ULTRAVIOLET STERILIZATION DEVICE FOR OUTDOOR WATER
外国特許コード | F110002987 |
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整理番号 | S2009-0094-C0 |
掲載日 | 2011年5月10日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2009JP006295 |
国際公開番号 | WO 2010/058607 |
国際出願日 | 平成21年11月21日(2009.11.21) |
国際公開日 | 平成22年5月27日(2010.5.27) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) |
ULTRAVIOLET STERILIZATION DEVICE FOR OUTDOOR WATER
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発明の概要(英語) | An ultraviolet sterilization device which can effectively sterilize outdoor water with ultraviolet light by suppressing increase in the number of bacterial cells due to photoreactivation after sterilization. The ultraviolet sterilization device sterilizes outdoor water (9) by irradiation of ultraviolet light. The ultraviolet sterilization device comprises an ultraviolet light-emitting diode (1) which emits ultraviolet light UVA having a main emission peak of 320-400 nm. By sterilizing the outdoor water (9) with the ultraviolet light UVA emitted from the ultraviolet light-emitting diode (1), increase in the number of bacterial cells due to photoreactivation can be suppressed in the sterilized outdoor water (9). |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 | AE(UTILITY MODEL),AG,AL(UTILITY MODEL),AM(PROVISIONAL PATENT)(UTILITY MODEL),AO(UTILITY MODEL),AT(UTILITY MODEL),AU,AZ(UTILITY MODEL),BA,BB,BG(UTILITY MODEL),BH(UTILITY MODEL),BR(UTILITY MODEL),BW(UTILITY MODEL),BY(UTILITY MODEL),BZ(UTILITY MODEL),CA,CH,CL(UTILITY MODEL),CN(UTILITY MODEL),CO(UTILITY MODEL),CR(UTILITY MODEL),CU(INVENTOR'S CERTIFICATE),CZ(UTILITY MODEL),DE(UTILITY MODEL),DK(UTILITY MODEL),DM,DO(UTILITY MODEL),DZ,EC(UTILITY MODEL),EE(UTILITY MODEL),EG(UTILITY MODEL),ES(UTILITY MODEL),FI(UTILITY MODEL),GB,GD,GE(UTILITY MODEL),GH(UTILITY CERTIFICATE),GM,GT(UTILITY MODEL),HN,HR(CONSENSUAL PATENT),HU(UTILITY MODEL),ID,IL,IN,IS,JP(UTILITY MODEL),KE(UTILITY MODEL),KG(UTILITY MODEL),KM,KN,KP(INVENTOR'S CERTIFICATE)(UTILITY MODEL),KR(UTILITY MODEL),KZ(PROVISIONAL PATENT)(UTILITY MODEL),LA,LC,LK,LR,LS(UTILITY MODEL),LT,LU,LY,MA,MD(UTILITY MODEL),ME,MG,MK,MN,MW,MX(UTILITY MODEL),MY(UTILITY-INNOVATION),MZ(UTILITY MODEL),NA,NG,NI(UTILITY MODEL),NO,NZ,OM(UTILITY MODEL),PE(UTILITY MODEL),PG,PH(UTILITY MODEL),PL(UTILITY MODEL),PT(UTILITY MODEL),RO,RS(PETTY PATENT),RU(UTILITY MODEL),SC,SD,SE,SG,SK(UTILITY MODEL),SL(UTILITY MODEL),SM,ST,SV(UTILITY MODEL),SY,TJ(UTILITY MODEL),TM(PROVISIONAL PATENT),TN,TR(UTILITY MODEL),TT(UTILITY CERTIFICATE),TZ,UA(UTILITY MODEL),UG(UTILITY CERTIFICATE),US,UZ(UTILITY