DEVICE FOR PRODUCING ALUMINUM NITRIDE CRYSTAL GRAINS, METHOD FOR PRODUCING ALUMINUM NITRIDE CRYSTAL GRAINS, AND ALUMINUM NITRIDE CRYSTAL GRAINS
外国特許コード | F120006630 |
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整理番号 | S2010-0931 |
掲載日 | 2012年5月17日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2011JP065221 |
国際公開番号 | WO 2012002545 |
国際出願日 | 平成23年7月1日(2011.7.1) |
国際公開日 | 平成24年1月5日(2012.1.5) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | DEVICE FOR PRODUCING ALUMINUM NITRIDE CRYSTAL GRAINS, METHOD FOR PRODUCING ALUMINUM NITRIDE CRYSTAL GRAINS, AND ALUMINUM NITRIDE CRYSTAL GRAINS |
発明の概要(英語) | Provided are aluminum nitride crystal grains in which each individual grain has a grain size of 0.05 µm to 1 µm and a shape selected from any of a hexagonal prism, a hexagonal drum shape, a hexagonal pyramid, or two hexagonal pyramids where the base surfaces thereof are joined together. A production device (1A) comprises: a first reaction chamber (7a) for generating aluminum chloride gas by reacting hydrogen chloride gas and aluminum heated to a temperature that is the melting point of the aluminum or lower; a second reaction chamber (2a) for growing aluminum nitride crystal grains by reacting ammonia gas and the aluminum chloride gas; a heater (3) for heating the first reaction chamber (7a) and the second reaction chamber (2a); and a shroud (9) for separating the ammonia gas and the aluminum chloride gas up to the second reaction chamber (2a). As a result, a device for producing aluminum nitride crystal grains can be provided with which aluminum nitride crystal grains that are single crystals can be efficiently produced. |
従来技術、競合技術の概要(英語) |
BACKGROUND ART Aluminum nitride crystal grains, the electronic device of the substrate and the high temperature, high corrosion resistance ceramics for structural material (for example AlN, such as SiAlON) used in the raw material. As a method of manufacturing an aluminum nitride crystal particles, is for example reducing nitriding method or combustion method. Is Patent Document 1, aluminum raw material that contains, in an atmosphere including nitrogen combustion synthesis by a method of producing the aluminum nitride-based fluorescent material disclosed. Is Patent Document 2, raw materials comprising the aluminum component, in an atmosphere containing nitrogen after the nitriding treatment, and by firing at temperatures in excess of 1050 °C aluminum nitride-based fluorescent material has been disclosed a method of producing. Non-patent document 1 is, as described for the synthesis of the aluminum nitride powder is. The non-patent document 2, aluminum nitride fluorescent material are described. Non-patent document 3, is 4, using aluminum chloride gas and ammonia is described for preparing a thin film of aluminum nitride. |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 |
National States: AE AG AL AM AO AT AU AZ BA BB BG BH BR BW BY BZ CA CH CL CN CO CR CU CZ DE DK DM DO DZ EC EE EG ES FI GB GD GE GH GM GT HN HR HU ID IL IN IS JP KE KG KM KN KP KR KZ LA LC LK LR LS LT LU LY MA MD ME MG MK MN MW MX MY MZ NA NG NI NO NZ OM PE PG PH PL PT RO RS RU SC SD SE SG SK SL SM ST SV SY TH TJ TM TN TR TT TZ UA UG US UZ VC VN ZA ZM ZW ARIPO: BW GH GM KE LR LS MW MZ NA SD SL SZ TZ UG ZM ZW EAPO: AM AZ BY KG KZ MD RU TJ TM EPO: AL AT BE BG CH CY CZ DE DK EE ES FI FR GB GR HR HU IE IS IT LT LU LV MC MK MT NL NO PL PT RO RS SE SI SK SM TR OAPI: BF BJ CF CG CI CM GA GN GQ GW ML MR NE SN TD TG |
日本語項目の表示
発明の名称 | 窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置、窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法および窒化アルミニウム結晶粒子 |
