METHOD FOR ANALYZING MOVEMENT OF OBJECT TO BE IMAGED BY MEANS OF TAGGED MR IMAGES AND MRI DEVICE
外国特許コード | F110003393 |
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整理番号 | 2421 |
掲載日 | 2011年6月27日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2010JP050173 |
国際公開番号 | WO 2010/125832 |
国際出願日 | 平成22年1月8日(2010.1.8) |
国際公開日 | 平成22年11月4日(2010.11.4) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | METHOD FOR ANALYZING MOVEMENT OF OBJECT TO BE IMAGED BY MEANS OF TAGGED MR IMAGES AND MRI DEVICE |
発明の概要(英語) | The movement of an object to be imaged is analyzed by coding pixels and tracking a code sequence. A method for analyzing the movement of the object by means of tagged MR images includes a step of performing cine-imaging NL times for the same movement of the object using different tagged patterns and acquiring captured NL time-series tagged MR images in a plurality of time phases of the movement of the object, a step of arranging NL pixel values of the pixels of the NL tagged MR images in each time phase into a pixel value sequence of a length NL of the pixels, and a step of detecting pixels where the pixel value sequence constitutes the same code sequence in different time phases and analyzing the movement of the object using the time-series tagged MR images. Each of the tagged pattern is formed so that the pixel value sequence constitutes up a predetermined code sequence. |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 | AE(UTILITY MODEL),AG,AL(UTILITY MODEL),AM(PROVISIONAL PATENT)(UTILITY MODEL),AO(UTILITY MODEL),AT(UTILITY MODEL),AU,AZ(UTILITY MODEL),BA,BB,BG(UTILITY MODEL),BH(UTILITY MODEL),BR(UTILITY MODEL),BW,BY(UTILITY MODEL),BZ(UTILITY MODEL),CA,CH,CL(UTILITY MODEL),CN(UTILITY MODEL),CO(UTILITY MODEL),CR(UTILITY MODEL),CU(INVENTOR'S CERTIFICATE),CZ(UTILITY MODEL),DE(UTILITY MODEL),DK(UTILITY MODEL),DM,DO(UTILITY MODEL),DZ,EC(UTILITY MODEL),EE(UTILITY MODEL),EG(UTILITY MODEL),ES(UTILITY MODEL),FI(UTILITY MODEL),GB,GD,GE(UTILITY MODEL),GH(UTILITY CERTIFICATE),GM,GT(UTILITY MODEL),HN(UTILITY MODEL),HR(CONSENSUAL PATENT),HU(UTILITY MODEL),ID,IL,IN,IS,JP(UTILITY MODEL),KE(UTILITY MODEL),KG(UTILITY MODEL),KM,KN,KP(INVENTOR'S CERTIFICATE)(UTILITY MODEL),KR(UTILITY MODEL),KZ(PROVISIONAL PATENT)(UTILITY MODEL),LA,LC,LK,LR,LS(UTILITY MODEL),LT,LU,LY,MA,MD(UTILITY MODEL),ME,MG,MK,MN,MW,MX(UTILITY MODEL),MY(UTILITY-INNOVATION),MZ(UTILITY MODEL),NA,NG,NI(UTILITY MODEL),NO,NZ,OM(UTILITY MODEL),PE(UTILITY MODEL),PG,PH(UTILITY MODEL),PL(UTILITY MODEL),PT(UTILITY MODEL),RO,RS(PETTY PATENT),RU(UTILITY MODEL),SC,SD,SE,SG,SK(UTILITY MODEL),SL(UTILITY MODEL),SM,ST,SV(UTILITY MODEL),SY,TH(PETTY PATENT),TJ(UTILITY MODEL),TM(PROVISIONAL PATENT),TN,TR(UTILITY