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明細書 :変位量計測装置及び落下式衝撃試験装置の変位量計測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3243524号 (P3243524)
公開番号 特開2001-004316 (P2001-004316A)
登録日 平成13年10月26日(2001.10.26)
発行日 平成14年1月7日(2002.1.7)
公開日 平成13年1月12日(2001.1.12)
発明の名称または考案の名称 変位量計測装置及び落下式衝撃試験装置の変位量計測装置
国際特許分類 G01B 11/00      
FI G01B 11/00 B
請求項の数または発明の数 4
全頁数 14
出願番号 特願平11-176942 (P1999-176942)
出願日 平成11年6月23日(1999.6.23)
審査請求日 平成11年6月23日(1999.6.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391037397
【氏名又は名称】科学技術庁航空宇宙技術研究所長
発明者または考案者 【氏名】峯岸 正勝
【氏名】熊倉 郁夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100080883、【弁理士】、【氏名又は名称】松隈 秀盛
審査官 【審査官】白石 光男
調査した分野 G01B 11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
移動体と、
該移動体に取付けられ、該移動体の移動方向に対し所定の傾きを有する傾斜面を備えた傾斜ジグと、
該傾斜ジグの移動に伴う上記傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する光学式レーザ変位計と、
上記移動体のある点から他の点への移動に伴って、上記光学式レーザ変位計によって計測された、上記所定時間毎の上記傾斜面との間の各隣接する距離の差分を算出し、該各差分に、上記傾斜面の上記所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、上記移動体の上記所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有することを特徴とする変位量計測装置。

【請求項2】
自由落下の可能な重錘と、
床面上に位置する(又は上記重錘に取付けられた)供試体と、
上記重錘に取付けられ、該重錘の落下方向に対し所定の傾きを有する傾斜面を備える傾斜ジグと、
該傾斜ジグの移動に伴う上記傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する光学式レーザ変位計と、
上記重錘のある点から他の点への移動に伴って、上記光学式レーザ変位計によって計測された、上記所定時間毎の上記傾斜面との間の各隣接する距離の差分を算出し、該各差分に、上記傾斜面の上記所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、上記重錘の上記所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有することを特徴とする落下式衝撃試験装置の変位量計測装置。

【請求項3】
移動体と、
該移動体に取付けられ、該移動体の移動方向に対し所定の傾きを有する傾斜面及び上記移動体の移動方向と平行な平面を備える傾斜ジグと、
該傾斜ジグの移動に伴う上記傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する第1の光学式レーザ変位計と、
上記傾斜ジグの移動に伴う上記平面との間の距離を上記所定時間毎に計測する第2の光学式レーザ変位計と、
上記移動体のある点から他の点への移動に伴って、上記第2の光学式レーザ変位計によって計測された、上記所定時間毎の上記平面との間の各距離と、該各距離にそれぞれ対応する、上記第1の光学式レーザ変位計によって計測された、上記所定時間毎の上記傾斜面との間の各距離との間の差を算出し、該各差の隣接するもの同士の差分を算出し、該各差分に、上記傾斜面の上記所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、上記移動体の上記所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有することを特徴とする変位量計測装置。

【請求項4】
自由落下の可能な重錘と、
床面上に位置する(又は上記重錘に取付けられた)供試体と、
上記重錘に取付けられ、該重錘の落下方向に対し所定の傾きを有する傾斜面及び上記重錘の移動方向と平行な平面を備える傾斜ジグと、
該傾斜ジグの移動に伴う上記傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する第1の光学式レーザ変位計と、
上記傾斜ジグの移動に伴う上記平面との間の距離を上記所定時間毎に計測する第2の光学式レーザ変位計と、
上記重錘のある点から他の点への移動に伴って、上記第2の光学式レーザ変位計によって計測された、上記所定時間毎の上記平面との間の各距離と、該各距離とそれぞれ対応する、上記第1の光学式レーザ変位計によって計測された、上記所定時間毎の上記傾斜面との間の各距離との間の差を算出し、該各差の隣接するもの同士の差分を算出し、該各差分に、上記傾斜面の上記所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、上記重錘の上記所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有することを特徴とする落下式衝撃試験装置の変位量計測装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は変位量計測装置及び落下式衝撃試験装置の変位量計測装置に関する。

【0002】
【従来の技術】落下式衝撃試験装置は、床面上の供試体に落下する重錘によって衝撃が加えられるか、又は、重錘に取付けられ、重錘と共に落下して床面に衝突して衝撃を受けた供試体の変形量に応じた衝撃エネルギーの算出が主たる目的であるが、その際、重錘が自由落下し、床面上の供試体に接触を開始し、その重錘の衝撃負荷によって、供試体が重錘の衝撃エネルギーを吸収して変形し、遂には、重錘が落下を停止するまでの間における、重錘の所定時間毎の落下量、即ち、変位量と、重錘の加速度(又は供試体に負荷された荷重)とを計測する必要がある。

【0003】
以下に、図8を参照して、落下式衝撃試験装置及びその落下式衝撃試験装置で使用される従来の変位量計測装置について説明する。先ず、落下式衝撃試験装置について説明する。図8Aは、重錘が所定高さ位置に固定されている状態を示し、図8Bは重錘の負荷用金具が供試体に接触を開始した後、重錘が80mm自由落下して供試体を衝撃し、供試体が変形して、重錘の落下が停止した状態を示す。図8A、Bにおいて、Wは重錘で、その両側の直動軸受けBa、Bbを介して、枠体(フレーム)FLの壁Ka、Kbのそれぞれ中央部に、上下に延在する如く取付けられた一対のレールRa、Rbに案内されて、上下に移動し得るように取付けられている。重錘Wの下面には、負荷用金具LKが取付けられており、この負荷用金具LKの供試体TPに衝突する側の形状を種々選択することによって、供試体TPの形状、材質等に応じて、供試体TPに対する衝撃負荷の与え方を種々選択することができる。

