METHOD FOR SCREENING FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC AGENT FOR DISEASES OR DISORDERS ASSOCIATED WITH INFLAMMATION-RELATED FEEDBACK LOOP
外国特許コード | F140007833 |
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整理番号 | S2012-0690-N0 |
掲載日 | 2014年1月31日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2013JP063617 |
国際公開番号 | WO 2013168826 |
国際出願日 | 平成25年5月9日(2013.5.9) |
国際公開日 | 平成25年11月14日(2013.11.14) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | METHOD FOR SCREENING FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC AGENT FOR DISEASES OR DISORDERS ASSOCIATED WITH INFLAMMATION-RELATED FEEDBACK LOOP |
発明の概要(英語) | The purpose of the present invention is to elucidate a regulation molecule or a target molecule for an IL-6 amplifier, and provide a method for screening for a prophylactic or therapeutic agent for diseased or disease conditions of which the onset and/or worsening is induced through the activation of an IL-6 amplifier. A specific gene which can potentially regulate the onset or worsening of diseases or disease conditions in human through the activation of an IL-6 amplifier is identified, and it is found that the gene or a product of the gene can become a target for the prevention or treatment of diseases or disease conditions associated with the activation of an IL-6 amplifier including autoimmune diseases. This finding leads to the accomplishment of the screening method of the present invention. |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 |
National States: AE AG AL AM AO AT AU AZ BA BB BG BH BN BR BW BY BZ CA CH CL CN CO CR CU CZ DE DK DM DO DZ EC EE EG ES FI GB GD GE GH GM GT HN HR HU ID IL IN IS JP KE KG KM KN KP KR KZ LA LC LK LR LS LT LU LY MA MD ME MG MK MN MW MX MY MZ NA NG NI NO NZ OM PA PE PG PH PL PT QA RO RS RU RW SC SD SE SG SK SL SM ST SV SY TH TJ TM TN TR TT TZ UA UG US UZ VC VN ZA ZM ZW ARIPO: BW GH GM KE LR LS MW MZ NA RW SD SL SZ TZ UG ZM ZW EAPO: AM AZ BY KG KZ RU TJ TM EPO: AL AT BE BG CH CY CZ DE DK EE ES FI FR GB GR HR HU IE IS IT LT LU LV MC MK MT NL NO PL PT RO RS SE SI SK SM TR OAPI: BF BJ CF CG CI CM GA GN GQ GW ML MR NE SN TD TG |
日本語項目の表示
発明の名称 | 炎症関連フィードバックループが関与する疾患又は障害の予防又は治療剤のスクリーニング方法 |
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発明の概要 | 本発明は、IL-6アンプの制御分子や標的分子を解明することにより、IL-6アンプの活性化が発症及び/又は悪化の要因となっている疾患や病態の予防又は治療薬のスクリーニング方法を提供することを目的とする。IL-6アンプの活性化を介したヒト疾患や病態の発症や悪化を潜在的に制御できる特定の遺伝子を同定し、当該遺伝子又はその遺伝子産物が、自己免疫疾患に限らず、IL-6アンプの活性化が関連している疾患や病態を予防又は治療するためのターゲットとなり得ることを見出し、本発明のスクリーニング方法を完成するに至った。 |
特許請求の範囲 |
[請求項1] 下記工程を(i)~(iii)含む、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表12に示す遺伝子の少なくとも1種を発現する細胞、又は表12に示す遺伝子の遺伝子産物の少なくとも1種と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 [請求項2] 下記工程を(i)~(iii)含む、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表1に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞、又は当該遺伝子の遺伝子産物と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 [請求項3] IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害に罹患している患者、或いは当該疾患又は障害に罹患するリスクがある患者に対して、明細書中の表12に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を有効量投与する工程を含む、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療方法。 [請求項4] 前記物質が、明細書中の表1に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質である、請求項3に記載の予防又は治療方法。 [請求項5] 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3又は4に記載の予防又は治療方法。 [請求項6] 前記物質が、明細書中の表7~9に示す化合物の中の少なくとも1種である、請求項3又は4に記載の予防又は治療方法。 [請求項7] 明細書中の表12に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を含む、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤。 [請求項8] 前記物質が、明細書中の表1に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質である、請求項7に記載の予防又は治療剤。 [請求項9] 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の予防又は治療剤。 [請求項10] 前記物質が、明細書中の表7~9に示す化合物の中の少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の予防又は治療剤。 [請求項11] IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤の製造のための、明細書中の表12に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質の使用。 |
明細書 |
明 細 書 発明の名称 : 炎症関連フィードバックループが関与する疾患又は障害の予防又は治療剤のスクリーニング方法 技術分野 [0001] 本発明は、NF-κBシグナリングの炎症関連フィードバックループが関与する疾患又は障害の予防又は治療剤のスクリーニング方法に関する。 背景技術 [0002] IL-6は、IL-6は、CD4+T細胞によって誘導されるサイトカインの一つであり、自己免疫疾患や他の炎症症状の進展に重要な役割を果たしていると考えられている(非特許文献1~3等)。また、IL-6は、各種自己免疫モデルと強い関連性が報告されているTh17細胞(活性化CD4+T細胞)の誘導にも必要とされていることが知られている(非特許文献4及び5等)。従来、IL-6シグナリングは、IL-6シグナリングトランスデューサ―gp130の変異体を発現するF759マウス等の免疫疾患モデルにおいて研究されてきた(非特許文献6)。このF759マウスは、自然発生的に、MHCクラスII関連且つIL-6依存的組織特異的で、リュウマチ関節炎に類似の関節疾患(F759関節炎)を発症することが知られている(非特許文献7及び8)。更に、F759関節炎の進展は、Th17細胞の誘導原因である非免疫IL-7発現組織におけるIL-6シグナリングの過剰な活性化によって仲介されていることが明らかにされており(非特許文献3及び8等)、非免疫系組織と免疫システムの間の相互作用は、ある種の免疫疾患において重要な役割を担っていることが示唆されている。 一方、本願の発明者等は、IL-6等のNF-κBのターゲットのポジティブフィードバックループ機構として、IL-6アンプ(IL-6amplifier)を同定している(非特許文献9)。このIL-6アンプは、炎症アンプ(Inflammation amplifier)とも称されることもあり、線維芽細胞、血管内皮細胞等のI型コラーゲン陽性の非免疫系細胞にIL-17AとIL-6が作用してNF-κBとSTAT3が活性化すると、ケモカイン等の炎症誘導タンパク質の発現が相乗的に誘導されるという炎症誘導機構である。つまり、IL-6アンプは、NFκBを介した炎症の原因となる局所ケモカインインデューサーとして機能している。実際、IL-6アンプ/炎症アンプは、F759関節炎や自己免疫性脳脊髄炎(EAE)における自己免疫疾患の進展に重要な役割を果たしていることが明らかにされている(非特許文献10及び11等)。 しかしながら、IL-6アンプの活性化の制御分子や標的分子については十分に解明されておらず、更に炎症性疾患以外の疾患に対してIL-6アンプの関与の可能性についても明らかにされていない。 先行技術文献 非特許文献 [0003] 非特許文献1 : Awasthi,A.,and Kuchroo,V.K.(2009).Th17 cells:from precursors to players in inflammation and infection.Int Immunol.21,489-498. 非特許文献2 : Hirano,T.(1998).Interleukin 6 and its receptor:ten years later.Int Rev Immunol.16,249-284. 非特許文献3 : Hirano,T.(2010).Interleukin 6 in autoimmune and inflammatory diseases:a personal memoir..Proc.Jpn.Acad.,Ser.B.86,717-730. 非特許文献4 : Bettelli,E.,Oukka,M.,and Kuchroo,V.K.(2007).T(H)-17 cells in the circle of immunity and autoimmunity.Nat Immunol.,345-350. 非特許文献5 : Cua,D.J.,Sherlock,J.,Chen,Y.,Murphy,C.A.,Joyce,B.,Seymour,B.,Lucian,L.,To,W.,Kwan,S.,Churakova,T.,et al.(2003).Interleukin-23 rather than interleukin-12 is the critical cytokine for autoimmune inflammation of the brain.Nature 421,744-748. 非特許文献6 : Ohtani,T.,K.Ishihara,T.Atsumi,K.Nishida,Y.Kaneko,T.Miyata,S.Itoh,M.Narimatsu,H.Maeda,T.Fukada、,M.Itoh,H.Okano,M.Hibi and T.Hirano(2000). 非特許文献7 : Atsumi,T.,Ishihara,K.,Kamimura,D.,Ikushima,H.,Ohtani,T.,Hirota,S.,Kobayashi,H.,Park,S.,Saeki,Y.,Kitamura,Y.,and Hirano,T.(2002).A point mutation of Tyr-759 in interleukin 6 family cytokine receptor subunit gp130 causes autoimmune arthritis.J Exp Med.196,979-990. 非特許文献8 : Sawa,S.,Kamimura,D.,Jin,G.H.,Morikawa,H.,Kamon,H.,Nishihara,M.,Ishihara,K.,Murakami,M.,and Hirano,T.(2006).Autoimmune arthritis associated with mutated interleukin(IL)-6 receptor gp130 is driven by STAT3/IL-7-dependent homeostatic proliferation of CD4+T cells.J Exp Med.12,1459-1470. 