SEMICONDUCTOR LASER DEVICE AND APPARATUS USING NON-LINEAR OPTICAL EFFECT
外国特許コード | F140007838 |
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整理番号 | S2013-1238-N0 |
掲載日 | 2014年2月17日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2013JP052185 |
国際公開番号 | WO 2013115308 |
国際出願日 | 平成25年1月31日(2013.1.31) |
国際公開日 | 平成25年8月8日(2013.8.8) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | SEMICONDUCTOR LASER DEVICE AND APPARATUS USING NON-LINEAR OPTICAL EFFECT |
発明の概要(英語) | Provided is a semiconductor laser device with which it is possible to emit an extremely short optical pulse. A semiconductor laser device (6) which is disclosed herein comprises: a semiconductor laser unit (3) which emits a first pulse and a succeeding component of the first pulse by a gain switching operation in which a relaxation oscillation mechanism is used; and a filter (4) which, with respect to the output from the semiconductor laser unit (3), removes a signal of a wavelength band, which is caused to occur at least by the succeeding component, among a wavelength band which expands by chirping. The filter (4) is configured as a short-pass filter through which the short wavelength component passes. Also provided is an apparatus using non-linear optical effect in which the semiconductor laser device is used. |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 |
National States: AE AG AL AM AO AT AU AZ BA BB BG BH BN BR BW BY BZ CA CH CL CN CO CR CU CZ DE DK DM DO DZ EC EE EG ES FI GB GD GE GH GM GT HN HR HU ID IL IN IS KE KG KM KN KP KR KZ LA LC LK LR LS LT LU LY MA MD ME MG MK MN MW MX MY MZ NA NG NI NO NZ OM PA PE PG PH PL PT QA RO RS RU RW SC SD SE SG SK SL SM ST SV SY TH TJ TM TN TR TT TZ UA UG US UZ VC VN ZA ZM ZW ARIPO: BW GH GM KE LR LS MW MZ NA RW SD SL SZ TZ UG ZM ZW EAPO: AM AZ BY KG KZ RU TJ TM EPO: AL AT BE BG CH CY CZ DE DK EE ES FI FR GB GR HR HU IE IS IT LT LU LV MC MK MT NL NO PL PT RO RS SE SI SK SM TR OAPI: BF BJ CF CG CI CM GA GN GQ GW ML MR NE SN TD TG |
日本語項目の表示
発明の名称 | 半導体レーザ装置および非線形光学効果利用機器 |
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発明の概要 | 超短パルス光を発生させることができる半導体レーザ装置を提供するもので、本開示の半導体レーザ装置6は、緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、第1パルスと第1パルスの後続成分とを発生する半導体レーザ部3と、半導体レーザ部3からの出力について、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去するフィルタ4とをそなえ、フィルタ4が、この短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成される。また、この半導体レーザ装置を利用した非線形光学効果利用機器も提供される。 |
