METHOD FOR SELECTIVELY AMPLIFYING PLACENTAL OR PERIPLACENTAL TISSUE STEM CELLS
外国特許コード | F150008423 |
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掲載日 | 2015年10月9日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2014JP054400 |
国際公開番号 | WO 2014132936 |
国際出願日 | 平成26年2月25日(2014.2.25) |
国際公開日 | 平成26年9月4日(2014.9.4) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) | METHOD FOR SELECTIVELY AMPLIFYING PLACENTAL OR PERIPLACENTAL TISSUE STEM CELLS |
発明の概要(英語) | [Problem] To provide a method for selectively and highly amplifying stem cells that are derived from a periplacental tissue, etc. [Solution] A method which comprises primary-culturing and subculturing, at a low cell concentration, a cell mass containing stem cells derived from the placenta, amnion, umbilical cord, etc., in the presence of feeder cells to efficiently prepare stem cells derived from, for example, the placenta, amnion or umbilical cord. |
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国際特許分類(IPC) |
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発明の名称 | 胎盤・胎盤周囲組織幹細胞の選択的増幅方法 |
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発明の概要 | 【課題】胎盤周囲組織などに由来する幹細胞の選択的かつ高増幅する方法を提供する。 【解決手段】胎盤・羊膜、臍帯などに由来する幹細胞を含む細胞集団をフィーダー細胞の存在下で、かつ、低細胞濃度で初期培養および継代培養することにより、胎盤・羊膜、臍帯など、胎盤などに由来する幹細胞を効率的に調製する。 |
特許請求の範囲 |
[請求項1] (A)哺乳動物の胎盤または胎盤周囲組織から幹細胞を含む細胞集団を採取するステップと、(B)前記採取された細胞集団を、1~500/cm2の細胞濃度において播種し、フィーダー細胞の存在下に2~3週間共培養(初期培養)するステップと、(C)前記初期培養された細胞集団を1~500/cm2細胞濃度において播種し、フィーダー細胞存在下に1週間に2回の培地交換を行う継代培養を2~5回繰り返すステップと、(D)前記継代培養において円形状の形態を有する細胞のコロニーが形成されるまで共培養を維持するステップを含む、胎盤または胎盤周囲組織幹細胞の選択的増幅方法。 [請求項2] 哺乳動物の胎盤または胎盤周囲組織が、胎盤周囲組織である請求項1に記載の幹細胞の選択的増幅方法。 [請求項3] 胎盤周囲組織が羊膜または臍帯である請求項2に記載の幹細胞の選択的増幅方法。 [請求項4] 羊膜がヒト羊膜である請求項3に記載の幹細胞の選択的増幅方法。 [請求項5] 初期培養および/または継代培養における共培養が、同一の培養皿で培養を行うものである、請求項1~4のいずれかに記載の幹細胞の選択的増幅方法。 [請求項6] 初期培養および/または継代培養における共培養が、幹細胞を含む細胞集団とフィーダー細胞とが非接触の状態で培養を行うものである、請求項1~4のいずれかに記載の幹細胞の選択的増幅方法。 [請求項7] フィーダー細胞がマウス3T3である請求項1~6のいずれかに記載の幹細胞の選択的増幅方法。 [請求項8] フィーダー細胞の濃度が3×102/cm2~5×105/cm2、である請求項1~7のいずれかに記載の幹細胞の選択的増幅方法。 |