非特許文献9 : Ogura,H.,Murakami,M.,Okuyama,Y.,Tsuruoka,M.,Kitabayashi,C.,Kanamoto,M.,Nishihara,M.,Iwakura,Y.,and Hirano,T.(2008).Interleukin-17 Promotes Autoimmunity by Triggering a Positive-Feedback Loop via Interleukin-6 Induction.Immunity.29,628-636. 非特許文献10 : Murakami,M.,and Hirano,T.(2011).A four step model for the IL-6 amplifier,a critical regulator of chromic inflammations in tissue specific MHC class II-associated autoimmune diseases.Fromtiers Immunology. 非特許文献11 : Murakami,M.,Okuyama,Y.,Ogura,H.,Asano,S.,Arima,Y.,Tsuruoka,M.,Harada,M.,Kanamoto,M.,Iwakura,Y.,Takatsu,K.,et al.(2011).Local microbleeding facilitates IL-6- and IL-17-dependent arthritis in the absence of tissue antigen recognition by activated T cells.J.Exp.Med.208,103-114. 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0004] IL-6アンプの制御分子や標的分子を解明できれば、IL-6アンプの活性化が原因及び/又は悪化要因となっている疾患や病態の予防又は治療薬を開発する上で、副音をもたらすことが期待される。 そこで、本発明は、IL-6アンプの制御分子や標的分子を解明することにより、IL-6アンプの活性化が発症及び/又は悪化の要因となっている疾患や病態の予防又は治療薬のスクリーニング方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、IL-6アンプの活性化が発症及び/又は悪化の要因となっている疾患や病態の予防又は治療薬を提供することを目的とする。 課題を解決するための手段 [0005] 近年のヒトRNAiやshRNA(small hairpin RNA)の技術の進歩によって、体系的に、不活性な細胞内シグナリングを示すフェノタイプをスクリーニングすることが可能になっているが、非ヒト動物モデルの試験結果は、ヒト疾患や症状に直接適用できないことがある。一方、近時のゲノムワイド関連解析によって、SNPsを様々な病理に対する個々の罹患性と関連付けることが可能になっている。そこで、本願の発明者等は、体系的なスクリーニングとゲノムワイド関連解析を組み合わせることによって鋭意検討を行ったところ、IL-6アンプの活性化を介したヒト疾患や病態の発症や悪化を潜在的に制御できる特定の遺伝子を同定し、当該遺伝子又はその遺伝子産物が、自己免疫疾患に限らず、IL-6アンプの活性化が関連している疾患や病態を予防又は治療するためのターゲットとなり得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。 即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。 項1-1. 下記工程を(i)~(iii)含む、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表12に示す遺伝子の少なくとも1種を発現する細胞、又は表12に示す遺伝子の遺伝子産物の少なくとも1種と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 項1-2. 下記工程を(i)~(iii)含む、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表1に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞、又は当該遺伝子の遺伝子産物と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 項1-3. IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害に罹患している患者、或いは当該疾患又は障害に罹患するリスクがある患者に対して、表12に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を有効量投与する工程を含む、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療方法。 項1-4. 前記物質が、表1に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質である、項1-3に記載の予防又は治療方法。 項1-5. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1-3又は1-4に記載の予防又は治療方法。 項1-6. 前記物質が、表7~9に示す化合物の中の少なくとも1種である、項1-3又は1-4に記載の予防又は治療方法。 項1-7. 表12に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を含む、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤。 項1-8. 前記物質が、表1に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質である、項1-7に記載の予防又は治療剤。 項1-9. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1-7又は1-8に記載の予防又は治療剤。 項1-10. 前記物質が、表7~9に示す化合物の中の少なくとも1種である、項1-7又は1-8に記載の予防又は治療剤。 項1-11. IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤の製造のための、表12に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質の使用。 項2-1. 下記工程を(i)~(iii)含む、自己免疫疾患の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表2に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞、又は当該遺伝子の遺伝子産物と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 項2-2. 自己免疫疾患が1型糖尿病であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Vegfa、Icam1、H2-K1、Nfkb1、Pax4、Il27、Tyk2、及びHvcn1(VSOP)よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-1に記載のスクリーニング方法。 項2-3. 自己免疫疾患がクローン病であり、前記遺伝子が、Il1b、Serpine1、Stat3、Nbr1、及びRhoaよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-1に記載のスクリーニング方法。 項2-4. 自己免疫疾患が関節リウマチであり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa、Spp1、Icam1、Maf、Tnfsf13b、Dscam、Lmo4、及びKlrcよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-1に記載のスクリーニング方法。 項2-5. 自己免疫疾患が多発性硬化症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Adrb2、Fasl、Cntf、Stat3、H2-Q6、C1galt1、Kcnip1、Pou2af1、Accn1、Cbln2、及びCd6よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-1に記載のスクリーニング方法。 項2-6. 自己免疫疾患がセリアック病であり、前記遺伝子がH2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Fasl、H2-Q6、Ets1、Plek、及びZfp36l1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-1に記載のスクリーニング方法。 項2-7. 自己免疫疾患がループスであり、前記遺伝子が:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Sele、Serpine1、Egfr、Fasl、H2-K1(HLA-C)、Ets1、Tnfsf13、Tyk2、Anp32b、C4a、Cr2、及びTnfsf13bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-1に記載のスクリーニング方法。 項2-8. 自己免疫疾患に罹患している患者、或いは自己免疫疾患に罹患するリスクがある患者に対して、表2に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を有効量投与する工程を含む自己免疫疾患の予防又は治療方法。 項2-9. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項2-8に記載の予防又は治療方法。 項2-10. 自己免疫疾患が1型糖尿病であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Vegfa、Icam1、H2-K1、Nfkb1、Pax4、Il27、Tyk2、及びHvcn1(VSOP)よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-8又は2-9に記載の予防又は治療方法。 項2-11. 自己免疫疾患がクローン病であり、前記遺伝子が、Il1b、Serpine1、Stat3、Nbr1、及びRhoaよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-8又は2-9に記載の予防又は治療方法。 項2-12. 自己免疫疾患が関節リウマチであり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa、Spp1、Icam1、Maf、Tnfsf13b、Dscam、Lmo4、及びKlrcよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-8又は2-9に記載の予防又は治療方法。 項2-13. 自己免疫疾患が多発性硬化症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Adrb2、Fasl、Cntf、Stat3、H2-Q6、C1galt1、Kcnip1、Pou2af1、Accn1、Cbln2、及びCd6よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-8又は2-9に記載の予防又は治療方法。 項2-14 自己免疫疾患がセリアック病であり、前記遺伝子がH2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Fasl、H2-Q6、Ets1、Plek、及びZfp36l1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-8又は2-9に記載の予防又は治療方法。 項2-15. 自己免疫疾患がループスであり、前記遺伝子が:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Sele、Serpine1、Egfr、Fasl、H2-K1(HLA-C)、Ets1、Tnfsf13、Tyk2、Anp32b、C4a、Cr2、及びTnfsf13bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-8又は2-9に記載の予防又は治療方法。 項2-16. 表2に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を含む、自己免疫疾患の予防又は治療剤。 項2-17. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項2-16に記載の予防又は治療剤。 項2-18. 自己免疫疾患が1型糖尿病であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Vegfa、Icam1、H2-K1、Nfkb1、Pax4、Il27、Tyk2、及びHvcn1(VSOP)よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-16又は2-17に記載の予防又は治療剤。 項2-19. 自己免疫疾患がクローン病であり、前記遺伝子が、Il1b、Serpine1、Stat3、Nbr1、及びRhoaよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-16又は2-17に記載の予防又は治療剤。 項2-20. 自己免疫疾患が関節リウマチであり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa、Spp1、Icam1、Maf、Tnfsf13b、Dscam、Lmo4、及びKlrcよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-16又は2-17に記載の予防又は治療剤。 項2-21. 自己免疫疾患が多発性硬化症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Adrb2、Fasl、Cntf、Stat3、H2-Q6、C1galt1、Kcnip1、Pou2af1、Accn1、Cbln2、及びCd6よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-16又は2-17に記載の予防又は治療剤。 項2-22. 