SOLID ELECTROLYTE FOR ALL-SOLID-STATE SODIUM BATTERY, MANUFACTURING METHOD THEREFOR, AND ALL-SOLID-STATE SODIUM BATTERY
外国特許コード | F200010158 |
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整理番号 | S2018-0806-C0 |
掲載日 | 2020年6月3日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2019JP028881 |
国際公開番号 | WO 2020022342 |
国際出願日 | 令和元年7月23日(2019.7.23) |
国際公開日 | 令和2年1月30日(2020.1.30) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | SOLID ELECTROLYTE FOR ALL-SOLID-STATE SODIUM BATTERY, MANUFACTURING METHOD THEREFOR, AND ALL-SOLID-STATE SODIUM BATTERY |
発明の概要(英語) | A solid electrolyte for an all-solid-state sodium battery represented by the formula Na3-xSb1-xαxS4 (in the formula, α is selected from among elements in which Na3-xSb1-x αxS4 exhibits a higher ion conductivity than Na3SbS4, and x is 0<x<1). |
従来技術、競合技術の概要(英語) |
BACKGROUND ART In recent years, electric vehicles, hybrid vehicles and the like of the vehicle, the solar cell, such as wind power generation apparatus or the like, to store the power demand of a lithium ion battery is increased. However, the lithium-ion battery, a small amount of deposits, and the output destination in order to use the lithium is unevenly distributed, instead of lithium, sodium-rich amount of resources has been proposed to use. Further, from the viewpoint of securing safety, without the use of liquid electrolyte, solid electrolyte is used in the all-solid sodium battery has been actively studied. Is a solid electrolyte, the all-solid sodium battery discharge capacity from the viewpoint of improving physical properties such as, higher ionic conductivity has been demanded. In particular all-solid-state sodium secondary battery, charge and discharge capacity, from the viewpoint of improving the physical properties of the cycle numbers, the higher the ionic conductivity of solid electrolyte which has been obtained. Non-Patent Document 1, A. Banerjee et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55 (2016) 9634.(from this point of view) and H. Wang et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55 (2016) 9551.(Non-Patent Document 2) is, Na3SbS4 indicates a high ionic conductivity, in addition, the atmosphere stability have been reported. |
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国際特許分類(IPC) |
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日本語項目の表示
発明の名称 | 全固体ナトリウム電池用の固体電解質とその製造方法及び全固体ナトリウム電池 |
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発明の概要 | 式:Na3-xSb1-xαxS4(式中、αは、Na3-xSb1-xαxS4がNa3SbS4よりも大きいイオン伝導度を示す元素から選択され、xは0<x<1である)で表される全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 |
特許請求の範囲 |
