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Specification :(In Japanese)大きな二光子吸収特性を示すアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体及びその製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4235726
Publication number P2004-168690A
Date of registration Dec 26, 2008
Date of issue Mar 11, 2009
Date of publication of application Jun 17, 2004
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)大きな二光子吸収特性を示すアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体及びその製造方法
IPC (International Patent Classification) C07D 519/00        (2006.01)
C07F   3/06        (2006.01)
FI (File Index) C07D 519/00 311
C07F 3/06
Number of claims or invention 6
Total pages 31
Application Number P2002-335246
Date of filing Nov 19, 2002
Date of request for substantive examination Nov 28, 2002
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】小夫家 芳明
【氏名】小川 和也
Representative (In Japanese)【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100091351、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 哲
【識別番号】100088683、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 誠
【識別番号】100108855、【弁理士】、【氏名又は名称】蔵田 昌俊
【識別番号】100075672、【弁理士】、【氏名又は名称】峰 隆司
【識別番号】100109830、【弁理士】、【氏名又は名称】福原 淑弘
【識別番号】100084618、【弁理士】、【氏名又は名称】村松 貞男
【識別番号】100092196、【弁理士】、【氏名又は名称】橋本 良郎
Examiner (In Japanese)【審査官】谷尾 忍
Document or reference (In Japanese)特開2004-137273(JP,A)
特開2001-213883(JP,A)
OGAWA, Kazuya et al.,"Large Third-Order Optical Nonlinearity of Self-Assembled Porphyrin Oligomers",Journal of the American Chemical Society,2002年 1月 9日,vol.124, no.1,p.22-23
OGAWA, Kazuya et al.,"Formation of a giant supramolecular porphyrin array by self-coordination",Angewandte Chemie, International Edition,2000年,vol.39, no.22,p.4070-4073
Thomas E. O. SCREEN et al.,"Amplified Optical Nonlinearity in a Self-Assembled Double-Strand Conjugated Porphyrin Polymer Ladder",J. Am. Chem. Soc.,2002年 8月21日,vol.124, no.33,p.9712-9713
THORNE, J. R. G. et al.,"Degenerate four-wave mixing studies of butadiyne-linked conjugated porphyrin oligomers",Chemical Physics,1999年,vol.248, no.2-3,p.181-193
PIET, Jacob J. et al.,"Excitonic Interactions in the Singlet and Triplet Excited States of Covalently Linked Zinc Porphyrin Dimers",Journal of the American Chemical Society,2000年 3月 1日,vol.122, no.8,p.1749-1757
KUMBLE, Ranjit et al.,"Ultrafast Dynamics of Highly Conjugated Porphyrin Arrays",Journal of the American Chemical Society,1998年11月11日,vol.120, no.44,p.11489-11498
Field of search C07D 519/00
C07F 3/06
CA(STN)
CAOLD(STN)
REGISTRY(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
次の一般式(1-1)又は一般式(1-2)で表される大きな二光子吸収特性を示すアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体:
【化1】
JP0004235726B2_000018t.gif
一般式(1-1)及び一般式(1-2)において、
点線で表される中心金属M1とImの間の結合は配位結合であり、
R1は、無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表し、
M1は、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る亜鉛(II)、鉄(II/III)、コバルト(II/III)、ルテニウム(II/III)及びガリウム(III)からなる群から選択される金属イオンを表し、M2は、プロトン二個を表すか、またはポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得ない金イオン、ニッケルイオン及び銅イオンからなる群から選択される金属イオンを表し、
Imは、次のIm1あるいはIm2
【化2】
JP0004235726B2_000019t.gif
(式中、R8は、メチル基または水素原子を表す)で表されるイミダゾリル基を表し、
L1は、(-C≡C-)mで表される連結基(ここで、mは、1~3の整数を表す)を表し、
nは、1以上の整数を表し、
R2及びR3は、次式(a)で表される中心がM1又はM2であるポルフィリン残基を表す:
【化3】
JP0004235726B2_000020t.gif
(式中、R1M1、M2及びImは上記で規定したとおりである)。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、M2がプロトン二個を表す化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物であって、一般式(1-1)で表されることを特徴とする化合物。
【請求項4】
一般式(1-1)又は一般式(1-2)において、R1で表される置換アリール基が、アルキルアリール基、アルコキシアリール基、アルコキシカルボニルアリール基、アルケノキシアリール基及びアルケノキシカルボニルアリール基からなる群から選択されるものである請求項1に記載のポルフィリン連鎖体。
【請求項5】
一般式(1-1)又は一般式(1-2)において、R1で表される無置換のアルキル基の炭素原子数が1~24であり、置換もしくは無置換のアリール基の炭素原子数が6~24である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポルフィリン連鎖体。
【請求項6】
請求項1に記載の一般式(1-1)又は一般式(1-2)で表されるポルフィリン連鎖体の製造方法であって:
次の一般式(2):
【化4】
JP0004235726B2_000021t.gif
(式中、R1、M1、L1及びImは、請求項1で規定したとおり)で表されるアセチレン結合により連結されたイミダゾリルポルフィリン金属錯体と、
次の一般式(3):
【化5】
JP0004235726B2_000022t.gif
(式中、R1、R2、M1及びImは、請求項1で規定したとおり)で表されるイミダゾリルポルフィリン金属錯体とを、極性溶媒の存在下に反応させることを特徴とする方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二光子吸収材料を提供するポルフィリン金属錯体に関する。より詳細には、本発明は、大きな二光子吸収特性を示すアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体、及び共有結合によって固定化されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体に関する。