自己免疫疾患がセリアック病であり、前記遺伝子がH2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Fasl、H2-Q6、Ets1、Plek、及びZfp36l1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-16又は2-17に記載の予防又は治療剤。 項2-23. 自己免疫疾患がループスであり、前記遺伝子が:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Sele、Serpine1、Egfr、Fasl、H2-K1(HLA-C)、Ets1、Tnfsf13、Tyk2、Anp32b、C4a、Cr2、及びTnfsf13bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項2-16又は2-17に記載の予防又は治療剤。 項2-24. 自己免疫疾患の予防又は治療剤の製造のための、表2に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質の使用。 項3-1. 下記工程を(i)~(iii)含む、メタボリック症候群の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表3に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞、又は当該遺伝子の遺伝子産物と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 項3-2. メタボリック症候群が心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、又は全身性硬化症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa,、Mthfr、Spp1、Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Egfr、Ptgs2、Ptgs1、Uts2、Pde4d、Ada、Capn5、Gja5、Irak1、Itga2b、Scnn1a、Ak3、Galnt2、Hmga2、Hrc、Kcnh2、Pln、Rai14、Slit2、Tnfrsf13b、及びPde4bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-1に記載のスクリーニング方法。 項3-3. メタボリック症候群が高血圧症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Eb1,Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Cat、Alox12、Ptgs1、Uts2、H2-Q6、Pde4d、Capn5、Gja5、Igf1r、Scnn1a、Cdh13、Ctns、Gosr2、Lrp5、Prkag2、Slc8a1、及びAcadsbよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-1に記載のスクリーニング方法。 項3-4. メタボリック症候群が2型糖尿病、又はインスリン非依存型糖尿病であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、Vegfa、Mthfr、Edn1、Itgb3、Sele、Icam1、Serpine1、Adrb2、Fasl、Ptgs2、Uts2、Itga2b、Maf、Pax4、Prph1、Atp5o、Dgkg、Parl、Pck1、Prdm5、Tnmd、Fads1、G6pc2、及びSocs2よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-1に記載のスクリーニング方法。 項3-5. メタボリック症候群に罹患している患者、或いはメタボリック症候群に罹患するリスクがある患者に対して、表3に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を有効量投与する工程を含むメタボリック症候群の予防又は治療方法。 項3-6 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項3-1に記載の予防又は治療方法。 項3-7. メタボリック症候群が心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、又は全身性硬化症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa,、Mthfr、Spp1、Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Egfr、Ptgs2、Ptgs1、Uts2、Pde4d、Ada、Capn5、Gja5、Irak1、Itga2b、Scnn1a、Ak3、Galnt2、Hmga2、Hrc、Kcnh2、Pln、Rai14、Slit2、Tnfrsf13b、及びPde4bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-5又は3-6に記載の予防又は治療方法。 項3-8. メタボリック症候群が高血圧症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Eb1,Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Cat、Alox12、Ptgs1、Uts2、H2-Q6、Pde4d、Capn5、Gja5、Igf1r、Scnn1a、Cdh13、Ctns、Gosr2、Lrp5、Prkag2、Slc8a1、及びAcadsbよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-5又は3-6に記載の予防又は治療方法。 項3-9. メタボリック症候群が2型糖尿病、又はインスリン非依存型糖尿病であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、Vegfa、Mthfr、Edn1、Itgb3、Sele、Icam1、Serpine1、Adrb2、Fasl、Ptgs2、Uts2、Itga2b、Maf、Pax4、Prph1、Atp5o、Dgkg、Parl、Pck1、Prdm5、Tnmd、Fads1、G6pc2、及びSocs2よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-5又は3-6に記載の予防又は治療方法。 項3-10. 表3に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を含む、メタボリック症候群の予防又は治療剤。 項3-11. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項3-10に記載の予防又は治療剤。 項3-12. メタボリック症候群が心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、又は全身性硬化症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa,、Mthfr、Spp1、Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Egfr、Ptgs2、Ptgs1、Uts2、Pde4d、Ada、Capn5、Gja5、Irak1、Itga2b、Scnn1a、Ak3、Galnt2、Hmga2、Hrc、Kcnh2、Pln、Rai14、Slit2、Tnfrsf13b、及びPde4bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-10又は3-11に記載の予防又は治療剤。 項3-13. メタボリック症候群が高血圧症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Eb1,Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Cat、Alox12、Ptgs1、Uts2、H2-Q6、Pde4d、Capn5、Gja5、Igf1r、Scnn1a、Cdh13、Ctns、Gosr2、Lrp5、Prkag2、Slc8a1、及びAcadsbよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-10又は3-11に記載の予防又は治療剤。 項3-14. メタボリック症候群が2型糖尿病、又はインスリン非依存型糖尿病であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、Vegfa、Mthfr、Edn1、Itgb3、Sele、Icam1、Serpine1、Adrb2、Fasl、Ptgs2、Uts2、Itga2b、Maf、Pax4、Prph1、Atp5o、Dgkg、Parl、Pck1、Prdm5、Tnmd、Fads1、G6pc2、及びSocs2よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項3-10又は3-11に記載の予防又は治療剤。 項3-15. メタボリック症候群の予防又は治療剤の製造のための、表3に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質の使用。 項4-1. 下記工程を(i)~(iii)含む、神経変性疾患の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表4に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞、又は当該遺伝子の遺伝子産物と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 項4-2. 神経変性疾患がアルツハイマー病又は海馬萎縮であり、前記遺伝子が、Il1b、H2-Eb1、Vegfa、Mthfr、Icam1、Ptgs2、Prnp、Tph1、Apod、Igf1r、Nbr1、Cyp46a1、Efna5、Rpn2、Ubqln1、及びZbp1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-1に記載のスクリーニング方法。 項4-3. 神経変性疾患がパーキンソン病であり、前記遺伝子が、Il1b、Il6、Bmp4、及びCckbrよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-1に記載のスクリーニング方法。 項4-4. 神経変性疾患がニューロパシーであり、前記遺伝子が、Cat及び/又はEgr2である、項4-1に記載のスクリーニング方法。 項4-5. 神経変性疾患が筋萎縮性側索硬化症であり、前記遺伝子が、Vegfa、Prph1、Efemp1、Odf1、Sod1、及びOgg1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-1に記載のスクリーニング方法。 項4-6. 神経変性疾患がプリオン病であり、前記遺伝子が、Prnpである、項4-1に記載のスクリーニング方法。 項4-7. 神経変性疾患がてんかんであり、前記遺伝子が、Clcn2及び/又はSlc4a3である、項4-1に記載のスクリーニング方法。 項4-8. 神経変性疾患に罹患している患者、或いは神経変性疾患に罹患するリスクがある患者に対して、表4に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を有効量投与する工程を含む、神経変性疾患の予防又は治療方法。 項4-9. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項4-8に記載の予防又は治療方法。 項4-10. 神経変性疾患がアルツハイマー病又は海馬萎縮であり、前記遺伝子が、Il1b、H2-Eb1、Vegfa、Mthfr、Icam1、Ptgs2、Prnp、Tph1、Apod、Igf1r、Nbr1、Cyp46a1、Efna5、Rpn2、Ubqln1、及びZbp1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-8又は4-9に記載の予防又は治療方法。 項4-11. 神経変性疾患がパーキンソン病であり、前記遺伝子が、Il1b、Il6、Bmp4、及びCckbrよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-8又は4-9に記載の予防又は治療方法。 項4-12. 神経変性疾患がニューロパシーであり、前記遺伝子が、Cat及び/又はEgr2である、項4-8又は4-9に記載の予防又は治療方法。 項4-13. 神経変性疾患が筋萎縮性側索硬化症であり、前記遺伝子が、Vegfa、Prph1、Efemp1、Odf1、Sod1、及びOgg1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-8又は4-9に記載の予防又は治療方法。 項4-14. 神経変性疾患がプリオン病であり、前記遺伝子が、Prnpである、項4-8又は4-9に記載の予防又は治療方法。 項4-15. 神経変性疾患がてんかんであり、前記遺伝子が、Clcn2及び/又はSlc4a3である、項4-8又は4-9に記載の予防又は治療方法。 項4-16. 表4に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を含む、神経変性疾患の予防又は治療剤。 項4-17. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項4-16に記載の予防又は治療剤。 項4-18. 神経変性疾患がアルツハイマー病又は海馬萎縮であり、前記遺伝子が、Il1b、H2-Eb1、Vegfa、Mthfr、Icam1、Ptgs2、Prnp、Tph1、Apod、Igf1r、Nbr1、Cyp46a1、Efna5、Rpn2、Ubqln1、及びZbp1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-16又は4-17に記載の予防又は治療剤。 項4-19. 神経変性疾患がパーキンソン病であり、前記遺伝子が、Il1b、Il6、Bmp4、及びCckbrよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-8又は4-9に記載の項4-16又は4-17に記載の予防又は治療剤。 項4-20. 神経変性疾患がニューロパシーであり、前記遺伝子が、Cat及び/又はEgr2である、項4-16又は4-17に記載の予防又は治療剤。 項4-21. 