ENZYME ACTIVITY ENHANCER FOR ALKALINE PHOSPHATASE AND/OR NAPHTHOL-AS-BI-PHOSPHOHYDROLASE, AND HAIR GROWTH AGENT OR HAIR TONIC USING SAME
外国特許コード | F150008178 |
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掲載日 | 2015年3月19日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2013JP082322 |
国際公開番号 | WO 2014087960 |
国際出願日 | 平成25年12月2日(2013.12.2) |
国際公開日 | 平成26年6月12日(2014.6.12) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | ENZYME ACTIVITY ENHANCER FOR ALKALINE PHOSPHATASE AND/OR NAPHTHOL-AS-BI-PHOSPHOHYDROLASE, AND HAIR GROWTH AGENT OR HAIR TONIC USING SAME |
発明の概要(英語) | An enzyme activity enhancer for alkaline phosphatase and/or naphthol-AS-BI-phosphohydrolase, said enzyme activity enhancer comprising a hot water extract of Charga (Fuscoporia obliqua ) as the active ingredient optionally together with a solvent extract of a plant belonging to the family Plantaginaceae , if necessary. A hair growth agent or hair tonic comprising the aforesaid enzyme activity enhancer as the active ingredient. |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 |
National States: AE AG AL AM AO AT AU AZ BA BB BG BH BN BR BW BY BZ CA CH CL CN CO CR CU CZ DE DK DM DO DZ EC EE EG ES FI GB GD GE GH GM GT HN HR HU ID IL IN IR IS JP KE KG KN KP KR KZ LA LC LK LR LS LT LU LY MA MD ME MG MK MN MW MX MY MZ NA NG NI NO NZ OM PA PE PG PH PL PT QA RO RS RU RW SA SC SD SE SG SK SL SM ST SV SY TH TJ TM TN TR TT TZ UA UG US UZ VC VN ZA ZM ZW ARIPO: BW GH GM KE LR LS MW MZ NA RW SD SL SZ TZ UG ZM ZW EAPO: AM AZ BY KG KZ RU TJ TM EPO: AL AT BE BG CH CY CZ DE DK EE ES FI FR GB GR HR HU IE IS IT LT LU LV MC MK MT NL NO PL PT RO RS SE SI SK SM TR OAPI: BF BJ CF CG CI CM GA GN GQ GW KM ML MR NE SN TD TG |
日本語項目の表示
発明の名称 | アルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼに対する酵素活性促進剤、並びにそれを利用した発毛または育毛剤 |
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発明の概要 | チャーガの熱水抽出物を有効成分とし、必要に応じて、さらにプランタゴマヨルの溶媒抽出物を含有する、アルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ酵素の活性促進剤。当該酵素の活性促進剤を有効成分とする発毛または育毛剤。 |
特許請求の範囲 |
[請求項1] チャーガの熱水抽出物を有効成分とする、アルカリ性フォスファターゼ及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼからなる群から選択される少なくとも1種に対する酵素活性促進剤。 [請求項2] さらにエステラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ及びα-フコシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素の活性を促進するものである、請求項1記載の酵素活性促進剤。 [請求項3] さらにプランタゴマヨルの溶媒抽出物を含有する、請求項1に記載する酵素活性促進剤。 [請求項4] プランタゴマヨルの溶媒抽出物がプランタゴマヨルの水抽出物(熱水抽出物を含む)である、請求項3に記載する酵素活性促進剤。 [請求項5] さらにエステラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、及びβ-グルクロニダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素の活性を促進するものである、請求項3または4記載の酵素活性促進剤。 [請求項6] 請求項1~5のいずれかに記載する酵素活性促進剤を有効成分とする発毛または育毛剤。 [請求項7] 請求項1~5のいずれかに記載する酵素活性促進剤を、哺乳動物に経口または経皮投与する工程を有する、発毛または育毛方法。 [請求項8] 請求項1~5のいずれかに記載する酵素活性促進剤の、哺乳動物に対する経口または経皮投与形態を有する発毛剤または育毛剤の製造のための使用。 [請求項9] 哺乳動物を発毛または育毛するために使用されるチャーガの熱水抽出物。 [請求項10] 哺乳動物を発毛または育毛するために使用されるチャーガの熱水抽出物及びプランタゴマヨルの溶媒抽出物の混合物。 [請求項11] プランタゴマヨルの溶媒抽出物がプランタゴマヨルの水抽出物(熱水抽出物を含む)である請求項10に記載する混合物。 |
明細書 |
明 細 書 発明の名称 : アルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼに対する酵素活性促進剤、並びにそれを利用した発毛または育毛剤 技術分野 [0001] 本発明は植物抽出物を有効成分とするアルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼに対する酵素活性促進剤に関する。また、本発明は当該酵素またはその他複数の酵素の活性促進作用に基づいて、皮膚の代謝活性を高めることで、発毛を促す作用を有する発毛または育毛剤に関する。 背景技術 [0002] 従来から、薄毛に対する治療剤として、ミノキシジル(商品名:リアップ)やフィナステリド(商品名:プロペシア)等が知られている。また、植物抽出物や生薬エキスを有効成分とする発毛または育毛剤も種々提案されている。例えば、発毛または育毛作用がある植物抽出物または生薬エキスとしては、ニンジン、タモキタケ、ヨクイニン、カシュウ、カバノアナタケ、オオバコ等の抽出エキス(特許文献1~6等参照)などが知られている。 先行技術文献 特許文献 [0003] 特許文献1 : 特公平1-13451号公報 特許文献2 : 特開平2-48514号公報 特許文献3 : 特開2007-254343号公報 特許文献4 : 特開2007-51075号公報 特許文献5 : 特開2005-126403号公報 特許文献6 : 特開平9-48712号公報 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0004] 本発明は、植物抽出物を有効成分とする発毛または育毛剤を提供することを目的とする。また本発明は、当該植物抽出物の発毛または育毛作用に貢献する酵素活性促進剤を提供することを目的とする。 課題を解決するための手段 [0005] 本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねていたところ、チャーガの熱水抽出物に優れた発毛ないし育毛作用があることを見出し、かかる優れた作用はチャーガの熱水抽出物に含まれる成分が複数の酵素を活性化すること、特にチャーガの熱水抽出物に特有に含まれる成分が発毛または育毛に好適に作用していると考えられるアルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼを活性化することを見出した。 [0006] 本発明は、これらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を包含するものである。 (I)酵素活性促進剤 (I-1).チャーガの熱水抽出物を有効成分とする、アルカリ性フォスファターゼ及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼからなる群から選択される少なくとも1種に対する酵素活性促進剤。 [0007] (I-2).さらにエステラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ及びα-フコシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素の活性を促進するものである、(I-1)記載の酵素活性促進剤。 [0008] (I-3).さらにプランタゴマヨルの溶媒抽出物を含有する、(I-1)に記載する酵素活性促進剤。 [0009] (I-4).