【0004】
図示を省略するも、重錘Wと同様の直動軸受けを介して一対のレールRa、Rbに案内されて上下に移動する懸垂部に、重錘Wが懸垂され、その懸垂部はワイヤロープの一端に取付けられ、そのワイヤロープが巻き取り器に巻き取られ、その巻き取り器がモータによって回転駆動され、これによって重錘Wが上下に移動可能とされる。そして、重錘Wの懸垂部による懸垂が解除されると、重錘Wが自由落下するようになされている。又、図8Bに示す如く、後述する変形された供試体TP上にある重錘Wを、懸垂部に懸垂させ、モータによってワイヤロープを巻き取ることによって、重錘Wを元の停止位置まで持ち上げることができる。

【0005】
次に、落下式衝撃試験装置における従来の変位量計測装置を説明する。枠体FL内の床面FL上の壁Kbに近い部分に、重錘Wの下面との間の距離を、所定時間毎に計測する光学式レーザ変位計DMが取付けられる。この光学式レーザ変位計DMの原理については、本発明の実施の形態の具体例の説明ところで、図4を参照して説明する。この光学式レーザ変位計DMは、最大変位量(最長距離)200mmの測定が可能で、測定分解能は0.5mm、応答速度が0.9kHzである。そして、実際には、重錘Wの負荷用金具LKの下面が供試体TPの頂面に接触したときの重錘Wの下面の位置と、図8Bに示す如く重錘Wが落下して供試体TPに衝突して停止したときの重錘Wの下面の位置との間の変位(距離)d間において、変位計DMの重錘の下面との間の距離を、(1/900)sec 毎に計測する。この場合、重錘Wは、供試体TPに対する衝突によって、変形しないものである。

【0006】
次に、図9を参照して、図8における変位計測装置の回路を説明する。この変位計DM(2)による所定時間毎の距離(変位量)を、変位量/信号電圧変換器(コントローラ)4に供給して信号電圧に変換し、その信号電圧をメモリ6内のA/D変換器に供給してデジタル信号電圧に変換した後、メモリ6に記憶する。最大変位量200mmが信号電圧10Vに対応するところから、メモリ6に記憶されたデジタル信号電圧を、コンピュータ7によって、単位電圧当たりの変位量20(mm/V)を計算し、これを比例係数とする。そして、変位計2によって、ある変位量が検出されたら、それに応じた変位量/信号電圧変換器4よりの信号電圧をメモリ6内のA/D変換器によってデジタル化した後、メモリ6に記憶させる。コンピュータ7では、メモリ6より読出されたデジタル信号電圧に比例係数を掛ければ、元の変位量が得られる。又、重錘Wの供試体に対する衝撃負荷に伴うその他の計測器による計測出力も、メモリ6に供給されてデジタル化した後記憶されると共に、その他の計測器の計測出力に基づいて、重錘Wが自由落下して、供試体に接触を開始する時点を検出するが、これらについては、図1の本発明の実施の形態の具体例の変位量計測装置の説明のところで記述するものとし、ここでの説明は省略する。

【0007】
次に、図9の従来の変位計測装置の計測動作を説明する。光学式レーザ変位計2によって、重錘Wとの間の距離(変位量)を所定時間毎に計測し、これを変位量/信号電圧変換器(コントローラ)4によって、信号電圧に変換し、その信号電圧を、メモリ6内のA/D変換器によって、試験条件の重錘Wによる試供体TPに対する衝撃負荷速度を考慮した任意のサンプリング間隔(例えば、10μsec 即ち、クロック周波数で表現すれば、100kHz)で、A/D変換を行いながら、同一時刻のサンプリングデータとして、1チャンネル当たり最大4ワードまで、メモリ6に記憶する。コンピュータ7によって、以下の演算を行い、その演算結果を、表示装置8やプリンタ9に出力する。即ち、メモリ6から読出されたデジタル信号電圧に、単位電圧当たりの変位量20(mm/V)のデジタル値を掛け算して、変位量データを算出し、その各変位量データの隣接するもの同士で差分を算出することによって、重錘Wの所定時間毎の落下距離、即ち、変位量を算出するができる。

【0008】
次に、図6における従来の変位計測装置による経過時間(×10-3sec )に対する変位量の階段状の特性について説明する。図9の従来の変位量計測装置によって計測したデータは、重錘の自由落下によって供試体に負荷を与える衝撃速度の初期値が10m/sec の場合では、光学式レーザ変位計の応答速度が0.9kHz(s-1)であるから、10m÷900s-1=0.0111m/sec =11.1mm/sec となり、11.1mm/sec の間隔に1点の変位量を検出することになる。変位計は次のサンプルで新たな検出を行うまでは、前回検出した値を継続して出力し続ける。メモリ6に記憶される変位データは、メモリ6内のA/D変換器によるサンプリング時間を10μsec {クロック周波数で表すと100kHz(s-1)}とすると、100kHz/0.9kHz=111.1となり、変位計がある時点を検出した後、次の点を検出するまでの継続した出力信号を約111点同一データとしてメモリ6に記憶することとなる。