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発明の概要 | 粒子の形状が各々独立した六角柱、六角鼓形、六角錐台、及び、2つの六角錐台の底面同士が結合された形状のうち何れかであり、粒径が0.05μm以上1μm以下である、窒化アルミニウム結晶粒子が提供される。また、製造装置1Aは、塩化水素ガスと、融点以下の温度に加熱されたアルミニウムとを反応させて、塩化アルミニウムガスを発生させる第1の反応室7aと、アンモニアガスと塩化アルミニウムガスとを反応させて、窒化アルミニウム結晶粒子を成長させる第2の反応室2aと、第1の反応室7a及び第2の反応室2aを加熱する加熱装置3と、アンモニアガスと塩化アルミニウムガスとを第2の反応室2aまで隔離するシュラウド9とを備える。これにより、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を効率よく製造することができる窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置を提供できる。 |
特許請求の範囲 |
請求の範囲 [請求項1] 粒子の形状が各々独立した六角柱、六角鼓形、六角錐台、及び、2つの六角錐台の底面同士が結合された形状のうち何れかであり、粒径が0.05μm以上1μm以下である、窒化アルミニウム結晶粒子。 [請求項2] 塩化水素ガスと、融点以下の温度に加熱されたアルミニウムとを反応させて、塩化アルミニウムガスを発生させる第1の反応室と、 アンモニアガスと前記塩化アルミニウムガスとを反応させて、窒化アルミニウム結晶粒子を成長させる第2の反応室と、 前記第1の反応室及び前記第2の反応室を加熱する加熱装置と、 前記アンモニアガスと前記塩化アルミニウムガスとを前記第2の反応室まで隔離するシュラウドと を備えている、窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置。 [請求項3] 前記窒化アルミニウム結晶粒子は、排気管に設置された繊維性フィルタにより捕集される、請求項2記載の窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置。 [請求項4] 前記第2の反応室の温度は、1350℃以上1450℃以下の範囲内である、請求項2又は3記載の窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置。 [請求項5] シュラウドによりアンモニアガスから隔離された第1の反応室に設置されたアルミニウムを該アルミニウムの融点以下の温度に加熱し、前記アルミニウムと前記第1の反応室へ供給された塩化水素ガスとを反応させて、前記第1の反応室で塩化アルミニウムガスを発生させ、前記塩化アルミニウムガスとアンモニアガスとを第2の反応室で反応させて、前記第2の反応室で窒化アルミニウム結晶粒子を成長させる、窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法。 [請求項6] 前記窒化アルミニウム結晶粒子は、排気管に設置された繊維性フィルタにより捕集される、請求項5記載の窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法。 [請求項7] 前記第2の反応室の温度は、1350℃以上1450℃以下の範囲内である、請求項5又は6記載の窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法。 [請求項8] シュラウドによりアンモニアガスから隔離された第1の反応室に設置されたアルミニウムを該アルミニウムの融点以下の温度に加熱し、前記アルミニウムと前記第1の反応室へ供給された塩素原子とを含むガスと反応させて、前記第1の反応室で塩化アルミニウムガスを発生させ、前記塩化アルミニウムガスとアンモニアガスとを第2の反応室で反応させて、前記第2の反応室で窒化アルミニウム結晶粒子を成長させることにより製造された、窒化アルミニウム結晶粒子。 [請求項9] 前記窒化アルミニウム結晶粒子の形状は、各々独立した六角柱、六角鼓形、六角錐台、及び、2つの六角錐台の底面同士が結合された形状のうち何れかであって、 前記窒化アルミニウム結晶粒子の粒径は、0.05μm以上1μm以下である、請求項8記載の窒化アルミニウム結晶粒子。 |
明細書 |
明 細 書 発明の名称 : 窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置、窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法および窒化アルミニウム結晶粒子 技術分野 [0001] 本発明は、窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置、窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法および窒化アルミニウム結晶粒子に関する。 背景技術 [0002] 窒化アルミニウム結晶粒子は、電子素子の基板や高温・高耐食性構造材用セラミックス(例えばAlN、SiAlONなど)の原料に用いられている。窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法としては、例えば還元窒化法や燃焼法がある。特許文献1には、アルミニウムを含む原料を、窒素を含む雰囲気中で燃焼合成させることにより窒化アルミニウム系蛍光体を製造する方法が開示されている。特許文献2には、アルミニウム成分を含む原料を、窒素を含む雰囲気中で窒化処理した後、1050℃を越える温度で焼成することにより窒化アルミニウム系蛍光体を製造する方法が開示されている。非特許文献1には、窒化アルミニウムの粉体合成について記載がある。非特許文献2には、窒化アルミニウム蛍光体について記載がある。非特許文献3,4には、塩化アルミニウムガスとアンモニアガスを用いる窒化アルミニウムの薄膜作製について記載がある。 先行技術文献 特許文献 [0003] 特許文献1 : 特開2005-54182号公報 特許文献2 : 特開2006-199876号公報 非特許文献 [0004] 非特許文献1 : 「新時代を拓くナイトライドセラミックス」、第III部第1章、ティー・アイ・シー(2001) 非特許文献2 : H.Hirosaki, R.-J.Xie ,K.Inoue, T.Sekiguchi, B.Dierre, K.Tamura,"Blue-emitting AIN:Eu2+nitride phosphor for field emission displays", Appl.Phys.Lett.91, 061101 (2007). 非特許文献3 : K.Kumagai, T.Yamane, T.Miyaji, H.Murakami, Y.Kangawa and A.Koukitu, "Hydride vaporphase epitaxy of AIN: thermodynamic analysis of aluminum source and its applicationto growth", phys.stat.sol.(c), 0, 2498-2501 (2003). 非特許文献4 : Y-H.Liu, T.Tanabe, H.Miyake, K.Hiramatsu, T.Shibata, M.Tanaka andY.Masa, "Growth of thick AIN layer by hydride vapor phase epitaxy", Jpn.J.Appl.Phys.44, L505-L507 (2005). 非特許文献5 : P.Greil, M.Kulig, D.Hotza, H.Lange and R.Tischtau, "Aluminium nitride ceramics with high thermal conductivity from gas-phase synthesized powders", J. the European Ceram. Soc. 13, 229-237 (1994). 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0005] しかしながら、上記した方法(非特許文献3,4を除く)で得られる結晶は多結晶であり、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を製造することは困難である。また、多結晶の窒化アルミニウム結晶粒子は、大型窒化アルミニウム結晶育成用の種結晶として利用することができない。さらに、多結晶の窒化アルミニウム結晶粒子は、窒化アルミニウム結晶粒子を母体とする蛍光体の大幅な高効率化を図ることができない。 [0006] 本発明は、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を効率よく製造することができる窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置および該製造装置を用いた窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法を提供すること、及び本発明による製造装置を用いた製造方法により製造された窒化アルミニウム結晶粒子を提供することを目的とする。 