MODEL),TT(UTILITY CERTIFICATE),TZ,UA(UTILITY MODEL),UG(UTILITY CERTIFICATE),US,UZ(UTILITY MODEL),VC(UTILITY CERTIFICATE),VN(PATENT FOR UTILITY SOLUTION),ZA,ZM,ZW,EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF(UTILITY MODEL),BJ(UTILITY MODEL),CF(UTILITY MODEL),CG(UTILITY MODEL),CI(UTILITY MODEL),CM(UTILITY MODEL),GA(UTILITY MODEL),GN(UTILITY MODEL),GQ(UTILITY MODEL),GW(UTILITY MODEL),ML(UTILITY MODEL),MR(UTILITY MODEL),NE(UTILITY MODEL),SN(UTILITY MODEL),TD(UTILITY MODEL),TG(UTILITY MODEL)),AP(BW(UTILITY MODEL),GH(UTILITY MODEL),GM(UTILITY MODEL),KE(UTILITY MODEL),LS(UTILITY MODEL),MW(UTILITY MODEL),MZ(UTILITY MODEL),NA(UTILITY MODEL),SD(UTILITY MODEL),SL(UTILITY MODEL),SZ(UTILITY MODEL),TZ(UTILITY MODEL),UG(UTILITY MODEL),ZM(UTILITY MODEL),ZW(UTILITY MODEL)),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) |
日本語項目の表示
発明の名称 | タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法及びMRI装置 |
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発明の概要 | 画素を符号化し、符号系列を追跡することで撮像対象の運動解析を行う。タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、撮像対象の同じ運動に対して、異なるタグパターンよるNL回のcine撮像をすることで、前記撮像対象の前記運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像をNL個得る工程と、各時相のNL個のタギングMR画像における各画素についてのNL個の画素値を、当該画素についての長さNLの画素値系列とする工程と、異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する画素を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、を含み、前記タグパターンそれぞれは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである。 |
特許請求の範囲 |
【請求項1】 タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、 撮像対象の同じ運動に対して、異なるタグパターンよるNL回(NLは2以上の正の整数)のcine撮像をすることで、前記撮像対象の前記運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像をNL個得る工程と、 各時相のNL個のタギングMR画像における同一画素についてのNL個の画素値を、当該画素についての長さNLの画素値系列とする工程と、 異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する画素を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、 を含み、 前記タグパターンそれぞれは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、 ことを特徴とするタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。 【請求項2】 撮像対象の運動を解析する前記工程では、前記画素値系列に基づいて、各画素において混在する複数の符号系列それぞれが占める割合を算出し、当該割合に基づいて、1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出する 請求項1記載の運動解析方法。 【請求項3】 前記符号系列は、直交符号系列である請求項1記載のタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。 【請求項4】 前記符号系列は、拡散符号系列である請求項1記載のタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。 【請求項5】 前記符号系列は、PN系列である請求項1記載のタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。 【請求項6】 前記符号系列は、M系列である請求項1記載のタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。 【請求項7】 タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、 撮像対象に対し、所定のタグパターンでcine撮像することで、前記撮像対象の運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像を得る工程と、 各時相のタギングMR画像に含まれるNL個(NLは2以上の正の整数)の画素それぞれの画素値を、当該NL個の画素からなる領域についての長さNL個の画素値系列とする工程と、 異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する領域を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、を含み、 前記所定のタグパターンは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、 ことを特徴とするタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法。 