COMPOUND HAVING ANTI-ALLERGIC ACTIVITY AND USE OF SAME
外国特許コード | F150008437 |
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掲載日 | 2015年10月21日 |
出願国 | 世界知的所有権機関(WIPO) |
国際出願番号 | 2014JP052754 |
国際公開番号 | WO 2014148136 |
国際出願日 | 平成26年2月6日(2014.2.6) |
国際公開日 | 平成26年9月25日(2014.9.25) |
優先権データ |
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発明の名称 (英語) |
COMPOUND HAVING ANTI-ALLERGIC ACTIVITY AND USE OF SAME
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発明の概要(英語) | The purpose is to provide a novel compound for suppressing both IgE production and mast cell activation, and the use thereof. Provided is a novel compound that (1) is a derivative of a medium-chain fatty acid having 10 or 11 carbon atoms and (2) has a double bond at an end of the medium chain fatty acid, and in which (3) an amino group bonds to the carboxylic acid moiety. |
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国際特許分類(IPC) |
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指定国 |
National States: AE AG AL AM AO AT AU AZ BA BB BG BH BN BR BW BY BZ CA CH CL CN CO CR CU CZ DE DK DM DO DZ EC EE EG ES FI GB GD GE GH GM GT HN HR HU ID IL IN IR IS JP KE KG KN KP KR KZ LA LC LK LR LS LT LU LY MA MD ME MG MK MN MW MX MY MZ NA NG NI NO NZ OM PA PE PG PH PL PT QA RO RS RU RW SA SC SD SE SG SK SL SM ST SV SY TH TJ TM TN TR TT TZ UA UG US UZ VC VN ZA ZM ZW ARIPO: BW GH GM KE LR LS MW MZ NA RW SD SL SZ TZ UG ZM ZW EAPO: AM AZ BY KG KZ RU TJ TM EPO: AL AT BE BG CH CY CZ DE DK EE ES FI FR GB GR HR HU IE IS IT LT LU LV MC MK MT NL NO PL PT RO RS SE SI SK SM TR OAPI: BF BJ CF CG CI CM GA GN GQ GW KM ML MR NE SN TD TG |
日本語項目の表示
発明の名称 |
抗アレルギー活性化合物及びその用途
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発明の概要 | IgE産生と肥満細胞活性化の両者を抑制する新規化合物及びその用途を提供することを課題とする。(1)炭素数が10又は11の中鎖脂肪酸の誘導体であり、(2)中鎖脂肪酸の末端に二重結合を有し、(3)カルボン酸部分にアミノ基が結合している、新規化合物が提供される。 |
特許請求の範囲 |
[請求項1] 以下の化学式(A)又は(B)で表される抗アレルギー活性化合物: [化1] 但し、式中のR1は水素原子、非置換又は置換のメチル基、非置換又は置換のエチル基、非置換又は置換のペンチル基、或いは非置換又は置換のフェニル基であり、R2は非置換又は置換のエチル基、非置換又は置換のアミノエチル基、非置換又は置換のペンチル基、非置換又は置換のフェニル基、或いは非置換又は置換のピペリジニル基である。 [請求項2] 以下の化学式2~8のいずれかの化学式で表される、請求項1に記載の抗アレルギー活性化合物: [化2] [化3] [化4] [化5] [化6] [化7] [化8] [請求項3] 請求項1又は2に記載の抗アレルギー活性化合物又はその薬理学的に許容可能な塩を有効成分として含有する、抗アレルギー組成物。 [請求項4] 以下の化学式9又は10で表される化合物又はその薬理学的に許容可能な塩を有効成分として含有する、抗アレルギー組成物。 [化9] [化10] [請求項5] 医薬、医薬部外品、化粧料又は食品である、請求項3又は4に記載の組成物。 |
