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明細書 :オーラプテン高含量ミカン科植物の作出法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第2963967号 (P2963967)
登録日 平成11年8月13日(1999.8.13)
発行日 平成11年10月18日(1999.10.18)
発明の名称または考案の名称 オーラプテン高含量ミカン科植物の作出法
国際特許分類 A01H  1/00      
A61K 35/78      
FI A01H 1/00 Z
A61K 35/78
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願平10-208473 (P1998-208473)
出願日 平成10年7月24日(1998.7.24)
審査請求日 平成10年7月24日(1998.7.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】591025303
【氏名又は名称】農林水産省果樹試験場長
【識別番号】000195568
【氏名又は名称】生物系特定産業技術研究推進機構
発明者または考案者 【氏名】矢野 昌充
【氏名】小川 一紀
【氏名】吉田 俊雄
【氏名】根角 博久
【氏名】野々村 睦子
【氏名】川井 悟
【氏名】小松 晃
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔 (外2名)
審査官 【審査官】長井 啓子
調査した分野 A01H 1/00
A61K 35/78 ADU
要約 【解決手段】 カラタチに属する植物を花粉親とし、ミカン科に属するカラタチ以外の植物を種子親として、両者を交配し、雑種植物を得ることを特徴とするオーラプテン高含量ミカン科植物の作出法。
【効果】 発癌抑制物質として有用なオーラプテンを高含量で含むミカン科植物を作出する方法を提供する。
特許請求の範囲 【請求項1】
カラタチを花粉親とし、ミカン科に属するカラタチ以外の植物を種子親として、両者を交配し、雑種植物を得ることを特徴とするオーラプテン高含量ミカン科植物の作出法。

【請求項2】
ミカン科に属するカラタチ以外の植物が、カンキツ属に属する植物であることを特徴とする請求項1記載のオーラプテン高含量ミカン科植物の作出法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発癌抑制物質として有用なオーラプテンを高含量で含むミカン科植物を作出する方法に関する。

【0002】
【従来の技術】ミカン科植物に特有なクマリンであるオーラプテン及びその類縁化合物(エポキシオーラプテン、ウンベリフェロン、イソインペラトリン、[(3,7-ジメチル-6-エポキシ-2-オクチニル) オキシ] プソラレン)は、村上、大東、小清水らの研究によって発癌抑制効果があることが明らかにされている(Jpn. J. Cancer Res. 88, 443-452, 1977 )。この研究は、オーラプテンが発癌プロモーターであるTPA(12-O-tetradecanoylpholbcl13-acetate)による腫瘍の発生を抑制することのほか、発癌に関与する活性酸素(superoxide, hydroperoxide, NO )を消去するのではなく、その産生を抑制していることを明らかにし、オーラプテンがこれまでに発癌抑制が明らかにされている物質の中では極めて特異的な発癌抑制効果を発揮することを明らかにした。これらの発見はオーラプテンが発癌抑制物質として医薬品、食品添加物として発展する可能性を示している。

【0003】
オーラプテンはミカン科植物の果皮や果肉にが含まれているので、これらの植物からオーラプテンを得ることは可能である。しかし、カラタチ(Poncirus trifoliata)が比較的多量のオーラプテンを含有することが明らかになっているものの、その他のミカン科植物がどの程度オーラプテンを含有するかについては必ずしも明らかにされていない。また、オーラプテン含量の高いカラタチにしても、オーラプテンを高含量で含む部位(果肉)の絶対量が少ないため、果実1個当たりから採取できるオーラプテンの量はわずかである。このため、実験室レベルではともかく、商業的レベルでミカン科植物からオーラプテン得ることは従来行われていなかった。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】既存のミカン科植物よりもオーラプテン含量の高い植物が得られれば、その植物から商業目的でオーラプテンを生産することができる。本発明は、かかる観点からなされたものであり、その目的とすることろは、オーラプテン含量の高いミカン科植物を提供することにある。

【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、カラタチを花粉親とし、他のミカン科植物を種子親として交配することにより、両親のオーラプテン含量を大幅に上回る雑種植物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、カラタチを花粉親とし、ミカン科に属するカラタチ以外の植物を種子親として、両者を交配し、雑種植物を得ることを特徴とするオーラプテン高含量ミカン科植物の作出法である。