【0009】
図6から分かるように、変位計の応答速度範囲内(0.9kHz以下)の検出では、分解能が0.5mmであっても、負荷速度の条件が今回の試験の場合の10m/sec では、検出できる測定範囲は11.1mmとなるため、実質の測定精度は、応答速度に制約された11.1mmとなってしまう。試験において、実際に計測される変位データは、大きな変化として重錘が順次効果していくことによる減少傾向の値となるが、細部では不規則に振動しながら変化しており、100点以上の間隔では、その測定結果の中間を補間して利用することに無理がある。又、最大測定量200mmの測定量に対して、11mm程度の分解能で計測することが自体が、実用的ではない。

【0010】
【発明が解決しようとする課題】かかる点に鑑み、本発明は、移動体と、その移動体の動的変位を計測する光学式レーザ変位計とを有する変位量計測装置において、移動体の移動量の計測可能変位範囲が広く、しかも移動体の所定時間毎の移動距離(変位量)の計測分解能の高いものを提案しようとするものである。

【0011】
又、本発明は、自由落下の可能な重錘と、床面上に位置する供試体(又は重錘に取付けられた供試体)と、重錘が落下して供試体に接触を開始してから(又は重錘に取付けられた供試体が床面に接触を開始してから)、重錘の衝撃によって供試体が変形し終わるまでの重錘の動的変位を計測する光学式レーザ変位計とを有する落下式衝撃試験装置の変位量計測装置において、重錘の移動量の計測可能範囲が広く、しかも重錘の所定時間毎の落下距離(変位量)の計測分解能の高いものを提案しようとするものである。

【0012】
【課題を解決するための手段】第1の本発明による変位量計測装置装置は、移動体と、その移動体に取付けられ、その移動体の移動方向に対し所定の傾きを有する傾斜面を備えた傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する光学式レーザ変位計と、移動体のある点から他の点への移動に伴って、光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各隣接する距離の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、移動体の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有するものである。

【0013】
【発明の実施の形態】第1の本発明は、移動体と、その移動体に取付けられ、その移動体の移動方向に対し所定の傾きを有する傾斜面を備えた傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する光学式レーザ変位計と、移動体のある点から他の点への移動に伴って、光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各隣接する距離の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、移動体の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有する変位量計測装置である。

【0014】
第2の本発明は、自由落下の可能な重錘と、床面上に位置する(又は重錘に取付けられた)供試体と、重錘に取付けられ、その重錘の落下方向に対し所定の傾きを有する傾斜面を備える傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する光学式レーザ変位計と、重錘のある点から他の点への移動に伴って、光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各隣接する距離の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、重錘の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有する落下式衝撃試験装置の変位量計測装置である。

【0015】
第3の本発明は、移動体と、その移動体に取付けられ、その移動体の移動方向に対し所定の傾きを有する傾斜面及び移動体の移動方向と平行な平面を備える傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する第1の光学式レーザ変位計と、傾斜ジグの移動に伴う平面との間の距離を所定時間毎に計測する第2の光学式レーザ変位計と、移動体のある点から他の点への移動に伴って、第2の光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の平面との間の各距離と、その各距離にそれぞれ対応する、第1の光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各距離との間の差を算出し、その各差の隣接するもの同士の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、移動体の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有する変位量計測装置である。

【0016】
第4の本発明は、自由落下の可能な重錘と、床面上に位置する(又は重錘に取付けられた)供試体と、重錘に取付けられ、その重錘の落下方向に対し所定の傾きを有する傾斜面及び重錘の移動方向と平行な平面を備える傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する第1の光学式レーザ変位計と、傾斜ジグの移動に伴う平面との間の距離を所定時間毎に計測する第2の光学式レーザ変位計と、重錘のある点から他の点への移動に伴って、第2の光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の平面との間の各距離と、その各距離とそれぞれ対応する、第1の光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各距離との間の差を算出し、その各差の隣接するもの同士の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、重錘の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有する落下式衝撃試験装置の変位量計測装置である。

【0017】
〔発明の実施の形態の具体例〕以下に、図5を参照して、落下式衝撃試験装置について説明する。図5Aは、重錘が所定高さ位置に固定されている状態を示し、図5Bは自由落下して重錘のの下面に取付けられた負荷用金具が、供試体に対する接触を開始した状態(このときの重錘Wの初期速度は、例えば、10m/sec である)を示し、図5Cは重錘の負荷用金具が供試体に接触後、80mm自由落下して、供試体を衝撃し、供試体の変形が終了した状態を示す。図5A、B、Cにおいて、Wは重錘で、その両側の直動軸受けBa、Bbを介して、枠体(フレーム)FLの壁Ka、Kbのそれぞれ中央部に、上下に延在する如く取付けられた一対のレールRa、Rbに案内されて、上下に移動し得るように取付けられている。重錘Wの下面には、負荷用金具LKが取付けられており、この負荷用金具LKの供試体TPに衝突する側の形状を種々選択することによって、供試体TPの形状、材質等に応じて、供試体TPに対する衝撃負荷の与え方を種々選択することができる。

【0018】
図示を省略するも、重錘Wと同様の直動軸受けを介して一対のレールRa、Rbに案内されて上下に移動する懸垂部に、重錘Wが懸垂され、その懸垂部はワイヤロープの一端に取付けられ、そのワイヤロープが巻き取り器に巻き取られ、その巻き取り器がモータによって回転駆動され、これによって重錘Wが上下に移動可能とされる。そして、重錘Wの懸垂部による懸垂が解除されると、重錘Wが自由落下するようになされている。又、図5Cに示す如く、後述する変形された供試体TP上にある重錘Wを、懸垂部に懸垂させ、モータによってワイヤロープを巻き取ることによって、重錘Wを元の停止位置まで持ち上げることができる。