MODEL),VC(UTILITY CERTIFICATE),VN(PATENT FOR UTILITY SOLUTION),ZA,ZM,ZW,EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF(UTILITY MODEL),BJ(UTILITY MODEL),CF(UTILITY MODEL),CG(UTILITY MODEL),CI(UTILITY MODEL),CM(UTILITY MODEL),GA(UTILITY MODEL),GN(UTILITY MODEL),GQ(UTILITY MODEL),GW(UTILITY MODEL),ML(UTILITY MODEL),MR(UTILITY MODEL),NE(UTILITY MODEL),SN(UTILITY MODEL),TD(UTILITY MODEL),TG(UTILITY MODEL)),AP(BW(UTILITY MODEL),GH(UTILITY MODEL),GM(UTILITY MODEL),KE(UTILITY MODEL),LS(UTILITY MODEL),MW(UTILITY MODEL),MZ(UTILITY MODEL),NA(UTILITY MODEL),SD(UTILITY MODEL),SL(UTILITY MODEL),SZ(UTILITY MODEL),TZ(UTILITY MODEL),UG(UTILITY MODEL),ZM(UTILITY MODEL),ZW(UTILITY MODEL)),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) |
日本語項目の表示
発明の名称 |
屋外水の紫外線殺菌装置
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発明の概要 | 【課題】光回復現象による、殺菌後における細菌数の増加を防止して、紫外線で効果的に屋外水を殺菌する。 【解決手段】紫外線殺菌装置は、屋外水9に紫外線を照射して殺菌する。紫外線殺菌装置は、主発光ピークを320nmないし400nmとするUVAの紫外線を照射する紫外線発光ダイオード1を備え、この紫外線発光ダイオード1が照射するUVAの紫外線で屋外水9を殺菌して、殺菌された屋外水9の光回復現象による細菌の増殖を防止している。 |
特許請求の範囲 |
【請求項1】 屋外水(9)に紫外線を照射して殺菌する紫外線殺菌装置であって、 主発光ピークを320nmないし400nmとするUVAの紫外線を照射する紫外線発光ダイオード(1)を備え、この紫外線発光ダイオード(1)が照射するUVAの紫外線で屋外水(9)が殺菌され、殺菌された屋外水(9)の光回復現象による細菌の増殖を防止するようにしてなる屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項2】 前記屋外水(9)が汚水、屋外プール水、魚の養殖池水のいずれかである請求項1に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項3】 前記紫外線発光ダイオード(1)の主発光ピークが350nmないし380nmである請求項1に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項4】 前記紫外線発光ダイオード(1)の出力が、先端から1cm離れた中心線上の放射強度を10mW/cm2以上とする請求項1に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項5】 前記紫外線発光ダイオード(1)に加えて、UVCの紫外線を放射するUVC光源(2)を有する請求項1に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項6】 前記UVC光源(2)の出力が前記紫外線発光ダイオード(1)の出力よりも小さい請求項5に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項7】 前記UVC光源(2)の出力が、1cm離れた放射強度を1μW/cm2以上としてなる請求項6に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項8】 前記UVAの照射強度がUVCの照射強度の500倍以上である請求項1に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項9】 前記UVAの照射強度がUVCの照射強度の1000倍以上である請求項1に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項10】 前記UVAの照射強度がUVCの照射強度の1500倍以上である請求項1に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項11】 UVAの紫外線を照射する紫外線発光ダイオード(1)を内蔵してなる外装ケース(3)を有する請求項1に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項12】 前記紫外線発光ダイオード(1)とUVC光源(2)とを内蔵する外装ケース(3)を有する請求項5に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項13】 前記外装ケース(3)が、内面で紫外線を反射する反射層(4)を有する請求項12に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項14】 前記外装ケース(3)が周囲に周壁(5)を有し、前記紫外線発光ダイオード(1)とUVC光源(2)から放射される紫外線を反射して屋外水(9)に照射するようにしてなる請求項12に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項15】 