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明細書 :物理・化学現象検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3018174号 (P3018174)
登録日 平成12年1月7日(2000.1.7)
発行日 平成12年3月13日(2000.3.13)
発明の名称または考案の名称 物理・化学現象検出装置
国際特許分類 G01L  1/18      
G01D  7/00      
G01J  1/02      
G01J  5/02      
G01K  7/00      
G01L  5/00      
H01J 31/12      
H01L 29/84      
FI G01L 1/18 B
G01D 7/00
G01J 1/02
G01J 5/02
G01K 7/00
G01L 5/00
H01J 31/12
H01L 29/84
請求項の数または発明の数 16
全頁数 7
出願番号 特願平10-286446 (P1998-286446)
出願日 平成10年10月8日(1998.10.8)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 第59回応用物理学会学術講演会予稿集第2分冊(1998年9月15日)応用物理学会発行、第650ページに発表
審査請求日 平成10年10月8日(1998.10.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012246
【氏名又は名称】静岡大学長
発明者または考案者 【氏名】澤田 和明
【氏名】安藤 隆男
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
審査官 【審査官】福田 裕司
参考文献・文献 特開 平10-54759(JP,A)
特開 平9-134685(JP,A)
特開 平9-63467(JP,A)
特開 平9-45226(JP,A)
特開 平9-17328(JP,A)
特開 平9-15259(JP,A)
特開 平4-88745(JP,A)
調査した分野 G01L 1/18
G01D 7/00
G01J 1/02
G01J 5/02
G01K 7/00
G01L 5/00
H01J 31/12
H01L 29/84
要約 【課題】 物理・化学現象の変化を電界放出による電子線の変化として出力させ、物理・化学現象の2次元の検出信号を並列的に処理し、その分布を直接観察可能にする。
【解決手段】 物理・化学現象の検出装置であって、電界放出型微小電子源(13)と電界放出型微小電子源に接続された物理・化学現象検出センサ(17、22、23)等の対を有する検出素子を具備し、該検出素子が上記センサにより電界放出型微小電子源(13)から放出される電子量を制御する検出装置であり、複数個の検出素子は少なくとも1次元に配列することができる。
特許請求の範囲 【請求項1】
物理・化学現象の検出装置であって、
電界放出型微小電子源と、前記電界放出型微小電子源に接続された物理・化学現象検出センサとを有する検出素子を具備し、前記センサが前記電界放出型微小電子源から放出される電子量を制御することを特徴とする検出装置。

【請求項2】
前記電界放出型微小電子源はその先端部近傍にゲート電極を具備していることを特徴とする請求項1記載の検出装置。

【請求項3】
複数個の前記検出素子が少なくとも1次元に配列されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の検出装置。

【請求項4】
前記センサが焦電体とFETとの組により形成され、前記焦電体の出力が前記FETのゲートに接続されている温度センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の検出装置。

【請求項5】
前記センサがp型基底部とn型部分とからなる半導体pn接合を有する光検出センサであり、
前記n型部分の表面に前記電界放出型微小電子源が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の検出装置。

【請求項6】
前記光検出センサは光透過可能な基板上に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の検出装置。

【請求項7】
前記pn接合はその空乏層内で雪崩増倍を生じさせるpn接合であることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずか1項に記載の検出装置。

【請求項8】
前記センサが圧力検出センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の検出装置。

【請求項9】
前記圧力検出セッサがピエゾ抵抗素子を有することを特徴とする請求項7に記載の検出装置。

【請求項10】
前記電界放出型微小電子源に対向して陽極が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の検出装置。

【請求項11】
前記陽極と前記電界放出型微小電子源の間に少なくとも1つ以上の収束電極または偏向電極が配置されていることを特徴とする請求項10に記載の検出装置。

【請求項12】
前記陽極が蛍光膜を有し、複数の前記電界放出型微小電子源の出力である電子分布を2次元的に観察可能にすることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の検出装置。