【0002】
【従来の技術】
二光子吸収材料は三次元光メモリー、光化学療法、光学フューズ、二光子顕微鏡等の様々な応用が期待されている。特に超高密度で超高速な読み込み書き込みができる三次元光メモリー、癌細胞だけをレーザーにより攻撃して治療を行う光化学療法は社会的貢献が大きい。
【0003】
大きな二光子吸収断面を持つ有機化合物の設計においてはp電子共役系を拡げて軌道の重なりを増やすことと、電子ドナーとアクセプターを組み合わせることで分子の分極率を大きくすることが重要とされている。ポルフィリンは、4個のピロール核が4個のメチン基により架橋された環状テトラピロールであり18 p電子から成る大きな共役系を持つことから二光子吸収材料の候補に挙げられる。
【0004】
二光子吸収現象は古くから知られていたがJean-Luc Bredas等が1998年に分子構造とメカニズムの関係を解明して以来(非特許文献1参照)、近年になって研究が進むようになった。ポルフィリンの二光子吸収に関する報告も僅かしかなかった。ごく最近、Andersonはポルフィリン同士をブタジイン結合で連結させた一次元直線状ポルフィリン多量体が大きな二光子吸収断面を示すことを報告した(非特許文献2参照)。しかし共有結合を用いているため多量体の長さの調節ができない。またヘテロ金属の導入や末端置換基へのドナー・アクセプターの導入も困難であるため、その二光子吸収特性を向上することができない。さらに二光子吸収特性がピコ秒の時間スケールでの過程を測定しており、超高速記録に必要なフェムト秒オーダーでの過程については検討されていない。大きな二光子吸収を与えるドナーとアクセプターを一次元直線状ポルフィリン連鎖体に導入することは共有結合を用いていては困難であり、そのため従来の合成方法では大きな二光子吸収特性を望むことができなかった。
【0005】
【非特許文献1】
Science, 281, 1653 (1998)
【非特許文献2】
J. Am. Chem. Soc., 124, 9712 (2002)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、配位結合による自己組織化を利用して共有結合を用いては不可能な分子の長さを簡便に制御でき、連鎖体の末端にアクセプターもしくはドナー分子を連結することができる大きな二光子吸収を示す材料を提供することを目的する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明者らはイミダゾリル基を結合させた二つのイミダゾリルポルフィリンをビスアセチレン結合により連結した。ビスアセチレン型二量体の一方がドナーである金属錯体、もう一方がアクセプターであるフリーベースポルフィリンを有するモノ金属錯体を合成し、その配位二量体を調製した。本発明者らは先に、イミダゾリルポルフィリン金属錯体の金属原子に他のイミダゾリルポルフィリン金属錯体のイミダゾリル基の窒素原子を配位させ、ポルフィリン間をメソ型で架橋を行ない、イミダゾリルポルフィリン二量体が配位結合で連結されたメソ型ポリ(ポルフィリン)が得られ、メタノールもしくはピリジンの添加、除去によって配位結合を結線、断線できることを見出している。二光子吸収特性におけるビスアセチレン結合による共役系の拡張の効果を評価するため、アクセプターであるフリーベースを末端に有するビスアセチレン型二量体のモノ金属錯体とメソ型ポルフィリン二量体モノ金属錯体から成るそれぞれの組織体との比較を行った。共役系を拡張しないメソ型ポルフィリン二量体モノ金属錯体から成る組織体よりも共役系を拡張たビスアセチレン型二量体のモノ金属錯体から成る組織体の方が約20倍大きな二光子吸収特性を有することを明らかにして発明を完成させた。
【0008】
本発明は、次の一般式(1)で表される大きな二光子吸収特性を示すビスアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体及び次の一般式(2)で表されるイミダゾリルポルフィリン金属錯体を構成単位とする二量体、並びにその製造方法を提供する。
【0009】
(1) 次の一般式(1-1)又は一般式(1-2)で表される大きな二光子吸収特性を示すアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体:
【0010】
【化8】
JP0004235726B2_000002t.gif
【0011】
一般式(1-1)及び一般式(1-2)において、
R1は、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表し、
M1は、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属のイオンを表し、M2は、プロトン二個又はイミダゾリル基と配位結合を形成し得ない金属イオンを表し、
R2及びR3は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して、(a)中心がM1又はM2であるポルフィリン残基、(b)環状ジイミド残基、(c)ジアルキルビオローゲン残基、(d)ベンゾキノン残基、(e)N-メチルピロリジン-フラーレン誘導体残基又は、(f)フェロセン残基を表し、
Imは、次のIm1あるいはIm2
【0012】
【化9】
JP0004235726B2_000003t.gif
【0013】
(式中、R8は、メチル基または水素原子を表す。)で表されるイミダゾリル基を表し、
L1は、(-C≡C-)mで表される連結基(ここで、mは、1~3の整数を表す。)を表し、
nは、1以上の整数を表す。}
【0014】
(2) 一般式(1-1)又は一般式(1-2)において、R2及びR3で表される(a)中心がM1又はM2であるポルフィリン残基、(b)環状ジイミド残基、(c)ジアルキルビオローゲン残基、(d)ベンゾキノン残基、(e)N-メチルピロリジン-フラーレン誘導体残基及び(f)フェロセン残基が、それぞれ次の式:
【0015】
【化10】
JP0004235726B2_000004t.gif
【0016】
(式中、R1、M1、M2及びImは、(1)で規定したとおりであり、R4及びR6は、各々独立してアルキレン基又はアリーレン基を表し、R5及びR7は、各々独立してアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、又はアリール基を表す。)で表される(1)に記載のポルフィリン連鎖体。
【0017】
(3) 一般式(1-1)又は一般式(1-2)において、M1が、亜鉛、鉄、コバルト、ルテニウム及びガリウムからなる群から選択される金属のイオンである(1)又は(2)に記載のポルフィリン連鎖体。
【0018】
(4) 一般式(1-1)又は一般式(1-2)において、R1で表される置換アルキル基が、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケノキシアルキル基及びアルケノキシカルボニルアルキル基からなる群から選択されるものであり、R1で表される置換アリール基が、アルキルアリール基、アルコキシアリール基、アルコキシカルボニルアリール基、アルケノキシアリール基及びアルケノキシカルボニルアリール基からなる群から選択されるものである(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のポルフィリン連鎖体。
【0019】
(5) 一般式(1-1)又は一般式(1-2)において、R1で表される置換もしくは無置換のアルキル基の炭素原子数が1~24であり、置換もしくは無置換のアリール基の炭素原子数が6~24である(1)ないし(4)のいずれか1項に記載のポルフィリン連鎖体。
【0020】
(6) 一般式(1-1)又は一般式(1-2)において、R4~R7で表されるアルキル基又はアルキレン基の炭素原子数が、1~20であり、R5及びR7で表されるアルコキシアルキル基又はアルコキシカルボニル基の炭素原子数が、2~21であり、R4~R7で表されるアリール基又はアリーレン基の炭素原子数が、6~20である(1)ないし(5)のいずれか1項に記載のポルフィリン連鎖体。
【0021】
(7) 次の一般式(2):
【0022】
【化11】
JP0004235726B2_000005t.gif
【0023】
(式中、R1、M1、L1及びImは、(1)で規定したとおり。)で表されるアセチレン結合により連結されたイミダゾリルポルフィリン金属錯体と、次の一般式(3):
【0024】
【化12】
JP0004235726B2_000006t.gif
【0025】
(式中、R1、R2、M1及びImは、(1)で規定したとおり。)で表されるイミダゾリルポルフィリン金属錯体とを、極性溶媒の存在下に反応させることを特徴とする、(1)に記載の一般式(1-1)又は一般式(1-2)で表されるポリフィリン連鎖体の製造方法。
【0026】
(8) 次の一般式(4)で表される、大きな二光子吸収特性を示す共有結合によって固定化されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体:
【0027】
【化13】
JP0004235726B2_000007t.gif