[請求項1] 下記式: Na 3-xSb 1-xα xS 4 (式中、αは、Na 3-xSb 1-xα xS 4がNa 3SbS 4よりも大きいイオン伝導度を示す元素から選択され、xは0<x<1である) で表される全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項2] 前記αが、6価を示す元素から選択される請求項1に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項3] 前記6価の元素が、W、Mo、Cr、Mn、Ru、Re、Os及びIrから選択される請求項2に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項4] 前記αが、W及びMoから選択される請求項1に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項5] 前記αがWである請求項1に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項6] 前記xは、Na 3SbS 4よりも大きいイオン伝導度を示す固体電解質を提供し得る範囲を示す請求項1に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項7] 前記xが0.05≦x≦0.2である請求項1に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項8] 前記固体電解質が、ガラスセラミック状である請求項1に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項9] 前記固体電解質が、少なくとも結晶質部を含み、前記結晶質部が、立方晶から構成される請求項1に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項10] 前記固定電解質が、ラマンスペクトルにおいて、αS 4由来のアニオンのピークを示す請求項1に記載の全固体ナトリウム電池用の固体電解質。 [請求項11] 請求項1の固体電解質の製造方法であって、固体電解質製造用の原料をメカニカルミリング処理により混合し、得られた混合物をプレスする固体電解質の製造方法。 [請求項12] 前記混合物をプレスした後、200~550℃で0.1時間以上加熱する請求項11に記載の固体電解質の製造方法。 [請求項13] 正極及び負極と、正極と負極間に位置する固体電解質層とを備え、 前記固体電解質層が、請求項1に記載の固体電解質を含む層である全固体ナトリウム電池。 [請求項14] 前記固体ナトリウム電池が、250mAh g -1以上の充放電容量を示す請求項13に記載の全固体ナトリウム電池。 |
明細書 |
技術分野 [0001] 本発明は、全固体ナトリウム電池用の固体電解質とその製造方法及び全固体ナトリウム電池に関する。更に詳しくは、本発明は、全固体ナトリウム電池用の、イオン伝導度の向上した固体電解質とその製造方法、及びそれを含む全固体ナトリウム電池に関する。 背景技術 [0002] 近年、電気自動車、ハイブリッド自動車等の自動車、太陽電池、風力発電等の発電装置等において、電力を貯蔵するためにリチウムイオン電池の需要が増大している。しかし、リチウムイオン電池は、埋蔵量が少なく、かつ産出地が偏在しているリチウムを使用するため、リチウムに代えて、資源量が豊富なナトリウムを使用することが提案されている。 また、安全性の確保の観点から、電解質に液体を使用せず、固体の電解質(固体電解質)を使用した全固体ナトリウム電池が盛んに研究されている。 固体電解質には、全固体ナトリウム電池の放電容量等の物性を向上させる観点から、より高いイオン伝導度が求められている。特に全固体ナトリウム二次電池は、充放電容量、サイクル数等の物性を向上させる観点から、より高いイオン伝導度が固体電解質に求められている。この観点から、A. Banerjee et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55 (2016) 9634.(非特許文献1)及びH. Wang et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55 (2016) 9551.(非特許文献2)では、Na 3SbS 4が高いイオン伝導度を示し、加えて、高い大気安定性を示すことが報告されている。 先行技術文献 非特許文献 [0003] 非特許文献1 : A. Banerjee et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55 (2016) 9634. 非特許文献2 : H. Wang et al., Angew. Chem. Int. Ed., 55 (2016) 9551. 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0004] 上記Na 3SbS 4でもイオン伝導度は十分ではなく、より高いイオン伝導度を示す固体電解質を提供することが望まれていた。 課題を解決するための手段 [0005] 本発明の発明者等は、Na 3SbS 4中のSbの一部を他の金属イオンに置換することを試みた。その結果、5価のSbの一部を、5価以外の元素で置き換えることにより、Na 3SbS 4の構造に欠陥を挿入することで、Na 3SbS 4より高いイオン伝導度を示す固体電解質を提供できることを見いだし本発明に到った。 かくして本発明によれば、下記式: Na 3-xSb 1-xα xS 4 (式中、αはNa 3-xSb 1-xα xS 4がNa 3SbS 4よりも大きいイオン伝導度を示す元素から選択され、xは0<x<1である) で表される全固体ナトリウム電池用の固体電解質が提供される。 また、本発明によれば、上記固体電解質の製法であって、固体電解質製造用の原料をメカニカルミリング処理により混合し、得られた混合物をプレスする固体電解質の製造方法が提供される。 また、本発明によれば、正極及び負極と、正極と負極間に位置する固体電解質層とを備え、前記固体電解質層が、上記固体電解質を含む層である全固体ナトリウム電池が提供される。 発明の効果 [0006] 本発明によれば、より高いイオン伝導度を示す固体電解質とその製造方法、及びそれを用いた全固体ナトリウム電池を提供できる。 