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明細書 :黒毛和種去勢肥育牛の推定尺

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3401497号 (P3401497)
公開番号 特開2002-262714 (P2002-262714A)
登録日 平成15年2月21日(2003.2.21)
発行日 平成15年4月28日(2003.4.28)
公開日 平成14年9月17日(2002.9.17)
発明の名称または考案の名称 黒毛和種去勢肥育牛の推定尺
国際特許分類 A01K 67/00      
G01B  3/10      
FI A01K 67/00 501
G01B 3/10
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2001-061814 (P2001-061814)
出願日 平成13年3月6日(2001.3.6)
審査請求日 平成13年3月6日(2001.3.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】三橋 忠由
【氏名】島田 和宏
【氏名】三津本 充
個別代理人の代理人 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
審査官 【審査官】長井 啓子
参考文献・文献 特開 平10-4822(JP,A)
調査した分野 A01K 67/00
G01B 3/10
特許請求の範囲 【請求項1】
肥育期間9か月齢から28か月齢の黒毛和種去勢肥育牛の胸囲をテープ状のスケールにより測定し、体重と高い有意の相関を示す回帰式から該肥育牛の体重を、または体重の0.75乗の関数から求められる該肥育牛の栄養要求量を、または給与すべきエネルギーを体重に基づいて算出される該肥育牛への濃厚飼料の給与量を、それぞれ推量することを特徴とする黒毛和種去勢肥育牛の推定尺。

【請求項2】
上記テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定体重の目盛りを付したことを特徴とする請求項1記載の黒毛和種去勢肥育牛の推定尺。

【請求項3】
上記テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定栄養要求量の目盛りを付したことを特徴とする請求項1記載の黒毛和種去勢肥育牛の推定尺。

【請求項4】
上記テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定濃厚飼料給与量の目盛りを付したことを特徴とする請求項1記載の黒毛和種去勢肥育牛の推定尺。

【請求項5】
上記テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定体重の目盛り、推定栄養要求量の目盛り、推定濃厚飼料給与量の目盛りを併記したことを特徴とする請求項1記載の黒毛和種去勢肥育牛の推定尺。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、巻き尺のようなテープ状のスケールにより黒毛和種去勢肥育牛の胸囲を測定することにより、当該肥育牛の体重、栄養要求量、濃厚飼料給与量を推定できるようにした推定尺に関する。

【0002】
【従来の技術】神戸牛や前沢牛などのブランドで取り引きされる高級牛肉を生産している肉用牛品種は「黒毛和種」である。生産現場では、雄を去勢した去勢牛が肥育されている。栄養濃度を高くして成長を良好にし、適切な脂肪の蓄積を行うための”肥育”の開始は生後9か月齢から始まり(体重300kg)、28か月齢以降(体重700kg)まで、長いところでは33か月齢まで続く。肥育期間全体で、1頭当たりの飼料消費は3t以上になることから、肉牛の栄養要求量に沿った適切な飼料の量を無駄なく給与できるかが最終的には効率的肥育経営の要となる。

【0003】
成長に必要な栄養要求量は体重から算出されるので体重を知ることが重要になるが、牛用の体重計は、設置地盤に大型の秤を収めるための穴を掘り、十分な強度を得るための工事を行うなど本体のみならずその設置にも費用がかかるため、ほとんどの生産現場では体重計は設置していない。このため、これまで肥育の現場で体重を知る手段はほとんど無かった。また、体重計があるとしても各牛を肥育牛舎から体重計まで移動させるのは容易ではない。

【0004】
以上のように、肉用牛の生産現場にはほとんどの場合体重計はなく、肥育牛の成長具合は目視による推定からしか行えなかった。すなわち、給与すべき飼料の量は目視情報をもとに推定されていた。経済効率の良い肥育を行うには、牛の成長程度及び栄養要求量を的確かつ容易に推定する手段が必要である。

【0005】
【発明が解決しようとする課題】肉用牛の生産現場にはほとんどの場合体重計はなく、肥育牛の成長具合は目視による推定からしか行えない。また、飼料の給与量も目視情報をもとに推定している。経済効率の良い肥育を行ううには、牛の成長程度及び栄養要求量を的確かつ容易に推定する手段が必要である。

