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Specification :(In Japanese)移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステム

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P3554764
Publication number P2002-156978A
Date of registration May 21, 2004
Date of issue Aug 18, 2004
Date of publication of application May 31, 2002
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステム
IPC (International Patent Classification) G10K 11/178     
E04B  1/86      
F01N  1/00      
F01N  1/10      
F01N  1/16      
F02C  7/045     
F02K  1/34      
F04D 29/66      
G10K 11/172     
FI (File Index) G10K 11/16 H
E04B 1/86 M
F01N 1/00 H
F01N 1/10 B
F01N 1/16
F02C 7/045
F02K 1/34
F04D 29/66 N
G10K 11/16 E
Number of claims or invention 10
Total pages 11
Application Number P2000-352910
Date of filing Nov 20, 2000
Date of request for substantive examination Nov 20, 2000
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】503361400
【氏名又は名称】独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】小林 紘
Representative (In Japanese)【識別番号】100092200、【弁理士】、【氏名又は名称】大城 重信
【識別番号】100110515、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 益男
【識別番号】100084607、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 文男
Examiner (In Japanese)【審査官】吉川 康男
Document or reference (In Japanese)特開平08-076773(JP,A)
特表平11-502032(JP,A)
実開昭63-185200(JP,U)
特開平05-019772(JP,A)
特開平08-123429(JP,A)
特表平06-510870(JP,A)
特開平07-244489(JP,A)
特開平01-273816(JP,A)
特開平05-257482(JP,A)
特開2000-204921(JP,A)
Field of search G10K 11/178
E04B 1/86
F01N 1/00
F01N 1/10
F01N 1/16
F02C 7/045
F02K 1/34
F04D 29/66
G10K 11/172
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
多孔板からなる吸音パネル表面板、多孔質吸音材貼付の側板、及び多孔質吸音材貼付のバックシート板により、音響吸音空間を形成し、該音響吸音空間内に前記多孔板より僅かに小さく、且つ内壁面に多孔質吸音材を貼付して前記多孔板に対して位置・形態制御可能とした移動制御反射板を設けてなる吸音パネル部と、
該吸音パネル部を挟んで騒音場に向けて配置された感知センサーとエラーセンサー、前記両センサーで計測される全音圧の差が最大となるように処理して前記反射板の形態・位置に関する制御信号を出力する信号処理手段、該信号処理手段からの制御信号により駆動される移動制御反射板駆動用制御モータを有してなるアクティブ吸音制御システム部とからなり、