プランタゴマヨルの溶媒抽出物がプランタゴマヨルの水抽出物(熱水抽出物を含む)である(I-3)に記載する酵素活性促進剤。 [0010] (I-5).さらにエステラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、及びβ-グルクロニダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素の活性を促進するものである、(I-3)または(I-4)記載の酵素活性促進剤。 [0011] (II)発毛または育毛剤 (II).(I-1)~(I-5)のいずれかに記載する酵素活性促進剤を有効成分とする発毛または育毛剤。 [0012] なお、上記(II)は、下記のように言い換えることができる。 (II-1).チャーガの熱水抽出物を有効成分とする発毛または育毛剤。 (II-2).さらにプランタゴマヨルの溶媒抽出物を含有する、(II-1)に記載する発毛または育毛剤。 (II-3).プランタゴマヨルの溶媒抽出物がプランタゴマヨルの水抽出物(熱水抽出物を含む)である(II-2)に記載する発毛または育毛剤。 (II-4).経口投与形態または経皮投与形態を有する(II-1)乃至(II-3)のいずれかに記載する発毛または育毛剤。 [0013] (III)哺乳動物に対する発毛または育毛方法 (III)(I-1)~(I-5)のいずれかに記載する酵素活性促進剤を、哺乳動物に経口または経皮投与する工程を有する、発毛または育毛方法。 [0014] なお、上記(III)は、下記のように言い換えることができる。 (III-1).チャーガの熱水抽出物を発毛または育毛の有効成分として含有する組成物を哺乳動物に経口または経皮投与する工程を有する、発毛または育毛方法。 (III-2).上記組成物が、さらにプランタゴマヨルの溶媒抽出物を含有するものである、(III-1)に記載する発毛または育毛方法。 (III-3).プランタゴマヨルの溶媒抽出物がプランタゴマヨルの水抽出物(熱水抽出物を含む)である(III-2)に記載する発毛または育毛方法。 (III-4).上記組成物が経口投与形態または経皮投与形態を有するものである(III-1)乃至(III-2)のいずれかに記載する発毛または育毛方法。 [0015] (IV)発毛または育毛剤としての使用 (IV)(I-1)~(I-5)のいずれかに記載する酵素活性促進剤の、哺乳動物に対する経口または経皮投与形態を有する発毛剤または育毛剤の製造のための使用。 [0016] なお、上記(IV)は、下記のように言い換えることができる。 (IV-1).チャーガの熱水抽出物の、哺乳動物に対する経口または経皮投与形態を有する発毛剤または育毛剤の製造のための使用。 (IV-2).チャーガの熱水抽出物及びプランタゴマヨルの溶媒抽出物の混合物の、哺乳動物に対する経口または経皮投与形態を有する発毛剤または育毛剤の製造のための使用。 (IV-3).プランタゴマヨルの溶媒抽出物がプランタゴマヨルの水抽出物(熱水抽出物を含む)である(IV-2)に記載する使用。 (IV-4).哺乳動物を発毛または育毛するために使用されるチャーガの熱水抽出物。 (IV-5).哺乳動物を発毛または育毛するために使用されるチャーガの熱水抽出物及びプランタゴマヨルの溶媒抽出物の混合物。 (IV-6).プランタゴマヨルの溶媒抽出物がプランタゴマヨルの水抽出物(熱水抽出物を含む)である(IV-5)に記載する混合物。 発明の効果 [0017] チャーガの熱水抽出物は、アルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼの酵素活性を促進する作用を有する。また、当該チャーガの熱水抽出物は、好ましくは当該酵素活性促進作用に加えて、エステラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α-マンノシダーゼ、及びα-フコシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素の活性を促進する作用を有する。当該酵素活性促進剤によれば、毛根細胞の代謝を促進し、発毛や育毛を促すことができ、発毛または育毛剤として有用である。 [0018] 本発明の酵素活性促進剤、言い換えるとチャーガの熱水抽出物を有効成分とする発毛または育毛剤によれば、これを頭皮に塗布(経皮投与)または経口的に摂取(経口投与)することで、頭髪の発毛・育毛を促すことができ、薄毛を治療ないし改善することができる。 [0019] また、本発明の発毛または育毛剤は、経皮投与した場合でも、皮膚への刺激がなく、安全性に優れているため、長期連用による副作用がなく安心して使用することができる。さらに本発明の発毛または育毛剤は、経口投与した場合でも、食欲の低下(摂食量の低下)や体重の減少は認められず、生体に対して安全に適用できるだけでなく、血中のグルコース量や総コレステロール量を低下させる作用があるため、長期連用することで糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病や成人病を予防若しくは改善することができるという効果をも有する。 図面の簡単な説明 [0020] [図1] 除毛したマウス背部に、(1)「リアップ×5」(大正製薬(株)製)(A Sol)、(2)「ブラック加美乃素NEO」((株)加美乃素本舗)(B Sol)、(3)プランタゴマヨルのアルコール抽出物(Pl A)、(4)プランタゴマヨルの熱水抽出物(Pl A)、(5)チャーガの熱水抽出物(Ch W)、(6)チャーガのアルコール抽出物(Ch A)、及び(4)と(5)の等量混合物(Mix(Plw+Chw))を、400μlの割合で、毎日2時間おきに一日5回スプレーして、14日経過した後に、生えてきた毛の密度をRSイメージエクスプレスソフトウェアー(Roper Scientific, Martinstried, Germany) を用いて測定した結果を示す。 [図2] ヒトの頭皮に、チャーガの熱水抽出物(Ch W)を一日4~5回、400μlの割合で塗布することを15週間にわたり実施し、9週目、11週目、13週目、及び15週目に、頭皮の一区間における毛髪の本数を測定した結果を示す。 [図3] チャーガのアルコール抽出物(Ch A)、チャーガの熱水抽出物(Ch W)が酵素活性(左から、アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、α-グルコシダーゼ)に与える影響を明らかにするために、吸光度を測定し、コントロール値(CTR)と比較した結果を示す。 [図4] チャーガの熱水抽出物(Ch W)、チャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルの熱水抽出物の等量混合物(Ch W+Pl W)、チャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルのアルコール抽出物の等量混合物(Ch W+Pl A)が酵素活性(左から、アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、トリプシン、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、β-グルクロニダーゼ、α-マンノシダーゼ、及びα-フコシダーゼ)に与える影響を明らかにするために、吸光度を測定し、コントロール値(CTR)と比較して、酵素活性を亢進(+)するかあるいは抑制(-)するかを示した図である。 [図5] 市販の育毛剤(A sol:「リアップ×5」(大正製薬(株))、B sol:「ブラック加美乃素NEO」((株)加美乃素本舗)、C sol:「スカルププレミアムXL」(株式会社ドウシシャ)、D sol:「カロヤンアポジカシグマプラス」(第一三共ヘルスケア株式会社))と、チャーガの熱水抽出物(ChW)(charga 500μg/ml)が酵素活性(左から、アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、酸性フォスファターゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、及びα-フコシダーゼ)に与える影響を明らかにするために吸光度を測定し、コントロール値(CTR)と比較して、酵素活性を亢進(+)するかあるいは抑制(-)するかを示す。 [図6] 実験例6の実験結果として、ラット(Ch A群[チャーガのアルコール抽出物投与群]、Ch W群[チャーガの熱水抽出物投与群]、CTR群[対照群])の飲水量の経時的変化(左)と4週間における飲水総量(右)を示す。 [図7] 実験例6の実験結果として、ラット(Ch A群、Ch W群、CTR群)の4週間における摂食総量を示す。 [図8] 実験例6の実験結果として、ラット(Ch A群、Ch W群、CTR群)の4週間における体重変化を示す。 [図9] 実験例6において、血中の総タンパク質量(TP)、総コレステロール量(T-Cho)、中性脂肪量(トリグリセリド量)(TG)、及びグルコース量を定量した結果を示す。 [図10] 実験例6において、血液を対象とした代謝酵素活性の測定結果のうち、CTR群及びCh A群と比較して、Ch W群において有意に活性上昇が認められたものを示す。 [図11] 実験例6において、皮膚を対象とした代謝酵素活性の測定結果のうち、CTR群及びCh A群と比較して、Ch W群において有意に活性上昇が認められたものを示す。 [図12] 実験例6において、肝臓を対象とした代謝酵素活性の測定結果のうち、CTR群及びCh A群と比較して、Ch W群において有意に活性上昇が認められたものを示す。 発明を実施するための形態 [0021] (I)酵素活性促進剤 本発明の酵素活性促進剤は、チャーガの熱水抽出物を有効成分とし、アルカリ性フォスファターゼ及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼからなる群から選択される少なくとも一種の酵素活性を促進する作用を有することを特徴とする。