PDK4 INHIBITOR AND USE THEREOF
外国特許コード | F140008051 |
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整理番号 | S2013-0371-C0 |
掲載日 | 2014年12月4日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2013JP007649 |
国際公開番号 | WO 2014103321 |
国際出願日 | 平成25年12月26日(2013.12.26) |
国際公開日 | 平成26年7月3日(2014.7.3) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | PDK4 INHIBITOR AND USE THEREOF |
発明の概要(英語) | [Problem] The problem of the present invention is to provide a novel pyruvate dehydrogenase inhibitor. [Solution] Provided are a pyruvate dehydrogenase inhibitor comprising the compound represented by general formula (I) as the active ingredient (where in the formula, ring A is a six-member hydrocarbon ring having aromaticity that is optionally substituted by two to four substitution groups, R1 and R4 are the same or different and are, for instance, a hydrogen atom, hydroxyl group, or optionally substituted C1-6 alkyl group, and R2 and R3 are the same or different and are a hydrogen atom, carboxyl group, optionally substituted C1-6 alkyl group, C6-10 aryl group, or -C(=R9)-R10); a medical composition which comprises the pyruvate dehydrogenase kinase inhibitor as the active ingredient and which is for treating or preventing a disease or an impairment the development or deterioration of which is associated with pyruvate dehydrogenase kinase; and a cosmetic composition, and the like. |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 |
National States: AE AG AL AM AO AT AU AZ BA BB BG BH BN BR BW BY BZ CA CH CL CN CO CR CU CZ DE DK DM DO DZ EC EE EG ES FI GB GD GE GH GM GT HN HR HU ID IL IN IR IS JP KE KG KN KP KR KZ LA LC LK LR LS LT LU LY MA MD ME MG MK MN MW MX MY MZ NA NG NI NO NZ OM PA PE PG PH PL PT QA RO RS RU RW SA SC SD SE SG SK SL SM ST SV SY TH TJ TM TN TR TT TZ UA UG US UZ VC VN ZA ZM ZW ARIPO: BW GH GM KE LR LS MW MZ NA RW SD SL SZ TZ UG ZM ZW EAPO: AM AZ BY KG KZ RU TJ TM EPO: AL AT BE BG CH CY CZ DE DK EE ES FI FR GB GR HR HU IE IS IT LT LU LV MC MK MT NL NO PL PT RO RS SE SI SK SM TR OAPI: BF BJ CF CG CI CM GA GN GQ GW KM ML MR NE SN TD TG |
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発明の名称 | PDK4阻害剤及びその利用 |
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発明の概要 | 【課題】 本発明は、新規のピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤を提供することを課題とする。 【解決手段】 一般式(I)で表わされる化合物を有効成分として含有するピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤(式中、環Aは、2~4個の置換基で置換されていてもよい芳香族性を有する6員炭化水素環を示し、R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基等を示し、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、C6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す)、当該ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤を有効成分として含有する、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害の治療又は予防のための医薬組成物、及び化粧品組成物等。 |
特許請求の範囲 |
[請求項1] 下記一般式(I)で表わされる化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤、 [化1] [式中、環Aは、2~4個の置換基で置換されていてもよい芳香族性を有する6員炭化水素環を示し、 ここで、環Aの置換基は、同一又は異なって、水酸基、オキソ基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~40アルケニル基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC2~6アルケニルオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニル基、及び、置換されていてもよいC2~7アルカノイルオキシ基から選択される基を示し、あるいは、環Aの2つの置換基が結合して、置換されていてもよいジヒドロピランを形成してもよく(該ジヒドロピランはオキソ基で置換されていてもよいテトラヒドロフランと縮合していてもよい)、 R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~6アルケニル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、又は、置換されていてもよいC2~7アルカノイルオキシ基を示し、 R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す、 ここで、R9は、酸素原子、硫黄原子、=N-R11基(ここで、R11は、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC2~6アルケニルオキシ基、置換されていてもよいC6~10アリールオキシ基を示す)、又は、=CH-R12基(ここで、R12は、ホルミル基、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノカルボニル基を示し、 R10は、水素原子、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC6~C10アリールオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示すか、あるいは、 R2及びR3のいずれか一方は、以下の一般式で表わされる基(式中、環A、R1、R2及びR4で表わされる基の定義は、それぞれ、一般式(I)における環A、R1、R2及びR4の定義と同様である): [化2] を示し、もう一方は水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、C6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示すか、あるいは、 R2とR3が一緒になって、それらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はテトラヒドロフランを構成し、ここで、該テトラヒドロフランは、置換されていてもよい3環性縮合複素環とスピロ結合していてもよく、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、水酸基で置換されていてもよいC1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C6~10アリール基、C6~10アリールC1~6アルキル基]。 [請求項2] 下記一般式(II)又は(III)で表わされる化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、請求項1に記載のピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤、 [化3] [化4] [式中、R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~6アルケニル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、又は、置換されていてもよいC2~7アルカノイルオキシ基を示し、 R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、C6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す、 ここで、R9は、酸素原子、硫黄原子、=N-R11基(ここで、R11は、水酸基、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す)、又は、=CH-R12基(ここで、R12は、ホルミル基、カルボキシル基、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、C1~6アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、又は、C1~6アルキルアミノカルボニル基を示し、 R10は、水素原子、アミノ基、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、C1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示すか、あるいは、 R2及びR3のいずれか一方は、以下の一般式で表わされる基(式中、環A、R1、R2及びR4で表わされる基の定義は、それぞれ、一般式(I)における環A、R1、R2及びR4の定義と同様である): [化5] を示すか、あるいは、 R2とR3が一緒になって、それらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はテトラヒドロフランを構成し、ここで、該テトラヒドロフランは、置換されていてもよい3環性縮合複素環とスピロ結合していてもよく、 R5及びR8は、同一又は異なって、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC2~40アルケニルオキシ基、又は、C2~7アルカノイルオキシ基を示し、 R6及びR7は、水素原子、水酸基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~40アルケニル基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基を示し、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシカルボニル基 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、水酸基で置換されていてもよいC1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C6~10アリール基、C6~10アリールC1~6アルキル基]。 [請求項3] 下記一般式(II)又は(III)で表わされる化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩: [化6] [化7] [式中、 R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、又は、置換されていてもよいC6~10アリール基を示し、 R2及びR3のうちどちらか一方は、水素原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、又は、置換されていてもよいC6~10アリール基を示し、 残りの一方は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示し、 ここで、R9は、酸素原子、硫黄原子、=N-R11基(ここで、R11は、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、水酸基、C1~6アルコキシ基、C2~20アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す)、又は、=CH-R12基(ここで、R12は、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、ホルミル基、カルボキシル基、C1~6アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、又は、C1~6アルキルアミノカルボニル基を示し、 R10は、水素原子、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC6~10アリールオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示し、 ただし、-C(=R9)-R10で表わされる基は、カルボキシル基、メチルカルボニル基、及びメトキシカルボニル基ではなく、 R5及びR8は、共に、C1~6アルコキシ基を示し、 R6及びR7は、水素原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいアミノ基を示し、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、水酸基で置換されていてもよいC1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C6~10アリール基、C6~10アリールC1~6アルキル基]。 [請求項4] 請求項3に記載の化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩であって: R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、又は置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、 R2及びR3のうちどちらか一方は、水素原子、又は置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、 残りの一方は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示し、 ここで、R9は、酸素原子、又は=N-R11基(ここで、R11は、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す)(を示し、 R10は、水素原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC6~10アリールオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示し、 ただし、-C(=R9)-R10で表わされる基は、カルボキシル基、メチルカルボニル基、及びメトキシカルボニル基ではなく、 R5及びR8は、共に、C1~6アルコキシ基を示し、 R6及びR7は、水素原子、又は置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、水酸基で置換されていてもよいC1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C6~10アリール基である、 化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩。 [請求項5] 請求項3又は請求項4に記載の化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤。 [請求項6] ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ4阻害剤である、請求項1、請求項2、又は請求項5に記載のピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤。 [請求項7] 請求項1、請求項2、又は請求項5に記載のピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤を有効成分として含有する、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害の治療又は予防のための医薬組成物。 [請求項8] ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、インフルエンザ感染後の重症化である、請求項7に記載の医薬組成物。 [請求項9] ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、食欲不振である、請求項7に記載の医薬組成物。 [請求項10] ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、ミトコンドリア病、又は、ATP産生の低下を伴う疾患又は障害である、請求項7に記載の医薬組成物。 [請求項11] ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、糖尿病である、請求項7に記載の医薬組成物。 [請求項12] ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、癌である、請求項7に記載の医薬組成物。 [請求項13] 請求項1、請求項2、又は請求項5に記載のピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤を含有する、化粧品組成物。 |
明細書 |
