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明細書 :蛋白質への翻訳活性を促進するDNAおよび該DNAを用いて蛋白質遺伝子から効率よく蛋白質を合成させる方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3002724号 (P3002724)
公開番号 特開平11-290084 (P1999-290084A)
登録日 平成11年11月19日(1999.11.19)
発行日 平成12年1月24日(2000.1.24)
公開日 平成11年10月26日(1999.10.26)
発明の名称または考案の名称 蛋白質への翻訳活性を促進するDNAおよび該DNAを用いて蛋白質遺伝子から効率よく蛋白質を合成させる方法
国際特許分類 C12N 15/09      
C12N 15/10      
C12N 17/00      
C12P 21/02      
C12N  5/10      
C12R  1:91      
C12N  7/00      
C12R  1:92      
FI C12N 15/00 ZNAA
C12N 17/00
C12P 21/02
C12N 5/00
請求項の数または発明の数 9
全頁数 4
出願番号 特願平10-114428 (P1998-114428)
出願日 平成10年4月10日(1998.4.10)
審査請求日 平成10年4月10日(1998.4.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391030284
【氏名又は名称】農林水産省蚕糸・昆虫農業技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】中島 信彦
【氏名】佐々木 潤
個別代理人の代理人 【識別番号】100102842、【弁理士】、【氏名又は名称】葛和 清司 (外1名)
審査官 【審査官】冨永 みどり
特許請求の範囲 【請求項1】
下記に示される翻訳活性化塩基配列を有するDNA。
GTATTCTAGA TTGTATGAAT TGGCAAAGAT CTGGAGAGGA TGAAGGATTG AATGCTCAAG
CAAACGTTAG CTTTGCTTTA AAGGAATTAT CTCTCCACCC CGAGGATGTG TGGGACCAGT
GGTTTCCCCT CATTCTCAGA GCATGTAATA AACACGGTGT CGAAGTAGAA TTTCTATCTC
GACACGCGGC CTTCCAAGCA GTTAGGGAAA CCGACTTCTT TGAAGAAGAA AGCTGACTAT
GTGATCTTAT TAAAATTAGG TTAAATTTCG AGGTTAAAAA TAGTTTTAAT ATTGCTATAG
TCTTAGAGGT CTTGTATATT TATACTTACC ACACAAGATG GACCGGAGCA GCCCTCCAAT
ATCTAGTGTA CCCTCGTGCT CGCTCAAACA TTAAGTGGTG TTGTGCGAAA AGAATCTCAC
TTCAAGAAAA

【請求項2】
請求項1に記載のDNA塩基配列の下流に、目的の蛋白質を合成させる遺伝子を有することを特徴とするプラスミド。

【請求項3】
請求項1又は2に記載のDNA塩基配列が、プロモーター配列と目的遺伝子の翻訳開始点との間に挿入されていることを特徴とするプラスミド。

【請求項4】
請求項2又は3に記載のプラスミドが宿主細胞に導入された形質転換体。

【請求項5】
請求項1に記載のDNA塩基配列の下流に、目的の蛋白質を合成させる遺伝子を有することを特徴とする組換えバキュロウイルス。

【請求項6】
請求項1に記載のDNA塩基配列が、プロモーター配列と目的遺伝子の翻訳開始点との間に挿入されていることを特徴とする組換えバキュロウイルス。

【請求項7】
請求項5又は6に記載の組換えバキュロウイルスに感染した培養細胞。

【請求項8】
培養細胞がバキュロウイルス発現系の昆虫細胞であることを特徴とする、請求項7に記載のウイルス感染細胞。

【請求項9】
請求項1に記載のDNA塩基配列をプラスミド中に取り込むことにより、その下流に位置する蛋白質遺伝子から効率よく蛋白質を合成させる方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、新規な翻訳活性化塩基配列を有するDNAに関する。本発明はまた、該DNA塩基配列の下流に有効な蛋白質を合成させる目的遺伝子を有するプラスミド又は組換えウイルス、及び該プラスミドを含む形質転換体又は該組換えウイルスに感染した培養細胞に関する。更に本発明は、昆虫ウイルスの翻訳活性を促進する塩基配列に対応するDNAをプラスミド中に取り込むことにより,その下流に位置する蛋白質遺伝子から効率よく蛋白質を合成させる方法に関する。

【0002】
【従来技術】ベクターに組み込まれた外来遺伝子を培養細胞や昆虫体内で発現させる手法は、遺伝子工学を利用して蛋白質を生産する場合に必要不可欠である。しかし、組み込まれた遺伝子によっては,必要量の発現蛋白質を得られない場合も多い。USP4937190において、脊椎動物のRNAウイルス,encephalomyocarditis virus(EMCV)のゲノム5´側の非翻訳領域に翻訳活性を促進する塩基配列が記載されている。しかしながらEMCVは細胞内でウイルスにとって少量しか合成する必要のない非構造蛋白質とキャプシド蛋白質を一つのポリ蛋白質として合成するために、十分な翻訳促進活性は得られない。さらに、EMCVは脊椎動物を宿主としているために、外来遺伝子発現法として近年多く利用されているバキュロウイルス発現系の宿主細胞である昆虫細胞ではほとんど機能しないため、実用上問題がある(Polkinghorne, I., and Roy, P. (1995) Nucleic Acids Research Vol. 23, 188-191)。