【0028】
{一般式(4)において、Rはアルキル基又は
【化14】
JP0004235726B2_000008t.gif
【0029】
(式中、a、b及びcは、各々独立してH,アルキル基又はアリール基を表す。)を表し、M1、L1及びImは、(1)で規定したとおりであり、M3は、(1)で規定したM1又はM2のいずれかを表し、pは、1以上の整数を表し、qは0~6の整数を表し、rは、0~4の整数を表す。}。
【0030】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の一般式(1-1)又は一般式(1-2)で表される大きな二光子吸収特性を示すアセチレン結合により連結されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体(以下、「本発明のポルフィリン連鎖体」ともいう。)を詳細に説明する。
【0031】
以下の一般式(1-1)についての記載は、別段の規定がない限り一般式(1-2)についても同様である。
【0032】
上記一般式(1-1)において、M1は、ポルフィリン環の中心金属となり、Imで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る金属のイオンを表す。M1により表される金属の具体例を挙げると、Zn(II)、Ga(III)、Fe(II/III)、Co(II/III)及びRu(II/III)等があるが、ポルフィリン環の中心金属となり得、かつImで表されるイミダゾリル基と配位結合を形成し得る限りこれらに限定されるものではない。
【0033】
一般式(1-2)において、M2は、プロトン2個又はイミダゾリル基と配位結合を形成し得ない金属イオンを表す。イミダゾリル基と配位結合を形成し得ない金属イオンには、金イオン、ニッケルイオン、銅イオン等があるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
一般式(1-1)において、R1は、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【0035】
R1により表される置換もしくは無置換のアルキル基には、直鎖、分岐及び環状のアルキル基が含まれる。
【0036】
無置換アルキル基や置換アルキル基のアルキル残基の炭素原子数は、ポルフィリン連鎖体が形成できる限り特に制限はないが、製造の容易性、溶解性等を考慮すると、1~20が好ましく、2~20がより好ましい。
【0037】
R1が置換アルキル基である場合の置換基としては、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルケノキシ基、アルケノキシカルボニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
R1が置換アルキル基である場合の置換基であるアルコキシカルボニル基の炭素原子数は、ポルフィリン連鎖体が形成できる限り特に制限はないが、通常、2~23程度のものまで含まれる。R1で表されるアルコキシカルボニルアルキル基の一例を挙げると、メトキシカルボニルエチルがある。
【0039】
R1が置換アルキル基である場合の置換基であるアルコキシ基の炭素原子数は、ポルフィリン連鎖体が形成できる限り特に制限はないが、通常、1~22程度のものまで含まれる。R1で表されるアルコキシアルキル基の一例を挙げると、エトキシプロピルがある。
【0040】
R1が置換アルキル基である場合の置換基であるアルケノキシ基の炭素原子数は、ポルフィリン連鎖体が形成できる限り特に制限はないが、通常、2~22程度のものまで含まれる。R1で表されるアルケノキシアルキル基の一例を挙げると、2-プロペノキシプロピル基がある。
【0041】
R1が置換アルキル基である場合の置換基であるアルケノキシカルボニル基の炭素原子数は、ポルフィリン連鎖体が形成できる限り特に制限はないが、通常、3~24程度のものまで含まれる。R1で表されるアルケノキシカルボニルアルキル基の一例を挙げると、2-プロぺノキシカルボニルエチルがある。
【0042】
R1により表される置換もしくは無置換のアリール基には、単環または縮合環のものが含まれる。
【0043】
無置換アリール基や置換アリール基のアリール残基の炭素原子数は、ポルフィリン連鎖体が形成できる限り特に制限はないが、製造の容易性、溶解性等を考慮すると、6~20が好ましく、6~10がより好ましい。無置換アリール基の一例を挙げると、フェニル、ナフチルなどがある。
【0044】
R1が置換アリール基である場合の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケノキシ基、アルケノキシカルボニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
これらの置換アリール基の置換基であるアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケノキシ基、アルケノキシカルボニル基の炭素原子数は、上記R1の説明で述べたものと同じである。R1により表されるアルキルアリール基、アルコキシアリール、アルコキシカルボニルアリール、アルケノキシアリール基及びアルケノキシカルボニル基の一例を挙げると、それぞれ4-メチルフェニル、4-メトキシフェニル、4-(エトキシカルボニル)-フェニル、4-(2-プロペノキシ)-フェニル、4-(2-プロペノキシカルボニル)-フェニルがある。
【0046】
一般式(1-1)において、置換基R1は複数個ある。これらは互いに同じでも異なっていてもよいが、製造の容易性等を考慮すると、同じであることが好ましい。以下、一般式(1-1)、(1-2)、(3)及び(4)のそれぞれにおいて、同一の記号で表された置換基が複数個ある場合についても同じである。
【0047】
R1はポルフィリン連鎖体の溶解度等の観点からアルキル基、アルキル置換アリール基あるいはアルキルオキシ置換アリール基が好ましい。
【0048】
R1がアルケノキシカルボニルアルキル基及びアルケノキシアルキル基である場合には、後述する本発明の一般式(4)で表される共有結合によって固定化されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体を製造するための、閉環メタセシス反応に利用することができる。R1がアルケノキシアリール基及びアルケノキシカルボニルアリール基である場合も同様に、後述する本発明の一般式(4)で表される共有結合によって固定化されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体)を構成単位とするポルフィリン連鎖体を製造するための、閉環メタセシス反応に利用することができる。
【0049】
一般式(1-1)においてR2及びR3は同じ置換基もしくは異なる置換基のいずれでもよい。R2及びR3で表される次の基:(a)中心がM1又はM2であるポルフィリン残基、(b)環状ジイミド残基、(c)ジアルキルビオローゲン残基、(d)ベンゾキノン残基、(e)N-メチルピロリジン-フラーレン誘導体残基、又は(f)フェロセン残基には、それぞれ以下のものが含まれるが、これらに制限されるものではない。
【0050】
【化15】
JP0004235726B2_000009t.gif
【0051】
上記式中、R1、M1及びM2は、上述した一般式(1)のR1、M1及びM2とそれぞれ同義であり、R4及びR6は、各々独立してアルキレン基又はアリーレン基を表し、R5及びR7は、各々独立してアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基又はアリール基を表し、Imは、上述した一般式(1)のImと同義である。
【0052】
R4及びR6で表されるアルキレン基及びアリーレン基は、ポルフィリン連鎖体の末端基を構成できるかぎり、その炭素原子数に特に制限はないが、1~20(アリーレンの場合は、6~20)が好ましく、2~20(アリーレンの場合は、7~20)が更に好ましい。
【0053】
R5及びR7で表されるアルキル基及びアリール基は、ポルフィリン連鎖体の末端基を構成できるかぎり、その炭素原子数に特に制限はないが、1~20(アリーレンの場合は、6~20)が好ましく、3~20(アリーレンの場合は、7~20)が更に好ましい。
【0054】
R5及びR7で表されるアルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基の炭素原子数も、ポルフィリン連鎖体の末端基を構成できるかぎりその炭素原子数に特に制限はないが、2~20が好ましく、3~20が更に好ましい。
【0055】
R2及びR3で表される(a)~(f)で表される各残基を提供する化合物は、いずれも市販されているか、文献等を参照し、市販品から合成することができる。
【0056】
一般式(1-1)において、Imは、Im1あるいはIm2
【化16】
JP0004235726B2_000010t.gif
【0057】
(式中、R8は、メチル基または水素原子を表す。)のいずれでもよく、R8はメチル基あるいは水素原子のいずれでもよい。
【0058】
一般式(1-1)において、nは、1以上の整数を表す。nの上限値は、ポルフィリン連鎖体を形成できる限り特に制限はないが、例えば、1000程度のものまで合成が可能であると考えている。
【0059】