【0006】
【課題を解決するための手段】このことから、何らかの手段で、しかも容易に体重推定を行えないかと研究を重ね、約10年間毎週1回黒毛和種去勢牛の体重を測定し、毎月1回11部位の体尺測定を行い、胸囲と体重が高い相関関係にあることを見いだし、本発明の完成に至った。

【0007】
黒毛和種去勢牛の胸囲と体重は高い有意の相関を示す(3次回帰)。この関係から肥育現場で容易に体重推定に用いることができる「体重尺」を作ることができ、本発明の「体重尺」を用いて肥育牛の体重を推定することができる。

【0008】
栄養要求量は体重の0.75乗の関数で示されることから「栄養要求量尺」を目盛ることができ、これを用いて必要な栄養量(TDNベース)、さらに、給与すべき濃厚飼料の実量を知ることができる。

【0009】
本発明により肥育牛の生産現場で日常的に成長具合及び栄養要求量を容易に知ることができるようになり、無駄の無い適切な飼料給与が可能になり、肥育経営における経済効率向上を図ることが可能になる。

【0010】
本発明は、請求項1~5に記載したように、以下の構成を有することを特徴としている。
A.肥育期間9か月齢から28か月齢の黒毛和種去勢肥育牛の胸囲をテープ状のスケールにより測定し、体重と高い有意の相関を示す回帰式から該肥育牛の体重を、または体重の0.75乗の関数から求められる該肥育牛の栄養要求量を、または給与すべきエネルギーを体重に基づいて算出される該肥育牛への濃厚飼料の給与量を、それぞれ推量する。

【0011】
B.上記テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定体重の目盛りを付した。
C.上記テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定栄養要求量の目盛りを付した。

【0012】
D.上記テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定濃厚飼料給与量の目盛りを付した。
E上記テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定体重の目盛り、推定栄養要求量の目盛り、推定濃厚飼料給与量の目盛りを併記した。

【0013】
【作用】上記A.の構成により、テープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定することにより、該肥育牛の体重、栄養要求量、濃厚飼料の給与量が簡単、かつ容易に推量される。

【0014】
上記B.の構成によって、肥育牛の胸囲を測定するテープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定するだけで、推定体重の目盛りを読み取ることができて、推定体重が簡単、かつ迅速に分かる。上記C.の構成により、肥育牛の胸囲を測定するテープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定することにより、推定栄養要求量の目盛りを読み取って、推定栄養要求量が簡単、かつ迅速に分かる。

【0015】
上記D.の構成により、肥育牛の胸囲を測定するテープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定することで、推定濃厚飼料給与量の目盛りを読み取って、推定濃厚飼料給与量が簡単、かつ迅速に分かる。上記E.の構成により、肥育牛の胸囲を測定するテープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定することにより、推定体重の目盛り、推定栄養要求量の目盛り、推定濃厚飼料給与量の目盛りを読み取ることができて、推定体重、推定栄養要求量、推定濃厚飼料給与量が同時に簡単に分かる。

【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は、本発明によるテープ(巻き尺)状のスケール(推定尺)の概略斜視図、図2ないし図4は、黒毛和種去勢肥育牛の肥育期間6か月齢から32か月齢の各月齢における胸囲と体重、日増体重(TG)、TDN(可消化養分総量=栄養要求量)、濃厚飼料給与量との関係を示す表(本データは農林水産省中国農業試験場畜産部において得られた)、図5は、黒毛和種去勢肥育牛の胸囲と体重の関係を示すグラフである。

【0017】
図2ないし図4に示す表で明らかなように、黒毛和種去勢肥育牛の胸囲は、その肥育期間9か月齢から28か月齢において、体重と高い有意の相関を示している(1次回帰式)。図5に示す黒毛和種去勢肥育牛の胸囲と体重の関係(3次回帰式)は、さらに顕著に現れている。上記関係式は、1次回帰でも有意な関係にあるが、3次回帰はさらに適合性がよい。本発明に係る図1に示されるテープ(巻き尺)状の推定尺1は、上記の関係式を基礎として作成されたものである。