【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明のオーラプテン高含量ミカン科植物の作出法は、カラタチを花粉親とし、ミカン科に属するカラタチ以外の植物を種子親として、両者を交配し、雑種植物を得ることを特徴とするものである。花粉親として使用する植物は、カラタチ、即ち、Poncirus trifoliata に属する植物であればどのようなものでもよい。種子親として使用する植物も特に限定されないが、カンキツ(Citrus)属に属する植物を使用することが好ましく、ウンシュミカンまたはユズを使用をするのが特に好ましい。

【0007】
交配は、特別な方法を用いる必要はなく、通常に方法に従って行うことができる。例えば、ミカン科植物の開花時に予め採取したカラタチの花粉を用いて人工交配を行えばよい。交配から交雑実生を得る工程も常法に従って行い得る。例えば、交配の結果得られた果実を樹上で成熟させた後、種子を取り出し、適当な時期に播種すればよい。得られた交雑実生は、そのまま成長させた成木にすることも可能であるが、適当なミカン科植物の成木に高接ぎすることが好ましい。通常、高接ぎから2、3年で果実を得ることができる。

【0008】
【実施例】〔実施例〕カラタチを花粉親とし、イヨカン(Citrus iyo)、ウンシュウミカン(Citrusunshiu)、ユズ(Citrus junos)、ハッサク(Citrus hassaku)、ナツダイダイ(Citrus natudaidai )、クネンボ(Citrus nobilis)、タチバナ(Citrus tachibana)の7種類のミカン科植物を種子親とし、交配を行い交雑実生を得た。交雑実生は、それぞれ16、11、3、3、1、2、2個体得られた。これらの交雑実生を15~20年栽培した後、果実を採取し、果皮及び果肉のオーラプテン含量を測定した。オーラプテン含量の測定は、以下のようにして行った。

【0009】
洗浄した果実を適当なサイズに輪切りした後、凍結乾燥し、これから果皮部、果肉部を一定量ずつ採取し、微粉末化した。この微粉末1g をアセトン中で粉砕し、オーラプテンを抽出した後、濾過し、残渣をエタノールで洗浄した。濾液と洗浄液をあわせ、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。これをエタノール:アセトン、1:1の溶媒で定容し、0.2 μm のメンブランフィルターで濾過後、ODS カラム、溶出液75%メタノールでHPLC分析を行った。オーラプテン含量の定量は、ハッサクから調製し、NMR 等で化学構造を確認したオーラプテンを標品にして作成した検量線に基づき算出した。この結果を図1及び2に示す。

【0010】
果皮では、既存の系統(ハッサクとカラタチ:図中の最下段の2つ)に比較して著しくオーラプテン含量の高い個体が得られた。例えば、ウンシュウミカン×カラタチの雑種の中には乾燥試料1 g 中に16mg以上と既存の系統の約15倍もの含有量を示すものがあった。一方、果肉では、カラタチの含有量が相当高いものの、ユズ×カラタチの雑種の中にはこれを上回る含有量の個体も存在した。なお、カラタチの果肉は、乾燥重量当たりのオーラプテン含量は高いが、果実内はほとんど種子が占め、果肉はほとんど含まれない。従って、カラタチでは、果実1個から得られるオーラプテンの量は少ない。

【0011】
〔参考例〕カンキツ(Citrus)属、カラタチ(Poncirus)属、キンカン(Fotunella )属に属する67種類の果実について、オーラプテン含量を測定した。オーラプテン含量の測定は、上記の実施例と同様に行った。この結果を表1に示す。

【0012】
【表1】
JP0002963967B1_000002t.gif【0013】
JP0002963967B1_000003t.gif【0014】表1に示すように、果実中にオーラプテンを含むものはカラタチ属のほかに、カンキツ属にも存在した。カンキツ属中で、オーラプテンを含むものは、田中長三郎の分類(Bull. Univ. Osaka Pref., Ser. B. 21, 139-145(1969))で、初生カンキツ亜属のザボン区、ダイダイ区、後生カンキツ亜属のユズ区に属するものに集中していた。

【0015】
【発明の効果】本発明は、発癌抑制物質として有用なオーラプテンを高含量で含むミカン科植物を作出する方法を提供する。
図面
【図1】
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【図2】
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