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明細書 :食品原料の連続殺菌方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3079516号 (P3079516)
公開番号 特開2000-102370 (P2000-102370A)
登録日 平成12年6月23日(2000.6.23)
発行日 平成12年8月21日(2000.8.21)
公開日 平成12年4月11日(2000.4.11)
発明の名称または考案の名称 食品原料の連続殺菌方法
国際特許分類 A23L  3/26      
FI A23L 3/26
請求項の数または発明の数 2
全頁数 12
出願番号 特願平10-291370 (P1998-291370)
出願日 平成10年9月30日(1998.9.30)
審査請求日 平成10年10月27日(1998.10.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591031360
【氏名又は名称】農林水産省食品総合研究所長
【識別番号】398061740
【氏名又は名称】林 徹
【識別番号】398061739
【氏名又は名称】鈴木 節子
発明者または考案者 【氏名】林 徹
【氏名】鈴木 節子
個別代理人の代理人 【識別番号】100074077、【弁理士】、【氏名又は名称】久保田 藤郎 (外1名)
審査官 【審査官】鈴木 恵理子
参考文献・文献 特開 平10-215765(JP,A)
特開 昭63-263075(JP,A)
実開 昭61-194535(JP,U)
登録実用新案3041642(JP,U)
調査した分野 A23L 3/26
A23B 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
食品原料を殺菌するにあたり、縦方向の振動と横方向の振盪とを与えられており、かつ入口側から出口側へ向かって下向きに傾斜した試料トレーの上を、穀物、香辛料、飲食用葉及び植物の種子から選ばれた、試料たる食品原料を回動させながら連続的に転がり落とすと共に、試料が転がり落ちる時に、試料の表面にエネルギーが160 ~300 keV の低エネルギー電子線を与えることを特徴とする、食品原料の連続殺菌方法。

【請求項2】
試料トレー、高さが調節できるトレー載置台付き振動器、高さが一定のトレー載置台付き振動器、高さが一定のトレー載置台付き振盪器、前記振動器と振盪器を作動させるための電源スイッチとスピードコントローラー並びに試料トレーに試料を供給する試料供給器およびそれを作動させるためのスイッチ付き制御部を具備した連続回動装置を電子線発生装置の下に置き、試料トレーに収容した試料に縦方向の振動と横方向の振盪とを与えつつ回動させて連続的に転がり落としながら低エネルギー電子線を照射する請求項1記載の連続殺菌方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穀物,香辛料,種子などの食品原料を連続的に殺菌する方法に関する。

【0002】
【従来の技術】加工食品の腐敗や加工食品が原因となる食中毒を防止するためには、加工食品の微生物汚染を防ぐことが必要である。従って、原材料の殺菌は、加工食品の微生物汚染を防止する上で重要な事項である。従来、食品原材料の殺菌は、化学的方法、物理的方法などにより行われているが、これらの方法に使用されていたエチレンオキサイド,臭化メチル,過酸化水素等は人体や環境に有害な影響を与えるばかりでなく、それらの残留物についても人体に及ぼす影響が懸念されるなど、安全性の点で種々の問題が指摘されており、その多くは使用が禁止されているか、もしくは使用が制限されつつある。

【0003】
ところで、穀物のような乾燥状態の食品原材料の表面を汚染している微生物の多くは、耐熱性の細菌であり、これらの細菌は耐久型の細胞である芽胞を形成している。この芽胞は、増殖中の細菌に比べて熱や殺菌剤あるいは乾燥等に対する抵抗力が強いため、穀物の乾燥状態を維持したまま加熱しても容易に殺菌することができず、品質に影響を及ぼさずに加熱殺菌することは非常に困難である。一方、殺菌効果に優れ、乾燥状態の穀物を容易に殺菌することができる放射線照射による殺菌は、食品自体の温度上昇がわずかであるため、熱による品質低下を受けにくい反面、完全殺菌のためには比較的多くの線量が要求されるため、澱粉の損傷や脂質の酸化等の成分変化を引き起し、加工原料としての価値を失わせるなど実用化困難な食品も多い。

【0004】
このように、人体や環境に対して無害であり、しかも穀物中の澱粉や脂質等の成分変化を引き起こさずに、換言すれば穀物の品質変化を起こすことなく、殺菌する方法は未だ開発されていなかった。そのため、人体や環境は勿論のこと、品質を変化させることなく穀物を殺菌し、無菌の穀物を提供する方法の開発が望まれていた。

【0005】
そこで本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ね、電子線の殺菌効果と電子の透過力がエネルギーに依存することに着目し、電子線を利用した穀物の殺菌方法を完成すると共に、当該方法に用いる穀物の回動装置についても検討し、既に特許出願を行っている(特願平9-311081号)。

【0006】
この穀物の殺菌方法および穀物回動装置は、バッチ式に振動と振盪を同時に与えて試料を回動させながら、殺菌に必要最低限度のエネルギーの電子線を照射するものであり、このような構成を採用することによって、穀物成分の澱粉に損傷を与えることなく、穀物表面に付着している微生物を殺菌することができる。