【請求項13】
前記陽極が複数の前記電界放出型微小電子源からの出力である電子の分布を電気信号として検出可能にすることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の検出装置。

【請求項14】
前記陽極により前記電界放出型微小電子源から放出された電子を加速して電子の増幅を生じさせることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の検出装置。

【請求項15】
前記電界放出型微小電子源に容量を付加し、さらに電子の放出を所定の時間間隔で行う手段を付加することにより、前記容量に前記所定の時間間隔の電気信号を蓄積することを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の検出装置。

【請求項16】
前記容量に蓄積された信号を順次読み出す手段を有することを特徴とする請求項15に記載の検出装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は物理・化学現象の検出素子に係わり、特に、電界放出型微小電子源の電位を、各種物理・化学検出素子からの出力電圧により制御し、各種物理・化学現象を電子線の量の変化で収集するものである。さらにその現象を1次元以上の事象で観察するものである。また、本発明は、物理・化学現象の観察・測定装置に関するものである。

【0002】
【従来の技術】ここで、物理・化学現象とは、例えば温度、可視光、紫外光、赤外光、X線、および電磁波など広い意味での光、イオン濃度、磁気、圧力、加速度、速度、音波、超音波、酸化還元電位、および反応速度など様々な現象を指す。従来これらの現象は、温度センサ、光センサ、物理センサ、化学センサと呼ばれる素子を用いて、電流、電圧、抵抗値、容量、電位などを表現するさまざまな電気信号に変換して観測されていた。

【0003】
たとえば、代表的な温度センサである焦電型センサの場合、温度が変化すると焦電体に電荷が生成され、そのために生ずる電位変化を例えばFETなどにより増幅し読みとっている。また、代表的な光センサであるフォトダイオードは、光により発生する電荷を電流の形で取り出している。また、代表的な物理センサであるピエゾ抵抗効果を用いた圧力センサは、圧力による抵抗変化を読みとっていた。また、代表的な化学センサであるISFET(Ion Sensitive Field EffectTransistor )を用いたpH測定装置は、その応答膜に水素イオンが吸着することによってチャネルコンダクタンスが変化する現象を利用し、ISFETを流れる電流を測定することにより溶液のpH値を測定している。

【0004】
しかしながら、これら従来の焦電型センサ、光センサ、ピエゾ抵抗効果を用いた圧力センサ、または化学センサなどは単独で使用するのが普通であり、複数の検出素子を1次元以上、例えば2次元的に並べ、検査対象物からの2次元情報を同時に取得し、そのまま2次元的に画像化することは非常に困難であった。

【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、物理・化学現象の変化を、電界放出による電子線の変化として出力させるものである。各種センサとこれと対をなす電界放出素子を例えば2次元的に配置することにより、物理・化学現象の2次元の検出信号を並列的に処理し、その分布を直接観察可能にすることを目的とするものである。さらに、加速、偏向などが容易である電子線の特性を生かし、高解像度、高感度で観察に適した画像装置を実現することを目的とするものである。

【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、物理・化学現象の検出装置であって、電界放出型微小電子源と、電界放出型微小電子源に接続された物理・化学現象検出センサとを有する検出素子を具備し、該センサが電界放出型微小電子源から放出される電子量を制御する検出装置である。

【0007】
そして、この電界放出型微小電子源は、その先端部近傍にゲート電極を具備する検出装置であり、複数個の検出素子が少なくとも1次元に配列されている検出装置である。

【0008】
また、センサが焦電体とFETとの組により形成され、焦電体の出力がFETのゲートとに接続されている温度センサである検出装置である。

【0009】
また、センサがp型基底部とn型部分とからなる半導体pn接合を有する光検出センサであり、n型部分の表面に電界放出型微小電子源が配置されている検出装置であり、この光検出センサは光透過可能な基板上に形成されている検出装置であり、また、pn接合はその空乏層内で雪崩増倍を生じさせるpn接合である検出装置である。