【請求項8】 撮像対象の運動を解析する前記工程では、各画素の画素値の大きさに基づいて、タグパターンの明領域又は暗領域が各画素の範囲内において本来占めるべき割合を算出し、当該割合に基づいて1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出する 請求項7記載の運動解析方法。 【請求項9】 MRI装置であって、 撮像対象の同じ運動に対して、異なるタグパターンよるNL回(NLは2以上の正数)のcine撮像をすることで、前記撮像対象の前記運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像をNL個得る手段と、 特定の時相のNL個のタギングMR画像における同一画素についてのNL個の画素値からなる画素値系列を、前記特定の時相において当該画素を示す長さNLの符号系列とみなし、前記符号系列と同じ符号系列となる画素値系列を持つ画素を、前記特定の時相以外の時相のNL個のタギングMR画像において検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する手段と、 を備え、 前記タグパターンそれぞれは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、 ことを特徴とするMRI装置。 【請求項10】 撮像対象の運動を解析する前記手段では、前記画素値系列に基づいて、各画素において混在する複数の符号系列それぞれが占める割合を算出し、当該割合に基づいて、1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出する 請求項9記載のMRI装置 【請求項11】 前記符号系列は、直交符号系列である請求項9記載のMRI装置。 【請求項12】 前記符号系列は、拡散符号系列である請求項9記載のMRI装置。 【請求項13】 前記符号系列は、PN系列である請求項9記載のMRI装置。 【請求項14】 前記符号系列は、M系列である請求項9記載のMRI装置。 【請求項15】 MRI装置であって、 撮像対象に対し、所定のタグパターンでcine撮像することで、前記撮像対象の運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像を得る手段と、 特定の時相のタギングMR画像に含まれるNL個(NLは2以上の正の整数)の画素それぞれの画素値からなる画素値系列を、当該NL個の画素からなる領域を示す長さNLの符号系列とみなし、前記符号系列と同じ符号系列となる画素値系列を持つ領域を、前記特定の時相以外の時相のタギングMR画像において検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する手段と、 を備え、 前記所定のタグパターンは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、 ことを特徴とするMRI装置。 【請求項16】 撮像対象の運動を解析する前記手段では、各画素の画素値の大きさに基づいて、タグパターンの明領域又は暗領域が各画素の範囲内において本来占めるべき割合を算出し、当該割合に基づいて1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出する 請求項15記載のMRI装置。 |
明細書 |
【発明の名称】タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法及びMRI装置 【技術分野】 本発明は、タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法及びMRI装置に関するものである。 【背景技術】 心疾患の診断、治療には、心壁の運動を解析することが非常に重要である。心壁運動の詳細な解析には、人体の組織を磁気的に標識するタギングMRI法(非特許文献1参照)が用いられることが多い。タギングMRI法では、時系列タギングMR画像(時系列撮影のMR画像(cine MRI))の解析により、心壁の三次元的な運動を解析することが可能である。 【先行技術文献】 【非特許文献】
【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 タギングMRI法において撮像対象の運動解析を行うには、タギングMR画像の撮影後の後処理として、撮像対象である心壁領域の抽出、画像処理によるタグ位置の検出を行う必要がある。磁気的な格子状の標識部分はタグと呼ばれるが、時間とともにタグのコントラストが低下する。このため、タグ位置の検出処理には、低SN(Signal Noise ratio)画像に頑健な方法が必要である。 非特許文献2には、gaborフィルタバンクを利用する方法等が提案されている。この方法はタグの空間的な広がりを利用するため,組織の大域的な運動の解析には有効であるが、局所的なタグの運動解析では解析誤りが生じやすいという問題がある。 