前記移動制御反射板は、音の伝播方向に対して平行、前後傾斜、側面傾斜の三次元的運動とから構成される複合運動可能に、駆動制御ができるよう構成され、騒音源の作動変化に対応して、前記移動制御反射板の形態と位置を制御することにより低い周波数音から高い周波数を含む幅広い周波数領域の騒音を能動的に最適吸音ができるようにしたことを特徴とするアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項2】
前記移動制御反射板は、音の伝播方向に対して平行、前後傾斜、側面傾斜および回転の三次元的位置変位と曲線、回転及び揺動三次元的運動とから構成される複合運動可能に、駆動制御ができるようになっている請求項1に記載のアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項3】
前記吸音パネル部全体が、円、矩形、楕円等の任意形状断面のダクト又はセクターよって形成され、該ダクト又はセクターの周面を複数に区切って複数の吸音パネル部を配置し、各吸音パネル部毎に前記移動制御反射板の三次元的変位駆動制御ができるようにしてなる請求項2に記載のアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項4】
前記アクティブ吸音制御システムが航空機エンジンの騒音低減のためのシステムであって、前記音響吸音空間が、エンジン吸・排気ダクトをなすナセルの内外壁間の空間に形成されている請求項1、2又は3に記載のアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項5】
前記吸音パネル表面板は、前記多孔板、該多孔板の内側に貼付された多重層金属ワイヤーメッシュや多層多孔質吸音材からなる請求項1~4何れかに記載のアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項6】
前記吸音パネル部の構造材が耐熱材や高圧用材料で形成され、タービン騒音やジェット騒音をダクト吸音およびエジェクター吸音するようにしてなる請求項1~5何れかに記載のアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項7】
前記移動制御反射板は、平板、半楕円、半円筒、半球、波型等の任意形状およびそれらの重ね合わせ形状からなる請求項1~6何れかに記載のアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項8】
前記信号処理手段は、ファン直前に配置された感知センサーおよび上流に配置されたエラーセンサーから計測される全音圧の差が最大となるように、最小平均二乗法アルゴリズム処理された移動制御反射板の形態・位置に関する制御信号を出力する請求項1~7何れかに記載のアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項9】
移動制御反射板の形態および位置変位をパラメータに前記吸音パネル部の吸音量情報を予め作成して格納したデータバンクを、前記最小平均二乗法アルゴリズム処理時に使用する請求項8に記載のアクティブ吸音パネルシステム。
【請求項10】
前記移動制御反射板の三次元的移動・回転の駆動は、モータ機構、油圧・空気圧機構又はワイヤー機構によって行われる請求項1~9何れかに記載のアクティブ吸音パネルシステム。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステム、特に、航空機エンジン、発電用および非常用ガスタービン、ターボ機械や送風機等の騒音低減用、送風機や空調器等のダクトやトンネルの騒音低減用、並びに激しく変化する騒音が発生する道路、工場、作業場や住居の騒音低減に壁面吸音パネルとして使用が可能な移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機騒音、特にエンジン騒音の環境適合性の問題は、現有の航空機の運行ならびに、次世代超音速機や超高バイパス比ターボファン機等の新型航空機の開発・就航のためには解決されねばならない重要な問題であり、今日まで多くの騒音低減に向けた研究・開発が行われてきている。このような騒音低減技術として、代表的にはエンジンの吸排気ダクトに吸音材や吸音パネルを内貼りする種々の吸音パネル構造が知られているが、近年騒音発生の変化に能動的に対応して騒音を打ち消す又は低減するアクティブ騒音低減技術が注目されてきている。
【0003】
