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明細書 :衝撃吸収装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3177641号 (P3177641)
公開番号 特開2000-318556 (P2000-318556A)
登録日 平成13年4月13日(2001.4.13)
発行日 平成13年6月18日(2001.6.18)
公開日 平成12年11月21日(2000.11.21)
発明の名称または考案の名称 衝撃吸収装置
国際特許分類 F16F  7/12      
B60R 21/05      
B62D  1/19      
FI F16F 7/12
B60R 21/05
B62D 1/19
請求項の数または発明の数 1
全頁数 4
出願番号 特願平11-131312 (P1999-131312)
出願日 平成11年5月12日(1999.5.12)
審査請求日 平成11年5月12日(1999.5.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】熊倉 郁夫
【氏名】峯岸 正勝
個別代理人の代理人 【識別番号】100080883、【弁理士】、【氏名又は名称】松隈 秀盛
審査官 【審査官】藤井 昇
参考文献・文献 特開 昭50-63629(JP,A)
実開 昭57-184338(JP,U)
特公 昭49-18051(JP,B1)
調査した分野 F16F 7/00 - 7/14
B60R 21/05
B62D 1/19
特許請求の範囲 【請求項1】
一端部側の固定部を除き、中心軸と略平行な方向に延在する複数本の溝が等角間隔で外周面又は内周面に形成された円筒状の衝撃吸収用管体と、
該衝撃吸収用管体の上記固定部が、その一端部側に係合せしめられた円筒状の保持用管体と、
一端部側が滑り軸受けを介して上記保持用管体の一端部側の内側に挿入され、上記衝撃吸収用管体の内側の中心軸上に位置する軸体と、
上記衝撃吸収用管体の上記固定部、上記保持用管体の一端部側及び上記軸体の一端部側を連通する制限荷重保証用ピンと、
上記衝撃吸収用管体の他端部側及び上記軸体の他端部側に係合せしめられ、該衝撃吸収用管体の他端部側に、所定の曲率半径の部分円断面を有する円環状の溝が形成された負荷ジグと、
該負荷ジグの遊端側及び上記保持用管体の他端部側にそれぞれ取付けられた第1及び第2の取付部とを有し、
上記第1及び第2の取付け部間に、上記制限荷重を越える負荷荷重が加えられて、上記制限荷重保証用ピンが破壊すると、上記衝撃吸収用管体に上記複数本の溝に沿って亀裂が入り、やがては切片化し、該切片が上記負荷ジグの上記円環状の溝内に巻き込まれるように構成されてなることを特徴とする衝撃吸収装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は衝撃吸収装置に関する。

【0002】
【従来の技術】航空機、船舶、車両等の内部において、破損に至るような衝撃環境の下で、搭乗者、乗船者、乗車者、積載物、内部設備等に加えられる外部衝撃による荷重、これら自身の慣性に起因して加えられる荷重を、ある限度内の許容できるレベルまで低減することのできる衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収装置が必要である。

【0003】
従来の衝撃吸収装置としては、金属管体を有し、その金属管体の両端間に外部衝撃等による荷重が加えられ、その金属管体が膨出することによって、その外部衝撃を緩和するようにしたものがある。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の衝撃吸収装置の代わりに、後述する本発明の実施の形態の衝撃吸収装置において、衝撃吸収用管体1における溝1dの省略した無加工管体を用い、その他の構成は、本発明の実施の形態の衝撃吸収装置と同様にした衝撃吸収装置を用いて測定した無加工管体の圧縮量(mm)対荷重(kN)特性曲線は、図4の特性曲線bに示す如く、無加工管体の膨出による圧縮量が0mmから、5mm程度に達するにつれて、荷重が急激に上昇して、9kNにも達し、その後の圧縮量の増大につれて、荷重が低下及び変動し、圧縮率が32mm程度のところで、荷重が急激に低下して0kNになった。即ち、この衝撃吸収装置は、圧縮量の増大に対し、荷重を小さく、しかも、比較的長時間に亘って、その荷重を略一定に保持することができないとう欠点があった。

【0005】
かかる点に鑑み、本発明は、衝撃吸収用部材の圧縮量の増大に対し、荷重を小さく、しかも、比較的長時間に亘って、その荷重を略一定に保持することのできる衝撃吸収装置を提案しようとするものである。