【0007】
しかしながら、この穀物回動装置では、試料が滞留して重なり合う部分が出ることがあるために、低エネルギー電子線が当たる効率が悪くなり、線量の均一性が劣り、完全に殺菌しようとすると、ある部分は殺菌に必要な量以上の電子が当たるために品質劣化を起こすおそれがあった。

【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような先の発明を改良したものであって、より少ない線量で、しかも均一に食品原料表面に低エネルギー電子線を照射し、食品原料を殺菌することのできる殺菌方法を提供することを目的とするものである。

【0009】
本発明者らは、先の発明の有する問題点を解消すべく、鋭意検討を重ねた。その結果、傾斜して設置されたトレーに振動及び振盪を与え、その上を試料が回動しながら転がり(滑り)落ちる連続回動装置を開発すると共に、そのような連続回動装置を用い、試料を重なり合うことなく回動させながら搬送させて効率的に低エネルギー電子線を照射しうる方法を開発した。

【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1記載の本発明は、食品原料を殺菌するにあたり、縦方向の振動と横方向の振盪とを与えられており、かつ入口側から出口側へ向かって下向きに傾斜した試料トレーの上を、穀物、香辛料、飲食用葉及び植物の種子から選ばれた、試料たる食品原料を回動させながら連続的に転がり落とすと共に、試料が転がり落ちる時に、試料の表面にエネルギーが160 ~300 keV の低エネルギー電子線を与えることを特徴とする、食品原料の連続殺菌方法を提供するものである。

【0011】
また、請求項2記載の本発明は、試料トレー、高さが調節できるトレー載置台付き振動器、高さが一定のトレー載置台付き振動器、高さが一定のトレー載置台付き振盪器、前記振動器と振盪器を作動させるための電源スイッチとスピードコントローラー並びに試料トレーに試料を供給する試料供給器およびそれを作動させるためのスイッチ付き制御部を具備した連続回動装置を電子線発生装置の下に置き、試料トレーに収容した試料に縦方向の振動と横方向の振盪とを与えつつ回動させて連続的に転がり落としながら低エネルギー電子線を照射する請求項1記載の連続殺菌方法を提供するものである。

【0012】
請求項1記載の本発明は、食品原料を殺菌するにあたり、縦方向の振動と横方向の振盪とを与えられており、かつ入口側から出口側へ向かって下向きに傾斜した試料トレーの上を、穀物、香辛料、飲食用葉及び植物の種子から選ばれた、試料たる食品原料を回動させながら連続的に転がり落とすと共に、試料が転がり落ちる時に、試料の表面にエネルギーが160 ~300 keV の低エネルギー電子線を与えることを特徴とする。

【0013】
請求項1記載の本発明の対象とされる食品原料は、穀物、香辛料、飲食用葉及び植物の種子から選ばれたものであり、具体的には玄米,籾,小麦,殻付蕎麦,小豆,大豆,黒豆等の穀物、粒コショウ,コリアンダー,セージ等の香辛料、茶葉等の飲食用葉、及びアブラナ科やマメ科植物の種子が挙げられ、植物の種子としてより具体的には、例えばブラックマッペの種子やカイワレダイコンの種子などが挙げられる。

【0014】
請求項1記載の本発明は、請求項2に記載されているような連続回動装置により、好適に実施することができるので、以下、この請求項2に記載されている連続回動装置を参照しつつ説明する。図1は、請求項2に記載されている連続回動装置の1態様を示す正面図であり、図2はその平面図、図3はその左側面図である。

【0015】
請求項2に記載されている連続回動装置は、試料トレー1、高さが調節できるトレー載置台付き振動器2、高さが一定のトレー載置台付き振動器3、高さが一定のトレー載置台付き振盪器4、前記振動器と振盪器を作動させるための電源スイッチ5,6,7とスピードコントローラー8,9,10並びに試料トレー1に試料を供給する試料供給器11およびそれを作動させるためのスイッチ付き制御部12を具備している。

【0016】
請求項2に記載されている連続回動装置では、処理される食品原料の種類,形状,比重,サイズの違い等を考慮して、それぞれの試料に適した試料トレー1を選択すると共に、適切な速度で振動および振盪を与えることによって、均一に試料たる食品原料を回動させることができる。

【0017】
また、試料トレー1の傾斜角度や振動の速度を適宜選択することによって、試料たる食品原料の落下速度(転がり落ちる速度)を調節することができる。

【0018】
請求項2に記載されている連続回動装置は、例えば典型的には図1~3に示した構造のものであり、試料トレー1、入口側から出口側へ向かって下向き斜めに傾斜させて試料トレーを設置するために互いに高さの異なるトレー載置台付きの振動器2,3、トレー載置台付きの振盪器4、前記振動器と振盪器とを作動させるための電源スイッチ5,6,7とスピードコントローラー8,9,10、試料トレー1に試料を供給する試料供給器11およびそのスイッチ付き制御部12を主要な構成要素としている。

【0019】
すなわち、トレー載置台付き振動器として、高さが調節できるトレー載置台付き振動器2と、高さが一定のトレー載置台付き振動器3とを組み合わせることにより、入口側から出口側へ向かって下向きに斜めに傾斜した試料トレー1を設置している。この結果、この傾斜した試料トレー1上を、試料が回動しながら連続的に転がり落ちることになる。図1では、傾斜した試料トレー1上を右側から左側に向かって試料が回動しながら連続的に転がり落ちることになる。