すなわち、本発明が対象とする酵素活性促進剤は、アルカリ性フォスファターゼの酵素活性を促進する作用、またはナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼの酵素活性を促進する作用を有するものであり、アルカリ性フォスファターゼとナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼの両者の酵素活性を促進する作用を有するものも含まれる。好ましくは、アルカリ性フォスファターゼとナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼの両者の酵素活性を促進する作用を有するものである。 [0022] ここでチャーガ(Charga)とは、白樺の木の幹に寄生するキノコの一種であり、ロシアやモンゴル、中国東北部などシベリアに近接した酷寒の地域に生息する。国内では、別名カバノアナタケ(樺孔茸)(学名:Fuscoporia obliqua)とも称されるタバコウロコタケ科サビアナタケ属のキノコの一種である。これらは、ほとんど同一のキノコであり、代謝酵素活性への影響もほとんど類似していた。従って、我々が発明の対象とするチャーガは、ロシア、シベリア、モンゴル、中国、日本、あるいはヨーロッパなどの原産地にはかかわらないすべてのチャーガを含むものである。 [0023] チャーガの熱水抽出物は、チャーガを乾燥した後、そのまま若しくは粉砕して、熱水による抽出操作に供することで調製することができる。なお、チャーガの乾燥粉砕物は商業的に入手することができる。 [0024] 抽出操作において、熱水抽出は、通常、50℃以上、好ましくは70~90℃、より好ましくは75~85℃の温度に加温した水に、上記するチャーガ乾燥物を0.5時間~数十時間、好ましくは1~24時間程度、浸漬抽出を行うことで実施される。より発毛または育毛作用の高い成分を効率よく抽出するためには、チャーガの乾燥物に対して、2~10倍、好ましくは3~5倍の重量の熱水を用いて抽出操作を行うことが好ましい。 [0025] かくしてアルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼを活性化する成分(活性成分)を選択的に抽出することができる。なお、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼの活性成分は、熱水に代えてアルコール(含水アルコールを含む)を用いた抽出方法では得ることができないか、若しくは殆ど得られない、熱水抽出によって特有に得られる成分である(実験例3の図3参照)。またアルカリ性フォスファターゼの活性成分も、熱水に代えてアルコール(含水アルコールを含む)を用いた抽出方法では得ることができないか(実験例6の図10~12参照)、若しくは得られても熱水抽出した場合よりも少なく(実験例3の図3参照)、熱水抽出により特有に得られる成分である。 [0026] 抽出方法としては、一般に用いられる方法が採用でき、例えば前述する熱水を用いて、エキス剤、エリキシル剤、浸剤・煎剤、流エキス剤及びチンキ剤等の各種生薬製剤の調製に用いられる抽出方法を広く挙げることができる。制限はされないが、例えば熱水中に上記のチャーガの乾燥物(そのまま、粗末、細切物または粉砕物)を浸漬静置する方法、加温条件下で撹拌しながら抽出する方法、水蒸気蒸留法、またはパーコレーション法等を挙げることができる。 [0027] 得られた抽出液は、必要に応じてろ過または遠心分離によって固形物を除去した後、使用の態様に応じて、そのまま用いるか、または溶媒を留去して一部濃縮して軟エキスとして、または減圧乾燥、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥等の通常の手段により乾燥して、エキス乾燥物として使用することもできる。また濃縮ないしは乾燥後、得られる濃縮物ないしは乾燥物は、非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いても、またこれを更に適当な溶剤に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。 [0028] 上記の方法により取得されるチャーガの熱水抽出物は、アルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼの酵素活性を促進する作用を有する。さらに、上記の方法により取得されるチャーガの熱水抽出物は、上記酵素以外に、少なくともロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、β-グルクロニダーゼ、及びα-フコシダーゼ活性を促進する。このことから、チャーガの熱水抽出物はアルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼの酵素活性促進剤として、またアルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼに加えて、少なくともロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、β-グルクロニダーゼ、及びα-フコシダーゼからなる群から選択される少なくとも1種の酵素の活性促進剤として有用である。 [0029] なお、これらの酵素活性は、上記酵素を含む合計19種類(アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α-キモトリプシン、酸性フォスファターゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、α-グルコシダーゼ、N-アセチル-β-グルコサミニダーゼ、α-マンノシダーゼ、α-フコシダーゼ)の酵素の活性を試験するためのマイクロウエルを備えた酵素活性研究試薬キットであるアピザイム(シスメックス・ビオメリュー株式会社)を用いて簡便に測定することができる。但し、測定用具はこれに制限されるものではない。 [0030] 本発明の酵素活性促進剤は、チャーガ熱水抽出物が有するアルカリ性フォスファターゼ及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼの酵素活性促進作用に著しく悪影響を及ぼさないことを限度として、発毛または育毛作用に貢献する他の成分、例えばアルカリ性フォスファターゼ及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼからなる群から選択される少なくとも1つの酵素の活性を促進する作用を有する成分)を含有することもできる。かかる成分としては、同様に植物抽出物を挙げることができ、例えば、プランタゴマヨルの溶媒抽出物、及びウルチカディオイカの溶媒抽出物を挙げることができる。かかる植物の溶媒抽出物は、一種単独で上記チャーガの熱水抽出物と併用してもよいし、また2種を組み合わせて上記チャーガの熱水抽出物と併用してもよい。好ましくはプランタゴマヨルの溶媒抽出物である。 [0031] プランタゴマヨルは、オオバコ科(Plantaginaceae)オオバコ属に属する多年草植物で、別名を車前草ともいう(学名:Plantago lanceolata,Plantago majorほか)。またウルチカディオイカはイラクサ科(Urtica)イラクサ属(Urticaceae)に属する多年草植物である(学名:Urtica thunbergiana)。 [0032] これらの植物は、その抽出物を調製するにあたり、全草またはその一部(葉、茎、根、花など)を、そのまま(生)若しくは破砕物として抽出操作に付してもいいし、また乾燥後、必要に応じて粉砕若しくは粉体状として抽出操作に付してもよい。 [0033] 抽出溶媒としては、例えば、水、有機溶媒またはこれらの混合物を挙げることができる。有機溶媒としては特に制限されるものではないが、例えばメタノール,エタノール,プロパノール及びブタノール等の炭素数1~4の低級アルコール;酢酸エチルエステル等の低級アルキルエステル;エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのグリコール類;その他エチルエーテル、アセトン、酢酸等の極性溶媒のなかから適宜選択することができる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用することもできる。例えば必要に応じて上記有機溶媒に適量の水を加えて含水有機溶媒として用いることもでき、かかるものとしては好適に水と低級アルコールの混合溶媒、好ましくは10~98容量%程度のエタノール含有水溶液を挙げることができる。 [0034] 本発明において、プランタゴマヨル及びウルチカディオイカの抽出溶媒として、より好ましくは水である。 [0035] 抽出方法としては、一般に用いられる方法が採用でき、例えば、前述するチャーガの熱水抽出法に関して説明した各種の方法を挙げることができる。 [0036] 得られた抽出液は、必要に応じてろ過または遠心分離によって固形物を除去した後、使用の態様により、そのまま用いるか、または溶媒を留去して一部濃縮して軟エキスとして、または減圧乾燥、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥等の通常の手段により乾燥して、エキス乾燥物として使用することもできる。また濃縮ないしは乾燥後、得られる濃縮物ないし乾燥物は、非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いても、またこれを更に適当な溶剤に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。 [0037] 本発明の酵素活性促進剤は、その形態を問わず、液状であっても、また粉末または顆粒状等の固形状を有するものであってもよい。好ましくは液状である。また経口投与形態(液剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤など)を有していても良いし、経皮投与形態(液剤、クリーム剤、軟膏剤、ジェル剤、スプレー剤、エアゾール剤、フォーム剤(ムース剤)、貼付剤、乳液、懸濁液、パウダー)を有していてもよい。 [0038] 本発明の酵素活性促進剤に含まれるチャーガの熱水抽出物の割合としては、特に制限されず固形換算で1~100重量%の範囲から適宜選択することができる。