気化器、気化した原料の吹付手段及び基材の加熱手段を具備する大気開放型化学気相析出装置において、一対の金属電極間に誘電体層を介在させた電界印加手段を有するとともに、少なくとも一方の電極に隙間を設け、該隙間から気化させた原料及びキャリヤーガスを基材表面に供給するようにしたことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法に使用する装置。
【請求項8】
少なくとも一方の電極を金属を内包する誘電体により構成したことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
基材の加熱手段と電界印加手段が電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも気化した原料の吹付手段、基材の加熱手段及び電極を覆う防護チャンバーを設け、防護チャンバーの扉の開閉と電極のスイッチの開閉を連動させたことを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気開放型化学気相折出法により各種基材表面に酸化物又は水酸化物膜を形成する際に、基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法する及び該方法に使用する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
気化させた原料をキャリヤーガスとともに大気開放下に加熱された基材表面に吹付けて基材表面に酸化物膜を堆積する大気開放型化学気相折出(CVD)法は、密閉された反応容器内で減圧下に反応を行なう従来のCVD法に比較して、板状体やパイプ等の長尺物からなる基材を連続的に加工することができること、及び原料の気化温度や供給量、キャリヤーガスの流量、基材温度等を調整することによって、基材表面に形成する酸化物膜の膜厚や結晶構造等をある程度制御することができることから、注目を集めている。
この大気開放型CVD法においては、基材表面に堆積する被膜の構造を用途に合わせて制御することや、高速で基材表面に被膜を形成することが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような大気開放型CVD法において、基材表面に酸化物あるいは水酸化物膜を形成する化学反応を促進する方法、特に基材温度200℃以下で酸化物あるいは水酸化物膜を効率良く形成する方法、及び該方法に使用する装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、大気開放型CVD法において、基材をとりまく反応空間に沿面放電プラズマ(二つの電極ではさまれた誘電体の表面に沿って生じる放電プラズマ)が生じるように電界を印加することによって、室温から800℃までの基材表面に従来より高速に酸化物あるいは水酸化物膜を形成できることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は上記課題を解決するために次のような構成を採用する。
1.気化させた原料をキャリヤーガスとともに大気開放下に加熱された基材表面に吹付けて基材表面に酸化物又は水酸化物膜を堆積する大気開放型化学気相析出法において、一対の金属電極間に誘電体層を介在させた電界印加手段を使用して基材をとりまく反応空間に沿面放電プラズマが生じるように電界を印加するとともに、少なくとも一方の電極に隙間を設け、該隙間から気化させた原料及びキャリヤーガスを基材表面に供給することを特徴とする基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
2.少なくとも一方の電極が誘電体で覆われた一対の金属電極間に基材を配置し、電界を印加することを特徴とする1に記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
3.一対の金属電極間に誘電体層を介在させた電界印加手段と基材を対向させて配置し、電界を印加することを特徴とする1に記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
4.少なくとも一方の電極を金属を内包する誘電体により構成したことを特徴とする1~3のいずれかに記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
5.電界の強度が0.1~100000V/mmであることを特徴とする1~4のいずれかに記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