また、以下の構成のいずれかを有する場合、より高いイオン伝導度を示す固体電解質を提供できる。 (1)αが、W又はMoである。 (2)xが0.05≦x≦0.2である。 (3)固体電解質が、ガラスセラミック状である。 (4)固体電解質が、少なくとも結晶質部を含み、前記結晶質部が、立方晶から構成される。 (5)固定電解質が、ラマンスペクトルにおいて、αS 4由来のアニオンのピークを示す。 (6)固体電解質製造用の原料をメカニカルミリング処理により混合し、得られた混合物をプレスする。 (7)固体電解質を300MPa以上の圧で加圧し、250~300℃で0.1時間以上加熱する。 図面の簡単な説明 [0007] [図1] Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcを用いた全固体電池のモデル図である。 [図2] Na 3-xSb 1-xW xS 4msのXRDパターンを示す図である。 [図3] Na 3-xSb 1-xW xS 4msのラマンスペクトルを示す図である。 [図4] Na 3-xSb 1-xW xS 4msのDTA曲線を示す図である。 [図5] Na 3-xSb 1-xW xS 4ms、gcのインピーダンスプロットを示す図である。 [図6] Na 3-xSb 1-xW xS 4ms、gcのイオン伝導度の温度依存性を示す図である。 [図7] Na 3-xSb 1-xW xS 4gcのXRDパターンを示す図である。 [図8] Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcのインピーダンスプロットを示す図である。 [図9] Na 3-xSb 1-xW xS 4gcのイオン伝導度と活性化エネルギーを示す図である。 [図10] Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcの直流分極を示す図である。 [図11] 直流分極法における電圧と電流の関係を示す図である。 [図12] Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4のイオン伝導度の温度依存性を示す図である。 [図13] Na 3SbS 4及びNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4のXRDパターンを示す図である。 [図14] Na 3SbS 4が有する正方晶及びNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4が有する立方晶の構造を表す図である。 [図15] Na 2.82Sb 0.88W 0.12S 3.94Cl 0.06gcのイオン伝導度の温度依存性を示す図である。 [図16] Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcの大気暴露後のH 2S発生量を示す図である。 [図17] Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcの大気暴露後のXRDパターンを示す図である。 [図18] Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcを用いた全固体電池を用いて測定した放電特性を表すグラフである。 [図19] Na 2.88Sb 0.88S 4ms、gcのインピーダンスプロットを示す図である。 [図20] Na 2.88Sb 0.88S 4ms、gcのイオン伝導度の温度依存性を示す図である。 [図21] Na 3+xSb 1-xSn xS 4ms、gcのイオン伝導度の温度依存性を示す図である。 [図22] Na 3+xSb 1-xSi xS 4ms、gcのイオン伝導度の温度依存性を示す図である。 発明を実施するための形態 [0008] (全固体ナトリウム電池用の固体電解質) 固体電解質は、下記式: Na 3-xSb 1-xα xS 4 で表される。式中、αはNa 3-xSb 1-xα xS 4がNa 3SbS 4よりも大きいイオン伝導度を示す元素から選択される。αは、一種類からなっていてもよく、複数種の組み合わせからなっていてもよい。 前記αは、6価を示す元素から選択されることが好ましい。例えば、6価の元素は、W、Mo、Cr、Mn、Ru、Re、Os及びIrが挙げられる。特に、6価の元素はW及びMoから選択されるのが好ましく、更に好ましくはWである。 xは0<x<1である。xは、例えば0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.01、0.012、0.015、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、0.75、0.9等の種々の値をとり得る。また、xはαの価数に応じてその範囲が変化する。xは、Na 3SbS 4よりも大きいイオン伝導度を示す固体電解質を提供し得る範囲を示すことが好ましい。更に、xは0.05≦x≦0.2であることがより好ましい。 αは、例えばMnのような7族、B、Al、Ga等の13族、C、Si、Ge、Sn、Pb等の14族、P、As、Bi等の15族で置換されていてもよい。置換量は50原子%未満とし得る。置換量は、例えば、0%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、49%、49.9%等の値をとり得る。 Sは他の元素又は分子で置換されていてもよい。他の元素又は分子としてはF、Cl、Br、I、NO 3、BH 4、PF 6、ClO 4、BH 4、CF 3SO 3、(CF 3SO 2) 2N、(C 2F 5SO 2) 2N、(FSO 2) 2N及び[B(C 2O 4) 2]が挙げられる。置換量はNa 3-xSb 1-xA xS 4-Yβ Yで表わすと、0<Y<3とすることが可能である。βは、一種類からなっていてもよく、複数種の組み合わせからなっていてもよい。 Yは、0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.01、0.012、0.015、0.02、0.05、0.1、0.5、0.75、1.5、2.5、2.9等の種々の値をとり得る。