神経変性疾患が筋萎縮性側索硬化症であり、前記遺伝子が、Vegfa、Prph1、Efemp1、Odf1、Sod1、及びOgg1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項4-16又は4-17に記載の予防又は治療剤。 項4-22. 神経変性疾患がプリオン病であり、前記遺伝子が、Prnpである、項4-16又は4-17に記載の予防又は治療剤。 項4-23. 神経変性疾患がてんかんであり、前記遺伝子が、Clcn2及び/又はSlc4a3である、項4-16又は4-17に記載の予防又は治療剤。 項4-24. 神経変性疾患の予防又は治療剤の製造のための、表4に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質の使用。 項5-1. 下記工程を(i)~(iii)含む、精神病の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表5に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞、又は当該遺伝子の遺伝子産物と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 項5-2. 精神病が統合失調症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Mthfr、Cntf、Prnp、Tph1、Apod、Slc12a6、Nrg3、St8sia2、Vrk2、Alk、及びPla2g1bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-1に記載のスクリーニング方法。 項5-3. 精神病が双極性障害であり、前記遺伝子が、Alox12、Slc12a6、Arntl、及びGga2よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-1に記載のスクリーニング方法。 項5-4. 精神病がうつ病であり、前記遺伝子がIl1b、Cntf、Tph1、Bcr、Gnai3、及びSp4よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-1に記載のスクリーニング方法。 項5-5. 精神病が認知障害であり、前記遺伝子がCoro2b及び/又はRfx4である、項5-1に記載のスクリーニング方法。 項5-6. 精神病に罹患している患者、或いは精神病に罹患するリスクがある患者に対して、表5に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を有効量投与する工程を含む、精神病の予防又は治療方法。 項5-7. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項5-6に記載の予防又は治療方法。 項5-8. 精神病が統合失調症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Mthfr、Cntf、Prnp、Tph1、Apod、Slc12a6、Nrg3、St8sia2、Vrk2、Alk、及びPla2g1bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-6又は5-7に記載の予防又は治療方法。 項5-9. 精神病が双極性障害であり、前記遺伝子が、Alox12、Slc12a6、Arntl、及びGga2よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-6又は5-7に記載の予防又は治療方法。 項5-10. 精神病がうつ病であり、前記遺伝子がIl1b、Cntf、Tph1、Bcr、Gnai3、及びSp4よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-6又は5-7に記載の予防又は治療方法。 項5-11. 精神病が認知障害であり、前記遺伝子がCoro2b及び/又はRfx4である、項5-6又は5-7に記載の予防又は治療方法。 項5-12. 表5に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を含む、精神病の予防又は治療剤。 項5-13. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項5-12に記載の予防又は治療剤。 項5-14. 精神病が統合失調症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Mthfr、Cntf、Prnp、Tph1、Apod、Slc12a6、Nrg3、St8sia2、Vrk2、Alk、及びPla2g1bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-12又は5-13に記載の予防又は治療剤。 項5-15. 精神病が双極性障害であり、前記遺伝子が、Alox12、Slc12a6、Arntl、及びGga2よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-12又は5-13に記載の予防又は治療剤。 項5-16. 精神病がうつ病であり、前記遺伝子がIl1b、Cntf、Tph1、Bcr、Gnai3、及びSp4よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項5-12又は5-13に記載の予防又は治療剤。 項5-17. 精神病が認知障害であり、前記遺伝子がCoro2b及び/又はRfx4である、項5-12又は5-13に記載の予防又は治療剤。 項5-18. 精神病の予防又は治療剤の製造のための、表5に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質の使用。 項6-1. 下記工程を(i)~(iii)含む、炎症性疾患の予防又は治療剤をスクリーニングする方法: (i)候補物質を、表6に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子を発現する細胞、又は当該遺伝子の遺伝子産物と接触させる工程、 (ii)候補物質が、前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する工程、及び (iii)前記遺伝子の発現又は前記遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する工程。 項6-2. 炎症性疾患がアトピー又はアレルギーであり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Itgb3、Alox12、Cysltr1、Cysltr2、Stip1、及びTbxa2rよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-3. 炎症性疾患が肺疾患、喘息、又は嚢胞性線維症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Vegfa、Spp1、Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Egfr、Nfkb1、Ptgs2、Stat3、Pde4d、Cysltr1、Cysltr2、Sparc、Stip1、Tbx21、Tbxa2r、Gstm3、Ear5、Itga11、Kcns3、Ptger3、及びTslpよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-4. 炎症性疾患が肝炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Ada、Tbx21、Cd81、及びDdx5よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-5. 炎症性疾患が炎症性腸疾患又は大腸炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Eb1、Icam1、Nfkb1、Cln3、及びSult1a1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-6. 炎症性疾患が敗血症であり、前記遺伝子がIl6及び/又はIrak1である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-7. 炎症性疾患が白斑であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Edn1、Cat、H2-K1(HLA-C)、及びSparcよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-8. 炎症性疾患が歯膜炎であり、前記遺伝子が、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Spp1、Fgl2、Il6st、及びPik3r1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-9. 炎症性疾患がポリープ症であり、前記遺伝子がH2-Aa(HLA-DQA1)及び/又はSmad4である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-10. 炎症性疾患が乾癬又は強皮症であり、前記遺伝子が、H2-Eb1、Vegfa、H2-K1(HLA-C)、及びNfkb1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-11. 炎症性疾患が卒中であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、Mthfr、Itgb3、及びPtgs1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-12. 炎症性疾患がネフロパシー又は糸球体腎炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa、Mthfr、Edn1、Sele、Icam1、Cat、Egfr、C1galt1、Clcn5、Hace1、Ighmbp2、及びSlc2a1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-13. 炎症性疾患が移植片対宿主病又は移植合併症であり、前記遺伝子が、Il6、Vegfa、及びMthfrよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-1に記載のスクリーニング方法。 項6-14. 炎症性疾患に罹患している患者、或いは炎症性疾患に罹患するリスクがある患者に対して、表6に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を有効量投与する工程を含む、炎症性疾患の予防又は治療方法。 項6-15. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項6-14に記載の予防又は治療方法。 項6-16. 炎症性疾患がアトピー又はアレルギーであり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Itgb3、Alox12、Cysltr1、Cysltr2、Stip1、及びTbxa2rよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-17. 炎症性疾患が肺疾患、喘息、又は嚢胞性線維症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Vegfa、Spp1、Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Egfr、Nfkb1、Ptgs2、Stat3、Pde4d、Cysltr1、Cysltr2、Sparc、Stip1、Tbx21、Tbxa2r、Gstm3、Ear5、Itga11、Kcns3、Ptger3、及びTslpよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-18. 炎症性疾患が肝炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Ada、Tbx21、Cd81、及びDdx5よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-19. 炎症性疾患が炎症性腸疾患又は大腸炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Eb1、Icam1、Nfkb1、Cln3、及びSult1a1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-20. 炎症性疾患が敗血症であり、前記遺伝子がIl6及び/又はIrak1である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-21. 炎症性疾患が白斑であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Edn1、Cat、H2-K1(HLA-C)、及びSparcよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-22. 炎症性疾患が歯膜炎であり、前記遺伝子が、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Spp1、Fgl2、Il6st、及びPik3r1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-23. 炎症性疾患がポリープ症であり、前記遺伝子がH2-Aa(HLA-DQA1)及び/又はSmad4である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-24. 炎症性疾患が乾癬又は強皮症であり、前記遺伝子が、H2-Eb1、Vegfa、H2-K1(HLA-C)、及びNfkb1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-25. 炎症性疾患が卒中であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、Mthfr、Itgb3、及びPtgs1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-26. 