【0019】
重錘Wは、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム合金等の材料から構成され、例えば、800mm×250mmの矩形の平板形状を有する。この重錘Wに付加錘を取り付けることにより、全体の重量を増加させることができる。

【0020】
TPは、枠体FL内の床面FL上に取付けられた供試体である。供試体TPとしては、板、パイプ等の単純な形状のものの他に、航空機の構成要素自体、又は、その模型等の複雑な形状のものもあり、又、その材質も金属、複合材料等である。

【0021】
そして、図5Bに示すように、重錘Wが自由落下して、重錘Wの下面に取付けられた負荷用金具LKが供試体TPに接触を開始してから、図5Cに示すように、重錘Wが供試体TPに衝突して、その供試体TPの変形が完了して、重錘Wの落下が停止するまでの間の重錘Wの所定時間毎の移動量(変位量)を、光学式レーザ変位計DMが傾斜ジグSJの斜面との間の距離(水平方向の距離)のを所定時間毎に計測し、それを演算することによって得るようにしている。

【0022】
尚、重錘Wの下面に直接又は取付け金具を介して供試体を固定し、重錘W及び供試体の自由落下によって、供試体を床面に衝突させ、重錘Wの慣性力で供試体に衝撃荷重を与えるようにしても良い。この場合は、床面上に図5と同様の負荷用金具を取付けて、床面が供試体与える衝撃負荷の与え方を、その負荷用金具の形状によって、種々選択することができる。

【0023】
重錘Wは、上下の移動方向に対し垂直な平面内のガタは微小なもので、最大でも0.02mmである。重錘Wのガタ分による傾斜ジグ1の傾斜面u及び垂直面vと間の変位計2、3によって計測される距離への影響の検討を行ったところ、重錘Wが図5において、横方向(水平方向)(図2のy方向)のみに移動した場合は、傾斜面u及び垂直面vがフラットであるため、傾斜面uのy軸方向(図2参照)の測定に補正を行う必要はないことが分かった。重錘Wがxy平面内で回転した場合、重錘Wのy軸方向の長さは約900mmであるのに対し、ガタ分は角度の補正であり、傾斜面uのx軸方向の測定に対するガタ分の影響はx方向の純粋なガタ分に比較して、遙に小さな値となり、無視し得る程度である。このため、傾斜面uのx軸方向の測定に対するガタ分は、v面のx軸方向のガタ分のみ補正を行えば十分であることが分かった。尚、上述のxy軸と直交する方向をzとする。

【0024】
次に、図5を再び参照して、落下式衝撃試験装置における本発明の実施の形態の具体例の変位量計測装置を説明する。重錘Wの前面の直動軸受Bbの近くに、重錘Wの落下方向に沿う傾斜ジグSJを取付けると共に、枠体FL内において、この傾斜ジグSJの傾斜面及び垂直平面の変位を計測する光学式レーザ変位計DMを固定部に取り付ける。

【0025】
次に、図1を参照して、図5における変位計測装置の回路を説明する。重錘Wに取り付けられた傾斜ジグ1(SJ)(図1の紙面に垂直な方向に下降する)の傾斜面Uとの間の距離及び垂直面(垂直平面)Vとの間の距離を、各別の光学式レーザ変位計DM(2、3)によって各別に計測する。これらの変位計2、3による計測値である所定時間毎の距離(変位量)を、変位量/信号電圧変換器(コントローラ)4、5に供給して、信号電圧に変換し、その信号電圧をメモリ6内のA/D変換器に供給してデジタル信号電圧に変換した後、メモリ6に記憶する。メモリ6に記憶されたデジタル信号電圧は、コンピュータ7によって、最大変位量200mmが信号電圧10Vに対応するところから、単位電圧当たりの変位量20(mm/V)を計算する。

【0026】
又、重錘Wの供試体に対する衝撃負荷に伴うその他の計測器による計測出力も、メモリ6に供給されてデジタル化した後記憶されると共に、その他の計測器の計測出力に基づいて、重錘Wが自由落下して、供試体に接触を開始する時点を検出するが、これらについては、後述する。

【0027】
次に、図1の具体例の変位量計測装置の計測動作を説明する。光学式レーザ変位計2、3によって、傾斜ジグ1(SJ)の傾斜面U及び垂直面Vとの間の距離(変位量)を各別に、同じ所定時間毎に同時に計測し、これを変位量/信号電圧変換器(コ、ントローラ)4、5によって、信号電圧に変換し、その信号電圧を、メモリ6内のA/D変換器によって、試験条件の重錘Wによる試供体TPに対する衝撃負荷速度を考慮した任意のサンプリング間隔(例えば、10μsec 即ち、クロック周波数で表現すれば、100kHz)で、A/D変換を行いながら、同一時刻のサンプリングデータとして、1チャンネル当たり最大4ワードまで、メモリ6に記憶する。

【0028】
コンピュータ7によって、メモリ6から読出された所定時間毎のデジタル信号電圧に、単位電圧当たりの変位量20(mm/V)のデジタル値を掛け算して変位量データを得、その各対応する変位量データの差を求め、各差の隣接するもの同士で差分を求め、これに重錘Wの落下方向、即ち、鉛直方向に対する傾斜面Uの傾きに応じた比例係数を掛け算することにより、重錘Wの所定時間毎の落下距離(移動距離)、即ち、変位量を得ることができる。この重錘Wの所定時間毎の変位量が、表示装置8及びプリンタ9に出力される。