特許請求の範囲 |
[請求項1] 緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生する分布帰還型半導体レーザからなる半導体レーザ部と、 該半導体レーザ部からの出力について、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも該後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去して該第1パルスに起因する成分を抽出し超短パルスを得るためのフィルタとをそなえ、 該フィルタが、エッジフィルタから成り短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されたことを特徴とする、半導体レーザ装置。 [請求項2] 緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生する単一縦モード発振の半導体レーザからなる半導体レーザ部と、 該半導体レーザ部からの出力について、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも該後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去して該第1パルスに起因する成分を抽出し超短パルスを得るためのフィルタとをそなえ、 該フィルタが、エッジフィルタから成り短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されたことを特徴とする、半導体レーザ装置。 [請求項3] 緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生する半導体レーザ部と、 該半導体レーザ部からの出力について、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも該後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去して該第1パルスに起因する成分を抽出し超短パルスを得るためのフィルタとをそなえ、 該フィルタが、エッジフィルタから成り短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されたことを特徴とする、半導体レーザ装置。 [請求項4] 該ショートパスフィルタが短波長成分を透過させることにより、上記の後続成分と第1パルスの一部とを含む部分に起因する上記のチャーピングにより広がった波長帯域のうち長波長域の成分と短波長域に成分における長波長側のすそ部分とを含む部分を除去する ことを特徴とする、請求項1ないし請求項3に記載の半導体レーザ装置。 [請求項5] 該半導体レーザ部が該半導体レーザと該半導体レーザを駆動するためにサブナノ秒からナノ秒オーダーの励起パルスを発生する励起パルス発生器とをそなえ、該半導体レーザ部が、緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、該第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生するように構成され、 該ショートパスフィルタにより、上記の少なくとも後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去して該第1パルスに起因する成分を抽出しピコ秒オーダーの超短パルスを得る ことを特徴とする、請求項1ないし請求項4に記載の半導体レーザ装置。 [請求項6] 該ショートパスフィルタが該エッジフィルタとしての誘電体多層膜フィルタで構成されたことを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の半導体レーザ装置。 [請求項7] 該誘電体多層膜フィルタがその遮断特性の急峻性に使用波長依存性を有していることを特徴とする、請求項6記載の半導体レーザ装置。 [請求項8] 該半導体レーザ部から発振される波長を制御するために温度調整を行う温度制御装置が設けられたことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の半導体レーザ装置。 [請求項9] 該フィルタの入力側および出力側のいずれか一方または両方に、光増幅器が設けられたことを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の半導体レーザ装置。 [請求項10] 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ装置を光源として有し、該光源からの光信号による非線形光学効果を利用する機器部とをそなえて構成されたことを特徴とする、非線形光学効果利用機器。 [請求項11] 該非線形光学効果利用機器が、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ装置を光源とするレーザ顕微鏡である請求項10記載の非線形光学効果利用機器。 [請求項12] 該非線形光学効果利用機器が、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ装置を光源とするレーザ加工機である請求項10記載の非線形光学効果利用機器。 [請求項13] 該非線形光学効果利用機器が、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ装置を光源とする非線形波長変換装置である請求項10記載の非線形光学効果利用機器。 [請求項14] 該非線形光学効果利用機器が、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ装置を光源とする高調波光発生装置である請求項10記載の非線形光学効果利用機器。 [請求項15] 該非線形光学効果利用機器が、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ装置を光源とする和周波光発生装置である請求項10記載の非線形光学効果利用機器。 [請求項16] 該非線形光学効果利用機器が、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ装置を光源とする差周波光発生装置である請求項10記載の非線形光学効果利用機器。 |
明細書 |
明 細 書 発明の名称 : 半導体レーザ装置および非線形光学効果利用機器 技術分野 [0001] 本発明は、半導体レーザ装置、およびこの半導体レーザ装置を光源としてそなえる非線形光学効果利用機器に関する。 背景技術 [0002] 半導体レーザの超高強度パルス化は、単にレーザの極限性能追求のみならず、新しい物理現象の探索の意味でも重要な課題となってきた(下記非特許文献1,2参照)。 半導体レーザにおいて短パルスを発生させる一方法として、図1に示すような、緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作が知られている(下記非特許文献3参照)。 かかる技術の適用例として、チャーピングにより広がったバンド幅で光パルスを発生するレーザダイオード(Laser Diode:以下、LDという)によって発生した光パルスの光スペクトルから、チャーピングによる広がり幅より狭い帯域の信号をバンドパスフィルタで抽出して光パルスの時間幅を短くする技術がある(下記特許文献1参照)。 [0003] かかる技術では、チャーピングにより広がった光スペクトルから、より狭い帯域で光パルスの成分を単に抽出する目的で、バンドパスフィルタが用いられている。 また、単一縦モード半導体レーザからの光パルスを、パルス圧縮器にてダウンチャープを補償してパルスを圧縮したのち、増幅器にて増幅し、波形整形器にて圧縮されたパルスに含まれる自然放出光雑音及びペデスタル成分除去を行ない、さらに別の増幅器にて増幅することで短パルス光を得る技術がある(下記特許文献2参照)。 先行技術文献 特許文献 [0004] 特許文献1 : 特許第3669634号公報 特許文献2 : 特開第2008-159729号公報 非特許文献 [0005] 非特許文献1 : S. Kono etal., Appl. Phys.Lett. 93, 131113 (2008). 非特許文献2 : R. Koda et al., Appl. Phys. Lett. 97, 021101(2010). 非特許文献3 : A. Yariv,"Quantum Electronics" 'Wiley, New York, 1989. 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0006] 特許文献1に記載の技術では、LDから発生する光パルスの時間波形が図2に示すように第1パルス40のみであり、この第1パルス40に起因して、上記したようなチャーピングにより広がったバンド幅の発振スペクトル41が生じる(図3参照)。なお、図2は、従来技術における光パルスの時間波形の例を示す図であり、図3は、このパルスの波長スペクトルの例を示す図である。 また、この技術では、100ピコ秒程度以下の時間幅の電気パルスを発生させるために、パルス発生器にシビアな性能が要求される。さらに、このような性能を発揮させるためパルス発生器に対して細かな調整を行なう必要がある。 また、特許文献2に記載の技術においては、単一縦モード半導体レーザからの光パルスのチャープを補償して当該パルスを圧縮するためにパルス圧縮器が必要である。このため、部品点数が増大し、結果として装置全体の価格が上がってしまう。 [0007] 本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、本発明の1つの目的は、簡潔かつメンテナンスが容易な構成で所望する超短パルス光を容易かつ確実に発生させることができる半導体レーザ装置、およびこの半導体レーザ装置を光源としてそなえる非線形光学効果利用機器を提供することにある。 なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置付けることができる。 課題を解決するための手段 [0008] このため、本半導体レーザ装置は、緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生する分布帰還型半導体レーザからなる半導体レーザ部と、該半導体レーザ部からの出力について、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも該後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去して該第1パルスに起因する成分を抽出し超短パルスを得るためのフィルタとをそなえ、該フィルタが、エッジフィルタから成り短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されている。 