炎症性疾患がネフロパシー又は糸球体腎炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa、Mthfr、Edn1、Sele、Icam1、Cat、Egfr、C1galt1、Clcn5、Hace1、Ighmbp2、及びSlc2a1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-27. 炎症性疾患が移植片対宿主病又は移植合併症であり、前記遺伝子が、Il6、Vegfa、及びMthfrよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-14又は6-15に記載の予防又は治療方法。 項6-28. 表6に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を含む、炎症性疾患の予防又は治療剤。 項6-29. 前記物質が、抗体、siRNA、miRNA、shRNA、及びアンチセンスDNAよりなる群から選択される少なくとも1種である、項6-28に記載の予防又は治療剤。 項6-30. 炎症性疾患がアトピー又はアレルギーであり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Itgb3、Alox12、Cysltr1、Cysltr2、Stip1、及びTbxa2rよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-31. 炎症性疾患が肺疾患、喘息、又は嚢胞性線維症であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Vegfa、Spp1、Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Egfr、Nfkb1、Ptgs2、Stat3、Pde4d、Cysltr1、Cysltr2、Sparc、Stip1、Tbx21、Tbxa2r、Gstm3、Ear5、Itga11、Kcns3、Ptger3、及びTslpよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-32. 炎症性疾患が肝炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Ada、Tbx21、Cd81、及びDdx5よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-33. 炎症性疾患が炎症性腸疾患又は大腸炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Eb1、Icam1、Nfkb1、Cln3、及びSult1a1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-34. 炎症性疾患が敗血症であり、前記遺伝子がIl6及び/又はIrak1である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-35. 炎症性疾患が白斑であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Edn1、Cat、H2-K1(HLA-C)、及びSparcよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-36. 炎症性疾患が歯膜炎であり、前記遺伝子が、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Spp1、Fgl2、Il6st、及びPik3r1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-37. 炎症性疾患がポリープ症であり、前記遺伝子がH2-Aa(HLA-DQA1)及び/又はSmad4である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-38. 炎症性疾患が乾癬又は強皮症であり、前記遺伝子が、H2-Eb1、Vegfa、H2-K1(HLA-C)、及びNfkb1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-39. 炎症性疾患が卒中であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、Mthfr、Itgb3、及びPtgs1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-40. 炎症性疾患がネフロパシー又は糸球体腎炎であり、前記遺伝子が、H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa、Mthfr、Edn1、Sele、Icam1、Cat、Egfr、C1galt1、Clcn5、Hace1、Ighmbp2、及びSlc2a1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-41. 炎症性疾患が移植片対宿主病又は移植合併症であり、前記遺伝子が、Il6、Vegfa、及びMthfrよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子である、項6-28又は6-29に記載の予防又は治療剤。 項6-42. 炎症性疾患の予防又は治療剤の製造のための、表6に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子の発現、又は当該遺伝子の遺伝子産物の機能を阻害できる物質の使用。 発明の効果 [0006] 本発明では、体系的なスクリーニングとゲノムワイド関連解析を組み合わせることによって、IL-6アンプの活性化を介したヒト疾患や病態の発症や悪化を潜在的に制御できる特定の遺伝子群を同定できている。従って、当該遺伝子群の発現やその遺伝子産物の機能を阻害する物質を探索することによって、自己免疫疾患、メタボリック症候群、神経変性疾患、精神病、炎症性疾患等のIL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤をスクリーニングすることが可能になり、これらの疾患や病態の予防又は治療薬を開発する上で副音をもたらすことが期待される。 図面の簡単な説明 [0007] 図1には、IL-6アンプ(IL-6 Amplifier)の模式図を示す。 図2のAには、実施例1で行った一次スクリーニングの概要を示す。図2のBには、BC1細胞に対して、様々な濃度のヒトIL-6、ヒト可溶性IL-6受容体、及びマウスIL-17Aで刺激し、IL-6発現量を測定した結果(上)、及び細胞生存率(TCO、A450)を測定した結果(下)を示す。図2のCには、IL-6経路における5個の既知シグナル遺伝子についてshRNA一次スクリーニングの結果を示す。図2のDには、IL-17経路における6個の既知シグナル遺伝子についてshRNA一次スクリーニングの結果を示す。 図3-1及び3-2には、実施例1において、各対応遺伝子が欠損したBC1細胞に対して、ヒトIL-とヒト可溶性IL-6受容体、及び/又はマウスIL-17Aで刺激した後に、IL-6のmRNA発現量を測定した結果を示す。 図4-1及び4-2には、実施例1において、各対応遺伝子が欠損したBC1細胞に対して、ヒトIL-とヒト可溶性IL-6受容体、及び/又はマウスIL-17Aで刺激した後に、IL-6のmRNA発現量を測定した結果を示す。 図5-1及び5-2には、実施例1において、各対応遺伝子が欠損したBC1細胞に対して、ヒトIL-とヒト可溶性IL-6受容体、及び/又はマウスIL-17Aで刺激した後に、CxCl1のmRNA発現量を測定した結果を示す。 図6-1及び6-2には、実施例1において、各対応遺伝子が欠損したBC1細胞に対して、ヒトIL-とヒト可溶性IL-6受容体、及び/又はマウスIL-17Aで刺激した後に、CxCl1のmRNA発現量を測定した結果を示す。 図7-1及び7-2には、実施例1において、各対応遺伝子が欠損したBC1細胞に対して、ヒトIL-とヒト可溶性IL-6受容体、及び/又はマウスIL-17Aで刺激した後に、Socs3のmRNA発現量を測定した結果を示す。 図8-1及び8-2には、実施例1において、各対応遺伝子が欠損したBC1細胞に対して、ヒトIL-とヒト可溶性IL-6受容体、及び/又はマウスIL-17Aで刺激した後に、Socs3のmRNA発現量を測定した結果を示す。 図9には、実施例3において、IL-6及びIL-17刺激後にヒトI型コラーゲン陽性細胞株によるIL-6産生量を測定した結果を示す。 発明を実施するための形態 [0008] 1.スクリーニング方法 本発明のスクリーニング方法は、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防又は治療剤をスクリーニングする方法である。 ここで、「IL-6アンプ」とは、図1に示す非特許文献9で見出されたIL-17Aタンパク質誘導性の炎症性サイトカイン産生に寄与する増幅ループ(正のフィードバックループ)を指す。具体的な構成因子としては、サイトカインであるIL-6タンパク質、IL-17Aタンパク質及びIL-7タンパク質、並びに転写因子であるNF-κB及びSTAT3タンパク質等が構成すると考えられている。具体的な作用機序としては、Th17細胞が産生するIL-17Aタンパク質とIL-6タンパク質とが協調して、線維芽細胞(I型コラーゲン陽性細胞)におけるNF-κB及びSTAT3タンパク質の活性を亢進させ、NF-κBタンパク質及びSTAT3タンパク質の活性亢進がIL-6タンパク質、ケモカインなどの炎症性サイトカインの産生亢進を誘導し、かかる炎症性サイトカインの産生亢進によってIL-6タンパク質及びIL-17Aタンパク質がより産生されることに基づくと考えられる正のフィードバックループに基づくと考えられている。 IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害とは、IL-6アンプの活性化が発症及び/又は悪化の要因となっている疾患や病態である。具体的には、自己免疫疾患、メタボリック症候群、神経変性疾患、精神病、炎症性疾患等が挙げられる。 <標的遺伝子及び標的遺伝子産物> 表12に示す合計1,289個の遺伝子群(表12の左から1行目の列に表示)の産物は、IL-6アンプの活性化に関与して、IL-6アンプのポジティブレギュレーターとしての役割を果たしており、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害との関連性が認められるため、当該遺伝子の発現を阻害できる物質、又は当該遺伝子産物の機能を阻害できる物質を選択することにより、IL-6アンプ活性化が関連する疾患又は障害の予防又は治療薬を得ることができる。 表12に示す遺伝子群の中でも、特に、IL-6アンプ活性化が関連する疾患又は障害との関連性が強く認められるものとして、表1に示す遺伝子群が挙げられる。即ち、本発明のスクリーニング方法において好適に使用される標的遺伝子又はその遺伝子産物として、表1に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物が例示される。 [表1] また、表12に示す遺伝子群の中でも、自己免疫疾患との関連性が強く認められるものとして、表2に示す遺伝子群が例示される。即ち、自己免疫疾患の予防又は治療薬のスクリーニングを行う場合であれば、使用される標的遺伝子又はその遺伝子産物の好適な例として、表2に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物が例示される。 [表2] より具体的には、自己免疫疾患が、1型糖尿病、クローン病、関節リウマチ、多発性硬化症、セリアック病、及びループスである場合については、それぞれ、以下に示す遺伝子及びその遺伝子産物に強い関連性が認められる。従って、自己免疫疾患の疾患や病態の種類毎に、以下に示す遺伝子又はその遺伝子産物を標的遺伝子又はその遺伝子産物として設定することが好ましい。 自己免疫疾患が1型糖尿病である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Vegfa、Icam1、H2-K1、Nfkb1、Pax4、Il27、Tyk2、及びHvcn1(VSOP)よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 自己免疫疾患がクローン病である場合:Il1b、Serpine1、Stat3、Nbr1、及びRhoaよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 自己免疫疾患が関節リウマチである場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa、Spp1、Icam1、Maf、Tnfsf13b、Dscam、Lmo4、及びKlrcよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 自己免疫疾患が多発性硬化症である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Adrb2、Fasl、Cntf、Stat3、H2-Q6、C1galt1、Kcnip1、Pou2af1、Accn1、Cbln2、及びCd6よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 自己免疫疾患がセリアック病である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Fasl、H2-Q6、Ets1、Plek、及びZfp36l1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 自己免疫疾患がループスである場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Sele、Serpine1、Egfr、Fasl、H2-K1(HLA-C)、Ets1、Tnfsf13、Tyk2、Anp32b、C4a、Cr2、及びTnfsf13bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 また、表12に示す遺伝子群の中でも、メタボリック症候群との関連性が強く認められるものとして、表3に示す遺伝子群が例示される。即ち、メタボリック症候群の予防又は治療薬のスクリーニングを行う場合であれば、使用される標的遺伝子又はその遺伝子産物の好適な例として、表3に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物が例示される。 [表3] より具体的には、メタボリック症候群が、心血管疾患/アテローム性動脈硬化症/全身性硬化症、高血圧症/血圧、及び2型糖尿病/インスリン非依存型糖尿病である場合については、それぞれ、以下に示す遺伝子及びその遺伝子産物に強い関連性が認められる。