【0018】
推定尺1は、肥育期間9か月齢から28か月齢の黒毛和種去勢肥育牛の胸囲を測定し、体重と高い有意の相関を示す回帰式から該肥育牛の体重を、または体重の0.75乗の関数から求められる該肥育牛の栄養要求量を、または給与すべきエネルギーを体重に基づいて算出される該肥育牛へのトウモロコシ、小麦、大麦等の濃厚飼料の給与実量(濃厚飼料給与量)を、それぞれ推量できることに着目して作成されたものである。推定尺1には、肥育牛の胸囲を測定するメートル法による胸囲の目盛り2が付され、この胸囲の目盛り2に相当する位置に推定体重の目盛り(kg)3を付した「体重尺」が作成される。また、胸囲の目盛り2に相当する位置に推定栄養要求量の目盛り(Kcal)4を付した「栄養要求量尺」を作成することができる。さらに、胸囲の目盛り2に相当する位置に推定濃厚飼料給与量の目盛り(gまたはkg)5を付した「濃厚飼料給与量尺」を作成することができる。さらにまた、胸囲の目盛り2に相当する位置に推定体重の目盛り3、推定栄養要求量の目盛り4、推定濃厚飼料給与量の目盛り5を併記した「総合推量尺」を作成することもできる。

【0019】
そして本発明の推定尺1により、肥育牛の生産現場において肥育期間9か月齢から28か月齢の黒毛和種去勢肥育牛の胸囲を日常的に測定し、胸囲の目盛り2に相当する位置の推定体重の目盛り3、推定栄養要求量の目盛り4、推定濃厚飼料給与量の目盛り5をそれぞれ読み取って、各肥育牛の成長具合及び栄養要求量を知り、無駄の無い適切な飼料給与、管理を行うことができる。そして、肥育経営における経済効率の向上が図られる。

【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1~5に記載した構成を有する黒毛和種去勢肥育牛の推定尺においては、以下の作用効果を奏することができる。

【0021】
.肥育期間9か月齢から28か月齢の黒毛和種去勢肥育牛の胸囲をテープ状のスケールにより測定し、体重と高い有意の相関を示す回帰式から該肥育牛の体重を、または体重の0.75乗の関数から求められる該肥育牛の栄養要求量を、または給与すべきエネルギーを体重に基づいて算出される該肥育牛への濃厚飼料の給与量を、それぞれ推量するので、テープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定することによって、該肥育牛の体重、栄養要求量、濃厚飼料の給与量を簡単、かつ容易に推量することかできる。そして、肥育牛の生産現場で日常的に成長具合及び栄養要求量を容易に知ることができることによって、無駄の無い適切な飼料給与が可能になり、肥育経営における経済効率向上を図ることができる。

【0022】
.テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定体重の目盛りを付したので、肥育牛の胸囲を測定するテープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定すると同時に、推定体重の目盛りを読み取ることができて、推定体重を簡単、かつ迅速に知ることかできる。

【0023】
.テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定栄養要求量の目盛りを付したので、肥育牛の胸囲を測定するテープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定することによって、推定栄養要求量の目盛りを読み取って、推定栄養要求量を簡単、かつ迅速に知ることかできる。

【0024】
.テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定濃厚飼料給与量の目盛りを付したので、肥育牛の胸囲を測定するテープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定することにより、推定濃厚飼料給与量の目盛りを読み取って、推定濃厚飼料給与量を簡単、かつ迅速に知ることかできる。

【0025】
.テープ状のスケールに、胸囲の目盛りに相当する位置に推定体重の目盛り、推定栄養要求量の目盛り、推定濃厚飼料給与量の目盛りを併記したので、肥育牛の胸囲を測定するテープ(巻き尺)状のスケールにより肥育牛の胸囲を測定すると同時に、推定体重の目盛り、推定栄養要求量の目盛り、推定濃厚飼料給与量の目盛りを読み取ることができ、推定体重、推定栄養要求量、推定濃厚飼料給与量を同時に簡単に知ることかできる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
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