【0029】
次に図2を参照して、傾斜ジグ1の形状を説明する。この傾斜ジグは2個のブロックBLu、BLvが一体化されたものと考えることができる。一方のブロックBLuは変位計2によって変位が計測される傾斜面(傾斜平面)Uを有すると共に、その傾斜面Uの下端には直方体形状の横長の突出部Pが設けられている。Luは、変位計2による変位計測軌跡を示し、傾斜面Uの中心線と一致している。他方のブロックBLvは直方体形状を有しており、変位計3によって変位が計測される垂直面(垂直平面)Vを有する。Lvは変位計3による変位計測軌跡を示し、垂直面Vの中心線と一致している。傾斜面Uは垂直面Vに対しある角度(これをθとする)だけ傾いている。

【0030】
傾斜ジグSJ(1)のz軸方向(図2に示す如く、垂直面Vの中心線の方向に等しく、頂面と直角な方向)が、重錘Wの落下方向と一致するように、傾斜ジグSJ(2)が、その傾斜面U及び垂直面Vの形成されている部分の反対側の面、即ち、背面において図5に示す如く、重錘Wに取付けられる。

【0031】
図5Bに示す如く、重錘Wが自由落下して、供試体TPに接触を開始したとき、図2に示す如く、傾斜ジグ1の垂直面V上の変位計測軌跡Lv及び傾斜面U上の変位計測軌跡Luと、z方向の高さがZs(基準高さ)となる直線Zsとの各交点Vs、Usにおける変位計3、2により計測された変位量の差が-3mmであり、その後重錘W 200mm下がって、傾斜ジグ1の垂直面V上の変位計測軌跡Lv及び傾斜面U上の変位計測軌跡Luと、z方向の高さがZeとなる直線Zeとの各交点Ve、Ueにおける変位計3、2により計測された変位量の差が+3mmとなるように、傾斜面Uの左辺、垂直面Vの右辺及びブロックBLuの頂面(垂直面Vと直交した平面)(尚、ブロックBLvの頂面もブロックBLuの頂面と同じ平面に属する)の一辺からなる垂直面Vと直交する三角形Δの辺hを6mmと定めると、変位計3、2によって計測された変位量の差-3.0mmを計測してから、変位量の差+3mmを計測するまでの変位量の差6mm(=L)が、重錘Wの移動量200mmに相当することが分かる。

【0032】
そして、傾斜ジグ1の垂直面V上の変位計測軌跡Lv及び傾斜面U上の変位計測軌跡Luと、z方向の高さがZmとなる直線Zmとの各交点Vm、Umにおける変位計3、2により計測された変位量の差がhmであったとすると、重錘Wの移動量は、次の数1の式で求められる。この演算は、コンピュータ7によって行われる。

【0033】
【数1】(Zm-Zs)={hm-(垂直面Vのx方向のガタ)}/6×200(mm)

【0034】
傾斜面Uの下端側に設けた突出部Pについて説明する。突出部Pは幅が傾斜面Uの幅と同じで、高さL0 (=0.002mm)、奥行きがh0 の直方体である。この突出部Pの高さL0 が通過する時間を、図6の如くSとすると、突出部Pの両エッジ間の平均速度は、L0 /S=0.002mm/Sとなる。

【0035】
次に、図3を参照して、傾斜ジグ1のブロックBLuの断面形状、即ち、傾斜面uの断面形状を説明する。但し、図3では、図面を見易くするためにハッチングを省略している。図3Aは図2に示した傾斜ジグのブロックBLuの断面を示しており、傾斜面Uの断面は直線である。hm′は、傾斜面U及び垂直面Vのz軸方向の高さがZmの部分のブロックBLuの厚みを示す。h2 はブロックBLuの頂面の厚みを示す。h1 は、傾斜面Uの下端におけるブロックBLuの厚みを示す。Lは傾斜面Uのz軸方向の高さを示す。Lmは、基準の高さZsを0としたときのz軸方向の高さがZmの部分の高さを示し、これは重錘Wの移動量に相当する。このLmは、次の数2の式のようにして求められる。

【0036】
【数2】Lm=hm′/(h2 -h1

【0037】
図3Bは、傾斜面Uの断面を2本の折れ線にて構成した場合である。この場合、2本の折れ線が交わる点におけるブロックBLuの厚みをh3 とし、その厚みがh2 の部分の傾斜面Uのz軸方向の高さをL1 、LからL1 を差し引いた高さをL2 とする。尚、図3Bには、Lの文字は記入されていない。その他の寸法は、図3Aと同じである。かくすると、高さがL1 及びL2 の部分の範囲におけるLmは数3の式によって与えられる。図3Bの場合は、移動体の移動量が遅い場合に、移動体の移動量の主要な移動部分の精度を、残りの部分の精度より高く測定する場合に好適である。

【0038】
【数3】
1 の範囲:Lm=hm/(h3 -h1 )×L1
2 の範囲:Lm=hm/(h2 -h3 )×L1

【0039】
図3Cは、傾斜面Uの断面を曲線(円弧、放物線、多項式曲線等)にて構成した場合である。この場合のLmは、曲線の数式の係数を代入して算出する。図3Cの場合は、移動体の移動量が曲線(円弧、放物線、多項式曲線等)的に変化する場合に好適である。この場合は、傾斜ジグというより、曲面ジグとなる。尚、図3B、Cは、参考として示したものである。