【0020】
本発明ではトレーの位置により、電子線の線量分布が異なる可能性があり、より均一な殺菌処理を行う観点から、横方向の振盪を与えるトレー載置台付き振盪器4を設置している。本発明では、横方向の振盪を与えるトレー載置台付き振盪器4は、先の発明とは異なり、縦方向の振動を発生させるトレー載置台付きの振動器2,3と直列状ではなく、並列状になるように配設している。

【0021】
また、電源スイッチ5,6,7は、それぞれ高さが調節できるトレー載置台付き振動器2,高さが一定のトレー載置台付き振動器3,高さが一定のトレー載置台付き振盪器4の電源スイッチである。同様に、スピードコントローラー8,9,10は、それぞれ高さが調節できるトレー載置台付き振動器2,高さが一定のトレー載置台付き振動器3,高さが一定のトレー載置台付き振盪器4のスピードコントローラーである。なお、図1では、これら電源スイッチ5,6,7とスピードコントローラー8,9,10は、本装置向かって左側の計器盤Aに配設されているが、これに制限されるものではない。

【0022】
なお、試料供給器11は、一定の振動により連続的に試料を試料トレー1上部に供給するものであり、試料供給量は、この試料供給器11の出口の大きさにより調節することができる。この試料供給器11は、通常、図示したように、(未処理)試料供給トレー部11Aと、搬送用電磁振動駆動部11Bとから構成されている。この試料供給器11は、スイッチ付き制御部12によって制御されている。なお、図1では、作図上から搬送用電磁振動駆動部11Bは省略した。

【0023】
以上の如き、請求項2に記載されている連続回動装置の材質や寸法は、使用目的等に応じて適宜設定すればよい。後記する実施例で用いた装置本体の寸法は、幅60cm×奥行き90cm×高さ43cmである。試料トレー1としては、ステンレススチール製やプラスチック製のものなど特に制限はないが、ステンレススチール製が好適である。後記する実施例では、ステンレススチール製であって、幅62cm×奥行き7.5cm×高さ2cmのものを使用した。また、ステンレススチールの厚さが0.4mmおよび0.6mmの2種類のトレーを用いた。さらに、トレー載置台上のトレーの振幅は3cm、上下動は0.2cmとなるように設定した。

【0024】
請求項2に記載されている連続回動装置を使用して、試料たる食品原料を殺菌する方法について説明する。まず、請求項2に記載されている連続回動装置を電子線発生装置(図示してない)の下に置くと共に、請求項2に記載されている連続回動装置を起動させるため、電源(図示してない)と接続する。スピードコントローラー8,9,10を設定し、試料供給器11の出口の大きさを調節した後に、試料たる食品原料を試料供給器11に収容する。この場合、殺菌処理を施される食品原料は、できるだけ多段に重ならないように試料供給器11に収容する。次いで、電子線発生装置を作動させて電子線を発生させる。スイッチ5,6,7,12を、それぞれONにする。この場合、電子線発生装置から試料トレー1底面までの距離は最大30cm程度まで、好ましくは5~20cmに調節する。後記の実施例では、この距離を14cmに設定した。この距離が近すぎると、試料たる食品原料を均一に殺菌することが困難となり、一方、離れすぎると、十分な殺菌効果が得られない。

【0025】
現在用いられている放射線には、透過力が強く食品原料深部の殺菌が可能なγ線(電磁波)、電子線加速装置から得られる電子線、X線発生装置によるX線(電磁波)がある。このうち本発明に用いる電子線は、本質的に透過力が弱いものであり、食品原料の表層部にしか到達することができないという性質を持っている。電子線源としては、スキャン形電子線照射装置とエリアビーム形電子線照射装置を用いることが好ましい。本発明では、食品原料の表層部に生育している微生物の殺菌を目的としているため、低エネルギーの電子線、すなわちソフトエレクトロンを使用する。ここで低エネルギーの電子線としては、エネルギーが160 ~300 keV の電子線が好ましく、対象とする食品原料の種類や形状等を考慮して、この範囲内で適切な低エネルギーの電子線を選択すれば良い。例えば、玄米や小麦などに対しては、160 ~180 keV 、籾や殻付蕎麦、豆類などに対しては、200 ~250 keV のソフトエレクトロンを照射することが適当である。

【0026】
ところで、ある物質が受ける低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)の電子エネルギーは、下記の計算式により算出することができる。

【0027】
【数1】・ある物質が受ける電子エネルギー(keV)=発生時の電子エネルギー(keV)-電子阻止能(keV・cm2/g)×厚さ(cm)×比重(g/cm3)

【0028】
上記計算式を用いた算出方法の例を以下説明する。電子線発生装置出口直近(チタン窓箔の内側)での電子エネルギーが 160 keVとして、まず、該装置出口(チタン窓箔の外側)での電子エネルギーを上記の式から求める。窓箔を構成する物質(チタン)の電子阻止能が 2287keV・cm2/g (IGRU REPORT 37, Stopping Powers for Electrons and Positions, 84頁, 1984年10月1日発行参照)、物質(チタン窓箔)の厚さ 0.005cm、その比重 4.54g/cm3の場合、各数値を代入すると 108.1keV となる。この数値を、発生時の電子エネルギーとして以下用いる。