Yはその価数に応じてその範囲が変化する。 [0009] 固体電解質は、ガラス状であっても、ガラスセラミックス状であってもよい。なお、ガラス状とは、実質的に非結晶状態を意味する。ここで、実質的にとは、100%非結晶状態に加えて、結晶状態の固体電解質が微分散している場合を含んでいる。ガラスセラミックス状とは、ガラス状の固体電解質をガラス転移点以上の温度で加熱することにより生じる状態を意味する。 ガラスセラミックス状の固体電解質は、非晶質状態のガラス成分中に、少なくとも結晶質部が分散した状態であってもよい。結晶質部の割合は、例えば0.001%、0.01%、0.1%、1%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、99.9%、100%等の種々の値をとり得る。結晶質部の割合は、ガラスセラミックス全体に対して、50質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよい。なお、結晶質部の割合は固体NMRにより測定可能である。 結晶質部は、立方晶及び/又は正方晶からなっていてもよい。好ましくは、結晶質部は立方晶からなる。 更に、ガラスセラミックス状の固体電解質は、対応するガラス状の固体電解質に存在していたガラス転移点が存在しないものであってもよい。 上記固体電解質は、一種類からなっていてもよく、複数種の混合物からなっていてもよい。 [0010] 上記固体電解質は、ラマン分光法によって得られるラマンスペクトルにおいて、αS 4由来のアニオンのピークを示していてもよい。固体電解質がラマンスペクトルにおいて、このアニオンのピークを示す場合、固体電解質が電解質内にαS 4由来の結晶構造を有していることになるため固体電解質のイオン伝導度を向上できる。 [0011] (固体電解質の製造方法) 固体電解質の製造方法は、その原料を混合可能な方法であれば、特に限定されない。ここで、原料としては、例えば、Na 2S、Sb 2S 3、S及びαS z(zはαの価数に応じて決まる数)元素にβのナトリウム塩が挙げられる。混合可能な方法としては、より均一に各成分を混合する観点から、メカニカルミリング処理が好ましい。 メカニカルミリング処理は、均一に各成分を混合できさえすれば、処理装置及び処理条件には特に限定されない。 処理装置としては、通常ボールミルが使用できる。ボールミルは、大きな機械的エネルギーが得られるため好ましい。ボールミルの中でも、遊星型ボールミルは、ポットが自転回転すると共に、台盤が自転の向きと逆方向に公転回転するため、高い衝撃エネルギーを効率よく発生できるので、好ましい。 処理条件は、使用する処理装置に応じて適宜設定できる。例えば、ボールミルを使用する場合、回転速度が大きいほど及び/又は処理時間が長いほど、原料を均一に混合できる。具体的には、遊星型ボールミルを使用する場合、50~600回転/分の回転速度、0.1~100時間の処理時間、1~100kWh/原料1kgの条件が挙げられる。 上記メカニカルミリング処理により、ガラス状の固体電解質が得られる。ガラスセラミックス状の固体電解質は、ガラス状の固体電解質をガラス転移点以上の温度(例えば、100~400℃)で加熱することにより得ることができる。加熱温度は、例えば100℃、150℃、200℃、250℃、275℃、300℃、350℃又は400℃とし得る。加熱時間は10分~24時間とし得る。例えば、10分、1時間、1.5時間、3時間、6時間、10時間、12時間、20時間又は24時間とし得る。 [0012] (全固体ナトリウム電池) 全固体ナトリウム電池は、一次電池でも、二次電池でもよい。二次電池の場合、充放電容量及び/又はサイクル数を向上できる。全固体ナトリウム電池は、例えば、-100~100℃で使用可能である。 全固体ナトリウム電池は、正極及び負極と、正極と負極間に位置する固体電解質層とを備えている。 固体電解質層は、上記固体電解質を含む層である。 固体電解質層には、上記固体電解質以外に、全固体ナトリウム電池に使用されている他の成分を含んでいてもよい。例えば、P、As、Ti、Fe、Zn、Bi等の金属酸化物、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等の結着材が挙げられる。 固体電解質は、例えば、所定の厚さになるようにプレスすることにより固体電解質層とすることができる。プレスは100~2000MPaとし得る。例えば、100MPa、200MPa、300MPa、360MPa、500MPa、700MPa、1000MPa、1080MPa、1500MPa又は2000MPaとし得る。固体電解質層の厚さは、例えば0.1~1mmとすることができる。例えば、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.9mm又は1.0mmとすることができる。 [0013] 正極は、特に限定されない。正極は、正極活物質のみからなっていてもよく、任意に結着材、導電材、電解質等と混合された正極複合体であってもよい。 正極活物質としては、例えば、Na 4Ti 5O 12、NaCoO 2、NaMnO 2、NaVO 2、NaCrO 2、NaNiO 2、Na 2NiMn 3O 8、NaNi 1/3Co 1/3Mn 1/3O 2、S、Na 2S、FeS、TiS 2、NaFeO 2、Na 3V 2(PO 4) 3、NaMn 2O 4、Na 2TiS 3等が挙げられる。正極活物質はNaNbO 3、Al 2O 3、NiS等の材料で被覆されていてもよい。結着材としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等が挙げられる。 導電材としては、天然黒鉛、人工黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、デンカブラック、カーボンブラック、気相成長カーボンファィバ(VGCF)等が挙げられる。 電解質としては、固体電解質層に通常使用される電解質が挙げられる。本発明の固体電解質を使用することも可能である。 正極(正極複合体)はプレスすることで、ペレット状として得ることができる。 [0014] 負極は、特に限定されない。負極は、負極活物質のみからなっていてもよく、結着材、導電材、電解質等と混合された負極複合体であってもよい。 負極活物質としては、Na、In、Sn、Sb等の金属、Na合金、グラファイト、ハードカーボン、Na 4/3Ti 5/3O 4、Na 3V 2(PO 4) 3、SnO等の種々の遷移金属酸化物等が挙げられる。 結着材、導電材及び電解質は、上記正極の欄で挙げた物をいずれも使用できる。 負極(負極複合体)をプレスすることで、ペレット状として得ることができる。また、負極活物質として金属又はその合金からなる金属シート(箔)を使用する場合、それをそのまま使用可能である。 正極及び/又は負極は、SUS(ステンレススチール)、アルミニウム又は銅等の集電体上に形成されていてもよい。 [0015] 全固体ナトリウム電池は、例えば、正極と、固体電解質層と、負極とを積層し、プレスすることにより得ることができる。 負極と固体電解質層との間には、Au、Pt、In、Al、Sn、Si等から選択される金属層を設けてもよい。また、金属層は、正極と固体電解質層との間に設けられていてもよい。 金属層は、負極及び/又は正極の一部を覆っていてもよいが、よりサイクル寿命を延ばす観点から、全面を覆っていることが好ましい。 [0016] 金属層は、気相法により形成できる。気相法により形成することで、固体電解質層の表面に密着性よく、かつ緻密に形成できる。その結果、充放電時のNaの溶解及び析出により生じるデンドライトの発生を抑制できるため、サイクル寿命を延ばすことが可能となる。また、金属層表面の凹凸が、固体電解質層表面の凹凸より小さくなるように、金属層が形成されていることが好ましい。このように形成することで、固体電解質層と負極及び/又は正極との密着性を向上でき、その結果、長サイクル寿命の全固体ナトリウム二次電池を提供できる。 気相法としては、蒸着法、CVD法、スパッタ法等が挙げられる。この内、蒸着法が簡便である。 本発明による全固体ナトリウム電池は、上記の構成で作製されることにより、250mAh g -1以上の充放電容量を有することができる。 [0017] 金属層の厚さは、Naの溶解及び析出の可逆性を改善できさえすれば特に限定されない。例えば、0.01~10μmの厚さとすることができる。金属層の厚さは、例えば、0.01μm、0.02μm、0.03μm、0.04μm、0.05μm、0.06μm、0.07μm、0.08μm、0.09μm、0.10μm、0.25μm、0.50μm、0.75μm、1.00μm、1.25μm、1.50μm、2.00μm、2.50μm、3.00μm、4.00μm、5.00μm、6.00μm、7.00μm、8.00μm、9.00μm、9.90μm又は10.00μmの値をとり得る。より好ましい厚さは、0.03~0.1μmである。 実施例 [0018] 以下、実施例及び比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。以下の実施例及び比較例において、Na 2Sはナガオ社製(純度>99.1%)、Sb 2S 3は日本精鉱社製(純度>98%)、SはAldrich社製(純度>99.98%)、WS 2はアルドリッチ社製(純度99%)を、MoS 2はアルドリッチ社製(純度不明)を、SnS 2は三津和化学社製(純度99.5%)を、SiS 2はフルウチ化学社製(純度99.9%)を用いた。 [0019] 実施例1 Na 3-xSb 1-xW xS 4の作製 Na 2S、Sb 2S 3、S及びWS 2を下記表1の組成でそれぞれ混合し、遊星型ボールミルに投入した。 [0020] [表1](省略) [0021] 投入後、メカニカルミリング処理することで、ガラス状のNa 3-xSb 1-xW xS 4(milled samples:ms)を得た。 遊星型ボールミルは、Fritsch社製Pulverisette P-7を使用し、ポット及びボールはZrO 2製であり、45mlのポット内に直径4mmのボールが250個入っているミルを使用した。メカニカルミリング処理は、サンプル投入量0.5g、510rpmの回転速度、室温、乾燥アルゴングローブボックス内で5(x=0)、15(x=0.12)あるいは30時間行った。 なお、上記製造法は、Akitoshi Hayashi et al., Journal of Non-Crystalline Solids 356 (2010),p.2670-2673のExperimentalの記載に準じている。 ガラス状のNa 3-xSb 1-xW xS 4 約150mgを室温で5分間プレス(圧力360MPaから1080MPa)することで、厚さ約1mmのNa 3-xSb 1-xW xS 4ペレットを得た。 Na 3-xSb 1-xW xS 4ペレットを250℃(x=0)から275℃で1.5時間または6.0時間加熱しガラスセラミックス状のNa 3-xSb 1-xW xS 4ペレットを得た(glass-ceramics:gc)。 実施例1で得られたペレットに対して、示差熱分析(DTA)を行い、DTA曲線を作成し、ペレットの温度特性を測定した。示差熱測定装置としては、リガク社製のThermo Plus 8120を用いた。 また、実施例1で得られたペレットに対して、交流インピーダンス測定によってインピーダンスプロットを作成してそれぞれの抵抗値を比較した。インピーダンス測定装置としては、ソーラトロン社製のSI-1260を用いた。 さらに、実施例1で得られたペレットに対して、直流分極、イオン伝導度及び電子伝導度を測定した。直流分極、イオン伝導度及び電子伝導度はソーラトロン社製のSI-1287を用いた。 加えて、実施例1で得られたペレットを用いて、XRD(X線回折)を測定してXRDパターンを比較した。X線回折装置としては、リガク製のSmartLabを用いて、CuKα線にて、2θ=10°~90°の範囲で構造解析を行った。 [0022] 実施例2 Na 3-xSb 1-xMo xS 4の作製 Na 2S、Sb 2S 3、S及びMoS 2を以下の表2の組成で混合し、実施例1と同様に0(x=0)又は15時間メカニカルミリング処理をし、ガラス状のNa 3-xSb 1-xMo xS 4を得た。 [0023] [表2] (省略) ガラス状のNa 3-xSb 1-xMo xS 4 約150mgを実施例1と同様の操作で、室温で5分間プレス(圧力360MPa)することで、厚さ約1mmのNa 3-xSb 1-xMo xS 4ペレットを得た。 Na 3-xSb 1-xMo xS 4ペレットを実施例1と同様の操作で、275℃で1.5時間加熱しガラスセラミックス状のNa 3-xSb 1-xMo xS 4ペレットを得た。 [0024] 実施例3 Na 2.82Sb 0.88W 0.12S 3.94Cl 0.06の作製 Na 2S、Sb 2S 3、S、WS 2、NaClを46:14.6:33.3:4:2のモル比になるように混合し、実施例1と同様に30時間メカニカルミリング処理をし、ガラス状のNa 2.82Sb 0.88W 0.12S 3.94Cl 0.06を得た。 ガラス状のNa 2.82Sb 0.88W 0.12S 3.94Cl 0.06 約150mgを実施例1と同様の操作で、室温で5分間プレス(圧力360MPa)することで、厚さ約1mmのNa 2.82Sb 0.88W 0.12S 3.94Cl 0.06ペレットを得た。 Na 2.82Sb 0.88W 0.12S 3.94Cl 0.06ペレットを実施例1と同様の操作で、275℃で1.5時間加熱しガラスセラミックス状のNa 2.82Sb 0.88W 0.12S 3.94Cl 0.06ペレットを得た。 Na 3SbS 4(上記x =0)と、作製したNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4のXRD(X線回折)を測定してXRDパターンを比較した。 [0025] 実施例4 Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4の大気安定性の評価 実施例1で作製したNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4(x=0.12)を用いてガラスセラミックスの大気安定性を評価した。0.1gのNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4ペレットを24~26℃、相対湿度70%の大気に暴露し、その変化をXRDでの測定とH 2Sの発生を100分間の経時的変化を測定することで観測した。H 2Sの発生量は以下の式で計算した。 [0026] (式1) H 2S量=(C×L×10 -6)/M[cm 3g -1] C:H 2S濃度[ppm] L:容積[cm 3] M:試料中の硫黄量[g] [0027] 実施例5 Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcを用いた全固体電池の作製 電解質にNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcを用いた全固体電池を作成した。電池の基本的な構造は図1のようになる。 正極複合体として、アセチレンブラック(AB)、Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gc及びNa 2TiS 3を混合したAB-Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4-Na 2TiS 3を10mg準備し、電解質としてNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcを80mg、負極としてNa-Snを40mg用意しそれらを正極複合体と負極が直接触れ合わないように電解質を間に挟んでSUSに置き、同じく上にSUSを置いて挟み込むようにして電池を作製した。Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4は、実施例1で作製したものを用いた。 得られた電池を、25℃条件下で、0.13mAcm 2の電流密度及び0.8~3.2Vの範囲で5サイクル充放電を行った場合の充放電容量を測定した。 [0028] 比較例1 Na 2.88Sb 0.88S 4の作製 Na 2S、Sb 2S 3、Sを1.44:0.44:1.90のモル比になるように混合し、サンプル投入量を0.6gにすること以外は実施例1と同様に30時間メカニカルミリング処理をし、ガラス状のNa 2.88Sb 0.88S 4を得た。 ガラス状のNa 2.88Sb 0.88S 4 約150mgを実施例1と同様の操作で、室温で5分間プレス(圧力360MPa)することで、厚さ約1mmのNa 2.88Sb 0.88S4ペレットを得た。Na 2.88Sb 0.88S 4ペレットを実施例1と同様の操作で、275℃で1.5時間加熱しガラスセラミックス状のNa 2.88Sb 0.88S 4ペレットを得た。 [0029] 比較例2 Na 3+xSb 1-xSn xS 4の作製 Na 2S、Sb 2S 3、S及びSnS 2を以下の表3の組成でそれぞれ混合し、実施例1と同様の操作でメカニカルミリング処理を3時間し、ガラス状のNa 3+xSb 1-xSn xS 4を得た。 [0030] [表3] (省略) ガラス状のNa 3+xSb 1-xSn xS 4を実施例1と同様の操作で、170℃あるいは230℃で1.5時間加熱し、ガラスセラミックス状のNa 3+xSb 1-xSn xS 4を得た。 [0031] 比較例3 Na 3+xSb 1-xSi xS 4の作製 Na 2S、Sb 2S 3、S及びSiS 2を以下の表4の組成でそれぞれ混合し、実施例1と同様の操作でメカニカルミリング処理を5(x=0)又は15時間し、ガラス状のNa 3+xSb 1-xSi xS 4を得た。 [0032] [表4] (省略) ガラス状のNa 3+xSb 1-xSi xS 4を実施例1と同様の操作で、250℃から280℃の間で1.5時間加熱し、ガラスセラミックス状のNa 3+xSb 1-xSi xS 4を得た。 [0033] (考察) (1)実施例1のNa 3-xSb 1-xW xS 4msのXRD測定 実施例1で得られた4種類のmsペレットのXRDパターンを図2に示す。図2から、SbからWへの置換量を増加させてもパターンに大きな変化がないことと、結晶性がわずかに低下していることがわかる。 [0034] (2)実施例1のNa 3-xSb 1-xW xS 4msのラマンスペクトル測定 実施例1で得られた4種類のペレットのラマンスペクトル測定結果を図3に示す。右の色つきの領域にはWS 2由来のピークが検出される。左の色つきの領域にはWS 4 2-由来のピークが検出される。一番上はNa 3SbS 4のサンプルのスペクトル、一番下はWS 2のサンプルのスペクトル、下から2番目はNa 2WS 4のサンプルのスペクトルが記載されている。ミリング後の試料でWS 2及びWS 4 2-のピークを検出している。SbをWで置換した組成でも、Na 3SbS 4由来のSbS 4 3-のピークが現れていること、及びWS 4 2-骨格のピークが存在していることがわかる。 [0035] (3)実施例1のNa 3-xSb 1-xW xS 4msのDTA曲線の測定 実施例1で得られた4種類のペレットのDTA曲線を図4に示す。W=0.18のサンプルでは明瞭な発熱ピークが検出されない。 [0036] (4)実施例1のNa 3-xSb 1-xW xS 4ms、gcのインピーダンスプロット 実施例1で得られた3種のW配合ペレットのms、gcそれぞれのインピーダンスプロットを図5の(A)から(F)に示す。粒内と粒界の抵抗分離はできないことと、msはgcより大きな抵抗値を示すことがわかる。 [0037] (5)実施例1のNa 3-xSb 1-xW xS 4ms、gcのイオン伝導度の温度依存性 得られた4種類のペレットのms、gcそれぞれの温度依存性のイオン伝導度を、電気伝導度を絶対温度の逆数に対してプロットした結果を図6の(A)、(B)にそれぞれ示す。図6(A)から、msのイオン伝導度はx=0の際が最も大きなイオン伝導度を示す事がわかる。図6(B)から、gcではmsと異なり、イオン伝導度はx=0.12の際が最大のイオン伝導度を示すことがわかる。 [0038] (6)実施例1のNa 3-xSb 1-xW xS 4gcのXRD測定 得られた4種類のgcペレットのXRDパターンを図7に示す。図7中のx=0、及びx=0.12のペレットは、以下の位置に10個の主要なピークを有していた。 x=0 17.40、24.95、30.76、35.23、39.62、43.53、46.86、50.83、53.75、57.37(2θ) x=0.12 17.40、24.78、30.42、35.28、39.64、43.56、47.24、50.80、54.04、57.20(2θ) また、x=0.06とx=0.18のペレットは、x=0.12のペレットと同様に、10個の主要なピークを有していた。x=0.06とx=0.18の10個の主要なピークは、x=0.12の10個の主要なピークの位置の±0.3(2θ)内に位置していた。図7から、熱処理によって結晶性が増加したことや、SbからWへの置換量を増加させても特に目立ったピークシフトが観測されないことが示される。 [0039] (7)実施例1のNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcのインピーダンスプロット 実施例1で用いられるNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcのインピーダンスプロットを図8の(A)から(C)に示す。図8の(A)から(C)から、プレス圧を大きくすることで電気伝導度が増大していることがわかる。 [0040] (8)実施例1のNa 3-xSb 1-xW xS 4gcのイオン伝導度と活性化エネルギー測定 W未置換のペレットと加圧度を変えたNa 3-xSb 1-xW xS 4gc(x=0.12)のペレットを用い、イオン伝導度と活性化エネルギーを測定したものを図9に示す。図9から、プレス圧を大きくすることで電気伝導度が増大し、1080MPaでプレスすることで、室温で1.0×10 -2Scm -1を超えるイオン伝導度の値を示すことがわかる。 [0041] (9)実施例1のNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcの直流分極と電子伝導度 Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcに対して直流分極を測定したものを図10に、直流分極法における電圧と電流の関係を図11に示す。また、Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcの電子伝導度を測定したものを表5に示す。 [0042] [表5] (省略) 表5の値から、Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcの電子伝導度はイオン伝導度に比べかなり低い値をとることがわかる。 [0043] (10)実施例1のNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4のイオン伝導度の温度依存性 Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4gcペレット作製時の加熱時間の違いによってできるサンプルのイオン伝導度の温度依存性を図12に示す。図12から、加熱時間の長いサンプルが、加熱時間の短いサンプルよりも高いイオン伝導度を示すことがわかる。 [0044] (11)実施例1、3並びに比較例1のペレットのイオン伝導度及び活性化エネルギー 実施例1、3並びに比較例1のペレットのイオン伝導度及び活性化エネルギーをまとめたものを表6及び表7に示す。 [0045] [表6] (省略) [表7] (省略) これらの結果から、msとgcとではgcの方が高いイオン伝導度を示し、ペレット作製時に加熱することでより高いイオン伝導度を示すペレットが得られることが分かる。同じく、プレス圧に関してもより高圧にしたサンプルの方がより高いイオン伝導度を示していることがわかる。SbのWへの置換は、Wの割合をあげればあげるほど電気伝導度が上がるわけではなく、x=0.12の際に最も高いイオン伝導度を示す。