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明細書 :レ—ル懸垂式防除装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3002730号 (P3002730)
登録日 平成11年11月19日(1999.11.19)
発行日 平成12年1月24日(2000.1.24)
発明の名称または考案の名称 レ—ル懸垂式防除装置
国際特許分類 A01M  7/00      
B05B 15/04      
FI A01M 7/00 E
A01M 7/00
B05B 15/04
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願平11-007398 (P1999-007398)
出願日 平成11年1月14日(1999.1.14)
審査請求日 平成11年1月14日(1999.1.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591128729
【氏名又は名称】農林水産省四国農業試験場長
発明者または考案者 【氏名】角川 修
【氏名】田中 宏明
【氏名】関 浩二
【氏名】宮崎 昌宏
【氏名】藤川 益弘
【氏名】大谷 恭史
【氏名】猪之奥 康治
個別代理人の代理人 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
審査官 【審査官】秋月 美紀子
参考文献・文献 特開 平9-313086(JP,A)
調査した分野 A01M 7/00
B05B 15/04
A01G 25/09
要約 【課題】 中山間地の傾斜している作物畝の長手方向に沿って建設されたハウス内でレールに懸垂されて移動しながら防除作業を行う防除部の無人自動化。
【解決手段】 .チャンネル状のレール2に複数の滑車3aを介して移動自在に懸垂された防除部3に、ホースリール4に動力により巻き上げ可能に巻回され、かつレール2に沿って移動自在に支持されたホース7を接続して薬液を供給するようにし、防除部3をレール2の傾斜下方に向け移動させるときは防除部3の自重によりホース7を巻き戻しながら移動させ、防除部3をレール2の傾斜上方に向け移動させるときは動力によりホース7を巻き上げながら移動するように自動制御して無人防除作業を可能にする。.防除部3の移動を自動制御するコントローラ9を設ける。.防除部3をレール2に対してヒンジ部3cを介して常時垂直方向に保持させる。
特許請求の範囲 【請求項1】
中山間地の傾斜している作物畝の長手方向に沿って建設された農業用栽培施設内で、上部に架設されたレールに懸垂されて移動しながら防除作業を行う防除装置であって、
チャンネル状のレールに複数の滑車を介して移動自在に懸垂された防除部に、ホースリールに動力により巻き上げ可能に巻回され、かつレールに沿って移動自在に支持されたホースを接続して薬液を供給するようにし、防除部をレールの傾斜下方に向け移動させるときは防除部の自重によりホースをリールから巻き戻しながら移動させ、防除部をレールの傾斜上方に向け移動させるときは動力によりホースを巻き上げながら移動させるように制御して無人防除作業を可能にしたことを特徴とするレール懸垂式防除装置。

【請求項2】
防除部がレールの両端部に達したのを検出する端部検出機能を有し、防除部がレールの傾斜下方に移動して傾斜下端部に達したときはホースを所定速度で巻き上げる指令を出し、防除部がレールの傾斜上端部に達したときはホースの巻き上げを停止してホースの移動を自由状態にする制御、及びホースへの薬液供給の送液開始、送液停止の制御を行うコントローラを設けたことを特徴とする請求項1記載のレール懸垂式防除装置。

【請求項3】
防除部のレールに対する懸垂基部を前後方向に回動自在とし、防除部を常時垂直方向に保持させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のレール懸垂式防除装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中山間地の傾斜している作物畝の長手方向に沿って建設された農業用栽培施設(ビニールハウス、以下ハウスという)内で、レールに懸垂されて移動しながら防除作業を行う防除装置に関する。

【0002】
【従来の技術】従来、ハウス内で使用される自動防除機(装置)は、作物畝間の通路を自動走行する自動走行式、地上に敷設されたレール上を自動的に移動するレール上自動走行式、ハウスの上部に架設されたレールに懸垂されて自動走行するレール懸垂自動走行式等がある。これらは、何れも水平なハウスを対象とした自動化技術であった。