【0040】
次に、図4を参照して、図1の具体例の変位計測装置における光学式レーザ変位計2、3の具体的構造を説明する。入力端子11よりの駆動信号が駆動回路12を通じて、半導体レーザ13に供給されて、その半導体レーザ13が駆動される。半導体レーザ13よりのレーザ光は投光レンズ14を通じて集光させてピンホール状にし(例えば、直径が0.001mm以下)、基準位置を中心として変位測定範囲内にある測定対象物15に照射する。測定対象物15からの反射レーザ光は受光レンズ16を通じて集光させて光位置検出素子17に入射する。この光学式レーザ変位計は、三角測量の原理を用いて、測定対象物15の基準位置に対する位置が検出され、その位置検出信号が増幅回路18を通じて、出力端子19に出力される。この光学式レーザ変位計は、測定対象物の微小な変位量を、高精度に、高速度の応答性を以て計測することができる。

【0041】
図4における、光学式レーザ変位計の端面から基準位置までの長さは、光学式レーザ変位計の機種に応じて異なるが、具体例の場合は30mmであるので、光学式レーザ変位計が図2の傾斜ジグの傾斜面Uの変位計測軌跡上の点Us及びUeの変位を計測しているときの光学式レーザ変位計の端面から点Us及びUeまでの距離は、30mm-3mm及び30mm+3mmとなる。

【0042】
因みに、変位量の計測装置は、接触式及び非接触式に大別されるが、計測対象がこれに外力を加えてはいけないものである場合や、計測対象に対する接触が困難な場合は、非接触式の計測装置を使用することになる。非接触式の変位量測定装置には、計測対象の材質や測定条件等に応じた、高周波磁界、静電気、超音波、レーザ光を利用した変位計測装置がある。

【0043】
そして、落下式衝撃試験装置に用いられる変位計測装置として利用できるものは、計測対象が各種試験によって一定でないため、供試体で使用されることが予想される全ての材質や色彩に制限等がなく、測定性能についても、ピンポイント部分の検出が可能で、高精度、高速応答性等の各種条件を満足する変位計測装置として、上述の光学式レーザ変位計が選択された。

【0044】
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態の具体例の変位量計測と、従来の変位量計測を比較して説明する。両計測共、重錘が初期速度10m/sec で供試体に接触を開始し、重錘が供試体に衝撃荷重を与えて供試体を変形又は破壊させることによって、重錘の運動エネルギーが供試体によって吸収され、重錘の80mmの落下で停止した場合を考える。従来例で使用された光学式レーザ光変位計の重錘の移動量の測定範囲が200mm、応答速度は0.9kHzである。これに対し、具体例で使用された光学式レーザ光変位計の傾斜ジグの傾斜面の移動量の測定範囲が6mm、応答速度は50kHzである。従来例及び具体例のメモリ内のA/D変換器のサンプリングクロックの周波数は100kHzである。

【0045】
図6の縦軸は、供試体に重錘が接触したときの供試体の頂面の床面からの高さを200mmとし、その供試体が破壊又は変形した量を、重錘の落下量として表した変位量を示し、従来例及び具体例(本発明)とも同様の数値となるように開発した装置の換算係数を決めている。図6の横軸は経過時間を10-3sec (msec)の単位で表している。

【0046】
従来例の階段状の線は、変位計測データの検出間隔が各段の左端部分であり、その後、112点目に1段下がった左端部分の値を検出するまで、前回のデータを継続して出力しているため、メモリのサンプリング速度(100kHz)によって、あたかも同一の変位量であるように記録される。

【0047】
具体例(本発明)の曲線も実際には階段状になっているが、2点毎に新しい段の階段状となっている。

【0048】
図7は、具体例(本発明)で用いられる光学式レーザ変位計の実際の検出変位量と、その検出出力電圧値を示している。縦軸は検出出力電圧(V)で、変位計の定格測定量(±3mm)に対して、±5Vである。横軸は実際の変位量を(mm)を示す。破線は、傾斜ジグの傾斜面Uをx方向に測定した場合の検出量に対する検出出力(±5V/±3mm)である。太い実線は、破線で計測されたデータを演算処理部(コンピュータ)7によって、±100mm/±5Vに換算した重錘の移動量とした場合の説明用の線である。

【0049】
従来の変位量計測装置と具体例の移動量測定装置を比較する。具体例の重錘の落下速度に対する検出間隔は、10m/50000s-1=0.0002m/sとなり、従来例では11.1mm/sの間隔に1点の検出であったものが、具体例では0.2mm/sと高精度の検出間隔に改良された。又、メモリ6に記憶されるデータは、100kHz/50kHz=2となり、2点間に新たな検出データが更新される。この間隔でデータを取得できれば、検出できなかったその中間の1点のデータを補間して使用しても、精度低下は殆ど問題にはならない。

【0050】
又、傾斜ジグによる変位計の定格出力に対する実質の変位量への演算による誤差の最大値は200mm/6mm=33.3倍となり、検出分解能が0.0005mmと頗る高精度であるため、0.0005×33.3=0.0166mmとなり、重錘の移動量200mmに対する精度に影響を与えない。このため、従来は計測不能であった、重錘や移動体の広い範囲の移動量を、高速応答性を持つ光学式レーザ変位計と、傾斜ジグと、高速度のメモリの組み合わせにより、測定可能となった。更に、傾斜ジグの長さと傾斜角度とを変更すれば(但し、図2のhの寸法は最大6mmとする)、更に広い移動量の測定が可能となる。