x=0.12、熱処理時間12時間、プレス圧1080MPaの際、最も高い3.2×10 -2S cm -1のイオン伝導度を示したが、この値はリチウムイオン伝導体の最高値を示すLGPS型電解質Li 9.54Si 1.74P 1.44S 11.7Cl 0.3のイオン伝導度(2.5x10 -2S cm -1)を超えていることがわかる。 [0046] (12)Na 3SbS 4及びNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4の結晶性 Na 3SbS 4及びNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4のXRDパターンを図13(A)及び(B)に示す。図13(A)及び(B)のように、Na 3SbS 4のSbの一部をWで置換することにより、結晶構造が正方晶から立方晶に変化する。また、Na 3SbS 4が有する正方晶構造とNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4が有する立方晶のそれらの構造を図14(A)及び(B)に示す。図14(A)及び(B)に示されているように、正方晶に比べて立方晶は対称性の高い構造であるため、立方晶の方がイオンが通過しやすい。また、Na 3-xSb 1-xW xS 4は正方晶と異なり、Naイオンの欠損(Na空サイトA)が発生するため(例えばNa占有率96%)、イオン伝導度が向上する。 [0047] (13)実施例2のNa 3-xSb 1-xMo xS 4のイオン伝導度及び活性化エネルギー 実施例2のNa 3-xSb 1-xMo xS 4のペレットのイオン伝導度や活性化エネルギーの測定結果を表8に示す。 [0048] [表8] (省略) この結果から、Mo置換サンプルは未置換サンプルよりも高い電気伝導度を示すことがわかる。 [0049] (14)実施例3のイオン伝導度の温度依存性 実施例3のNa 2.82Sb 0.88W 0.12S 3.94Cl 0.06のイオン伝導度の温度依存性とNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4とのイオン伝導度の違いを図15に示す。図15から、Cl置換組成のイオン伝導度は置換前よりも低くなるのがわかる。ただし、この数値はx=0の値よりは高い数値をとる。 [0050] (15)実施例4のNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4の大気安定性の評価 Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4の大気安定性をH 2Sの発生量、XRDパターンでそれぞれ表したのが図16と図17である。図16よりNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4を大気暴露後のH 2Sの発生量はごく少量であることがわかる。図17より、大気暴露後のXRDパターンからはNa 3SbS 4・9H 2Oと同様のパターンが観測された。これより、大気暴露後は水和物を形成するため、H 2Sの発生量がごく少量であると考えられる。 [0051] (16)実施例5のNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4を用いた全固体電池の充放電特性の評価 Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4を用いた全固体電池の充放電特性試験の結果を図18に示す。図18より、本電池が250mAh g -1を超える高い充放電容量を有していることがわかる。以上のことから、Na 2.88Sb 0.88W 0.12S 4は、全固体ナトリウム電池用の固体電解質として極めて有用であることがわかる。 [0052] (17)比較例1のNa 2.88Sb 0.88S 4ms、gcのインピーダンスプロット 比較として未置換サンプルNa 2.88Sb 0.88S 4とW置換サンプルNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4とのインピーダンスの違いを表したのが図19の(A)から(D)である。図19の(A)から(D)から、Na 2.88Sb 0.88S4はNa 2.88Sb 0.88W 0.12S 4より大きな抵抗値を示すことがわかる。 [0053] (18)比較例1のNa 2.88Sb 0.88S 4ms、gcのイオン伝導度の温度依存性 比較として未置換サンプルとW置換サンプルとのイオン伝導度の温度依存性の違いを示したのが図20の(A)と(B)である。図20の(A)と(B)から、Na 2.88Sb 0.88S 4はms、gc共にW置換サンプルよりも低いイオン伝導度を示すことがわかる。 [0054] (19)比較例2のNa 3+xSb 1-xSn xS 4ms、gcのイオン伝導度の温度依存性 比較として未置換サンプルとSn置換サンプルとのイオン伝導度の温度依存性の違いを示したのが図21の(A)と(B)である。図21の(A)と(B)から、ms、gcそれぞれのカテゴリー内において活性化エネルギーはxの増加に伴い増加しているのがわかる。 Na 3+xSb 1-xSn xS 4サンプルのイオン伝導度や活性化エネルギーの測定結果を表9に示す。 [0055] [表9] (省略) この結果から、Sn置換サンプルのイオン伝導度は未置換サンプルのものに比べて低いイオン伝導度を示すことがわかる。 [0056] (20)比較例3のNa 3+xSb 1-xSi xS 4ms、gcのイオン伝導度の温度依存性 比較として未置換サンプルとSi置換サンプルとのイオン伝導度の温度依存性の違いを示したのが図22の(A)と(B)である。図22の(A)と(B)から、SbをSiで置換すると、未添加のものに比べイオン伝導度が減少するのがわかる。 Na 3+xSb 1-xSi xS 4サンプルのイオン伝導度や活性化エネルギーの測定結果を表10に示す。 [0057] [表10] (省略) この結果から、Si置換サンプルにおいてmsよりgcの方が、イオン伝導度が減少するのがわかる。 |
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