課題を解決するための手段 [0007] 本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子は、粒子の形状が各々独立した六角柱、六角鼓形、六角錐台、及び、2つの六角錐台の底面同士が結合された形状のうち何れかであり、粒径が0.05μm以上1μm以下である。 [0008] また、本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置は、塩化水素ガスと、融点以下の温度に加熱されたアルミニウムとを反応させて、塩化アルミニウムガスを発生させる第1の反応室と、アンモニアガスと塩化アルミニウムガスとを反応させて、窒化アルミニウム結晶粒子を成長させる第2の反応室と、第1の反応室及び第2の反応室を加熱する加熱装置と、アンモニアガスと塩化アルミニウムガスとを第2の反応室まで隔離するシュラウドとを備えている。 [0009] 上記した窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置では、窒化アルミニウム結晶粒子の製造に塩化アルミニウムを用いる。また、アルミニウムの温度を融点以下の温度にすることにより、石英ガラスを腐蝕させるAlCl(アルミニウム塩化物)の生成を抑制することができる。これにより、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を高い割合で含む粉末を製造することが可能となるため、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を効率よく製造することができる。また、第1の反応室がシュラウドによりアンモニアガスから隔離されている。これにより、第2の反応室の温度が例えば1350℃以上の高温になる場合であっても、第1の反応室に設置されたアルミニウムが融点以上の温度に加熱されることを防ぐことができる。 [0010] なお、ここでいう窒化アルミニウム結晶粒子は、排気管に設置された繊維性フィルタにより捕集されてもよい。これにより、効率的に窒化アルミニウム結晶粒子を捕集することができる。 [0011] なお、第2の反応室の温度は、1350℃以上1450℃以下の範囲内であってもよい。これにより、製造された窒化アルミニウム結晶粒子の粒径を均一にすることができる。 [0012] 本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法は、シュラウドによりアンモニアガスから隔離された第1の反応室に設置されたアルミニウムを該アルミニウムの融点以下の温度に加熱し、前記アルミニウムと前記第1の反応室へ供給された塩化水素ガスとを反応させて、前記第1の反応室で塩化アルミニウムガスを発生させ、前記塩化アルミニウムガスとアンモニアガスとを第2の反応室で反応させて、前記第2の反応室で窒化アルミニウム結晶粒子を成長させる。 [0013] 上記した窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法では、窒化アルミニウム結晶粒子の製造に塩化アルミニウムを用いる。また、アルミニウムの温度を融点以下の温度にすることにより、石英ガラスを腐蝕させるAlCl(アルミニウム塩化物)の生成を抑制することができる。これにより、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を高い割合で含む粉末を製造することが可能となるため、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を効率よく製造することができる。また、第1の反応室はシュラウドによりアンモニアガスから隔離されている。これにより、第2の反応室の温度が例えば1350℃以上の高温になる場合であっても、第1の反応室に設置されたアルミニウムが融点以上の温度に加熱されることを防ぐことができる。 [0014] なお、ここでいう窒化アルミニウム結晶粒子は、排気管に設置された繊維性フィルタにより捕集されてもよい。これにより、効率的に窒化アルミニウム結晶粒子を捕集することができる。 [0015] なお、第2の反応室の温度は、1350℃以上1450℃以下の範囲内であってもよい。これにより、製造された窒化アルミニウム結晶粒子の粒径を均一にすることができる。 [0016] 本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子は、シュラウドによりアンモニアガスから隔離された第1の反応室に設置されたアルミニウムを該アルミニウムの融点以下の温度に加熱し、第1の反応室へ供給された塩化水素ガスと反応させて、第1の反応室で塩化アルミニウムガスを発生させ、塩化アルミニウムガスとアンモニアガスとを第2の反応室で反応させて、第2の反応室で窒化アルミニウム結晶粒子を成長させることにより製造される。 [0017] 上記した窒化アルミニウム結晶粒子は、第1の反応室がシュラウドによりアンモニアガスから隔離されている状態で製造される。これにより、第2の反応室の温度が例えば1350℃以上の高温になる場合であっても、第1の反応室に設置されたアルミニウムが融点以上の温度に加熱されることを防いだ状態で製造されることができる。また、上記した窒化アルミニウム結晶粒子によれば、従来の多結晶の窒化アルミニウム結晶粒子では不可能であった大型窒化アルミニウム結晶育成用の種結晶として、窒化アルミニウム結晶粒子を利用することができる。また、結晶性の優れた単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を使用することにより、従来の多結晶の窒化アルミニウム結晶粒子では困難であった、窒化アルミニウムを母体とする蛍光体の大幅な高効率化を図ることができる。 [0018] また、窒化アルミニウム結晶粒子の形状は、各々独立した六角柱又は六角鼓形であって、窒化アルミニウム結晶粒子の粒径は、0.05μm以上1μm以下でもよい。 発明の効果 [0019] 上述した窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置、および該製造装置を用いた窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法によれば、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を効率よく製造することができ、上述した製造装置を用いた製造方法により製造された窒化アルミニウム結晶粒子を得ることができる。 [0020] 本発明で得られた窒化アルミニウム結晶粒子は、発光材料、研磨材料、高熱伝導材料、塗料、インク等に用いることが出来る。本発明の製造装置、製造プロセスでの条件によって単結晶の粒径分布を制御する事によって、各々の工業的応用での所望の特性を得ることができ、本発明は極めて有用である。また、本発明で得られる窒化アルミニウム結晶に窒化ガリウム、ポリマー等を重ねることによって得られる複合素材を工業的に製造するための出発材料として有用である。 図面の簡単な説明 [0021] [図1] 図1は、第1実施形態の方法に用いられる製造装置の構成を示す概略図である。 [図2] 図2は、反応室の温度分布の一例を示す図である。 [図3] 図3は、ガス流量と反応室温度の組み合わせを示す表である。 [図4] 図4は、製造した結晶粒子のX線回折測定を行った結果を示すグラフである。 [図5] 図5は、製造した結晶粒子の走査電子顕微鏡写真である。 [図6] 図6は、比較例として、市販の窒化アルミニウム結晶粒子の走査電子顕微鏡写真を示している。 [図7] 図7は、製造した結晶粒子の走査電子顕微鏡写真である。 [図8] 図8は、製造した結晶粒子の電子線励起発光強度と波長の関係を示すグラフである。 [図9] 図9は、製造した結晶粒子のX線回折測定を行った結果を示すグラフである。 [図10] 図10は、製造した結晶粒子の走査電子顕微鏡写真である。 [図11] 図11は、比較例として、アルミニウム原料として蒸発させた金属アルミニウムを用い、この金属アルミニウムとN 2若しくはNH 3ガスとを反応させることによって窒化アルミニウム結晶粒子を製造した場合における、反応室の温度とX線回折の半値全幅との関係を示すグラフである。 [図12] 図12(a)は、金属アルミニウムとNH 3ガスとを反応させた場合におけるアルミニウム結晶粒子のSEM写真を示している。図12(b)は、金属アルミニウムとN 2ガスとを反応させた場合におけるアルミニウム結晶粒子のSEM写真を示している。 [図13] 図13は、第2実施形態の方法に用いられる製造装置の構成を示す概略図である。 [図14] 図14は、反応室の温度分布の一例を示すグラフである。 [図15] 図15は、第7実施例において製造された窒化アルミニウム結晶粒子の試料番号と、各試料番号における反応室内の設定温度、塩化水素ガス流量、内管筒の有無、およびノズルの先端部の位置を基準とする内管筒の先端部の位置を示す図表である。 [図16] 図16は、内管筒の有無による窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性への影響を示すグラフである。 [図17] 図17は、内管筒が無い場合における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。 [図18] 図18は、内管筒が有る場合における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。 [図19] 図19は、反応室内の設定温度による窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性への影響を示すグラフである。 [図20] 図20(a)及び図20(b)それぞれは、試料#101及び#102それぞれにおける窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。 [図21] 図21(a)及び図21(b)それぞれは、試料#103及び#104それぞれにおける窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。 [図22] 図22(a)及び図22(b)それぞれは、試料#111及び#112それぞれにおける窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。 [図23] 図23(a)は、試料#115における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真であり、図23(b)は図23(a)を拡大したSEM写真であり、図23(c)は図23(b)を更に拡大したSEM写真である。 [図24] 図24は、塩化水素ガス流量による窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性への影響を示すグラフである。 [図25] 図25は試料#113における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。 [図26] 図26(a)は、試料#116における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。図26(b)は図26(a)を拡大したSEM写真であり、図26(c)は図26(b)を更に拡大したSEM写真である。 [図27] 図27は、試料#108の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 [図28] 図28は、図27の写真に含まれる個々の窒化アルミニウム結晶粒子を測定することにより求められた試料#108の(a)粒径分布及び(b)厚さ分布を示すヒストグラムである。 [図29] 図29は、試料#112のSEM写真である。 [図30] 図30は、図29の写真から求められた試料#112の(a)粒径分布及び(b)厚さ分布を示すヒストグラムである。 [図31] 図31は、試料#113のSEM写真である。 [図32] 図32は、図31の写真から求められた試料#113の(a)粒径分布及び(b)厚さ分布を示すヒストグラムである。 [図33] 図33(a)及び図33(b)は、図31に示された試料#113のSEM写真のそれぞれ一部を拡大した写真である。 [図34] 図34は、本実施例に係る試料#104、#108、#109、#110、#111、#112及び#113のそれぞれにおける窒化アルミニウム結晶粒子の電子線励起発光(CL)の強度とその光の波長との関係を測定した結果である。 発明を実施するための形態 [0022] 以下、添付図面を参照しながら窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。 (第1の実施の形態) [0023] まず、本方法に好適に用いられる窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置の構成について説明する。図1は、本方法に用いられる製造装置1Aの構成を示す概略図である。この製造装置1Aは、気相法により結晶粒子を製造するための装置である。図1を参照すると、製造装置1Aは、反応管2、加熱装置3、ガスライン4~6、シュラウド9及び排気管12を備える。 [0024] 反応管2は、第2の反応室2a、及び反応容器7を内部に有する。加熱装置3は、反応管2の高さ方向における一部の周囲に設置されている。加熱装置3としては、例えば電気管状炉が好適である。 [0025] ガスライン4は、アンモニアガスを反応室2aへ供給するための管であり、反応管2の端面2b寄りの壁面に設置されている。また、ガスライン5は、塩化水素ガスを反応容器7の内部へ供給するための管であり、反応管2の端面2bに設置されている。さらに、ガスライン6は、窒素ガスを反応室2aへ供給するための管であり、反応管2の端面2bに設置されている。 [0026] 反応容器7の内部は第1の反応室7aとなっている。反応室7aは塩化アルミニウムガス(AlCl 3)を発生させるための領域である。反応容器7は、加熱装置3の下端3aよりもさらに端面2b寄りに設置されている。反応容器7の端面2b寄りの端面7bには、ガスライン5の先端部が接続されている。反応容器7の端面7bと対向する他の端面7cには、ノズル10が接続されている。ノズル10は、反応容器7の端面7cから反応室2aまで延伸されている。反応室7aには、原料8であるアルミニウムが設置されている。さらに、反応室7aには、ガスライン5より熱電対11が挿入され、熱電対11の先端は、原料8の位置に設置されている。 [0027] シュラウド9は、反応管2の内部に配置され、端面2bから反応容器7とノズル10の先端部との間の位置まで延伸されている。反応容器7はシュラウド9の内側に設置されている。また、ガスライン4から供給されるアンモニアガスは、反応管2の壁面とシュラウド9の間にある空隙を通過して、反応室2aに導かれる。従って、反応室7aで発生する塩化アルミニウムガスは、シュラウド9によりアンモニアガスから隔離されている。 [0028] 排気管12は、反応室2aにおいて反応の結果生じた残余ガスを排出するために、反応管2の端面2bと対向する他方の端面2cに設置されている。排気管12の先端部には、繊維性フィルタ13が設けられている。繊維性フィルタ13は、反応の結果生じた窒化アルミニウム結晶粒子を捕集する。繊維性フィルタ13としては、例えばシリカ繊維性フィルタ、ガラス繊維性フィルタが好適である。 [0029] 図2は、反応室2aの温度分布を示す一例である。図2の左側にあるグラフは、反応室2aの高さ方向の温度分布を示している。Aは加熱装置3の下端3aの位置である。反応管2の高さ方向の距離はAを座標原点としている。Bはノズル10の先端部の位置であり、Aからの距離は185mmである。Cは加熱装置3の上端の位置であり、Aからの距離は625mmである。Dは繊維性フィルタ13の位置であり、Aからの距離は695mmである。図2のグラフを参照すると、Aからの距離が150mm以上450mm以下の領域で、約1400℃(1350℃以上1450℃以下)の均一な温度分布が得られていることがわかる。また、ノズル10の先端部は、約1400℃の均一な温度分布が得られている領域内にあることがわかる。これにより、ノズル10から供給される塩化アルミニウムガス及びガスライン4から供給されるアンモニアガスは、反応室2aの約1400℃(1350℃以上1450℃以下)の領域で反応することがわかる。 [0030] ここで、上記した製造装置1Aを用いた窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法について説明する。まず原料8として、アルミニウムを用意する。そして、このアルミニウムを反応室7aに設置する。 [0031] 続いて、反応室2aへガスライン6から窒素ガスを供給する。そして、反応室2aに窒素ガスの流れを形成しながら、加熱装置3によって反応室2aの温度を例えば1350℃以上1450℃以下の範囲内に加熱する。また、これと並行して、反応室7aに設置した原料8であるアルミニウムを、例えば580℃以上アルミニウムの融点以下の温度の範囲内(例えば600℃)に加熱する。従って、アルミニウムは完全には溶解しない。このとき、反応室7aに設置したアルミニウムの温度は、熱電対11により計測される。