明 細 書 発明の名称 : PDK4阻害剤及びその利用 クロスリファレンス [0001] 本出願は、2012年12月26日に米国特許商標庁に出願された米国特許借り出願第61/745,819号からの優先権を主張するものである。本願が優先権を主張する米国特許仮出願第61/745,819号に記載の内容は、全て参照によりそのまま本願に組み込まれる。本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。 技術分野 [0002] 本発明は、新規PDK4阻害剤を有効成分とする、ミトコンドリア機能改善によるインフルエンザ重症化の治療薬又は予防薬、および食欲不振の改善、癌あるいは糖尿病などの疾患の治療薬、代謝改善による化粧品を提供する。 背景技術 [0003] 健常な成人がインフルエンザウイルスに感染しても大事には至らずに回復し、感染したウイルスに対する免疫が獲得される。しかし、高齢者や小児がインフルエンザウイルスに感染すると多臓器不全(MOF:Multiple organ failure)やインフルエンザ脳症(IAE:Influenza-associated encephalopathy)を来すことがあり、死に至るケースも稀ではない。最近ではインフルエンザウイルスに感染した患者にノイラミニダーゼ阻害剤などの1990年代後半に開発された抗ウイルス薬が投与されている。しかし、2012年に臨床試験データの大規模解析からオセルタミビル(タミフル)およびザナミビル(リレンザ)などの投与により、初期症状の軽減(インフルエンザの症状が1日ほど早く収まる効果)は確認されたが、感染後の重症化を防ぐ効果は確認できないとする報告書が発表されている。(非特許文献1) [0004] ミトコンドリアに局在するピルビン酸デヒドロゲナーゼ(以下、「PDH」という)は糖代謝の制御に重要な酵素であり、PDKによるリン酸化により不活化される。ヒトやマウスでは4種のPDKアイソザイム(PDK1-4)が存在する。PDK4が糖尿病及び癌の発症、増悪化にも関与していることが知られている(非特許文献2及び3参照)。癌や糖尿病でPDKの過剰発現によるPDHの低下が起きていることからPDK阻害剤は癌や糖尿病の薬剤の分子標的として注目され、探索が行われてきた。 [0005] しかし、これまでPDK4を100μM以下のIC50で阻害できる化合物は見出されていない。例えばAZD7545、Compound K、Novartis 3rなどはPDKのアイソザイム1,2及び3をサブμMオーダーのIC50で阻害するが、PDK4は逆に活性を促進することが報告されている。PDK4はPDK1-3と異なり準活性化状態で存在しており、このことがPDK4阻害剤の開発を困難にしている一因と考えられている。またPDK4の阻害剤として報告されているジクロル酢酸は阻害活性が弱く、また神経毒性など副作用が大きいため、医薬として使用することができなかった(非特許文献4参照)。 先行技術文献 非特許文献 [0006] 非特許文献1 : Published Online:18 JAN 2012 DOI:10.1002/14651858.CD008965.pub3 非特許文献2 : Int. J. Cancer 2011:128:1001-1008 非特許文献3 : Biochem. J.(2009)423:243-252 非特許文献4 : J. Biol Chem.(2008)283:25305-25315 発明の概要 [0007] 発明者の木戸らはインフルエンザ重症化の発症機序を解析し、IAEやMOFを併発する患者では、ウイルス感染によって末梢血中のアデノシン三リン酸(以下、「ATP」という)レベルが低値を示すこと、及び、ミトコンドリアの脂肪酸代謝酵素(Carnitine palmitoyl transferase 2:CPT2)に温度感受性の遺伝子多型が存在することを報告してきた(Mol Cell Biochem(2007)299:85-92;Hum Mutat(2008)29:718-27)。本発明者らは、さらに、3週齢のマウスにインフルエンザウイルスを感染させてミトコンドリアのエネルギー産生系遺伝子の発現量の網羅的解析を行った結果、インフルエンザウイルス感染後、サイトカイン産生の上昇、発熱に伴いPDK4遺伝子の発現誘導が起こることを見出した。これらの研究結果から、インフルエンザ感染患者が重症化するときに、急性のミトコンドリア機能の活性低下による全身性のATPの枯渇があり、PDK4阻害剤によりこの急性重症化を防止できると推定した。 [0008] 発明者の中野、大村らは1980年代から蛋白リン酸化酵素の阻害剤(Protein Kinase:PK)、Staurosporineおよびその関連物質などを見出してきた(J. Antibiotics(2009)62:17-26)。そこで本発明者らは、上記木戸らの推定に基づき、インフルエンザ感染患者の重症化防止の新規薬剤を提供するために新たなPDK4阻害剤の探索を行った。PDKはSer/Thr kinaseであるが、強力な汎Kinase阻害剤として知られているStaurosporineでは全く阻害されない。PDK4のATP結合部位の構造を解析した結果、StaurosporineはPDK4のATP結合部位に入れないことが明らかとなった。そこで、Staurosporineより小さい分子の天然物を中心に、PDK4をnMオーダーで阻害する化合物を探索した結果、本発明の化合物を見出した。本発明の化合物について、インフルエンザ感染マウスモデルを用いて実験した結果、食欲不振、体重減少等の重症化や死亡を抑制する作用を有することを確認し、本発明を完成した。 [0009] また、上述の通り、インフルエンザ感染患者が重症化した場合、PDK4遺伝子の発現の誘導の他、ウイルス感染によって末梢血中のATPレベルが低値を示すこと、ミトコンドリアの脂肪酸代謝酵素(CPT2)に温度感受性の遺伝子多型が存在することから、本発明のPDK4阻害剤は、CPTまたはミトコンドリアATP産生酵素群に変異を持つ疾患の治療にも有用であると考えられる。 [0010] 更に、インフルエンザ感染患者の重症化防止や食欲不振の改善に加えて、PDK4が糖尿病及び癌の発症、増悪化にも関与していることが上述の通り知られていることから、本発明のPDK4阻害剤はこれらの疾患の治療にも有用であると考えられる。 [0011] よって、本発明は、インフルエンザ重症化の治療薬又は予防薬を提供することを目的とする。また、本発明は、別の態様において、新規PDK4阻害剤を提供することを目的とする。更に、本発明は、新規PDK4阻害剤を有効成分とする、ミトコンドリア機能および食欲不振の改善、癌あるいは糖尿病などの疾患の治療薬、代謝改善による化粧品を提供することを課題とする。 [0012] よって、本発明は以下に関する: (1)下記一般式(I)で表わされる化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤、 [化1] [式中、環Aは、2~4個の置換基で置換されていてもよい芳香族性を有する6員炭化水素環を示し、 ここで、環Aの置換基は、同一又は異なって、水酸基、オキソ基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~40アルケニル基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC2~6アルケニルオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニル基、及び、置換されていてもよいC2~7アルカノイルオキシ基から選択される基を示し、あるいは、環Aの2つの置換基が結合して、置換されていてもよいジヒドロピランを形成してもよく(該ジヒドロピランはオキソ基で置換されていてもよいテトラヒドロフランと縮合していてもよい)、 R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~6アルケニル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、又は、置換されていてもよいC2~7アルカノイルオキシ基を示し、 R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す、 ここで、R9は、酸素原子、硫黄原子、=N-R11基(ここで、R11は、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC2~6アルケニルオキシ基、置換されていてもよいC6~10アリールオキシ基を示す)、又は、=CH-R12基(ここで、R12は、ホルミル基、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノカルボニル基を示し、 R10は、水素原子、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC6~C10アリールオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示すか、あるいは、 R2及びR3のいずれか一方は、以下の一般式で表わされる基(式中、環A、R1、R2及びR4で表わされる基の定義は、それぞれ、一般式(I)における環A、R1、R2及びR4の定義と同様である): [化2] を示し、もう一方は水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、C6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示すか、あるいは、 R2とR3が一緒になって、それらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はテトラヒドロフランを構成し、ここで、該テトラヒドロフランは、置換されていてもよい3環性縮合複素環とスピロ結合していてもよく、 (2)下記一般式(II)又は(III)で表わされる化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、(1)に記載のピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤、 [化3] [化4] [式中、R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~6アルケニル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、又は、置換されていてもよいC2~7アルカノイルオキシ基を示し、 R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、C6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す、 ここで、R9は、酸素原子、硫黄原子、=N-R11基(ここで、R11は、水酸基、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す)、又は、=CH-R12基(ここで、R12は、ホルミル基、カルボキシル基、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、C1~6アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、又は、C1~6アルキルアミノカルボニル基を示し、 R10は、水素原子、アミノ基、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、C1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示すか、あるいは、 R2及びR3のいずれか一方は、以下の一般式で表わされる基(式中、環A、R1、R2及びR4で表わされる基の定義は、それぞれ、一般式(I)における環A、R1、R2及びR4の定義と同様である): [化5] を示すか、あるいは、 R2とR3が一緒になって、それらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はテトラヒドロフランを構成し、ここで、該テトラヒドロフランは、置換されていてもよい3環性縮合複素環とスピロ結合していてもよく、 R5及びR8は、同一又は異なって、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC2~40アルケニルオキシ基、又は、C2~7アルカノイルオキシ基を示し、 R6及びR7は、水素原子、水酸基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~40アルケニル基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基を示し、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシカルボニル基 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、水酸基で置換されていてもよいC1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C6~10アリール基、C6~10アリールC1~6アルキル基]。 (3)下記一般式(II)又は(III)で表わされる化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩: [化6] [化7] 式中、 R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、又は、置換されていてもよいC6~10アリール基を示し、 R2及びR3のうちどちらか一方は、水素原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、又は、置換されていてもよいC6~10アリール基を示し、 残りの一方は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示し、 ここで、R9は、酸素原子、硫黄原子、=N-R11基(ここで、R11は、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、水酸基、C1~6アルコキシ基、C2~20アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す)、又は、=CH-R12基(ここで、R12は、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、ホルミル基、カルボキシル基、C1~6アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、又は、C1~6アルキルアミノカルボニル基を示し、 R10は、水素原子、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC6~10アリールオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示し、 ただし、-C(=R9)-R10で表わされる基は、カルボキシル基、メチルカルボニル基、及びメトキシカルボニル基ではなく、 R5及びR8は、共に、C1~6アルコキシ基を示し、 R6及びR7は、水素原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいアミノ基を示し、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、水酸基で置換されていてもよいC1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C6~10アリール基、C6~10アリールC1~6アルキル基]。 (4)(3)に記載の化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩であって: R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、又は置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、 R2及びR3のうちどちらか一方は、水素原子、又は置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、 残りの一方は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示し、 ここで、R9は、酸素原子、又は=N-R11基(ここで、R11は、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す)を示し、 R10は、水素原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC6~10アリールオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示し、 ただし、-C(=R9)-R10で表わされる基は、カルボキシル基、メチルカルボニル基、及びメトキシカルボニル基ではなく、 R5及びR8は、共に、C1~6アルコキシ基を示し、 R6及びR7は、水素原子、又は置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、水酸基で置換されていてもよいC1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシ基、C6~10アリール基である、 化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩。 (5)(3)又は(4)に記載の化合物又はそのエステル誘導体、あるいはそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤。 (6)ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ4阻害剤である、(1)、(2)、又は(5)に記載のピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤。 (7)(1)、(2)、又は(5)に記載のピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤を有効成分として含有する、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害の治療又は予防のための医薬組成物。 (8)ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、インフルエンザ感染後の重症化である、(7)に記載の医薬組成物。 (9)ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、食欲不振である、(7)に記載の医薬組成物。 (10)ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、ミトコンドリア病、又は、ATP産生の低下を伴う疾患又は障害である、請求項7に記載の医薬組成物。 (11)ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、糖尿病である、(7)に記載の医薬組成物。 (12)ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼが発症又は増悪化に関係する疾患又は障害が、癌である、(7)に記載の医薬組成物。 (13)(1)、(2)、又は(5)に記載のピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤を含有する、化粧品組成物。 [0013] 本明細書において、「芳香族性を有する6員炭化水素環」とは、ベンゼン環又はp-ベンゾキノン(1位と4位がオキソ基で置換された2,5-シクロヘキサジエン)を示す。 [0014] 本明細書において、「C1~6アルキル基」とは、直鎖又は分岐状の炭素数が1~6個の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2,3-ジメチルプロピル基、ヘキシル基、及びシクロヘキシル基などが挙げられ、好ましくは、C1~5アルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、又は2,3-ジメチルプロピル基である。更に好ましくは、C1~3アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びi-プロピル基、であり、最も好ましくは、メチル基又はエチル基である。 [0015] 本明細書において、「C2~40アルケニル基」とは、1以上の炭素-炭素間の二重結合を有する直鎖又は分岐状の不飽和炭化水素の任意の炭素原子から一個の水素原子を除去してなる炭素原子数が2~40個の一価の基を意味する。また、「C2~6アルケニル基」とは、1以上の炭素-炭素間の二重結合を有する直鎖又は分岐状の不飽和炭化水素の任意の炭素原子から一個の水素原子を除去してなる炭素原子数が2~6個の一価の基を意味する。C2~6アルケニル基又はC2~40アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチリデン-1-プロパン基、1-ペンテニル基、1-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、1-メチリデンブチル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、2-メチリデンブチル基、3-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、1-エチル-1-プロペニル基、1-エチル-2-プロペニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-2-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1-メチル-4-ペンテニル基、1-メチリデンペンチル基、2-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2-メチル-3-ペンテニル基、2-メチル-4-ペンテニル基、2-メチリデンペンチル基、3-メチル-1-ペンテニル基、3-メチル-2-ペンテニル基、3-メチル-3-ペンテニル基、3-メチル-4-ペンテニル基、3-メチリデンペンチル基、4-メチル-1-ペンテニル基、4-メチル-2-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、4-メチル-4-ペンテニル基、1-エチル-1-ブテニル基、1-エチル-2-ブテニル基、1-エチル-3-ブテニル基、2-エチル-1-ブテニル基、2-エチル-2-ブテニル基、2-エチル-3-ブテニル基、1-(1-メチルエチル)-1-プロペニル基、1-(1-メチルエチル)-2-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル基、又は、1-エチル-2-メチル-2-プロペニル基を挙げることができる。 [0016] 更に、C2~40アルケニル基としては、例えば、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、3-ヘプテニル基、4-ヘプテニル基、5-ヘプテニル基、7-ヘプテニル基、1-メチル-1-ヘキセニル基、1-メチル-2-ヘキセニル基、1-メチル-3-ヘキセニル基、1-メチル-4-ヘキセニル基、1-メチル-5-ヘキセニル基、1-メチリデンヘキシル基、2-メチル-1-ヘキセニル基、2-メチル-2-ヘキセニル基、2-メチル-3-ヘキセニル基、2-メチル-4-ヘキセニル基、2-メチル-5-ヘキセニル基、2-メチリデンヘキシル基、3-メチル-1-ヘキセニル基、3-メチル-2-ヘキセニル基、3-メチル-3-ヘキセニル基、3-メチル-4-ヘキセニル基、3-メチル-5-ヘキセニル基、3-メチリデンヘキシル基、4-メチル-1-ヘキセニル基、4-メチル-2-ヘキセニル基、4-メチル-3-ヘキセニル基、4-メチル-4-ヘキセニル基、4-メチル-5-ヘキセニル基、4-メチリデンヘキシル基、5-メチル-1-ヘキセニル基、5-メチル-2-ヘキセニル基、5-メチル-3-ヘキセニル基、5-メチル-4-ヘキセニル基、5-メチル-5-ヘキセニル基、1-エチル-1-ペンテニル基、1-エチル-2-ペンテニル基、1-エチル-3-ペンテニル基、1-エチル-4-ペンテニル基、2-エチル-1-ペンテニル基、2-エチル-2-ペンテニル基、2-エチル-3-ペンテニル基、2-エチル-4-ペンテニル基、3-エチル-1-ペンテニル基、3-エチル-2-ペンテニル基、3-エチル-3-ペンテニル基、3-エチル-4-ペンテニル基、1,1-ジメチル-2-ペンテニル基、1,1-ジメチル-3-ペンテニル基、1,1-ジメチル-4-ペンテニル基、2,2-ジメチル-3-ペンテニル基、2,2-ジメチル-4-ペンテニル基、3,3-ジメチル-1-ペンテニル基、3,3-ジメチル-4-ペンテニル基、4,4-ジメチル-1-ペンテニル基、4,4-ジメチル-2-ペンテニル基、1,2-ジメチル-1-ペンテニル基、1,2-ジメチル-2-ペンテニル基、1,2-ジメチル-3-ペンテニル基、1,2-ジメチル-4-ペンテニル基、1-メチリデン-2-メチルペンチル基、2-メチリデン-1-メチルペンチル基、1,3-ジメチル-1-ペンテニル基、1,3-ジメチル-2-ペンテニル基、1,3-ジメチル-3-ペンテニル基、1,3-ジメチル-4-ペンテニル基、1-メチリデン-3-メチルペンチル基、3-メチリデン-1-メチルペンチル基、1,4-ジメチル-1-ペンテニル基、1,4-ジメチル-2-ペンテニル基、1,4-ジメチル-3-ペンテニル基、1,4-ジメチル-4-ペンテニル基、1-メチリデン-4-メチルペンチル基、1,1,2-トリメチル-2-ブテニル基、1,1,2-トリメチル-3-ブテニル基、1,1-ジメチル-2-メチリデンブチル基、1,1,3-トリメチル-2-ブテニル基、1,1,3-トリメチル-3-ブテニル基、1,2,2-トリメチル-3-ブテニル基、2,2-ジメチル-1-メチリデンブチル基、1,2,3-トリメチル-1-ブテニル基、1,2,3-トリメチル-2-ブテニル基、1,2,3-トリメチル-3-ブテニル基、2,3-ジメチル-1-メチリデンブチル基、1,3-ジメチル-2-メチリデンブチル基、2,2,3-トリメチル-3-ブテニル基、2,3,3-トリメチル-1-ブテニル基、3,3-ジメチル-2-メチリデンブチル基、1-エチル-1-メチル-2-ブテニル基、1-エチル-1-メチル-3-ブテニル基、1-メチル-1-プロピル-2-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-1-ブテニル基、1-エチル-2-メチル-2-ブテニル基、1-エチル-2-メチル-3-ブテニル基、1-(1-メチルプロピル)-2-プロペニル基、1-エチリデン-2-メチルブチル基、1-エチル-3-メチル-1-ブテニル基、1-エチル-3-メチル-2-ブテニル基、1-エチル-3-メチル-3-ブテニル基、1-(2-メチルプロピル)-2-プロペニル基、1-エチリデン-3-メチルブチル基、1-エチル-3-メチル-1-ブテニル基、1-エチル-3-メチル-2-ブテニル基、1-エチル-3-メチル-3-ブテニル基、1-エチニル-3-メチルブチル基、1-エチリデン-3-メチルブチル基、1-メチル-2-エチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-エチル-2-ブテニル基、1-メチル-2-エチル-3-ブテニル基、2-メチル-2-エチル-3-ブテニル基、1-(1-メチルエチル)-1-ブテニル基、1-(1-メチルエチル)-2-ブテニル基、1-(1-メチルエチル)-3-ブテニル基、2-メチル-1-プロピル-1-プロペニル基、2-メチル-1-プロピル-2-プロペニル基、2-(1-メチルエチル)-1-ブテニル基、2-(1-メチルエチル)-2-ブテニル基、2-(1-メチルエチル)-3-ブテニル基、2-エチル-3-メチル-2-ブテニル基、又は、2-エチル-3-メチル-3-ブテニル基、あるいは、-CH2-CH=C(CH3)-((CH2)3-C(CH3))n-CH3基(nは1~10の自然数、好ましくは1~5の自然数、より好ましくは2~4の自然数)、(-CH2-CH=C(CH3)-CH2-)n-H基(nは1~8の自然数、好ましくは2~6の自然数、より好ましくは3~5の自然数)、又は、-(CH2-CH=CH)n-H基(nは1~13の自然数、好ましくは、1~6の自然数、より好ましくは1~3の自然数)が挙げられる。 [0017] 本明細書において、「C1~6アルコキシ基」とは、前記C1~6アルキル基と酸素原子を介して結合する基((C1~6アルキル基)-O-基)のことであり、該アルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。C1~6アルコキシ基とは、該アルキル基部分の炭素原子数が1~6個であることを意味する。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1-プロピルオキシ基、2-プロピルオキシ基、2-メチル-1-プロピルオキシ基、2-メチル-2-プロピルオキシ基、2,2-ジメチル-1-プロピルオキシ基、1-ブチルオキシ基、2-ブチルオキシ基、2-メチル-1-ブチルオキシ基、3-メチル-1-ブチルオキシ基、2-メチル-2-ブチルオキシ基、3-メチル-2-ブチルオキシ基、1-ペンチルオキシ基、2-ペンチルオキシ基、3-ペンチルオキシ基、2-メチル-1-ペンチルオキシ基、3-メチル-1-ペンチルオキシ基、2-メチル-2-ペンチルオキシ基、3-メチル-2-ペンチルオキシ基、1-ヘキシルオキシ基、2-ヘキシルオキシ基、3-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。C1~6アルコキシ基として、好ましくはC1~5アルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、i-プロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、及び2,3-ジメチルプロピルオキシ基であり、更に好ましくは、C1~3アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びプロピルオキシ基)であり、より更に好ましくは、メトキシ基又はエトキシ基である。 [0018] 本明細書において、「C2~6アルケニルオキシ基」とは、前記C2~6アルケニル基と酸素原子を介して結合する基((C2~6アルケニル基)-O-基)のことであり、該アルケニル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。C2~6アルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、1-ブテニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、1-メチル-1-プロペニルオキシ基、2-メチル-1-プロペニルオキシ基、1-メチル-2-プロペニルオキシ基、2-メチル-2-プロペニルオキシ基、1-メチリデン-1-プロパンオキシ基、1-ペンテニルオキシ基、1-ペンテニルオキシ基、3-ペンテニルオキシ基、4-ペンテニルオキシ基、1-メチル-1-ブテニルオキシ基、1-メチル-2-ブテニルオキシ基、1-メチル-3-ブテニルオキシ基、1-メチリデンブチルオキシ基、2-メチル-1-ブテニルオキシ基、2-メチル-2-ブテニルオキシ基、2-メチル-3-ブテニルオキシ基、2-メチリデンブチルオキシ基、3-メチル-1-ブテニルオキシ基、3-メチル-2-ブテニルオキシ基、3-メチル-3-ブテニルオキシ基、1-エチル-1-プロペニルオキシ基、1-エチル-2-プロペニルオキシ基、1-ヘキセニルオキシ基、2-ヘキセニルオキシ基、3-ヘキセニルオキシ基、4-ヘキセニルオキシ基、5-ヘキセニルオキシ基、1-メチル-1-ペンテニルオキシ基、1-メチル-2-ペンテニルオキシ基、1-メチル-3-ペンテニルオキシ基、1-メチル-4-ペンテニルオキシ基、1-メチリデンペンチルオキシ基、2-メチル-1-ペンテニルオキシ基、2-メチル-2-ペンテニルオキシ基、2-メチル-3-ペンテニルオキシ基、2-メチル-4-ペンテニルオキシ基、2-メチリデンペンチルオキシ基、3-メチル-1-ペンテニルオキシ基、3-メチル-2-ペンテニルオキシ基、3-メチル-3-ペンテニルオキシ基、3-メチル-4-ペンテニルオキシ基、3-メチリデンペンチルオキシ基、4-メチル-1-ペンテニルオキシ基、4-メチル-2-ペンテニルオキシ基、4-メチル-3-ペンテニルオキシ基、4-メチル-4-ペンテニルオキシ基、1-エチル-1-ブテニルオキシ基、1-エチル-2-ブテニルオキシ基、1-エチル-3-ブテニルオキシ基、2-エチル-1-ブテニルオキシ基、2-エチル-2-ブテニルオキシ基、2-エチル-3-ブテニルオキシ基、1-(1-メチルエチル)-1-プロペニルオキシ基、1-(1-メチルエチル)-2-プロペニルオキシ基、1-エチル-2-メチル-1-プロペニルオキシ基、1-エチル-2-メチル-2-プロペニルオキシ基、あるいは、-O-(CH2-CH=CH)n-H基(nは1又は2の自然数)が挙げられる。 [0019] 本明細書において、「C1~6アルコキシカルボニル基」とは、前記アルコキシ基とカルボニル基を介して結合する基((C1~6アルキル基)-O-C(=O)-基)のことであり、該アルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。C1~6アルコキシカルボニル基とは、前記アルキル基部分の炭素原子数が1~6個であることを意味する。C1~6アルコキシカルボニル基としては、アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、1-プロピルオキシカルボニル基、2-プロピルオキシカルボニル基、2-メチル-1-プロピルオキシカルボニル基、2-メチル-2-プロピルオキシカルボニル基、2,2-ジメチル-1-プロピルオキシカルボニル基、1-ブチルオキシカルボニル基、2-ブチルオキシカルボニル基、2-メチル-1-ブチルオキシカルボニル基、3-メチル-1-ブチルオキシカルボニル基、2-メチル-2-ブチルオキシカルボニル基、3-メチル-2-ブチルオキシカルボニル基、1-ペンチルオキシカルボニル基、2-ペンチルオキシカルボニル基、3-ペンチルオキシカルボニル基、2-メチル-1-ペンチルオキシカルボニル基、3-メチル-1-ペンチルオキシカルボニル基、2-メチル-2-ペンチルオキシカルボニル基、3-メチル-2-ペンチルオキシカルボニル基、1-ヘキシルオキシカルボニル基、2-ヘキシルオキシカルボニル基、3-ヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。C1~6アルコキシ基として、好ましくはC1~5アルコキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシカルボニル基、i-プロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、t-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、及び2,3-ジメチルプロピルオキシカルボニル基であり、更に好ましくは、C1~3アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びプロピルオキシカルボニル基)であり、より更に好ましくは、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基である。 [0020] 本明細書において、「C2~7アルカノイル基」とは、前記C1~6アルキル基とオキソ基を介して結合する基((C1~6アルキル基)-C(=O)-基)のことであり、該アルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。C2~7アルカノイル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基を包含する。 [0021] 本明細書において、「C2~7アルカノイルオキシ基」とは、前記C1~6アルキル基とオキソ基及び酸素原子を介して結合する基((C1~6アルキル基)-C(=O)-O-基)のことであり、該アルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。C2~7アルカノイルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基を包含する。 [0022] 本明細書において、「C6~10アリール基」とは、6~10個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基のことであり、ベンゼン及びナフタレンを包含する。また、「C6~10アリールオキシ基」とは、前記C6~10アリール基と酸素原子を介して結合する基((C6~10アリール基)-O-基)のことであり、ベンジルオキシ基及びナフチルオキシ基を包含する。 [0023] 本明細書において、「C1~6アルキルアミノ基」とは、前記C1~6アルキル基と窒素原子を介して結合する基((C1~6アルキル基)-NH-基)のことであり、当該基に含まれるC1~6アルキル基部分は、前記C1~6アルキル基の定義と同様である。このような基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、i-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、2,3-ジメチルプロピルアミノ基、ヘキシルアミノ基、及びシクロヘキシルアミノ基などが挙げられ、好ましくは、C1~5アルキルアミノ基であり、より好ましくは、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、i-プロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、t-ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、又は2,3-ジメチルプロピルアミノ基である。更に好ましくは、C1~3アルキルアミノ基であり、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、及びi-プロピルアミノ基、であり、最も好ましくは、メチルアミノ基又はエチルアミノ基である。 [0024] 本明細書において、「C1~6アルキルアミノカルボニル基」とは、前記C1~6アルキル基と窒素原子及びカルボニル基を介して結合する基((C1~6アルキル基)-NH-C(=O)-基)で表わされる基であり、当該基に含まれるC1~6アルキル基部分は、前記C1~6アルキル基の定義と同様である。このような基としては、例えば、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、i-プロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、sec-ブチルアミノカルボニル基、t-ブチルアミノカルボニル基、イソブチルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、イソペンチルアミノカルボニル基、2,3-ジメチルプロピルアミノカルボニル基、ヘキシルアミノカルボニル基、及びシクロヘキシルアミノカルボニル基などが挙げられ、好ましくは、C1~5アルキルアミノカルボニル基であり、より好ましくは、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、i-プロピルアミノカルボニル基、n-ブチルアミノカルボニル基、sec-ブチルアミノカルボニル基、t-ブチルアミノカルボニル基、イソブチルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、イソペンチルアミノカルボニル基、又は2,3-ジメチルプロピルアミノカルボニル基である。更に好ましくは、C1~3アルキルアミノカルボニル基であり、例えば、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n-プロピルアミノカルボニル基、及びi-プロピルアミノカルボニル基、であり、最も好ましくは、メチルアミノカルボニル基又はエチルアミノカルボニル基である。 [0025] 本明細書において、「C1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基」とは、(C1~6アルキル基)-O-C(=O)-(C1~6アルキレン)-NH-で表わされる基であり、当該基に含まれるC1~6アルキル基部分は、前記C1~6アルキル基の定義と同様である。また、当該基に含まれるC1~6アルキレン部分は、前記C1~6アルキル基から水素原子1個を除いた2価の基である。このような基としては、例えば、メトキシカルボニルメチレンアミノカルボニルメチレンアミノ基、エトキシカルボニルメチレンアミノ基、1-プロピルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-プロピルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-メチル-1-プロピルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-メチル-2-プロピルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2,2-ジメチル-1-プロピルオキシカルボニルメチレンアミノ基、1-ブチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-ブチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-メチル-1-ブチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、3-メチル-1-ブチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-メチル-2-ブチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、3-メチル-2-ブチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、1-ペンチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-ペンチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、3-ペンチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-メチル-1-ペンチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、3-メチル-1-ペンチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-メチル-2-ペンチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、3-メチル-2-ペンチルオキシカルボニルメチレンアミノ基、1-ヘキシルオキシカルボニルメチレンアミノ基、2-ヘキシルオキシカルボニルメチレンアミノ基、3-ヘキシルオキシカルボニルメチレンアミノ基、メトキシカルボニルエチレンアミノ基、エトキシカルボニルエチレンアミノ基、1-プロピルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-プロピルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-メチル-1-プロピルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-メチル-2-プロピルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2,2-ジメチル-1-プロピルオキシカルボニルエチレンアミノ基、1-ブチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-ブチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-メチル-1-ブチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、3-メチル-1-ブチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-メチル-2-ブチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、3-メチル-2-ブチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、1-ペンチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-ペンチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、3-ペンチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-メチル-1-ペンチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、3-メチル-1-ペンチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-メチル-2-ペンチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、3-メチル-2-ペンチルオキシカルボニルエチレンアミノ基、1-ヘキシルオキシカルボニルエチレンアミノ基、2-ヘキシルオキシカルボニルエチレンアミノ基、3-ヘキシルオキシカルボニルエチレンアミノ基、メトキシカルボニルプロピレンアミノ基、エトキシカルボニルプロピレンアミノ基、1-プロピルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-プロピルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-メチル-1-プロピルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-メチル-2-プロピルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2,2-ジメチル-1-プロピルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、1-ブチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-ブチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-メチル-1-ブチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、3-メチル-1-ブチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-メチル-2-ブチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、3-メチル-2-ブチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、1-ペンチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-ペンチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、3-ペンチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-メチル-1-ペンチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、3-メチル-1-ペンチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-メチル-2-ペンチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、3-メチル-2-ペンチルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、1-ヘキシルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、2-ヘキシルオキシカルボニルプロピレンアミノ基、3-ヘキシルオキシカルボニルプロピレンアミノ基などが挙げられる。