6.基材が金属、金属酸化物、ガラス、陶磁器、セラミックス、プラスチック又は紙から選択されたものであることを特徴とする1~5のいずれかに記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法。
7.キャリヤーガス供給手段、原料気化器、気化した原料の吹付手段及び基材の加熱手段を具備する大気開放型化学気相析出装置において、一対の金属電極間に誘電体層を介在させた電界印加手段を有するとともに、少なくとも一方の電極に隙間を設け、該隙間から気化させた原料及びキャリヤーガスを基材表面に供給するようにしたことを特徴とする1~6のいずれかに記載の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法に使用する装置。
8.少なくとも一方の電極を金属を内包する誘電体により構成したことを特徴とする7に記載の装置。
9.基材の加熱手段と電界印加手段が電気的に絶縁されていることを特徴とする7又は8に記載の装置。
10.少なくとも気化した原料の吹付手段、基材の加熱手段及び電極を覆う防護チャンバーを設け、防護チャンバーの扉の開閉と電極のスイッチの開閉を連動させたことを特徴とする7~9のいずれかに記載の装置。
【0005】
【発明の実態の形態】
本発明で、大気開放型CVD法により、表面に酸化物あるいは水酸化物膜を形成する基材としては特に制限はなく、原料吹付け時の加熱に耐えられる材料はいずれも使用可能である。本発明では、200℃~室温といった低温でも基材表面に被膜を形成することができるので、金属、金属酸化物、ガラス、陶磁器、セラミックス等の、通常CVD法に用いられる基材のほかに、紙又はプラスチック等の非耐熱性材料をも基材として使用することができる。
基材の種類は、目的とする用途等に応じて選択されるが、好ましい基材としては、紙あるいはプラスチック等の非耐熱性材料、ステンレス鋼や鉄等の導電性材料、酸化亜鉛や酸化チタン等の誘電体多結晶又は単結晶材料、Si半導体材料等が挙げられる。
【0006】
基材表面に形成する酸化物あるいは水酸化物膜としては特に制限はないが、好ましい酸化物あるいは水酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、サファイア、Sn:In2O3(ITO:Indium Tin Oxide)等の金属酸化物が挙げられる。
酸化物あるいは水酸化物膜を構成する原料としては、それを揮発させ大気に放出した際に、大気中の酸素あるいは水分等と反応して酸化物あるいは水酸化物を形成するものであれば特に限定されない。その例としては、例えば各種金属のアルキル化合物、アルケニル化合物、フェニルあるいはアルキルフェニル化合物、アルコキシド化合物、ハロゲン化合物、アセチルアセトネート化合物、EDTA化合物等が挙げられる。これらの中でも、安全性面等からアルコキシド化合物が特に好ましい。
これらの原料は、原料気化器内で60~300℃程度に加熱気化され、気化された原料は、通常は流量0.5~4.0l/min程度のキャリヤーガスとともに、ノズルに送られる。
【0007】
キャリヤーガスとしては、加熱下で使用する原料化合物と反応する媒体でなければ、特に限定されないが、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス、炭酸ガス、有機フッ素系ガスあるいはヘキサン、ヘプタン等の有機物等が挙げられる。安全性、経済性の上から不活性ガスが好ましく、この中でも窒素ガスが経済性の面より最も好ましい。
ノズルからキャリヤーガスとともに大気中に噴出した原料は、沿面放電プラズマにより大気中の水との反応が促進され、室温~800℃程度に加熱された基材表面に堆積し、酸化物あるいは水酸化物膜を形成する。
【0008】
本発明では、大気開放型CVD法の基材をとりまく反応空間場に、沿面プラズマが生じるように電界を印加することによって、基材表面に酸化物あるいは水酸化物膜を形成する化学反応を促進することを特徴とするものであり、特に基材温度200℃以下の基材上に、酸化物あるいは水酸化物膜を効率よく堆積させることができる。
印加する電界としては直流電界あるいは交番電界が好ましく、電界の強度は0.1~100000V/mm程度、特に100~50000V/mm程度とすることが好ましい。このような、電界印加装置としては、例えば直流高電圧電源或いは、低周波あるいは高周波高圧電源が挙げられる。
【0009】
大気開放型CVD法の基材をとりまく反応空間場に、沿面プラズマを生じさせるには、一対の金属電極間に誘電体層を介在させた電界印加手段を使用して、電界を印加する。このような方法としては、▲1▼少なくとも一方の電極が誘電体で覆われた一対の金属電極間に基材を配置し電界を印加する、▲2▼一対の金属電極間に誘電体層を介在させた電界印加手段と基材を対向させて配置し電界を印加する、等の方法がある。