前記外装ケース(3)が防水構造で、屋外水(9)の液中に配置されてなる請求項12に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項16】 前記外装ケース(3)が、複数の紫外線発光ダイオード(1)を固定している回路基板(6)と、円筒状の細長い紫外線ランプであるUVC光源(2)とを交互に並べて配置している請求項12に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項17】 互いに同軸に配置されてなる、円筒状の外装ケース(23)と透光性を有する移送管(25)とを備え、前記外装ケース(23)の内側であって、前記移送管(25)の外側に複数の紫外線発光ダイオード(1)とUVC光源(2)を配置しており、前記移送管(25)で移送される屋外水(9)を殺菌するようにしてなる請求項12に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項18】 前記移送管(25)に屋外水(9)を移送する循環器(28)を備え、移送管(25)を通過する屋外水(9)に紫外線を照射して屋外水(9)を殺菌する請求項17に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項19】 前記円筒状の外装ケース(23)が内面に反射層(24)を有する請求項18に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項20】 水に対する密閉性と防水性を備え、かつ紫外線発光ダイオード(1)から放射される紫外線を透過させる透明性のある容器(33)を備え、この容器(33)に複数の紫外線発光ダイオード(1)とUVC光源(2)を内蔵しており、屋外水(9)の液中に配置されて、屋外水(9)に紫外線を照射して殺菌するようにしてなる請求項5に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項21】 前記容器(33)が、石英ガラスである請求項20に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項22】 前記容器(33)の内側に、紫外線発光ダイオード(1)とUVC光源(2)とを取り付けてなる固定筒(36)を有し、固定筒(36)の外側に、紫外線発光ダイオード(1)とUVC光源(2)とを固定してなる請求項21に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 【請求項23】 前記固定筒(36)の外周面に反射層(34)を設けてなる請求項22に記載される屋外水の紫外線殺菌装置。 |
明細書 |
【発明の名称】屋外水の紫外線殺菌装置 【技術分野】 本発明は、主として汚水、プール水、魚の養殖池水などのように屋外に排水されて太陽光線に照射される屋外水を紫外線で殺菌する装置に関する。 【背景技術】 殺菌は、我々の日常生活のみならず産業上でも必要不可欠である。一般に、殺菌方法としては、塩素などによる薬剤殺菌、加熱殺菌、紫外線殺菌、オゾン殺菌などが知られているが、薬剤による弊害や環境意識の高まりから、殺菌する対象物が変質しないこと、不要な残留物がないこと、環境に優しいことなどの観点から、より質の高い殺菌技術が求められている。このような背景から、紫外線(UV)を用いた殺菌方法、すなわち紫外線殺菌が広く用いられるようになってきている。 UVによる殺菌は、薬剤による殺菌と異なり、残留するものがなく、安全性において優れている。また、細菌のDNAを破壊することから、薬剤殺菌と違い耐性菌を作らないという利点もある。UVによる殺菌機構については、一般に次の説明がされている。細菌をはじめ、生物の細胞内には遺伝情報をつかさどる核酸(DNA)が存在し、UVが照射されると核酸はその光を吸収し、一部のピリミジン(主にチミン)がピリミジン2量体を形成するため、遺伝子からの転写制御が滞り新陳代謝に支障をきたし死に至るとされる。 紫外線を利用して水を殺菌する装置は開発されている。(特許文献1参照) 図1は、光回復現象によって殺菌された微生物が増殖することを示すグラフである。この図の横軸は時間(分)、縦軸は殺菌前の細菌数を1として殺菌によって減少する大腸菌の細菌数を示している。この図は、主発光ピークを254nmとするUVCの紫外線を、0.01mW/cm2の強度で約30分照射して、細菌数を1/2500に減少し、その後、主発光ピークを365nmとするUVAの光線を0.30mW/cm2の強度で照射して細菌数が増加する状態を示している。この図から明らかなように、UVCの紫外線を照射した後、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射すると、光回復現象によって、約180分後には、1/2500になるまで殺菌されていた大腸菌が、その細菌数が1/20まで増加する。この図の鎖線は、細菌数を1/2500となるまで殺菌した後、光線を照射しない状態であって、細菌数が増加しない状態を示している。この図から、光回復現象によって、殺菌されていた大腸菌は100倍以上にも増殖する。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、以上の弊害を解消することを目的として開発されたもので、本発明の大切な目的は、光回復現象による殺菌後における細菌数の増加を防止して、紫外線で効果的に殺菌できる屋外水の紫外線殺菌装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段及び発明の効果】 本発明の紫外線殺菌装置は、屋外水9に紫外線を照射して殺菌する。紫外線殺菌装置は、主発光ピークを320nmないし400nmとするUVAの紫外線を照射する紫外線発光ダイオード1を備え、この紫外線発光ダイオード1が照射するUVAの紫外線で屋外水9を殺菌して、殺菌された屋外水9の光回復現象による細菌の増殖を防止している。 