【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、昆虫細胞で機能する翻訳活性を促進する塩基配列の発見が強く望まれている。即ち、本発明の課題は、必要量の発現蛋白質の合成を促進し、かつ外来遺伝子発現法として近年多く利用されているバキュロウィルス発現系の宿主細胞である昆虫細胞で機能し得る翻訳活性塩基を見出し、目的とする蛋白質を効率よく生産することにある。

【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題を解決するため、昆虫細胞で機能する可能性が高い、昆虫ウイルスの遺伝子塩基配列中から、翻訳活性を促進する塩基配列を見出すべく鋭意研究を重ねる中で、新規昆虫ウイルスである、チャバネアオカメムシ(学名:Plautia stali)から分離されたPSIV(Plautia stali intestine virus)に由来する遺伝子塩基配列中から翻訳活性を促進する塩基配列を見出し、本発明を完成した。

【0005】
本発明によるDNAは蛋白質の翻訳時に必要なリボソームをRNA上に効率的に取り込むことにより,その下流に位置する遺伝子から効率よく蛋白質を合成させる機能を持つ。しかも本発明によるDNAにより、RNAにキャップ構造がついていない場合にも効率よく蛋白質を合成できることが判明した。即ち、本発明は、キャプシド蛋白質遺伝子、とくにチャバネアオカメムシ(学名:Plautia stali)から分離されたPSIV(Plautia stali intestine virus)ウイルスに由来するキャプシド蛋白質遺伝子の上流の配列に含まれる塩基配列に対応する新規な翻訳活性化DNAに関する。

【0006】
また本発明は、該DNA塩基配列の下流に有効な蛋白質を合成させる目的遺伝子を有するプラスミド及び組換えウイルスに関する。更に本発明は、該プラスミドを含む形質転換体及び該組換えウイルスに感染した培養細胞にも関する。

【0007】
また本発明は、昆虫ウイルス、とくに前記PSIVの遺伝子塩基配列中の翻訳活性を促進する塩基配列に対応するDNAをプラスミド又は組換えウイルス中に取り込むことにより,その下流に位置する蛋白質遺伝子から効率よく蛋白質を合成させる方法に関する。

【0008】
本発明のPSIV由来の塩基配列は、そのゲノム構造が前記EMCVのものとは異なり、ウイルス増殖時に多量に合成する必要があるキャプシド蛋白質を非構造蛋白質とは独立して合成するための専用の翻訳促進配列を持っている。従って、PSIVのものはEMCVのものよりも強い翻訳促進活性を持っていると期待できる。

【0009】
本発明によるDNAを、発現ベクターからRNAを転写する際にRNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列と目的遺伝子の翻訳開始点との間に挿入しておくと、翻訳活性化塩基配列を5´側に持つmRNAが合成され、それから蛋白質を合成する際にリボソームを効率よく利用することができ、結果として目的とする遺伝子産物をより多く発現させることができる。なお、本発明による翻訳活性化塩基配列を有するDNAは、該DNAを外来遺伝子として組み込んだプラスミドが導入された大腸菌(寄託番号、FERM P-16715)から容易に入手することができる。

【0010】
【実施例】大腸菌のファージに由来するT7RNAポリメラーゼが認識するプロモータ配列の下流にクロラムフエニコールアセチルトランスフエラーゼ(CAT)遺伝子を挿入し、さらにその下流にPSIVの翻訳促進配列とキャプシド蛋白遺伝子を接続したベクターを構築した(図1)。このプラスミドからT7RNAポリメラーゼでRNAを合成し、そのRNAを用いてウサギの網状赤血球ライセートでinvitro translationを行った。その翻訳産物をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離した(図2,レーン1)。対照実験のCAT遺伝子の(レーン2)の場合と比較すると、CAT(25 kDa)は殆ど合成されず,翻訳活性化配列の下流にあるキャプシド蛋白質遺伝子から大量の蛋白質(39 kDa)が合成されている。

【0011】
【配列表】
配列の数:1
配列番号:1
配列の長さ:430
配列の型:核酸
起源:PSIV
ゲノム内での位置:5′側から5771-6200
配列
GTATTCTAGA TTGTATGAAT TGGCAAAGAT CTGGAGAGGA TGAAGGATTG AATGCTCAAG
CAAACGTTAG CTTTGCTTTA AAGGAATTAT CTCTCCACCC CGAGGATGTG TGGGACCAGT
GGTTTCCCCT CATTCTCAGA GCATGTAATA AACACGGTGT CGAAGTAGAA TTTCTATCTC
GACACGCGGC CTTCCAAGCA GTTAGGGAAA CCGACTTCTT TGAAGAAGAA AGCTGACTAT
GTGATCTTAT TAAAATTAGG TTAAATTTCG AGGTTAAAAA TAGTTTTAAT ATTGCTATAG
TCTTAGAGGT CTTGTATATT TATACTTACC ACACAAGATG GACCGGAGCA GCCCTCCAAT
ATCTAGTGTA CCCTCGTGCT CGCTCAAACA TTAAGTGGTG TTGTGCGAAA AGAATCTCAC
TTCAAGAAAA
図面
【図1】
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【図2】
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