【0029】
試料トレー1が、電子線発生装置から5cm離れた場所に位置する場合に、食品原料が受ける電子エネルギーは、この発生時の電子エネルギー 108.1keV 、空気の電子阻止能 3637keV・cm2/g (IGRU REPORT 37, Stopping Powers for Electrons and Positions, 120 頁, 1984年10月1日発行参照)、物質(空気層)の厚さ(装置出口から食品材料までの距離)5cm 、空気の比重 1.20 ×10-3g/cm3 とすると、上記計算式より 86.3keVと算出される。また、試料トレー1が電子線発生装置から20cm離れた場所に位置する場合の食品原料が受ける電子エネルギーは、物質の厚さ(装置出口から食品材料までの距離)を20cmとしたほかは同様の計算により 20.8keVとなる。

【0030】
一方、電子線発生装置出口直近(チタン窓箔の内側)での電子エネルギーが 250 keVのときには、該装置から試料トレー底面までの距離が 5cm、又は 20cm の場合、食品原料に当たるときの電子エネルギーは、同様の計算により、それぞれ194.2 keV、149.6 keV となる。このようにソフトエレクトロンのエネルギーは、電子線発生装置のチタン窓箔と空気の抵抗により減衰し、電子線発生装置とトレー底面までの距離が大きくなるほど、食品原料に当たるソフトエレクトロンのエネルギーは低くなる。

【0031】
試料供給器11に収容された食品原料は、(未処理)試料供給トレー部11Aから試料トレー1に順に供給される。この場合にも、殺菌処理を施される食品原料が、できるだけ多段に重ならないように試料トレー1に供給されるように調節すると良い。試料供給器11から試料トレー1への食品原料の供給スピードは特に制限はないが、通常、5~50g/分程度である。既に、スピードコントローラー8,9,10を設定し、スイッチ5,6,7,12を、それぞれONにしているので、請求項2に記載されている連続回動装置は起動しており、試料トレー1は、縦方向の振動と横方向の振盪とを与えられている。試料トレー1に供給された食品原料は、このように縦方向の振動と横方向の振盪とを与えられている試料トレー1の上を回動しながら連続的に転がり落ちる。図1では、入口側から出口側へ向かって下向きに傾斜した試料トレー1上を入口側から出口側へ向かって(右側から左側に向かって)試料たる食品原料が回動しながら連続的に転がり落ちることになる。なお、試料たる食品原料に与える振動や振盪の強さ(速度)は、試料たる食品原料の種類、形状や比重の違い等を考慮し、さらに試料トレー1の傾斜角度をも考慮して、それぞれの食品原料に適した回動が得られるように選定すべきである。

【0032】
さらに、既に電子線発生装置を作動させて電子線を発生させているため、試料たる食品原料が転がり落ちる時に、試料たる食品原料の表面に万遍なく低エネルギー電子線が与えられる。このようにして、食品原料を連続的に殺菌することができる。殺菌された食品原料は、試料回収トレー13上へ落下し、回収される。但し、ビーム量や試料トレー1の傾斜角度などによっては、試料たる食品原料への電子線の照射総量が若干不足することがあるため、必要に応じて、試料回収トレー13を試料供給器11の(未処理)試料供給トレー部11Aとコンベアなどにより接続し、複数回連続しての殺菌処理を行うこともできる。試料回収トレー13と試料供給器11の(未処理)試料供給トレー部11Aとをコンベアなどにより接続する場合には、スイッチを設け、コンベアの走行をコントロールすると良い。通常、実用機のビーム量は20~50mA程度であるが、これに制限されるものではない。

【0033】
以上のようにして、食品原料表面の殺菌を終了した後、スイッチ5,6,7,12を、それぞれOFFとする。本発明の連続殺菌方法によれば、通常、5~50g/分程度の割合で食品原料を連続的に殺菌処理することができる。

【0034】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれによって何ら制限されるものではない。

【0035】
【実施例】実施例1〔本発明による茶葉の殺菌〕
図1~3に示した、請求項2に記載されている連続回動装置(以下、「本発明の連続回動装置」と称することがある。)を用いて、連続的に殺菌処理を行った。なお、本実施例では、電子線発生装置から試料トレー1底面までの距離を14cmに設定した。すなわち、茶葉5gを試料供給器11に入れ、10g/ 分のスピードで、厚さ0.4mmの試料トレー1に連続的に供給した。同時に、図1~3に示した連続回動装置を操作して、茶葉を回動させながら連続的に滑り落とさせ、バンデグラーフ型電子加速器を線源とした200keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量12μAで照射した。この操作を連続的に数回繰り返し、繰り返しのたびに、茶葉の生菌数を測定した。なお、試料が完全に連続回動装置を滑り落ちるのに要する時間は、30秒であった。

【0036】
生菌数の測定は、以下の方法で実施した。試料2.5%を0.9%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)25mL中でホモジナイズ(日本精機(株)製、「エースホモジナイザー」を使用)して得た懸濁液を用いた。この懸濁液0.2mLを普通寒天培地(日水製薬(株)製、「ニッスイ普通寒天培地」)上に塗布し、30℃で48時間培養した後、培地上に生成したコロニー数より求めた。生菌数が試料1g当たり10個以下であれば、ほぼ殺菌されたと判定した。生菌数の測定結果を第1表に示す。