アルミニウムの温度が580℃以上アルミニウムの融点以下の温度になるように、反応容器7と加熱装置3との距離が調整される。 [0032] 反応室2aの温度が例えば1350℃以上1450℃以下の範囲内になった後、ガスライン5より塩化水素ガスを反応室7aに供給する。これにより、アルミニウムと、塩化水素ガスとが反応し、塩化アルミニウムガスが発生する(Al+3HCl→AlCl 3+1.5H 2)。また、発生した塩化アルミニウムガスは、シュラウド9によりアンモニアガスから隔離される。 [0033] 続いて、ガスライン4よりアンモニアガスを反応室2aへ供給する。これにより、アンモニアガスと、ノズル10により導出された塩化アルミニウムガスとは、1350℃以上1450℃以下の範囲内の温度に加熱された反応室2aにおいて反応し、窒化アルミニウム結晶粒子が製造される(AlCl 3+NH 3→AlN+3HCl)。製造された窒化アルミニウム結晶粒子は、繊維性フィルタ13により捕集される。製造された窒化アルミニウム結晶粒子の粒径は、0.05μm以上1μm以下の大きさである。なお、繊維性フィルタ13の好適な温度範囲は、例えば400℃以上800℃以下である。 [0034] 以上に説明した工程により、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を製造することができる。 [0035] 本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置では、窒化アルミニウム結晶粒子の製造に塩化アルミニウムが用いられる。従来、窒化アルミニウム結晶粒子の製造には蒸発させたアルミニウムが用いられていたが、この方法では単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を得ることが困難であった。また、アルミニウムの温度を融点以下にすることにより、石英ガラスを腐蝕させるAlCl(アルミニウム塩化物)の生成を抑制することができる。従って、本実施形態による製造装置によれば、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を高い割合で含む粉末を製造することが可能となるため、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を効率よく製造することができる。 [0036] また、本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置は気相法を用いた装置であるため、連続合成が可能であり、量産への応用が容易にできる。さらに、本実施形態では、シュラウド9により、第1の反応室7aに設置されたアルミニウムが融点以上の温度に加熱されることを防ぐことができる。 [0037] 本実施形態では、繊維性フィルタ13により効率的に窒化アルミニウム結晶粒子を捕集することができる。また、本実施形態では、塩化アルミニウムガス及びアンモニアガスを1350℃以上1450℃以下の範囲内で反応させることにより、製造された窒化アルミニウム結晶粒子の粒径を均一にすることができる。 [0038] 本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法では、窒化アルミニウム結晶粒子の製造に塩化アルミニウムを用いる。従来は、窒化アルミニウム結晶粒子の製造に蒸発させたアルミニウムが用いられていたが、この方法では単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を得ることが困難であった。また、アルミニウムの温度を融点以下にすることにより、石英ガラスを腐蝕させるAlCl(アルミニウム塩化物)の生成を抑制することができる。従って、本実施形態による製造方法によれば、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を高い割合で含む粉末を製造することが可能となるため、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を効率よく製造することができる。 [0039] また、本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法は気相法であるため、連続合成が可能であり、量産への応用が容易にできる。さらに、本実施形態では、シュラウド9により、第1の反応室7aに設置されたアルミニウムが融点以上の温度に加熱されることを防ぐことができる。 [0040] 本実施形態では、繊維性フィルタ13により効率的に窒化アルミニウム結晶粒子を捕集することができる。また、本実施形態では、塩化アルミニウムガス及びアンモニアガスを1350℃以上1450℃以下の範囲内で反応させることにより、製造された窒化アルミニウム結晶粒子の粒径を均一にすることができる。 [0041] 上記した窒化アルミニウム結晶粒子は、反応室7aがシュラウド9によりアンモニアガスから隔離されている状態で製造される。これにより、反応室2aの温度が例えば1350℃以上の高温になる場合であっても、反応室7aに設置されたアルミニウムが融点以上の温度に加熱されることを防いだ状態で製造されることができる。また、上記した本実施形態による窒化アルミニウム結晶粒子は、従来の多結晶の窒化アルミニウム結晶粒子では不可能であった大型窒化アルミニウム結晶育成用の種結晶として利用することができる。大型窒化アルミニウム単結晶は、GaN系発光及び電子デバイスのエピタキシャル成長基板として利用することができる。また、結晶性の優れた単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を使用することにより、従来の多結晶の窒化アルミニウム結晶粒子では困難であった、窒化アルミニウムを母体とする蛍光体の大幅な高効率化を図ることができる。 [0042] (実施例1) 反応管2として内径60mm、高さ1000mmである高純度アルミナ製縦型反応管と、加熱装置3として加熱部の長さが500mmである電気管状炉とを含む製造装置1Aを準備した。反応管2は、重力加速度の方向と反応管2の高さ方向とが互いに沿うように設置され、窒素ガス、塩化水素ガス及びアンモニアガスは、端面2b寄りに設置されたガスライン4~6から供給され、反応の結果生じたガスは、端面2c寄りに設置された排気管12より排気される。使用する原料8は金属アルミニウムである。使用するガスは20%窒素希釈の塩化水素ガス、アンモニアガス及び窒素ガスである。 [0043] 本実施例では、反応室2aの温度と、窒素ガス、塩化水素ガス及びアンモニアガスの流量とを変数とし、それぞれ異なる3つの条件を設定して、試料a、b及びcを製造した。図3は、それぞれ異なる3つの条件と試料a、b及びcとの対応を示す表である。ここで、ガス流量の単位は、1分間あたりの標準状態での体積を立方センチメートルで表記した場合のガス流量である。 [0044] 次に、例えば試料aの製造工程を説明する。まず、ガスライン6から窒素ガスを1730sccmの流量で反応室2aに供給し、反応室2aに窒素ガスの流れを形成しつつ、反応室2aの温度が1450℃になるように加熱する。これと並行して、反応室7aに設置した金属アルミニウムの温度が約600℃になるように加熱する。反応室2aの温度が一定になった後、反応管2の端面2bに設置されたガスライン5から、20%窒素ガス希釈の塩化水素ガスを20sccmの流量で反応室7aへ供給し、塩化水素ガスと金属アルミニウムとを反応させることにより、塩化アルミニウムガスを発生させる(Al+3HCl→AlCl 3+1.5H 2)。 [0045] 続いて、ガスライン4からアンモニアガスを250sccmの流量で反応室2aに供給し、アンモニアガスと塩化アルミニウムガスとを、反応室2aの1450℃の領域で反応させ、窒化アルミニウム結晶粒子を製造する(AlCl 3+NH 3→AlN+3HCl)。窒化アルミニウム結晶粒子は、ガラス繊維性フィルタ13により捕集される。 [0046] 図4は、製造した試料a、b及びcについて、X線回折測定(XRD法)を行った結果である。図4を参照すると、試料a、b及びcは、全て窒化アルミニウム結晶粒子のみで構成されていることがわかる。 [0047] 図5は、図3のa、b及びcの条件で製造した窒化アルミニウム結晶粒子の走査電子顕微鏡写真である。図5において(a)は試料aの写真であり、(b)は試料bの写真であり、(c)は試料cの写真である。図5を参照すると、ほとんどの粒子は、ウルツ鉱構造を反映した6回対称の各々独立した六角柱又は六角鼓形であり、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子が高い割合で製造されていることがわかる。