【0051】
冒頭に述べたように、落下式衝撃試験装置では、床面上の供試体に落下する重錘によって衝撃が加えられるか、又は、重錘に取付けられ、重錘と共に落下して床面に衝突して衝撃を受けた供試体の変形量に応じた衝撃エネルギーの算出が主たる目的である。そこで、重錘が自由落下し、床面上の供試体に接触を開始し、その重錘の衝撃負荷によって、供試体が重錘の衝撃エネルギーを吸収して変形し、遂には、重錘が落下を停止するまでの間における、重錘の所定時間毎の落下量、即ち、変位量と、重錘の加速度(又は供試体に負荷された荷重)とを計測し、その積和をコンピュータ7で演算することにより、上述の衝撃エネルギーを算出することができる。その算出結果は、表示装置8やプリンタ9に表示される。尚、重錘の加速度や供試体に負荷された荷重の計測については、以下の他の計測の説明の中で行う。重錘の所定時間毎の落下量、即ち、変位量と、重錘の加速度(又は供試体に負荷された荷重)とが高計測分解能で計測できれば、衝撃エネルギーの高精度な値を算出することができる。因みに、従来は、重錘の加速度や供試体に負荷される荷重の計測は、高計測分解能な計測が可能であったが、重錘の所定時間毎の変位量を高計測分解能を以て計測することが困難であった。しかし、本発明の変位量計測装置によって、所定時間毎の変位量を高計測分解能で計測することが可能になったのである。

【0052】
次に、図1の変位量計測装置における、重錘が供試体を衝撃して供試体が変形するまでに、所定時間毎の重錘の移動量(変位量)の計測を行うと同時に計測を行って、その計測出力をメモリに記憶するその他の計測器による計測及びその計測器による計測の計測出力によって、重錘が落下して供試体に接触を開始する時点の検出について説明する。

【0053】
先ず、荷重計について説明する。荷重計は、物体の重さや加えられる力を計測するもので、単に物体の静的重量を計測するのではなく、設置した計測箇所の指定方向成分を時間履歴と共に計測する計測器である。この荷重計として一般的なものに、ロードセルがある。このロードセルの原理は、荷重に対して内蔵した受感部が曲げ、圧縮などで変形する量を歪みゲージで検出して、荷重に対する規定電圧値として出力するもので、歪み検出用の計測器を用いることができる。

【0054】
かかるロードセルの設置場所は、供試体の形状、寸法、計測目的に応じて異なるが、例えば、供試体を床面上に設置する場合は、供試体と床面との間に挿入して、供試体に重錘が接触を開始し、供試体が変形して重錘の落下が停止するまで、荷重を計測する。又、重錘に供試体が取付けられている場合は、床面上の供試体が着地する部分にロードセルを設置する。いずれの場合も、垂直下方向の力を正の方向として荷重を検出する。そして、荷重が増加し始めた時点を、重錘が落下して床面上の供試体に接触を開始した時点又は重錘に取付けられた供試体が床面に接触を開始した時点として検出することが出来る。

【0055】
次に、歪み計測について説明する。歪みは、供試体の指定部分の応力を計測し、供試体全体の変形に関する応力分布、振動、強度を評価する。歪みの計測には、例えば、歪み受感部の長さが1mmの歪みゲージを用いる。歪みゲージの原理は、金属抵抗素子を被計測物の表面に接着し、その金属抵抗素子が伸びると抵抗値が増加し、圧縮すれば抵抗値が減少することを利用して、その金属抵抗素子を、抵抗からなるホイートストンブリッジ回路の2辺に挿入する。この場合、ブリッジ回路の一方の対角2点間に規定電圧を印加し、他方の対角2点間に電圧が発生する。4辺の抵抗が同じ抵抗値を有する場合は、その他方の対角2点間の電圧は0Vになり、ブリッジ回路に組み込んだ歪みゲージの抵抗値が変化した場合、対角2点間に電圧が発生し、その電圧は、歪みゲージの抵抗値の増加、減少に応じて、正負の電圧が発生する。専用シグナルコンディショナで正負の電圧値を計測すれば、被計測物の圧縮、伸長の値を歪み量して検出することができる。そこで、この供試体に取り付けた歪みゲージによって、歪みが増加し始めた時点を、重錘が落下して床面上の供試体に接触を開始した時点又は重錘に取付けられた供試体が床面に接触を開始した時点として検出することが出来る。

【0056】
次に、加速度の計測について説明する。加速度の計測場所は、重錘又は供試体の10数箇所である。加速度計測の機種は色々あるが、センサの検出範囲が数Gから1000G程度までで、衝撃耐久感度が10000G以上のものが使用される。又、重錘又は供試体への取付け付加荷重の影響を最小にするために、センサは小型、軽重量のもの必要で、高速応答性(100kHz以上)も要求される。これらの条件を満足する加速度計としては、ピエゾ型電荷素子が好適である。このピエゾ電荷素子の原理は、ピエゾ型電荷素子に可動質量を接着し、付加した加速度に応じて振動する可動質量が、接着したピエゾ型電荷素子を圧縮又は引っ張ったときに発生する電荷量を規定Gに対応した電圧に変換する専用シグナルコンディショナで計測する。そして、重錘又は供試体に取付けられたピエゾ型電荷素子によって、加速度の最初の大きな変化時点を、重錘が落下して床面上の供試体に接触を開始した時点又は重錘に取付けられた供試体が床面に接触を開始した時点として検出する。