また、本半導体レーザ装置は、緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生する単一縦モード発振の半導体レーザからなる半導体レーザ部と、該半導体レーザ部からの出力について、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも該後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去して該第1パルスに起因する成分を抽出し超短パルスを得るためのフィルタとをそなえ、該フィルタが、エッジフィルタから成り短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されている。 また、本半導体レーザ装置は、緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生する半導体レーザ部と、該半導体レーザ部からの出力について、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも該後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去して該第1パルスに起因する成分を抽出し超短パルスを得るためのフィルタとをそなえ、該フィルタが、エッジフィルタから成り短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されている。 本半導体レーザ装置は、該ショートパスフィルタが短波長成分を透過させることにより、上記の後続成分と第1パルスの一部とを含む部分に起因する上記のチャーピングにより広がった波長帯域のうち長波長域の成分と短波長域に成分における長波長側のすそ部分とを含む部分を除去するようにしてもよい。 [0009] なお、上記半導体レーザ装置において、該半導体レーザ部が該半導体レーザと該半導体レーザを駆動するためにサブナノ秒からナノ秒オーダーの励起パルスを発生する励起パルス発生器とをそなえ、該半導体レーザ部が、緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作によって、該第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生するように構成され、該ショートパスフィルタにより、上記の少なくとも後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を除去して該第1パルスに起因する成分を抽出しピコ秒オーダーの超短パルスを得るように構成されてもよい。 上記半導体レーザ装置において、該ショートパスフィルタが該エッジフィルタとしての誘電体多層膜フィルタで構成されてもよい。 上記半導体レーザ装置において、該誘電体多層膜フィルタがその遮断特性の急峻性に使用波長依存性を有するようにしてもよい。 上記半導体レーザ装置において、該半導体レーザ部から発振される波長を制御するために温度調整を行う温度制御装置が設けられてもよい。 上記半導体レーザ装置において、該フィルタの入力側および出力側のいずれか一方または両方に、光増幅器が設けられてもよい。 [0010] さらに、本非線形光学効果利用機器は、上記半導体レーザ装置を光源として有し、該光源からの光信号による非線形光学効果を利用する機器部とをそなえて構成されている。 本非線形光学効果利用機器は、上記半導体レーザ装置を該光源とするレーザ顕微鏡であってもよい。 [0011] 上記非線形光学効果利用機器は、上記半導体レーザ装置を該光源とするレーザ加工機であってもよい。 上記非線形光学効果利用機器は、上記半導体レーザ装置を該光源とする非線形波長変換装置であってもよい。 上記非線形光学効果利用機器は、上記半導体レーザ装置を該光源とする高調波光発生装置であってもよい。 上記非線形光学効果利用機器は、上記半導体レーザ装置を該光源とする和周波光発生装置であってもよい。 上記非線形光学効果利用機器は、上記半導体レーザ装置を該光源とする差周波光発生装置であってもよい。 発明の効果 [0012] 本発明によれば、半導体レーザ部が分布帰還型半導体レーザあるいは単一縦モード発振の半導体レーザあるいは第1パルスと該第1パルスの後続成分とから成る光パルス信号を発生する半導体レーザ部から構成されるので、時間的に相互に分離した第1パルスとこの第1パルスの後続成分とを発生させ、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも後続成分に起因して生じる波長帯域の信号を、エッジフィルタから成り短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されるフィルタで適切に除去することにより、簡潔な構成で第1パルスに起因する成分を抽出して所望する極短光パルス(この極短光パルスは超短パルスと同義。以下同じ。)を容易かつ確実に得ることができる。さらに、パルスを圧縮するためのパルス圧縮器等の追加部品が不要であるため、簡潔な構成とすることができ、部品点数を削減し、装置のコストダウンを図ることができる。 