また、本発明の酵素活性促進剤がプランタゴマヨルの溶媒抽出物を含む場合、当該プランタゴマヨルの溶媒抽出物の含有割合としては、特に制限されず、固形換算で1~95重量%の範囲から適宜選択することができる。この場合、チャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルの溶媒抽出物の配合比は、特に制限されないが、固形換算でチャーガの熱水抽出物10重量部に対してプランタゴマヨルの溶媒抽出物0.1~100重量部、好ましくは1~50重量部を例示することができる。 [0039] (II)発毛または育毛剤 本発明の発毛または育毛剤は、前述する酵素活性促進剤を有効成分とすることを特徴とする。より具体的には、本発明の発毛または育毛剤は、アルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ酵素の活性を促進する作用を有するチャーガの熱水抽出物を有効成分とし、また必要に応じてプランタゴマヨルの溶媒抽出物、好ましくは水抽出物を含むことを特徴とする。 [0040] 本発明の発毛または育毛剤は、アルカリ性フォスファターゼまたは/及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼを始めとする複数の酵素活性を促進する作用を有することから、毛根細胞の代謝に関連した酵素活性を促進することにより優れた発毛または育毛作用を発揮するものと考えられる。 [0041] 本発明の発毛または育毛剤は、前述する酵素活性促進剤を、チャーガの熱水抽出物の乾燥物の重量に換算して、通常0.001~50重量%、好ましくは0.01~20重量%、より好ましくは1~5重量%の割合で含むことが望ましい。なお、本発明の発毛または育毛剤に含まれるチャーガの熱水抽出物の含有量を、原料であるチャーガ乾燥物の割合に換算すると、発毛または育毛剤1mL中、チャーガ乾燥物0.01~10000mg、好ましくは1~1000mg、より好ましくは10~200mgを挙げることができる。 [0042] 前述する酵素活性促進剤がプランタゴマヨルの溶媒抽出物を含む場合、本発明の発毛または育毛剤は、プランタゴマヨルの溶媒抽出物を、その乾燥物の重量に換算して、通常0.001~50重量%、好ましくは0.01~20重量%、より好ましくは1~5重量%の割合で含むことが望ましい。この場合、本発明の発毛または育毛剤に含まれるプランタゴマヨルの溶媒抽出物の含有量を、原料であるプランタゴマヨル乾燥物の割合に換算すると、発毛または育毛剤1mL中、プランタゴマヨル乾燥物0.01~10000mg、好ましくは1~1000mg、より好ましくは10~200mgを挙げることができる。 [0043] また、本発明の発毛または育毛剤は、チャーガの熱水抽出物、必要に応じてプランタゴマヨル溶媒抽出物以外の成分として、皮膚末梢血管拡張剤を含有していてもよく、このような皮膚末梢血管拡張剤としては、例えば塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、ビタミンE、ビタミンEアセテート、ビタミンEリノレート、ビタミンEニコチネート、トウガラシチンキ等が挙げられる。これらは一種単独で使用してもよいし、また二種以上を任意に組合せて使用することもできる。 [0044] また、本発明の発毛または育毛剤には、前記のチャーガの熱水抽出物、必要に応じてプランタゴマヨルの溶媒抽出物、皮膚末梢血管拡張剤のほか、本発明の効果を妨げないことを限度に、通常発毛または育毛剤に用いられる添加剤、例えばヒノキチオール、カチオン界面活性剤、パラベン等の殺菌剤、l-メントール等の清涼剤、炭化水素類、ロウ類、油脂類、エステル類、高級脂肪酸、高級アルコール等の油分、その他界面活性剤、香料、色素、抗酸化剤、紫外線防御剤、アルコール類、pH調整剤、および水などを配合することもできる。 [0045] 本発明の発毛または育毛剤は、飲食品、医薬品、医薬部外品、または化粧料(薬用化粧料を含む)として調製することができる。その形態としては、経皮投与形態、及び経口投与形態を挙げることができる。 [0046] 本発明の発毛または育毛剤が経皮投与形態を有する場合、ローション(液状)、軟膏、クリーム、スプレー、エアゾール、ジェル剤、フォーム剤(ムース剤)、貼付剤、乳液、懸濁液、パウダーなど、通常の外用剤(頭皮用外用剤)の形状を採ることができる。具体的には、用途や用法に従って、ヘアトニック、ヘアローション、頭皮クリーム、ケアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメントなどの形態に調製することができる。これらの発毛または育毛剤は、一日一回または複数回、形状や形態に応じて、頭皮に適用して用いられる。 [0047] 本発明の発毛または育毛剤が経口投与形態を有する場合、その剤型は特に制限されないものの、例えば液剤(ドリンク剤)、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤などの通常の経口投与剤の形状を採ることができる。具体的には、用途や用法に従って、定法に従って、サプリメント(飲食品)や経口医薬品などの形態に調製することができる。これらの製剤の調製に際して、チャーガの熱水抽出物、必要に応じてプランタゴマヨルの溶媒抽出物以外に、医薬製剤分野の技術常識に従って、賦形剤、結合剤、滑沢剤、pH調製剤、安定剤、保存剤、及び呈味剤などを用いることもできる。これらの発毛または育毛剤は、一日一回または複数回、内服により服用される。 実施例 [0048] 以下、本発明を実験例及び実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。 [0049] 製造例1 チャーガの熱水抽出物の調製 チャーガの乾燥物250gを粉砕し三角フラスコに入れて、1lの超純水を加え、スターラーで攪拌しながら、保温器にて70~90℃の温度に加温された状態で24時間抽出を行った。チャーガはモンゴルの会社:イオンセイサムワ(Ionsei Samhwa, ウランバートル、モンゴリア)から購入した。抽出処理後、固液分離して液相(抽出液)をチャーガの熱水抽出物として後述する実験例で使用した(チャーガを乾燥物換算で250g/L含有)。 [0050] 参考製造例1 チャーガのアルコール抽出物の調製 チャーガの乾燥物250gを粉砕し三角フラスコに入れて、エタノール濃度35%のホワイトリカー(焼酎甲類、はざま酒造、岐阜)1lを加え、スターラーで攪拌しながら、日中は4℃、夜間は室温にて2週間抽出を行った。抽出処理後、固液分離して液相(抽出液)をチャーガのアルコール抽出物として後述する実験例で使用した(チャーガを乾燥物換算で250g/L含有)。 [0051] 製造例2 プランタゴマヨルの熱水抽出物の調製 プランタゴマヨルの乾燥物250gを粉砕し三角フラスコに入れて、1lの超純水を加え、スターラーで攪拌しながら、保温器にて70~90℃の温度に加温された状態で24時間抽出を行った。プランタゴマヨルはモンゴルの会社:イオンセイサムワ(Ionsei Samhwa, ウランバートル、モンゴリア)から購入した。抽出処理後、固液分離して液相(抽出液)をプランタゴマヨルの熱水抽出物として後述する実験例で使用した(プランタゴマヨルを乾燥物換算で250g/L含有)。 [0052] 製造例3 プランタゴマヨルのアルコール抽出物の調製 プランタゴマヨルの乾燥物250gを粉砕し三角フラスコに入れて、1lのエタノール濃度50%のエタノール水溶液を加え、スターラーで攪拌しながら、日中は4℃、夜間は室温にて2週間抽出を行った。抽出処理後、固液分離して液相(抽出液)をプランタゴマヨルのアルコール抽出物として後述する実験例で使用した(プランタゴマヨルを乾燥物換算で250g/L含有)。 [0053] 実験例1 脱毛クリーム(商品名:エピラット、クラシエホールディング(株))をICRマウス(クローズドコロニー、日本チャールズリバー)の背部皮膚に3mm厚程度に塗布して、約10分後に拭き取り、毛を取り除いた。除毛したICRマウス背部に、 (1)リアップ×5(大正製薬(株)、日本)(A Sol)、(2)ブラック加美乃素NEO((株)加美乃素本舗、日本)(B Sol)、(3)プランタゴマヨルのアルコール抽出物(Pl A)、(4)プランタゴマヨルの熱水抽出物(Pl W)、(5) チャーガのアルコール抽出物(Ch A)、(6) チャーガの熱水抽出物(Ch W)、及び(4)と(6)の等量混合物(Mix(Pl W+Ch W))を、毎日2時間おきに一日5回、1回あたり400μl程度塗布し、14日経過した後に、生えてきた毛の密度をRSイメージエクスプレスソフトウェアー(Roper Scientific, Martinstried, Germany) を用いて測定した。 [0054] 結果を図1に示す。 [0055] 図1に示すように、チャーガの熱水抽出物(Ch W)に、他の試料(Asol、Bsol、プランタゴマヨルアルコール抽出物(Pl A)、プランタゴマヨルの熱水抽出物(Pl W)、及びチャーガのアルコール抽出物(Ch A))と比較して、極めて強い発毛及び育毛作用があることが確認された。また、チャーガとプランタゴマヨルの熱水抽出物の等量混合液(Mix(Pl W+Ch W))にも、チャーガの熱水抽出物(Ch W)単独の発毛及び育毛作用には劣るものの、有意に強い発毛・育毛効果が認められた。一方、プランタゴマヨルアルコール抽出物(Pl A)、プランタゴマヨルの熱水抽出物(Pl W)、及びチャーガのアルコール抽出物(Ch A)の発毛・育毛作用は、いずれも市販の育毛剤であるAsol及び Bsolと同程度であった。 [0056] 実験例2 ヒトの頭皮に、チャーガ熱水抽出物及びプランタゴ熱水抽出物の水溶液(各濃度3重量%)を1日4~5回、頭頂部に約400μlの割合でスプレーした。実験開始から9、11、13、15週後に写真を撮り、RSイメージエクスプレスソフトウェアー(Roper Scientific, Martinstried, Germany)を用いて、所定区画の本数を測定した。 [0057] 結果を図2に示す。図2からわかるように、チャーガ熱水抽出物とプランタゴ熱水抽出物の混合物を頭皮に適用することで、適用後9週から15週にかけて、経時的に明らかな発毛・育毛効果が認められた。 [0058] 実験例3 チャーガの熱水抽出物およびチャーガアルコール抽出物が、種々の酵素活性(アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、及びα-グルコシダーゼに与える影響を酵素活性研究試薬キットであるアピザイム(シスメックス・ビオメリュー株式会社、日本)を用いて測定した。アピザイムの測定は、酵素液として、SDラット(クローズドコロニー、日本チャールズリバー、東京)の肝臓、膵臓、小腸、血漿、及び腎臓のホモジネート(インターナルオルガン溶液)を用いた。具体的には、酵素液(インターナルオルガン溶液)32.5μlとチャーガの熱水抽出物(Ch W)またはチャーガのアルコール抽出液(Ch A)のそれぞれ32.5μlを、またコントロール群(CTR)には酵素液(インターナルオルガン溶液)32.5μlと超純水32.5μlをそれぞれ混合して、アピザイムキットのマイクロウエルに加えて、37℃で4時間インキュベーションした後、キットに備え付けのZYM A試薬溶液32.5μlとZYM B試薬溶液32.5μlを加えて、ナノドロップ1000分光光度計(エル・エム・エス、東京)にて吸光度[アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ (以上、551nm);ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ(以上、497nm);シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α-キモトリプシン(以上、402nm);酸性フォスファターゼ(540nm)、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ(547nm)、α-ガラクトシダーゼ(403nm)、β-ガラクトシダーゼ(551nm)、β-グルクロニダーゼ(586nm)、α-グルコシダーゼ(556nm)、N-アセチル-β-グルコサミニダーゼ(416nm)、α-マンノシダーゼ(403nm)、α-フコシダーゼ(552nm)]を測定した。 [0059] 結果を図3に示す。 [0060] 図3に示すように、チャーガのアルコール抽出物(Ch A)では、アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、α-グルコシダーゼの酵素活性を亢進(促進)する効果が認められたが、これらすべての酵素でチャーガの熱水抽出物(Ch W)の方が強い活性化効果(活性促進効果)を示した。ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼとβ-ガラクトシダーゼに関しては(特にナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ)、チャーガのアルコール抽出物(Ch A)には活性化効果(活性促進効果)は全く若しくは殆ど認められず、チャーガの熱水抽出物(Ch W)についてのみこれらの酵素に対して活性化効果(活性促進効果)が認められた。このことから、特にナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼを活性化するか、または当該酵素活性を促進する作用は、チャーガの熱水抽出物(Ch W)に特有に認められ、チャーガのアルコール抽出物(Ch A)(厳密には、含水エタノール抽出物)には認められない作用であることが判明した。 [0061] 実験例4 チャーガの熱水抽出物(Ch W)、チャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルの熱水抽出物の等量混合物(Ch W+Pl W)、及びチャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルのアルコール抽出物の等量混合物(Ch W+Pl A)について、種々の酵素(アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、トリプシン、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、β-グルクロニダーゼ、α-マンノシダーゼ、及びα-フコシダーゼ)に与える効果を酵素活性研究試薬キットであるアピザイム(シスメックス・ビオメリュー株式会社、日本)を用いて測定した。酵素活性の測定は、実験例3と同様に、酵素液としてSDラットの肝臓、膵臓、小腸、血漿、及び腎臓のホモジネート(インターナルオルガン溶液)を用いて行った。 [0062] 具体的には、チャーガの熱水抽出物(Ch W)、チャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルの熱水抽出物の等量混合物(Ch W+Pl W)、またはチャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルのアルコール抽出物の等量混合物(Ch W+Pl A)各32.5μlと酵素液32.5μlとの混合液を、またコントロール群(CTR)として酵素液(インターナルオルガン溶液)32.5μlと超純水32.5μlとの混合液を、アピザイムキットに加えて、37℃で4時間インキュベーションした後、ZYM A試薬溶液32.5μlとZYM B試薬溶液32.5μlを加えて、ナノドロップ1000分光光度計(エル・エム・エス、東京)にて各吸光度[アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ (以上、551nm);ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ(以上、497nm)、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α-キモトリプシン(402nm)、酸性フォスファターゼ(540nm)、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ(547nm)、α-ガラクトシダーゼ(403nm)、β-ガラクトシダーゼ(551nm)、β-グルクロニダーゼ(586nm)、α-グルコシダーゼ(556nm)、N-アセチル-β-グルコサミニダーゼ(416nm)、α-マンノシダーゼ(403nm)、α-フコシダーゼ(552)]を測定した。 [0063] 結果を図4に示す。 [0064] 図4に示すように、チャーガの熱水抽出物(Ch W)単独では、アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、トリプシン、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、β-グルクロニダーゼ、α-マンノシダーゼ、及びα-フコシダーゼの活性を亢進した。チャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルの熱水抽出物の等量混合物(Ch W+Pl W)では、アルカリ性フォスファターゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、トリプシンの活性を僅かに亢進し、エステラーゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、β-グルクロニダーゼについては、チャーガの熱水抽出物(Ch W)単独よりも強く活性化した。チャーガの熱水抽出物とプランタゴマヨルのアルコール抽出物の等量混合物(Ch W+Pl A)では、エステラーゼ、とナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼが僅かに活性化され、バリンアリルアミダーゼが強く活性化された。 [0065] 実験例5 市販の育毛剤(A sol:リアップ×5(大正製薬(株))、B sol:ブラック加美乃素NEO((株)加美乃素本舗)、C sol:スカルププレミアムXL((株)ドウシシャ)、D sol:「カロヤンアポジカシグマプラス」(第一三共ヘルスケア(株)))と、チャーガの熱水抽出物(charga 500μg/ml)について、各種の酵素(アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、酸性フォスファターゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、及びα-フコシダーゼ)の活性に与える影響を明らかにするために、酵素活性研究試薬キットであるアピザイム(シスメックス・ビオメリュー株式会社、日本)を用いて吸光度[アルカリフォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ (以上、551nm);ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ(以上、497nm);シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α-キモトリプシン(以上、402nm);酸性フォスファターゼ(540nm)、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ(547nm)、α-ガラクトシダーゼ(403nm)、β-ガラクトシダーゼ(551nm)、β-グルクロニダーゼ(586nm)、α-グルコシダーゼ(556nm)、N-アセチル-β-グルコサミニダーゼ(416nm)、α-マンノシダーゼ(403nm)、α-フコシダーゼ(552nm)]を測定した。酵素液(インターナルオルガン溶液)として、実験例3と同様に、SDラットの肝臓、膵臓、小腸、血漿、及び腎臓のホモジネートを使用した。