以上の紫外線殺菌装置は、光回復現象による殺菌後における細菌数の増加を防止して、紫外線でもって太陽光線に照射される屋外水を効果的に殺菌できる特徴がある。図2は、本発明の紫外線殺菌装置が光回復現象を抑制することで、太陽光線に照射される状態においても効果的な殺菌状態を保持できることを示している。この図は、主発光ピークを365nmとするUVAの紫外線を紫外線発光ダイオードでもって70mW/cm2の強度で30分照射して、大腸菌の細菌数を約1/800に減少し、その後、さらに主発光ピークを365nmとする、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射して細菌数が変化する状態を示している。曲線A、B、Cは、細菌数を1/800に殺菌した後、照射する紫外線強度を0.01mW/cm2、0.09mW/cm2、0.30mW/cm2として、細菌数が変化する状態を示している。この図の鎖線は、1/800まで殺菌した後、光線を照射しない状態を示している。この図から明らかなように、UVAの紫外線を照射して大腸菌の細菌数を1/800とするまで殺菌した後、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しても、光回復現象による大腸菌の増殖は起こらない。さらに、UVAの光線を照射することでさらに細菌数が減少することもある。 さらに、図3は、腸炎ビブリオの殺菌状態を示すグラフである。この図は、主発光ピークを254nmとするUVCの紫外線を照射して、腸炎ビブリオの細菌数が約1/700に減少するまで殺菌した後、太陽光線に含まれるUVAの405nmの光線を照射して、腸炎ビブリオが増加する状態と、主発光ピークを365nmとするUVAの紫外線を照射して、腸炎ビブリオの細菌数が約1/700に減少するまで殺菌した後、太陽光線に含まれるUVAの405nmの光線を照射して、腸炎ビブリオが増加する状態とを示している。曲線AはUVCで殺菌された腸炎ビブリオの細菌数を示し、曲線BはUVAの紫外線で殺菌された腸炎ビブリオの細菌数を示している。さらに、鎖線Cは、UVCで細菌数を1/700まで殺菌した後、光線を照射しない状態を、また、鎖線Dは、UVAで細菌数を1/700まで殺菌した後、光線を照射しない状態をそれぞれ示している。この図の曲線Aから明らかなように、UVCの紫外線で殺菌された腸炎ビブリオは、光回復現象によって、180分後には細菌数が1/50に増加する。すなわち、光回復現象によって細菌数が約10倍以上に増殖する。これに対して、UVAの紫外線で殺菌された腸炎ビブリオは、殺菌後に光線を照射しない状態と同じように、180分経過後もほとんど増殖せず光回復現象による細菌の増加は起こらない。 さらに、以上の殺菌装置は、以下の付随的な特徴も実現する。殺菌装置が、紫外線としては可視光線に近いUVAの紫外線発光ダイオードを使用するので、人の目に与える悪影響を防止しながら効果的な殺菌が実現できる。従来の紫外線殺菌は、見えない紫外線を使用するにもかかわらず、人がエリア内に居る場合には消灯して紫外線照射を停止する必要があったが、本発明の紫外線殺菌装置は、目で殺菌状態を確認しながら、人が居る場合もオン・オフの必要がなく、24時間連続点灯して殺菌効果を発揮することができる。また、壁などの人の目に付く場所でも、特別な遮蔽材を設けることなく設置することができる。 本発明の屋外水の紫外線殺菌装置は、屋外水9を、汚水、屋外プール水、魚の養殖池水のいずれかとすることができる。 以上の紫外線殺菌装置は、汚水、屋外プール水、魚の養殖池水を屋外に排水して、太陽光線に照射される状態となっても効果的な殺菌状態にできる特徴がある。とくに、汚水を紫外線で殺菌する装置は、殺菌された汚水を自然の河川や海に排水して、薬剤のように自然環境を悪い影響を与えることがない優れた特徴がある。また、屋外プール水にあっては、塩素などの薬剤を添加することなく効果的に殺菌できるので、スイマーに対する薬害が全くなく、安心して安全に使用できる特徴がある。さらに、魚の養殖にあっては、魚の死滅を防止するために、膨大な量の抗生物質を餌に添加して使用している。この状態で養殖された魚は抗生物質が残存することから食用として決して好ましい状態でない。本発明の殺菌装置は、魚の養殖池水を効果的に殺菌できることから、魚の細菌に起因する死滅を効果的に防止できる。このため、餌に添加する抗生物質量を著しく減少し、抗生物質の残存量を極限できる。このため、安全で安心して食べることができる魚を養殖できる。 本発明の屋外水の紫外線殺菌装置は、紫外線発光ダイオード1の主発光ピークを350nmないし380nmとすることができる。 さらに、本発明の屋外水の紫外線殺菌装置は、紫外線発光ダイオード1に加えて、UVCの紫外線を放射するUVC光源2を有することができる。 図4ないし図6は、汚水を紫外線殺菌して、光回復現象によって細菌数が変化する状態を示すグラフである。これらの図は、紫外線殺菌した後、太陽光線に含まれる365nmのUVAの光線を0.30mW/cm2の強度で照射して細菌数が変化する状態を実線で示し、殺菌した後に光線を照射しない状態での細菌数を鎖線で示している。 図4は、主発光ピークを254nmとするUVCの紫外線を0.02mW/cm2の強度で照射して細菌数が変化する状態を実線で示している。この図から明らかなようにUVCの紫外線で殺菌された細菌は、UVCの紫外線の照射を停止して太陽光線に照射されて細菌数が急激に増加する。すなわち光回復現象によって細菌数は著しく増加する。 これに対して、図5は、主発光ピークを365nmとするUVAの紫外線を70mW/cm2の強度で照射して殺菌した後、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射するものであるが、殺菌された細菌の光回復現象による増殖は起こらない。