【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、一端部側の固定部を除き、中心軸と略平行な方向に延在する複数本の溝が等角間隔で外周面又は内周面に形成された円筒状の衝撃吸収用管体と、その衝撃吸収用管体の固定部が、その一端部側に係合せしめられた円筒状の保持用管体と、一端部側が滑り軸受けを介して保持用管体の一端部側の内側に挿入され、衝撃吸収用管体の内側の中心軸上に位置する軸体と、衝撃吸収用管体の固定部、保持用管体の一端部側及び軸体の一端部側を連通する制限荷重保証用ピンと、衝撃吸収用管体の他端部側及び軸体の他端部側に係合せしめられ、その衝撃吸収用管体の他端部側に、所定の曲率半径の部分円断面を有する円環状の溝が形成された負荷ジグと、その負荷ジグの遊端側及び保持用管体の他端部側にそれぞれ取付けられた第1及び第2の取付部とを有し、第1及び第2の取付け部間に、制限荷重を越える負荷荷重が加えられて、制限荷重保証用ピンが破壊すると、衝撃吸収用管体に複数本の溝に沿って亀裂が入り、やがては切片化し、その切片が負荷ジグの円環状の溝内に巻き込まれるように構成されてなる衝撃吸収装置である。

【0007】
【発明の実施の形態】以下に、図1を参照して、本発明の実施の形態の衝撃吸収装置を詳細に説明する。1は衝撃吸収用管体で、金属、例えば、軽量で、加工し易いアルミニウム合金からなる円筒体で、図2に示す如く、主要部1m及び固定部1fからなる。この固定部1fは、後述する保持用管体8に固定される部分である。衝撃吸収用管体1の主要部1mの外周面(内周面も可)には、図2に示す如く、中心軸と略平行な方向に延在する複数本、例えば、8本の、例えば、V字形の溝1dが等角間隔に、即ち、45°間隔で形成されている。尚、固定部1fには、これらの溝1dは形成されていない。

【0008】
この衝撃吸収用管体1は、主要部1mの長さは、例えば、100mm、固定部1fの長さは10mmで、全長110mmである。衝撃吸収用管体1の外周の直径は、例えば、20mmである。衝撃吸収用管体1の外周面に形成されたV字形溝1dの幅は0.5mm、深さは0.25mmである。

【0009】
この衝撃吸収用管体1は、その一端部側、即ち、固定部1fが、円筒状の保持用管体8の一端部側の外周面の円環状の凹部に嵌め込まれる如く固定される。保持用管体8の一端部側の内周面には、円柱状の軸体3の一端部側が、滑り軸受け4を介して嵌め込まれている。そして、保持用管体8の一端部側、衝撃吸収用管体1の一端部側(固定部1f)、軸体3の一端部側を貫通する如く、制限荷重保証用ピン(shear pin)(金属からなる比較的細いピン)5が貫通されている。保持用管体8の他端には、孔7Hを有する平板状の支持側取付け部7が一体に形成されている。

【0010】
衝撃吸収用管体1の他方の端部側には、断面が円形の負荷ジグ(jig)(タップ)2が嵌め込まれている。図3に示す如く、このタップ2の衝撃吸収用管体1側には、例えば、5mmの曲率半径の部分円断面を有し、全体として円環状の溝2dが形成されている。衝撃によって、衝撃吸収管体1がその溝1dに沿って亀裂が入り、やがては、切片化するが、タップ(負荷ジグ)2の溝2dの断面の曲率半径を適当に選定することにより、その切片を略同等曲率の円環状の溝2d内に巻き込むことができる。又、負荷ジグ2の遊端部には、孔6Hを有する負荷側取付け部6が取付けられている。

【0011】
この実施の形態の衝撃吸収装置における、衝撃吸収用管体1及び制限荷重保証用ピン5を除く部材は、金属、合成樹脂、磁器、これらの2種又は3種の複合材料等が可能で、衝撃吸収用管体1及び制限荷重保証用ピン5と比較して、耐衝撃性の高い部材から構成される。

【0012】
上述した衝撃吸収装置は、負荷側取付け部6及び支持側取付け部7を衝撃の加えられる可能性のある部分、例えば、航空機、船舶、車両等の内部に取付けられている椅子の、側面の座席部及び脚部から形成される四辺形の一対の対角点の内の座席部側の対角点に負荷側取付け部6を、孔6Hを利用してネジ止めすると共に、床側の対角点に、支持側取付け部7を、孔7Hを利用してネジ止めする。