ここで、六角鼓形の形状とは、六角形の端面に挟まれる領域の断面形状が六角形であり、該六角形が端面の六角形よりも小さい形状である立体形状をいう。また、窒化アルミニウム結晶粒子の粒径は、およそ0.05μm以上0.8μm以下であることがわかる。 [0048] 図6は、比較例として、市販の窒化アルミニウム結晶粒子の走査電子顕微鏡写真を示している。図5と図6との比較から明らかなように、本実施例により製造される窒化アルミニウム結晶粒子は、従来のものと比較して結晶性が極めて高い(単結晶の)粒子であることがわかる。 [0049] (実施例2) 実施例1に示した条件と異なる条件で、窒化アルミニウム結晶粒子を製造した。まず、実施例1と同様の製造装置1Aを準備した。使用する原料8は金属アルミニウムである。使用するガスは20%窒素希釈の塩化水素ガス、アンモニアガス及び窒素ガスである。 [0050] 次に、製造工程を説明する。まず、ガスライン6から窒素ガス(流量980sccm~1780sccm)を反応室2aに供給し、反応室2aに窒素ガスの流れを形成しつつ、反応室2aの温度が1450℃になるように加熱する。これと並行して、金属アルミニウムの温度が約600℃になるように加熱する。反応室2aの温度が一定になった後、反応管2の端面2bに設置されたガスライン5から、4sccmの流量である塩化水素ガスと16sccmの流量である窒素ガスとを混合したガスを反応室7aへ供給し、塩化水素ガスと金属アルミニウムとを反応させることにより、塩化アルミニウムガスを発生させる(Al+3HCl→AlCl 3+1.5H 2)。 [0051] 続いて、ガスライン4からアンモニアガスと窒素ガスとを混合したガスを反応室2aに供給する。混合したガスのうち、アンモニアガスの流量は250sccm以上1000sccm以下であり、窒素ガスの流量は例えば0sccmである。アンモニアガスと塩化アルミニウムガスとを反応室2aで反応させ、窒化アルミニウム結晶粒子を製造する(AlCl 3+NH 3→AlN+3HCl)。製造された粒子は、シリカ繊維性フィルタ13により捕集される。なお、ガスライン4及び6から供給される窒素ガスの流量は、合わせて980sccm以上1730sccm以下である。 [0052] 上記した条件で製造した窒化アルミニウム結晶粒子の特徴を確認した結果、窒化アルミニウム結晶粒子は単結晶でウルツ鉱構造の六角柱型及び六角鼓形を有していた。また、粒子の大きさは0.05μm以上0.8μm以下であった。最も大きな粒子は直径及び長さが約0.8μmであり、粒子の平均長さは約0.3μmであった。 [0053] (実施例3) 図7は、反応室2aの温度を1400℃として製造した窒化アルミニウム結晶粒子の走査電子顕微鏡写真である。なお、本実施例では、ガスライン6から供給される窒素ガスの流量を500sccmとし、ガスライン5から供給される塩化水素ガスの流量を4sccm(希釈用窒素ガスとの総和では20sccm)とし、ガスライン4から供給されるアンモニアガス及び窒素ガスの各流量をそれぞれ1000sccm、480sccmとした。図7を参照すると、粒子Aは、完全な単結晶粒子であり、粒子Bは、c軸の向きが真逆の2つの単結晶グレインが結合した粒子である可能性があることがわかる。また、図7を参照すると、粒子Aのうち、面C及び面Dは一方が(0001)Al面であり他の一方が(0001)N面であることがわかる。結晶方位は、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定される回折スポット形状を解析することで確定できる。 [0054] (実施例4) 図8は、反応室2aの温度を1500℃として製造した窒化アルミニウム結晶粒子の電子線励起発光(Cathodo Luminescence)の強度とその光の波長との関係を測定した結果である。図8を参照すると、最大発光強度の波長は、約375nmであることがわかる。この波長は、製造条件により多少変動する。なお、本実施例では、ガスライン6から供給される窒素ガスの流量を500sccmとし、ガスライン5から供給される塩化水素ガスの流量を4sccm(希釈用窒素ガスとの総和では20sccm)とし、ガスライン4から供給されるアンモニアガス及び窒素ガスの各流量をそれぞれ1000sccm、480sccmとした。 [0055] (実施例5) アンモニアガスの分圧が窒化アルミニウム結晶粒子の形成に与える影響を調べるために、次の実験を行った。まず、実施例1と同様な製造装置1Aを準備した。反応室7aに金属アルミニウムを設置し、金属アルミニウムが約600℃になるまで加熱した。その後、塩化水素ガスを4sccmの流量で反応室7aに供給し、塩化アルミニウムガスを生成させた。続いて、反応室2aの温度が1450℃になるまで加熱し、塩化アルミニウムガスとガスライン4から供給したアンモニアガスとを反応させて、窒化アルミニウム結晶粒子を製造した。本実施例5では、アンモニアガスの流量と、アンモニアガスの分圧を変化させた。ここで、アンモニアガスの分圧は、アンモニアガスに窒素ガスを混合することにより変化させた。 [0056] 図9は、異なる分圧条件で製造した窒化アルミニウム結晶粒子について、X線回折測定を行った結果である。図9において、グラフGaはアンモニアの分圧が0.25atmである場合を示し、グラフGbはアンモニアの分圧が0.125atmである場合を示している。図9を参照すると、異なる分圧条件であっても、製造される粒子は、窒化アルミニウム結晶粒子のみであることがわかる。図10は、異なる分圧条件で製造された窒化アルミニウム結晶粒子の電子顕微鏡写真である。図10(a)は、アンモニアの分圧が0.125atmである場合の写真であり、図10(b)はアンモニアの分圧が0.25atmである場合の写真である。図10を参照すると、製造された結晶粒子は、ウルツ鉱構造を反映した6回対称の形状をもつ単結晶粒子が多いことがわかる。また、図10(a)と図10(b)とを比較すると、アンモニアガスの分圧の減少に従い粒径が増大する傾向があることがわかった。これは、微小な核の生成に比べて、粒子の成長が促進されたためと考えられる。 [0057] なお、本実施例では、ガスライン6から供給される窒素ガスの流量を1480sccmとし、ガスライン5から供給される塩化水素ガスの流量を4sccm(希釈用窒素ガスとの総和では20sccm)とし、ガスライン4から供給されるアンモニアガス及び窒素ガスの各流量をそれぞれ500sccm、0sccm(アンモニアの分圧が0.250atmである場合)或いはそれぞれ250sccm、250sccm(アンモニアの分圧が0.125atmである場合)とした。 [0058] 上記した結果より、塩化アルミニウムは単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を製造するための材料として適していることがわかった。 [0059] (実施例6) ここで、図11は、比較例として、アルミニウム原料として蒸発させた金属アルミニウムを用い、この金属アルミニウムとN 2若しくはNH 3ガスとを反応させることによって窒化アルミニウム結晶粒子を製造した場合における、反応室2aの温度と(100)X線回折の半値全幅(FWHM、単位:度)との関係を示すグラフである。また、図12(a)は、金属アルミニウムとNH 3ガスとを反応させた場合におけるアルミニウム結晶粒子の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示しており、図12(b)は、金属アルミニウムとN 2ガスとを反応させた場合におけるアルミニウム結晶粒子のSEM写真を示している。図11及び図12に示されるように、金属アルミニウムとN 2若しくはNH 3とを直接反応させた場合、第1実施形態のようにAlCl 3とNH 3とを反応させた場合と比較して、結晶性は同等であるが、単結晶粒子の割合は極めて低い。 (第2の実施の形態) [0060] 図13は、本方法に用いられる製造装置1Bの構成を示す概略図である。この製造装置1Bは、気相法により結晶粒子を製造するための装置である。第1実施形態の製造装置1Aと本実施形態の製造装置1Bとの相違点は、シュラウドの形状である。すなわち、本実施形態のシュラウド19は、本体部19aと、内管筒19bとを有する。本体部19aは、反応管2の長手方向に延びる円筒状の部材である。本体部19aは、反応管2の内部に配置され、反応管2の底面から反応容器7とノズル10の先端部との間の位置まで延伸されている。反応容器7は、本体部19aの内側に設置されている。内管筒19bは、反応管2の長手方向に延びる円筒状の部材であって、本体部19aにおける反応容器7とノズル10の先端部との間の位置から、ノズル10の先端部の位置付近まで延伸されている。