【0010】
または、センサが圧力検出センサである検出装置であり、この圧力検出センサがピエゾ抵抗素子を有する圧力検出装置である。

【0011】
また本発明は、電界放出型微小電子源に対向して陽極が配置されている検出装置であり、該陽極と記電界放出型微小電子源の間に少なくとも1つ以上の収束電極または偏向電極が配置されている検出装置であり、陽極が蛍光膜を有し複数の電界放出型微小電子源の出力である電子分布を2次元的に観察可能にする検出装置である。

【0012】
また、陽極が複数の電界放出型微小電子源からの出力である電子の分布を電気信号として検出可能にする検出装置であり、陽極により電界放出型微小電子源から放出された電子を加速して電子の増幅を生じさせる検出装置であり、電界放出型微小電子源に容量を付加し、さらに電子の放出を所定の時間間隔で行う手段を付加することにより、容量に所定の時間間隔の電気信号を蓄積する検出装置であり、そして、容量に蓄積された信号を順次読み出す手段を有する検出装置である。

【0013】
【発明の実施の形態】電界放出は、強電界のもとで金属または半導体などの表面から電子が放出されるものである。電子は量子力学的トンネル効果により表面ポテンシャル障壁を通過して外部に放出されるものであり、表面の電界強度の変化に依存して放出される電流密度が変化する。

【0014】
本発明は、加速・偏向などが容易であるなどの電子線の特性を生かし、高解像度、高感度な観察に適した物理・化学現象の検出装置を実現するもので、特に、これら現象を1次元以上の事象で画像化する装置に有効に応用するものである。すなわち、物理・化学現象の出力を電子線に変換して出力し、物理・化学現象の2次元的な出力分布を同時に取得して測定、観察し得る装置を提供する。

【0015】
本発明における物理・化学現象とは、可視光、紫外光、赤外光、X線、電磁波など広い意味での光、濃度、温度、磁気、圧力、加速度、速度、音波、超音波、酸化還元電位、反応速度など様々な物理的および化学的現象を意味する。これらの現象は、従来技術では電流、電圧、抵抗、容量、電位などさまざまな電気信号に変換し観測されていたが、本発明ではそれらの物理・化学現象を電子線に変換する検出素子を考案し、さらにその素子を少なくとも1次元以上に配置し、その分布を観察できるようにするものである。

【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る検出素子における電界放出型微小電子源は電気的に分離されるように配置されており、その電位を物理・化学現象により制御することにより、電界放出微小電子源から放出される電子線の量を制御する。さらにその出力は電子線であることから、それぞれ1次元以上に集積化することが可能であり、さらに並列に動作させることができる。したがって容易に物理・化学現象の2次元の分布を観察することが可能である。

【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。ここに記載する実施の形態は単なる一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。当業者は本発明の範囲内において多用に変形し実施することが可能である。なお、以下の実施の形態および図面の記載において、同様の要素は同じ参照番号により表される。

【0018】
図1は本発明の第1の実施例に関わる温度検出素子の要部断面図である。たとえばp型シリコン基板10に、FETのソースおよびドレインとなる2カ所のn拡散領域11および12を形成し、そのうち一方の領域12に電界放出微小電子源13を形成する。2つのn拡散領域間11、12の基板表面には薄いゲート酸化膜14が形成されており、その上には多結晶シリコンまたは金属のゲート電極15が形成されている。微小電子源13が存在しない方のn拡散領域11は通常グランドライン16と接続し、接地電位に保持されている。この構造は通常用いられるMOSFET構造のドレイン側12に微小電子源13を製作した構造に等しい。

【0019】
MOSFETのゲート電極に相当する多結晶シリコンまたは金属電極15に隣接して、たとえばPZT(Lead(Pb) Zirconate Titanate )、PLZT(Lead(Pb) Lanthanum Zirconate Titanate )、PVDFなどの焦電体17が、同一のシリコン基板10上に形成される。図2はシリコン基板10の表面にマトリクス状に形成されたMOSFETの上部に配置された微小電子源13と焦電体17の対を示す。16はグランドラインである。