現在提案されている航空機エンジンのアクティブ騒音低減技術として、例えばジェットエンジンのファンローターとファン出口案内翼段の上流及び下流に複数のマイクロフォンと伝空音響トランスデューサを配置して、ファンからの基準信号と音響トランスデューサによって検知されるエラー信号とによって制御出力信号が与えられて、該制御出力信号によりファン段の空気制御弁を起動して、高圧力の気流を送ってファンのトーン騒音の音響打消を与えるようにしたものが提案されている(特表平10-507533号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来の騒音低減技術は、次のような問題点があり、未だ満足するものでない。
▲1▼吸音材や吸音パネル構造は、各種吸音材の使用や吸音構造の工夫により吸音スペクトルは多少広がり、ピーク値も増加したが、吸音スペクトルピーク値は不十分でありピーク周波数は殆ど固定的であるため、エンジン騒音低減要求スペクトルレベルおよびピーク周波数変化(着陸と離陸でB.P.F.トーン周波数は30~40%変化する。)に対応できない欠点がある。また、▲2▼吸音パネルによるターボファンエンジン騒音低減技術として、各種吸音パネルがエンジンダクトに内張りされているが、パネルのハニカム深さ制限によって低い周波数音の吸音が殆ど出来ない。一方、▲3▼エンジン作動変化に伴う吸音低減効果の変化は、チューニングされたファン回転数での吸音パネルの騒音低減量は8dB程度であるが、他の回転数時には低減量は半分程度となり、エンジン変化に対応した高いレベルの最適吸音が出来ない。
【0005】
また、従来のアクティブ騒音低減技術では、低減は騒音スペクトルの一成分に限られているため、これら全て低減されても、航空機騒音評価(航空機騒音規制値の騒音単位に準ずる単位であるO.A.SPLdB(A)評価)では1~2dBの騒音低減しか得られない。また、多音響モードおよび高次までの翼通過周波数音を低減するためにはアクティブ制御システムは複雑化し、高価となる欠点がある。また、二次音源音響出力限界のため、高音圧のファン騒音(150~160dB)を単独システムでは低減出来ない。さらに、ファンの過渡的変化やアクティブシステムの応答遅れ等によって、ファン騒音のアクティブ相殺のミスチューニングが発生して、騒音低減不能となる可能性を有する等の問題点がある。さらに、従来のアクティブ吸音パネル技術の場合は、アクティブ制御吸音パネルの吸音スペクトルピーク値およびピーク値周波数シフトが小さくて、エンジンのファン変化に対応した吸音が出来ない。また、800Hz以下の低い周波数音の吸音量が非常に小さいこと、並びに吸音可能な周波数領域が狭く吸音スペクトル値も小さい等の問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、次のような技術的課題を達成できる、移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムを提供することを目的とする。即ち、(1)エンジンの過渡的激しい変化やアクティブシステムの応答遅れに起因しての音響相殺ミスチューニング並びに制御システム不作動のために、騒音低減不能となる状況の発生を回避すること、(2)高音圧レベル(SPL150dB~160dの騒音レベル)のエンジンファン騒音を単独システムで容易、かつ安価な低減を可能とすること、(3)航空機エンジンのファン騒音の要求レベル低減を単独騒音低減システムで可能とすることである。また、(4)特に超高バイパス比ファンエンジンにおいて生ずる低い周波数のファン騒音低減のため、低い周波数音の高いレベル吸音を可能とすること、(5)吸音ダクトの短縮・軽量化のために、低い周波数音から翼通過周波数音およびその高調波成分を含む広い周波数範囲の騒音スペクトルを高いレベルで吸音可能とすることである。さらに、(6)航空機エンジンの変化に柔軟に対応して、適合する吸音スペクトルピーク値およびピーク周波数値シフト(例えば30%~40%程度の周波数シフト)並びに広い周波数範囲の騒音スペクトルの高レベル吸音が得られるように、吸音パネル特性値を能動的に制御出来るようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明者は、種々研究する過程で、パネル内壁面を多孔板や多重層の金属ワイヤーメッシュ吸音材で構成した吸音パネルによって、音響吸音空間を形成し、該音響空間に移動制御反射板の形態及び位置を騒音源の変化に対応して能動的に変化させることによって、広い周波数領域騒音を吸音できることを知見し、本発明に至ったものである。
【0008】
即ち、上記問題点を解決する本発明の移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムは、多孔板からなる吸音パネル表面板、多孔質吸音材貼付の側板、及び多孔質吸音材貼付のバックシート板により、音響吸音空間を形成し、該音響吸音空間内に前記多孔板より僅かに小さく、且つ内壁面に多孔質吸音材を貼付して前記多孔板に対して位置・形態制御可能とした移動制御反射板を設けてなる吸音パネル部と、