【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、中山間地の傾斜している作物畝の長手方向に沿って建設されたハウスのように全体が傾斜した環境では、地面の傾斜に起因する不安定性によって、地面を走行する機械での自動作業が困難で、人力による散布作業が行われている。しかし、ハウス内での防除作業は、防除薬剤が作業者に被曝する問題があり、作業者の健康が損なわれる危険があった。

【0004】
そこで本発明は、中山間地の傾斜している作物畝の長手方向に沿って建設されたハウスにおいて、ハウス内の防除作業を作業者がハウスに入ることなく無人で行える方法として、ハウス内の横梁に長手方向に沿ってレールを架設し、このレールに懸垂した防除ノズルを自動的に移動しながら、省力的な無人防除作業を安価に行える防除技術を提供することを目的とする。

【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、以下のように構成している。

【0006】
A.中山間地の傾斜している作物畝の長手方向に沿って建設された農業用栽培施設内で、上部に架設されたレールに懸垂されて移動しながら防除作業を行う防除装置であって、チャンネル状のレールに複数の滑車を介して移動自在に懸垂された防除部に、ホースリールに動力により巻き上げ可能に巻回され、かつレールに沿って移動自在に支持されたホースを接続して薬液を供給するようにし、防除部をレールの傾斜下方に向け移動させるときは防除部の自重によりホースをリールから巻き戻しながら移動させ、防除部をレールの傾斜上方に向け移動させるときは動力によりホースを巻き上げながら移動させるように制御して無人防除作業を可能にしたことを特徴としている。

【0007】
B.防除部がレールの両端部に達したのを検出する端部検出機能を有し、防除部がレールの傾斜下方に移動して傾斜下端部に達したときはホースを所定速度で巻き上げる指令を出し、防除部がレールの傾斜上端部に達したときはホースの巻き上げを停止してホースの移動を自由状態にする制御、及びホースへの薬液供給の送液開始、送液停止の制御を行うコントローラを設けたことを特徴としている。

【0008】
C.防除部のレールに対する懸垂基部を前後方向に回動自在とし、防除部を常時垂直方向に保持させるようにしたことを特徴としている。

【0009】
【作用】上記の構成により本発明のレール懸垂式防除装置は、以下の作用を行う。
.チャンネル状のレールに複数の滑車を介して移動自在に懸垂された防除部に、ホースリールに動力により巻き上げ可能に巻回され、かつレールに沿って移動自在に支持されたホースを接続して薬液を供給するようにし、防除部をレールの傾斜下方に向け移動させるときは防除部の自重によりホースをリールから巻き戻しながら移動させ、防除部をレールの傾斜上方に向け移動させるときは動力によりホースを巻き上げながら移動させるように制御して無人防除作業を可能にすることで、作業者がハウス内に入ることなく、傾斜したハウス内での防除作業が比較的安価に行われる。

【0010】
.防除部がレールの両端部に達したのを検出する端部検出機能を有し、防除部がレールの傾斜下方に移動して傾斜下端部に達したときはホースを所定速度で巻き上げる指令を出し、防除部がレールの傾斜上端部に達したときはホースの巻き上げを停止してホースの移動を自由状態にする制御、及びホースへの薬液供給の送液開始、送液停止の制御を行うコントローラを設けることで、防除装置を完全自動化して無人防除作業が行われる。

【0011】
.防除部のレールに対する懸垂基部を前後方向に回動自在とし、防除部を常時垂直方向に保持させるようにすることで、防除部はレールに対して安定した姿勢で懸垂されてレールに沿ってスムーズに移動し、安定した防除作業を行う。