【0037】
【表1】
JP0003079516B2_000002t.gif【0038】第1表より、実施例1の条件で本発明の連続回動装置を用いた殺菌処理を行った場合、茶葉の生菌数は、合計照射線量5.8kGy(30秒×4回処理)で100CFU/g未満に、合計照射線量7.3kGy(30秒×5回処理)で10CFU/g未満にまで減少することが分かる。

【0039】
比較例1〔従来の回動装置による茶葉の殺菌〕
茶葉5gを従来の穀物回動装置(特願平9-311081号:特開平10- 215765号公報参照、以下同じ)を用いて回動させながら、バンデグラーフ型電子加速器を線源とした200keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量12μAで時間を変えて照射した。実施例1と同様の方法で茶葉の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第2表に示す。

【0040】
【表2】
JP0003079516B2_000003t.gif【0041】第1表の結果を踏まえて第2表を考察する。比較例1は、従来の回動装置を用いた点だけが異なる他は、実施例1と同じ照射条件で行っているが、この場合、試料中の細菌数を10CFU/g未満とするためには、11.6kGyほど照射する必要があった(4分処理)。これは、実施例1の場合、合計照射線量が7.3kGy(30秒×5回処理)であったのと比較すると、照射線量が多く、しかも長時間を要していることが分かる。このことから、本発明の連続回動装置を用いると、少ない照射量で、かつ短時間に、茶葉の殺菌を効率よく行うことができることが明らかである。

【0042】
比較例2〔ガンマ線による茶葉の殺菌〕
実施例1において、電子線の代わりに線源として60Coを用いてガンマ線を所定線量照射した以外は、すべて実施例1と同様に行った。実施例1と同様の方法で茶葉の生菌数を測定した。生菌数測定結果を第3表に示す。

【0043】
【表3】
JP0003079516B2_000004t.gif【0044】第3表より、ガンマ線を照射処理後の茶葉中の生菌数は、照射線量7.5kGyで10CFU/g未満となっており、実施例1の結果とほぼ同等であった。このことから、本発明の連続回動装置を用いた場合、ガンマ線照射と同等の殺菌効果を得られることが分かる。但し、ガンマ線を照射した場合には、特願平9-311081号(特開平10- 215765号公報参照)に示されているように、澱粉の分解を生じさせ、穀物の粘度を著しく低下させてしまう欠点がある。

【0045】
実施例2〔本発明による玄米の殺菌〕
玄米20gを試料供給器11に入れ、分速20gで厚さ0.6mmの試料トレー1に連続的に供給した。同時に、図1~3に示した本発明の連続回動装置を操作して玄米を回動させながら連続的に落下させ、バンデグラーフ型電子加速器を照射線源とした170keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量4μAで照射した。この操作を連続的に数回繰り返し、繰り返しのたびに玄米の生菌数を測定した。なお、試料が完全に連続回動装置を滑り落ちるのに要する時間は、60秒であった。実施例1と同様の方法で玄米の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第4表に示す。

【0046】
【表4】
JP0003079516B2_000005t.gif【0047】第4表より、実施例2の条件で本発明の連続回動装置を用いた処理を行った場合、玄米の生菌数は、合計照射線量5.7kGy(1分×12回処理)で100CFU/g未満に、合計照射線量7.6kGy(1分×16回処理)で100CFU/g未満にまで減少することが分かる。このことから、実施例1の茶葉の場合とほぼ同等の合計照射線量で満足のいく殺菌効果が得られることが分かった。

【0048】
比較例3〔従来の回動装置による玄米の殺菌〕
玄米20gを従来の回動装置を用いて回動させながら、バンデグラーフ型電子加速器を照射線源とした170keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量4μAで時間を変えて照射した。実施例1と同様の方法で玄米の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第5表に示す。

【0049】
【表5】
JP0003079516B2_000006t.gif【0050】第4表の結果を踏まえて第5表を考察する。比較例3は、従来の回動装置を用いた点だけが異なる他は実施例2と同じ照射条件であるが、この場合、試料中の生菌数を10CFU/g未満とするためには、合計照射線量が19.0kGyほど照射する必要がある(40分処理)。これは、実施例2で合計照射線量が7.6kGy(1分×16回処理=16分)であったのと比較すると、合計照射線量が多く、しかも、長時間を要していることが分かる。このことから、本発明の連続回動装置を用いると、茶葉の場合と同様に、少ない照射線量で、かつ短時間に、玄米の殺菌を効率よく行うことができることが明らかである。

【0051】
比較例4〔ガンマ線による玄米の殺菌〕
実施例2において、電子線の代わりに線源として60Coを用いて、ガンマ線を所定線量照射した以外は、すべて実施例2と同様に行った。実施例1と同様の方法で玄米の生菌数を測定した。生菌数測定結果を第6表に示す。