本発明によれば、ショートパスフィルタが短波長成分を透過させることにより、簡潔な構成で第1パルスに起因する成分を抽出して所望する超短パルスを容易かつ確実に得ることができる。 本発明によれば、半導体レーザと該半導体レーザを駆動するためにサブナノ秒からナノ秒オーダーの励起パルスを発生する励起パルス発生器とを備えたことにより、安価かつメンテナンスが容易な汎用の励起パルス発生器を用いてピコ秒オーダーの極短光パルスを容易かつ確実に得ることができる。 本発明によれば、ショートパスフィルタがエッジフィルタとしての誘電体多層膜フィルタで構成されたことにより、誘電体多層膜フィルタは数mm角サイズのエレメントで入射角度によりエッジ波長を可変することができるので、機能に加えて装置の超小型化が可能になる。 本発明によれば、誘電体多層膜フィルタがその遮断特性の急峻性に使用波長依存性を有していることにより、超短パルス化が図れる。 本発明によれば、半導体レーザ部から発振される波長を制御するために温度調整を行う温度制御装置が設けられるので、所望する波長が得られる。 本発明によれば、フィルタの入力側および出力側のいずれか一方または両方に、光増幅器が設けられたことにより、さらに超短パルス化が可能になる。 また、本半導体レーザ装置を光源として使用した各種非線形光学効果利用機器も提供されるので、各種非線形光学効果利用機器の製造コスト低減に大いに寄与する。 図面の簡単な説明 [0013] [図1] 緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作の例を示すグラフである。 [図2] 100ピコ秒幅程度のパルス励起時の半導体レーザからの光パルスの時間波形の例を示すである。 [図3] 100ピコ秒幅程度のパルス励起時の半導体レーザからの光パルスのチャーピングの例を示す図である。 [図4] サブナノ秒幅程度のパルス励起時の半導体レーザからの光パルスの時間波形の例を示す図である。 [図5] サブナノ秒幅程度のパルス励起時の半導体レーザからの光パルスの波長スペクトルを示す図である。 [図6] ショートパスフィルタ通過後に単一縦モード発振から第1パルスの抽出部分を説明する図4に相当する図である。 [図7] 本発明の一実施形態としての半導体レーザ装置の構成を模式的に示す図である。 [図8] 本発明の一実施形態に係る、励起パルス発生器から半導体レーザに印加する電圧パルス波形の例を示す図である。 [図9] 本発明の一実施形態に係る、図8の電圧パルスが印加された半導体レーザから出力される光パルスの縦軸対数表示スペクトルの例を示す図である。 [図10] 本発明の一実施形態に係る、図8の電圧パルスが印加された半導体レーザから出力される光パルスの時間波形の例を示す図である。 [図11] 本発明の一実施形態に係る、ショートパスフィルタ通過後の光パルスの縦軸対数表示スペクトルの例を示す図である。 [図12] 本発明の一実施形態に係る、ショートパスフィルタ通過後の光パルスの時間波形の例を示す図である。 [図13] 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置において得られた光パルスの強度相関測定の結果の一例を示す図である。 [図14] 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置を光源としてそなえる非線形効果利用機器の例を模式的に示すブロック図である。 [図15] 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置を光源としてそなえる非線形波長変換器を示すブロック図である。 [図16] 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置を光源としてそなえるレーザ顕微鏡を示すブロック図である。 [図17] 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置を光源としてそなえるレーザ加工機を示すブロック図である。 [図18] 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置を光源としてそなえる高調波光発生装置を示すブロック図である。 [図19] 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置を光源としてそなえる和周波光発生装置を示すブロック図である。 [図20] 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置を光源としてそなえる差周波光発生装置を示すブロック図である。 発明を実施するための形態 [0014] 以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。 〔A.原理ならびに構成〕 まず、本発明の原理ならびに本発明の一実施形態の構成について説明する。 パルス励起による緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作を行なう半導体レーザにおいて、その仕様(スペック)によっては、例えば、図4に示すように、時間波形において、単一縦モード発振を構成する第1パルス30とこの第1パルス30の後続部分31とが発生するものがある。 