【0013】
タップ(負荷ジグ)2に対し、衝撃吸収用管体1の軸X方向に圧縮荷重が与えられると、衝撃吸収用管体1のその外周面に形成さている溝1dに沿って亀裂が生じ、これにより破壊開始時の荷重レベルが低く抑えられ、その後もその破壊が安定に進行するため、衝撃吸収用管体1に加えられる荷重を、比較的長時間に亘って略一定に保持することができる。

【0014】
上述した衝撃吸収装置では、破壊される部分は、衝撃吸収用管体1及び制限荷重保証用ピン5のみである。衝撃吸収用管体1は、軽量であるため、材料特性の若干の不均一、厚みの如何や機械加工精度等に大きな制約を受けず、加工が容易な形状であることから、安価となるため、交換、修復を行い易い。

【0015】
負荷荷重が制限荷重以下の場合は、衝撃吸収用管体1、支持側取付け部7及び軸体3を貫通する制限荷重保証用ピン5を介して、支持側取付け部7側に荷重が伝達され、衝撃吸収用管体1には殆ど荷重は掛からない。又、負荷荷重が制限荷重を越えた場合には、上述の制限荷重保証用ピン5が、荷重によって切断され、軸体3は力の伝達に無関係となる。ここで、タップ(負荷ジグ)2は、衝撃吸収用管体1を圧縮しながら、保持管体8を介して、支持側取付け部7に荷重を伝達する。

【0016】
衝撃吸収用管体1の破壊荷重レベルは、タップ(負荷ジグ)2、衝撃吸収用管体1の寸法及びその外周面上の溝1dの本数等を選択することにより、可変できる。

【0017】
金属からなる円管状の衝撃吸収用管体1は、軽量で加工性の良いアルミニウム材を用い、その外周面上の溝1dの本数、初期亀裂発生の安定化に関連する加工形状を、衝撃試験で確認し、材料特性の若干の不均一や機械加工精度等によって余り大きな制約を受けず、略一定の衝撃吸収特性を得ることができるが、衝撃試験で確認された。即ち、図4に、縦溝付き衝撃吸収用管体(図1の衝撃吸収用管体1)の圧縮量(mm)に対する荷重(kN)特性曲線は、図4の特性曲線aに示す如く、上述した無加工パイプの特性曲線bと比較して、荷重が比較的低いレベルで略一定であり、その荷重が一定となる時間が比較的長いことが分かる。無加工パイプの特性曲線bの場合は、荷重の変化が激しく、しかも、無加工パイプに荷重が掛かり始めてから、荷重が0になるまでの時間が比較的に短い。

【0018】
又、負荷ジグ(タップ)2に、所定の曲率半径の溝2dを設けたことにより、その溝2dが、衝撃吸収用管体1の破壊によって形成された複数の切片を巻き込むため、2次的な危険防止を容易に行うことができる。

【0019】
【発明の効果】上述せる本発明によれば、一端部側の固定部を除き、中心軸と略平行な方向に延在する複数本の溝が等角間隔で外周面又は内周面に形成された円筒状の衝撃吸収用管体と、その衝撃吸収用管体の固定部が、その一端部側に係合せしめられた円筒状の保持用管体と、一端部側が滑り軸受けを介して保持用管体の一端部側の内側に挿入され、衝撃吸収用管体の内側の中心軸上に位置する軸体と、衝撃吸収用管体の固定部、保持用管体の一端部側及び軸体の一端部側を連通する制限荷重保証用ピンと、衝撃吸収用管体の他端部側及び軸体の他端部側に係合せしめられ、その衝撃吸収用管体の他端部側に、所定の曲率半径の部分円断面を有する円環状の溝が形成された負荷ジグと、その負荷ジグの遊端側及び保持用管体の他端部側にそれぞれ取付けられた第1及び第2の取付部とを有し、第1及び第2の取付け部間に、制限荷重を越える負荷荷重が加えられて、制限荷重保証用ピンが破壊すると、衝撃吸収用管体に複数本の溝に沿って亀裂が入り、やがては切片化し、その切片が負荷ジグの円環状の溝内に巻き込まれるように構成されてなるので、衝撃吸収用部材の圧縮量の増大に対し、荷重を小さく、しかも、比較的長時間に亘って、その荷重を略一定に保持することのできる衝撃吸収装置を得ることができる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3