該吸音パネル部を挟んで騒音場に向けて配置された感知センサーとエラーセンサー、前記両センサーで計測される全音圧の差が最大となるように処理して前記反射板の形態・位置に関する制御信号を出力する信号処理手段、該信号処理手段からの制御信号により駆動される移動制御反射板駆動用制御モータを有してなるアクティブ吸音制御システム部とからなり、
前記移動制御反射板は、音の伝播方向に対して平行、前後傾斜、側面傾斜の三次元的運動とから構成される複合運動可能に、駆動制御ができるよう構成され、騒音源の作動変化に対応して、前記移動制御反射板の形態と位置を制御することにより低い周波数音から高い周波数を含む幅広い周波数領域の騒音を能動的に最適吸音ができるようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
前記移動制御反射板は、音の伝播方向に対して平行、前後傾斜、側面傾斜および回転等の三次元的位置変位と曲線、回転及び揺動等の三次元的運動とから構成される複合運動可能に、駆動制御ができるようにすることによって、より幅広い周波数領域騒音の低減を図ることができる。前記吸音パネル部全体は、円、矩形、楕円等の任意形状断面のダクト又はセクターよって形成され、該ダクト又はセクターの周面を複数に区切って複数の吸音パネル部を配置し、各吸音パネル部毎に前記移動制御反射板の三次元的変位駆動制御ができるようにするのが望ましい。
【0010】
航空機エンジンの騒音低減のためのシステムに適用する場合は、前記音響吸音空間を、エンジン吸・排気ダクトをなすナセルの内外壁間の空間に形成することによって、低周波音から翼通過周波数音及びその高調波成分を含む広い周波数領域のエンジン騒音を高い音圧条件下にて吸音することが望ましい。前記吸音パネル表面板は、多孔板と、該多孔板の内側に貼付された多重層金属ワイヤーメッシュ又はハニカムで構成することが望ましい。さらに、吸音パネル部の構造材を耐熱材や高圧用材料で形成することによって、タービン騒音やジェット騒音をダクト吸音およびエジェクター吸音するのに、好適に適用できる。前記移動制御反射板は、その形状は適用する装置によって最適形状に選定すればよく、平板、半楕円、半円筒、半球、波型等の任意形状又はそれらの重ね合わせ形状に形成することができる。
【0011】
前記信号処理手段は、ファン直前に配置された感知センサーおよび上流に配置されたエラーセンサーから計測される全音圧の差が最大となるように、最小平均二乗法アルゴリズム処理して、それに対応する移動制御反射板の形態・位置に関する制御信号を出力するように構成する。その際、移動制御反射板の形態および位置変位をパラメータに前記吸音パネル部の吸音量情報を予め作成して格納したデータバンクを作成しておくことによって、前記最小平均二乗法アルゴリズム処理時間を短縮することができ、能動制御の応答性を高めることができる。なお、前記移動制御反射板の三次元的移動・回転の駆動手段は、特に限定されるものでなく、モータ機構、油圧・空気圧機構又はワイヤー機構等任意の機構を採用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1及び図2は、航空機のエンジンファン騒音低減に本発明に係るアクティブ吸音パネルシステムを適用した実施形態を示している。本実施形態に係るアクティブ吸音パネルシステムは、吸音パネル部1とアクティブ吸音制御システム部2で構成する。吸音パネル部1は、低周波数音から翼通過周波数音およびその高調波成分を含む広い周波数領域のエンジン騒音を高い音圧条件下にて吸音するために、ナセル内壁10とナセル外壁11との間の空間4を音響共鳴場すると共に、空間内壁面に多孔質吸音材を貼付して音響吸音場として活用してある。
【0013】
即ち、エンジン吸・排気ダクト3のナセル内壁10およびナセル外壁11の曲率半径を有する二重円筒状曲面で形成される空間4を、図5及び図6の実験模型装置において模式的に示すように、仕切板12によって円周方向に複数(図の実施形態では4個)に区画して、騒音場に面する多孔板からなる吸音パネル表面板6(ナセル内壁10が多孔板となっている)、側板9、及びバックシート板13(本実施形態ではナセル外壁11の一部)により音響吸音空間を形成してある。そして、該音響空間内に前記吸音パネル表面板6に対して移動音響反射板8を、音の伝播方向に対して平行、前後傾斜、側面傾斜等の三次元的位置変位と、曲線、回転及び揺動等の三次元的運動とから構成される複合運動が可能となるように設けて、該移動制御反射板8と吸音パネル表面板6、側板9、及びバックシート板13とで吸音パネル部4が構成されている。