さらに、図6は、主発光ピークを254nmとし、強度を0.02mW/cm2とするUVCの紫外線と、主発光ピークを365nmとし、強度を70mW/cm2とするUVAの紫外線の両方を一緒に照射して汚水を殺菌して細菌数が増加する状態を示している。この図から、UVCとUVAの両方の紫外線を照射することで、細菌数を約1/5000と極めて効果的な殺菌が実現できることに加えて、UVCとUVAの紫外線で効果的に殺菌したにもかかわらず、光回復現象による細菌数の増加はほとんど起こらない。すなわち、細菌にはUVCとUVAの紫外線が有効に作用して効果的な殺菌が実現できるにもかかわらず、UVAの紫外線を照射することで光回復現象を理想的な状態に抑制できる。したがって、この殺菌装置は、安価な殺菌ランプや紫外線ランプで効果的に殺菌しながら、同時にUVAの紫外線を照射することで光回復現象による細菌の増殖を抑制できるという理想的な殺菌が実現できる。 さらに、本発明の屋外水の紫外線殺菌装置は、UVC光源2の出力を紫外線発光ダイオード1の出力よりも小さくすることができる。 以上の殺菌装置は、UVC光源の出力を紫外線発光ダイオードの出力よりも小さくして、UVC光源と紫外線発光ダイオードの相乗効果で効果的に殺菌できることから、設備コストを低減して極めて効率よく殺菌しながら、光回復現象による殺菌された細菌の増殖を抑制して、効果的な殺菌状態に保持できる特徴がある。 【発明を実施するための最良の形態】 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための紫外線殺菌装置を例示するものであって、本発明は紫外線殺菌装置を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。 図7ないし図10に示す紫外線殺菌装置は、汚水、屋外プール水、魚の養殖池水のいずれかの屋外水にUVAの紫外線を照射して殺菌する。図7と図8の紫外線殺菌装置は、水槽10に蓄える屋外水9の水面の上方にセットされて、屋外水9に向かってUVAの紫外線を照射する。図9と図10の紫外線殺菌装置は防水構造で、屋外水9の液中に配置されて屋外水9に紫外線を照射する。図7と図9の紫外線殺菌装置は、外装ケース3に、UVAの紫外線を照射する紫外線発光ダイオード1を設けている。図8と図10の紫外線殺菌装置は、外装ケース3に、紫外線発光ダイオード1に加えてUVCの紫外線を放射するUVC光源2を設けている。 外装ケース3は、内面で紫外線を反射する反射層4を設けている。これ等の図に示す外装ケース3は、周囲に周壁5を設けて、紫外線発光ダイオード1とUVC光源2から放射される紫外線を効果的に反射して屋外水9に照射している。とくに、UVC光源2を内蔵する外装ケース3は、周壁5でUVCの紫外線が外部に漏れるのを防止する。 外装ケース3は、回路基板6を内蔵しており、この回路基板6に複数の紫外線発光ダイオード1を固定している。図の回路基板6は細長い板状としており、この回路基板6に複数の紫外線発光ダイオード1を複数列に並べて固定している。図7と図9の外装ケース3は、この回路基板6を複数列に並べて配置して、紫外線発光ダイオード1の照射面積を広くしている。ただ、外装ケースは、1枚の回路基板を内蔵して、この回路基板に複数の紫外線発光ダイオードを固定することもできる。また、図8と図10の外装ケース3は、図11の斜視図に示すように、複数の紫外線発光ダイオード1を固定している細長い板状の回路基板6と、円筒状の細長い紫外線ランプであるUVC光源2とを交互に並べて内蔵している。この構造は、回路基板6に固定した複数の紫外線発光ダイオード1とUVC光源2から、広い範囲にムラなく紫外線を照射できる特徴がある。 さらに、図9と図10の紫外線殺菌装置は、防水構造とするために、外装ケース3の開口部を透光プレート7で閉塞している。透光プレート7は、外装ケース3の開口縁を水密に閉塞するために、周壁5の端面との境界部分にパッキン等の防水部材(図示せず)を介在させて外装ケース3に固定している。この透光プレート7は、外装ケース3に内蔵される紫外線発光ダイオード1やUVC光源2から照射される紫外線を透過させて外部に照射する。したがって、この透光プレート7には、紫外線の透過率に優れた石英ガラスを使用する。ただ、透光プレートには、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等も使用できる。 以上の外装ケース3は、全体の形状を箱形の容器形状として、その内部に、複数の紫外線発光ダイオード1を固定している回路基板6を配置し、あるいは、複数の紫外線発光ダイオード1を固定している回路基板6とUVC光源2とを配置している。ただ、本発明の紫外線殺菌装置は、外装ケースの形状や紫外線発光ダイオード及びUVC光源の配置を以上の構造に特定しない。紫外線殺菌装置は、複数の紫外線発光ダイオードを、平面状、棒状、筒状、箱状、球状もしくは任意の形状の取り付け部材の表面及び/又は裏面に並べて取り付けると共に、この取り付け部材を種々の形状の外装ケースに内蔵して、紫外線発光ダイオードから放射される紫外線を、取り付け部材の形状に応じて周囲に放射して、屋外水に照射することができる。 図12と図13の紫外線殺菌装置は、円筒状の外装ケース23に、透光性を有する移送管25を同軸に配管すると共に、外装ケース23の内側に複数の紫外線発光ダイオード1を内蔵しており、これらの紫外線発光ダイオード1から移送管25にUVAの紫外線を照射して、移送管25で移送される屋外水9を殺菌する構造としている。この紫外線殺菌装置は、図12に示すように、ポンプ等の循環器28を介して屋外水9を移送管25に移送させると共に、移送管25を通過する屋外水9に紫外線を照射して屋外水9を殺菌する。円筒状の外装ケース23は、図13に示すように、内面に反射層24を設けている。移送管25は、円筒状のパイプで、石英ガラスで製造して、紫外線発光ダイオード1から照射される紫外線を効率よく透過できるようにしている。