このタイプの半導体レーザにおいては、例えば、図5に示すように、チャーピングにより広がったバンド幅の発振スペクトルが生ずるが、この場合、利得スイッチング発振時に、時間に依存した発振スペクトルピークの周波数シフトが生じ、発生する光信号が、波長の短い成分(短波長帯域の成分;周波数の高い成分)20と波長の長い成分(長波長帯域の成分;周波数の低い成分)21とからなる。 [0015] 本発明は、緩和発振機構を利用した利得スイッチング動作により、第1パルス30とその後続部分31とが発生する半導体レーザ(以下、この半導体レーザを「利得スイッチング半導体レーザ」ということがある。)において、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも後続部分に起因する長波長域の信号21(図5)を、短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されるフィルタにより、除去することによって、第1パルス30に起因するパルス信号を得ることができるようにした半導体レーザ装置を提供するものである。これを示したものが図6であり、図6のハッチングをしていないBの部分を除去し、図6のハッチングをしたAの部分を抽出し利用するようにしている。ここで、「少なくとも後続部分」とは、後続成分31と第1パルス30の一部とを含む部分である。また、この当該半導体レーザ装置を光源として利用した非線形光学効果利用機器も提供する。 [0016] 図7は本発明の一実施形態としての半導体レーザ装置6の構成を模式的に示す図である。 この半導体レーザ装置6は、半導体レーザ1と励起パルス発生器2とをそなえる半導体レーザ部3と、ショートパスフィルタ4とをそなえる。 この半導体レーザ装置6は、利得スイッチング動作により、半導体レーザ1の仕様と励起パルス発生器2の仕様とを適切に組み合わせることにより、半導体レーザ部3において、時間領域において相互に分離した、前述の第1パルス30と第1パルス30の後続部分31とを発生させるものである(図4参照)。 励起パルス発生器2は、電気パルスまたは光パルスを発生させ、半導体レーザ1に電気パルスまたは光パルスを印加する電気パルス発生器または光パルス発生器が用いられる。励起パルス発生器2は、例えば、-5Vで、600ピコ秒(ps)の電気パルスを発生させる発生器である。この励起パルス発生器2は、サブナノ秒からナノ秒オーダーの電気パルスを発生させるものであり、比較的安価でありメンテナンスも容易である。例えば、励起パルス発生器2は従来用いられていた100ピコ秒オーダーの電気パルス発生器よりも1桁程度安価な電気パルス発生器である。また、励起パルス発生器2は上記で例示した電気パルス発生器と同程度の光パルスを発生させる光パルス発生器でもよい。 [0017] 半導体レーザ1は、利得スイッチング発振を行なうレーザであり、例えば、1.55μmの分布帰還型(Distributed Feedback:DFB)レーザダイオードである。図示はしていないが、半導体レーザ部3は波長制御の為に、温度制御装置により適切な温度(例えば25℃)に温度調整を行なうこともある。 半導体レーザ1は、上記のように適切な仕様の励起パルス発生器2と組み合わせた場合、発振時に、発振スペクトルが時間依存性の周波数シフトを生じる。このとき、半導体レーザ部3から発生するパルスは、例えば図4に示すように、時間領域において、急峻かつ短い第1パルス30と、この第1パルス30に後続する、広くなだらかな後続成分31とを含み、これらは、時間的に分離している。この発生パルスは、例えば図5に示すように、短い波長帯域の成分(短波長帯域成分;高周波成分)20と、図4の少なくとも後続成分31に起因して長波長寄りに広がった成分(長波長帯域成分;低周波成分)21とを含む。 なお、ここでは分布帰還型レーザダイオードで説明するが、分布帰還型レーザダイオードに限らず、単一縦モード発振を生じる半導体レーザダイオードであれば、分布ブラッグ反射型半導体レーザダイオード、垂直共振器面発光レーザ、などでもよい。 [0018] ショートパスフィルタ4は、例えば、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも後続部分に起因して生じる波長帯域の信号を除去するためのショートパスフィルタである。ここで、「少なくとも後続部分」とは、後続成分31と第1パルス30の一部とを含む部分である。このショートパスフィルタ4は、例えば、短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成される。ショートパスフィルタ4は、例えば、10層程度の誘電体多層膜からなるが、更に多層、例えば10層から100層更に100層よりも多層の誘電体多層膜で構成することができる。誘電体多層膜を多層にしたフィルタをエッジフィルタと呼ぶこともあるが、このエッジフィルタは急峻な遮断特性を有する。本例においては、波長λが1.55μmのとき透過率Tが0.9から0.1に落ちるときの幅が1nm程度の急峻な遮断特性を有するエッジフィルタを使用することが好ましい。なお、波長λが1.55μmよりも更に短いときは、透過率Tが0.9から0.1に落ちるときの幅が1nmよりも小さい値の遮断特性を有するエッジフィルタが必要になる。例えば、波長λが0.8μmの場合は透過率Tが0.9から0.1に落ちるときの幅が0.2nm~0.3nm程度の急峻な遮断特性を有するエッジフィルタが必要となる。