一般式(1-1)において、L1は、(-C≡C-)mで表される連結基(ここで、mは、1~3の整数を表す。)を表すが、本発明の一般式(1-1)で表されるポルフィリン連鎖体が大きな二光子吸収特性を有する限りnが3を超えるようなポリアセチレン基や、その他の基でもよい。
【0060】
上記一般式(1-1)及び一般式(1-2)に示すように、本発明の構成単位であるイミダゾリルポルフィリン二量体におけるポルフィリンに置換するイミダゾリル基のイミダゾール環は、ピロール環とメチン基とにより構成される平面に対してほぼ垂直な平面上に広がるように配置されている。また、二つのポルフィリン環は一つないし三つのアセチレン結合で連結されておりお互いに同じ平面状に配置されている。上記一般式(1-1)及び一般式(1-2)において、金属M1及びM2(プロトンが二つの場合を除く)のそれぞれとピロール核の窒素原子との結合は配位結合である。また、中心金属M1とイミダゾリル基の窒素原子との結合も配位結合である。
【0061】
次に、本発明の一般式(4)で表される共有結合によって固定化されたビス(イミダゾリルポルフィリン金属錯体を構成単位とするポルフィリン連鎖体を構成単位とするポルフィリン連鎖体(以下、「本発明の共有結合固定化ポルフィリン連鎖体」ともいう。)について詳細に説明する。
【0062】
本発明の共有結合固定化ポルフィリン連鎖体は、上述した本発明の一般式(1-1)で表されるポリフィリン連鎖体において、R2及びR3で表される末端基が、(a)中心金属がM1又はM2である金属錯体残基:
【化17】
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【0063】
(式中、R1、M1、M2及びImは、一般式(1-1)において規定したとおり。)である場合であり、かつR1で表される基が、オレフィン残基を有する基(アルケノキシアルキル基、アルケノキシカルボニルアルキル基、アルケノキシアリール基又はアルケノキシカルボニルアリール基)である場合に、これらのオレフィン残基が閉環メタセシス反応し、共有結合により固定化されたものである。
【0064】
本発明の共有結合固定化ポルフィリン連鎖体は、一般式(1-1)や(1-2)と同様に大きな二光子吸収特性を有する。また、一般式(1-1)や(1-2)で表されるポルフィリン連鎖体は、これを溶解する溶媒の極性が高いと配位結合が切断されるため、利用できる媒体や環境により適用範囲が制限されることがある。これに対して、本発明の共有結合固定化ポルフィリン連鎖体は、共有結合で固定化されているので、これを溶解する溶媒の極性に依存することなく重合度が安定した状態に維持できるので、適用範囲が広がるという利点を有する。
【0065】
一般式(4)において、Rはアルキル基又は
【化18】
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【0066】
(式中、a、b及びcは、各々独立してH,アルキル基又はアリール基を表す。)を表し、M1、L1及びImは、請求項1で規定したとおりであり、M3は、請求項1で規定したM1又はM2のいずれかを表し、pは、1以上の整数を表し、qは0~6の整数を表し、rは、0~4の整数を表す。
【0067】
R、a、b及びcで表されるアルキル基は、上記一般式(1)のR1で説明したアルキル基と同義である。
【0068】
pは、1以上の整数を表す。pの上限値は、一般式(1-1)のnと同様に、ポリフィリン連鎖体を形成できる限り特に制限はないが、例えば、1000程度のものまで可能であると考えている。
【0069】
qは、0~6の整数を表す。qは、原料化合物の合成の容易性、生成物に期待される機能等を考慮すると、2が好ましい。
【0070】
rは、0~4の整数を表す。rは、原料化合物の合成の容易性、生成物に期待される機能等を考慮すると、1が好ましい。
【0071】
一般式(4)において、ポルフィリン環、イミダゾリル基、中心金属等の結合様式及び立体配置等は、上述した一般式(1-1)及び一般式(1-2)におけるものと同じである。
【0072】
以下に、本発明の一般式(1-1)及び一般式(1-2)で表されるポルフィリン連鎖体において、R2及びR3がともにフリーベースポルフィリンであり、M1が亜鉛イオン、M2がプロトン二個であるものの合成方法を説明するが、その他の置換基を有する本発明のポルフィリン連鎖体もこれに準じて合成することができる。
【0073】
本発明のポルフィリン連鎖体において、M1で表される金属がZn(II)であるもの、R2とR3がともにフリーベースポルフィリンであり、M2がプロトン二個であるものは次の工程1~工程8を経て合成することができるが、これに限定されるものではない。
【0074】
【化19】
JP0004235726B2_000013t.gif
【0075】
【化20】
JP0004235726B2_000014t.gif
【0076】
【化21】
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【0077】
<工程1>化合物4の合成
化合物1(式中、TMS=トリメチルシリル基)及び化合物2、化合物3(式中、R1及びImは一般式(3)で規定したとおり)を、CHCl3あるいはアセトニトリルのような溶媒に溶解し、窒素雰囲気下に置換したあとこれにTFA(トリフルオロ酢酸)を添加し、反応させ、クロラニル(2,3,5,6-テトラクロロ-p-ベンゾキノン)を加えることによりポルフィリンを合成する。
【0078】
化合物1、化合物2及び化合物3の添加量は、通常、1:1:2 ~ 1:2:2に設定することができる。
【0079】
溶媒は、通常、化合物2重量に対し500~5000倍量用いることができる。反応温度は、通常、20~30℃に設定することができる。反応時間は、通常、30~300分に設定することができる。
【0080】
反応後、必要に応じて精製等の工程を経て、得られた物質を次の<工程2>に供する。精製工程は、例えば、反応終了後、溶液に重炭酸ナトリウム水溶液を加えクロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒で分液後、有機層を乾燥濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等により行うことができる。
【0081】
<工程2>化合物5の合成
上記工程1で得られた化合物4を亜鉛錯体5に変換する。この反応は、化合物4をクロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、酢酸亜鉛(II)を添加することにより行うことができる。
【0082】
添加する酢酸亜鉛の量は、通常、化合物重量の5~10000倍量に設定することができる。反応温度は、通常、室温(約25~30℃)に設定することができ、反応時間は、0.5~3時間に設定することができる。
【0083】
反応後、蒸留水により、反応溶液を洗浄し、有機層を減圧濃縮することにより化合物5を得る(式中R1は一般式(1)で、Imは一般式(3)で規定したとおり)。
【0084】
<工程3>化合物6の合成
上記工程2で得られた化合物5のTMS基を除去する。化合物5をクロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、TBAF(テトラブチルアンモニウムフッ化物)を添加することにより行うことができる。
【0085】
添加するTBAFの量は、通常、化合物重量の5~50倍量に設定することができる。反応温度は、通常、室温(約25~30℃)に設定することができ、反応時間は、1~6時間に設定することができる。
【0086】
反応後、蒸留水により、反応溶液を洗浄し、有機層を減圧濃縮する。残査である化合物6を精製せずに次の<工程4>に供する。(式中R1は一般式(1)で、Imは一般式(3)で規定したとおり)。
【0087】
<工程4及び5>化合物8の合成
化合物6(式中、R1は、一般式(1)で、Imは一般式(3)で規定したとおり)をクロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、ピリジンを加えて30分攪拌後、塩化銅(I)を添加し室温で反応させる。
【0088】
化合物6及びピリジン、塩化銅(I)の添加量は、通常、1:1.5:10:10 ~1:3:200:200に設定することができる。反応温度は、通常、20~30℃に設定することができる。反応時間は、通常、1~30時間に設定することができる。
【0089】
反応終了後、アンモニア水溶液もしくはエチレンジアミン水溶液により上記反応に用いた反応溶液を洗浄し、有機層の溶媒を留去する。残査である化合物7をクロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、p-TsOH(p-トルエンスルホン酸)を添加することにより行うことができる。
【0090】
添加するp-TsOHの量は、通常、化合物重量の2~100倍量に設定することができる。反応温度は、通常、室温(約25~30℃)に設定することができ、反応時間は、0.5~1時間に設定することができる。
【0091】
反応後、蒸留水、重炭酸ナトリウム水溶液により反応溶液を洗浄し、有機層を減圧濃縮する。残査をゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)又はシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し化合物8を得る(式中R1は一般式(1)で、Imは一般式(3)で規定したとおり)。