電極を構成する金属としては特に制限はなく、金、白金、銀、銅等の通常の導電性金属が用いられる。また、誘電体としては絶縁材料であれば何れも使用することができるが、好ましい材料としては、酸化物、窒化物および炭化物の各セラミックスあるいはガラス材料が挙げられる。
【0010】
基材表面あるいはその周辺に沿面プラズマを生じさせるには、少なくとも一方の電極(通常は、基材の上部に配置する電極)に隙間を設け、この隙間から気化させた原料及びキャリヤーガスを基材表面に供給するようにすることが好ましい。
図1~図3は、このような電極により構成された電界印加手段の例を示す模式図である。各図において、(A)は電界印加手段の主要部の斜視図、また(B)は電界印加手段の正面図を表す。
【0011】
図1の電界印加手段20は、金属電極21をセラミックス等の誘電体22で被覆してなる下部電極23、及びメッシュ状又は格子状の金属からなる上部電極24により構成され、下部電極23及び上部電極24は電源27に接続されている。下部電極23上には、基材25が載置され、メッシュ状又は格子状の上部電極24の隙間26から気化させた原料及びキャリヤーガスを基材25の表面に供給しながら、直流高電圧あるいは交番高電圧を印加することにより、基材25の表面又はその周辺に沿面プラズマを生じさせるものである。
【0012】
図2の電界印加手段30は、通常の金属電極からなる下部電極31、及びメッシュ状又は格子状の金属電極32を誘電体33で被覆した上部電極34により構成され、下部電極31及び上部電極34は電源37に接続されている。下部電極31上には、基材35が載置され、メッシュ状又は格子状の上部電極34の隙間36から気化させた原料及びキャリヤーガスを基材35の表面に供給する。
【0013】
図3の電界印加手段40は、通常の金属電極からなる下部電極41及び上部電極43によりメッシュ状又は格子状の誘電体42をはさむことにより構成され、下部電極41及び上部電極43は電源47に接続されている。基材45は、電界印加手段40と対向する基材台44上に載置され、メッシュ状又は格子状の電界印加手段40の隙間46から気化させた原料及びキャリヤーガスを基材45の表面に供給する。
本発明の電界印加手段を構成する電極に形成する隙間の形状には制限はなく、メッシュ状又は格子状のほかに、円形又は多角形の孔を設ける等、任意のものとすることができる。
【0014】
本発明の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法に使用する装置は、キャリヤーガス供給手段、原料気化器、気化した原料の吹付手段及び基材の加熱手段を具備する通常の大気開放型CVD装置の、基材の加熱手段に近接する位置に図1~図3にみられるような電界印加手段を設けることによって構成する。
この装置では、少なくとも気化した原料の吹付手段、基材の加熱手段及び電界印加手段を覆う防護チャンバーを設け、防護チャンバーの扉の開閉と電界印加手段のスイッチの開閉を連動させることによって、安全性を確保することが好ましい。
【0015】
図4は、このような装置の1例を示す模式図である。
図4において、符号1はキャリヤーガスとなる乾燥窒素を供給するボンベなどの乾燥窒素供給源、符号2は流量計、符号3は酸化物膜や水酸化物膜を形成する原料気化器を表す。また、符号4は所定幅のスリット5を設けたノズルを表し、符号6は基材、符号7は基材6の表面に沿面放電プラズマを発生するための電界印加手段、符号8は基材6の加熱台を表す。電界印加手段7と加熱台8はアルミナ板等の絶縁材料(図示せず)により電気的に絶縁されている。また、気化器3、ノズル4、基材6、電界印加手段7及び加熱台8は、防護チャンバー9により覆われており、防護チャンバー9にはアクリル樹脂等からなる扉10を設け、インターロックスイッチ11によって扉10の開閉と電界印加手段7のスイッチの開閉を連動させている。
【0016】
原料気化器3内で加熱蒸発させた原料は、窒素ガスとともにノズル4に送られ、ノズル4に設けた所定幅のスリット5から大気中に噴出させて、電界印加手段7の隙間から、所望により加熱された基材6の表面に吹付けられる。吹付けられた原料は、電界印加手段7により発生した沿面放電プラズマで分解され、基材表面に酸化物あるいは水酸化物膜を堆積する。
電界印加手段7としては、図1~図3のいずれのタイプのものを使用してもよく、また、印加する電界も直流電界、又は交番電界のいずれでもよい。
【0017】