【0052】
【表6】
JP0003079516B2_000007t.gif【0053】第6表より、ガンマ線を照射処理後の玄米中の生菌数は、照射線量7.5kGyで10CFU/g未満となっており、実施例2の結果とほぼ同等であった。このことから、茶葉と同様に玄米についても、本発明の連続回動装置を用いた場合、ガンマ線と同等の殺菌効果を得られることが分かる。

【0054】
実施例3〔本発明による殻付蕎麦の殺菌〕
殻付蕎麦20gを試料供給器11に入れ、分速40gで試料トレー1に連続的に供給した。同時に、図1~3に示す本発明の連続回動装置を操作して殻付蕎麦を回動させながら連続的に落下させ、バーデグラーフ型電子加速器を線源とした300keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量36μAで照射した。この操作を連続的に数回繰り返し、繰り返しのたびに殻付蕎麦の生菌数を測定した。なお、試料が完全に回動装置を滑り落ちるのに要する時間は30秒であった。実施例1と同様の方法で殻付蕎麦の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第7表に示す。

【0055】
【表7】
JP0003079516B2_000008t.gif【0056】第7表より、実施例3の条件で本発明の連続回動装置を用いた処理を行った場合、殻付蕎麦の生菌数は、合計照射線量が18.6kGy(30秒×4回処理)で10CFU/g未満にまで減少することが分かる。このことから、本発明の連続回動装置を用いた処理を行った場合、合計照射線量および時間は、茶葉や玄米の場合よりもやや余計にかかるものの、殻付蕎麦についても満足のいく殺菌効果が得られることが分かった。

【0057】
比較例5〔従来の回動装置による殻付蕎麦の殺菌〕
殻付蕎麦20gを従来の回動装置を用いて回動させながら、バンデグラーフ型電子加速器を線源とした300keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量36μAで時間を変えて照射した。実施例1と同様の方法で殻付蕎麦の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第8表に示す。

【0058】
【表8】
JP0003079516B2_000009t.gif【0059】第7表の結果を踏まえて第8表を考察する。比較例5は、従来の回動装置を用いた点だけが異なる他は、実施例3と同じ照射条件であるが、この場合、試料中の生菌数を10CFU/g未満とするためには、照射線量が37.2kGyほど照射する必要がある(4分処理)。これは、実施例3で合計照射線量が18.6kGy(30秒×4回処理=2分)であったのと比較すると、照射線量が2倍以上で、処理時間も倍を要していることが分かる。このことから、本発明の連続回動装置を用いると、茶葉や玄米の場合と同様、少ない合計照射線量で、かつ短時間に、殻付蕎麦の殺菌を効率よく行うことができることが明らかである。

【0060】
比較例6〔ガンマ線による殻付蕎麦の殺菌〕
実施例3において、電子線の代わりに線源として60Coを用いて、ガンマ線を所定線量照射した以外は、すべて実施例3と同様に行った。実施例1と同様の方法で殻付蕎麦の生菌数を測定した。生菌数測定結果を第9表に示す。

【0061】
【表9】
JP0003079516B2_000010t.gif【0062】第9表より、ガンマ線を照射処理後の殻付蕎麦中の生菌数は、照射線量20.0kGyで10CFU/g未満となっており、実施例3よりもやや高い線量を要していることが分かる。このことから、殻付蕎麦についても、本発明の連続回動装置を用いた場合、ガンマ線と同等乃至それ以上の殺菌効果を得られることが分かる。

【0063】
実施例4〔本発明による黒コショウの殺菌〕
黒コショウ10gを試料供給器11に入れ、分速40gで試料トレー1に連続的に供給した。同時に、図1~3に示す本発明の連続回動装置を操作して、黒コショウを回動させながら連続的に落下させ、バーデグラーフ型電子加速器を線源とした300keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量36μAで照射した。この操作を連続的に数回繰り返し、繰り返しのたびに黒コショウの生菌数を測定した。なお、試料が完全に連続回動装置を滑り落ちるのに要する時間は15秒であった。実施例1と同様の方法で黒コショウの生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第10表に示す。

【0064】
【表10】
JP0003079516B2_000011t.gif【0065】第10表より、実施例4の条件で本発明の連続回動装置を用いた処理を行った場合、黒コショウの生菌数は、合計照射線量が9.3kGy(15秒×4回処理)で10CFU/g未満にまで減少することが分かる。このことから、黒コショウの場合、茶葉、玄米、殻付蕎麦よりも低い合計照射線量で、しかも短時間に、満足のいく殺菌効果が得られることが分かった。

【0066】
比較例7〔従来の回動装置による黒コショウの殺菌〕
黒コショウ10gを従来の回動装置を用いて回動させながら、バンデグラーフ型電子加速器を線源とした300keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量36μAで照射時間を変えて照射した。実施例1と同様の方法で黒コショウの生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第11表に示す。

【0067】
【表11】
JP0003079516B2_000012t.gif【0068】第10表の結果を踏まえて第11表を考察する。比較例7は、従来の回動装置を用いた点だけが異なる他は、実施例4と同じ照射条件であるが、この場合、試料中の生菌数を10CFU/g未満とするためには、合計照射線量が23.3kGyほど照射する必要がある(2.5分処理)。これは、実施例4で合計照射線量が9.3kGy(15秒×4回処理=1分)であったのと比較すると、合計照射線量が約2.5倍、照射時間も2.5倍を要していることが分かる。このことから、本発明の連続回動装置を用いると、他の試料の場合と同様に、少ない合計照射線量で、かつ短時間に、黒コショウの殺菌を効率よく行うことができることが明らかである。