【0092】
<工程6>化合物9の合成
化合物8のビスフリーベースポルフィリンの片方を亜鉛ポリフィリンに変換する。化合物8をクロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、酢酸亜鉛(II)を添加することにより行うことができる。
【0093】
添加する酢酸亜鉛の量は、通常、化合物重量の1~2倍量に設定することができる。反応温度は、通常、室温(約25~30℃)に設定することができ、反応時間は、0.5~3時間に設定することができる。
【0094】
反応後、蒸留水により反応溶液を洗浄し、有機層を減圧濃縮する。GPC又はシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し化合物9を得る(式中Im、R1は一般式(1)で規定したとおり)。化合物9はクロロホルム中では化合物10の構造をとる。
【0095】
<工程7>化合物8から化合物7の合成
化合物8のビスフリーベースポルフィリンの両方を亜鉛錯体に変換する。化合物8をクロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、酢酸亜鉛(II)を添加することにより行うことができる。
【0096】
添加する酢酸亜鉛の量は、通常、化合物重量の5~10000倍量に設定することができる。反応温度は、通常、室温(約25~30℃)に設定することができ、反応時間は、0.5~3時間に設定することができる。
【0097】
反応後、蒸留水により反応溶液を洗浄し、有機層を減圧濃縮する。化合物7はクロロホルム中ではビスアセチレン型ポリ(ポルフィリン)を形成する。
【0098】
<工程8>ポルフィリン連鎖体、化合物10及び化合物11(n)の合成
化合物7及び化合物9をピリジンに溶解し混合する。反応温度は、通常、室温(約25~30℃)に設定することができ、反応時間は、0.5時間に設定することができる。溶媒を減圧下で除去する。
【0099】
分離工程はクロロホルムのような溶媒を溶離液として化合物10及び化合物11(n)の混合物をGPCで分離する。
【0100】
GPCによる精製には通常ポリスチレンを担体とするカラムを使用する。
【0101】
化合物11の繰り返し単位数(n)の値は、化合物7と9の混合比に応じて調節することができる。すなわち、化合物7の混合比を増加させることにより化合物11のnの値は増加方向へシフトし、化合物9の混合比を増加させることによりnの値は低下方向へシフトする。
【0102】
一方、化合物7'の場合には、nの値を増加させるためには、非極性溶媒(例えば、クロロホルム、ベンゼン及びトルエン)を使用することができる。一方、nの値を低下させるためには、極性溶媒(例えば、メタノール、エタノール及びピリジン)を使用することができる。使用する溶媒は単独で用いることもできるし、例えば、極性溶媒と非極性溶媒を適宜混合することにより溶媒全体としての極性を所望の状態に調節することもできる。
【0103】
次に、本発明の一般式(4)で表される共有結合固定化ポルフィリン連鎖体の製造方法として、一般式(4)においてR=メチル、Im=1-メチル-2-イミダゾリル、M1=M3=亜鉛イオン、L1=(-C≡C-)2、q=2、r=0、a=Hであるものを例として挙げて説明するが、その他の置換基を有する共有結合固定化ポルフィリン連鎖体もこれに準じて合成することができる。
【0104】
本発明の一般式(4)で表される共有結合固定化ポルフィリン連鎖体において、R=メチル、Im=1-メチル-2-イミダゾリル、M1=M3=亜鉛イオン、L1=(-C≡C-)2、q=2、r=0、a=Hであるものは次のスキーム1に示す各工程を経て合成することができるが、これに限定されるものではない。
【0105】
【化22】
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【0106】
【化23】
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【0107】
なお、この方法によれば、スキーム1のp1-1で表わされる重合度の異なる一般式(4)で表される化合物の混合物として生成する。これらの混合物は、サイズ排除カラムクロマトグラフィー等により単一の重合度の成分を分離することができる。また、p1-1で表わされる重合度は、中間生成物である化合物B-5の量、Grubbs錯体の量、反応時間等により調整することができる。
【0108】
ここで、Grubbs錯体とは、Grubbsらによって開発されたオレフィンメタセシス反応に活性を示すルテニウムカルベン錯体の総称である。この錯体を用いるとエステルやケトン、アミドなどさまざまな官能基を持つオレフィン化合物を反応基質として用いた場合でもオレフィン部位とのみ選択的に反応が進行する(Grubbsらの総説(T. M. Trnka, R. H. Grubbs, Acc. Chem. Res. 34, 18 (2001))を参照)。
【0109】
また、スキーム1において、化合物B-6から化合物B-7へ至る反応は、閉環メタセシス反応として知られている反応であり、上記Grubbsらの文献にその詳細が記載されている。要約すると、2つのアルケニル基を持つ化合物がオレフィンメタセシス反応を起こし、環状の化合物を形成する反応である。
【0110】
なお、化合物B-6及びB-7の両末端ポルフィリンのRで表わされる基は、一般式(4)において規定した置換基Rと同義である。その代表的な例としては、-CH=CH2を挙げることができる。
【0111】
【実施例】
<実施例1>
以下に本発明の一般式(1-1)又は一般式(1-2)で表されるポルフィリン連鎖体の合成例を記載するが、本発明のポルフィリン連鎖体の合成方法は、これに限定されるものではない。
工程▲1▼
5,15-ビスヘプチル-10-(トリメチルシリル-プロパギル)-20-(1-メチル-2-イミダゾリル)ポルフィリン (4)の合成
1 Lのクロロホルムにmeso-(n-ヘプチル)ジピロメタン(1 g, 4.1 mmol)、1-メチル-2-ホルミルイミダゾール(450 mg, 4.1 mmol)、1-トリメチルシリルエチニルアルデヒド(260 mg, 2 mmol)を加え、反応溶液をN2置換後、トリフルオロ酢酸(1.2 mL, 8.6 mmol)を加えた。室温で4時間撹拌した後、2,3,5,6-テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン (chloranil, 1.6 g, 6.5 mmol)を加えた。反応液を3時間撹拌した後、飽和重曹水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧溜去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/アセトン(9 : 1))で分取することにより、純粋な1を収量56 mg、4%の収率で得た。
【0112】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ -2.71 (s, 2H; inner proton), 0.52 (s, 9H; TMS), 0.73 (t, J = 7 Hz, 6H; C7), 1.14-1.16 (m, 8H; C6, C5), 1.29-1.34 (m, 4H, C4), 1.54 (quintet, 4H; C3), 2.20-2.22 (m, 4H; C2), 3.12 (s, 3H; NCH3), 4.40-448 (m, 4H; C1), 7.30 (s, 1H; imidazole ring), 7.57 (s, 1H; imidazole ring), 8.20 (br, 2H, b), 8.91 (br, 2H, b), 9.16 (d, J = 4 Hz, 2H, b), 9.55 (d, J = 4 Hz, 2H, b); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) d 0.50 (TMS), 14.2 (C7), 22.8 (C6), 29.4 (C4), 30.5 (C3), 32.0 (C5), 34.6 (NCH3), 34.9 (C1), 38.7 (C2), 100.0 (TMS-C≡C-), 102.2 (meso), 107.5 (TMS-C≡C-), 114.8 (meso), 119.1 (meso), 121.4 (imidazole ring), 126.3 (imidazole), 127-131 (br, 4 carbons (Porβ1-4)), 144-148 (br, 4 carbons (α1-4)), 148.2 (imidazole), Other 4 carbons (Porα) could not observed by boarding.; UV (CHCl3) : 667 (Abs.; 0.0061), 608 (0.0028), 567 (0.0108), 528 (0.0072), 427 (0.1950) nm; Fluorescence (EX = 427 nm, CHCl3) : 741, 670 nm; MALDI-TOF Mass C43H54N6Si Calcd: 682.42; Found: 683.1 (M+H)+.