本発明では基材をとりまく反応空間に沿面放電プラズマが生じるように電界を印加することによって、基材表面に酸化物あるいは水酸化物膜を形成する化学反応を促進し、これまで例を見ることのできない非耐熱性基材への酸化物膜あるいは水酸化物の高速堆積が可能となった。
本発明の方法によれば、基材表面に形成される被膜内の構造、特に被膜内の0.1nm以上100μm以下の構造を制御することが可能となり、基材表面に形成される被膜は、アモルファス、配向又は非配向の多結晶構造、ウイスカー状等種々の状態で得ることができる。
【0018】
好ましい非耐熱性基材としてアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂などの合成樹脂があげられる。これらの上に堆積される機能性酸化物あるいは水酸化物として、TiO2, Y2O3, SiO2, MgO, ITO, ZnO, Al:ZnO, ZrO2, Al2O3膜あるいはTiOxHy, Y2OxHy, SiOxHy, MgOxHy, ZnOxHy, ZrOxHy, Al2OxHyなどが挙げられる。本発明の基材表面に酸化物あるいは水酸化物膜を形成する化学反応を促進する方法を利用することにより、樹脂上に耐プラズマ性、耐磨耗性、透明導電性、蛍光性、ガスバリア性などを付与することが可能となり、プラズマディスプレイ隔壁、摺動部品、液晶ディスプレイ画面、蛍光灯、飲料用ボトルなどの材料として利用することができる。
【0019】
【実施例】
つぎに、実施例により本発明を説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
(実施例1:酸化チタン膜の低温合成)
図4の沿面放電支援型CVD装置を使用し、気化器3にチタンテトライソプロポキシドを仕込んだ。気化器3を120℃に加熱し、加熱台8を室温に放置した。吹き出しスリット5の下、10mmの位置に、厚み0.1mmのアクリル樹脂基材6を置いた。気化器3に乾燥窒素ガスをN2流量2.8l/minで導入し、チタンテトライソプロポキシドを大気圧雰囲気に放出し、電界印加手段7の隙間からアクリル樹脂基材6上に1分間吹き付けた。チタンテトライソプロポキシドは、沿面放電プラズマで大気中の水との反応が促進され酸化チタンとなり、これがアクリル樹脂基材6上に堆積し、膜厚約1μmのアナターゼ型酸化チタン結晶配向膜が生成した。生成した酸化チタン結晶の優先配向方向は(101)および(001)方位であった。
この例では、電界印加手段7として図1のタイプのものを使用し、アクリル樹脂基材6を、0.15mmの間隔で対向させた、金属電極21をセラミックス等の誘電体22で被覆してなる下部電極23とメッシュ状又は格子状の金属からなる上部電極24の間にはさんで、22kHz、5kV(ピーク・ツー・ピーク値:ピーク間電圧値)の交番電界によって、基材6の表面に沿面放電プラズマを発生させる。電圧の強度がピーク・ツー・ピーク値で5kVで、電極間の距離が0.15mmであるので、沿面放電を生じる電界は33333V/mmとなる。
【0020】
(比較例1)
比較のために、沿面放電プラズマを発生させないほかは、実施例1と同様にして、アクリル樹脂基材6上に酸化チタン膜の堆積を試みた。
上記実施例1及び比較例1で得られた膜を対比するために、触針式段差計で薄膜の厚さを測定し、結果を表1に示した。
【0021】
【表1】
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【0022】
沿面放電プラズマを印加した実施例1の酸化チタン膜では、堆積した膜の厚さが1μm前後まで得られた。
これに対して、沿面放電プラズマを印加しなかった比較例1の酸化チタン膜は、0.1μm程度の厚さを有するか、あるいは堆積を検出できなかった。
【0023】
(実施例2及び比較例2:酸化チタンウイスカーの高速成長)
図4の沿面放電支援型CVD装置を使用し、気化器3にチタンテトライソプロポキシドを仕込んだ。気化器3を110℃に加熱し、加熱台8を400℃に加熱した。吹出しスリット5の下、10mmの位置に、n型Si単結晶基材6を置いた。気化器3に乾燥窒素ガスをN2流量3.6l/minで導入し、チタンテトライソプロポキシドを大気圧雰囲気に放出し、電界印加手段7の隙間からn型Si単結晶基材6上に100分間吹き付けた。チタンテトライソプロポキシドは、沿面放電プラズマで大気中の水との反応が促進され酸化チタンとなり、これがn型Si単結晶基材6上に堆積し、長さ30μmのウイスカー集合体であるアナターゼ型酸化チタン結晶配向膜が生成した。生成した酸化チタン結晶の優先配向方向は(101)および(110)方位であった。