【0069】
比較例8〔ガンマ線による黒コショウの殺菌〕
実施例4において、電子線の代わりに線源として60Coを用いて、ガンマ線を所定線量照射した以外は、すべて実施例4と同様に行った。実施例1と同様の方法で黒コショウの生菌数を測定した。生菌数測定結果を第12表に示す。

【0070】
【表12】
JP0003079516B2_000013t.gif【0071】第12表より、ガンマ線を照射処理後の黒コショウ中の生菌数は、照射線量が10.0kGyで10CFU/g未満となっており、実施例4の結果よりもやや高い照射線量を要していることが分かる。このことから、黒コショウについても、本発明の連続回動装置を用いた場合、ガンマ線以上の殺菌効果を得られることが分かる。

【0072】
実施例5〔本発明による黒コショウの殺菌〕
黒コショウ10gを試料供給器11に入れ、分速10gで試料トレー1に連続的に供給した。同時に、図1~3に示す本発明の連続回動装置を操作して黒コショウを回動させながら連続的に落下させ、バーデグラーフ型電子加速器を照射線源とした300keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量36μAで照射した。この操作を連続的に数回繰り返し、繰り返しのたびに黒コショウの生菌数を測定した。なお、試料が完全に連続回動装置を滑り落ちるのに要する時間は60秒であった。実施例1と同様の方法で黒コショウの生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第13表に示す。

【0073】
【表13】
JP0003079516B2_000014t.gif【0074】第13表より、実施例5の条件で本発明の連続回動装置を用いた処理を行った場合、黒コショウの生菌数は、合計の照射線量が9.3kGy、すなわち1回の処理で10CFU/g未満にまで減少することが分かる。このことから、試料供給速度を遅くすることにより、1回の照射で必要な照射線量が得られるため、試料回収トレー13と試料供給器11とを接続するコンベアなどを設置することなく、連続的に殺菌処理を行うことができることが明らかとなった。

【0075】
実施例6〔本発明による小麦を殺菌〕
小麦10gを試料供給器11に入れ、分速10gで試料トレー1に連続的に供給した。同時に、図1~3に示す本発明の連続回動装置を操作して小麦を回動させながら連続的に落下させ、バーデグラーフ型電子加速器を線源とした225keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量22μAで照射した。この操作を連続的に数回繰り返し、繰り返しの度に小麦の生菌数を測定した。なお、試料が完全に回動装置を滑り落ちるのに要する時間は60秒であった。実施例1と同様の方法で小麦の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第14表に示す。

【0076】
【表14】
JP0003079516B2_000015t.gif【0077】第14表より、実施例6の条件で本発明の連続回動装置を用いた処理を行った場合、小麦の生菌数は、合計の照射線量が6.4kGy、すなわち1回の処理で10CFU/g未満にまで減少することが分かる。このことから、黒コショーの場合と同様に、小麦の場合も、試料供給速度を遅くすることにより、1回の照射で必要な照射線量が得られるため、試料回収トレー13と試料供給器11とを接続するコンベアなどを設置することなく、連続的に殺菌処理を行うことができることが明らかとなった。

【0078】
比較例9〔従来の回動装置による小麦の殺菌〕
小麦10gを従来の回動装置を用いて回動させながら、バンデグラーフ型電子加速器を照射線源とした225keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量22μAで時間を変えて照射した。実施例1と同様の方法で小麦の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第15表に示す。

【0079】
【表15】
JP0003079516B2_000016t.gif【0080】第14表の結果を踏まえて第15表を考察する。比較例9は、従来の回動装置を用いた点だけが異なる他は、実施例6と同じ照射条件であるが、この場合、試料中の生菌数を10CFU/g未満とするためには、合計照射線量が9.6kGyほど照射する必要がある(1.5分処理)。これは、実施例6で合計照射線量が6.4kGy(1分×1回)であったのと比較すると、照射線量、照射時間ともに1.5倍を要していることが分かる。このことから、本発明の連続回動装置を用いると、他の試料の場合と同様に、従来の回動装置と比較して、少ない照射線量で、かつ短時間に、小麦の殺菌を効率よく行うことができることが明らかである。

【0081】
比較例10〔ガンマ線による小麦の殺菌〕
実施例6において、電子線の代わりに線源として60Coを用いてガンマ線を所定線量照射した以外は、すべて実施例6と同様に行った。実施例1と同様の方法で小麦の生菌数を測定した。生菌数測定結果を第16表に示す。

【0082】
【表16】
JP0003079516B2_000017t.gif【0083】第16表より、ガンマ線を照射処理後の小麦中の生菌数は、照射線量5.0kGyで10CFU/g未満となっており、実施例6とほぼ同等であった。このことから、小麦についても、本発明の連続回動装置を用いた場合、ガンマ線と同等の殺菌効果を得られることが分かる。