反応管2の長手方向における内管筒19bの先端部の位置は、ノズル10の先端部の位置よりも反応室2a側に配置されてもよく、また、ノズル10の先端部の位置よりも本体部19a側に配置されてもよく、また、ノズル10の先端部の位置と等しくてもよい。 [0061] ガスライン4から供給されるアンモニアガスは、反応管2の壁面とシュラウド19との間にある空隙を通過して、反応室2aに導かれる。従って、アンモニアガスは、反応室2aに到達するまで、反応室7aにて溶解していないアルミニウムと塩化水素ガスの塩素が化合し、気相中ではアルミニウムと塩素の化学量論的に、Al:Clが1:1から1:3までの結合状態となって発生する塩化アルミニウムガス(以下では「三塩化アルミニウムガス」という。)、及びガスライン6から導入される窒素ガスから隔離される。 [0062] 図14は、反応室2aの温度分布の一例を示すグラフである。図14において、縦軸は反応管2の長手方向における位置を示しており、加熱装置3の下端3aの位置(A)を原点としている。横軸は温度を示している。なお、図中のBは、ノズル10の先端部の位置であり、Aからの距離は例えば185mmである。Cは、加熱装置3の上端の位置であり、Aからの距離は例えば620mmである。Dは、繊維性フィルタ13の位置であり、Aからの距離は例えば695mmである。Eは、反応管2の上端の位置であり、Aからの距離は例えば1000mmである。図14を参照すると、少なくともAからの距離が150mm以上450mm以下の領域において、各設定温度(1300℃、1400℃、1500℃)の均一な温度分布が得られていることがわかる。特に、設定温度が1400℃の場合、該領域における温度分布は1350℃以上1450℃以下の範囲に収まっている。また、ノズル10の先端部およびシュラウド19の先端部は、各設定温度の均一な温度分布が得られている領域内にあることがわかる。したがって、ノズル10から供給される三塩化アルミニウムガスとガスライン4から供給されるアンモニアガスとは、反応室2aの均一な温度分布の領域(例えば、設定温度が1400℃である場合には1350℃以上1450℃以下の領域)において互いに反応することができる。 [0063] なお、製造装置1Bを用いた窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法は、前述した第1実施形態と同様である。したがって、本実施形態の製造装置1B及びこれを用いた窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法は、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。但し、本実施形態では、シュラウド19に内管筒19bが設けられており、内管筒19bの先端部がノズル10の先端部の位置付近まで延伸されている。これにより、ノズル10から吹き出す三塩化アルミニウムガス、ノズル10と内管筒19bとの隙間から吹き出す窒素ガス、及び内管筒19bと反応管2の内壁との隙間から吹き出すアンモニアガスが、層流の状態で反応室2aの奥深く到達することができる。そして、この間、三塩化アルミニウムガスとアンモニアガスとが緩やかに反応する。 [0064] ここで、反応室2aにおける窒化アルミニウム結晶粒子の生成は、次のような過程を経て行われると考えられる。まず、アンモニアガスと三塩化アルミニウムガスとが反応することにより、窒化アルミニウム結晶粒子の形成の基となる微小な核が生成される。この核は、反応条件に応じて単結晶若しくは多結晶となるが、第1実施形態や本実施形態の反応条件下では殆どが単結晶となる。そして、更にアンモニアガス及び三塩化アルミニウムガスが供給されることによって、核の周囲に結晶が成長し、粒子が次第に大きくなる。このとき、核が単結晶であれば成長後の粒子も単結晶となり、核が多結晶であれば成長後の粒子も多結晶となる。 [0065] 上述したように、本実施形態では内管筒19bの作用によって三塩化アルミニウムガスとアンモニアガスとが緩やかに反応する。そして、本発明者の知見によれば、三塩化アルミニウムガスとアンモニアガスとの反応が緩やかであるほど、反応室2a内に供給される三塩化アルミニウムガス及びアンモニアガスのうち核の生成に寄与する割合が抑えられ、粒子成長に寄与する割合が増加する。したがって、比較的大きな窒化アルミニウム結晶粒子をより好適に製造することができる。また、反応室2a内において核の生成が抑えられるような条件下では、核の多結晶化も抑制される。したがって、単結晶からなる窒化アルミニウム結晶粒子をより好適に製造することができる。 [0066] (実施例7) 内管筒19bの有無、反応室内の温度、および塩化水素ガスの流量が窒化アルミニウム結晶粒子の形成に与える影響を調べるために、次の実験を行った。まず、実施例1と同様の構成を備える製造装置1Aと、第2実施形態に係る製造装置1Bとを準備した。なお、製造装置1Bの反応管2は、内径60mm、高さ1000mmである高純度アルミナ製縦型反応管であり、加熱装置3としての電気管状炉の加熱部の長さは500mmであった。ノズル10の外径は6mmであり、内径は4mmであった。内管筒19bの外径は25mmであり、内径は20mmであった。 [0067] 反応室7aに金属アルミニウムを設置し、金属アルミニウムが約600℃になるまで加熱した。その後、20%窒素希釈の塩化水素ガスを15sccm、20sccm、25sccm及び50sccmのうち何れかの流量(塩化水素ガスのみの流量に換算すると、それぞれ3sccm、4sccm、5sccm及び10sccm)で反応室7aに供給し、三塩化アルミニウムガスを生成させた。続いて、反応室2aの温度を1300℃、1350℃、1400℃、1450℃、及び1500℃の何れかに設定し、ガスライン4から供給されたアンモニアガスと三塩化アルミニウムガスとを反応させて、窒化アルミニウム結晶粒子を製造した。なお、ガスライン6から供給される窒素ガスの流量を500sccmとし、ガスライン4からアンモニアガスと共に供給される窒素ガスの流量を、20%窒素希釈の塩化水素ガスの流量と合わせて1500sccmとなるように設定した。 [0068] 図15は、本実施例において製造された窒化アルミニウム結晶粒子の試料番号と、各試料番号における反応室内の設定温度、塩化水素ガス流量、内管筒19bの有無、およびノズル10の先端部の位置を基準とする内管筒19bの先端部の位置(反応管2の端面2c側を正とする)を示す図表である。なお、内管筒19bが有る場合に、設定温度が1300℃以上1400℃以下の試料では、内管筒19bの先端部の位置をノズル10の先端部の位置に対して端面2b側に設け、設定温度が1450℃以上1500℃以下の試料では、内管筒19bの先端部の位置をノズル10の先端部の位置に対して端面2c側に設けた。 [0069] 以下、図15に示された各試料#101~#116に基づいて、内管筒19bの有無、反応室内の温度、および塩化水素ガスの流量などが窒化アルミニウム結晶粒子の形成に与える影響について調べた結果を説明する。 [0070] <内管筒の有無が窒化アルミニウム結晶粒子の形成に与える影響について> 図16は、内管筒19bの有無による窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性への影響を示すグラフである。図16において、横軸は塩化水素ガス流量(単位:sccm)を示しており、縦軸はX線回折結果の半値全幅(FWHM、単位:度)を示している。図16には、内管筒19bが無い場合として試料#109及び#110が、内管筒19bが有る場合として試料#108及び#104が、それぞれプロットされている。また、図17は、内管筒19bが無い場合((a)試料#109、(b)試料#110)における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真であり、図18は、内管筒19bが有る場合((a)試料#108、(b)試料#104)における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。 [0071] 図16に示されるように、塩化水素ガスの流量に拘わらず、内管筒19bが有る場合(#108,#104)には、内管筒19bが無い場合(#109,#110)よりもX線回折結果のFWHMが小さくなった。このことは、シュラウドに内管筒が設けられることによって、窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性が改善されることを表している。この事実は、図17及び図18に示されたSEM写真によって裏付けられる。したがって、第2実施形態のように、シュラウド19は内管筒19bを有することが好ましい。 [0072] <反応室内の設定温度が窒化アルミニウム結晶粒子の形成に与える影響について> 図19は、反応室2a内の設定温度による窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性への影響を示すグラフである。図19において、横軸は反応室2a内の設定温度(単位:度)を示しており、縦軸はX線回折結果のFWHM(単位:度)を示している。図19には、HCl流量が10sccmである試料#101、#102、#103及び#104がプロットされており、また、HCl流量が5sccmである試料#108、#111、#112、#114、#115が、それぞれプロットされている。また、図20(a)、図20(b)、図21(a)、図21(b)、図22(a)及び図22(b)それぞれは、試料#101、#102、#103、#104、#111、#112それぞれにおける窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。また、図23(a)は、試料#115における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真であり、図23(b)は図23(a)を拡大したSEM写真であり、図23(c)は図23(b)を更に拡大したSEM写真である。 [0073] 図19に示されるように、反応室2aの設定温度が1450℃以下である場合に、X線回折結果のFWHMが0.3よりも小さくなり、十分な窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性が得られた。また、反応室2aの設定温度が1400℃である場合にX線回折結果のFWHMが最も小さくなった。この結果から、反応室2aの設定温度は1450℃以下であることが好ましく、1400℃である(すなわち、温度分布が1350℃以上1450℃以下の範囲内に含まれる)ことが更に好ましい。 [0074] <塩化水素ガス流量が窒化アルミニウム結晶粒子の形成に与える影響について> 図24は、塩化水素ガス流量による窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性への影響を示すグラフである。図24において、横軸は塩化水素ガス流量(単位:sccm)を示しており、縦軸はX線回折結果のFWHM(単位:度)を示している。図24には、反応室内の設定温度が1400℃である試料#104、#108、#113及び#116がプロットされている。また、図25は試料#113における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真である。また、図26(a)は、試料#116における窒化アルミニウム結晶粒子のSEM写真であり、図26(b)は図26(a)を拡大したSEM写真であり、図26(c)は図26(b)を更に拡大したSEM写真である。なお、試料#104及び#108のSEM写真については、図18に示されている。 [0075] 図24に示されるように、塩化水素ガス流量が4sccm以上である場合に、X線回折結果のFWHMが0.23よりも小さくなり、十分な窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性が得られた。特に、塩化水素ガス流量が4sccm以上5sccm以下である場合には、FWHMが0.22よりも小さくなり、極めて結晶性の良好な窒化アルミニウム結晶粒子を得るに至った。 [0076] <窒化アルミニウム結晶粒子の大きさについて> 続いて、図15に示された各試料のうち、試料#108、#112及び#113に基づいて、窒化アルミニウム結晶粒子の大きさを測定した結果について説明する。図27は、試料#108(設定温度1400℃、HCl流量5sccm)のSEM写真であり、図28は、この写真に含まれる個々の窒化アルミニウム結晶粒子を測定することにより求められた試料#108の(a)粒径分布及び(b)厚さ分布を示すヒストグラムである。同様に、図29は、試料#112(設定温度1350℃、HCl流量5sccm)のSEM写真であり、図30は、この写真から求められた試料#112の(a)粒径分布及び(b)厚さ分布を示すヒストグラムである。また、図31は、試料#113(設定温度1400℃、HCl流量4sccm)のSEM写真であり、図32は、この写真から求められた試料#113の(a)粒径分布及び(b)厚さ分布を示すヒストグラムである。なお、図28(a)、図30(a)及び図32(a)において、粒径とは、窒化アルミニウム結晶粒子の平面形状(六角形)において対向する辺の間隔を表し、厚さとは、窒化アルミニウム結晶粒子の上記平面形状に垂直な方向における一対の端面間の距離を表している。 [0077] 図28(a)、図30(a)及び図32(a)に示されるように、試料#108、#112及び#113のいずれにおいても、窒化アルミニウム結晶粒子の粒径は0.1μm以上1.0μm以下の範囲内に収まっていることがわかる。また、図28(b)、図30(b)及び図32(b)に示されるように、窒化アルミニウム結晶粒子の厚さは、試料#108では0.1μm以上0.4μm以下の範囲内に収まっており、試料#112では0.1μm以上0.5μm以下の範囲内に収まっており、試料#113では0.1μm以上0.6μm以下の範囲内に収まっていることがわかる。 [0078] <窒化アルミニウム結晶粒子の形状について> 図27、図29及び図31に示された試料#108、#112及び#113のSEM写真を参照すると、本実施例により製造された窒化アルミニウム結晶粒子の中には、六角錐台(すなわち、六角柱の側面が底面及び上面に対して傾斜している形状)といった外形を有するものが多数確認された。また、これらのSEM写真を参照すると、六角柱状(典型的には、厚さが粒径よりも小さいもの)といった外形を有するものも多数確認された。また、これらのSEM写真を参照すると、六角柱状であるが厚さが粒径よりも極めて小さく、六角板状といった外形を有するものも確認された。 [0079] また、図33(a)及び図33(b)は、図31に示された試料#113のSEM写真のそれぞれ一部を拡大した写真である。これらの写真に示されるように、本実施例により製造された窒化アルミニウム結晶粒子の中には、2つの六角錐台の底面同士が結合された形状が多数確認された。このような形状を言い換えると、窒化アルミニウム結晶粒子は、厚さ方向と交差する平面に沿った正六角形状の一対の端面を有しており、厚さ方向に垂直な断面が正六角形であり、且つ、厚さ方向の中央部分における六角形断面の径が、一対の六角形端面の径よりも大きい。 [0080] <窒化アルミニウム結晶粒子のCL強度について> 図34は、本実施例に係る試料#104、#108、#109、#110、#111、#112及び#113のそれぞれにおける窒化アルミニウム結晶粒子の電子線励起発光(CL)の強度とその光の波長との関係を測定した結果である。図34(a)には試料#104、#108、#109及び#110に関するグラフが示されており、図34(b)には試料#108、#111、#112及び#113に関するグラフが示されている。なお、これらのCL強度は室温環境にて測定され、電子ビーム加速電圧は10kV、電流密度は60μA/cm 2、測定時間は100msであった。 [0081] 図34に示されるように、測定に使用された試料のうち、試料#113(設定温度1400℃、HCl流量4sccm)におけるCL強度が最も高く、次いで、試料#112(設定温度1350℃、HCl流量5sccm)におけるCL強度が高く、試料#108(設定温度1400℃、HCl流量5sccm)におけるCL強度がそれらに次いで高い結果となった。この結果から、反応室2aの設定温度が1400℃である(すなわち温度分布が1350℃以上1450℃以下の範囲内に含まれる)場合に、窒化アルミニウム結晶粒子の結晶性が極めて良好となることがわかる。 [0082] 本発明による窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法、及び該方法により製造された窒化アルミニウム結晶粒子は、上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。 産業上の利用可能性 [0083] 本発明は、単結晶の窒化アルミニウム結晶粒子を効率よく製造することができる窒化アルミニウム結晶粒子の製造装置および該製造装置を用いた窒化アルミニウム結晶粒子の製造方法、並びにそのような製造装置を用いた製造方法により製造される窒化アルミニウム結晶粒子として利用可能である。 符号の説明 [0084] 1A,1B…製造装置、2a…第2の反応室、4~6…ガスライン、7a…第1の反応室、8…原料、9,19…シュラウド、12…排気管、13…繊維性フィルタ。 |
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