本発明は、タギングMR画像において、画像処理によってタグを抽出するのとは異なる発想によって、撮像対象の運動を解析することを可能とするための技術を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 本発明は、タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、撮像対象の同じ運動に対して、異なるタグパターンよるNL回(NLは2以上の正の整数)のcine撮像をすることで、前記撮像対象の前記運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像をNL個得る工程と、各時相のNL個のタギングMR画像における同一画素についてのNL個の画素値を、当該画素についての長さNLの画素値系列とする工程と、異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する画素を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、を含み、前記タグパターンそれぞれは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、ことを特徴とするタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法である。上記本発明によれば、符号系列の追跡によって撮像対象の運動を解析することができる。 ここで時相とは、撮像対象の運動におけるフェーズをいい、撮像の対象となる運動には、複数の時相(フェーズ)が含まれる。例えば、撮像対象に、移動・変形などの運動を複数回繰り返させることで、同じ運動を複数回cine撮像した場合、複数回のcine撮像で得た複数のcine画像において、同一の時相(運動フェーズ)にあるものは、撮像対象の同じ状態(位置・形状など)を示すことになる。また、複数のcine画像において、異なる時相(運動フェーズ)にあるものは、撮像対象の運動によって異なる状態(位置・形状など)を示すことがある。 なお、画素には、二次元のピクセルだけでなく3次元のボクセルも含む。また、画素値は、輝度値信号であってもよいし、位相値信号であってもよい。 撮像対象の運動を解析する前記工程では、前記画素値系列に基づいて、各画素において混在する複数の符号系列それぞれが占める割合を算出し、当該割合に基づいて、1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出するのが好ましい。この場合、1画素の大きさ未満で運動を解析することができる。 他の観点からみた本発明は、タギングMR画像における撮像対象の運動解析方法であって、撮像対象に対し、所定のタグパターンでcine撮像することで、前記撮像対象の運動における複数の時相について撮像された時系列のタギングMR画像を得る工程と、各時相のタギングMR画像に含まれるNL個(NLは2以上の正の整数)の画素それぞれの画素値を、当該NL個の画素からなる領域についての長さNL個の画素値系列とする工程と、異なる時相において、前記画素値系列が同一の符号系列を構成する領域を検出することで、時系列のタギングMR画像における撮像対象の運動を解析する工程と、を含み、前記所定のタグパターンは、前記画素値系列が、所定の符号系列を構成するようにパターンが形成されたものである、ことを特徴とするタギングMR画像における撮像対象の運動解析方法である。上記本発明においても、符号系列の追跡によって撮像対象の運動を解析することができる。 前記符号系列は、耐ノイズ性に優れたものが好ましく、例えば,直交符号系列であるのが好ましく、また、拡散符号系列であるのが好ましく、さらには、PN系列であるのが好ましく、さらには,M系列であるのが好ましい。 また、更に他の観点からみた本発明は、上記工程を実行することができるMRI装置である。 【発明の効果】 本発明によれば、符号系列の追跡によって撮像対象の運動を解析することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】MRI装置の全体構成図である。 【図2】MRI装置における処理手順を示すフローチャートである。 【図3】cine撮像のフローチャートである。 【図4】MRI撮像のためのパルスシーケンス図である。 【図5】複数回のcine撮像の仕方の説明図である。 【図6】撮像対象の運動解析のフローチャートである。 【図7】複数のcine撮像から画素値系列を生成する仕方を説明する図である。 【図8】画素の移動追跡を示す図である。 【図9】タグパターンを示す図である。 【図10】画素への符号系列の割り当て例を示す図である。 【図11】実験結果を示す画像写真である。 【図12】撮像対象(ファントム)の運動の仕方の説明図である。 【図13】初期時相における画素境界と白黒境界を示す図である。 【図14】第1時相における白黒境界の移動を示す図である。 【図15】第2時相における白黒境界の移動を示す図である。 【図16】符号系列相関値と移動量との関係を示す図である。 【図17】符号系列相関値と移動量との関係を示す図である。 【図18】符号系列相関値と移動量との関係を示す図である。 【図19】サブピクセル解析による解析精度とピクセル解析による解析精度の違いを説明する概念図である。 【図20】本発明の変形例(画像方向への符号化(1次元))を説明する図である。 【図21】初期時相における画素境界と白黒境界を示す図である。 【図22】第1時相における白黒境界の移動を示す図である。 【図23】第2時相における白黒境界の移動を示す図である。 【図24】白黒領域と移動量との関係を示す図である。 【図25】変形例を2次元に拡張した例を説明する図である。 【図26】図25の例において、符号系列を構成する画像パターンの一覧を示す図である。 【図27】変形例を2次元に拡張した他の例を説明する図である。 【図28】図27の例において、符号系列を構成する画像パターンの一覧を示す図である。 【図29】図27の例において、AとA’を区別するための画像パターンを示す図である。 【発明を実施するための形態】 以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。 図1に示すように、このMRI装置1は、静磁場や傾斜磁場を発生させるための磁場発生部2と、撮像対象物にRFパルスを発信するとともに撮像対象物で発生した信号を受信するためのRFコイル3と、を備えている。 磁場発生部2による磁場の発生とRF送信部4によるRFパルスの送信は、制御部6によって制御される。 前記コンピュータ8は、処理プロセッサ9、内部記憶装置及び/又は外部記憶装置を有する記憶部10、ディスプレイ等からなる表示部11を備えている。