この例では、電界印加手段7として図2のタイプのものを使用し、n型Si単結晶基材6を、通常の金属電極からなる下部電極31とメッシュ状又は格子状の金属電極32を誘電体33で被覆した上部電極34の間にはさみ、基材6と上部電極34の距離を0.1mmとして、22kHz、5kV(ピーク・ツー・ピーク値:ピーク間電圧値)の交番電界によって、沿面放電プラズマを発生させる。電圧の強度がピーク・ツー・ピーク値で5kVで、電極間の距離が0.15mmであるので、沿面放電を生じる電界は33333V/mmとなる。
比較のために、沿面放電プラズマを発生させずに同様に基材を処理したところ、厚さ10μmのアナターゼ型酸化チタン結晶膜が得られた。すなわち、本発明の方法は、酸化チタンウイスカーの高速成長に顕著な効果を示した。
【0024】
(実施例3及び比較例3:酸化亜鉛ウイスカーの高速成長)
図4の沿面放電支援型CVD装置を使用し、気化器3にアセチルアセトナト亜鉛を仕込んだ。気化器3を105℃に加熱し、加熱台8を550℃に加熱した。吹き出しスリット5の下、20mmの位置に、n型Si単結晶基材6を置いた。気化器3に乾燥窒素ガスをN2流量1.5l/minで導入し、アセチルアセトナト亜鉛を大気圧雰囲気に放出し、電界印加手段7の隙間からn型Si単結晶基材6上に100分間吹き付けた。
アセチルアセトナト亜鉛は、沿面放電プラズマで大気中の水との反応が促進され酸化亜鉛となり、これがn型Si単結晶基材6上に堆積し、長さ30μmの酸化亜鉛配向ウイスカー集合体膜が生成した。生成した酸化亜鉛配向ウイスカー膜の優先配向方向は(0001)方位であった。
この例では、電界印加手段7として図2のタイプのものを使用し、n型Si単結晶基材6を、通常の金属電極からなる下部電極31とメッシュ状又は格子状の金属電極32を誘電体33で被覆した上部電極34の間にはさみ、基材6と上部電極34の距離を0.1mmとして、22kHz、5kV(ピーク・ツー・ピーク値:ピーク間電圧値)の交番電界によって、沿面放電プラズマを発生させる。電圧の強度がピーク・ツー・ピーク値で5kVで、電極間の距離が0.15mmであるので、沿面放電を生じる電界は33333V/mmとなる。
比較のために、沿面放電プラズマを発生させずに同様に基材を処理したところ、長さ10μmの酸化亜鉛ウイスカーが得られた。すなわち、本発明の方法は、酸化亜鉛ウイスカーの高速成長に顕著な効果を示した。
【0025】
(実施例4及び比較例4:酸化マグネシウム膜の低温合成)
図4の沿面放電支援型CVD装置を使用し、気化器3にアセチルアセトナトマグネシウムを仕込んだ。気化器3を220℃に加熱し、加熱台8を100℃に加熱した。吹き出しスリット5の下、20mmの位置に、厚み0.1mmのポリイミド樹脂基材6を置いた。気化器3に乾燥窒素ガスをN2流量2.8l/minで導入し、アセチルアセトナトマグネシウムを大気圧雰囲気に放出し、電界印加手段7の隙間からポリイミド樹脂基材6上に30分間吹き付けた。アセチルアセトナトマグネシウムは、沿面放電プラズマで大気中の水との反応が促進され酸化マグネシウムとなり、これがポリイミド樹脂基材6上に堆積し、酸化マグネシウム結晶膜が生成した。
この例では、通常の金属電極からなる下部電極41及び上部電極43によりメッシュ状又は格子状の誘電体42をはさむことにより構成された、図3のタイプの電界印加手段7と、基材6を0.1mmの間隔で対向させて加熱台8上に載置し、電極間に印加された22kHz、5kV(ピーク・ツー・ピーク値:ピーク間電圧値)の交番電界によって沿面放電プラズマを発生させる。電圧の強度がピーク・ツー・ピーク値で5kVで、誘電体電極をはさむ金属電極間の距離が0.5mmであるので、沿面放電を生じる電界は10000V/mmとなる。
比較のために、沿面放電プラズマを発生させないほかは、実施例4と同様にして、ポリイミド樹脂基材上に酸化マグネシウム膜の堆積を試みた。
上記実施例4及び比較例4で得られた膜を対比するために、触針式段差計で薄膜の厚さを測定し、結果を表2に示した。
【0026】
【表2】
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【0027】
(実施例5及び比較例5:アモルファス水酸化アルミニウム膜の低温合成)
図4の沿面放電支援型CVD装置を使用し、気化器3にアセチルアセトナトアルミニウムを仕込んだ。気化器3を220℃に加熱し、加熱台8を80℃に加熱した。吹き出しスリット5の下、20mmの位置に、厚み0.1mmのポリカーボネート樹脂基材6を置いた。気化器に乾燥窒素ガスをN2流量2.8l/minで導入し、アセチルアセトナトアルミニウムを大気圧雰囲気に放出し、電界印加手段7の隙間からポリカーボネート樹脂基材6上に1分間吹き付けた。アセチルアセトナトアルミニウムは、沿面放電プラズマで大気中の水との反応が促進され水酸化アルミニウムとなり、これがポリカーボネート樹脂基材6上に堆積した。