【0113】
2)工程▲2▼
5,15-ビスヘプチル-10-(トリメチルシリル-プロパギル)-20-(1-メチル-2-イミダゾリル)ポルフィリン亜鉛錯体(5)の合成
ポルフィリン4 (40 mg, 58.6 μmol)のクロロホルム(12 mL)溶液中に、酢酸亜鉛の飽和メタノール(3 mL)溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去することで、純粋な5を収量44 mg、100%で得た。
【0114】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 0.73 (s, 9H; TMS), 1.00 (t, J = 7 Hz, 6H; C7), 1.44-2.49 (m, 4H; C6, C5), 1.50-1.57 (m, 4H, C6, C5), 1.65 (s, 3H; NCH3), 1.94-1.99 (m, 2H, C3), 2.04 (d, J = 2 Hz, 1H; imidazole ring), 2.00-2.07 (m, 2H; C3), 2.70-2.74 (m, 2H; C2), 2.85-2.89 (m, 2H; C2), 4.96-5.09 (m, 4H, C1), 5.38 (d, J = 4 Hz, 2H; Porβ), 5.47 (d, J = 2 Hz, 1H; imidazole ring), 8.81 (d, J = 4 Hz, 2H; Porβ), 9.61 (d, J = 4 Hz, 2H; Porβ), 9.91 (d, J = 4 Hz, 2H; Porβ); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 0.7 (TMS), 14.3 (C7), 22.9 (C6), 29.8 (C4), 31.0 (C3), 32.3 (C5), 32.7 (NCH3), 35.9 (C1), 39.5 (C2), 98.4 (meso), 99.0 (TMS-C≡C-), 99.7 (TMS-C≡C-), 109.7 (meso), 117.9 (imidazole ring), 118.9 (meso), 121.4 (imidazole ring), 127.3 (Porβ4), 129.0 (Porβ1), 129.3 (Porβ3), 131.3 (Porβ2), 145.5 (imidazole), 147.4 (Porα), 150.2 (Porα), 150.8 (Porα), 151.6 (Porα); UV (CHCl3) : 642 (Abs.; 0.0270), 577 (0.0090), 444 (0.1839), 425 (0.1136) nm; Fluorescence (EX = 444 nm, CHCl3) : 704, 645 nm; MALDI-TOF Mass C43H52N6SiZn Calcd: 744.33; Found: 745.2 (M+H)+.
【0115】
3)工程▲3▼
5,15-ビスヘプチル-10-エチニル-20-(1-メチル-2-イミダゾリル)ポルフィリン亜鉛錯体(6)の合成
ポルフィリン 5 (44 mg, 59 μmol)のクロロホルム(5 mL)溶液中に、窒素雰囲気下でTBAFの1M THF溶液(0.18 mL, 0.18 mmol)溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去することで、純粋な6を収量40 mg等量で得た。
【0116】
UV-vis (CHCl3) : 636 (Abs. 0.0806), 576 (0.0393), 440 (0.7057), 422 (0.4889) nm; Fluorescence (EX = 440 nm, CHCl3) : 698, 640 nm; MALDI-TOF Mass C40H44N6O4Zn Calcd: 672.29; Found: 673.4 (M+H)+.
【0117】
4)工程▲4▼及び▲5▼
1,3-ビス(5-(15-(1-メチル-2-イミダゾリル)-10,20-ビスヘプチル-ポルフィリニル))ブタジイン(8)の合成
ポルフィリン6 (180 mg, 0.27 mmol)のピリジン溶液(20 mL)に塩化銅(I) (1.9 g, 18.9 mmol)を加え酸素を激しく吹き込んだ。反応溶液を室温で2時間撹拌した後、25%アンモニア水溶液で洗浄し、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶液を減圧溜去した。得られた目的物の亜鉛錯体7の粗生成物をクロロホルム(10 mL)に溶かし、p-トルエンスルホン酸一水和物を加えた。反応溶液を室温で1時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を加えて反応溶液を中和し、クロロホルムで抽出した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール(10 : 1))で精製することにより、目的とする生成物8を収量50 mg、15%の収率で得た。
【0118】
UV-vis (CHCl3) : 715 (Abs. 0.0854), 609 (0.0648), 475 (0.2000), 444 (0.3149) nm; Fluorescence (EX = 444 nm, CHCl3) : 800, 721 nm; MALDI-TOF Mass C80H90N12 Calcd: 1218.74; Found: 1219.5 (M+H)+.
【0119】
5)工程▲6▼
1-(5-(15-(1-メチル-2-イミダゾリル)-10,20-ビスヘプチル-亜鉛ポルフィリニル))-3-(5’-(15’-(1-メチル-2-イミダゾリル)-10’,20’-ビスヘプチル-ポルフィリニル))ブタジイン(9)の合成
ビスポルフィリン8 (5 mg, 4 μmol)のクロロホルム(2 mL)溶液に、酢酸亜鉛メタノール溶液(0.9 mg / 0.5 mL, 4 μmol)を加えた。1時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール(10 : 1))で精製することにより、目的とする生成物9を収量5.5 mg等量で得た。9はクロロホルム中において配位組織体10として存在する。
【0120】
UV-Vis (CHCl3) : 732 (Abs.; 0.3639), 660 (0.1328), 583 (0.1194), 484 (0.7188), 455 (0.6266), 429 (0.6525) nm; Fluorescence (EX = 484 nm, CHCl3) : 840, 749 nm; MALDI-TOF Mass C80H88N12Zn1 Calcd: 1280.65; Found: 1281.7 (M+H)+.
【0121】
6)工程▲7▼
1,3-ビス(5-(15-(1-メチル-2-イミダゾリル)-10,20-ビスヘプチル-亜鉛ポルフィリニル))ブタジイン(7)の合成
ポルフィリン8 (10 mg, 8 μmol)のクロロホルム(3 mL)溶液に、酢酸亜鉛の飽和メタノール(3 mL)溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去することで、7を収量11 mg、100%で得た。
【0122】
UV-Vis (CHCl3) : 732 (Abs.; 0.3639), 660 (0.1328), 583 (0.1194), 499 (0.7188), 455 (0.6266), 429 (0.6525) nm; Fluorescence (EX = 484 nm, CHCl3) : 840, 749 nm; MALDI-TOF Mass C80H88N12Zn2 Calcd: 1348.65; Found: 1349.7 (M+H)+.
【0123】
7)工程▲8▼
ポルフィリン連鎖体11(n)の合成
化合物7の2.5 μmolと化合物9の7.7 μmolをピリジン3mLに溶解し室温で30分攪拌した。溶媒を真空ポンプで除去し10と11(n)の混合物を得た。
【0124】
<測定例1>
8)二光子吸収断面の測定
二光子吸収スペクトルはクロロホルム溶液中、120フェムト秒の時間分解能を持つTi:サファイヤパルスレーザーを用い、オープンZ-スキャン法によって行った。波長は光学パラメトリックアンプ(OPA)により817から1282 nmまで変化させた。測定は1 mmセルを用い、入射光(1 mW以下)焦点の前後を60 mmスキャンして行った。Z-スキャン測定前後で可視・紫外吸収スペクトルに変化はなかった。二光子吸収断面σ(2)は次式から得た:
σ(2) = hωβ / N (1)
ここでhωは光子エネルギー、Nは分子数密度、βは二光子吸収係数であり以下の関係がある。
q = β I0 L (2)
ここでパタメーターqは二光子吸光度に対応しオープンZ-スキャンカーブをガウシアン型の式でフィッティングすることにより得られ、I0は入射光強度である。
(IEEE. J. Quant. Electron. 26, 760, (1990), Handbook of Nonlinear Optics, Marcel Dekker, New York (1996).)