【0084】
実施例7〔本発明によるカイワレダイコン種子の殺菌〕
カイワレダイコン種子10gを試料供給器11に入れ、分速10gで試料トレー1に連続的に供給した。同時に、図1~3に示す本発明の連続回動装置を操作して種子を回動させながら連続的に落下させ、バーデグラーフ型電子加速器を線源とした170keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量4μAで照射した。この操作を連続的に数回繰り返し、繰り返しのたびにカイワレダイコン種子の生菌数を測定した。なお、試料が完全に回動装置を滑り落ちるのに要する時間は60秒であった。実施例1と同様の方法で種子の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第17表に示す。

【0085】
【表17】
JP0003079516B2_000018t.gif【0086】第17表より、実施例7の条件で本発明の連続回動装置を用いた処理を行った場合、カイワレダイコン種子の生菌数は、合計照射線量が1.43kGy(1分×3回処理)で10CFU/g未満にまで減少することが分かる。このことから、カイワレダイコン種子の場合、実施例7の条件で行うことにより、短時間で満足のいく殺菌効果が得られることが分かった。

【0087】
比較例11〔従来の回動装置によるカイワレダイコン種子の殺菌〕
カイワレダイコン種子10gを従来の回動装置を用いて回動させながら、バンデグラーフ型電子加速器を照射線源とした170keVの低エネルギーの電子線(ソフトエレクトロン)をビーム量4μAで時間を変えて照射した。実施例1と同様の方法でカイワレダイコン種子の生菌数を測定した。生菌数の測定結果を第18表に示す。

【0088】
【表18】
JP0003079516B2_000019t.gif【0089】第17表の結果を踏まえて第18表を考察する。比較例11は、従来の回動装置を用いた点だけが異なる他は、実施例7と同じ照射条件であるが、この場合、試料中の生菌数を10CFU/g未満とするためには、合計照射線量が1.90kGyほど照射する必要がある(4分処理)。これは、実施例7における合計照射線量が1.43kGy(1分×3回処理)であったのと比較すると、合計照射線量、照射時間ともに多くを要していることが分かる。このことから、本発明の連続回動装置を用いると、他の試料の場合と同様に、従来の回動装置と比較して、少ない照射線量で、かつ短時間に、カイワレダイコン種子の殺菌を効率よく行うことができることが明らかである。

【0090】
比較例12(ガンマ線によるカイワレダイコン種子の殺菌)
電子線の代わりに線源として60Coを用いてガンマ線を照射した以外は、すべて実施例7と同様に行った。実施例1と同様の方法でカイワレダイコン種子の生菌数を測定した。生菌数測定結果を第19表に示す。

【0091】
【表19】
JP0003079516B2_000020t.gif【0092】第19表より、ガンマ線を照射処理後のカイワレダイコン種子中の生菌数は、照射線量2.0kGyで10CFU/g未満となっており、実施例7とほぼ同等であった。このことから、カイワレダイコン種子についても、本発明の連続回動装置を用いた場合、ガンマ線と同等の殺菌効果を得られることが分かる。

【0093】
以上の第1表~第19表の結果によれば、本発明の連続回動装置を用いると、低エネルギー電子線(ソフトエレクトロン)による殺菌に必要な線量は、従来の穀物回動装置を用いた場合よりもはるかに低く、ガンマ線を用いた場合とほぼ同じである。このことから、本発明の連続回動装置は、少ない照射線量で効率よく食品原料の殺菌を行うことができることが明らかである。

【0094】
また、第10表と第13表とから明らかなように、殺菌に必要な線量は、試料が連続回動装置を通過する速度に関係なかった。このことは、本発明の連続回動装置を用いれば、非常に効率よく食品原材料を回動することができ、均一に食品原料表面に低エネルギー電子を照射できることを示すものである。このことは、茶葉、玄米、殻付蕎麦、黒コショウ、小麦、カイワレダイコン種子のいずれにも認められる結果であり、試料の形状、比重等には関係なく、本方法により効率的に殺菌できることを示している。さらに、第13表、第14表に示すように、試料が連続回動装置を通過する速度を遅くすれば、1回の処理で試料を殺菌することができる。或いは、単位時間当たりの電子線量を増やせば、通過速度を変えずに1回の処理で殺菌することが可能になる。このことは、本発明の連続回動装置を用いれば、連続的に試料を殺菌できることを示すものである。

【0095】
【発明の効果】請求項1記載の本発明の方法によれば、食品原材料を均一、かつ非常に効率よく回動させながら搬送し、低エネルギー電子線(ソフトエレクトロン)を用いて効率よく連続的に殺菌することができる。しかも、請求項1記載の本発明の方法では、殺菌に必要最低限度のエネルギーの電子線を照射しており、このため特に穀物成分の澱粉に損傷を与えることなく、穀物表面に付着している微生物を効率よく殺菌することができる。

【0096】
また、請求項2記載の本発明の方法によれば、食品原材料を均一、かつ非常に効率よく回動させながら搬送することができ、低エネルギー電子線(ソフトエレクトロン)を用いて、効率よく連続的に殺菌することができる。しかも、請求項2記載の本発明の方法では、殺菌に必要最低限度のエネルギーの電子線を用いており、このため特に穀物成分の澱粉に損傷を与えることなく、穀物表面に付着している微生物を効率よく殺菌することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2