酵素液(インターナルオルガン溶液)32.5μlと、市販の育毛剤(リアップ×5:A sol, ブラック加美乃素NEO:B sol, スカルププレミアムXL:C sol, カロヤンアポジカシグマプラス:D sol)またはチャーガの熱水抽出物(charga 500μg/ml)をそれぞれ32.5μlとを混合し、またコントロール群にはインターナルオルガン溶液32.5μlと超純水32.5μlとを混合して、アピザイムキットに加えて、37℃で4時間インキュベーションした後、ZYM A試薬溶液32.5μlとZYM B試薬溶液32.5μlを加えて、ナノドロップ1000分光光度計(エル・エム・エス、東京)にて吸光度[アルカリフォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ (551nm)、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ(497nm)、シスチンアリルアミダーゼ、トリプシン、α-キモトリプシン(402nm)、酸性フォスファターゼ(540nm)、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ(547nm)、α-ガラクトシダーゼ(403nm)、β-ガラクトシダーゼ(551nm)、β-グルクロニダーゼ(586nm)、α-グルコシダーゼ(556nm)、N-アセチル-β-グルコサミニダーゼ(416nm)、α-マンノシダーゼ(403nm)、α-フコシダーゼ(552nm)]を測定した。 [0066] 結果を図5に示す。 [0067] 図5に示すように、チャーガの熱水抽出物(ChW)単独は、Asol, Bsol, Csol, Dsolと比較して、アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、酸性フォスファターゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、及びα-フコシダーゼの酵素活性を強力に亢進した。A solでは僅かに、アルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼを活性化した。B solでも、僅かにアルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、酸性フォスファターゼを活性化した。C solでも、僅かにアルカリ性フォスファターゼ、エステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、リパーゼ、ロイシンアリルアミダーゼ、バリンアリルアミダーゼ、β-グルコシダーゼ、及びα-フコシダーゼを活性化した。D solは、僅かにシスチンアリルアミダーゼのみを活性化した。 [0068] 実験例6 [実験方法] SPFラット(SD系統)に、チャーガのアルコール抽出液(チャーガを乾燥物換算に250μg/ml含有。最終アルコール濃度0.22%)、またはチャーガの熱水抽出液(チャーガを乾燥物換算で250μg/ml含有)をそれぞれ飲料水として飲ませ、4週間後に髭と背部の毛を剃毛した(Ch A群は2匹、Ch W群は5匹使用)。対照群(CTR群、n=3)として水を飲ませたラットについても、4週間後に同様に剃毛した。ラット飼育中に、食餌量、飲水量、体重をおよそ5日ごとに計測した。また、剃毛後8日目に屠殺し、ヘパリンを含むシリンジに血液を採取し、肝臓、皮膚、及び毛包を摘出した。次いで、摘出した肝臓及び皮膚をそれぞれPBSにてホモジナイズし、肝臓及び皮膚のホモジネートを調製した。 [0069] 血液を被験試料として、血漿中の総タンパク質量(TP)、総コレステロール量(T-Cho)、中性脂肪量(トリグリセリド量)(TG)、及びグルコース量を定法に従って定量した。また、血漿、肝臓及び皮膚のホモジネートをそれぞれ試料として、各種の代謝酵素の活性を解析した。なお、代謝酵素活性の解析は、実験例3等と同様に、酵素活性研究試薬である「アピザイムキット」を使用し、反応液の吸光度をスペクトロフォトメーター(NanoDrop 1000, Thermo Fisher Scientific, Chelmsford, MA, USA)にて測定した。 [0070] さらに、髭と背部から摘出した毛包における遺伝子の発現変化を、下記のマイクロアレイ解析により求めた。 [0071] マイクロアレイ解析 摘出した毛包を、trypsin-EDTA溶液(SAFC Biosciences, KS, USA)を用いて回収し、PBSにて洗浄後、Qiagen RNeasy Midi Kit (Qiagen, Hilden, Germany) の添付プロトコールに従って全RNAの抽出を行った。続いて、Low RNA(Agilent Technologies) を用いて500ng全RNAサンプルからcDNAを合成し、cRNAをラベル化し増幅を行った。具体的には、チャーガ熱水抽出物投与群(Ch W群)及びチャーガアルコール抽出物投与群(Ch A群)から調製したcRNAをCy5でラベル化し、また対照群(CTR群)から調製したcRNAをCy3でラベル化した。約19,000個の代表的ヒト遺伝子を搭載したHuman 1A v2 oligo microarray (Agilent Technologies)を用いてラベル化cRNAを、60℃で17時間ハイブリダイゼーションを行った。解析はFeature Extraction (Agilent Technologies)およびGeneSpring7.0(Silicon Genetics, CA, USA)ソフトウェアーを用いて行った。 [0072] [実験結果] (1)ラット飲水量、摂食量、及び体重変化 図6にラット(Ch A群[チャーガのアルコール抽出物投与群]、Ch W群[チャーガの熱水抽出物投与群]、CTR群[対照群])の飲水量の経時的変化と4週間における飲水総量を示す。また図7及び8にラット(Ch A群、Ch W群、CTR群)の4週間における摂食総量及び体重変化をそれぞれ示す。 [0073] これからわかるように、Ch W群はCTR群と比較して、18日目ぐらいから飲水量が減少し始め、その差は時間とともに大きくなった(図6左)。また、4週間を通して飲水量は有意に減少し(図6右)、逆に摂食量は有意に増加した(図7)。Ch A群についても、Ch W群と同様に飲水量の減少及び摂食量の増大が認められたが、その程度は、Ch W群のそれらと比較して緩やかであった。また摂食量の増大に伴い、Ch W群及びCh A群の体重は、CTR群と比較して増加しており、これからチャーガ抽出物の服用により成長が促進されることが認められた。 [0074] (2)血液解析(総タンパク質量、総コレステロール量、中性脂肪量(トリグリセリド量)、及びグルコース量) 血中の総タンパク質量(TP)、総コレステロール量(T-Cho)、中性脂肪量(トリグリセリド量)(TG)、及びグルコース量を定量した結果を図9に示す。この結果から、Ch W群は、CTR群及びCh A群と比較して、血中のグルコース量が顕著に減少することがわかる。またCh W群は、CTR群と比較して総コレステロール量(T-Cho)が低下し、またCh A群とは異なり中性脂肪量(TG)が上昇しないことが確認された。 [0075] 一方、Ch A群は、Ch W群と同様に、CTR群と比較して総コレステロール量(T-Cho)は低下するものの、中性脂肪量(TG)は逆に増加することが確認された。 [0076] (3)代謝酵素活性解析(血液、肝臓、皮膚) 血液、皮膚及び肝臓を対象とした代謝酵素活性の測定結果から、CTR群及びCh A群と比較して、Ch W群において有意に活性上昇が認められた代謝酵素の結果を、図10(血液)、図11(皮膚)、及び図12(肝臓)にそれぞれ示す。 [0077] 図10に示すように、血液の代謝酵素のうち、エネルギー代謝系酵素についてはアルカリ性フォスファターゼと酸性フォスファターゼが、Ch W群において、Ch A群の1.07倍及び1.42倍の活性上昇が認められた。同様に、脂肪代謝系ではエステラーゼが1.83倍;タンパク質代謝系ではシスチンアミノペプチダーゼが1.19倍;糖代謝系ではβグルクロニダーゼ、αグルコシダーゼ、βグルコシダーゼ及びβグルコサミニダーゼがそれぞれ1.19倍、1.6倍、1.31倍及び1.96倍もの高い活性が、Ch A群と比較してCh W群において認められた。 [0078] また図11に示すように、皮膚の代謝酵素のうち、エネルギー代謝系酵素についてはアルカリ性フォスファターゼ、酸性フォスファターゼ及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼが、Ch W群においてCh A群と比較してそれぞれ1.43倍、1.8倍及び1.35倍の活性上昇が認められた。同様に、脂肪代謝系ではエステラーゼ、エステラーゼリパーゼ及びリパーゼがそれぞれ1.97倍、1.52倍及び4.06倍;タンパク質代謝系ではバリンアリルアミダーゼ及びキモトリプシンがそれぞれ2.35倍及び1.22倍;糖代謝系ではβガラクトシダーゼ、βグルクロニダーゼ、αグルコシダーゼ、βグルコシダーゼ、及びαフコシダーゼがそれぞれ1.84倍、1.73倍、1.57倍、2.13倍及び1.82倍もの高い活性が、Ch A群と比較してCh W群において認められた。 [0079] さらに図12に示すように、肝臓の代謝酵素のうち、エネルギー代謝系酵素についてはアルカリ性フォスファターゼ及びナフトール-AS-BI-フォスフォヒドロラーゼが、Ch W群においてCh A群と比較してそれぞれ1.78倍及び3.03倍の活性上昇が認められた。同様に、タンパク質代謝系ではロイシンアリルアミダーゼ及びシスチンアリルアミダーゼがそれぞれ2.8倍及び1.43倍;糖代謝系ではαガラクトシダーゼ、αマンノシダーゼ、βグルコサミニダ-ゼ、及びβグルクロニダーゼがそれぞれ1.12倍、1.74倍、1.4倍及び2.79倍もの高い活性が、Ch A群と比較してCh W群において認められた。 [0080] (4)マイクロアレイ解析 チャーガアルコール抽出液とチャーガ熱水抽出液を内服することで発現した遺伝子の中で、Ch W群での発現がCh A抽出群での発現の3倍以上を示した遺伝子914個のうち、発毛に密接に関係すると考えられる遺伝子を表1に示す。 [0081] [表1] [0082] Ch W群に強く発現した遺伝子はプロラクチン関連遺伝子のPipをはじめ、Prp、 Prl17b1、及びPrl8a7であり、それぞれCh A群の540.08倍、55.84倍、29.40倍、及び3.08倍を示した。