【0125】
図1に上記方法で測定した化合物10と比較化合物12の二光子吸収スペクトルを示す。挿入図は化合物12について縦軸を拡大したスペクトルである。比較化合物12の構造を図1中に示した(式中、R1=n-ヘプチル、Im=1-メチル-2-イミダゾリル)。比較化合物12の合成方法は既に報告されており(J .Am. Chem. Soc., 124, 22-23 (2002))、メソ型二量体のモノ亜鉛錯体でクロロホルム中において図1に示す通り配位結合により組織化構造をとっている。いずれの化合物も900 nm以上の長波長領域には線形吸収を持たない。
【0126】
スペクトルの縦軸は二光子吸収断面σ(2)でその単位1GMは1 × 10-50 cm4 s photon-1に相当する。二光子吸収断面の最大はメソ型の12では365 GM (964 nm)であったのに対してビスアセチレン型の10では7560 GM (887 nm)であり約20倍もの増大が見られた。ビスアセチレン型の場合ポルフィリン間の共役系が拡張するため1光子目の吸収にともなう分子分極がメソ型と比べて大きくなり2光子目の吸収の遷移確率を増加させているものと推測される。
【0127】
フェムト秒レーザーを用いた場合1000 GMを超える報告はこれまでほとんどなく、2002年になってDrobizhev等がアクセプターのニトロフェニル基を有するオクタニトロフェニルテトラアザポルフィリンが1600 GM (770 nm、150 fs)の値を示すことを報告している(Chem. Phys. Lett., 361,504-512 (2002).)。しかしアクセプターを共有結合で導入することは一般に有機合成的に難しい。本発明は配位結合を利用しており簡単にアクセプター・ドナーをポルフィリン連鎖体に導入することを特徴とし、超高速フェムト秒レーザーを用いて大きな2光子吸収を示すことを発見した。
【0128】
<実施例2>
以下に本発明の一般式(4)で表される共有結合固定化ポルフィリン連鎖体の合成例を記載するが、本発明の共有結合固定化ポルフィリン連鎖体の合成方法は、これに限定されるものではない。
【0129】
meso-(メトキシカルボニルエチル)ジピロメタン(A-4)
文献(Y. Tomohiro, A. Satake, Y. Kobuke, J. Org. Chem. 2001, 66, 8442-8446)と同様な方法を用いて、メトキシカルボニルプロパナール (11.6 g, 0.1 mol) とピロール (280 mL, 4 mol) をトリフルオロ酢酸 (1.4 mL, 10 mmol)存在下、攪拌することによって合成した。シリカゲルクロマトグラフィー(hexane/EtOAc 5/1)によって精製しmeso-(メトキシカルボニルエチル)ジピロメタンA-4を17 g (73%)得た。
【0130】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 2.22-2.26 (m, 2H), 2.29-2.33 (m, 2H), 3.63 (s, 3H), 3.99 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 6.05-6.07 (m, 2H, pyH4), 6.12-6.14 (m, 2H, pyH5), 6.58-6.62 (m, 2H, pyH2), 7.78 (br, 2H, NH); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 29.5, 31.9, 36.9, 51.6, 105.8, 108.1, 117.3, 132.4, 174.0.
【0131】
Sn触媒A-7
大寺らの方法に従い合成して使用した。Junzo Otera, Nobuhisa Dan-oh, Hitosi Nozaki, J. Org. Chem. 1991, 56, 5307-5311
Grubbs触媒A-10
Fluka 09587 (Fluka(株)製造)(Benzylidene-bis(tricyclohexyiphosphine)-dichlororuthenium)を和研薬より購入して使用した。
【0132】
5,15-Bis(methoxycarbonylethyl)-10-(1’-trimethylsilylethynyl)-20-(1’’-methyl-2’’-imidazolyl)porphyrin (A-6b)
この化合物は脱酸素したクロロホルム(3 L)にmeso-(メトキシカルボニルエチル)ジピロメタンA-4 (3 g, 13 mmol)、1-メチル-2-ホルミルイミダゾールA-3 (1.4 g, 13 mmol)、1-トリメチルシリル-エチニル アルデヒドA-5b (0.8 mg, 6.5 mmol)を加え、反応溶液をN2置換後、トリフルオロ酢酸(3.7 mL, 26 mmol)を加えた。室温で4時間攪拌した後、クロラニル(4.8 g, 20 mmol)を加えることによって合成した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール(9 : 1))で分取することによりA-6bを収量120 mg、3%の収率で得た。
【0133】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ -2.78 (s, 2H; inner proton), 0.67 (s, 9H; TMS), 3.33 (s, 3H; NCH3), 3.43 (t, J = 7.2 Hz, 4H; ester β), 3.7 (s, 6H; COOMe), 5.17-5.19 (m, 4H; ester α), 7.46 (br.s, 1H; imidazole ring), 7.70 (br.s, 1H; imidazole ring), 8.71 (d, J = 4.2 Hz, 2H; Porβ), 9.34 (d, J = 4.2 Hz, 2H; Porβ), 9.41 (d, J = 4.2 Hz, 2H; Porβ), 9.70 (d, J = 4.2 Hz, 2H; Porβ); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 0.4 (TMS), 30.2 (ester α), 34.6 (NCH3), 41.7 (ester β), 52.0 (COOMe), 100.1 (TMS-C≡C-), 102.5 (meso), 106.4 (meso), 107.1 (TMS-C≡C-), 118.3 (meso), 121.7 (imidazole ring), 128.2 (Porβ), 128.3 (imidazole ring), 128.4 (Porβ), 131.2 (Porβ), 131.9 (Porβ), 144-147 (br, 4 carbons (Porα)), 148.4 (Im N-C=N), 173.0 (C=O); UV-Vis (CHCl3) : 665 (Abs.; 0.0651), 608 (0.0553), 566 (0.1405), 527 (0.1086), 427 (2.3982) nm; Fluorescence (EX = 427 nm, CHCl3) : 740, 668 nm; MALDI-TOF Mass C37H38N6O4Si Calcd: 658.27; Found: 659.2 (M+H)+.
【0134】
5,15-(methoxycarbonylethyl)-10-(1'-trimethylsilylethynyl)-20-(1''-methyl-2''-imidazolyl)porphyrinatozinc (B-1)
ポルフィリンA-6b (120 mg, 0.18 mmol)のクロロホルム(15 mL)溶液中に、酢酸亜鉛の飽和メタノール(5 mL)溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去することで、B-1を収量130 mgで得た。
【0135】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 0.74 (s, 9H; TMS), 1.65 (s, 3H; NCH3), 1.98 (br.s, 1H; imidazole ring), 3.64-3.81 (m, 4H; ester β), 3.89 (s, 6H; COOMe), 5.42-5.53 (m, 7H; ester α & imidazole ring & Porβ4), 8.86 (d, J = 5 Hz, 2H; Porβ3), 9.66 (d, J = 5 Hz, 2H; Porβ1), 9.93 (d, J = 5 Hz, 2H; Porβ2); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 0.7 (TMS), 31.0 (ester α), 32.7 (NCH3), 42.5 (ester β), 52.1 (COOMe), 98.7 (meso), 99.8 (TMS-C≡C-), 100.4 (TMS-C≡C-), 109.2 (meso), 118.4 (imidazole ring), 118.5 (meso), 121.9 (imidazole ring), 127.9 (Porβ4), 128.8 (Porβ1), 129.3 (Porβ3), 131.9 (Porβ2), 145.5 (Im N-C=N), 147.7 (Porα), 150.0 (Porα), 150.5 (Porα), 152.0 (Porα), 172.6 (C=O).
【0136】
5,15-Bis(methoxycarbonylethyl)-10-(ethynyl)-20-(1'-methyl-2'-imidazolyl) porphyrinatozinc (B-2)
ポルフィリンB-1 (130 mg, 0.18 mmol)のクロロホルム(15 mL)溶液中に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(0.6 mL)の1 M THF溶液を加えた。室温で30分間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去することで、B-2を収量117 mgで得た。
【0137】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.66 (s, 3H; NCH3), 2.0 (d, J = 1.2 Hz, 1H; imidazole ring), 3.61-3.82 (m, 4H; ester β), 3.90 (s, 6H; COOMe), 5.42-5.45 (m, 4H; ester α), 5.45 (d, J = 4.2 Hz, 2H; Porβ4), 5.55 (d, J = 1.2 Hz, 1H; imidazole ring), 8.87 (d, J = 4.2 Hz, 2H; Porβ3), 9.67 (d, J = 4.2 Hz, 2H; Porβ1), 9.95 (d, J = 4.2 Hz, 2H; Porβ2); UV (CHCl3) : 632 (Abs. 0.0125), 576 (0.0087), 440 (0.1280), 422 (0.0874) nm; Fluorescence (EX = 440 nm, CHCl3) : 694, 634, (EX = 422 nm, CHCl3) : 691, 635 nm; MALDI-TOF Mass C34H28N6O4Zn Calcd: 648.15; Found: 649.12 (M+H)+.