【0014】
そして、多孔板の内側には多重層金属ワイヤーメシュ7又はハニカム材が積層され、且つ側板9、仕切板12及びバックシート板13にはそれぞれ多孔質吸音材5が貼付されており、吸音パネル部1はパネル構造の吸音パネルとして、広い周波数領域騒音の吸音強化を図っている。
【0015】
これに加えて、アクティブ吸音制御システム部2では、移動音響反射板8をエンジン作動変化に対応してその形態(平行、前後傾斜、側面傾斜等)および多孔板に対する位置(間隔)を能動的に変化させ、最適な吸音を得るようにパネル吸音特性を変えている。同時に、パネル内部の音響共鳴場に低周波数音を導いて低減強化するために、移動制御反射板8をパネル寸法より僅かに小さくしている。従って、移動制御反射板は、またその内壁面に前記のように多孔質吸音材14を貼付してあるので吸音板としても活用している。
【0016】
移動制御反射板8の平行、前後傾斜、側面傾斜等の三次元的位置変位と、曲線、回転及び揺動等の三次元的運動を行うための機構は、特に限定されるものでなく、モータ機構、油圧・空気圧機構又はワイヤー機構等任意の機構が採用できる。本実施形態では、図2に示すように、移動制御反射板8の外壁面を軸方向に沿って所定間隔をおいて2本の駆動ロッド15の基端にピボット連結し、該駆動ロッドの上端部をバックシート板13を貫通させて固定部に設けられた制御モータ(パルスモータ)を備えた直動機構16と噛み合せて軸方向移動可能に支持させている。従って、この実施形態では、2組の直動機構が同じストロークで駆動ロッド15を直動させることによって移動制御反射板が吸音パネル表面板6に対して平行移動して平行に所定間隔位置に位置させることができ、また2本の駆動ロッド15のストロークを変えることによって、移動制御反射板8を前後傾斜させて音の伝播方向に対して頭上げ又は頭下げ位置に保持させることができる。なお、図示されていないが、駆動ロッドを移動制御反射板8に前後方向(音の伝播方向)に間隔をおいて設けると共に幅方向にも間隔をおいて設けることによって、幅方向にも任意に傾斜させて保持することができ、平行、前後傾斜、側面傾斜の三次元的位置変位が可能となる。そして、それらの駆動する直動機構の制御モータを後述する制御信号によって、騒音の変化に対応させて連続的に別々に制御量を変えて駆動することによって、移動制御反射板を曲線(前後方向の揺れ)、回転(幅方向の揺れ)及び揺動等の三次元的運動から構成される複合運動をアクティブに行わせることができる。
【0017】
上記移動制御反射板8を航空機エンジンの変化に対応して能動制御する本実施形態のアクテイブ吸音制御システム部2は、制御エラーを検知して吸音の最適化を計るために、ファン20の直前と上流に前記吸音パネル部1を挾んで設置した、音響トランスデューサやマイクロホンからなる感知センサー17とエラーセンサー18を有する。これらのセンサーが騒音を検出し、両センサーの出力信号をコンピュータで構成される信号処理手段21によりLMS(最小平均二乗法)アルゴリズム処理し、エラー及び感知センサーにて計測される全音圧O.A.SPL差の最大値を得るよう処理し、それに基づく移動制御反射板駆動用の直動機構の制御モータを駆動するための制御信号を出力する。
【0018】
制御信号により、モータ制御ボード22およびモータドライバー23を介して制御モータを起動調整し、エンジン作動変化に対応して、低い周波数音から翼通過周波数音およびその高調波成分を含む広い周波数領域のエンジン騒音を能動的にダクト吸音できるように移動制御反射板8を移動・回転制御させている。移動制御反射板8の制御はアダプティブ・フィード・フォワード制御法を活用して移動制御する。これより、ファン20の騒音(スペクトルや音響モード等)変化に対応した最適な吸音を与える。
【0019】
本実施形態のアクティブ吸音パネルシステムは、以上のように構成され、従来の吸音パネルのバックシート板を除去して小型の移動制御反射板とし、吸音ダクト(ナセル)空間を音響共鳴場と活用したことにより、空間をボリューム、穴明き全面積を喉部とするへルムホルツ共鳴器の基本周波数音および倍音、並びに吸音パネルの軸方向および円周方向の側板間に発生する1/2波長の基本周波数音および倍音と一致する低い周波数音の吸音が生ずる。加えて、吸音パネル部内の移動制御反射板の存在によって吸音パネル空間内に生ずる数多くの低周波数の定在波との共鳴に基づく吸音がある。これらの現象により本吸音パネルシステムは、大きな低い周波数音の吸音が可能となり、低周波数音の吸音増大作用をなす音響共鳴空間の増大と移動制御反射板寸法の小型化を達成することができる。
【0020】