【0020】
微小電子源13の上部近傍にには、電子引き出し用のゲート電極18が配置される。このゲート電極18には例えば直流電圧+100Vが印加される。そして、微小電子源13から放出された電子は陽極19に到達し、電流として観測される。陽極19には通常例えば+1000Vが加えられる。

【0021】
焦電体17に与えられる熱量が変化し、焦電体17に発生する電位が変化した場合、その変化をMOSFETのゲート電極15に伝えることにより、ソースードレイン間を流れる電流が変化し、微小電子源13から放出される電子の量を変化させることができる。

【0022】
この温度検出素子は、単に温度分布が測定できるだけではなく、光強度を測定することもできる。例えば、赤外光が入射された場合には、赤外線により生成された熱による焦電体17の温度上昇を測定することにより、入射された赤外線の強度と時間変化を観察することでができる。例えば上記PZT等の焦電体を使用した場合、10ミクロン程度の波長の赤外光を効率よく検出できる。なお、2ミクロン程度以上の赤外光を検出し、赤外光の光量に対応する電子を放出するデバイスはこれまで存在しない。

【0023】
さらにこの検出素子をアレイ状に少なくとも1次元以上に並べることにより、温度または赤外線照射の空間的な分布を測定することが可能となる。図2は2次元的にこの温度検出素子を配置したものである。

【0024】
図3は本発明の第2の実施例である光検出素子の要部断面図である。その構造は、電解放出微小電子源13と、p型の単結晶シリコン基板10にn型の拡散層20が形成されたシリコンpn接合22が、直列に接続されたものである。陽極19はn型微小電子源13に対して正の電圧を印加して使用する。さらに図3の微小電子源13の近傍にはゲート電極18が形成されている。光が照射されていない場合、微小電子源13の下部のn型領域20は、電気的に浮いている状態であるので、n型領域20内の電子を放出することで電位が上昇していく。その結果、先端部と基底部の間のpn接合22にはn型領域20の電位に見合った空乏層が広がり、微小電子源13の先端部21の電位は、ゲート電極18の電圧から微小電子源13の閾値電圧を除した値まで上昇し、平衡状態となる。この時、微小電子源13とゲート電極18間は、微小電子源13の閾値電圧しか印加されず、電界放出は起こらない。

【0025】
次に光がこの状態の微小電子源13に照射されると、先端部と基底部の間の空乏層でその光は吸収され電子正孔対が生成され、正孔は基板10側へ、電子は電微小電子源13の先端部21に集められ、微小電子源13のn型領域の電位が下がる。その結果、前記の平衡状態は崩れ、n型領域に集められた電子は微小電子源13から放出される。光の照射が無くなると再び平衡状態に戻る。またpn接合22に3×105 V/cm以上の電界が印加されているときは、光により生成された電子は空乏層内で雪崩増倍し、入射光子1個に対し1個を超える電子を放出させることが可能となる。

【0026】
なお本発明に係る光検出素子は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。たとえば上述した実施の態様では微小電子源13がゲート電極18と陽極19を有する3極素子について説明したが、ゲート電極18のない2極素子とすることをも可能である。また上述の実施例では走査機能については述べなかったが、ゲート電極18に印加する電圧を時間的に変化させて走査機能を持たせることも可能である。また、放出電流を収束するための収束電極、または電子流の向きを制御する偏向電極を付加した四極素子とすることも可能である(図示せず)。

【0027】
また上記pn接合に関しては、単結晶シリコンを用いた場合を説明したが、アモルファスシリコン系薄膜を用いることも可能である。また、図5に示すように2次元アレイ状に作製した素子と陽極を一体型で形成することも可能である。その場合、図5に示すように陽極19と素子を封止部材27により密封しその中を真空に保つことで実現できる。