【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1ないし図3において、符号1は中山間地の水平面に対してθ°傾斜している作物畝の長手方向に沿って建設されたハウスで、このハウス1内の上部に、図示しない横梁間に複数(図面では2本)のレール2を架設している。このレール2には、防除装置の防除部(ブームノズル部)3が懸垂されてレール2に沿って移動しながら防除作業を行うように設けられている。レール2は、角形チャンネル状のもので、その開口部2aを下方に向け開口させ、この開口部2aの両側に、防除部3の上端部に取付けられた前後及び左右に2個ずつ、計4個の滑車3aが嵌挿されて移動自在に転接する滑車転接溝2b,2bを形成している。

【0013】
防除部3には、地上部に設置、もしくはレール2の傾斜上端側の横梁に固設されたホースリール4(図4参照)に、モータ5により駆動されるチェン伝動系6によって巻き上げ可能に巻回されたホース7の先端が接続され、薬液を供給して散布するようにしている。このホース7は防除部3を移動させる移動源を兼ねており、レール2にほぼ所定間隔で架設される図5及び図6に示すホースガイド8により、レール2に沿って移動自在である。ホースガイド8は、図6にも示すように、支持アームの上端一側に設けられ、レール2の上方から被嵌して着脱可能の鍵形をしたレール被嵌部8aと、支持アームの下端の前記レール被嵌部8aと同じ側に設けられ、ホース7を支承して回転するホース支持ローラ8bと、により構成されている。

【0014】
防除部3は、上端部に前記4個の滑車3aを滑車支持アーム3bを介して支持し、この滑車支持アーム3bをヒンジ部材3cに固着している。ヒンジ部材3cのベース側はコ字状部材3dの上縁部の上面に固着され、この上縁部の下面にホース連結部3eが取付けられていて、ホースリール4から引き延ばされたホース7の先端が接続される。コ字状部材3dの下縁部にはブーム支持部材3fが左右方向に延びるようにして固着され、このブーム支持部材3fには左右一対のブーム杆3gが取付けられ、両ブーム杆3gに、ホース7に連通するノズル管3hが配設されている。また、ブーム杆3g,3gは、その基部がボルト・ナットのような取付け部材3iにより、ブーム支持部材3fに対し左右方向の間隔調節、左右方向への傾斜角度調節可能に設けられている。

【0015】
ホースリール4は、該リール4に巻回されたホース7の基端部に図示しない動力噴霧機の吐出管を接続して加圧された薬液の供給を受け、ホース7の先端部を防除部3のホース連結部3eに接続してブーム杆3gに支持されたノズル管3hから薬液をハウス内の作物に向け散布する。このホースリール4の近傍にコントローラ9が設けられ、ホース7の動力を使わない巻き戻しを行い、動力による巻き上げ、ホース7への薬液の供給開始、供給停止などの制御を行い、薬剤散布の自動化を可能にしている。このコントローラ9はホースリール4と離れた位置に設けてもよいものである。ホースリール4からホース7を繰り出す位置には、ホース7を整然と巻き戻し、整然と巻き上げるためのホースガイドローラ10が設けられ、ホース7及び防除部3の移動を容易にしている。また、レール2の両端部には、それぞれ図示しない切換えスイッチ(ストッパを兼ねてもよい)が設けられていて、防除部3が接触することによって、防除部3の上り行程と下り行程を切換えるようにしている。

【0016】
そして、防除部3をホース7によりレール2の傾斜下方に向け移動させるときは、防除部3の自重によりホース7を巻き戻しながら移動し、防除部3をレール2の傾斜上方に向け移動させるときはモータ5によりチェン伝動系6を駆動してホースリール4を回転させ、ホース7を巻き上げながら移動させ、この制御をコントローラ9によって行って無人防除作業を可能にしている。また、コントローラ9はリセットや遠隔操作が可能で、防除作業中に作業者がハウス1内に入る必要がないようになっている。