従って、メタボリック症候群の疾患や病態の種類毎に、以下に示す遺伝子又はその遺伝子産物を標的遺伝子又はその遺伝子産物として設定することが好ましい。 メタボリック症候群が心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、又は全身性硬化症である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa,、Mthfr、Spp1、Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Egfr、Ptgs2、Ptgs1、Uts2、Pde4d、Ada、Capn5、Gja5、Irak1、Itga2b、Scnn1a、Ak3、Galnt2、Hmga2、Hrc、Kcnh2、Pln、Rai14、Slit2、Tnfrsf13b、及びPde4bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 メタボリック症候群が高血圧症/血圧である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Eb1,Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Cat、Alox12、Ptgs1、Uts2、H2-Q6、Pde4d、Capn5、Gja5、Igf1r、Scnn1a、Cdh13、Ctns、Gosr2、Lrp5、Prkag2、Slc8a1、及びAcadsbよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 メタボリック症候群が2型糖尿病、又はインスリン非依存型糖尿病である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、Vegfa、Mthfr、Edn1、Itgb3、Sele、Icam1、Serpine1、Adrb2、Fasl、Ptgs2、Uts2、Itga2b、Maf、Pax4、Prph1、Atp5o、Dgkg、Parl、Pck1、Prdm5、Tnmd、Fads1、G6pc2、及びSocs2よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 また、表12に示す遺伝子群の中でも、神経変性疾患との関連性が強く認められるものとして、表4に示す遺伝子群が例示される。即ち、神経変性疾患の予防又は治療薬のスクリーニングを行う場合であれば、使用される標的遺伝子又はその遺伝子産物の好適な例として、表4に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物が例示される。 [表4] より具体的には、神経変性疾患が、アルツハイマー病/海馬萎縮、パーキンソン病、ニューロパシー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、プリオン病、及びてんかんである場合については、それぞれ、以下に示す遺伝子及びその遺伝子産物に強い関連性が認められる。従って、神経変性疾患の疾患や病態の種類毎に、以下に示す遺伝子又はその遺伝子産物を標的遺伝子又はその遺伝子産物として設定することが好ましい。 神経変性疾患がアルツハイマー病又は海馬萎縮である場合:Il1b、H2-Eb1、Vegfa、Mthfr、Icam1、Ptgs2、Prnp、Tph1、Apod、Igf1r、Nbr1、Cyp46a1、Efna5、Rpn2、Ubqln1、及びZbp1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 神経変性疾患がパーキンソン病である場合:Il1b、Il6、Bmp4、及びCckbrよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 神経変性疾患がニューロパシーである場合:Cat及び/又はEgr2の遺伝子又はその遺伝子産物。 神経変性疾患が筋萎縮性側索硬化症である場合:Vegfa、Prph1、Efemp1、Odf1、Sod1、及びOgg1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 神経変性疾患がプリオン病である場合:Prnpの遺伝子又はその遺伝子産物。 神経変性疾患がてんかんである場合:Clcn2及び/又はSlc4a3の遺伝子又はその遺伝子産物。 また、表12に示す遺伝子群の中でも、精神病との関連性が強く認められるものとして、表5に示す遺伝子群が例示される。即ち、精神病の予防又は治療薬のスクリーニングを行う場合であれば、使用される標的遺伝子又はその遺伝子産物の好適な例として、表5に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物が例示される。 [表5] より具体的には、精神病が、統合失調症、双極性障害、うつ病、及び認知障害である場合については、それぞれ、以下に示す遺伝子及びその遺伝子産物に強い関連性が認められる。従って、精神病の疾患や病態の種類毎に、以下に示す遺伝子又はその遺伝子産物を標的遺伝子又はその遺伝子産物として設定することが好ましい。 精神病が統合失調症である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Mthfr、Cntf、Prnp、Tph1、Apod、Slc12a6、Nrg3、St8sia2、Vrk2、Alk、及びPla2g1bよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 精神病が双極性障害である場合:Alox12、Slc12a6、Arntl、及びGga2よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 精神病がうつ病である場合:Il1b、Cntf、Tph1、Bcr、Gnai3、及びSp4よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 精神病が認知障害である場合:Coro2b及び/又はRfx4の遺伝子又はその遺伝子産物。 また、表12に示す遺伝子群の中でも、炎症性疾患との関連性が強く認められるものとして、表6に示す遺伝子群が例示される。即ち、炎症性疾患の予防又は治療薬のスクリーニングを行う場合であれば、使用される標的遺伝子又はその遺伝子産物の好適な例として、表6に示す遺伝子群の中の少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物が例示される。 [表6] より具体的には、炎症性疾患が、アトピー/アレルギー、肺疾患/喘息/嚢胞性線維症、肝炎、炎症性腸疾患/大腸炎、敗血症、白斑、歯膜炎、ポリープ症、乾癬/強皮症、卒中、ネフロパシー/糸球体腎炎、及びGVHD(移植片対宿主病)/移植合併症である場合については、それぞれ、以下に示す遺伝子及びその遺伝子産物に強い関連性が認められる。従って、炎症性疾患の疾患や病態の種類毎に、以下に示す遺伝子又はその遺伝子産物を標的遺伝子又はその遺伝子産物として設定することが好ましい。 炎症性疾患がアトピー又はアレルギーである場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Itgb3、Alox12、Cysltr1、Cysltr2、Stip1、及びTbxa2rよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患が肺疾患、喘息、又は嚢胞性線維症である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Vegfa、Spp1、Edn1、Itgb3、Sele、Serpine1、Adrb2、Egfr、Nfkb1、Ptgs2、Stat3、Pde4d、Cysltr1、Cysltr2、Sparc、Stip1、Tbx21、Tbxa2r、Gstm3、Ear5、Itga11、Kcns3、Ptger3、及びTslpよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患が肝炎である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、H2-Ab1(HLA-DQB1)、H2-Eb1、Spp1、Ada、Tbx21、Cd81、及びDdx5よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患が炎症性腸疾患又は大腸炎である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、Il6、H2-Eb1、Icam1、Nfkb1、Cln3、及びSult1a1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患が敗血症である場合:Il6及び/又はIrak1の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患が白斑である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Edn1、Cat、H2-K1(HLA-C)、及びSparcよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患が歯膜炎である場合:Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Spp1、Fgl2、Il6st、及びPik3r1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患がポリープ症である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)及び/又はSmad4の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患が乾癬又は強皮症である場合:H2-Eb1、Vegfa、H2-K1(HLA-C)、及びNfkb1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患が卒中である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il6、Mthfr、Itgb3、及びPtgs1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患がネフロパシー又は糸球体腎炎である場合:H2-Aa(HLA-DQA1)、Il1b、H2-Ab1(HLA-DQB1)、Vegfa、Mthfr、Edn1、Sele、Icam1、Cat、Egfr、C1galt1、Clcn5、Hace1、Ighmbp2、及びSlc2a1よりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 炎症性疾患がGVHD又は移植合併症である場合:Il6、Vegfa、及びMthfrよりなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子又はその遺伝子産物。 <工程(i)> 本発明のスクリーニング方法では、工程(i)として、候補物質を、前記標的遺伝子の少なくとも1種を発現する細胞、又は前記標的遺伝子産物の少なくとも1種と接触させる。 候補物質とは、前記疾患又は障害の予防又は治療剤の有効成分の候補化合物となり得るものであれば、特に制限されない。候補物質は、天然化合物(例えば、生体生体由来物質)又は合成化合物のいずれであってもよい。候補物質として好ましくはヒトにおいて薬学的に許容される化合物である。上記被験物質の具体例として、低分子化合物、抗体等のタンパク質、タンパク質の発現を抑制できる核酸(例えば、siRNA、shRNA、dsRNA、miRNA、アンチセンスDNA等)、糖鎖もしくは複合糖質等が挙げられる。 前記標的遺伝子の少なくとも1種を発現する細胞の由来については特に制限されず、ヒトであっても、またマウス、ラット、ブタ、ウサギ等の非ヒト哺乳動物であってもよい。また、当該細胞は、前記標的遺伝子の少なくとも1種を発現することを限度として特に制限されないが、具体的には、IL-6アンプが機能する細胞(例えば、I型コラーゲン陽性細胞、胚性線維芽細胞(embryonic fibroblast)等)が挙げられる。 前記標的遺伝子の少なくとも1種を発現する細胞と候補物質を接触させる場合、当該細胞を含む培地に候補物質を添加すればよい。また、スクリーニング効率を高めるために、前記培地中には、更にIL-6タンパク質及びIL-17Aタンパク質を含有させ、前記細胞においてIL-6アンプを活性化させてもよい。 前記標的遺伝子産物の少なくとも1種と候補物質を接触させる場合、前記標的遺伝子産物を含む溶液(緩衝液等)に、候補物質を添加すればよい。 工程(i)において、前記細胞又は標的遺伝子産物と候補物質を接触させる時間については、当該細胞において前記標的遺伝子の発現が抑制されているか否か、又は当該標的遺伝子産物の機能が阻害されているか否かを判定するのに必要とされる時間を満たせばよい。 <工程(ii)> 本発明のスクリーニング方法では、前記工程(i)を行った後に、工程(ii)として、候補物質が、前記細胞における標的遺伝子の発現又は前記標的遺伝子産物の機能を阻害したか否かを測定する。 前記細胞における標的遺伝子の発現の阻害の有無の測定は、当該細胞における標的遺伝子のmRNA量や、培養液中の標的遺伝子産物量を定量することによって行うことができる。 また、前記標的遺伝子産物の機能の阻害の有無の測定は、当該標的遺伝子産物の種類に応じて、その活性、リガンド又は受容体との結合能、キナーゼ活性等の酵素活性の阻害能等を測定することによって行うことができる。 <工程(iii)> 本発明のスクリーニング方法では、前記工程(ii)を行った後に、工程(iii)として、前記細胞における標的遺伝子の発現又は前記標的遺伝子産物の機能を阻害した候補物質を選択する。 標的遺伝子の発現又は標的遺伝子産物の機能を阻害したか否かは、候補物質を添加せずに同条件で試験を行ったコントロールと比較することによって判定することができる。 斯して選択された候補物質は、IL-6アンプ活性化と関連する前記疾患又は障害の予防又は治療剤の有効成分として利用することができる。 また、工程(iii)で選択された候補物質は、必要に応じて、炎症性サイトカイン(IL-6等)の発現を抑制できるか否かを確認してもよい。これは、炎症性サイトカインが過剰に産生されることに起因していると考えられる疾患や病態に対して、当該炎症性サイトカインの発現が効率よく抑制できる有効成分を含む治療薬または予防薬を用いることが、効果的な治療または予防をもたらすと考えられるためである。 