C1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基として、好ましくはC1~5アルコキシカルボニルC1~5アルキルアミノ基であり、更に好ましくは、C1~4アルコキシカルボニルC1~3アルキルアミノ基である。 [0026] 本明細書において、オキソ基とは=Oで示される基である。「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を意味し、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子であり、より好ましくは、フッ素原子、又は塩素原子である。また、本明細書において、「ホルミル基」とは、-C(=O)-Hで表わされる基である。本明細書において、「カルボキシル基」とは、-C(=O)-OHで表わされる基のことである。また、「アミノカルボニル基」とは、NH2-C(=O)-基を示す。 [0027] 「薬理学的に許容される塩」とは、本発明の化合物が、無機又は有機の塩基又は酸と結合して形成した塩であって、医薬として体内に投与することが許容可能な塩のことである。このような塩は、例えば、Bergeら、J.Pharm.Sci.66:1-19(1977)等に記載されている。塩としては、例えば、カルボン酸基等の酸性基が存在する場合には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩;アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンの塩;又はリジン、δ-ヒドロキシリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩を形成することができる。塩基性基が存在する場合には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸の塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸塩、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩などを挙げることができる。なお、一般式(I)で表わされる化合物の水和物又は溶媒和物及び一般式(I)で表わされる化合物の薬理学的に許容される塩の水和物又は溶媒和物も本発明の化合物に包含される。また、本明細書において「一般式(I)で表わされる化合物」とは、それが明らかに適さない場合を除き、明示されていない場合にも、一般式(I)で表わされる化合物の薬理学的に許容される塩、水和物及び溶媒和物、並びに一般式(I)で表わされる化合物の薬理学的に許容される塩の水和物又は溶媒和物をも含む。 [0028] 本発明の化合物は不斉炭素を有することから、光学異性体が存在する。本発明の化合物としては、右旋性(+)又は左旋性(-)の何れの化合物であってもよいし、ラセミ体などのこれらの異性体の混合物であってもよい。また、本発明に一般式(1)で表される化合物は、特に断らない限り、いずれの互変異性体、又は幾何異性体(例えば、E体、Z体など)も含むものである。 [0029] 本発明の化合物は、上記化合物の他、これらの化合物の薬理上許容されるエステルを包含する。ここで、「薬理上許容されるエステル」は、生体内において代謝されて、本願発明の化合物を与える基を含む化合物であって、医薬として体内に投与することが許容可能なエステルのことである。本明細書において、エステルは、エステル結合した化合物の他、アミド結合した化合物を含む。エステルは、生体内のエステラーゼにより分解されて活性型の化合物を与えてもよい。例えば、エステルとしては、置換され又は置換されていない、低級アルキルエステル、低級アルケニルエステル、低級アルキルアミノ低級アルキルエステル、アシルアミノ低級アルキルエステル、アシルオキシ低級アルキルエステル、アリールエステル、アリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、水酸化アミドを挙げることができる。エステルとして、好ましくは、プロピオオン酸エステル又はアシルエステルである。 [0030] 本発明の式(I)で表わされる化合物は、以下の一般式で表わされる化合物を含む: [0031] [化8] [0032] [化9] [0033] [化10] [0034] [化11] [0035] [化12] [0036] [化13] [0037] 前記において、R13は、置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、R14及びR15は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、R16、R17、及び、R18は、同一又は異なって、水酸基、又はC1~6アルコキシカルボニル基を示す。 [0038] 本明細書の一般式(I)~(VII)で表わされる化合物(以下、「一般式(I)で表わされる化合物等」という)において、R1及びR4は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~6アルケニル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、又は、置換されていてもよいC2~7アルカノイルオキシ基を示す。ここで、R1及びR4として好ましくは、以下の基である: (1-1)R1及びR4が、同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~6アルケニル基、又は、置換されていてもよいC6~10アリール基である; (1-2)R1及びR4が、同一又は異なって、同一又は異なって、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、又は、置換されていてもよいC6~10アリール基である (1-3)R1及びR4が、同一又は異なって、水素原子、水酸基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基である; (1-4)R1及びR4が、同一又は異なって、水素原子又は水酸基である; (1-5)R1及びR4が、同一又は異なって、水素原子、又は置換されていてもよいC1~6アルキル基である; (1-6)R1及びR4が、同一又は異なって、水素原子、又はC1~6アルキル基である;あるいは、 (1-7)R1及びR4が、共に水素原子である。 [0039] 本明細書の一般式(I)で表わされる化合物等において、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、C6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示すか、あるいは、R2及びR3のいずれか一方は、以下の一般式で表わされる基(式中、環A、R1、R2及びR4で表わされる基の定義は、それぞれ、一般式(I)における環A、R1、R2及びR4の定義と同様である): [化14] を示し、もう一方は水素原子、カルボキシル基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、C6~10アリール基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示すか、あるいは、R2とR3が一緒になって、それらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はテトラヒドロフランを構成する(該テトラヒドロフランは、置換されていてもよい3環性縮合複素環とスピロ結合していてもよい)。ここで、R2及びR3として、好ましくは、以下の基である: (2-1)R2及びR3のうちどちらか一方は、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、又は、置換されていてもよいC6~10アリール基を示し、残りの一方は、カルボキシル基、C1~6アルキル基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す; (2-2)R2及びR3のうちどちらか一方は、水素原子、水酸基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、残りの一方は、カルボキシル基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す; (2-3)R2が、水素原子、水酸基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、かつ、R3が、カルボキシル基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す; (2-4)R2が、水素原子、又は、水酸基を示し、かつ、R3が、カルボキシル基、又は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す; (2-5)R2及びR3のうちどちらか一方は、水素原子、水酸基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、又は、置換されていてもよいC6~10アリール基を示し、残りの一方は、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す(ただし、-C(=R9)-R10で表わされる基は、カルボキシル基、メチルカルボニル基、及びメトキシカルボニル基ではない); (2-6)R2及びR3のうちどちらか一方は、水素原子、水酸基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基を示し、残りの一方は、-C(=R9)-R10で表わされる基(ただし、-C(=R9)-R10で表わされる基は、カルボキシル基、メチルカルボニル基、及びメトキシカルボニル基ではない)を示す; (2-7)R2が、水素原子、又はC1~6アルキル基を示し、かつ、R3が、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す(ただし、-C(=R9)-R10で表わされる基は、カルボキシル基、メチルカルボニル基、及びメトキシカルボニル基ではない); (2-8)R2が、水素原子を示し、かつ、R3が、-C(=R9)-R10で表わされる基を示す(ただし、-C(=R9)-R10で表わされる基は、カルボキシル基、メチルカルボニル基、及びメトキシカルボニル基ではない);あるいは、 (2-9)R2が、水素原子を示し、かつ、R3が、ホルミル基、2-カルボキシエチルアミノカルボニル基、t-ブトキシカルボニルメチルアミノカルボニル基、メトキシカルボニル基、(2-プロペニルオキシ)イミノメチル基、1-(t-ブトキシカルボニル)-2-(t-ブトキシ)エチルアミノカルボニル基、1-カルボニル-2-ヒドロキシエチルアミノカルボニル基、又は1-(t-ブトキシカルボニル)-2-フェニルエチルアミノカルボニル基を示す。 [0040] 本明細書の一般式(I)で表わされる化合物等において、R9は、酸素原子、硫黄原子、=N-R11基(ここで、R11は、水酸基、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す)、又は、=CH-R12基(ここで、R12は、ホルミル基、カルボキシル基、C1~6アルキル基、C6~10アリール基、C1~6アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、又は、C1~6アルキルアミノカルボニル基を示す。ここで、R9として、好ましくは、以下の基である: (3-1)酸素原子、=N-R11基(ここで、R11は、水酸基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す)、又は、=CH-R12基(ここで、R12は、ホルミル基、カルボキシル基、C1~6アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、又は、C1~6アルキルアミノカルボニル基を示す); (3-2)酸素原子、又は、=N-R11基(ここで、R11は、水酸基、C1~6アルコキシ基、C2~6アルケニルオキシ基、C6~10アリールオキシ基を示す); (3-3)酸素原子、又は、=N-R11基(ここで、R11は、水酸基、C1~4アルコキシ基、又は、C2~4アルケニルオキシ基を示す); (3-4)酸素原子、又は、=N-R11基(ここで、R11は、C2~4アルケニルオキシ基を示す);あるいは、 (3-5)酸素原子。 [0041] 本明細書の一般式(I)で表わされる化合物等において、R10は、水素原子、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC6~10アリール基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC6~C10アリールオキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基を示す。ここで、R10として、好ましくは、以下の基である: (4-1)水素原子、アミノ基、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキルアミノ基、又はC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基; (4-2)水素原子、C1~6アルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルキルアミノ基、又はC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基; (4-3)水素原子、C1~4アルキル基、C1~4アルコキシ基、C1~4アルキルアミノ基、又はC1~4アルコキシカルボニルC1~4アルキルアミノ基; (4-4)水素原子、C1~4アルキル基、又は、C1~4アルコキシ基; (4-5)水素原子、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基; (4-6)水素原子、1~3個の置換基で置換されていてもよいC1~6アルキル基、1~3個の置換基で置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、1~3個の置換基で置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は1~3個の置換基で置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基; (4-7)水素原子、1~3個の置換基で置換されていてもよいC1~4アルキル基、1~3個の置換基で置換されていてもよいC1~4アルコキシ基、1~3個の置換基で置換されていてもよいC1~4アルキルアミノ基、又は1~3個の置換基で置換されていてもよいC1~4アルコキシカルボニルC1~4アルキルアミノ基; (4-8)水素原子、1~2個の置換基で置換されていてもよいC1~6アルキルアミノ基、又は1~2個の置換基で置換されていてもよいC1~6アルコキシカルボニルC1~6アルキルアミノ基; (4-9)水素原子、1~2個の置換基で置換されていてもよいC1~4アルキルアミノ基、又は1~2個の置換基で置換されていてもよいC1~4アルコキシカルボニルC1~4アルキルアミノ基(ここで、置換基は、水酸基、カルボキシル基、C1~6アルコキシ基、C6~10アリール基から選択される)。 (4-10)水素原子、1~2個の置換基で置換されていてもよいC1~4アルキルアミノ基、又1~2個の置換基で置換されていてもよいC1~4アルコキシカルボニルC1~4アルキルアミノ基(ここで、置換基は、カルボキシル基、C1~6アルコキシ基、C6アリール基から選択される)。 [0042] よって、本発明の一般式(I)であらわされる化合物としては、Rで表わされる基が、前記(1-1)~(1-7)、(2-1)~(2-8)、(3-1)~(3-5)、及び(4-1)~(4-10)からそれぞれ選択された基の組合せ、あるいは、(1-1)~(1-4)、(2-1)~(2-4)、(3-1)~(3-4)、及び(4-1)~(4-4)からそれぞれ選択された基の組合せであることが好ましい。より好ましいRの組合せとしては、以下の組合せを挙げることができる:(1-2)、(2-2)、(3-2)、及び(4-2);(1-4)、(2-3)、(3-3)、及び(4-3);(1-3)、(2-4)、(3-3)、及び(4-3);(1-3)、(2-3)、(3-4)、及び(4-3);(1-3)、(2-3)、(3-3)、及び(4-4);(1-3)、(2-3)、(3-3)、及び(4-3);(1-4)、(2-4)、(3-4)、及び(4-4)。 [0043] 一態様において、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、下記一般式(II)で表わされる化合物である。 [0044] [化15] [0045] 一般式(II)において、R1~R4は、前記の一般式(I)において定義したとおりであり、 R5及びR8は、同一又は異なって、水酸基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、置換されていてもよいC2~40アルケニルオキシ基、又は、C2~7アルカノイルオキシ基を示し、 R6及びR7は、水素原子、水酸基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~40アルケニル基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基を示し、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシカルボニル基。 [0046] ここで、R5及びR8として好ましくは、R5及びR8が同一又は異なって、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、又は、C2~7アルカノイルオキシ基であり、より好ましくは、置換されていてもよいC1~4アルコキシ基であり、更に好ましくは、C1~3アルコキシ基(より好ましくは、R5及びR8が共にC1~3アルコキシ基)である。 [0047] また、R6及びR7として好ましくは、R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基であり、より好ましくは、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、置換されていてもよいC1~4アルキル基であり、更に好ましくは、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、C1~3アルキル基である。 [0048] 一般式(II)で表わされる化合物として、好ましくは、以下の化合物である: (II-1)R1及びR4が、前記(1-1)であり、 R2及びR3が、前記(2-1)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、又は、C2~7アルカノイルオキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (II-2)R1及びR4が、前記(1-2)であり、 R2及びR3が、前記(2-2)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、水酸基、アミノ基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基、又は、C2~7アルカノイルオキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (II-3)R1及びR4が、前記(1-3)であり、 R2及びR3が、前記(2-3)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~4アルコキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、C1~3アルキル基である化合物; (II-4)R1及びR4が、前記(1-4)であり、 R2及びR3が、前記(2-4)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、C1~3アルコキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、C1~3アルキル基である化合物; (II-5)R1及びR4が、前記(1-5)であり、 R2及びR3が、前記(2-5)であり、 R9が、前記(3-4)であり、R10が、前記(4-5)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、C1~6アルコキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、C1~6アルキル基である化合物; (II-6)R1及びR4が、前記(1-6)であり、 R2及びR3が、前記(2-8)であり、 R9が、前記(3-4)であり、R10が、前記(4-6)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、C1~3アルコキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、又は、C1~6アルキル基である化合物; (II-7)R1及びR4が、前記(1-7)であり、 R2及びR3が、前記(2-9)であり、 R9が、前記(3-5)であり、R10が、前記(4-10)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、C1~3アルコキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、又は、C1~3アルキル基である化合物。 [0049] 一態様において、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、下記一般式(III)で表わされる化合物である。 [0050] [化16] [0051] 一般式(III)において、R1~R4は、前記の一般式(I)において定義したとおりであり、 R6及びR7は、水素原子、水酸基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、置換されていてもよいC1~6アルキル基、置換されていてもよいC2~40アルケニル基、置換されていてもよいC1~6アルコキシ基を示し、 ここで、前記において、置換されていてもよい場合の置換基は、以下から選択される基である:水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン原子、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、C2~7アルカノイル基、C1~6アルコキシカルボニル基。 [0052] 一般式(III)で表わされる化合物として、好ましくは、以下の化合物である: (III-1)R1及びR4が、前記(1-1)であり、 R2及びR3が、前記(2-1)であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (III-2)R1及びR4が、前記(1-2)であり、 R2及びR3が、前記(2-2)であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (III-3)R1及びR4が、前記(1-3)であり、 R2及びR3が、前記(2-3)であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、C1~3アルキル基である化合物; (III-4)R1及びR4が、前記(1-4)であり、 R2及びR3が、前記(2-4)であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、C1~3アルキル基である化合物; (III-5)R1及びR4が、前記(1-5)であり、 R2及びR3が、前記(2-5)であり、 R9が、前記(3-4)であり、R10が、前記(4-5)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、C1~6アルコキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアミノ基、又は、C1~6アルキル基である化合物; (III-6)R1及びR4が、前記(1-6)であり、 R2及びR3が、前記(2-8)であり、 R9が、前記(3-4)であり、R10が、前記(4-6)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、C1~3アルコキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、又は、C1~6アルキル基である化合物; (III-7)R1及びR4が、前記(1-7)であり、 R2及びR3が、前記(2-9)であり、 R9が、前記(3-5)であり、R10が、前記(4-10)であり、 R5及びR8が、同一又は異なって、C1~3アルコキシ基であり、かつ、 R6及びR7が、同一又は異なって、水素原子、又は、C1~3アルキル基である化合物。 [0053] 別の態様において、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、下記一般式(IV)又は(V)で表わされる化合物である。 [0054] [化17] [0055] [化18] [0056] 一般式(IV)又は(V)で表わされる化合物のうち、特に好ましくは、次の一般式(IV’)又は(V’)で表わされる化合物である。 [0057] [化19] [0058] [化20] [0059] 前記の一般式(IV)又は一般式(V)で表わされる化合物(以下、不整合となる場合を除き、一般式(IV’)又は一般式(V’)で表わされる化合物を含む)において、R1~R4は、前記の一般式(I)において定義したとおりであり、R13は、置換されていてもよいC1~6アルキル基を示す。R13として、好ましくは、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~6アルキル基であり、より好ましくは、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~4アルキル基である。 [0060] 一般式(IV)又は(V)で表わされる化合物として、好ましくは、以下の化合物である: (IV-1)R1及びR4が、前記(1-1)であり、 R2及びR3が、前記(2-1)であり、かつ、 R13が、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (IV-2)R1及びR4が、前記(1-2)であり、 R2及びR3が、前記(2-2)であり、かつ、 R13が、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (IV-3)R1及びR4が、前記(1-3)であり、 R2及びR3が、前記(2-3)であり、かつ、 R13が、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (IV-4)R1及びR4が、前記(1-4)であり、 R2及びR3が、前記(2-4)であり、かつ、 R13が、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~4アルキル基である化合物。 [0061] 更に別の態様において、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、下記一般式(VI)で表わされる化合物である。 [0062] [化21] [0063] 一般式(VI)で表わされる化合物のうち、特に好ましくは、次の一般式(VI’)で表わされる化合物である。 [0064] [化22] [0065] 前記の一般式(VI)で表わされる化合物(以下、不整合となる場合を除き、一般式(VI’)で表わされる化合物を含む)において、R1~R4は、前記の一般式(I)において定義したとおりであり、R14及びR15は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~6アルキル基を示す。R14として、好ましくは、C1~6アルキル基であり、より好ましくは、C1~4アルキル基であり、更に好ましくはC1~3アルキル基である。R15として、好ましくは、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~6アルキル基であり、より好ましくは、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~4アルキル基(例えば、カルボキシル基で置換されたC1~4アルキル基)であり、更に好ましくは、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~3アルキル基(例えば、カルボキシル基で置換されたC1~3アルキル基)である。 [0066] 一般式(VI)で表わされる化合物として、好ましくは、以下の化合物である: (IV-1)R1及びR4が、前記(1-1)であり、 R2及びR3が、前記(2-1)であり、 R14が、C1~6アルキル基であり、かつ、 R15が、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (IV-2)R1及びR4が、前記(1-2)であり、 R2及びR3が、前記(2-2)であり、 R14が、C1~6アルキル基であり、かつ、 R15が、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~6アルキル基である化合物; (IV-3)R1及びR4が、前記(1-3)であり、 R2及びR3が、前記(2-3)であり、 R14が、C1~4アルキル基であり、かつ、 R15が、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~4アルキル基である化合物; (IV-4)R1及びR4が、前記(1-4)であり、 R2及びR3が、前記(2-4)であり、 R14が、C1~3アルキル基であり、かつ、 R15が、カルボキシル基で置換されていてもよいC1~3アルキル基である化合物。 [0067] [化23] [0068] 一般式(VII)で表わされる化合物のうち、特に好ましくは、次の一般式(VII’)で表わされる化合物である。 [0069] [化24] [0070] 前記の一般式(VII)で表わされる化合物(以下、不整合となる場合を除き、一般式(VII’)で表わされる化合物を含む)において、R1~R4は、前記の一般式(I)において定義したとおりであり、R16、R17、及び、R18は、同一又は異なって、水酸基、又はC1~6アルコキシカルボニル基を示す。R16、R17、及び、R18として好ましくは、R16が水酸基であり、R17が水酸基であり、かつ、R18がC1~6アルコキシカルボニル基である。より好ましくは、R16が水酸基であり、R17が水酸基であり、かつ、R18がC1~4アルコキシカルボニル基であり、更に好ましくは、R16が水酸基であり、R17が水酸基であり、かつ、R18がC1~3アルコキシカルボニル基である。 [0071] 一般式(VII)で表わされる化合物として、好ましくは、以下の化合物である: (IV-1)R1及びR4が、前記(1-1)であり、 R2及びR3が、前記(2-1)であり、 R16が水酸基であり、 R17が水酸基であり、かつ、 R18がC1~6アルコキシカルボニル基である化合物; (IV-2)R1及びR4が、前記(1-2)であり、 R2及びR3が、前記(2-2)であり、 R16が水酸基であり、 R17が水酸基であり、かつ、 R18がC1~6アルコキシカルボニル基である化合物; (IV-3)R1及びR4が、前記(1-3)であり、 R2及びR3が、前記(2-3)であり、 R16が水酸基であり、 R17が水酸基であり、かつ、 R18がC1~4アルコキシカルボニル基である化合物; (IV-4)R1及びR4が、前記(1-4)であり、 R2及びR3が、前記(2-4)であり、 R16が水酸基であり、 R17が水酸基であり、かつ、 R18がC1~3アルコキシカルボニル基である化合物。 [0072] 本発明の化合物として、好ましい態様は、一般式(II)において、R1~R8が以下の基である化合物である。 [0073] [表1] [0074] [表2] [0075] [表3] [0076] [表4] [0077] [表5] [0078] [表6] [0079] [表7] [0080] [表8] [0081] [表9] [0082] 更に本発明の化合物として、好ましい態様は、一般式(III)において、R1~R4、R6及びR7が以下の基である化合物である。 [0083] [表10] [0084] [表11] [0085] [表12] [0086] [表13] [0087] [表14] [0088] [表15] [0089] [表16] [0090] [表17] [0091] [表18] [0092] [表19] [0093] [表20] [0094] [表21] [0095] [表22] [0096] [表23] [0097] [表24] [0098] [表25] [0099] [表26] [0100] [表27] [0101] [表28] [0102] [表29] [0103] [表30] [0104] [表31] [0105] [表32] [0106] [表33] [0107] 本明細書において、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤とは、ピルビン酸デヒドロゲナーゼの阻害を目的として使用される剤であれば特に限定されない。好ましくは、本発明の、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤は医薬組成物として提供されるものである。例えば、本発明のピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼを阻害することを目的として、又は作用機序として対象に投与することを目的とする医薬組成物であってもよい。そのような医薬組成物は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼが発症又は増悪化に関係し又は寄与する疾患又は障害の治療又は予防用とすることができる。よって、別の言い方によれば、本発明のピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼが発症又は増悪化に関係し又は寄与する疾患又は障害を治療又は予防するための医薬組成物であってもよい。ピルビン酸デヒドロゲナーゼが発症又は増悪化に関係し又は寄与する疾患又は障害としては、例えば、インフルエンザ感染後の重症化、食欲不振、ミトコンドリア病、ATP酸性の低下を伴う疾患又は障害、糖尿病、又は癌を挙げることができる。本明細書において「インフルエンザ重症化」とは、インフルエンザ感染とは区別して用いられる。よって、インフルエンザ重症化とは、インフルエンザウイルスによる感染そのものは含まず、インフルエンザウイルスの感染によって、2次的に引き起こされる症状、障害、又は疾病を意味する。このような、インフルエンザウイルスの感染によって2次的に引き起こされる症状、障害、又は疾病としては、例えば、多臓器不全(MOF:Multiple organ failure)やインフルエンザ脳症(IAE:Influenza-associated encephalopathy)、体重減少、及び食欲不振を挙げることができる。よって、本明細書におけるインフルエンザ重症化の治療又は予防は、インフルエンザウイルスの感染に伴う多臓器不全(MOF:Multiple organ failure)、インフルエンザ脳症(IAE:Influenza-associated encephalopathy)、体重減少、及び/又は食欲不振の治療又は予防を含む。ここで、ミトコンドリア病とは、ミトコンドリアATP合成酵素群に変異を有することに基づく疾患又は障害のことであり、例えば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、MELAS等を含む。また、ATP酸性の低下を伴う疾患又は障害としては、例えば、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの変異に基づく疾患又は障害を挙げることができる。 [0108] また、本発明は、一般式(I)で表わされる化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。医薬組成物の種類は特に限定されず、剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。また、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水或いはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。経口投与用又は非経口投与用の任意の製剤形態で提供される。例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又は液剤等の形態の経口投与用医薬組成物、静脈内投与用、筋肉内投与用、若しくは皮下投与用などの注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤などの形態の非経口投与用医薬組成物として調製することができる。注射剤や点滴剤などは、凍結乾燥形態などの粉末状の剤形として調製し、用時に生理食塩水などの適宜の水性媒体に溶解して用いることもできる。 発明の効果 [0109] 本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、新規な酵素阻害活性と動物モデルでの薬効を示すことから、ピルビン酸デヒドロゲナーゼが発症又は増悪化に関係し又は寄与する疾患又は障害の治療又は予防において有用である。具体的には、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、PDK4をnMオーダーで阻害する初めての化合物であり、in vivoにおいても既存薬であるジクロロ酢酸と比べて100倍以上低い投与量で強い効果を示すことから、ピルビン酸デヒドロゲナーゼが発症又は増悪化に関係し又は寄与する疾患又は障害に対するより有効な治療薬又は予防薬を提供することができる。また、インフルエンザ感染マウスモデルに本発明の一般式(I)で表わされる化合物を投与した場合には、マウスを体重減少さらに死亡から守る作用が確認されたことから、本発明の化合物はインフルエンザ感染後の重症化の予防及び治療に有効である。特に、本発明の一般式(I)で表わされる化合物が投与されたインフルエンザ感染マウスモデルは、摂食、摂水が非感染マウスに近いレベルまで回復するとともに生化学的な解析からATPレベルなどが改善することが観察されたことから、ATPレベルの低下に依存する疾患又は障害の治療又は予防に有効である。本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、インフルエンザ感染による重症化防止に加え、PDK4を阻害することにより期待される疾患での効果が認められており、このような疾患の治療又は予防に有効である。また、本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、ミトコンドリア機能の活性化に伴う細胞の代謝改善により、化粧品としての効果が認められており、化粧品としても有用である。 図面の簡単な説明 [0110] [図1] インフルエンザ感染マウスモデルでの本発明の化合物の効果を示したグラフである。図中、縦軸は生存率(%)を示し、横軸はインフルエンザ感染後の経過日数(日)を示す。 発明を実施するための形態 [0111] 本発明の化合物は、以下の方法により合成することができる。 [0112] [化25] [0113] N2雰囲気下、カリウムt-ブトキシドを溶解したt-ブタノールの加熱溶液に出発物質であるアルデヒド1とCH3COCH(R3)CH2COOCH3のt-ブタノール溶液を加え、加熱還流下で反応させる。出発物質1が総て消費された後、反応溶液を冷却し、減圧下で過剰の溶媒を留去する。得られた残渣に2M塩酸を加え酸性溶液にした後、ジエチルエーテルで抽出する。エーテル抽出液に2M水酸化ナトリウム水溶液を加え、生成物を水層に転溶させた後、その水溶液に4M塩酸を加え、再び酸性溶液とする。その水溶液をジエチルエーテルで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで化合物2を得ることができる。 [0114] 室温で化合物2を溶解したメタノール溶液に5%パラジウム/炭素を加えた後、水素ガスを雰囲気下で反応させる。反応終了後、反応液をセライトろ過することでパラジウム試薬を取り除き、濾液を濃縮する。得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー精製することで化合物3を得ることができる。 [0115] 室温で化合物3をポリリン酸に溶解し、80℃に加熱し撹拌する。反応終了後、反応混合物を室温に冷却し、その溶液を激しく撹拌している冷水に注ぎ過剰のポリリン酸を分解する。得られた水溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことでintermediate(IM)Aを得ることができる。 [0116] 室温でintermediate(IM)Aをトリエチルシランに溶解し、その溶液にトリフルオロ酢酸を加え反応させる。反応終了後、トリエチルシランとトリフルオロ酢酸を減圧下、留去し、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー精製することで化合物4を得ることができる。 [0117] N2雰囲気下、室温で化合物4を溶解したベンゼン溶液に、2,3-ジクロロー5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノンを加え、80℃に加熱、撹拌して反応させる。反応終了後、室温に冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応を停止する。