また、吸音パネル内壁面の吸音パネル表面板6と移動制御反射板8との距離変化や傾斜形態により、ダクト軸方向に両板間距離変化に対応して両板間に空間変化が生じ、吸音の大きな1/4波長音の周波数がシフトする。傾斜形態では平行形態より、シフト影響を受ける周波数領域が広い。傾斜形態の音の伝播方向に移動制御反射板頭上げした傾斜1形態と、音源方向に移動制御反射板頭上げした傾斜2形態では、移動制御反射板で反射され多孔板6を通過した音が、前者ではダクト伝播音、後者ではダクトからの入射音と異なる角度で相互干渉して低減することになるため、移動制御反射板の位置変化に対応する吸音スペクトおよびスペクトルピークの周波数シフト量が相違する。
【0021】
さらに、上記現象で吸音スペクトル変化が可能となる移動制御反射板8の移動・形態の制御作用の効率促進のために、吸音パネルの形態および位置変位をパラメータに前記吸音パネル部の吸音量情報を予め作成して蓄積したデータバンクを構築し、該データバンクをLMSアルゴリズム処理時に使用して、前記アクティブ吸音制御システム部の安定化向上と制御信号選出・決定の迅速化を図るようにしてある。従って、エンジン変化に対応して最適な吸音スペクトルを得るための移動制御反射板の移動・形態制御が、迅速に且つ安定してできる。
【0022】
【実施例】
本発明の移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムの作用効果を確認するために、図4~図6に示す実験用模型装置を作成し次のような実験を行った。
この実験用模型装置30の基本構成は、図2に示す実施形態と同様な構成であるので、同様な部材については実施形態と同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。この実験用模型装置30では、吸音パネル部を多孔板1枚とアルミワイヤーメシュ2枚を重ねて吸音パネル表面板31を構成し、移動制御反射板8の内側に厚さ20mmのカーボンファイバーマットを貼付して構成した。しかしながら吸音パネル空間内壁には多孔質吸音材を無貼付した試験用アクティブ円筒吸音ダクトを試作し、下記の一連の基礎試験を遂行した。なお、反射板の制御システムのソフト部は使用せず、反射板の移動はモータ手動で行った。
【0023】
移動制御反射板の形態と位置変位に関しては、平行形態は移動制御反射板が多孔板に平行状態を保った状態でその間隔を変化、傾斜1および傾斜2の形態は移動制御反射板の一端を吸音バネル表面板と接触固定させた状態で、他端を音の伝播方向に頭上げ又は音源に対して頭上げを行い、多孔板との間隔を変化させた。吸音試験は、試験用ダクトに騒音入射用ダクトを接続して、2個あるいは3個のスピーカー(ドライバーユニット)から、矩形波、ホワイトノイズ、およびYJ-69エンジン(中心から半径3mの円周上のマイク)で計測された騒音を入射音源とした。
【0024】
吸音パネル部の内壁表面にアルミニウムテープを貼付した剛壁試験ダクトと各種移動制御反射板形態・位置状態で、試験ダクトと同一高さのダクト出口中心半径1mの円周上に置かれた30°、60°および90°(0°位置がダクト中心線上とする)位置マイクで騒音計測し、それらのスペクトル差から吸音スペクトル分布およびO.A.SPLdB(A)の吸音低減効果を求めた。
【0025】
試験の結果、種々のデータが得られたが、例えば図7は、ホワイトノイズを入射した場合の平行形態の移動制御反射板の位置変化に対する30°、60°、90°マイク位置での吸音スペクトルの変化を示し、(a)は移動制御反射板位置が10mmの場合、(b)は50mmの場合を示している。この図において、横軸の1~19は、それぞれの周波数に対応する番号であり、それぞれの番号は、順に、0.25,0.315,0.4,0.5,0.63,0.8,1,1.25,1.6,2,2.5,3.15,4,5,6.3,8,10,12.5,16kHzを表している。
【0026】
この図から例えば、60°マイク位置での移動制御反射板の形態および位置変位により、吸音ピーク周波数を10mmの場合(10)の2kHzから、50mmの場合は(9)1.6kHz及び(4)の0.5kHzへシフトしていることが分かる。このことは、騒音の周波数により移動制御反射板の位置を変化させることににより、幅広い周波数の騒音を吸収することができることを示している。また、シフト量は、傾斜形態でより大きい結果が得られた。なお、本実験装置では、吸音パネル空間内壁には多孔吸音材を無貼付の状態で行っているが、実施形態のように多孔吸音材を貼付することによって、吸音効果がより増加するものと予測される。
【0027】
