TOP > 国内特許検索 > イネ科植物の花粉飛散防止方法 > 明細書

明細書 :イネ科植物の花粉飛散防止方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3261455号 (P3261455)
公開番号 特開2001-103840 (P2001-103840A)
登録日 平成13年12月21日(2001.12.21)
発行日 平成14年3月4日(2002.3.4)
公開日 平成13年4月17日(2001.4.17)
発明の名称または考案の名称 イネ科植物の花粉飛散防止方法
国際特許分類 A01G  7/00      
FI A01G 7/00 604Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 3
出願番号 特願平11-288173 (P1999-288173)
出願日 平成11年10月8日(1999.10.8)
審査請求日 平成11年10月8日(1999.10.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人 農業技術研究機構
発明者または考案者 【氏名】本多 一郎
【氏名】和田 道宏
【氏名】牧野 徳彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔 (外2名)
審査官 【審査官】坂田 誠
参考文献・文献 特開 平7-53307(JP,A)
特開 平4-11819(JP,A)
調査した分野 A01G 7/00
A01G 7/06
特許請求の範囲 【請求項1】
イネ科植物をジャスモン酸類で処理することを特徴とする花粉飛散防止方法。

【請求項2】
ジャスモン酸類を含有することを特徴とするイネ科植物花粉飛散防止剤。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の開花特性を変化させ、開花による花粉の飛散を防止し、品種の雑種化を防ぐ方法に関する。

【0002】
【従来の技術】イネ科植物は、雌雄同花植物であり、自家受粉により実を付けるが、通常、開穎時に葯が穎花の外にはみ出し、花粉を外部に飛散させる特長を有している。このことにより、近傍に自生した類縁植物種にその花粉がかかり、その植物種によっては、交配するケースがあることが知られている。

【0003】
イネ科植物には開花せず、花粉が飛散しない特殊な変異体があることや、開花する品種でも環境状態によって開花せず受粉することがあることが知られているが、開花する品種の開花を制御する方法は知られていない。

【0004】
一方、遺伝子組み替え手法により、除草剤耐性などの遺伝子が導入された作物が上梓されつつある。除草剤耐性植物は除草剤を使用して植物を防除する場合に、その除草剤に耐性を示すように生み出されてきた作物である。しかしながら、その開花により花粉が飛散し、近縁野生種と交配することにより、近縁野生種が耐性を獲得し、防除困難となることが指摘されている。このためにも花粉の飛散を防止する技術の確立が求められている。

【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、品種の雑種化を防ぐために、花粉の飛散防止技術の開発を課題とする。

【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、ジャスモン酸類を開花前の穂に投与することによって、その開穎が抑えられ花粉の飛散が防止できることが明らかとなった。

【0007】
すなわち、本発明は(1)イネ科植物をジャスモン酸類で処理することを特徴とする花粉飛散防止方法、(2)ジャスモン酸類を含有することを特徴とするイネ科植物花粉飛散防止剤に関する。

【0008】
ここで用いるジャスモン酸類としては、天然型の(-)-ジャスモン酸や、(-)-ジャスモン酸メチルの他、これらのラセミ混合物である(±)-ジャスモン酸、(±)-ジャスモン酸メチル、類縁化合物のツベロン酸や、エピジャスモン酸、ククルビン酸などのジャスモン酸活性があると考えられる化合物は、天然体、合成品を問わず全てが利用できる。

【0009】
イネ科植物としては、イネ、ムギ、アワ、ヒエ等の他、エノコログサ、シバ、セイバンモロコシやスズメノテッポウ等が含まれる。なお、処理方法としては、開花前に穂に水溶液で噴霧することが好ましい。従って、ジャスモン酸類を含有した錠剤を水に溶かし、水溶液として使用することも可能である。

【0010】
【発明の実施の形態】以下に実施例により、より具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0011】
【実施例】大麦さつき二条由来の開花性の大麦系統を圃場で慣行栽培し、出穂期に出穂直後未開花の穂を採種し、昼間25℃で14時間、夜間15℃で10時間、昼間の明るさ120μmol光量子/cm2 の人工気象器で、ジャスモン酸類としてジャスモン酸を1-100ppm含む10ccの薬液にてそれぞれ3穂処理した。

【0012】
穂が吸収した水分を適宜補いながら、その開花状態を6日間観察した後、切り穂培養液に移し、約20日間栽培し、着粒した粒の穎花の中に残っている葯数を測定し比較とした。その結果を表1に示す。

【0013】
【表1】
JP0003261455B2_000002t.gif【0014】表1に示すように、ジャスモン酸メチルの100ppmの処理で開花が観察できず、無処理に比べて開花が阻害されている。1粒当たり残存葯数については、ジャスモン酸メチルの10ppm処理においても、明らかに無処理より残存葯数が多く、開花が阻害されていることがわかる。ジャスモン酸メチルの100ppm処理においては、残存葯数はさらに多く、更に開花が阻害されていることが明らかである。同じ試験を再度行った結果を表2に示すが、同様の結果が得られている。

【0015】
【表2】
JP0003261455B2_000003t.gif【0016】従って、イネ科植物の開花を抑制するには、ジャスモン酸類を10ppm以上噴霧することが望ましいことがわかる。

【0017】
【発明の効果】ジャスモン酸類の処理によりイネ科植物の開花が阻害され、花粉の飛散が防止される。その結果品種の雑種化を防ぐことができ、雑草の繁茂等を阻止することが可能となる。