記憶部10には、MRI装置1を制御するためのコンピュータプログラム、撮像対象の運動解析用のコンピュータプログラム、及びその他必要なコンピュータプログラムがインストールされており、これらのプログラムが処理プロセッサによって実行されることで、以下に説明する処理が実現される。 [2.運動解析処理] [2.1.撮像工程] ステップS1の撮像工程は、具体的には、図3に示すように、1回のcine撮像(ステップS12~S15)を、iが1からNLになるまで(NL回)繰り返すためのループ処理(ステップS11,S16,S17)を含んでおり、このループ内に、1回ごとのcine撮像のための処理(ステップS12~S15)が設けられている。 cine撮像処理(ステップS12~S15)では、まず、コンピュータ8が、撮像に用いるタグパターンを選択する(ステップS12)。コンピュータ8の記憶部19には、第1タグパターンから第NLタグパターンまでNL種類のタグパターンが記憶されており、i(i:1~NL)回目のcine撮像では、第iタグパターンが選択される。なお、NL種類のタグパターンの詳細については後述する。 そして、コンピュータ8は、選択された第iタグパターンのための第iタギングシーケンスを構成するRFパルスを送信部4によって生成させ、RFコイル3から発信させるとともに、第iタギングシーケンスを構成する所定の傾斜磁場を磁場発生部2によって生成する処理を行う(ステップS13)。続いて、コンピュータ8は、第i回目のcine撮像を行うための処理を実行する(ステップS14)。このcine撮像によって得られた時系列タギングMR画像は、コンピュータ8の記憶部10に保存される(ステップS15)。 図4は、1回のcine撮像処理(ステップS12~S15)を行ったときのパルスシーケンスを示している。このパルスシーケンスは、FLASH法によるシーケンス(FLASHシーケンス)であり、このFLASHシーケンスのプレパレーション部分に、選択されたタグパターンを生成するDANTEタギングシーケンスを付加したものである。 また、DANTEタギングシーケンスにおける励起RFパルスには矩形波を利用した。所望のタグパターンを得るには、DANTEタギングシーケンスにおける矩形波のパルス間隔tintを適宜設定するとともに、オフセット周波数f0または各RFパルスに位相オフセットを適宜設定すればよい。ここで、パルス間隔tint及びGxはタグ(画像中の低輝度の標識部分)の間隔dintとは反比例する。また、オフセット周波数f0または各RFパルスの位相オフセットは、タグの中心周波数位置を、任意の位置に移動させる。これらの性質を利用して、パルス間隔tint及びオフセット周波数f0を適宜設定したタギングシーケンスを設計することで、所望のNL種類のタグパターンが得られる。 図5(a)は、図4に示すような1回分のcine撮像処理(ステップS12~S15)をNL回行ったときのパルスシーケンスを示している。ここで、図5(a)における第1タギングシーケンスないし第NLタギングシーケンスは、それぞれ、図4のDANTEタギングシーケンスに対応する。ただし、第1タギングシーケンスないし第NLタギングシーケンスは、それぞれ異なるタグパターンを発生させるためのものである。 各回(1回目からNL回目)のcine撮像(第1cine(#1)~第NLcine(#NL))は、それぞれ、撮像対象の同じ運動を撮像するものである。 [2.2.解析処理工程] ここで、タグが存在する低輝度領域(黒い部分)を+1とし、それ以外の領域(白い部分)を-1とみなすと、長さNLの画素値系列(長さNLの信号)は、長さNLの符号系列で画素値を変調したものと考えることができる。つまり、第1時相における各画素に符号系列が割り当てられていることになる。したがって、撮像対象が運動しない場合、符号系列が特定できればその画素の位置を特定することができる。また、タグは、撮像対象自体に重畳されるものであり、撮像対象の運動に伴って、タグも移動する。したがって、コンピュータ8が、各画素について画素値系列に対応する符号系列を、後述の相関関数の計算によって決定し(ステップS22)、各時相間において同一符号系列を構成する画素の位置を検出・追跡することで(ステップS23)、タグの移動も追跡することができる。したがって、従来のようなタグ位置検出のための画像処理を行わなくても、撮像対象の運動解析が行える。 例えば、図8に示すように、第1時相における画素(x1,y1)が示す撮像対象の部位の移動を追跡したい場合を考える。第1時相における画素(x1,y1)の画素値系列に対応する符号系列がL1である場合、各時相において符号系列がL1となる画素値系列を持つ画素を特定することで、第1時相における画素(x1,y1)が示す撮像対象の部位が、第1時相から第NL時相までの各時相においてどのように移動したかを示す移動軌跡を求めることができる。 ここで、図8において、初期時相(第1時相)におけるタグパターンにおいて画素(x1,y1)に付与された位置情報(符号系列L1)は、撮像対象物の運動により、第MX時相においては画素(x2,y2)に存在するものとする。 さて、画像処理によってタグ領域を抽出する従来の手法では、タグ領域に対応する低輝度領域を検出していたため、正確にはタグ領域の境界のみが運動解析対象であり、それ以外の領域については、内挿による運動の推定を行う必要があった。従来手法で詳細な運動の推定のためには、タグ領域、非タグ領域共に小さくすることが必要となるが、タグ領域、非タグ領域の幅と画素サイズとの関係、あるいは、両領域間の境界が正確な矩形ではないことから、タグ領域、非タグ領域の幅を細くすると、両領域間のコントラストが低下して、検出が困難となる。したがって、心臓の壁運動解析をおこなうためのタギングMRIでは、タグ領域と非タグ領域併せて6mm程度の間隔で繰り返すパターンを用いるのが一般的となっている。 しかしながら、本実施形態の手法を用いると、全ての画素について位置情報を符号化するため、全ての画素に対し、画素サイズでの運動の解析が可能となる。したがって、詳細な運動解析が可能である。 [3.利用可能な符号系列] SSに利用できる符号系列に必要な条件は二つ挙げられる。一つは,位相差τ=0 において自己相関が鋭く、τ=0以外において相関が十分に小さいことである.これはスペクトルを一様に拡散するために必要な条件である。