複数の紫外線発光ダイオード1は、取り付け部材である回路基板26に固定されると共に、この回路基板26を円筒状の外装ケース23の内側に等間隔で固定している。さらに、図に示す紫外線殺菌装置は、外装ケース23の内側であって、複数の回路基板6の間にUVC光源2を配置している。この紫外線殺菌装置は、紫外線発光ダイオード1からUVAの紫外線を、UVC光源2からUVCの紫外線を同時に照射して、移送管25で移送される屋外水9をより効果的に殺菌できる。 さらに、図14と図15に示す、紫外線殺菌装置は、水に対する密閉性と防水性を備え、かつ紫外線発光ダイオード1から放射される紫外線を透過させる透明性のある容器33に複数の紫外線発光ダイオード1を内蔵している。この紫外線殺菌装置は、図14に示すように、屋外水9の液中に配置して、屋外水9に紫外線を照射して殺菌する。容器33は、底を閉塞してなる円筒状で、上方の開口部を蓋体35で水密に閉塞している。この容器33は、石英ガラスで製造しており、紫外線発光ダイオード1から照射される紫外線を効率よく透過できるようにしている。複数の紫外線発光ダイオード1は、照射方向が外側となる姿勢で容器33内に配置して、紫外線発光ダイオード1から放射される紫外線を四方八方に発散する構造としている。図15の紫外線殺菌装置は、複数の紫外線発光ダイオード1を、取り付け部材である固定筒36の外周面に所定の等間で固定すると共に、この固定筒36を円筒状の容器33の内側に同軸に配置している。図の固定筒36は、外周面に反射層34を設けており、紫外線を効果的に反射して屋外水9に照射している。この構造の紫外線殺菌装置は、小型でかつ広範囲に殺菌効果を実現できる特徴がある。さらに、紫外線殺菌装置は、図の鎖線で示すように、固定筒36の外側に、UVC光源2を配置して、UVAの紫外線とUVCの紫外線を照射して、屋外水9をより効果的に殺菌することもできる。 紫外線発光ダイオード1は、320nmないし400nmの波長域に主発光ピークを有するUVAの紫外線を放射する。より好ましくは、紫外線発光ダイオード1が放射する紫外線の主発光ピークは、350ないし380nmと、さらに狭い波長域とする。主発光ピークをこれ等の波長領域とする紫外線発光ダイオード1は、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子で実現する。この紫外線発光ダイオード1は、可視光線と近紫外線の境界領域を含む光線を照射する。可視光線が380nm以上の波長領域にあるからである。 さらにまた、紫外線発光ダイオード1の出力は、先端から1cm離れた中心線上の放射強度を、たとえば10mW/cm2以上、好ましくは50mW/cm2以上、さらに好ましくは60mW/cm2以上とする。 UVC光源2は、280nm未満の波長域にあるUVCの紫外線を放射する紫外線ランプである。図に示すUVC光源2は、最も一般的な紫外線ランプとして、円筒状の細長いランプを使用している。このように、UVC光源2を備える紫外線殺菌装置は、紫外線発光ダイオード1からUVAの紫外線を照射して殺菌することに加えて、UVC光源2からUVCの紫外線を照射することによる相乗効果で、より効果的に殺菌できる。とくに、紫外線発光ダイオード1でUVAの紫外線を照射することで光回復現象を抑制しながら、UVCとUVAの紫外線を有効に作用させて、より効果的な殺菌が実現できる。このUVC光源2の出力は、紫外線発光ダイオード1の出力よりも小さくすることができる。UVC光源2の出力は、たとえば1μW/cm2以上、好ましくは5μW/cm2以上、さらに好ましくは10μW/cm2以上とする。 紫外線発光ダイオードやUVC光源は、紫外線を直接に屋外水に向かって照射することなく、反射させて間接的に屋外水に向かって照射することもできる。また、紫外線発光ダイオードやUVC光源から放射される紫外線の一部で光触媒を照射し、光触媒との相乗効果で殺菌することもできる。さらに、紫外線の一部で蛍光体等の波長変換材料を照射し、波長変換材料で紫外線を波長変換することもできる。本発明の紫外線殺菌装置は、紫外線発光ダイオードやUVC光源から放射される紫外線で光触媒を活性化することができ、光触媒を併用すると紫外線と活性酸素の相乗効果を利用できる。ただ、光触媒を併用すると、触媒性能のばらつきや劣化、さらには材料費、加工費が増大する。したがって、光触媒や波長変換材料を使用することなく、紫外線発光ダイオードやUVC光源から放射される紫外線をできる限り効率よく屋外水に照射して、効果的な殺菌が実現できる。 図16は、UVAとUVCを用いた単独・併用照射による生存率を示している。ただし、この図は、UVA、UVCを照射して腸炎ビブリオの生存率が変化する状態、すなわちUVA、UVCを照射しない腸炎ビブリオの菌数に対して、UVA、UVCを照射して腸炎ビブリオが殺菌されて菌数が少なくなる比率を生存率として示している。UVAは6分照射して積算光量を36J/cm2、UVCは6分照射して積算光量を0.024J/cm2としている。この図から、UVAのみを照射する状態にあっては、照射されない状態に対して腸炎ビブリオは約1/5に殺菌される。UVCのみを照射する状態にあっては、照射されない照射に対して腸炎ビブリオは約1/10に殺菌される。UVAを照射した後UVCを照射する状態にあっては、照射されない状態に対して約1/46に殺菌され、UVCを照射した後UVAを照射する状態にあっては約1/21に殺菌され、さらにUVAとUVCの両方を同時に照射する状態にあっては、照射しない状態に対して約1/130に殺菌され、UVAとUVCを同時に照射することにより、相乗的に殺菌効果が増強することが明らかとなる。 図17はUVAを照射する積算光量を増加して、腸炎ビブリオの殺菌効果が向上することを示すグラフである。ただし、この図は、UVCを6分照射してその積算光量を一定の0.024J/cm2とし、UVAの照射強度を100mW/cm2とし、その照射時間を変更して積算光量を0~100J/cm2に変化させる状態で腸炎ビブリオが殺菌されて菌数が減少する生存率を示している。