【0057】
次に、変位計測について説明する。この場合は、供試体の変形量とその速度履歴を同時に検出する必要がある。供試体の変形は複雑であり、全体を指定して計測することができない。1つの方法として、高速度デジタルカメラによる連続記録から、指定点の移動を追尾することができる。しかし、このデータ精度は、画素サイズによって規制され、最高画質のもので256×256点である。言い換えれば、画面の最上部に記録された点が最下部まで変形しても1/256の分解能である。そして、供試体の垂直下方向の変形を計測する。変位量及び加速度又は荷重の関係から負荷エネルギーが得られる。又、変位量は、応力、歪み、加速度等の表示、評価に用いる基本的な重要データである。床面上又は重錘と一体化された供試体に取付けられた変位計による垂直下方向の変位の変化点から、重錘が落下して床面上の供試体に接触を開始した時点又は重錘に取付けられた供試体が床面に接触を開始した時点として検出する。

【0058】
荷重、歪み、加速度及び変位の計測の際、重錘が落下して床面上の供試体に接触を開始した時点又は重錘に取付けられた供試体が床面に接触を開始した時点では、接触の瞬間より急激に変化する最大値が検出されるので、荷重、歪み、加速度及び変位の測定のいずれも採用することができるが、信号伝搬の時間的な問題が発生するので、初期接触が起こる近傍の信号を基準信号として選択している。

【0059】
落下式衝撃試験は、瞬時に(長くても数秒以内)に終了するのが一般的であり、荷重、歪み、加速度又は変位の計測は重錘の落下と同時に行われる。荷重、歪み、加速度の計測器は、それぞれ専用のシグナルコンディショナ等を用いるので、計測出力はアナログ電圧となる。

【0060】
計測器の機種の選定は、応答速度、検出量、分解能、センサ重量、検出点の寸法、被計測物との適合性、記録時間のなどを考慮して、供試体の衝撃応答を最適に検出できること等を考慮して決定する。又、荷重、歪み、加速度及び変位の計測を併用して、重錘が落下して床面上の供試体に接触を開始した時点又は重錘に取付けられた供試体が床面に接触を開始した時点を検出する場合は、全てのデータ間に時間的なずれが生じさせないように、扱い易く統合性のあるシステムにまとめる必要がある。

【0061】
【発明の効果】第1の本発明によれば、移動体と、その移動体に取付けられ、その移動体の移動方向に対し所定の傾きを有する傾斜面を備えた傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する光学式レーザ変位計と、移動体のある点から他の点への移動に伴って、光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各隣接する距離の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、移動体の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有するので、移動体の移動量の計測可能変位範囲が広く、しかも移動体の所定時間毎の変位量の計測分解能の高い変位量計測装置を得ることができる。

【0062】
第2の本発明によれば、自由落下の可能な重錘と、床面上に位置する(又は重錘に取付けられた)供試体と、重錘に取付けられ、その重錘の落下方向に対し所定の傾きを有する傾斜面を備える傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する光学式レーザ変位計と、重錘のある点から他の点への移動に伴って、光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各隣接する距離の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、重錘の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有するので、重錘の移動量の計測可能範囲が広く、しかも重錘の所定時間毎の変位量の計測分解能の高い落下式衝撃試験装置の変位量計測装置を得ることができる。

【0063】
第3の本発明によれば、移動体と、その移動体に取付けられ、その移動体の移動方向に対し所定の傾きを有する傾斜面及び移動体の移動方向と平行な平面を備える傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する第1の光学式レーザ変位計と、傾斜ジグの移動に伴う平面との間の距離を所定時間毎に計測する第2の光学式レーザ変位計と、移動体のある点から他の点への移動に伴って、第2の光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の平面との間の各距離と、その各距離にそれぞれ対応する、第1の光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各距離との間の差を算出し、その各差の隣接するもの同士の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、移動体の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有するので、移動体の移動量の計測可能変位範囲が広く、しかも移動体の所定時間毎の変位量の計測分解能が高く、しかも、移動体の第1の光学式レーザ変位計との間の距離の方向のガタによる、移動体の所定時間毎の変位量の誤差を補正して、移動体の所定時間毎の変位量を高精度に計測することのできる変位量計測装置を得ることができる。

【0064】
第4の本発明によれば、自由落下の可能な重錘と、床面上に位置する(又は重錘に取付けられた)供試体と、重錘に取付けられ、その重錘の落下方向に対し所定の傾きを有する傾斜面及び重錘の移動方向と平行な平面を備える傾斜ジグと、その傾斜ジグの移動に伴う傾斜面との間の距離を所定時間毎に計測する第1の光学式レーザ変位計と、傾斜ジグの移動に伴う平面との間の距離を所定時間毎に計測する第2の光学式レーザ変位計と、重錘のある点から他の点への移動に伴って、第2の光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の平面との間の各距離と、その各距離とそれぞれ対応する、第1の光学式レーザ変位計によって計測された、所定時間毎の傾斜面との間の各距離との間の差を算出し、その各差の隣接するもの同士の差分を算出し、その各差分に、傾斜面の所定の傾きに応じた比例係数を掛けて、重錘の所定時間毎の変位量を算出する演算手段とを有するので、重錘の移動量の計測可能変位範囲が広く、しかも重錘の所定時間毎の変位量の計測分解能が高く、しかも、重錘体の第1の光学式レーザ変位計との間の距離の方向のガタによる、重錘の所定時間毎の変位量の誤差を補正して、重錘の所定時間毎の変位量を高精度に計測することのできる落下式衝撃試験装置の変位量計測装置を得ることができる。
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図1】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8