もう一つは、符号系列間の相関が、全ての位相差において十分小さいことである。これは他局間干渉を抑圧するために必要な条件である.これらの条件を満たす系列の一つが,擬似雑音(Pseudo Noise;PN)系列である。狭義のPN系列の定義は,自己相関値が2レベルの値だけを取る周期系列であることと、1周期中の+1と-1の個数がたかだか1つだけしか異ならない周期系列であることである。主なPN系列として、M系列が挙げられる。本実施形態では、符号系列として、このM系列を利用する。 [4.画素値系列から符号系列を特定するための相関関数の計算] 【数式1】 このとき、i=kであれば、φk=NLとなり、i≠kであれば、φk=-1となる。ゆえに、φk(k=1,2,・・・,Ns)を計算して最大値を取るkが、割り当てられた符号系列の番号となる。しかし、実際の通信環境ではSj (i)のままで伝送を行うことができず、アナログ信号として変調を行う場合が多い。ここではアナログ変調の影響を加味した相関関数を考える。Aを変調の深さ、Bを無変調時の信号強度とすると、変調された受信信号sj (i)は、Sj (i)=-1のときB、Sj (i)=1のときB-Aとなるので、 このとき変調信号と符号系列Lkとの相関関数φkは、 ここで、LkがM系列であれば、 [4.2.実施形態における相関関数の計算] このとき、k1はタグと非タグ領域の画素値コントラストであり、k2は非タグ領域の画素値に対応する。これらの値は、理想的にはいずれも定数となる。lij=1のとき、mj (i)=k2-k1となり、画像では低輝度になる。また、lij=-1のとき、mj (i)=k2となり、画像では高輝度になる。したがって、タグ領域を適切に設定することで、MRIの撮影における画素値をスペクトル拡散変調することができる。 このとき、画素値mj (i)(1≦j≦NL)と符号系列Lkの相関関数φkは、 よって、φkが最小となるkがその画素の変調に利用された符号系列を示す。1~NL時相までφkが最小となる画素を辿れば、初期時相で、(x,y)に位置していた画素の移動を追跡することが可能となる。 ただし、実際にMRI装置1で撮像を行うと、撮像の条件によって、符号系列の各要素に対応する画像ごとにk1,k2は異なる。さらに、画素の位置によってもk1,k2は変化する。そのため実際には、数6の式(4)は、 この場合、式5(数8)の式が成り立たず、割り当てられた符号系列Liの特定が困難となる。そこで、画素位置や撮像条件による影響を除去するため、画素値mj (i)の除算を行うと、 k1(x,y,j)/k2(x,y,j)=k3(x,y,j)とすると、k3は、タグのコントラストに相当する。k3(x,y,j)がjに関わらずほぼ一定であると仮定すると、相関関数φkは、 [5.タグパターンの例] 本実施形態では、7符号系列中6符号系列を選択して並べた符号配置を利用した。つまり、Ns=6となる。下記表1は、6つのM系列L1~L6を示している。 表1において、横方向の各列が、一つのタグパターンに対応する。表1の「-1」を高輝度領域、「1」をタグに対応する低輝度領域となるようにDANTEタギングシーケンスを設計した場合の7つのタグパターン(画像中の一部(18×18画素分)の拡大図)を図9に示す。 上記表1のような符号系列を用いると、例えば、撮像対象物の縦緩和時間T1の約2倍の時間まで位置情報を誤り無く符号することができる。 なお、図10では、縦方向にはすべて同一の符号系列が割り当てられている。これは、単純化のため、複数のタグパターンすべてを縦縞状としたためである。しかし、図10において縦方向も異なる符号系列が割り当てられるようにしてもよいのは当然である。横方向及び縦方向において隣接する画素の符号系列が異なるようにするには、複数のタグパターンの中に、横縞状のものや格子状のものを混在させることで実現できる。そのようなタグパターンもタギングシーケンスを適宜設定することで生成可能である。 [6.実験結果] 図11(b)は、左右方向に正弦運動するファントムの時系列画像(第1時相から第33時相まで)において、各時相の画像から、同一位置の領域(垂直方向に1画素×水平方向に約50画素の領域)を切り出し、この短冊状の領域を、時刻(時相)に沿って、図11の縦軸方向に並べたものである。つまり、図11(a)の縦軸は、時間(第1時相から第33時相)を示しており、横軸は、画素位置を示している。 図11(b)は、上記M系列を構成する7個のcine画像のうち、タグ領域(低輝度領域)及び非タグ領域(高輝度領域)それぞれの左右幅が1mm(1画素分)のタグパターン(1画素の幅を1mmとすると図9の第1タグパターンに相当)でファントムを撮影した画像である。 図11(b)及び図11(c)においても、各時相の画像から、同一位置の領域(垂直方向に1画素×水平方向に約50画素の領域)が切り出され、この短冊状の領域が、時刻(時相)順に、図11の縦軸方向に並べられている。 図11(a)に示すように、M系列を用いたタギングMR画像の判定結果では、第13~14時相(上から13~14行目)付近まで、1mm(1画素)間隔で、ファントムの移動(左右方向の正弦運動)をほぼ正しく判定できている。 このように、図11(b)及び(c)のように元画像のタグパターンそのものを追跡する場合には、位置の検出可能な時間が短くなったり、あるいは検出精度が低下したりするのに対し、図11(a)のNL個の画像を用いた符号判定では、比較的長い時間、高い精度で撮像対象の位置を検出することができる。 [7.サブピクセル解析(Sub-Pixel Analysis)] 図13は、タグパターンが付された撮像対象(ファントム)を撮像した時系列タギングMR画像の初期時相(第1時相)における拡大図を示している。図13では、横3画素(X1,X2,X3)×縦2画素(Y1,Y2)の計6画素を示している。 ところが、時間の経過に伴って、撮像対象が移動すると、各画素においては、撮像対象の低輝度領域(黒領域)と高輝度領域(白領域)とが混ざった状態で撮影されることになる。図14は、撮像対象が図13の位置から左に0.25画素分移動したときの実際の位置と撮影した画像における画素値とを示している。