この例では、通常の金属電極からなる下部電極41及び上部電極43によりメッシュ状又は格子状の誘電体42をはさむことにより構成された、図3のタイプの電界印加手段7と、基材6を0.1mmの間隔で対向させて加熱台8上に載置し、電極間に印加された22kHz、5kV(ピーク・ツー・ピーク値:ピーク間電圧値)の交番電界によって沿面放電プラズマを発生させる。電圧の強度がピーク・ツー・ピーク値で5kVで、誘電体電極をはさむ金属電極間の距離が0.5mmであるので、沿面放電を生じる電界は10000V/mmとなる。
比較のために、沿面放電プラズマを発生させないほかは、実施例5と同様にして、ポリカーボネート基材上にアモルファス水酸化アルミニウム膜を形成した。上記実施例5及び比較例5で得られたアモルファス水酸化アルミニウム膜を対比するために、その表面粗さRa値をJIS B0601-1994に基づいて測定し、結果を表3に示した。
【0028】
【表3】
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【0029】
(実施例6及び比較例6:ITO膜の低抵抗率化)
図4の沿面放電支援型CVD装置を使用し、気化器3にアセチルアセトナインジウムおよびアセチルアセトナトスズを仕込んだ。気化器3を115℃に加熱し、加熱台8を180℃に加熱した。吹き出しスリット5の下、10mmの位置に、厚み0.1mmのポリイミド樹脂基材6を置いた。気化器に乾燥窒素ガスをN2流量1.5l/minで導入し、アセチルアセトナトインジウムおよびアセトナトスズを大気圧雰囲気に放出し、電界印加手段7の隙間からポリイミド樹脂基材6上に1分間吹き付けた。アセチルアセトナトインジウムおよびアセチルアセトナトスズは、沿面放電プラズマで大気中の水との反応が促進されITO(Indium Tin Oxide)となり、これがポリイミド樹脂基材6上に堆積し、厚さ0.5μmのITOである結晶膜が生成した。
この例では、通常の金属電極からなる下部電極41及び上部電極43によりメッシュ状又は格子状の誘電体42をはさむことにより構成された、図3のタイプの電界印加手段7と、基材6を0.1mmの間隔で対向させて加熱台8上に載置し、電極間に印加された22kHz、5kV(ピーク・ツー・ピーク値:ピーク間電圧値)の交番電界によって沿面放電プラズマを発生させる。電圧の強度がピーク・ツー・ピーク値で5kVで、誘電体電極をはさむ金属電極間の距離が0.5mmであるので、沿面放電を生じる電界は10000V/mmとなる。
比較のために、沿面放電プラズマを発生させないほかは、実施例6と同様にして、ポリイミド樹脂基材上にITO膜を形成した。
上記実施例6及び比較例6で得られたITO膜を対比するために、その抵抗率を四探針法に基づいて測定し、結果を表4に示した。
【0030】
【表4】
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【0031】
【発明の効果】
本発明では基材をとりまく反応空間に沿面放電プラズマが生じるように電界を印加することによって、基材表面に酸化物あるいは水酸化物膜を形成する化学反応を促進し、特に基材温度200℃以下で酸化物あるいは水酸化物膜を効率良く形成することが可能となり、これまで例を見ることのできない非耐熱性基材への酸化物膜あるいは水酸化物の高速堆積が可能となった。
また、本発明によれば、基材表面に形成される被膜内の構造、特に被膜内の0.1nm以上100μm以下の構造を制御することが可能となり、基材表面に形成される被膜は、アモルファス、配向又は非配向の多結晶構造、ウイスカー状等種々の状態で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する電界印加手段の1例を示す模式図である。
【図2】本発明で使用する電界印加手段の他の例を示す模式図である。
【図3】本発明で使用する電界印加手段の他の例を示す模式図である。
【図4】本発明の基材表面に被膜を形成する反応を促進する方法に使用する装置の1例を示す図である。
【符号の説明】
1 乾燥窒素供給源
2 流量計
3 原料気化器
4 ノズル
5 スリット
6,25,35,45 基材
7,20,30,40 電界印加手段
8 加熱台
9 防護チャンバー
10 扉
11 インターロックスイッチ
21,32 金属電極
22,33,42 誘電体
23,31,41 下部電極
24,34,43 上部電極
26,36,46 隙間
27,37,47 電源
44 基材台
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3