【0028】
図4に圧力検出素子としての実施例を示す。例えば直接接合法などにより製作されたSOI(Silicon On Insulator)基板の一部に電界放出微小電子源13を作製し、それと直列にたとえばn型シリコンのようなピエゾ抵抗変化を利用できる材料からなるピエゾ抵抗素子23が接続されている。ピエゾ抵抗素子23のもう一方の端子は接地電位に固定されている。ピエゾ抵抗素子23の裏面にSiO2 膜25を介して接続されているシリコン基板24は、裏面から、たとえば水酸化カリウムなどの異方性エッチング液によりエッチングされて凹部28が形成されている。裏面からの圧力変化にピエゾ抵抗素子23が敏感に感じるようにシリコン基板24は薄膜化されている。

【0029】
その動作について簡単に説明する。圧力が加わっていない平衡状態において、微小電子源13の電位は、陽極19の電位から微小電子源13の閾値を除し、さらにピエゾ抵抗素子23による電圧降下分を加えた電位になっている。従ってそれに見合った電子が放出されている。圧力が変化しピエゾ抵抗素子23の抵抗値が変化すると、微小電子源13の電位も変化し、圧力が加わっていないときの放出電子量から変化をする。

【0030】
この検出素子を1次元以上に並べることにより、圧力の空間的な分布を検出可能である。また、2次元アレイ状に作製した素子と陽極19を一体型で形成することも可能である。その場合、図5に示すように各素子を密封しその中を真空に保つことで実現できる。

【0031】
図5に本発明による画像化の一方法を示す。本発明においては出力を電子線の形で取り出しているため、例えば図2に示す実施例のように個々の素子を2次元上に並べておき、陽極19をその微小電子源13の電子ビームの放出方向に、それらの素子に向かい合わせて配置しておく。陽極19は例えばガラス基板26に透明電極部材を付着することにより形成することができる。透明電極部材表面に蛍光体を塗布したものを用いれば、電子線の強弱の2次元分布を蛍光体の発光の強度分布として観察することができる。なお、このときの素子構造としてはゲート電極18付き、またはなしのどちらでも良い。

【0032】
画像化の他の方法においては、例えば、上記実施例に示した個々の素子が2次元的に配置される。そして、それぞれの素子のゲート電極18を各素子ごとに順次切り替える機構が形成される。この機構は例えば微小電子源13が形成されているシリコン基板10上または別基板(図示せず)上に形成されたシフトレジスタなどを用いて形成することが可能である。また、陽極19としては金属板、シリコンなどの半導体膜、表面電極付きガラス基板、もしくはそれに蛍光体を塗布したものなど、導電性があればいずれでも良い。

【0033】
ゲート電極18を順番に切り替えることにより、それぞれの素子の出力信号が順番に陽極19に到達するので、陽極19に流れる電流をモニターし、ゲート18を切り替えるタイミングに対応させることにより、それぞれの場所の素子の出力値を知ることができる。言い換えるとゲート電圧の切り替えと出力信号の同期をとることにより、検出された2次元情報をテレビなどのモニタやコンピュータのモニタに映し出すことが可能となる。このようにして、陽極19が複数の微小電子源13からの出力である電子の分布を、電気信号として検出することが可能となる。

【0034】
また図7に示すように、陽極19として例えばモリブデン41とアモルファスシリコン42などによる積層材料を用い、例えば10KV程度の電圧を陽極19に印加する。微小電子源13から放出された電子を十分に加速して、アモルファスシリコン42内で、例えばインパクトイオン化を引き起こし、電子の増幅を行うことも可能である。この場合のアモルファスシリコンとしては例えば水素化アモルファスシリコンが好適である。

【0035】
また、微小電子源13に容量を付加し、さらに電子の放出を所定の時間間隔で行う手段を付加することにより、上記容量に所定の時間間隔の電気信号を蓄積する。そして、上記容量に蓄積された信号を順次読み出すことにより、微小電子源13からの出力である電子の分布を電気信号として出力することが可能である。