得られた溶液を分離し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで化合物5を得ることができる。 [0118] 室温で化合物5をTHF・H2Oに溶解し、1M 水酸化ナトリウム水溶液を加え撹拌する。反応終了後、反応混合物を室温に1M塩酸を加え混合溶液を酸性にする。得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで化合物5のカルボン酸体6を得ることができる。 [0119] 室温で化合物5もしくは化合物6のアセトニトリル溶液に硝酸セリウムアンモニウム水溶液を加え撹拌する。反応終了後、反応混合物を室温に水を加え希釈し、得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで1,4-ナフトキノン化合物(IIIa)を得ることができる。 [0120] N2雰囲気下、-10℃でリチウムジイソプロピルアミンのテトラヒドロフラン溶液にintermediate(IM)Aのテトラヒドロフラン溶液ゆっくり加え、10分撹拌後、その溶液にヨウ素を加え、更に撹拌する。反応終了後、反応混合物にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え過剰のヨウ素を還元する。得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことでナフトール誘導体(II)(R4=OH)を得ることができる。 [0121] 更に本化合物はピリジン溶媒中、室温で酸無水物(RCO)2を加え撹拌し、反応終了後、反応混合物を室温に水を加え希釈し、得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことでアシルオキシ誘導体(II)(R4=OCOR)を得ることができる。 [0122] 室温でアシル誘導体(II)(R4=OCOR)のアセトニトリル溶液に硝酸セリウムアンモニウム水溶液を加え撹拌する。反応終了後、反応混合物を室温に水を加え希釈し、得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで1,4-ナフトキノンアシルオキシ誘導体(III)(R4=OCOR)を得ることができる。 [0123] 更に本化合物はメタノール溶媒中、室温で炭酸水素ナトリウム水溶液を加え撹拌し、反応終了後、反応混合物を室温に水を加え希釈し、得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで1,4-ナフトキノン誘導体(III)(R4=OH)を得ることができる。 [0124] また、本発明の化合物は、以下の方法によって合成することもできる。 [0125] [化26] [0126] N2雰囲気下、0℃で化合物8のジクロロメタン溶液に塩化アルミニウムを加える。10分撹拌後、その溶液に脂肪酸塩化物(R10COCl)を滴下し、室温に昇温後、更に撹拌する。反応終了後、反応混合物に水を加え、得られた混合溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことでナ化合物9を得ることができる。 [0127] O2雰囲気下、室温で化合物9のジメチルホルムアミド溶液に粉末状の水酸化カリウムを加え、68℃に加熱し撹拌する。反応終了後、反応液を冷水に注ぎ希釈後、その水溶液をエーテルで洗浄し、4M塩酸を加え酸性溶液とした後、クロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで化合物(IIb)(R9=O、R10=OH)を得ることができる。 [0128] 更に化合物(IIb)(R9=O、R10=OH)を0℃でベンゼン・メタノールに溶解し、トリメチルシリルジアゾメタンを加え撹拌後、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことでエステル誘導体(IIb)(R9=O、R10=OMe)を得ることができる。 更にN2雰囲気下、室温で化合物(IIb)(R9=O、R10=OH)をジクロロメタンに溶解し、第一級もしくは第二級アミン化合物(R(R‘)NH)、ジイソプロピルエチルアミン、ヘキサフルオロリン酸(ベンゼントリアゾール-1-イルオキシ)トリピリジノホスホニウム(PyBOP)を加え、撹拌後、10%メタノール水溶液で反応を停止させ、混合溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことでアミド化合物(IIb)(R9=O、R10=NR(R’))を得ることができる。 [0129] N2雰囲気下、-78℃でエステル化合物(IIb)(R9=O、R10=OMe)をテトラヒドロフランの溶液に、ジイソブチルアルミニウムヒドリドを滴下し撹拌する。反応終了後、水を加え過剰の試薬を不活化し、室温に昇温後、飽和ロッシェル塩溶液を加え更に撹拌する。その混合溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことでアルコール化合物(II)(R3=CH2OH)を得ることができる。 更にN2雰囲気下、室温でアルコール化合物(II)(R3=CH2OH)をジクロロメタンに溶解し、活性二酸化マンガン粉末を加え、撹拌後、ろ過、濃縮することでアルデヒド化合物(II)(R3=CHO)を得ることができる。 [0130] 室温で化合物(II)のアセトニトリル溶液に硝酸セリウムアンモニウム水溶液を加え撹拌する。反応終了後、反応混合物を室温に水を加え希釈し、得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで1,4-ナフトキノン誘導体(III)を得ることができる。 更に室温で1,4-ナフトキノンアルデヒド誘導体(III)(R3=CHO)のジクロロメタン溶液にO-置換ヒドロキリシルアミンを加え撹拌する。反応終了後、溶液に水を加え、生じた混合液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことでオキシム誘導体(III)(R3=CHN-O-R)を得ることができる。 [0131] N2雰囲気下、化合物IIbのアセトニトリル溶液に硝酸セリウムアンモニウム水溶液を加え撹拌する。反応終了後、反応混合物を室温に水を加え希釈し、得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで1,4-ナフトキノン誘導体(IIIb)を得ることができる。 [0132] 室温で化合物9のアセトニトリル溶液に硝酸セリウムアンモニウム水溶液を加え撹拌する。反応終了後、反応混合物を室温に水を加え希釈し、得られた溶液をクロロホルムで抽出し、乾燥、濃縮、フラッシュクロマトグラフィー精製を行うことで1,4-ナフトキノン誘導体(IIIc)を得ることができる。 [0133] 本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、PDK、特にPDK4に対する阻害活性を有することから、PDK阻害剤(例えば、PDK4阻害剤)、PDK(特には、PDK4)が発症又は増悪化に関係する疾患又は障害の治療又は予防のための医薬組成物、あるいは、化粧品組成物として使用することができる。PDK(特には、PDK4)が発症又は増悪化に関係する疾患又は障害とは、PDK(特には、PDK4)の発現が亢進し、あるいは活性が高まることにより発症し又は増悪化する疾患又は障害のことであり、例えば、インフルエンザ感染後の重症化、食欲不振、ミトコンドリア病、又は、ATP産生の低下を伴う疾患又は障害、糖尿病、及び、癌を含む。インフルエンザ感染後の重症化とは、インフルエンザ感染に起因して生じる疾患、障害、又は症状のことであり、多臓器不全(Multiple organ failure:MOF)、インフルエンザ脳症(Influenza-associated encephalopathy:IAE)を含む。本発明者らの研究結果から、インフルエンザ感染が急性のサイトカイン産生を上昇させ、発熱を引き起こすと、PDK4の発現が誘導され、誘導されたPDK4がPDHをリン酸化し、PDHの活性が低下することにより、急性のミトコンドリア機能の低下によるATPの枯渇が起き、急性重症化、多臓器不全や脳症を引き起こすことが確認された。よって、本発明におけるインフルエンザ感染後の重症化とは、このようなメカニズムによってインフルエンザの感染及びPDK4の発現誘導がきっかけとなって生じるあらゆる疾患、障害、又は症状を含むものである。また、このような本発明者らの発見によって、PDK4がPDHをリン酸化し、PDHの活性が低下することにより、急性のミトコンドリア機能の低下によるATPの枯渇を生じさせることが明らかとなったことから、本発明のPDK4阻害剤は、ミトコンドリア機能の低下に基づく疾患又は症状、又はATPの減少に基づく疾患又は症状の治療薬又は予防薬として用いることができる。具体的には、本発明のPDK4阻害剤は、ミトコンドリア病、又は、ATP産生の低下を伴う疾患又は障害の治療薬又は予防薬とすることができる。ここで、ミトコンドリア病とは、ミトコンドリアATP合成酵素群に変異を有することに基づく疾患、障害又は症状のことであり、例えば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、MELAS等を含む。また、ATP酸性の低下を伴う疾患又は障害としては、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの変異に基づく疾患、障害、又は症状を挙げることができる。 [0134] よって、別の態様において本発明は、上記一般式(I)で表わされる化合物の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、PDK(特には、PDK4)が発症又は増悪化に関係する疾患又は障害の治療方法又は予防方法に関する。あるいは、本発明は、PDK(特には、PDK4)が発症又は増悪化に関係する疾患又は障害の治療又は予防に使用するための上記一般式(I)で表わされる化合物に関する。 [0135] 本発明の医薬組成物は、通常の薬学的に許容される担体を用いて、常法により製剤化することができる。経口用固形製剤を調製する場合は、主薬に賦形剤、更に必要に応じて、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えた後、常法により溶剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等とする。注射剤を調製する場合には、主薬に必要によりpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤等を添加し、常法により皮下又は静脈内用注射剤とすることができる。 [0136] 本発明の医薬組成物は、経口投与形態、又は注射剤、点滴剤等の非経口投与形態で用いることができる。本化合物を哺乳動物等に投与する場合、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等として経口投与してもよいし、又は、注射剤、点滴剤として非経口的に投与してもよい。投与量は症状の程度、年齢、体重、性別、投与ルート、投与形態、薬剤への反応性、疾患の種類等により適宜設定することができ、例えば、通常成人1日当たり50~500mgを1日1~数回に分けて投与する。 実施例 [0137] 以下に製造例、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。 [0138] (製造例1)3-カルボメトキシ-4-(2,5-ジメトキシ-3-メチルフェニル)-3-ブテン酸 [0139] [化27] [0140] t-BuOK(2.90mg、25.8mmol)のt-BuOH溶液(36.7mL)に、還流させながらN2下で出発材料02(3.87mg、21.5mmol)およびコハク酸ジメチル(3.1mL、23.7mmol)のt-BuOH溶液(35mL)を滴下添加し、次いで、反応混合物を撹拌しながら加熱還流させた。40分後、混合物を室温で冷却した。t-BuOHの大部分を減圧下で除去し、次いで、このように得られた懸濁液を2NのHCl水溶液(30mL)の添加によって酸性化し、Et2O(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層を2NのNaOH水溶液(40mL×5)で抽出し、合わせた水溶液を4NのHCl水溶液(150mL)の添加によって酸性化した。次いで、酸溶液をEt2O(100mL×3)で抽出し、Na2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3/MeOH=40/1)によって、表題化合物(4.69g、74%収率)を無色の油として得た。 [0141] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.28(s,3H),3.54(s,2H),3.62(s,3H),3.76(s,3H),3.86(s,3H),6.67(d,J=2.8Hz,1H),6.75(d,J=2.8Hz,1H),7.98(s,1H) HRMS(FAB)m/z [M+H]+(294.1103 calcd forC15H18O6) [0142] (製造例2)3-カルボメトキシ-4-(2,5-ジメトキシ-3-メチルフェニル)ブテン酸 [0143] [化28] [0144] ブテン酸(436mg、1.48mmol)のMeOH溶液(15mL)に、室温で0.5%Pd/C(218mg)を添加した。混合物を、H2下で室温にて撹拌した。1時間撹拌した後、溶液をセライト(登録商標)で濾過してPd/Cを除去し、濾液を濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3/MeOH=40/1)によって、表題化合物(420mg、96%収率)を無色の油として得た。 [0145] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.61(s,3H),2.45(dd,J=4.6,17.2Hz,1H),2.69(dd,J=9.2,17.2Hz,1H),2.77(dd,J=8.9,13.8Hz,1H),3.02(dd,J=5.8,13.8Hz,1H),3.16(m,1H),3.66(s,3H),3.68(s,3H),3.73(s,3H),6.48(d,J=2.9Hz,1H),6.60(d,J=2.9Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm) [0146] (製造例3)3-カルボメトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-5,8-ジメトキシ-6-メチル-1-オキソ-ナフタレン(IM01)および3-カルボキシル-3,4-ジヒドロ-2H-5,8-ジメトキシ-6-メチル-1-オキソ-ナフタレン(IM02) [0147] [化29] [0148] 半エステルブタン酸(1.81g、6.11mmol)をポリリン酸(30.5mL)に溶解し、80℃で40分間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、激しく撹拌しながら氷冷水(50mL)中に注ぐことによってクエンチした。混合物をCHCl3(50mL×3)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;エチルヘキサン/アセテート=40/1)によって、それぞれIM01(1.43g、84%収率)およびIM02(132mg、8.2%収率)を両方とも無色の固体として得た。 [0149] (IM01) 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.34(s,3H),2.77(dd,J=10.9,17.2Hz,1H),2.85(ddd,J=1.7,4.6,17.2Hz,1H),2.97(dd,J=10.3,16.0,1H),3.04(m,1H),3.36(ddd,J=1.7,3.5,16.0Hz,1H),3.69(s,3H),3.71(s,3H),3.86(s,3H),6.67(s,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):17.2,26.5,39.5,42.3,52.3,56.3,60.4,112.8,120.2,136.7,138.9,149.1,156.7,173.9,194.7 HRMS(FAB)m/z [M+H]+ calcd forC15H18O5 278.1154 ; [0150] (IM02) 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.34(d,J=5.2Hz,3H),2.80(m,1H),2.87(m,1H),3.02(m,1H),3.10(m,1H),3.40(m,1H),3.71(s,3H),3.87(s,3H),6.68(d,J=5.2Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm) [0151] (製造例4)2-カルボメトキシ-5,8-ジメトキシ-7-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(IM03) [0152] [化30] [0153] IM01(1.40g、5.03mmol)のトリエチルシラン溶液(2.5mL)に、室温でTFA(7.6mL)を添加した。反応混合物を5分間撹拌し、次いで、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3/MeOH=100/1)によって精製し、IM03(1.32g、99%収率)を無色の固体として得た。 [0154] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.75(ddd,J=5.7,11.5,24.1Hz,1H),2.22(m,1H),2.30(s,3H),2.55(ddd,J=6.3,11.5,17.5Hz,1H),2.65(m,1H),2.81(dd,J=10.9,16.1Hz,1H),2.89(ddd,J=3.2,5.7,17.5Hz,1H),3.17(dd,J=4.0,16.1Hz,1H),3.70(s,3H),3.72(s,3H),3.87(s,3H),6.68(s,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.3,22.8,25.4,26.4,39.6,51.9,55.5,60.0,109.7,123.3,127.9,129.5,149.9,153.2,176.4 HRMS(EI)m/z 264.1355 [M]+(264.1362 calcd for C15H20O4) [0155] (製造例5)7-カルボメトキシ-1,4-ジメトキシ-2-メチル-ナフタレン [0156] [化31] [0157] IM03(141mg、0.53mmol)のベンゼン溶液(2.65mL)に、室温にてN2下でDDQ(243mg、1.07mmol)を添加した。反応混合物を70℃に温め、1時間撹拌し、次いで、室温に冷却した。反応混合物をNaHCO3水溶液(2mL)でクエンチし、このように得られた2層混合物を分離した。有機層をNaHCO3水溶液(5mL×3)で洗浄し、Na2SO4の上で脱水し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3)によって、表題化合物(112mg、81%収率)を無色の固体として得た。 [0158] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.46(s,3H),3.89(s,3H),3.97(s,3H),3.98(s,3H),6.71(s,3H),8.00(dd,J=1.7Hz,8.6Hz,1H),8.23(d,J=8.6Hz,1H),8.76(d,J=1.7Hz,1H) HRMS(EI)m/z 260.1056 [M]+(260.1049 calcd for C15H16O4) [0159] (製造例6)7-カルボメトキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-077) [0160] [化32] [0161] ジメトキシナフタレンエステル(112mg、0.43mmol)のMeCN溶液(3.0ml)に、室温でCAN(707.3mg、1.29mmol)のH2O溶液(3.0mL)を添加し、反応混合物を10分間撹拌した。次いで、混合物をH2O(5mL)で希釈し、CHCl3(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=20/1)によって、KIS-077(92.8mg、94%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0162] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.22(d,J=1.7Hz,3H),3.99(s,3H),6.88(dd,J=1.7,3.2Hz,1H),8.12(d,J=8.0Hz,1H),8.35(dd,J =1.7,8.0Hz,1H),8.72(d,J=1.7Hz,1H) HRMS(EI)m/z 230.0575 [M]+(230.0579 calcd for C13H10O4) [0163] (製造例7)7-カルボキシル-1,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレン [0164] [化33] [0165] ジメトキシナフタレンエステル(493mg、1.98mmol)のTHF(25.2mL)およびH2O(12.6mL)溶液に、1NのNaOH水溶液(7.0mL)を添加した。反応混合物を室温で10時間撹拌し、次いで、1NのHCl水溶液(10mL)の添加によって酸性化した。このように得られた混合物をCHCl3(20mL×3)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3/MeOH=40/1)によって、表題化合物(454.8mg、97%収率)を無色の固体として得た。 [0166] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.47(s,3H),3.90(s,3H),3.99(s,3H),6.74(s,1H),8.04(dd,J=1.7,8.6Hz,1H),8.26(d,J=8.6Hz,1H),8.85(d,J=1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm) [0167] (製造例8)7-カルボキシル-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-078) [0168] [化34] [0169] KIS-077の調製の手順によって、化合物カルボン酸(100mg、0.36mmol)を黄色の固体のKIS-078(67.7mg、87%収率)に変換(精製;シリカゲル;CHCl3/MeOH=50/1)した。 [0170] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.25(d,J=1.7Hz,3H),6.93(d,J=1.7Hz,3H),8.18(d,J=8.0Hz,1H),8.44(dd,J=1.7,8.0Hz,1H),8.83(d,J=1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm) [0171] (製造例9)7-カルボメトキシ-5-ヒドロキシ-2,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレン [0172] [化35] [0173] ジイソプロピルアミン(122μL、0.87mmol)のTHF溶液(7.2mL)に、-78℃にてN2下でヘキサン(524μL、0.86mmol)中の1.64Mのn-BuLiを滴下添加し、混合物を-78℃で15分間撹拌してTHF溶液中のリチウムジイソプロピルアミン(LDA)を調製し、次いでこれを-10℃に温めた。IM01(200mg、0.72mmol)のTHF溶液(7.2mL)を、上記のLDA溶液に添加し、このように得られた混合物を10分間-10℃にて撹拌した。次いで、I2(109mg、0.86mmol)を混合物溶液に添加し、混合物をさらに1時間撹拌し、次いで、Na2S2O3(1g)のH2O溶液(10mL)の添加によってクエンチした。クエンチした溶液をCHCl3(15mL×3)で抽出し、Na2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=40/1)によって、表題化合物(169.7mg、85%収率)を無色の固体として得た。 [0174] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.42(s,3H),3.86(s,3H),3.95(s,3H),4.03(s,3H),6.68(s,1H),7.40(d,J=1.7Hz,1H),8.26(d,J=1.7Hz,1H),9.36(s,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.3,52.4,56.5,61.6,109.3,109.4,115.8,116.7,126.9,129.5,130.4,149.1,151.9,155.2,167.3 HRMS(EI)m/z [M]+(276.2845 calcd for C15H16O5) [0175] (製造例10)5-アセトキシ-7-カルボメトキシ-2,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレン [0176] [化36] [0177] フェノール化合物(50mg、0.18mmol)のピリジン溶液(1.8mL)に、室温にてN2下でAc2O(19μL、0.20mmol)およびDMAP(2.2mg、0.018mmol)を添加し、反応混合物を3時間撹拌し、次いで、H2Oでクエンチした。混合物をCHCl3(5mL×3)で抽出し、Na2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=20/1)によって、表題化合物(54.8mg、定量的収率)を無色の固体として得た。 [0178] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.37(s,3H),2.43(s,3H),3.87(s,3H),3.90(s,3H),3.96(s,3H),6.75(s,1H),7.61(d,J=1.7Hz,1H),8.69(d,J=1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.4,21.0,52.5,56.5,61.8,111.9,118.3,120.6,123.3,127.8,128.0,130.6,147.1,148.5,151.0,166.6,170.2 HRMS(EI)m/z [M]+(318.3212 calcd for C17H18O6) [0179] (製造例11)5-アセトキシ-7-カルボメトキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン [0180] [化37] [0181] KIS-077の調製の手順によって、アセテート化合物(51.9mg、0.17mmol)を淡黄色の固体の表題化合物(41.9mg、90%収率)に変換(精製;シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=20/1)した。 [0182] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.18(d,J=1.8Hz,3H),2.44(s,3H),3.98(s,3H),6.75(d,J=1.7Hz,1H),7.99(d,J=1.7Hz,1H),8.65(d,J=1.8Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.3,21.1,53.1,126.0,126.3,130.2,134.2,125.8,137.2,147.6,149.6,164.6,169.3,183.1,184.1 HRMS(EI)m/z [M]+(288.2522 calcd for C15H12O6) [0183] (製造例12)7-カルボメトキシ-5-ヒドロキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-079) [0184] [化38] [0185] キノンアセテート(40mg、0.15mmol)のMeOH溶液(7.5mL)に、室温でNaHCO3水溶液(5mL)を添加した。30分間撹拌した後、H2O(5mL)の添加によって溶液を希釈し、CHCl3(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=40/1)によって、KIS-079(6.3mg、17%収率)を黄色の固体として得た。 [0186] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.22(d,J=1.7Hz,3H),3.97(s,3H),6.86(dd,J=1.7,3.2Hz,1H),7.90(d,J=1.8Hz,1H),8.24(d,J=1.8Hz,1H),11.9(s,1H) HRMS(EI)m/z 246.0526 [M]+(246.0528 calcd for C13H10O5) [0187] (製造例13)7-カルブメトキシル-5,6-ジヒドロ-7H-2-メチル-5-オキソ-1,4-ナフトキノン(KIS-103) [0188] [化39] [0189] KIS-077の調製の手順によって、IM01(250mg、0.90mmol)を黄色の固体のKIS-103(102mg、45%収率)に変換(精製;シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=40/1)した。 [0190] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.04(d,J=1.7Hz,3H),2.44(dd,J=11.5,15.5Hz,1H),2.48(dd,J=11.2,17.2Hz,1H)2.85(ddd,J=1.2,5.2,17.2Hz,1H),2.96(m,1H),3.02(ddd,J=1.2,4.6,15.5Hz,1H),3.74(s,3H),6.47(d,J=1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm): [0191] (製造例14)7-カルボキシル-5-ヒドロキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-090) [0192] [化40] [0193] KIS-077の調製の手順によって、IM02(30mg、0.11mmol)を黄色の固体の表題化合物KIS-090(9.5mg、10%収率)に変換(精製;シリカゲル;CHCl3/MeOH=50/1)した。 [0194] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.19(d,J=1.8Hz,3H),6.81(d,J=1.8Hz,1H),7.61(d,J=1.8Hz,1H),7.63(d,J=1.8Hz,1H),12.0(s,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm) HRMS(EI)m/z [M]+(232.0372 calcd for C12H8O5) [0195] (製造例15)7-カルブメトキシル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-102) [0196] [化41] [0197] KIS-077の調製の手順によって、IM03(100mg、0.40mmol)を黄色の固体の表題化合物KIS-102(46mg、52%収率)に変換(精製;シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=40/1)した。 [0198] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.75(m,1H),2.04(d,J=1.7Hz,3H),2.09(m,1H),2.04(m,1H),2.64(m,3H),2.80(m,1H),3.72(s,3H),6.55(dd,J=1.7,3.4Hz,1H) HRMS(EI)m/z [M]+(232.0372 calcd for C12H8O5) [0199] (製造例16)6-カルボキシル-1,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレン(IM05) [0200] [化42] [0201] IM04(200mg、0.82mmol)のDMF溶液(20mL)に、室温にてO2下で粉末KOH(260mg、4.60mmol)を添加し、反応混合物を68℃に温め、3時間撹拌し、次いで、冷却した水(20mL)中に注いだ。混合物をEt2O(20mL×2)で洗浄し、このように得られた水溶液を4NのHCl水溶液(10mL)の添加によって酸性化した。次いで、混合物をCHCl3(20mL×3)で抽出し、Na2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮して純粋なIM05(145mg、72%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0202] 1H-NMR(500MHz,DMSO)δ(ppm):2.50(s,3H),3.79(s,3H),3.98(s,3H),6.91(s,1H),8.00(dd,J=1.8,8.6Hz,1H),8.03(dd,J=1.8 8.6Hz,1H),8.74(s,1H) 13C-NMR(125MHz,DMSO)δ(ppm):16.2,55.8,61.0,108.5,121.6,123.4,124.6,126.0,126.5,129.2,129.9,146.0,151.6,167.4 HRMS(EI)m/z [M]+(246.0892 calcd for C14H14O4) [0203] (製造例17)6-カルボメトキシ-1,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレン(IM06) [0204] [化43] [0205] IM05(300mg、1.22mmol)のベンゼン/MeOH(10/1v/v)溶液(24.4mL)に、0℃にてN2下でTMS-ジアゾメタンのヘキサン溶液(2.0M、1.22mL、2.44mmol)を添加し、反応混合物を3時間撹拌した。出発材料の全てを消費した後、AcOHを反応混合物に添加し、このように得られた混合物を濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=20/1)によって、IM06(公知の化合物)(289mg、91%収率)を薄オレンジ色の固体として得た。 [0206] (製造例18)6-ヒドロキシメチル-1,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレン(IM07) [0207] [化44] [0208] IM06(2.61g、10mmol)のTHF溶液(100mL)に、-78℃にて水素化ジイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(1.0M、30mL、30mmol)を添加し、反応混合物を3時間-78℃にて撹拌した。次いで、H2O(5mL)の滴下添加によって反応物をクエンチし、撹拌しながら室温に徐々に温めた。このように得られた混合物に、飽和ロッシェル塩水溶液(150mL)を添加し、さらに1時間撹拌し、次いで、混合物をCHCl3(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層を1.0NのHCl水溶液(100mL×1)、飽和NaHCO3水溶液(100mL×1)およびブライン(100mL×1)で洗浄し、Na2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=5/1)によって、IM07(1.94g、83%収率)を無色の固体として得た。 [0209] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.71(br,1H),2.44(s,3H),3.85(s,3H),3.97(s,3H),4.84(s,2H),6.61(s,1H),7.53(dd,J=1.7,8.6Hz,1H),8.02(d,J=8.6Hz,1H),8.16(d,J=1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.8,55.9,61.5,108.2,122.8,123.4,124.5,129.9,130.7,131.7,133.0,147.3,152.7,192.5 HRMS(EI)m/z [M]+(230.0943 calcd for C14H14O3) [0210] (製造例19)6-ホルミル-1,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレン [0211] [化45] [0212] IM07(100mg、0.43mmol)のCH2Cl2溶液(4.3mL)に、室温でMnO2(374mg、4.3mmol)を添加し、反応混合物を7時間超音波処理した。次いで、反応混合物を濾過してMnO2を除去し、濾液を濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3)によって、表題化合物(76.4mg、77%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0213] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.48(s,3H),3.86(s,3H),4.01(s,3H),6.69(s,1H),7.97(dd,J=1.7,8.6Hz,1H),8.10(d,J=8.6,1H),8.69(d,J=1.7Hz,1H),10.12(s,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.8,55.9,61.5,108.2,122.8,123.4,124.5,129.9,130.7,131.7,133.0,147.3,152.7,192.5 HRMS(EI)m/z [M]+(230.0943 calcd for C14H14O3) [0214] (製造例20)6-ホルミル-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-097) [0215] [化46] [0216] KIS-077の調製の手順によって、化合物アルデヒド(100mg、0.43mmol)を黄色の固体のKIS-097(74.2mg、86%収率)に変換(精製;シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=20/1)した。 [0217] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.24(d,J=1.7Hz,3H),6.95(d,J=1.7Hz,1H),8.24(dd,J=1.7,8.0Hz,1H),8.27(d,J=8.0Hz,1H),8.56(d,J=1.7Hz,1H),10.18(s,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.7,127.6,128.4,133.0,125.6,126.2,139.7,148.9,183.9,185.0,190.9(x2) HRMS(EI)m/z 200.0473 [M]+(200.0473 calcd for C12H8O3) [0218] (製造例21)2-メチル-6-{[(2-プロペニルオキシ)イミノ]メチル}-1,4-ナフトキノン(KIS-104) [0219] [化47] [0220] KIS-097(50mg、0.25mmol)のCH2Cl2溶液(5mL)に、室温にてN2下でO-アリルヒドロキシルアミン・HCl(41.1mg、0.375mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、H2O(5mL)の添加によってクエンチした。混合物をCHCl3(5mL×3)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3)によって、KIS-104(73.6mg、74%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0221] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.19(d,J=1.2Hz,3H),4.72(ddd,J=1.5,1.5,5.7Hz,2H),5.27(ddd,J=1.7,2.9,10.5Hz,1H),5.36(ddd,J=1.7,3.2,17.2Hz,1H),6.04(m,1H)6.84(d,J=1.2Hz,1H),7.94,(dd,J=1.7,8.0Hz,1H),8.06(d,J=8.0Hz,1H),8.17(ddd,J=1.7,3.4,3.4Hz,2H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.6,75.9,118.6,125.0,127.2,131.2,132.5,132.7,133.7,135.8,137.6,147.1,148.6,184.6,185.1 HRMS(EI)m/z 255.0892 [M]+(255.2686 calcd for C15H13NO3) [0222] (製造例22)6-アセチル-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-091) [0223] [化48] [0224] KIS-077の調製の手順によって、IM04(100mg、0.41mmol)を変換(精製;シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=20/1)してKIS-091(公知の化合物)(56.0mg、64%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0225] (製造例23)6-エチル-1,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレンおよび(±)-6-(1-ヒドロキシルエチル)-1,4-ジメトキシ-2-メチルナフタレン [0226] [化49] [0227] IM04(300mg、1.23mmol)のMeOH溶液(12.3mL)に、室温で0.5%Pd/C(150mg)を添加した。混合物をH2下で室温にて撹拌した。1時間撹拌した後、溶液をセライト(登録商標)で濾過してPd/Cを除去し、濾液を濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3/MeOH=40/1)によって、表題化合物(エチル)(140mg、49%収率)を無色の固体として、および別の表題化合物(ヒドロキシルエチル)(152mg、50%収率)を無色の固体として得た。 [0228] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.55(d,J=6.3Hz,3H),2.42(s,3H),3.83(s,3H),3.94(s,3H),5.05(dd,J=6.3 12.6Hz,1H),6.06(s,1H),7.54(dd,J =1.7,8.6Hz,1H),8.00(d,J=8.6Hz,1H),8.15(d,J=1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm) HRMS(EI)m/z [M]+(232.0372 calcd for C12H8O5) [0229] (製造例24)6-エチル-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-094) [0230] [化50] [0231] KIS-077の調製の手順によって、ジメトキシナフタレン(100mg、0.43mmol)を変換(精製;シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=20/1)してKIS-094(公知の化合物)(75.0mg、87%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0232] (製造例25)(±)-2-メチル-6-(1-ヒドロキシルエチル)-1,4-ナフトキノン(KIS-092) [0233] [化51] [0234] KIS-077の調製の手順によって、ジメトキシナフタレン(85mg、0.37mmol)を変換および精製(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=40/1)してKIS-092(57.6mg、74%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0235] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.51(d,J=6.3Hz,3H),2.15(d,J=1.2Hz,3H),2.62(br,1H),5.00(dd,J=6.3,12.9Hz,1H),6.77(d,J=1.2Hz,1H),7.71(dd,J=1.7,7.5Hz,1H),7.96(d,J=1.7Hz,1H),8.00(d,J=7.5Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.6,25.4,69.8,123.1,127.1,130.6,131.3,132.4,135.7,148.4,152.3,185.2,185.4 HRMS(EI)m/z [M]+(232.0372 calcd for C12H8O5) [0236] (製造例26)6-カルボキシル-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-093) [0237] [化52] [0238] IM05(150mg、0.61mmol)の90%CH3COOH水溶液(10mL)の溶液に、室温で臭素(47μL、1.82mmol)を添加し、混合物を室温で撹拌した。1時間撹拌した後、溶液をH2O(10mL)で希釈し、不溶性固体を濾過によって集めた。集めた固体をMeOH(10mL×3)で洗浄し、真空中で乾燥させてKIS-093(公知の化合物)(81mg、61%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0239] (製造例27)6-カルボメトキシ-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-095) [0240] [化53] [0241] KIS-077の調製の手順によって、IM06(91mg、0.35mmol)を変換(精製;シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=10/1)してKIS-095(公知の化合物)(55.0mg、68%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0242] (製造例28)6-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,4-ナフトキノン(KIS-096) [0243] [化54] [0244] KIS-077の調製の手順によって、IM07(100mg、0.43mmol)を変換(精製;シリカゲル;CHCl3)してKIS-096(公知の化合物)(69.5mg、80%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0245] (製造例29)グリシン,N-[(1,4-ジメトキシ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]-,tert-ブチルエステル [0246] [化55] [0247] IM05(300mg、1.22mmol)のCH2Cl2溶液(24.4mL)に、室温でグリシンtert-ブチルエステル塩酸塩(225mg、1.34mmol)、DIPEA(0.53mL、3.05mmol)およびPyBOP(760mg、1.46mmol)を添加し、反応混合物を室温へと撹拌した。10分間撹拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、次いで、MeOH(1mL)およびH2O(10mL)の添加によってクエンチした。このように得られた2層混合物を分離し、水層をCHCl3(15mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3/MeOH=100/1)によって、表題化合物(231.6mg、53%)を淡黄色の固体として得た。 [0248] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.52(s,9H),2.46(s,3H),3.85(s,3H),3.98(s,3H),4.20(d,J=5.2Hz,2H),6.64(s,1H),6.82(br,1H),7.95(dd,J=1.8,8.6Hz,1H),8.06(d,J=9.1Hz,1H),8.64(d,J=1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.6,28.2(x3),42.8,55.7,61.5,82.6,107.7,121.8,122.3,124.5,124.9,128.5,129.9,130.2,147.0,152.3,167.6,169.5 HRMS(FAB)m/z 359.1734 [M]+(359.1733 calcd for C20H25NO5) [0249] (製造例30)グリシン,N-[(1,4-ジヒドロ-1,4-ジオキソ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]-,tert-ブチルエステル(KIS-098) [0250] [化56] [0251] ジメトキシナフタレン(200mg、0.55mmol)のMeCN溶液(3.6ml)に、室温でCAN(930.5mg、1.69mmol)のH2O溶液(3.6mL)を添加し、反応混合物を10分間撹拌した。次いで、混合物をH2O(5mL)で希釈し、CHCl3(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;アセテート/ヘキサン1/15)によって、KIS-098(4.01g、80%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0252] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.51(s,9H),2.22(d,J=1.5Hz,3H),4.17(d,J=5.5Hz,2H),6.84(br,1H),6.90(d,J=2.0Hz,1H),8.17(d,J=8.5Hz,1H),8.22(dd,J=2.0,8.0Hz,1H),8.40(d,J=1.5Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.6,28.2(x3),42.8,83.0,124.3,127.3,132.4,132.7,134.1,136.1,138.6,148.7,165.5,169.0,184.2,185.0 HRMS(FAB)m/z 330.1346 [M+H]+(330.1341 calcd for C18H20NO5) [0253] (製造例31)N-[(1,4-ジヒドロ-1,4-ジオキソ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]グリシン(KIS-099) [0254] [化57] [0255] KIS-098(100mg、0.30mmol)をCH2Cl2(30mL)中の50%TFAに溶解し、このように得られた溶液を室温で撹拌した。30分間撹拌した後、混合物を濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3/MeOH=20/1)によって、KIS-099(79.4mg、97%)を薄茶色がかった黄色の固体として得た。 [0256] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.54(s,9H),2.25(d,J=1.7Hz,3H),4.20(d,J=5.2Hz,2H),6.84(br,1H),6.93(d,J=1.7Hz,1H),8.20(d,J=8.6Hz,1H),8.25(dd,J=1.7,8.6Hz,1H),8.40(d,J=1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.6,28.2(x3),42.8,83.0,124.3,127.3,132.4,132.7,134.1,136.1,138.6,148.7,165.5,169.0,184.2,185.0 HRMS(FAB)m/z 274.0722 [M+H]+(274.0715 calcd for C14H12NO5) [0257] (製造例32)2-N-[(1,4-ジメトキシ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]-3-tert-ブトキシ-tert-ブチルエステル [0258] [化58] [0259] IM05(300mg、1.22mmol)のCH2Cl2溶液(24.4mL)に、室温でセリンtert-ブトキシ-tert-ブチルエステル塩酸塩(340mg、1.34mmol)、DIPEA(0.53mL、3.05mmol)およびPyBOP(760mg、1.46mmol)を添加し、反応混合物を室温へと撹拌した。10分間撹拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、次いで、MeOH(1mL)およびH2O(10mL)の添加によってクエンチした。このように得られた2層混合物を分離し、水層をCHCl3(15mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/EtOAc=10/1)によって、表題化合物(543.1mg、定量的収率)を無色の油として得た。 [0260] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.17(s,9H),1.51(s,9H),2.46(s,3H),3.71(dd,J= 2.9,8.0Hz,1H),3.85(s,3H),3.90(dd,J= 2.9,9.2Hz,1H),3.98(s,3H),4.88(ddd,J= 8.0Hz,1H),6.64(s,1H),7.14(d,J= 8.6Hz,1H),7.94(dd,J= 1.7,8.6Hz,1H),8.07(d,J= 9.2Hz,1H),8.67(d,J= 1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm): HRMS(ESI)m/z 468.2354 [M+Na]+(468.2362 calcd for C25H35N1Na1O6) [0261] (製造例33)2-N-[(1,4-ジヒドロ-1,4-ジオキソ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]-3-tert-ブトキシ-tert-ブチルエステル [0262] [化59] [0263] ジメトキシナフタレン(494mg、1.11mmol)のMeCN溶液(3.7ml)に、室温でCAN(1.83g、3.33mmol)のH2O溶液(3.7mL)を添加し、反応混合物を5分間で撹拌した。次いで、混合物をH2O(5mL)で希釈し、CHCl3(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/EtOAc=10/1)によって、KIS-133(435mg、94%収率)を淡黄色の固体として得た。 [0264] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.17(s,9H),1.50(s,9H),2.22(d,J= 1.7Hz,3H),3.69(dd,J= 2.9,8.9Hz,1H),3.88(dd,J= 2.9,8.6Hz,1H),4.81(ddd,J= 8.0,8.6,8.9Hz,1H),6.90(d,J= 1.7Hz,1H),7.10(d,J= 8.0Hz),8.19(d,J= 8.0Hz,1H),8.22(dd,J= 1.7,8.0Hz,1H),8.44(d,J= 1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.5,27.4(x3),28.1(x3),53.9,62.1,73.3,82.3,124.5,127.1,132.3,132.5,133.8,135.9,138.9,148.5,165.2,169.3,184.1,184.9 [0265] (製造例34)N-[(1,4-ジヒドロ-1,4-ジオキソ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]セリン [0266] [化60] [0267] KIS-133(100mg、0.24mmol)をCH2Cl2(24mL)中の50%TFAに溶解し、このように得られた溶液を室温で撹拌した。1時間撹拌した後、混合物を濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;CHCl3/MeOH=10/1)によって、KIS-131(32mg、44%)を薄茶色がかった黄色の固体として得た。 [0268] 1H-NMR(500MHz,DMSO)δ(ppm):2.14(d,J= 1.7Hz,3H),3.82(d,J= 5.2Hz),4.52(dt,J= 5.2,8.0Hz,1H),7.06(d,J=1.7,1H),8.10(d,J= 8.0Hz,1H),8.29(dd,J= 1.7,8.0Hz,1H),8.47(d,J= 1.7Hz,1H),8.93(d,J= 8.0Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,DMSO)δ(ppm):16.0,55.9,61.0,124.6,126.4,131.8,132.6,133.5,135.5,148.4,165.0,171.6,184.2,184.6 HRMS(ESI)m/z 302.0666 [M-H]-(302.0664 calcd for C15H12N1O6) [0269] (製造例35)N-[(1,4-ジメトキシ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]-ベンジル-tert-ブチルエステル [0270] [化61] [0271] IM05(300mg、1.22mmol)のCH2Cl2溶液(24.4mL)に、室温でセリンtert-ブトキシ-tert-ブチルエステル塩酸塩(345mg、1.34mmol)、DIPEA(0.53mL、3.05mmol)およびPyBOP(760mg、1.46mmol)を添加し、反応混合物を室温へと撹拌した。10分間撹拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、次いで、MeOH(1mL)およびH2O(10mL)の添加によってクエンチした。このように得られた2層混合物を分離し、水層をCHCl3(15mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/EtOAc=10/1)によって、表題化合物(544.7mg、99%収率)を無色の固体として得た。 [0272] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.46(s,9H),2.46(s,3H),3.27(d,J= 5.7Hz,2H),3.85(s,3H),3.98(s,3H),5.03(dt,J= 5.7,7.5Hz,1H)6.64(s,1H),6.80(d,J= 7.5Hz,1H),7.22-7.31(complex m,5H),7.89(dd,J= 1.7,8.6Hz,1H),8.06(d,J= 8.6Hz,1H),8.58(d,J= 1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.6,28.7(x3),38.2,54.1,55.7,61.4,82.7,107.7,121.9,122.3,124.5,124.7,127.1,128.4,128.5(x2),129.8(x2),130.1,1303,136.5,147.0,152.3,167.0,171.0 HRMS(ESI)m/z 472.2093 [M+Na]+(472.2010 calcd for C27H31N1Na1O5) [0273] (製造例36)N-[(1,4-ジヒドロ-1,4-ジオキソ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]-ベンジル-tert-ブチルエステル [0274] [化62] [0275] ジメトキシナフタレン(515mg、1.14mmol)のMeCN溶液(3.8ml)に、室温でCAN(1.88g、3.43mmol)のH2O溶液(3.8mL)を添加し、反応混合物を5分間撹拌した。次いで、混合物をH2O(5mL)で希釈し、CHCl3(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4の上で脱水し、濾過し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/EtOAc=10/1)によって、KIS-134(415mg、87%収率)を黄色の固体として得た。 [0276] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm): 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.6,28.1(x3),38.1,48.7,54.3,83.1,125.4,127.3,128.7(x2),129.7(x2),132.5(x2),134.0,136.1(x2),138.9,148.6,165.0,170.6,184.1,185.0 HRMS(ESI)m/z 442.1628 [M+Na]+(442.1630 calcd for C25H25N1Na1O5) [0277] (製造例37)N-[(1,4-ジヒドロ-1,4-ジオキソ-2-メチル-6-ナフチレニル)カルボニル]フェニルアラニン [0278] [化63] [0279] KIS-134(100mg、0.24mmol)をCH2Cl2(24mL)中の50%TFAに溶解し、このように得られた溶液を室温で撹拌した。30分間撹拌した後、混合物を濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/EtOAc=10/1)によって、KIS-132(61.3mg、70%)を淡黄色の固体として得た。 [0280] 1H-NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):2.22(d,J= 1.1Hz,3H),3.26(dd,J= 5.7,14.2Hz,1H),3.39(dd,J= 5.7,14.2Hz,1H),5.15(ddd,J= 5.7,5.7,7.4Hz,1H)6.88(d,J= 7.4Hz,1H),6.90(d,J= 1.1Hz,1H),7.21-7.33(complex m,5H),8.15(dd,J= 1.7,7.4Hz,1H),8.17(d,J= 7.4Hz,1H),8.33(d,J= 1.7Hz,1H) 13C-NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):16.6,37.6,54.0,124.6,127.2,127.4,128.8(x2),129.4(x2),132.2,133.0,134.0,135.9,136.0,138.2,148.9,166.0,174.7,184.5,184.8 [0281] (試験例1)PDK4酵素阻害活性 Off-chip mobility shift assayによるPDK4/PDK2阻害活性の測定: 384 well micro plateに化合物溶液(5μL)、4×substrate/ATP/metal mixture(5μL)、2×recombinant human PDK4(5μL)を加えた。5時間室温にて反応させた後、反応停止液(60μL)を加えた。LabChip3000を用いて基質ペプチド(S)とリン酸化ペプチド(P)を定量し、その比(P/P+S)より、阻害活性を算出した。 [0282] 結果を以下の表に示す。 [0283] [表34] [0284] [表35] [0285] (試験例2)インフルエンザ感染マウスモデルでの本発明の化合物の効果 1.マウス、インフルエンザウイルス、及び試薬 5週齢のC57BL/6Jマウス(日本SLC)を購入し、6週目(16.4-18.1g)に麻酔(ケタラール62.5mg/kgとセラクタール12.5μg/kgの混合)を筋肉注射後、Influenza A/Puerto Rico8/34株(influenza A/PR8/8/34株)を10PFU/20μl/mouseで経鼻感染させた。非感染群(コントロール)として、ウイルスを希釈する際に用いた生理食塩水(大塚製薬)を20μl/mouseで経鼻で投与した。本発明の化合物は、0.93-0.8mg/kg/day投与量で、溶媒としてのDMSOが5%になるように生理食塩水に混ぜ、腹腔内投与を、感染翌日から1日2回行った。実験は、各群10匹(1ケージ5匹)のマウスを用いて、非感染群(コントロール)、感染マウスにKIS化合物を投与した群、感染マウスに生理食塩水中5%DMSOを投薬した群(コントロール)について行った。 [0286] 結果を図1に示す。本結果から、本発明の化合物は、インフルエンザ感染マウスの生存を延長させることが示された。 |
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