この図は、UVAとUVCを照射しない腸炎ビブリオの菌数に対して、UVAとUVCを照射して腸炎ビブリオが殺菌されて菌数が少なくなる比率を示している。この図から明らかなように、UVAの積算光量を増加することで、UVAとUVC同時照射による殺菌効果は著しく増強される。ちなみに、UVAの積算光量を25J/cm2とする状態での生存率は約1/10、36J/cm2とする状態での生存率は約1/100、90J/cm2とする状態での生存率は約1/50000と極めて殺菌効果が強くなる。 図17のグラフにおいて、UVCの積算光量を0.024J/cm2とするので、UVAの積算光量を25J/cm2とする状態ではUVA/UVCは約1000倍、UVAの積算光量を36J/cm2とする状態でのUVA/UVCは1500倍、UVAの積算光量を90J/cm2とする状態でのUVA/UVCは3750倍であるから、UVAの積算光量をUVCの積算光量の500倍以上、好ましくは1000倍以上、さらに好ましくは1500倍以上とすることで、UVAとUVCの両方を照射して殺菌効果を著しく向上することができる。UVAとUVCの積算光量は、照射強度と照射時間の積であるから、UVAとUVCを同時に照射する装置においては、UVA/UVCの積算光量の比率は、UVA/UVCの照射強度の比率となる。 さらに、図18は光触媒である酸化チタンとUVAを併用しての殺菌効果を示している。ただし、この図は、96ウエルプレートに200μlの腸炎ビブリオを106/mlの濃度で入れて、UVAとUVCを照射しての腸炎ビブリオの菌数が減少する率、すなわち生存率を示している。この図もウエルの底は0.5cm2の酸化チタンコートを行っている。UVAのみの照射における生存率は約1/5、酸化チタンのみの生存率は約1/2、酸化チタンにUVAを照射しての生存率は約1/6となる。この図から、酸化チタンとUVAとの殺菌の相乗効果は非常に弱いことが明白となる。 【実施例1】 [紫外線殺菌装置の作製] 以上の紫外線殺菌装置が優れた殺菌効果を有することは、以下の試験で確認される。 LB培地は、脱イオン水に溶解後、オートクレーブにて滅菌(121℃、20分)する。寒天培地は、スターラーバーを入れておき、オートクレーブ後、スターラーで均一に攪拌し、65℃程度に冷めたら、10cmのディスポーザブルプラスチックシャーレ(栄研器材株式会社)に適量を分注し、水平な所に置いて固化させる。 [本実験の指標菌] [菌数の調整法] ・分光光度計 T=(I/I0)×100、A=-logt=log(I0/I)=O.D. [紫外線殺菌装置が紫外線を照射する前の菌数の測定] [紫外線殺菌装置から紫外線を照射] (2) 光回復工程 [紫外線殺菌装置で紫外線を照射した後の菌数の測定] 以上の実験結果を図2に示す。この図は、主発光ピークを365nmとするUVAの紫外線を70mW/cm2の強度で30分照射する殺菌工程によって、大腸菌の細菌数が約1/800に減少し、その後、光回復工程において、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射して細菌数が変化する状態を示している。この図において、曲線A、B、Cは、殺菌後に照射する紫外線強度を0.01mW/cm2、0.09mW/cm2、0.30mW/cm2として、細菌数が変化する状態を示している。さらに、図の鎖線は、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しない状態における細菌数の変化を示している。この図から明らかなように、殺菌工程において、UVAの紫外線を照射して大腸菌の細菌数を1/800とするまで殺菌した後、太陽光線に含まれるUVAの光線を種々の紫外線強度で照射しても、光回復現象による大腸菌の増殖は起こらないことがわかる。さらに、曲線Cで示すように、UVAの光線を照射することで、さらに細菌数が減少することもある。 【実施例2】 殺菌される屋外水の指標菌として、非病原性大腸菌に代わって、腸炎ビブリオ菌を使用し、殺菌工程後の光回復工程において照射する太陽光線に含まれるUVAの光線の紫外線強度を0.30mW/cm2とする以外、実施例1と同様にして細菌数の変化を測定する。 この実験結果を図3に示す。この図は、主発光ピークを365nmとするUVAの紫外線を70mW/cm2の強度で照射する殺菌工程によって、腸炎ビブリオの細菌数が約1/700に減少し、その後、光回復工程において、太陽光線に含まれるUVAの365nmの光線を照射して、腸炎ビブリオの菌数が変化する状態を示している。この図において曲線Bは、光回復工程において照射する紫外線強度を0.30mW/cm2として、細菌数が変化する状態を示し、図の鎖線Dは、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しない状態における細菌数の変化を示している。この図から明らかなように、殺菌工程において、UVAの紫外線を照射して腸炎ビブリオの細菌数を1/700とするまで殺菌した後、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しても、光回復現象による腸炎ビブリオ菌の増殖は起こらないことがわかる。 【実施例3】 紫外線殺菌装置として、図8に示すように、外装ケース3に複数の紫外線発光ダイオード1とUVC光源2とを備えるものを使用し、殺菌される屋外水として汚水を使用する。 この実験結果を図5に示す。この図は、殺菌工程によって、汚水に含まれる細菌数が約1/20に減少し、その後、光回復工程において、菌数が変化する状態を示している。図の実線は、光回復工程において、太陽光に含まれるUVAの光線を照射して、細菌数が変化する状態を示し、図の鎖線は、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しない状態における細菌数の変化を示している。