ホワイトノイズを用いた一連の基礎試験結果から、本発明の移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムは、低い周波数音から翼通過周波数音およびその高調波成分を含む広い周波数領域音を高いレベル10dBO.A.SPLdB(A)の吸音と、吸音ピーク周波数のシフト(40%から50%)が出来ることが分かった。また、同様にYJ-69エンジン騒音を入射音とした一連の基礎試験結果は、本発明の移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムは種々の騒音スペクトルを持つ入射音に対しても、低い周波数音から翼通過周波数音およびその高調波成分を含む広い周波数領域で約8.0OA.SPLdB(A)の高いレベルの吸音が可能であることを明らかになった。これらの実験結果から本発明システムは、エンジン作動変化に対応して、ファン騒音およびタービン騒音を能動的に最適吸音できることが確認された。
【0028】
以上、本発明の移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限るものでなく、その技術的思想の範囲内で種々の設計変更が可能である。また、航空機エンジンにおける吸音パネル部の配置箇所も上記位置に限るものでなく、例えば、ナセル内外壁間の空間の任意の場所やコアエンジンとダクト内壁間の任意の場所に設置してもよい。その場合、騒音発生側に感知センサーを音の伝播方向下流側にエラーセンサーを設置する。また、移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムは、航空機エンジンへの適用に限らず、発電用および非常用ガスタービン、ターボ機械や送風機、送風機や空調器等のダクトやトンネル、並びに激しく変化する騒音が発生する道路、工場、作業場や住居等における騒音発生側に面する壁を多孔板で形成して、吸音パネル表面板とすることによって、それらの設備の騒音低減用として、適用できるものである。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明の移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムによれば、低い周波数音から翼通過周波数音およびその高調波成分を含む広い周波数領域の騒音を、エンジン作動変化等に柔軟に対応して、適合する吸音スペクトルピーク値およびピーク周波数値シフト(例えば30%~40%程度の周波数シフト)並びに広い周波数範囲の騒音スペクトルの高レベル吸音が得られるように、吸音パネル特性値を能動的に制御ができ最適吸音できる。
【0030】
それにより、エンジンの過渡的激しい変化やアクティブシステムの応答遅れに起因しての音響相殺ミスチューニング並びに制御システム不作動のために、騒音低減不能となる状況の発生を回避することができる。また、高音圧レベルのエンジンファン騒音を単独システムで容易、かつ安価に低減することができる。特に、超高バイパス比ファンエンジンにおいて生ずる低い周波数のファン騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る移動制御反射板を用いたアクティブ吸音パネルシステムをジェットエンジンに適用した場合の概略模式図である。
【図2】その要部分解模式図である。
【図3】その要部側面図である。
【図4】本発明を検証するための実験用模型装置に係り、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】図5に示す装置の吸音パネル部の概略斜視図である。
【図6】その作動状態を示す側面図である。
【図7】平行形態の移動制御反射板の位置変化に対する実験用模型装置の吸音スペクトル変化を示し、(a)は移動制御反射板が10mmの平行位置にある場合、(b)は50mmにある場合の状態を示している。
【符号の説明】
1 吸音パネル部 2 アクティブ吸音制御システム部
3 エンジン吸・排気ダクト 4 空間
5 多孔質吸音材 6 吸音パネル表面板
7 ハニカム材 8 移動制御反射板
9 側板 10 ナセル内壁
11 ナセル外壁 12 仕切板
13 バックシート板 14 多孔質吸音材
15 駆動ロッド 16 制御モータ
17 感知センサー 18 エラーセンサー
20 ファン 21 信号処理手段
22 モータ制御ボード 23 モタードライバー
30 実験用模型装置
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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