炎症性サイトカインの発現を抑制できるか否かを判定するための方法としては、例えば、下記工程(a)及び(b)に供する方法が挙げられる。 (a)IL-6アンプが機能する細胞(例えば、マウスI型コラーゲン陽性細胞BC-1、又はマウス胚性線維芽細胞(mouse embryonic fibroblast、MEF)など)においてIL-6アンプを活性化させた場合の炎症性サイトカインの発現量を、工程(iii)で選択された候補物質の存在下及び非存在下で比較する工程。 (b)炎症性サイトカインの発現量が、工程(iii)で選択された候補物質の存在下では、当該候補物質の非存在下と比べて有意に(例えば、t検定によるp値<0.05ないしp値<0.01である程度に有意に)減少する場合に、当該候補物質は炎症性サイトカインの発現を抑制できると判定する工程。 前記工程(a)は、具体的には、工程(iii)で選択された候補物質の存在下及び非存在下で、培地中に、IL-6アンプが機能する細胞、IL-6アンプを活性化させる物質(例えば、IL-6タンパク質及びIL-17Aタンパク質を各々10~500ng/ml程度)を含有させ、所定時間培養した後に、培地中の炎症性サイトカイン量を測定することによって行うことができる。 2.IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の予防治療剤 本発明の予防又は治療剤は、前記標的遺伝子の少なくとも1種の発現、又は前記標的遺伝子の少なくとも1種の遺伝子産物の機能を阻害できる物質を有効成分として含有するものであり、IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害に対して適用される。 IL-6アンプ活性化と関連する疾患又は障害の種類と、標的遺伝子又はその遺伝子産物の種類との相関性については前記の通りであり、適用対象となる疾患又は障害に応じて、好適な標的遺伝子又はその遺伝子産物の種類を適宜設定すればよい。 本発明の予防又は治療剤は、前記有効成分をそのまま使用してもよいが、薬学的に許容される担体、希釈剤、添加剤等と共に製剤化したものを使用してもよい。 本発明の予防又は治療剤は、適用対象となる疾患又は障害、有効成分の種類等に応じて、注射剤、坐剤、点滴剤、経肺投与剤、経鼻投与剤等の非経口投与製剤の剤形にしてもよく、また錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤(シロップ剤、乳剤、懸濁液を含む)等の経口投与製剤の剤形にしてもよい。 また、本発明の予防又は治療剤の投与経路は、経口又は非経口のいずれであってもよく、またその投与量は、投与経路、疾患や病態の種類、患者の年齢、有効成分の種類等に応じて、治療有効量を適宜設定すればよい。 前記標的遺伝子の発現を阻害できる物質としては、例えば、siRNA、miRNA、dsRNA、shRNA、アンチセンスDNA等が挙げられる。 また、前記遺伝子産物の機能を阻害できる物質としては、例えば、抗体、抗体断片、低分子化合物等が挙げられる。抗体としては、IgG、IgM等のいずれであってもよいが、好ましくはIgGが挙げられる。 前記標的遺伝子の少なくとも1種の遺伝子産物の機能を阻害できると考えられる化合物の例を表7~9に示す。これらの化合物の中でも、好ましくは、AG-370、OBA、ヘペリシン、BN-82002、RWJ-60475、NF-kB活性阻害剤、BML-267エステル、Wortmannin、Isogranulatimide、SU9516、AG 1478、Srcキナーゼ阻害剤I、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤II、Kenpaullone、PD 174265、Go6983、MEK1/2阻害剤、GSK-3阻害剤XIII、ERK阻害剤II(FR180204)、VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤IV、JAK阻害剤I、Tp12キナーゼ阻害剤、terreic acid、JAK3阻害剤II、SB 202474、p38 MAPキナーゼ阻害剤III、PD 158780、B4-Rhodanine、p38 MAPキナーゼ阻害剤、シクロスポリンA、SB 203580、Rhoキナーゼ阻害剤III、Rockout、LY 294002、AG-879、GSK-3b阻害剤XI、TYRPHOSTINAG 1478、SB 202190、PD 169316、EGFR/ErbB-2/ErbB-4阻害剤、Shikonin、Go6976、Ro 31-8220 mesylate、及びD-エリスロ-スフィンゴシンが挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの化合物は、表10に示されているように、IL-6アンプを効率的に抑制できることが知られている。 表10には、各化合物のIL-6アンプの抑制能を評価した結果を示している。これらのIL-6アンプの抑制能は、以下の方法で測定した。先ず、マウスI型コラーゲン陽性細胞BC-1を96結プレートに2×104cells/wellとなるように接種し、一晩培養した。次いで、各化合物を最終濃度が0.01~10μMとなるように各ウェルに添加した。6時間培養した後に、ヒトIL-6、ヒトIL-6受容体、及びマウスIL-17Aをそれぞれ最終濃度が100ng/ml、100ng/ml、及び50ng/mlとなるように添加して、一晩培養した。その後、細胞の増殖をミトコンドリア活性をTetraColorONE(TCO)キット(生化学工業)を用いて、450nmの吸光度を測定することによって評価した。更に、各ウェルの培養上清を回収してIL-6濃度の測定を行った。また、コントロールとして、各化合物を添加することなく、同様の実験を行った。IL-6阻害率(IL-6 inhibitory rate)(%)は、下記式に従って算出した。 IL-6阻害率(%)={1-[(各化合物で処理した場合のIL-6濃度)/(コントロールのIL-6濃度)]}×100 [表7] [表8] [表9] [表10] 実施例 [0009] 以下、実施例等に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。 実施例1: In vitroIL-6アンプの活性化に関与する候補遺伝子のIn vitroスクリーニング 先ず、IL-6アンプの活性化をポジティブに制御している遺伝子の同定を行うために、レンチウイルス発現システムを用いて、マウスI型コラーゲン陽性細胞BC1におけるゲノムワイドshRNAスクリーニングを行った。 <一次スクリーニング> マウスI型コラーゲン陽性細胞BC1に、添付の手順書に従って、shRNA搭載レンチウイルスライブラリーであるMISSION(登録商標)Whole Vial Library(The RNAi Consotrium)を導入し、shRNA搭載レンチウイルスが導入された細胞をピューロマイシン選択により選別した。得られた各クローンについて、50ng/mlのヒトIL-6(東レ、R&D System社)、50ng/mlのヒト可溶性IL-6受容体(sIL-6R、R&D System社)、及び50ng/mlのマウスIL-17A(mIL-17A、R&D System社)を添加した、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むRPMI1640培地中で、96穴プレートにて24時間培養した。 培養後、各々のクローンにおけるマウスIL-6(mIL-6)の産生量、即ち培養液中のmIL-6量をELISA法によって定量した。また、各々のクローンについて、TetraColorONE(TCO)キット(生化学工業)を用いて450nmの吸光度を測定することにより、ミトコンドリア活性(細胞生存率)の評価を行った。 本試験では、約65,500個のレンチウイルス株を用いてテストした。これは、およそ16,000個のマウスオープンリーディングフレームに相当している。また、IL-6量が減少している場合、それは各ウェル中で細胞数が少ないことに起因している可能性があるので、各shRNAを導入した細胞のミトコンドリア活性(細胞生存率)の平均値からSD値を差し引いた値(1.88-0.08=1.80)を閾値として用い、細胞の生存を害したshRNAサンプルを削除した。図2Aに、当該一次スクリーニングの概要を示し、図2Bに、BC1細胞に対して、様々な濃度のヒトIL-6、ヒト可溶性IL-6受容体、及びマウスIL-17Aで刺激し、IL-6発現量を測定した結果(上)、及び細胞生存率(TCO、A450)を測定した結果(下)を示す。 次いで、IL-6産生の抑制速度を用いて候補遺伝子のランク付けを行った。IL-6及びIL-17経路に対する既知シグナル遺伝子の含有率に基づいたランキングシステムを使用した。最初の選択(表11及び表12のランク0の遺伝子、左から3番目のカラム)では、各遺伝子の少なくとも3つのshRNAでIL-6産生の65%以上を抑制したものを選んだ。二回目の選択(ランク1の遺伝子)では、2つのshRNAでIL-6産生の65%以上を抑制したものを選び、三回目の選択(ランク2の遺伝子)では、1つのshRNAでIL-6産生の65%以上を抑制し、且つ1つの他のshRNAが少なくとも50%抑制したものを選んだ。なお、他の選択基準に拘わらず、少なくとも2つのshRNAレンチウイルスで、IL-6の発現における-400%未満の抑制を示したものは選択しなかった。この一次スクリーニングによって、IL-6アンプのポジティブレギュレーターとして、表12に示す合計1,289個の候補遺伝子を特定した。 更に、1つのshRNAだけで抑制率が80%を超える遺伝子についても、優れた候補遺伝子としてリストアップした。このリストには、1,670個の遺伝子が含まれており、その内425個が前記1,289個の候補遺伝子とオーバーラップしていた(表13)。1,670個の遺伝子には、IL-6及びIL-17経路に対するシグナル遺伝子の数が少なかったので、ここでは1,289個の候補遺伝子について調査した。しかしながら、これらの遺伝子の幾つかを有していないマウスから単離したMEF細胞を用いた実験によって、その遺伝子欠損細胞がIL-6及びIL-17刺激後のIL-6の発現を抑制することが示されているので、1つだけのshRNAが作用した遺伝子を切り捨てるべきではない。 図2Cに、IL-6経路における5個の既知シグナル遺伝子についてshRNA一次スクリーニングの結果を示し、図2Dに、IL-17経路における6個の既知シグナル遺伝子についてshRNA一次スクリーニングの結果を示す。図2C及び2D中、黒色のバーはmIL-6産生量を示し、灰色の四角形のマーカーは相対的な細胞生存率を示す。また、図2C及び2D中、黒色及び白色の菱形のマーカーを付した遺伝子は、それぞれ、一次スクリーニングの基準(IL-6産生抑制が65%以上)を満たしたもの、及びIL-6産生抑制が50%以上であるものを示す。また、図2C及び2D中、点線は、閾値(65%、50%、及び1.8)を示す。 <二次スクリーニング> 前記で0~2にランクされた遺伝子の内、ランダムに選んだ27個を選んで二次スクリーニングを行った。54個のshRNA(1遺伝子につき2個)を使用して、対応遺伝子が欠損したBC1細胞を作製し、前記と同様の方法で、IL-6産生抑制効果を評価した。ここで使用したshRNAは、一次スクリーニングの場合と同様である。二次スクリーニングの結果を表14に示す。表14中、Stimuliのカラムにおいて、「None」とはIL-6及びIL-17の刺激をしていない条件、「IL-6」とはヒトIL-6(50ng/mL)とヒト可溶性IL-6受容体(50ng/mL)のみで刺激した条件、「IL-17」とはマウスIL-17(50ng/mL)のみで刺激した条件、「IL-6+IL-17」とはヒトIL-6(50ng/mL)とヒト可溶性IL-6受容体(50ng/mL)、及びマウスIL-17(50ng/mL)の双方で刺激した条件を指す。表14中、viability以外の数値は、標的遺伝子を有していないコントロールshRNAレンチウイルスを使用した場合に対する抑制率(%)を示す。表14から明らかなように、90%以上のshRNAが統計的に有意な減少を示したが、54個のランダムに選んだshRNAの内、23個はIL-6及びIL-17に対する応答において65%より大きい抑制効果を有しており、また、10個はIL-6及びIL-17に対する応答において50~65%の抑制効果を有していた(表14の4番目のカラムのアスタリスク[*]参照)。従って、このゲノムワイドスクリーニングにおける偽陽性率は、40%未満(38.9%、54個の内で33個)であると推測される。 <IL-6、CxCl1及びSocs3のmRNA発現量の測定> 更に、25個の遺伝子に対するshRNAを用いて、IL-6、CxCl1及びSocs3のmRNA発現について分析した。なお、Gzmm shRNAは、IL-6及びIL-17刺激後のIL-6発現を阻害せず、Pou4f1発現は遅くリアルタイムPCR検出システムによって検出できないため、前記で選ばれた27個の遺伝子の中からGzmm及びPou4f1は、分析対象から削除した。IL-6及びCxCl1は、NF-κBのターゲットであって、IL-6刺激存在下でIL-17刺激後に過剰誘導される分子である。また、Socs3は、STAT3のターゲットであり、IL-6刺激によって誘導される分子である。 各mRNA発現量の測定は、次の手順で行った。各shRNAを使用して対応遺伝子が欠損したBC1細胞を作製し、これを、ウシ胎児血清(FBS)を含まないRPMI1640培地中で、50ng/mlのヒトIL-6(hIL-6、東レ、R&D System社)と50ng/mlのヒト可溶性IL-6受容体(sIL-6R、R&D System社)、及び/又は50ng/mlのマウスIL-17A(mIL-17A、R&D System社)の存在下で3時間培養した。その後、細胞を回収し、GenElute Mammalian Total RNA kit(Sigma-Aldrich社)及びDNase I(Sigma-Aldrich社)を用いて全RNAを抽出し、7300 Fast Real-Time PCR System(Applied Biosystems社)及びSYBR green PCR Master Mix(Sigma-Aldrich社及びKAPABiosystems社)を用いて、標的mRNAの発現量を定量した。定量した各標的mRNAの発現量は、Hprt mRNA発現量に対する比率に補正した。 結果を図3-1~図8-2に示す。図3-1、3-2、4-1及び4-2にはIL-6のmRNA発現量を測定した結果、図5-1、5-2、6-1及び6-2にはCxCl1のmRNA発現量を測定した結果、図7-1、7-2、8-1及び8-2にはSocs3のmRNA発現量を測定した結果を示す。