また、図15は、撮像対象が図13の位置から左に0.5画素分移動したときの実際の位置と撮像した画層における画素値とを示している。 図14においては、図14(a)に示すように撮像対象は、左に0.25画素分移動している。ただし、画素値(輝度値)は、画素単位でしか得られない。したがって、撮像画像における画素値は、図14(b)に示すように、X2の画素は黒領域となるものの、X1の画素は、白にわずかに黒みがかかった薄い灰色の領域となり、X2の画素は、黒にわずかに白みがかかった濃い灰色の領域となる。なお、図13~及び図15の画素内に描かれたメッシュは、画素値(輝度)の大きさに対応しており、メッシュが荒いほど白(高輝度)に近く、メッシュが細かいほど黒(低輝度)に近いことを示している。 さらに、図15においては、図15(a)に示すように撮像対象は、左に0.5画素分移動している。この場合の画素値は、図15(b)に示すように、X2の画素は黒領域となるものの、X1及びX2の画素は、白と黒の中間の灰色の領域となる。 ここでの黒領域の横幅は、図13に示すように、本来、2画素分であるが、撮像対象が1画素未満の移動を生じると、図14(b)及び図15(b)に示すように黒領域と白領域との境界がぼやけることになる。 このように、両領域の境界がはっきりしない場合においても、先に説明した符号系列の検出(符号判定)は、画素単位で行われる。したがって、図13に示す初期時相において、画素X1が第1符号系列L1に、画素X2が第2符号系列L2に、画素X3が第3符号系列L3に対応しているものとすると、図14の状態では、図13と同様に、画素X1の画素値系列が第1符号系列L1、画素X2の画素値系列が第2符号系列L2、画素X3の画素値系列が第3符号系列L3であると検出される可能性が高い。この場合、撮像対象が左に0.25画素分移動しているにもかかわらず、全く移動していないと判定されることになる。 また、図15の状態では、図14と同様に検出されるか、あるいは、画素X1の画素値系列が第2符号系列L2、画素X2の画素値系列が第3符号系列L3、画素X3の画素値系列が第4符号系列L4であると検出される可能性が高い。前者の場合、撮像対象は左に0.5画素分移動しているにもかかわらず、全く移動していないと判定されることになる。後者の場合、撮像対象は左に0.5画素分しか移動しているにもかかわらず、1画素分移動したと判定されることになる。 1画素未満の移動量を求めるサブピクセル解析(Sub-Pixel Analysis)を行う場合には、図6に示すステップS22において、各画素の画素値系列から、唯一の符号系列を決定するのではなく、各画素において複数の符号系列(L1~L6)が混在している可能性も含めて検出する。 各画素において複数の符号系列(L1~L6)が混在している可能性も含めて検出するには、各画素の画素値系列と複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値を用いる。 図13に示す初期時相のように、画素の境界と撮像対象の白黒領域の境界とが一致している場合、各画素には、複数の符号系列は混在せず、画素値系列は、唯一の符号系列に対応することになる。したがって、各画素の画素値系列と複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値は、理論的には、図13に示すようになる。具体的には、画素X1については、第1符号系列L1との相関が最大となり、他の符号系列L2~L6との相関は最小となる。画素X2については、第2符号系列L2との相関が最大となり、他の符号系列L1,L3~L6との相関は最小となる。画素X3については、第3符号系列L3との相関が最大となり、他の符号系列L1,L2,L4~L6との相関は最小となる。 図14(a)に示すように撮像対象が左に0.25画素分移動すると、各画素には、複数の符号系列が混在することになる。したがって、各画素の画素値系列と複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値は、理論的には、各画素において各符号系列が占める領域の面積の大小に応じた値となる。 さらに、図15(a)に示すように撮像対象が左に0.5画素分移動すると、画素X1については、他の符号系列L3~L6との相関は最小となるのに対し、第1符号系列L1との相関は0.5、第2符号系列L2との相関は0.5というように、各画素において符号系列L1,L2が占める領域の面積の大小に応じた値をとる。画素X2,X3についても同様に、混在する符号系列についてそれらの符号系列が占める領域の面積の大小に応じた値をとる。 処理プロセッサ9は、図14及び図15に記載のような各画素についての複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値に基づいて、それぞれの画素に含まれる1又は複数の符号系列(L1~L6)を特定するとともに、各画素において各符号系列が占める割合を求める。 具体的には、図16~図18に示すように、複数の符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値と、移動量との関係とを規定した情報(移動量特定情報)が、記憶部10に予め設定されており、処理プロセッサ9は、図16~図18に示す情報を参照することで、符号系列の特定等を行う。 図16は、ある画素に、符号系列L1だけが存在している状態(図16の横軸の「0」の位置)から、符号系列L2が進入してきて、その画素が符号系列L2だけで占められた状態(図16の横軸の「1画素」の位置)となるまでの間における、その画素の画素値系列と符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値の変化を示している。 図17は、ある画素に、符号系列L2だけが存在している状態(図17の横軸の「0」の位置)から、符号系列L3が進入してきて、その画素が符号系列L3だけで占められた状態(図16の横軸の「1画素」の位置)となるまでの間における、その画素の画素値系列と符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値の変化を示している。 