【0138】
1,4-Bis[10{5',15'-Bis(methoxycarbonylethyl)-20'-(1''-methyl-2''-imidazolyl)porphyrinyl}]ethan-1,3-diyne (B-4)
ポルフィリンB-2 (117 mg, 0.18 mmol)のピリジン(20 mL)溶液中に、塩化銅第一(89 mg)を加えた。反応溶液に室温で1時間酸素をバブリングしながら撹拌後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和EDTA水溶液で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去した。得られた粗生成物(ポルフィリンビス体B-3)のクロロホルム(10 mL)溶液にp-トルエンスルホン酸一水和物を過剰量加えて1時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール(9 : 1))で分取することにより、B-4を収量84 mg(40%)で得た。
MALDI-TOF Mass C68H58N12O8 Calcd: 1170.45; Found: 1171.33 (M+H)+.
【0139】
1,4-Bis[10{5',15'-Bis(allyloxycarbonylethyl)-20'-(1''-methyl-2''-imidazolyl)porphyrinyl}]ethan-1,3-diyne (B-5)
ポルフィリンB-4 (80 mg, 68 μmol)と、アリルアルコール(93 μL, 1.4 mmol)のトルエン溶液(1 mL)をN2置換した後、スズ触媒A-7 (1 mg, 2 μmol)を入れ4時間120℃で還流した。反応完結をMALDI-TOF Massにより確認し、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去し粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール(10 : 1))で分取することにより、純粋なB-5を収量64 mg(80%)で得た。
【0140】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ -2.82 (s, 4H; inner proton), 3.34 (br.s, 6H; NCH3), 3.42-3.48 (m, 8H; ester β), 4.68-4.71 (m, 8H; O-CH2-C=C), 4.94-5.08 (m, 8H; ester α), 5.23 (br.d, J = 7.2 Hz, 4H; -C=CH2), 5.34 (br.d, J = 16.2 Hz, 4H; -C=CH2), 5.90-5.98 (m, 4H; -CH=C), 7.52 (br, 2H; imidazole ring), 7.77 (br, 2H; imidazole ring), 8.72 (br, 4H; Porβ), 9.31 (br, 8H; β), 9.89 (br, 4H; Porβ); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 30.5 (esterα), 34.6 (NCH3), 41.8 (ester β), 65.6 (O-C-C=C), 118.6 (O-C-C=C), 121.6 (imdazole ring), 128.5 (Porβ), 128.9 (imidazole ring), 131.4 (Porβ), 132.1 (O-C-C=C), 144.5-148.2 (br, 4 carbons (Porα)), 148.3 (Im N-C=N), 172.2 (C=O); UV (CHCl3) : 709 (Abs.; 0.0537), 608 (0.0500), 474 (0.1542), 445 (0.2224), 433 (0.2186), 415 (0.2085) nm; Fluorescence (EX = 474 nm, CHCl3) : 789, 715 nm; MALDI-TOF Mass C76H66N12O8 Calcd: 1274.51; Found: 1275.01 (M+H)+.
【0141】
Zn form of B-5 (B-6)
ポルフィリンB-5 (64 mg, 50 μmol)のクロロホルム(3 mL)溶液中に、酢酸亜鉛の飽和メタノール(1 mL)溶液を加えた。室温で1時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧溜去することで、B-6を収量70 mg等量で得た。
【0142】
UV (CHCl3) : 731 (Abs.; 0.0161), 669 (0.0063), 582 (0.0036), 501 (0.0296), 462 (0.0188), 429 (0.0171) nm; Fluorescence (EX = 501 nm, CHCl3) : 817, 740 nm; MALDI-TOF Mass C76H62N12O8Zn2 Calcd: 1398.34; Found: 1399.21 (M+H)+.
【0143】
B-7
亜鉛ポルフィリンB-6(70 mg,50 μmol)のクロロホルム(2 mL)溶液を、N2置換後、ルテニウムカルベン錯体(1 mg,10 μmol)を加えた。室温で3時間撹拌後、反応溶液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧溜去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール(9:1))で分取することにより、固定化されたB-7を収量54 mgで得た。得られたB-7をサイズ排除カラムクロマトグラフィー(JAIGEL-2.5HA)によって分析した。その結果を下記の段落番号〔0145〕に示す。この結果をポリスチレン標準物質と比較した結果、分子量20000付近に分布極大を持つ多量体が生成していることがわかった。また、B-7のMALDI-TOF 質量分析による結果を下記の段落番号〔0145〕に示す。この結果に示されるように、本化合物は質量分析測定中にビスアセチレン部位の炭素—炭素結合切断反応が起こるためにポルフィリン単位の倍数に当たる分子量にピークが観測され、そのピークは分子量6000以上にも及ぶ。分子量6742付近のピークは、ポルフィリン10量体に相当する。これに対して、固定化する前のB-6では2000以上のフラグメントピークは、まったく観測されなかったことから、明らかに固定化によって安定性が増大したことがわかる。また、B-7のピリジン中の紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、組織体構造が保たれていることがわかった。
【0144】
図2、3及び4はそれぞれ、固定化後の多量体B-7のクロロホルム中における紫外可視吸収スペクトル(UV-vis スペクトル)、固定化後の多量体B-7のピリジン中における紫外可視吸収スペクトル、固定化前のB-6のピリジン中における紫外可視吸収スペクトル(UV-vis スペクトル)である。固定化していない亜鉛ポルフィリンB-6はピリジン中では完全に単量体に解離しており、図4中の453nmの大きな吸収ピークはこの単量体に特徴的なピークである。これに対して、固定化した多量体B-7ではピリジン中においてもこのピークは大きくなく(図3)、クロロホルム中でのスペクトル(図2)と類似していることがわかる。このことは、固定化された多量体が極性溶媒下でも多量体構造を保ったまま存在することを示しており、極性環境下における機能評価に耐えうる試料を提供することが可能になった。
【0145】
GPC (CHCl3, flow rate: 1.25 mL/h, detected 459.82 nm) 9.936 min; UV (CHCl3) : 731 (Abs.; 0.0163), 581 (0.0081), 500 (0.0364), 460 (0.0328), 427 (0.0368); (pyridine) : 727 (0.0078), 665 (0.0066), 579 (0.0055), 492 (0.0212), 456 (0.0280), 433 (0.0272) nm; Fluorescence (EX = 501 nm, CHCl3) : 817, 740 nm; MALDI-TOF Mass Calcd.: 1346 (monomer), 2692 (dimer), 4038 (trimer), 5384 (tetramer), 6730 (pentamer); Found: 1346, 2692, 4039, 5388, 6742.
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のポルフィリン連鎖体と比較用連鎖体の二光子吸収スペクトルである。
【図2】図2は、多量体B-7の紫外可視吸収スペクトル(溶媒:クロロホルム中)。
【図3】図3は、多量体B-7の紫外可視吸収スペクトル(溶媒:ピリジン中)。
【図4】図4は、亜鉛ポルフィリンB-6の紫外可視吸収スペクトル(溶媒:ピリジン中)。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
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