すなわち、エッジフィルタの遮断特性の急峻性は使用波長に依存しており、波長が短くなるほど透過率Tが0.9から0.1に落ちるときの幅を小さくする必要がある。半導体レーザ1からの発生パルスをショートパスフィルタ4に通すことで、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも後続部分に起因して生ずる長波長帯域の成分21(図5)を除去し、第1パルス30に起因する成分20を抽出し、超短パルス化を図っている。 すなわち、分布帰還型レーザダイオードを使用することにより、分布帰還型レーザダイオードから発生する単一縦モード発振が生じ、その単一縦モード発振がチャーピングにより、単一縦モード発振を構成する第1パルス30と該第1パルスの後続成分31とが生じ、これらをショートパスフィルタを通すことにより1つのパルス光(図6のAとBの領域)から少なくとも第1パルスの後続成分31(図6のB領域)を除去し、第1パルス30の一部である図6のハッチングを施したA領域の成分を抽出する。これは、図4に示す単一縦モードの発生パルスをショートパスフィルタ4に通すことで、半導体レーザ1から出力される信号の短波長帯域成分20を切り出し、図6のハッチングで示すようなA領域を抽出し、さらなる短パルス化(超短パルス化)が可能になったのである。 なお、ショートパスフィルタ4の前段及び/又は後段に、例えば、エルビウム添加ファイバ増幅器(erbium-doped fiber amplifier:EDFA)などの光増幅器(図示せず)を設けてもよい。なお、例えば、100MHzのパルス繰り返し周波数でパルスを印加する場合等には上記のような光増幅器を設けなくてもよい。 [0019] 〔B.動作〕 次に、この半導体レーザ装置6の動作について説明する。 図8は、本発明の一実施形態に係る、励起パルス発生器2から半導体レーザ1に印加する電圧パルス波形の例を示す図である。この波形は、例えば、測定時に20dB減衰器(ATT)を使用し、固定ATT3dB後に測定したものである。 この電気パルスによる光励起により、半導体レーザ部3から出力される光パルスの縦軸対数表示スペクトルの例を図9に示す。図9に示すように、この光パルスは、短波長帯域成分20と長波長帯域成分21とを含む。 [0020] 図10は、半導体レーザ部3から出力される光パルスの時間波形(オシロスコープ観測)の例を示す図である。図10に示すように、半導体レーザ部3から出力される光パルスは、第1パルス30と、この第1パルス30に後続する後続成分31とを含み、これらは時間的に分離している。図9に示した短波長帯域成分20は、図10の第1パルス30に起因し、図9に示した長波長帯域成分21は後続成分31に起因してそれぞれ発生する。 このように、レーザパルスの光スペクトルが本例では1nm程度以上にも広がっている。この現象はチャーピングと呼ばれる。 [0021] 本発明においては、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも後続成分を除去して第1パルス30のみを取り出して超短パルスを得るために、図7に示した上記のショートパスフィルタ4を使用する。 図11は、本発明の一実施形態に係る、ショートパスフィルタ4通過後の光パルスの縦軸対数表示スペクトル(オシロスコープ観測)の例を示す図である。前述のようにショートパスフィルタ4は、長波長帯域成分21を除去するショートパスフィルタである。詳細には、前述のようにショートパスフィルタ4は、例えば、短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成される。 図11においては、図9に示したショートパスフィルタ4通過前の光パルスのスペクトルと比べ、短波長帯域成分20はほとんど変化していないのに対し、長波長帯域成分21は大幅に低減している。 [0022] 図12は、ショートパスフィルタ4通過後の光パルスの時間波形(オシロスコープ観測)の例を示す図である。 図12においては、図10に示したショートパスフィルタ4通過前の光パルスの時間波形と比較すると、第1パルス30の後続成分31が完全に除去されており、第1パルス30のみが抽出されている。なお、図12において、主パルス30後のリンギングは電気的応答の問題であり、光信号には対応していない。 [0023] 半導体レーザ装置6において得られた光パルスの正確な時間幅は、強度相関測定により求めることができる。 図13に、本発明の一実施形態に係る半導体レーザ装置6において得られた光パルスの強度相関測定の結果の一例を示す。この例では、光パルスの時間幅が6psであると同定されている。 このように、本発明の一実施形態によれば、安価かつメンテナンスが容易な励起パルス発生器2を用いて、簡潔な構成で所望する超短パルス光を容易かつ確実に発生させることができる半導体レーザ装置6を提供することができる。さらに、パルスを圧縮するためのパルス圧縮器等の追加部品が不要であるため、簡潔な構成とすることができ、部品点数を削減し、装置のコストダウンを図ることができる。 [0024] 〔C.非線形光学効果利用機器〕 上記の半導体レーザ装置6は、レーザ顕微鏡、レーザ加工機、非線形波長変換装置、高調波光発生装置、和周波光発生装置、差周波光発生装置などの各種非線形効果利用機器の光源として使用することができる。 図14に、本発明の一実施形態に係る、上記の半導体レーザ装置6を光源としてそなえる非線形効果利用機器8の例を模式的に示す。 