【0036】
例えば図8に上記の動作が可能な素子構造の一実施例を示す。光受光領域、兼電子蓄積領域は半導体のpn接合(p-Si基板47、n-Si領域44)により形成されており、n-Si領域44は電気的に浮いている。そして、p-Si基板47、n-Si領域44、48、ゲート絶縁膜46、ゲート電極45によりトランジスタが形成されている。トランジスタのゲート電極45にこのトランジスタのしきい値以上の電圧が印加されると領域44に溜まっていた電子が微小電子源領域13に移り、電子が放出される。そうすると、領域44には微小電子源13のゲート18の電圧から微小電子源13のしきい値電圧を除いた値に逆バイアスされ、ゲート電極45に印加された電圧がなくなると、領域44は再び電気的に浮いた状態となり、容量43に相当するpn接合の空乏層が広がる。この領域に光等が入射すると電子が発生し領域44に蓄積される。再びゲート電極45にこのトランジスタのしきい値以上の電圧が印加されると領域44に溜まっていた電子が微小電子源領域13に移り、電子が放出される。以上の繰り返しで信号の読み出しを行うことができる。

【0037】
基本的な微小電子源13の一形成方法を図6に示す。例えば、シリコン基板30を熱酸化し約300nmのSiO2 膜31を形成する(a)。次に直径4ミクロン程度のSiO2 膜32が残るようにパターンニングを行う(b)。このSiO2 膜32をマスクとしてドライエッチング法などにより等方的にシリコン基板30をエッチングし、微小電子源13の先端部33を形成する(c)。次に、先端部33の尖鋭化と、電気的絶縁を目的として酸化により約10nmのSiO2膜34を形成する(d)。

【0038】
さらにその上に電子ビーム蒸着法などによりSiO2 膜35を約1ミクロン堆積し、その上に例えばモリブデンなどのゲート電極となる金属膜36を約200nm堆積する(e)。その後、フッ酸に素子を浸けることによりSiO2 の露出した部分をエッティングし、微小電子源13の先端部33上のSiO2 膜32、35および金属膜36を除去することにより、直径3μm、高さ1μm程度の微小電子源13が完成する(f)。

【0039】
図1に示す様に、ドレイン12上に微小電子源13を形成する場合の製造方法の一実施例を以下説明する。例えば、まず上記(a)~(c)の処理(ゲート金属の堆積前まで)を行ったのちに、一般的なMOSトランジスタプロセス処理を行い、トランジスタのゲート酸化膜、トランジスタのゲート電極(多結晶シリコン)を形成する。このときに微小電子源のゲート電極も多結晶シリコンを用いて同時に作製する。次にソース、ドレイン領域(微小電子源が作製されているところ)を拡散またはイオン注入の技術により形成する。以上のような工程で図1の構造を形成し得る。

【0040】
基板10上への焦電体17の形成は、例えば蒸着、スパッタ、気相成長など任意の方法を使用し、適切な条件により焦電体膜を形成した後、光リソグラフィ法によりパターン化して形成する。なお必要があればリフトオフ法を用いることも可能である。

【0041】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれば微小電界放出型微小電子源の電位を物理・化学センサなどで制御することにより微小電子源からの放出電子量を可変できる。物理・化学量を電子線の量に変換することにより、1次元以上に並べられた本発明の検出素子を用いて容易に、その空間分布を観測可能となる。またこの素子を2次元的に配置し、その検出素子に容量を付加し、信号を一定時間蓄積して、時系列で出力することにより、高感度な物理・化学現象の撮像素子に応用することができる。

【0042】
本発明のいくつかの実施例について図示しまた説明したが、本発明の技術的範囲を逸脱せずに、種々の変形が可能であることは明らかである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図5】
3
【図4】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7