図18は、ある画素に、符号系列L3だけが存在している状態(図18の横軸の「0」の位置)から、符号系列L4が進入してきて、その画素が符号系列L4だけで占められた状態(図18の横軸の「1画素」の位置)となるまでの間における、その画素の画素値系列と符号系列(L1~L6)それぞれとの相関値の変化を示している。 なお、図16~図18には、図13~図15における撮像対象の動きに関連する3つの情報(移動量特定情報)だけを示したが、実際には、1つの画素に同時に存在する可能性がある符号系列の組み合わせの数だけの情報が記憶部10に設定されている。 処理プロセッサ9は、例えば、画素X1について図14(a)示すような各符号系列(L1~L6)との相関値が得られた場合、記憶部10に記憶されている情報(移動量特定情報)をサーチして、得られた相関値とフィットする情報を選択する。ここでは、1つ前の時相(初期時相;図13)において、画素X1の符号系列は符号系列L1であるから、記憶部10に記憶されている情報のうち、横軸=0の位置において符号系列L1との相関値が最大となっている図16の情報が選択される。 同様にして、図14(a)に示す他の画素及び図15(a)に示す画素についても、混在する符号系列及び進入してきた符号系列の移動量(その画素に占める割合)を求めることができる。 なお、図13~図15のように、単純な左右方向の往復運動(正弦運動)の場合、各符号系列の占める割合だけからでも、撮像対象の移動方向を特定することが可能であるが、より複雑な運動となった場合には、各画素における符号系列の割合の変化の仕方を、連続する複数の時相間で検証することで、移動方向を推定することが可能である。 以上のようなサブピクセル解析を行うことで、1画素の大きさ未満での撮像対象の運動量を算出することができる。 [8.変形例] しかも、符号系列(位置情報)を割り当てる対象を、1個の時系列タギングMR画像におけるNL個の画素からなる画像領域とした場合、符号系列は、NL方向ではなく、画像方向(2次元画像のX方向若しくはY方向、又は3次元画像のX方向,Y方向若しくはZ方向)に形成することができる。この場合、複数の時系列タギングMR画像を撮像する必要がなくなり、撮像時間を短縮することができる。 図20は、画像方向(X方向)に符号系列「1,-1,-1,1,-1,1,1」を割り当てた例を示している。この場合、時相(時刻)t=0において、画像の左端に位置していた前記符号系列を有する領域は、後の時相(時刻)t=t1においては、撮像対象(人体組織)の運動により、画像の右方へ移動している。時相t=t1において、前記符号系列が割り当てられている領域を検出するには、時相t=t1の画像において、前記符号系列「1,-1,-1,1,-1,1,1」との相関をとり、相関値が大きくなる位置を検出することで行える。 [9.変形例におけるサブピクセル解析] タグパターンにおける黒領域の輝度を「0」、白領域の輝度の輝度を「1」とした場合、白領域画素に黒領域部分が移動してきた場合の画素値(輝度)と移動量とは、図24(a)のように示される。また、黒領域画素に白領域部分が移動してきた場合の画素値(輝度)と移動量とは、図24(b)のように示される。 なお、図24の画素値は、同じ撮像対象の同じ運動についてタグパターンが付されていない時系列MR画像における画素値で正規化したものである。撮像対象の位置によっては、同じ白領域又は黒領域であっても画素値が異なることがあり、また、時間が経つにつれてタグパターンが消失(例えば、黒領域も白領域となる)するが、上記の正規化を行っておくことで、条件により異なる画素値(輝度)が得られても、図24に示す関係を適用することができる。また、正規化は、タグパターンが付されていない時系列MR画像における画素値ではなく、同一時相における白領域若しくは黒領域の画素値又はそれらのコントラストを用いて行っても良い。 図24に示す関係(移動量特定情報)を用いて、移動量を求めるには、まず、画素値から、画素内において白領域が占める割合fwと、黒領域が占める割合fBを求める。これらの割合fw,fBは、ある画素の画素値を、正規化することによって得られる。 割合fw,fBが求まると、図24に示す関係を用いて、それらの 割合fw,fBから算出対象画素への白領域又は黒領域の進入量(移動量)を1画素未満の大きさで求めることができる。なお、移動方向は、過去の時相における白領域又は黒領域の配置や算出対象画素の周囲の画素の画素値に基づいて推定可能であるが、規則的な左右方向の正弦運動を前提とする場合、移動量がわかるだけで運動解析が可能である。 [10.変形例の2次元(多次元)への拡張] 図25及び図26は、図20に示す変形例を2次元に拡張した例を示している。図25及び図26に示す例では、1つの符号系列(位置情報)が割り当てられる画素の領域は、2次元の領域(3画素×3画素)となっている。 このようなタグパターンを撮像対象に印加すると、図25(a)に示すように、2次元空間で、20個(縦4画素×横5画素)の画素(図25(b)のA-T)を1単位として左右上下に繰り返す白黒パターンが形成される。 図27~図29は、変形例を2次元に拡張した他の例を示している。 このようなタグパターンを撮像対象に印加すると、図27(a)に示すように、2次元空間で、30個(縦5画素×横6画素)の画素(図27(b)のA-Y(A’,F’,K’,P’,U’を含む))を1単位として左右上下に繰り返す白黒パターンが形成される。 A’,F’,K’,P’,U’の画素と、A,F,K,P,Uの画素との区別については、図29に示すように、9個の画素(自身の画素及びその近傍の8個の画素;3×3画素の領域)よりもさらに周辺の画素(例えば、自身の画素及びその近傍の24個の画素;5×5画素の領域)に注目することにより判別することが可能である。なお、30個の画素全部について、5×5画素の領域で符号化をしてもよい。 なお、以上説明した変形例において特に説明しない点については、図1~図10に関して説明した内容に即して実施することができる。 なお、上記において開示した事項は、例示であって、本発明を限定するものではなく、様々な変形が可能である。 【符号の説明】 1 MRI装置 |
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