この図から明らかなように、殺菌工程において、UVAの紫外線を照射して汚水に含まれる細菌数を1/20とするまで殺菌した後、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しても、光回復現象による細菌の増殖は起こらないことがわかる。 【実施例4】 殺菌工程において、主発光ピークを254nmとして、強度を0.02mW/cm2とするUVCの紫外線をUVC光源2から照射し、主発光ピークを365nmとして、強度を70mW/cm2とするUVAの紫外線を紫外線発光ダイオード1から照射する以外、すなわち、UVCの紫外線とUVAの紫外線の両方を一緒に15分照射して汚水を殺菌する以外、実施例3と同様にして細菌数の変化を測定する。 この実験結果を図6に示す。この図は、殺菌工程によって、汚水に含まれる細菌数が約1/5000に減少し、その後、光回復工程において、菌数が変化する状態を示している。図の実線は、光回復工程において、太陽光に含まれるUVAの光線を0.30mW/cm2の紫外線強度で照射して、細菌数が変化する状態を示し、図の鎖線は、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しない状態における細菌数の変化を示している。この図から明らかなように、殺菌工程において、UVCとUVAの両方の紫外線を照射することで、細菌数を約1/5000と極めて効果的な殺菌が実現できることに加えて、UVCとUVAの紫外線で効果的に殺菌したにもかかわらず、光回復現象による細菌数の増加はほとんど起こらないことがわかる。とくに、UVC光源の出力を紫外線発光ダイオードの出力よりも小さくするにも関わらず、UVCの紫外線とUVAの紫外線の相乗効果で、極めて効果的に殺菌しながら、光回復現象による殺菌された細菌の増殖を抑制して、効果的な殺菌状態に保持できることがわかる。 [比較例1] 図3の曲線Aは、UVCの紫外線による殺菌後に、光回復工程において、太陽光に含まれるUVAの光線を0.30mW/cm2の紫外線強度で照射して、細菌数が変化する状態を示し、図の鎖線Cは、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しない状態における細菌数の変化を示している。この図から明らかなように、殺菌工程において、UVCの紫外線を照射して腸炎ビブリオの細菌数を1/700とするまで殺菌しても、その後、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射することで、光回復現象によって、180分後には細菌数が1/50に増加する。すなわち、光回復現象によって細菌数が約10倍以上に増殖することがわかる。 [比較例2] 図4の実線は、UVCの紫外線による殺菌後に、光回復工程において、太陽光に含まれるUVAの光線を0.30mW/cm2の紫外線強度で照射して、細菌数が変化する状態を示し、図の鎖線は、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射しない状態における細菌数の変化を示している。この図から明らかなように、殺菌工程において、UVCの紫外線を照射して汚水に含まれる細菌数を1/800とするまで殺菌しても、その後、太陽光線に含まれるUVAの光線を照射することで、光回復現象によって、180分後には細菌数が1/50に増加する。すなわち、光回復現象によって細菌数が約10倍以上に増殖することがわかる。 【産業上の利用可能性】 本発明は、屋外の水を紫外線で殺菌する分野、たとえば汚水、プール水、魚の養殖池水などの種々の分野において利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】紫外線の照射で殺菌された細菌が光回復現象によって増殖する状態を示すグラフである。 【図2】本発明の紫外線殺菌装置が光回復現象を抑制する状態を示すグラフであって、実施例1における大腸菌の殺菌状態を示すグラフである。 【図3】本発明の紫外線殺菌装置が光回復現象を抑制する状態を示すグラフであって、実施例2と比較例1における腸炎ビブリオ菌の殺菌状態を示すグラフである。 【図4】比較例2における光回復現象を示すグラフであって、汚水の殺菌状態を示すグラフである。 【図5】本発明の紫外線殺菌装置が光回復現象を抑制する状態を示すグラフであって、実施例3における汚水の殺菌状態を示すグラフである。 【図6】本発明の紫外線殺菌装置が光回復現象を抑制する状態を示すグラフであって、実施例4における汚水の殺菌状態を示すグラフである。 【図7】本発明の一実施例にかかる紫外線殺菌装置の使用状態を示す概略断面図である。 【図8】本発明の他の実施例にかかる紫外線殺菌装置の使用状態を示す概略断面図である。 【図9】本発明の他の実施例にかかる紫外線殺菌装置の使用状態を示す概略断面図である。 【図10】本発明の他の実施例にかかる紫外線殺菌装置の使用状態を示す概略断面図である。 【図11】図8と図10に示す紫外線殺菌装置の内部構造を示す斜視図である。 【図12】本発明の他の実施例にかかる紫外線殺菌装置の使用状態を示す概略断面図である。 【図13】図12に示す紫外線殺菌装置の内部構造を示す拡大横断面図である。 【図14】本発明の他の実施例にかかる紫外線殺菌装置の使用状態を示す概略断面図である。 【図15】図14に示す紫外線殺菌装置の内部構造を示す拡大横断面図である。 【図16】UVAとUVCを用いた単独、併用照射による細菌の生存率を示すグラフグラフである。 【図17】UVA照射量を変化させた時のUVC併用による殺菌効果の変化を示すグラフである。 【図18】光触媒の酸化チタンとUVA併用による細菌の生存率を示すグラフである。 【符号の説明】 1…紫外線発光ダイオード |
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