明細書 |
明 細 書 発明の名称 : 胎盤・胎盤周囲組織幹細胞の選択的増幅方法 技術分野 [0001] 本発明は、胎児育成に関与する組織(胎盤、羊膜、臍帯)から上皮系幹細胞および間葉系幹細胞を選択的に増幅する方法に関する。 背景技術 [0002] 胎児と母体の複合組織である胎盤および胎児組織である羊膜・臍帯は、胎児育成に関与する組織である。 胎盤は、胚および胎児の組織と母体の組織とが緊密に接着した複合組織であり、両者の間に物質の交換や細胞レベルの相互作用などの生理的に重要な役割を果たしている。 羊膜は、外胚葉由来の上皮細胞と中胚葉由来の間葉系細胞から構成される胚体外組織であり、多能性幹細胞としての特性を有する細胞群を含有することが確認されており、例えば、ヒト羊膜上皮由来幹細胞の肝細胞やインスリン産生細胞への分化、ヒト羊膜由来間葉系幹細胞の軟骨細胞や心筋細胞へ分化が知られている(特許文献1)。 臍帯は、外層を取り囲む羊膜とワルトンのゼリーと呼ばれる膠様組織及び臍動脈、臍静脈で構成される組織であり、ワルトンのゼリーには間葉系幹細胞が存在し、軟骨細胞、脂肪組織、骨に分化することが知られている(非特許文献1)。 胎盤は合胞体栄養細胞、Langhans細胞、線維芽細胞、組織球、脱落膜細胞など多数の細胞が含まれ、これらの細胞の中でCD59陽性を示す細胞が幹細胞として有望である。 [0003] 一方、放射線照射したヒトもしくはマウス細胞(フィーダー細胞)が、上皮細胞などを培養する際の増殖促進のために使用されている。 例えば、MRC-5(ヒト胎児肺線維芽細胞)、3T3(マウス皮膚線維芽細胞)、STO(チオグアニン/ウワバイン耐性マウス胎児線維芽細胞)などが知られている。 [0004] 特許文献1 : 日本国特開2003-231639号公報 特許文献2 : PCT/JP2012/080375 非特許文献1 : Cellular Reprograming, 14(5), 448-455 (2012). 発明の開示 発明が解決しようとする課題 [0005] ヒト胎盤およびその周囲組織は、出産後の排泄物として廃棄されるものであるので、生体材料として使用する上での倫理的問題が少ない。 また、胎盤周囲組織の中で羊膜は、免疫学的にも特殊な性質を有しており、免疫原性が低いため、他家移植による免疫拒絶反応も比較的穏やかであることが期待されているものの、羊膜由来細胞の細胞集団から、選択的に上皮系幹細胞や間葉系幹細胞を取得する技術や効率良く細胞を増幅する技術に関しては、改良技術が求められている。 同様に、胎盤周囲組織に含まれる種々の細胞から、選択的に間葉系幹細胞を収得し、効率良く細胞を増幅する技術に関し、改良技術が求められている。 課題を解決するための手段 [0006] このような状況下、本発明者らは、哺乳動物の胎盤周囲組織の細胞、特に羊膜由来の間葉系細胞について、効率よく簡便に、長期間にわたり継代培養可能な増殖能と高い分化能を兼ね備えた間葉系幹細胞集団を調製する方法に関して、国際特許出願(特許文献2)を行うとともにさらに研究を進め、ヒト羊膜細胞から増殖能の高い上皮系幹細胞・間葉系幹細胞を選択的に取得することに成功し、本発明を完成するに至った。 以下、本発明を詳細に説明する。 [0007] 本発明は、(A)哺乳動物の胎盤または胎盤周囲組織から幹細胞を含む細胞集団を採取するステップと、(B)前記採取された細胞集団を、1~500/cm2の細胞濃度において播種し、フィーダー細胞の存在下に2~3週間共培養(初期培養)するステップと、(C)前記初期培養された細胞集団を1~500/cm2細胞濃度において播種し、フィーダー細胞存在下に1週間に2回の培地交換を行う継代培養を2~5回繰り返すステップと、(D)前記継代培養において円形状の形態を有する細胞のコロニーが形成されるまで同一の培養皿で培養を維持するステップを含む、胎盤または胎盤周囲組織幹細胞の選択的増幅方法を提供するものである。 [0008] 前記哺乳動物は、ヒトをはじめとする霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、イヌ、ウサギ、モルモット、ラット、マウスなどが挙げられるが、ヒトが好ましい。 [0009] 前記胎盤周囲組織は、羊膜および臍帯が挙げられるが、羊膜が好ましい。 [0010] 前記ステップ(B)および(C)における細胞濃度は、5~50/cm2であることが好ましい。 [0011] 前記ステップ(B)および(C)におけるフィーダー細胞は、ガンマ線など放射線で処理された、Swiss/3T3、NIH/3T3、BALB/3T3、3T3J2などマウス3T3細胞が好ましい。 [0012] 本発明における共培養は、同一の培養皿で培養することが好ましいが、胎盤または胎盤周囲組織からの幹細胞を含む細胞集団とフィーダー細胞とが接触しないように膜などで隔壁を設けて(非接触の状態)培養してもよい。 [0013] 前記胎盤または胎盤周囲組織の幹細胞は、形態に関係なく、20回以上の細胞分裂が可能であることが望ましい。 [0014] 胎盤周囲組織の一つである羊膜に由来の幹細胞は、円形状の形態、かつ20回以上の細胞分裂(population doubling)が可能であることが望ましい。 発明の効果 [0015] 本発明に係る幹細胞集団の調製方法は、高い分化能と増殖能を有する胎盤・胎盤周囲組織幹細胞、特に羊膜間葉系幹細胞集団・羊膜上皮系幹細胞集団を、哺乳動物の胎盤・胎盤周囲組織から効率よく簡便に調製することを可能とする。 また、本発明に係る方法により調製された羊膜幹細胞集団などの胎盤周囲組織幹細胞を用いることにより、倫理的問題が少なく、かつ、他家移植による免疫拒絶反応が少ない安全な再生医療が可能となる。 図面の簡単な説明 [0016] [図1] 羊膜間葉系幹細胞を含む細胞集団の培養状態を示す図である。 [図2] ヒト羊膜間葉系幹細胞を含む細胞集団から形成された細胞集団(コロニー)の転写因子の発現(mRNA)を示す図である。(a)ヒト羊膜間葉系幹細胞コロニー/フィーダー細胞(3×104)(b)ヒト羊膜間葉系幹細胞コロニー/フィーダー細胞(1×105)(c)ヒト羊膜間葉系幹細胞コロニー/フィーダー細胞(3×105)(d)フィーダー細胞(3T3-J2)のみをそれぞれ示す。 発明を実施するための形態 [0017] 「胎盤周囲組織」とは哺乳動物の発生過程において形成される、羊膜、臍帯など胎児育成に関与する組織である。 [0018] 「羊膜」とは、哺乳動物の発生過程において形成される、胎子と羊水を包む膜である。本発明で使用される羊膜は、好ましくはヒトの羊膜である。 [0019] 「細胞集団」とは、当該技術分野において通常理解される意味であり、複数の細胞の集まりのことである。 採取された羊膜幹細胞の細胞集団、臍帯及び胎盤周囲組織の細胞集団には、種々の増殖能、寿命、性質を有する細胞が混在している。 [0020] 羊膜などの胎盤周囲組織は、通常の外科的手法により得ることができる。 または、分娩後に廃棄される胎盤から得ることも可能である。 ヒト胎盤周囲組織は、例えばインフォームドコンセントを得た妊婦から、帝王切開により採取することができる。 [0021] 胎盤周囲組織の一つである羊膜の場合、本発明の方法では、ステップ(A)として、哺乳動物の羊膜から幹細胞の細胞集団を採取する。 羊膜は、上皮細胞と間葉系細胞とから構成されている。 上皮系細胞は、例えば、羊膜をヒアルロニダーゼやデオキシリボヌクレアーゼなどの存在下に断片化し、トリプシンなどの酵素で羊膜組織片を消化し、得られた消化液を、ガーゼ等を使用したろ過処理したろ液から採取すればよい。 また、間葉系細胞は、上記したろ過処理でガーゼ等に残った羊膜組織片を、コラゲナーゼなどの酵素で羊膜組織片を消化し得られた消化液から採取すればよい。 また、哺乳動物の羊膜から幹細胞の細胞集団の採取は、特開2003-231639号公報に記載される方法に準じて行うことができる。 [0022] 胎盤周囲組織の一つである臍帯から幹細胞集団を採取する場合、外側の羊膜及び臍動脈、臍静脈を剥離する。 その他部位を細切し、トリプシン、コラゲナーゼなどの酵素で臍帯ワルトンのゼリーの断片を消化し、得られた消化液を、ガーゼ等を使用したろ過処理したろ液から採取すればよい。 [0023] 胎盤から幹細胞集団を採取する場合、胎盤から充分に血液を除去した後、組織を細切し、ヒアルロニダーゼやデオキシリボヌクレアーゼなどの存在下に断片化し、トリプシンなどの酵素で羊膜組織片を消化し、得られた消化液を、ガーゼ等を使用したろ過処理したろ液から採取すればよい。 [0024] 本発明方法では、フィーダー細胞を使用する。 このフィーダー細胞で好ましいものは、Swiss/3T3、NIH/3T3、BALB/3T3、3T3J2などマウス3T3細胞であり、それはガンマ線など放射線で処理されたものである。 [0025] 本発明方法で使用されるフィーダー細胞の濃度は、3×102/cm2~5×105/cm2、好ましくは、3×103/cm2~5×104/cm2である。 [0026] 本発明の方法で得られる羊膜幹細胞は、円形状の形態、かつ50回以上の細胞分裂(population doubling)が可能である。 [0027] 本発明の方法で得られる臍帯幹細胞は、紡錘状の形態で、かつ浮遊培養により20回以上の細胞分裂(population doubling)、幹細胞としての特性維持が可能である。 また、本発明の方法で得られる胎盤からの細胞集団は、形態に関係なく、かつ20回以上の細胞分裂(population doubling)が可能である。 実施例 1 [0028] 以下、本発明を参考例、実施例で説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。 [0029] <羊膜幹細胞の細胞集団の調製> インフォームドコンセントを得たヒト妊婦を帝王切開し、ヒト羊膜を入手した。 得られた羊膜から血液などを除去した後、直ちに0.03%ヒアルロニダーゼと0.025%デオキシリボヌクレアーゼIが入ったリン酸塩緩衝液に浸し、手術用ハサミにより断片化した。 その後、0.25%trypsin/DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)溶液中、37℃で30分間インキュベートすることにより羊膜組織断片を消化し、消化溶液をガーゼで濾過する操作を6~8回繰り返した。 この工程により、羊膜組織断片からヒト羊膜上皮幹細胞を含む細胞集団を採取した。 [0030] ガーゼに残った羊膜組織断片を、0.075%コラゲナーゼ-0.0075%DNアーゼI/DMEM溶液中、37℃で15分間インキュベートすることにより消化した。 得られた消化溶液をガーゼで濾過し、ヒト羊膜間葉系幹細胞を含む細胞集団を採取した。 [0031] <フィーダーの調製> マウス線維芽細胞3T3J2細胞を10%牛胎児血清、L-グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むDMEM培地を用い、37℃、5%炭酸ガスインキュベーター中で培養した。 3~4日でコンフルエントになったところで0.05%トリプシン、0.004%EDTAを含むリン酸塩緩衝液処理することにより剥離回収した。 回収した細胞で継代培養を行った。 0.05%トリプシン、0.004%EDTAを含むリン酸塩緩衝液処理により剥離回収した3T3J2細胞を放射線処理(60Gry)した後、1×104個/cm2で播種し、一晩培養したものをフィーダーとした。 [0032] <羊膜幹細胞の選択的増幅> ヒト羊膜間葉系幹細胞を含む細胞集団を5個/cm2~50個/cm2ディッシュで播種し、10%牛胎児血清、L-グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むDMEM培地を用い、37℃、5%炭酸ガスインキュベーター中でフィーダー細胞存在下または不存在下に培養した。1週間に2回培地を交換する。7~10日後にコロニーが見えてくる(図1の初代培養)。 20~30日間培養した後、0.05%トリプシン、0.004%EDTAを含むリン酸塩緩衝液処理することにより剥離回収し、再度、上記と同条件で3T3J2細胞をフィーダー細胞として用いた上に播種すると7~10日後にコロニーが見えてくるようになる。これを繰り返す(図1の継代培養)。 [0033] ヒト羊膜間葉系幹細胞を含む細胞集団は、初代培養では、紡錘形の細胞と円形の細胞が存在するが、継代を重ねることで、円形の細胞のみになっていった。 一方、ヒト羊膜間葉系幹細胞を含む細胞集団は、初代培養では、フィーダー細胞非存在下で増殖を示したが、継代を重ねるごとに、増殖しなくなった。 [0034] ヒト羊膜間葉系幹細胞を含む細胞集団から形成された細胞集団(コロニー)は、OCT3/4、Nanog、c-mycおよびKLF4などの転写因子のmRNAを発現する(図2)。 産業上の利用可能性 [0035] 本発明の方法は、長期間にわたり継代培養することができ、かつ、増殖能の高い胎盤・胎盤周囲組織の幹細胞、特に羊膜由来の上皮系幹細胞および間葉系幹細胞を調製できる。 本発明は、再生医療分野などにおいて利用される胎盤・胎盤周囲組織の幹細胞、特に羊膜由来幹細胞の効率的な調製に極めて有用な手段を提供するものである。 |
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