次に、Ch W群に強く発現した遺伝子は成長ホルモン関連遺伝子であるGh1及びGhsrであり、それぞれCh A群の190.20倍及び3.22倍を示した。成長ホルモンはインスリン様成長因子‐1およびIGF結合タンパク質の遺伝子の発現を介して作用するものと考えられている。本研究でも、Igfbp5及びInsl6が、それぞれCh A群の3.31倍及び3.24倍と、Ch W群に強く発現することから、これらの遺伝子は発毛促進に働くものと推測される。また、多くのケラチンの関連遺伝子(Krt18, Krt24, LOC683212, Kb15, Krt1-5, Krtap14l, Krtap13-2)が強く発現していることが確認された。また、ヘアリーエンハンサー(hairy enhancer)であるHey2及びHes3は、それぞれCh A群の22.95倍及び4.98倍と、Ch W群に強く発現した。更に、本研究ではCd86、Pcdh11x、Pcdh17、及びCd75などのカドヘリン関連遺伝子が、それぞれCh A群の22.49倍、15.97倍、7.34倍、及び4.73倍、Ch W群において発現が上昇していた。次に強く発現した遺伝子はFgf4及びFgf12であり、それぞれCh A群の18.21倍及び3.45倍、Ch W群において発現が上昇していた。また、Co19a1及びC016a1は、それぞれCh A群の13.45倍及び6.47倍、Ch W群において発現が上昇しており、毛包細胞の結合組織を安定なものにして、発毛促進に寄与していると考えられる。Card6及びCasp8は、それぞれCh A群の5.37倍及び5.03倍、Ch W群において発現が上昇しており、アポトーシスを誘導して発毛の成長を促進するものと考えられる。これら以外の、Abpa、 Magree、 Irf2、 LOC689378、 Lepr、LOC691984、 Itgb3、及び Eltd1などもCh A群よりもCh W群において発現が上昇しており、それぞれ異なった機構で発毛の促進効果を示すものと思われる。 [0083] 次は、逆にチャーガアルコール抽出液とチャーガ熱水抽出液を内服した時に発現した遺伝子の中で、Ch A群での発現がCh W群での発現の3倍以上を示した遺伝子533個のうち発毛に密接に関係すると考えられる遺伝子を表2に示した。 [0084] [表2] [0085] Ch A群での発現がCh W群での発現の3倍以上を示した遺伝子の群の中で、発毛に関係する遺伝子の発現はほとんど認められなかった。発現が検出された遺伝子は、Mucin 5AC, oligomeric mucus/gel-forming、及びKeratin associated protein 31-1の二つだけであった。Mucin 5ACはMuc76ac からMuc5acまでの72個の遺伝子部分、及びKrtap-31-1はKrtap31-71からKrtap31-2までの70個の遺伝子部分からなりたっていた。ムチンは毛包内の粘液であるが、過剰に発現されると毛包性ムチン沈着症になり、脱毛症が起こることが知られている。また、ケラチンのK31は増殖が停止した成熟した毛包に現れるケラチンであり、発毛を抑制することが知られている(Ramot Y, et al., FASEB J. 2010 Jun;24(6):1768-79. doi: 10.1096/fj.09-146415. Epub 2010 Jan 26)。 このため、チャーガアルコール抽出液を飲むことでは強い発毛促進効果は期待できないものとみなされる。 [0086] [考察] 以上示すように、チャーガ抽出物の内服による生体に対する影響は、チャーガのアルコール抽出物とチャーガの熱水抽出物とで明らかな違いが認められた。 [0087] 具体的には、上記(1)の結果から、チャーガ熱水抽出物は食欲を亢進して、のどの渇きを抑える作用があると推測できる。また、(2)に示すように、チャーガ熱水抽出物には、血中のグルコース量(血糖値)と総コレステロール量を低下させる働きがあることから、糖尿病や動脈硬化などの予防ないしは抑制に有効に寄与すると考えられる。 [0088] 一方、チャーガアルコール抽出物は、チャーガ熱水抽出物とは異なり、血中の中性脂肪量を特異的に増加させることが認められた。チャーガアルコール抽出物は、総コレステロール量を低下させることから、コレステロール低下による動脈硬化の予防効果は認められるが、中性脂肪はむしろ増加させてしまう。またチャーガアルコール抽出物は血中のグルコース量を低下する作用があるものの、その程度はチャーガ熱水抽出物と比べて低く、糖尿病の予防若しくは改善効果も弱いと考えられる。 [0089] さらに(3)に示すように、チャーガ熱水抽出物を経口投与することで、13種類の皮膚の代謝酵素の活性が、対照群(CTR群)及びチャーガアルコール抽出物投与群(Ch A群)よりも強く上昇することが確認された。なかでも毛髪の成長に関係すると思われるアルカリ性フォスファターゼ、酸性フォスファターゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドラーゼは強い活性上昇が認められた。またアルカリフォスファターゼ活性の上昇は、骨組織や腎機能が亢進することで発毛効果が促進される可能性を示唆している。また、毛髪の成長を助ける脂質代謝酵素のエステラーゼ、エステラーゼリパーゼ、及びリパーゼはいずれも、チャーガ熱水抽出物の経口投与により活性が強く上昇された。またチャーガ熱水抽出物を経口投与することで、8種類の血液の代謝酵素の活性が、CTR群及びCh A群よりも強く上昇することが確認された。なかでもアルカリ性フォスファターゼ、酸性フォスファターゼ、エステラーゼ、シスチンアミノペプチダーゼは強い活性上昇が認められ、毛髪の成長促進に働いている可能性が高い。さらにチャーガ熱水抽出物を経口投与することで、8種類の肝臓の代謝酵素の活性が、CTR群及びCh A群よりも強く上昇することが確認された。なかでもアルカリ性フォスファターゼ、ナフトール-AS-BI-フォスフォヒドラーゼ、ロイシンアリルアミダーゼは強い活性上昇が認められ、これらは毛包での毛髪促進に有効に働いている可能性が高い。 [0090] 遺伝子の発現に関しては、チャーガアルコール抽出液を内服することによって、プロラクチン関連遺伝子のPipをはじめ、Prp、Prl17b1、及びPrl8a7の発現が強くなった。プロラクチンは毛髪の成長を促進することが知られている(Ramot Y, et al., FASEB J. 2010 Jun;24(6):1768-79. doi: 10.1096/fj.09-146415. Epub 2010 Jan 26)。次に、成長ホルモン関連遺伝子である、Gh1とGhsrの発現が増強した。成長ホルモンはインスリン様成長因子‐1およびIGF結合タンパク質の遺伝子を発現させることにより毛包に作用するものと考えられる。Batch (1996)らは、インシュリン様成長因子-1(Igf1)は毛包の成長と毛周期の生理学的制御因子として重要であると指摘し(Batch J.A., et al., (1996) J. Invest. Dermatol. 106, 471-475)、Su(1999)らは毛包成長期における細胞の増殖と移動に重要な役割を果たしていることを示している(Su H.Y., et al., (1999). Insulin -like growth factor 1 and hair growth. Dermatol. Online J. 5, 1.)。 [0091] 本研究でも、Igfbp5とInsl6が強く発現することから発毛促進に働くものと推測される。また、多くのケラチンの関連遺伝子(Krt18, Krt24, LOC683212, Kb15, Krt1-5, Krtap14l, Krtap13-2など)が強く発現した。ケラチンは毛の主要成分であり、この遺伝子の発現増強は発毛に直結している。また、ヘアーエンハンサー(hair enhancer)であるHey2とHes3が強く発現した。更に、本研究ではCd86, Pcdh11x, Pcdh17, Cd75などのカドヘリン関連遺伝子の発現が上昇していた。PカドヘリンをコードしているCdh3が働かない変異では髪の毛が短くなる症状が報告されている。また、毛包内でPカドヘリンの発現を抑制すると成長期を促進するIGF-1の発現が減少し、退行期で関連するTgfb2の発現が増加したことが報告されている(Samuelov L, et al., J Invest Dermatol. 2012 Oct;132(10):2332-41. doi: 10.1038/jid.2012.171. Epub 2012 Jun 14)。本研究で検出されたCd86, Pcdh11x, Pcdh17, Cd75なども成長期を維持し、退行期への移行を抑制する方向に働くものと推測される。次に強く発現した遺伝子はFgf4とFgf12であった。Fgf7はHEY1, BMP2, SFRP2とともに培養した毛包が発毛を開始する際に強く表れる遺伝子の一つであり、毛母幹細胞に働きかけて発毛、増毛効果を示すことが知られている(Caire A. et.al. P1-10, PNAS Early Edition (2013))。これらFgf4とFgf12遺伝子も発毛促進に関連しているものと考えらえる。また、Co19a1とC016a1も増加し、毛包細胞の結合組織を安定なものにして、発毛促進に寄与しているのではないかと考えられる。Card6とCasp8は増加しアポトーシスを促進して発毛の成長を促進するものと考えられる。これら以外の、Abpa, Magree, Irf2, LOC689378, Lepr, LOC691984, Itgb3, Eltd1なども発現が増加して、それぞれ異なった機構で発毛の促進効果を示すものと思われる。 [0092] 以上のことから、チャーガ熱水抽出物とチャーガアルコール抽出物とは、明らかに成分及び作用が異なることが判明した。 [0093] 実験例7 [実験方法] SPFラット(SD系統)の剃髪後の背部皮膚及び切断後の髭周囲皮膚に、チャーガのアルコール抽出物(チャーガを乾燥物換算に250μg/ml含有。最終アルコール濃度0.22%)(Ch A塗布群:n=4)、またはチャーガの熱水抽出物(チャーガを乾燥物換算で250μg/ml含有)(Ch W塗布群:n=4)をそれぞれ含むクリーム(10% w/w) (ケラチナミンコーワ、20%尿素配合クリーム、コーワ、東京)を塗布して、2週間後に、背部皮膚及び髭の毛包を摘出し、遺伝子の発現変化を下記のマイクロアレイ解析により求めた。