図3-1~図8-2中、「None」とはIL-6及びIL-17の刺激をしていない条件、「IL-6」とはヒトIL-6(50ng/mL)とヒト可溶性IL-6受容体(50ng/mL)のみで刺激した条件、「IL-17」とはマウスIL-17(50ng/mL)のみで刺激した条件、「IL-6+IL-17」とはヒトIL-6(50ng/mL)とヒト可溶性IL-6受容体(50ng/mL)、及びマウスIL-17(50ng/mL)の双方で刺激した条件を指す。その結果、IL-6、又はIL-6とCxCl1は、50個の遺伝子欠損細胞の全てにおいて有意に抑制されていたが、Socs3は25個の遺伝子欠損細胞でしか抑制されていなかった。shRNA配列とは異なっていた27個のsiRNA標的配列(1遺伝子当たり3つのsiRNA)の9個の遺伝子を用いたスクリーニング結果を検証した。標的mRNA発現を最も抑制できる9つのsiRNAを選び、9つの内6つ(66%)が有意に、IL-6及びIL-17刺激後のIL-6mRNA発現を抑制していた(表14)。従って、shRNA二次スクリーニング結果(表14)と同様に、このゲノムワイドスクリーニングにおける偽陽性率が40%未満であることが示唆された。これらの結果は、一次スクリーニングにおける偽陽性率が相対的に低かったことを示唆している。従って、機能的スクリーニングで同定された1,289個の候補遺伝子の少なくとも半分はIL-6アンプの活性化に関与しているはずである。しかしながら、IL-6のELISAの結果から、表14の9個のsiRNAの中で、IL-6mRNAの発現を、shRNA一時スクリーニングのカットオフ値である50%以上抑制できたのは、僅か3個だけであった。siRNAの一時的な影響のために、各標的タンパク質のノックダウン効率は、タンパク質の安定性によって変わり得ると推測しているが、shRNAスクリーニングの偽陽性率はより高いかもしれない。従って、下に述べる異なるゲノムワイドスクリーニング間の結果を組み合わせることにより得られるオーバーラップした遺伝子のリストに注意を払う必要がある。 <IPA分析> 上記でスクリーニングされたリストにおいて、特定の経路及び/又は分子の特徴の共通性を確認するために、これらの1,289個の遺伝子のデータと、ランダムに選んだ1,00個以上の遺伝子(表15中“andomly selected control set(1,097)参照)のデータを比較した。インジェヌイシステムティーパスウェイアナリシス(IPA)による分析は、前記1,289個の遺伝子のリスト中には、免疫応答のような経路と関連する遺伝子及び未分類の遺伝子だけが有意に多く、一方、当該リストの中には複数の生物学的プロセスに関連する既知遺伝子が存在したがさほど多くはなかった(表12及び15)。従って、IL-6アンプの活性化は、複数の生物学的プロセスによって影響を受けて、且つ多くの遺伝子によって制御されているようである。 実施例2: IL-6アンプ活性化のポジティブレギュレーターである候補遺伝子とヒト疾患及び障害との関係 1,289個の候補遺伝子の内、1,177個の遺伝子はヒトホモログを有している(表12のカラム“mouse alone”のブランク参照)。次に、GAD(Genetic Association Database)及び2つのゲノムワイド関連分析(SWS)論文(Consortium,Nature,447,661-678.2007;及びJohnson and O‘Donnell,BMC Med.Genet.,10,6.2009)を用いて、疾患との関連を検討した。8つの自己免疫疾患、3つのメタボリック症候群、6つの神経変性疾患、4つの精神病、及び12の他の炎症疾患を含む合計33の疾患及び障害を選んだところ、140個の遺伝子において、合計334個のポジティブな関連性を示すことが確認された(表11及び16)。 次いで、機能的shRNAスクリーニングの結果、及びランダムに選んだ10,000個以上の遺伝子のコントロール群(表16の“Mouse shRNA control”の列参照)を用いて、統計的比較分析を行った。1遺伝子当たり期待される疾患との関連性の数は表16の“Expected Disease Association”のカラムに示す。前記遺伝子リストの中では、5つの疾患カテゴリーの内4つ(精神病以外の全て)で関連性が強く認められた(表16参照)。より具体的には、6つの神経変性疾患(関節リウマチ、多発性硬化症、セリアック病、ループス、膵炎、及び甲状腺炎/グレーブス病)、3つのメタボリック症候群(心血管疾患/アテローム性動脈硬化症/全身性硬化、高血圧症/血圧、2型糖尿病/インスリン非依存型糖尿病)、4つの神経変性病(アルツハイマー病/海馬萎縮、ニューロパシー、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、及びプリオン病)、他の9つの炎症性疾患(アトピー/皮膚炎/アレルギー、肺疾患/喘息/嚢胞性線維症、肝炎、炎症性腸疾患/大腸炎、白斑、歯膜炎、ポリープ症、卒中、及びネフロパシー/糸球体腎炎)については有意な関連性が認められた。これらの結果から、IL-6アンプの活性化とポジティブに関連する候補遺伝子は、多くのヒト疾患や病態の進展に重要な役割を果たしていることが強く示唆された。 実施例3: IL-6アンプ活性化後に誘導される候補遺伝子とヒト疾患及び障害との関係 IL-6アンプの標的遺伝子は様々なヒト疾患や病態にも関連しているとの仮説を立てた。そこで、マイクロアレイ分析によって、IL-6及びIL-17の刺激の有無が、1型コラーゲン陽性線維芽細胞におけるこれらの遺伝子に与える影響を検討した。マイクロアレイ分析は、以下の方法で行った。先ず、1型コラーゲン陽性線維芽細胞を、100ng/mlのヒトIL-6、100ng/mlのヒト可溶性IL-6受容体、及び50ng/mlのマウスIL-17の存在下で3時間又は12時間培養した後に、細胞から全RNAを分離してビオチン化cRNAを調製した。次いで、これをAffymetrix GeneChips(Affymetrix社)にハイブリダイズさせた。生データはプローブレベルを標準化するためにMAS5アルゴリズムを用いて処理した。マウスマイクロアレイ分析を2回行った結果について表17に示す。表17中、2~6番目のカラムは1回目のマイクロアレイ分析の結果であり、7~11番目のカラム1回目のマイクロアレイ分析の結果である。 また、マイクロアレイ分析を2回実施した後に576個の標的遺伝子を選び(表18)、刺激後12時間の発現量の増加に基づいてランク付けした(表18の3番目のカラムのランク0~2)。具体的には、マウス遺伝子の場合には、3時間の培養において>1.5倍の発現量を示すものをカットオフし、ヒト遺伝子の場合には3時間の培養において>1.25倍の発現量を示すものをカットオフした。このカットオフを満足する遺伝子をランク付けした。無刺激と刺激12時間後のマイクロアレイ解析の結果から、次の基準に従ってランク0~2を算出した。ランク0:無刺激と比較して刺激12時間後に3倍以上になった遺伝子、ランク1:無刺激と比較して刺激12時間後に1.5倍~3倍になった遺伝子、ランク2:無刺激と比較して刺激12時間後に1.5倍以下であった遺伝子とした。これらの値は、表17の左から6番目と11番目のカラムをもとにした。その後、(3-1回目のマイクロアレイのランク)+(3-2回目のマイクロアレイのランク)の計算で、素点を導いた。素点が5~6を総合ランク0、素点が4を総合ランク1、素点が2~3を総合ランク2として表18の左から3番目のカラムに示した。表18における分子情報のカテゴリーの上に示す数値は、マウスシステム(2行目)又はヒトシステム(4行目)において、1,000個以上のコントロール遺伝子に対して候補遺伝子の増大された発現量のP値を示す。これら576個の標的遺伝子の内、542個はヒトホモログを有していた(表18の4番目のカラムのブランク参照)。また、表18に示すように、542個のマウス標的遺伝子と885個のヒト標的遺伝子の間で、87個がオーバーラップしていた(1番目のカラム;M+H)。また、1,000個以上のランダムに選択したコントロール遺伝子を用いてIPAによる分析を行った(表18の4行目)。IPAによる分析によって、免疫応答、アポトーシス等の幾つかの経路、及び細胞外空間や受容体結合等の分子特性に関連する遺伝子が多く存在することがマウスマイクロアレイリストにおいて認められた(表15及び18)。 また、GADによって、542個の遺伝子の内70個について、各種疾患及び障害と正の関連性を示すものが同定された(表16及び19)。次いで、これらの結果とランダムに選択した10,000以上のコントロール遺伝子(表16の“Mouse DNA array control”の行参照)を用いて統計的比較分析を行った。その結果、shRNAスクリーニングで認められた4つの疾患カテゴリーは、マイクロアレイ遺伝子リストでも有意な関連性が認められた(表16)。更に、6つの自己免疫疾患(1型糖尿病/IDDM、クローン病、関節リウマチ、ループス、膵炎、及び甲状腺炎/グレーブス病)、3つのメタボリック症候群(心血管疾患/アテローム性動脈硬化症/全身性硬化、高血圧症/血圧、2型糖尿病/NIDDM)、2つの神経変性病(アルツハイマー病/海馬萎縮、及びパーキンソン病)、及び他の7つの炎症性疾患(肺疾患/喘息/嚢胞性線維症、肝炎、炎症性腸疾患/大腸炎、敗血症、乾癬/強皮症、卒中、及びネフロパシー/糸球体腎炎)については有意な関連性が認められた(表16)。 IL-6及びIL-17刺激後にヒトI型コラーゲン陽性細胞株のIL-6産生能が相乗的に高められた結果を図9に示す。図9は、胸膜細胞(RA(050127)、RA(051106)、RA(041216)、及びCCD42SK)を、ウシ胎児血清(FBS)を含まないRPMI1640培地中で、50ng/mlのヒトIL-6(hIL-6、東レ、R&D System社)と50ng/mlのヒト可溶性IL-6受容体(sIL-6R、R&D System社)、及び/又は50ng/mlのマウスIL-17A(mIL-17A、R&D System社)の存在下で3時間培養した後、細胞を回収し、リアルタイムPCRによってIL-6発現量を測定した結果である。 IL-6及びIL-17刺激の有無でヒトI型コラーゲン陽性滑膜線維芽細胞株における標的遺伝子を直接的に評価するために、前記と同様の方法で、ヒトマイクロアレイ分析を行った。ヒトマイクロアレイ分析を2回行った結果について表20に示す。表20中、2~6番目のカラムは1回目のマイクロアレイ分析の結果であり、7~11番目のカラム1回目のマイクロアレイ分析の結果である。2回のマイクロアレイ分析を行った後に885個の標的候補遺伝子を選び(表20)、刺激12時間後に増加した発現量に基づいて各遺伝子のランク付けを行った(0~2でランク付け、表18の3番目のカラム)。ランダムに選択した10,000以上のコントロール遺伝子と比較したインジェヌイシステムティーパスウェイアナリシス(IPA)による分析では、ヒトマイクロアレイリストには、免疫応答、アポトーシス等の経路、及び細胞外空間、受容体結合、核等の未分類の分子特徴に関連する遺伝子が有意に多く存在していた(表15及び18)。GADによって、885個の遺伝子の内94個について、各種疾患及び障害とポジティブな関連性を示すものが同定された(表16及び19)。次いで、これらの結果とランダムに選択した1,000以上のコントロール遺伝子(表2の“Mouse DNA array control”の行参照)を用いて統計的比較分析を行った。その結果、再度、shRNAスクリーニングで認められた4つの疾患カテゴリーは、マイクロアレイ遺伝子リストでも有意な関連性が認められた(表16)。更に、8つの自己免疫疾患(1型糖尿病/IDDM、クローン病、関節リウマチ、多発性硬化症、セリアック病、ループス、膵炎、及び甲状腺炎/グレーブス病)、2つのメタボリック症候群(心血管疾患/アテローム性動脈硬化症/全身性硬化、2型糖尿病/NIDDM)、1つの神経変性病(アルツハイマー病/海馬萎縮)、及び10つの炎症性疾患(アトピー/皮膚炎/アレルギー、肺疾患/喘息/嚢胞性線維症、肝炎、炎症性腸疾患/大腸炎、敗血症、白斑、乾癬/強皮症、卒中、ネフロパシー/糸球体腎炎、及びGVHD/移植合併症)については有意な関連性が認められた(表16及び19)。以上の通り、ヒトマイクロアレイ実験によって、IL-6アンプが、多くのヒト疾患及び障害に関与していることが確認された。 更に、マイクロアレイ分析において、542個のマウス標的遺伝子と885個のヒト標的遺伝子の間で87個がオーバーラップしており、ヒト疾患に関連している70個のマウス標的遺伝子とヒト疾患に関連している94個のヒト標的遺伝子の間で16個がオーバーラップしていた。87個の遺伝子について、ランダムに選択した10,000以上のコントロール遺伝子と比較して、インジェヌイシステムティーパスウェイアナリシス(IPA)による分析を行ったところ、経路、免疫応答、シグナル伝達、アポトーシス、及び細胞外空間、細胞膜、及び受容体結合等の分子特徴に関連する遺伝子が、有意に多く存在していた(表15及び18)。GADによって、87個の遺伝子の内、16個について、各種疾患及び障害とポジティブな関連性を示すものが同定された(表16及び19)。次いで、これらの結果とランダムに選択した10,000以上のコントロール遺伝子(表16の“Mouse DNA array control”の行参照)を用いて統計的比較分析を行った。その結果、再度、shRNAスクリーニングで認められた4つの疾患カテゴリーは、マイクロアレイ遺伝子リストでも有意な関連性が認められた(表16及び19)。更に、8つの自己免疫疾患(1型糖尿病/IDDM、クローン病、関節リウマチ、多発性硬化症、セリアック病、ループス、膵炎、及び甲状腺炎/グレーブス病)、3メタボリック症候群(心血管疾患/アテローム性動脈硬化症/全身性硬化、高血圧症/血圧、2型糖尿病/NIDDM)、2つの神経変性病(アルツハイマー病/海馬萎縮、パーキンソン病)、8つの炎症性疾患(肺疾患/喘息/嚢胞性線維症、肝炎、炎症性腸疾患/大腸炎、敗血症、乾癬/強皮症、卒中、ネフロパシー/糸球体腎炎、及びGVHD/移植合併症)については有意な関連性が認められた(表16及び19)。これらのオーバーラップが認められた遺伝子については、IL-6アンプ活性化を介して、疾患及び障害の発症や悪化に重要な役割を果たしていることが強く示唆された。 [表11] [表12] [表13] [表14] [表15] [表16] [表17] [表18] [表19] [表20] |
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『 METHOD FOR SCREENING FOR PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC AGENT FOR DISEASES OR DISORDERS ASSOCIATED WITH INFLAMMATION-RELATED FEEDBACK LOOP 』に関するお問合せ
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