【0017】
このような構成のレール懸垂式防除装置においては、レール2の開口部2aから防除部3の滑車3aを滑車転接溝2b,2bに嵌挿させて防除部3をレール2に懸垂し、ホース7自体が移動媒体となって防除部3はレール2に沿って移動自在となる。ホース7はホースリール4に巻回され、動力噴霧機から加圧された薬液の供給を受け、ホースガイド8のホース支持ローラ8bにより支承されてレール2に沿って軽快に移動するホース7を介して防除部3に供給してハウス1内の作物に散布される。防除部3がレール2の傾斜上端側から傾斜下方に向け移動するときは、防除部3の自重によりホース7をホースリール4から巻き戻しながら移動する。防除部3をレール2の傾斜下方から傾斜上方に向け移動させるときは、モータ5によりホースリール4をゆっくり回動させてホース7を巻き上げながら移動させる。その制御はコントローラ9により行われ、ハウス1内の無人防除作業が行われる。

【0018】
コントローラ9では、防除部3がレール2の両端部に達したのを切換えスイッチにより検出して防除部3の上り行程と下り行程を切換え、防除部3がレール2の傾斜下方に移動して傾斜下端部に達したときはホース7を所定速度で巻き上げる指令を出し、防除部3がレール2の傾斜上端部に達したときはホース7の巻き上げを停止してホース7の移動を自由状態にする制御、及びホース7への薬液供給の送液開始、送液停止の制御を行う。防除部3は、レール2に対する懸垂基部においてヒンジ部材3cにより前後方向に回動自在なので、防除部3は常時垂直方向に保持され、防除部3の滑車3aに前後方向の不要な力がかかることがなく、滑車転接溝2b,2bに安定して転接して、防除部3を安定して移動させる。

【0019】
なお、ハウス1内で栽培される作物が果菜類の場合は、栽培畝の間にレール2を架設し、畝間を移動する防除部3で作物に対して水平に散布し、花奔および背丈の低い作物では畝間にこだわらずにレール2を架設し、水平ブ一ムノズルで上方から広く散布するようにするとよい。また、動力噴霧機機及びホースリール4等の、一方のレール2から他方のレール2への移動は人力で行えるが、他に運搬車や横移動の簡易な梁を設けて移動させるようにしてもよい。さらに、この実施例では、防除部3の移動を安価にするために傾斜下方向への移動に動力を使用することなく防除部3の重力を利用しているが、他の動力(ウインチ、走行装置、紐による牽引など)によって移動させれば、水平なハウスにも適応できる。また、レール2を利用して、収穫物や苗、農業資材等の運搬作業等を行うことも可能である。

【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明によるレール懸垂式防除装置によれば、以下の効果を奏することができる。

【0021】
.チャンネル状のレールに複数の滑車を介して移動自在に懸垂された防除部に、ホースリールに動力により巻き上げ可能に巻回され、かつレールに沿って移動自在に支持されたホースを接続して薬液を供給するようにし、防除部をレールの傾斜下方に向け移動させるときは防除部の自重によりホースをリールから巻き戻しながら移動させ、防除部をレールの傾斜上方に向け移動させるときは動力によりホースを巻き上げながら移動させるように制御して無人防除作業を可能にしたので、作業者がハウス内に入ることなく、傾斜したハウス内での防除作業を比較的安価に行うことができる。

【0022】
.防除部がレールの両端部に達したのを検出する端部検出機能を有し、防除部がレールの傾斜下方に移動して傾斜下端部に達したときはホースを所定速度で巻き上げる指令を出し、防除部がレールの傾斜上端部に達したときはホースの巻き上げを停止してホースの移動を自由状態にする制御、及びホースへの薬液供給の送液開始、送液停止の制御を行うコントローラを設けたので、防除装置を完全自動化して傾斜地ハウス内での無人防除作業を実施することができる。

【0023】
.防除部のレールに対する懸垂基部を前後方向に回動自在とし、防除部を常時垂直方向に保持させるようにしたで、防除部はレールに対して安定した姿勢で懸垂されてレールに沿ってスムーズに移動し、安定した防除作業を行うことができる。
図面
【図6】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図5】
4
【図4】
5
【図7】
6