対照群(n=4)には上記クリームだけを塗布した。 [0094] マイクロアレイ解析 実験例6と同様に、摘出した毛包を、trypsin-EDTA溶液(SAFC Biosciences, KS, USA)を用いて回収し、PBSにて洗浄後、Qiagen RNeasy Midi Kit (Qiagen, Hilden, Germany) の添付プロトコールに従って全RNAの抽出を行った。続いて、Low RNA(Agilent Technologies) を用いて500ng全RNAサンプルからcDNAを合成し、cRNAをラベル化し増幅を行った。具体的には、チャーガ熱水抽出物入りクリーム塗布群(Ch W塗布群)及びチャーガアルコール抽出物入りクリーム塗布群(Ch A塗布群)から調製したcRNAをCy5でラベル化し、また対照群(CTR群)から調製したcRNAをCy3でラベル化した。約19,000個の代表的ヒト遺伝子を搭載したHuman 1A v2 oligo microarray (Agilent Technologies)を用いてラベル化cRNAを、60℃で17時間ハイブリダイゼーションを行い、マイクロアレイ解析を行った。 [0095] [結果と考察] チャーガアルコール抽出物及びチャーガ熱水抽出物を塗布することによって、それぞれ2999個及び4042個の遺伝子の発現が対照群の2倍以上に促進された。さらに、チャーガアルコール抽出物またはチャーガ熱水抽出物の塗布によって発現した遺伝子の中で、Ch W塗布群における発現がCh A塗布群における発現のおよそ3倍以上(2.97倍以上)を示した遺伝子755個のうち発毛に密接に関係する考えられる遺伝子を表3に示した。 [0096] [表3] [0097] Ch W塗布群に最も強く発現した遺伝子はFgf7で、Ch A塗布群の28.31倍であった。この遺伝子発現の強力な亢進は、発毛活性に直結している。次にCh W塗布群に強く発現した遺伝子はIgfl3及びIgfbp5であり、Ch A塗布群のそれぞれ22.69倍及び21.80倍であった。本実験にて、毛包内で強い発現が見られたIgfl3とIgfbp5もIgf1に類似した何らかの役割を果たしていると考えられる。次に、Mmp12、Mmp13、Mmp9、Mmp3、及びMmp7はCh W塗布群に強く発現し、Ch A塗布群のそれぞれ19.23、10.83、7.41、4.28、及び4.22倍を示した。毛型の表皮細胞が毛乳頭を形成するために真皮層に侵入する際、何種類ものマトリックスメタロプロテイネース(Mmp)が必要である。また、Ets-2のノックアウトマウスは、Mmp3とMmp9が皮膚で発現されず、発毛に異常をきたして縮れ毛になることが報告されている(Engsig MT, et al., J Cell Biol. 2000 Nov 13;151(4):879-89.) 。従って、発現が増強されたMmp9及びMmp 3だけでなく、Mmp12、Mmp13、及びMmp7も発毛に重要な役割を担っているものと考えられる。次に、Ch W塗布群に強く発現が認められた遺伝子はS100a9, S100vp, 及びS100a8で、それぞれCh A塗布群の発現量の9.05, 5.65,及び4.47倍であった。これらのS100A遺伝子群は毛包内での強い発現が知られている。S100A3の発現は成長期に限局し、S100A4とS100A6は退行期、休止期、成長期にも発現が認められるが(Kizawa K, et al., Br J Dermatol. 2005 Feb;152(2):314-20)、未だ毛包内での調節機構は明らかになっていない。本研究で検出されたS100a9, S100vp,及びS100a8なども何らかの毛包内での調節にかかわっているものと考えられる。更に、Cdh15, Cdh17, Cdh20, 及びCdhr1などのカドヘリン関連遺伝子がCh W塗布群に強く発現が認められ、それぞれCh A塗布群の発現量の6.54, 3.94, 2.97, 3.09倍であった。また、毛包内でPカドヘリンの発現を抑制すると成長期を促進するIGF-1の発現が減少し、退行期で関連するTgfb2の発現が増加していた。Cdh15, Cdh17, Cdh20, Cdhr1なども成長期を維持し、退行期への移行を抑制する方向に働くものと推測される。 [0098] 以上のCh W塗布群に認められた遺伝子の発現状況からも、チャーガ熱水抽出物が高い毛髪成長促進効果を発揮することが裏付けられた。 [0099] 逆にチャーガアルコール抽出物とチャーガ熱水抽出物の塗布によって発現した遺伝子の中で、Ch A塗布群の発現がCh W塗布群の発現のおよそ3倍以上(2.97倍以上)を示した遺伝子700個のうち発毛に密接に関係する考えられる遺伝子を表4に示た。 [0100] [表4] [0101] Ch A塗布群で最も強く発現した遺伝子はLOC68320(TNFa誘導タンパク質3)であり、スーパーファミリーのTnfrsf26及びTnfrsf15も、Ch W塗布群と比べてそれぞれ6.01倍及び3.80倍の発現を示した。これらに関連するTNFはプロラクチンの発現抑制を介して毛の成長阻害効果が知られていることから(Ewan A. et al., PLoS ONE 8(4): e60819. doi:10.1371/journal.pone.0060819)、抑制的に働くものと考えられる。なかでも、TNFa は代表的な炎症性サイトカインで、毛乳頭自身に対しては毛乳頭全体の凝縮等の機能阻害を誘発し、メタロプロテイナーゼの活性化によりマトリックスを分解し、TGFbを分泌させ、退行期、休止期を誘導するものと考えられる(Burton MJ, et al., Invest Ophthalmol Vis Sci. 2010 Jul;51(7):3583-90. doi: 10.1167/iovs.09-4550. Epub 2010 Mar 17)。従って、これらTNF関連遺伝子は毛髪の成長抑制に働くものと考えられる。次に、インターフェロン誘導タンパク質44様のIfi44lは、Ch W塗布群と比べて30.07倍の発現を示した。インターフェロンの副作用で髪が抜けることはよく知られている(Duncan FJ, et al., J Invest Dermatol. 2013 Feb;133(2):334-43. doi: 10.1038/jid.2012.344. Epub 2012 Sep 27)。また、プロスタグランジンFレセプターであるPtgfrはCh W塗布群と比べて17.81倍の発現を示した。プロスタグランジンD2は毛包の毛髪の成長をストップさせる働きを持っていて、脱毛症部位の活性が高くなっていることが報告されている(Garza LA, et al., Sci Transl Med. 2012 Mar 21;4(126):126ra34. doi: 10.1126/scitranslmed.300312)。更に、IL17及びIl4はCh W塗布群と比べてそれぞれ17.36倍及び12.08倍の発現を示した。インターロイキンは炎症部位に発現する因子で、髪の毛が抜ける原因とも考えられる(Lu D, et al., Gene. 2013 Jun 1;521(2):282-6. doi: 10.1016/j.gene.2013.02.048. Epub 2013 Mar 28)。また、プロラクチンファミィーリー2関連タンパク質のPrl2b1は、Ch W塗布群と比べて9.39倍と高い発現を示した。プロラクチンはケラチンのK5, K14, K15, K19の発現を促進して、K6とK31を抑制することで、発毛に密接に関係しているものと考えられている (Ramot Y, et al., FASEB J. 2010 Jun;24(6):1768-79. doi: 10.1096/fj.09-146415. Epub 2010 Jan 26)。 [0102] 以上の遺伝子のほとんどすべては、発毛を阻害して、抜け毛や成長停止に働く遺伝子であり、このことからチャーガアルコール抽出物は、チャーガ熱水抽出液とは逆に毛髪成長抑制に働くと考えられる。 [0103] 以上説明するように、発毛の促進に働くものと期待される多くの遺伝子が、Ch A塗布群よりもCh W塗布群において強く発現していることが明らかになった。このことは、チャーガ熱水抽出物が、チャーガアルコール抽出物よりも強い発毛・育毛効果を有していることを示すものである。 [0104] 処方例1 発毛・育毛スプレー チャーガの熱水抽出物2重量%を含む水溶液に保存剤としてパラベン(パラオキシ安息香酸エステル 類)0.05重量%加えてスプレー容器に入れ発毛・育毛スプレーを調製する。 [0105] 処方例2 発毛・育毛クリーム 10%尿素クリームにチャーガの熱水抽出物2重量%を加え、保存剤としてパラベン(パラオキシ安息香酸エステル 類)0.05重量%加えて発毛・育毛クリームを調製する。 [0106] 処方例3 発毛・育毛シャンプー POEラウリルエーテル硫酸Na、コカミドプロピルベタイン(または、ラウラミドプロピルベタイン)、コカミドDEA(または、コカミドMEA)を含むシャンプーにチャーガの熱水抽出物2重量%を加え、発毛・育毛シャンプーを調製する。 [0107] 処方例4 発毛・育毛トニック 血行促進剤としてニコチン酸アミド、殺菌剤としてピロクトン オラミンに、チャーガの熱水抽出物2重量%を加え、発毛・育毛トニックを調製する。 [0108] 処方例5 発毛・育毛カプセル 賦形剤として、乳糖を用いて10重量%になるようにチャーガの熱水抽出物(乾燥物)を10重量%になるように加え、混和して均質としたものをカプセルに充てんする。 [0109] 処方例6 発毛・育毛錠剤 賦形剤として、乳糖を用いて10重量%になるようにチャーガの熱水抽出物(乾燥物)を10重量%になるように加え、混和して均質としたものを打錠機にて、錠剤とする。 [0110] 処方例7 発毛・育毛茶 ティーバッグにチャーガの熱水抽出物(乾燥物)10gを充てんし、熱湯に浸漬して、お茶として飲む。 |
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