この非線形効果利用機器8は、図14に示すように、例えば、光源6と、光源6からの光を入射する機器部7とをそなえる。 この非線形効果利用機器8は、上記したように、例えば、レーザ顕微鏡、レーザ加工機、非線形波長変換装置、高調波光発生装置、和周波光発生装置、差周波光発生装置などであるが、この場合、機器部7としては、例えば、レーザ顕微鏡機器部、レーザ加工機機器部、非線形波長変換器、高調波光発生器部、和周波光発生器部、差周波光発生器部が挙げられる。ここで、レーザ顕微鏡機器部とはレーザ顕微鏡から光源を取り除いた部分、レーザ加工機機器部とはレーザ加工機機器部から光源を取り除いた部分、非線形波長変換器とは非線形波長変換装置から光源を取り除いた部分を意味する。また、高調波光発生器部とは高調波光発生装置から光源を取り除いた部分、和周波光発生器部とは和周波光発生装置から光源を取り除いた部分、差周波光発生器部とは差周波光発生装置から光源を取り除いた部分を意味する。 [0025] 図15に、非線形効果利用機器8の一例として、非線形波長変換装置を示す。 図15に示すように、非線形波長変換装置8の非線形波長変換器7は、例えば、非線形波長変換デバイス10と、光フィルタ11とをそなえる。 非線形波長変換デバイス10は、光源6から入射される光の周波数を変換するデバイスである。非線形波長変換デバイス10により波長変換した光を光フィルタ11によって適宜濾波し、所望の非線形効果を付与する。 例えば、本発明の半導体レーザ装置6は、非線形光学効果により、スーパーコンチニュウム光パルス(超広帯域光パルス:optical supercontinuum pulse)の発生が可能となるようなピークパワーの光を発生させるための光源として利用できる。スーパーコンチニュウム光は、光通信、光電子計測、バイオフォトニクス等の様々な応用で用いられている。 低平均光のスーパーコンチニュウム光は、生体組織への損傷が問題にならず、バイオメディカルの応用に極めて有用である。 図16に、非線形効果利用機器8の一例として、レーザ顕微鏡を示す。 図17に、非線形効果利用機器8の一例として、レーザ加工機を示す。 図18に、非線形効果利用機器8の一例として、高調波光発生装置を示す。 図19に、非線形効果利用機器8の一例として、和周波光発生装置を示す。 図20に、非線形効果利用機器8の一例として、差周波光発生装置を示す。 [0026] このように、本発明に係る半導体レーザ装置6は、時間的に相互に分離した第1パルス30と、この第1パルス30の後続成分31とを含む光信号を発生させ、チャーピングにより広がった波長帯域のうち少なくとも後続成分に起因する波長帯域の信号を、短波長成分を透過させるショートパスフィルタとして構成されるショートパスフィルタ4で除去することにより、所望する超短光パルスを容易かつ確実に得ることができる。 また、本発明に係る半導体レーザ装置6は、半導体レーザ1と励起パルス発生器2との仕様を適切に組み合わせることにより、サブナノ秒から数ナノ秒オーダーの電気パルスまたは光パルスを発生させる励起パルス発生器2を使用して、所望するピコ秒オーダーの超短パルス光を容易かつ確実に発生させることができる。この励起パルス発生器2としては、安価でメンテナンスが容易な汎用の電気パルス発生器又は光パルス発生器が使用可能である。したがって、比較的安価かつメンテナンスが容易な励起パルス発生器2を使用できるため、半導体レーザ装置6のコストを低減することができる。さらに、パルスを圧縮するためのパルス圧縮器等の追加部品が不要であるため、簡潔かつメンテナンスが容易な構成とすることができ、部品点数を削減し、半導体レーザ装置6のコストダウンを更に図ることができる。 さらに、仕様(パラメータ)を調整することにより、適用できる動作の条件範囲が広いという利点も有する。 [0027] 〔D.その他〕 なお、上述した実施形態に関わらず、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。 例えば、上記実施形態においては、半導体レーザ1から出力される光パルスの長波長帯域成分を除去して短波長帯域成分を抽出しているが、それに限定されるものではなく、光信号の短波長帯域成分に注目してこの短波長帯域成分を抽出するようにしてもよい。 また、上記実施形態において、ショートパスフィルタ4が、少なくとも後続成分31(後続成分31と第1パルス30の一部とを含む部分)に起因する少なくとも長波長域の成分21(長波長域の成分21と短波長帯域の成分20における長波長側のすそ部分とを含む部分)を除去しているが、ショートパスフィルタ4が、後続成分31に起因する長波長域の成分21のみを除去してもよい。これにより、第1パルス30の強度を極力維持しつつ超短パルス化を実現できる。 符号の説明 [0028] 1 半導体レーザ 2 励起パルス発生器 3 半導体レーザ部 4 ショートパスフィルタ(フィルタ) 6 半導体レーザ装置(光源) 7 機器部(レーザ顕微鏡機器部、レーザ加工機機器部、非線形波長変換器、高調波光発生器部、和周波光発生器部、差周波光発生器部) 8 非線形効果利用機器(レーザ顕微鏡、レーザ加工機、非線形波長変換装置、高調波光発生装置、和周波光発生装置、差周波光発生装置) 21 長波長帯域成分(後続成分に起因して生じる波長帯域の信号) 30 第1パルス 31 第1パルスの後続部分 |
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