明細書 |
明 細 書 発明の名称 : 抗アレルギー活性化合物及びその用途 技術分野 [0001] 本発明は抗アレルギー活性を示す化合物及びその用途に関する。本出願は、2013年3月19日に出願された日本国特許出願第2013-056798号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。 背景技術 [0002] アレルギー疾患の患者数は漸増しており、疫学調査では国民の約1/3は何らかのアレルギー疾患に罹患しているとの報告がある。これに対し、近年、アレルギー疾患の治療ガイドラインが作成され(非特許文献1)、それに伴い吸入ステロイド薬などの使用率は増加しているが、アレルギー性鼻炎・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎などの疾患では治療に対する患者満足度がいまだ低く、欧米においても、これらアレルギー疾患とQOL・生産性の低下との関連性が指摘されており、新規治療薬の開発が望まれている。 先行技術文献 非特許文献 [0003] 非特許文献1 : アレルギー疾患診断・治療ガイドライン 2010、社団法人 日本アレルギー学会 発明の概要 発明が解決しようとする課題 [0004] これまでに開発上市されてきた多くの抗アレルギー薬は肥満細胞脱顆粒抑制薬、ヒスタミンH1拮抗薬、ロイコトリエン拮抗薬、Th2サイトカン産生抑制薬などであるが、アトピー性疾患の発症および病態形成に重要なIgE産生と肥満細胞活性化の両者を抑制する化合物は上市されていない。このような化合物の創製が可能となれば、IgE産生を抑制することにより特定抗原に対するアレルギー反応の軽減、また、肥満細胞活性化を抑制することにより症状の抑制が期待できる。そこで本発明は、IgE産生と肥満細胞活性化の両者を抑制する新規化合物及びその用途を提供することを課題とする。 課題を解決するための手段 [0005] アレルギー反応においてIgE抗体は肥満細胞の活性化のみならず、抗原の提示、種々の炎症性細胞の活性化など、中心的な役割を有することが知られており、特に近年、抗IgE抗体を用いた治療がアトピー性の難治性喘息患者の治療に適用されて以来、その役割が再び注目されている。一方、天然物由来成分には抗アレルギー作用を有するものがあるが、これまでに多様な作用が報告されている中鎖脂肪酸については不明である。そこで、本発明者らは、中鎖脂肪酸誘導体に着目し、抗アレルギー活性を有する化合物の創出を目指して研究を進めた。詳細な検討の結果、IgE産生とI型アレルギー反応(肥満細胞に結合したIgE抗体に特異抗原が結合した際に生ずるアレルギー反応)の両者を抑制しうる新規化合物を見出した。 以下に示す発明は上記成果に基づく。 [1]以下の化学式(A)又は(B)で表される抗アレルギー活性化合物: [化1] 但し、式中のR1は水素原子、非置換又は置換のメチル基、非置換又は置換のエチル基、非置換又は置換のペンチル基、或いは非置換又は置換のフェニル基であり、R2は非置換又は置換のエチル基、非置換又は置換のアミノエチル基、非置換又は置換のペンチル基、非置換又は置換のフェニル基、或いは非置換又は置換のピペリジニル基である。 [2]以下の化学式2~8のいずれかの化学式で表される、[1]に記載の抗アレルギー活性化合物: [化2] [化3] [化4] [化5] [化6] [化7] [化8] [3][1]又は[2]に記載の抗アレルギー活性化合物又はその薬理学的に許容可能な塩を有効成分として含有する、抗アレルギー組成物。 [4]以下の化学式9又は10で表される化合物又はその薬理学的に許容可能な塩を有効成分として含有する、抗アレルギー組成物。 [化9] [化10] [5]医薬、医薬部外品、化粧料又は食品である、[3]又は[4]に記載の組成物。 図面の簡単な説明 [0006] [図1] マウス能動皮膚アナフィラキシー(active cutaneous anaphylaxis;ACA)における各種TIC(中鎖脂肪酸誘導体)化合物の血管透過性亢進に及ぼす影響。各種TIC化合物の血管透過性亢進におよぼす影響をTIC化合物による抑制率(%)で示す。 [図2] ACAにおけるトシル酸スプラタスト(IPD)及び各種TIC化合物の血清中卵白アルブミン(OVA)特異的IgE値に及ぼす影響。(A)はIPDが血清中OVA特異的IgE値に及ぼす影響(各群8-9匹の成績)、(B)は各種TIC化合物の血清中OVA特異的IgE値に及ぼす影響を、対照薬であるIPDと比較した。以下の式を用いて比較を行った。比率=TIC化合物による抑制率(%)/IPDによる抑制率(%)。ACA(-): 非感作マウスに生理食塩水を経口投与した群、ACA(+): 感作マウスに生理食塩水を経口投与した群。**, ***: p< 0.005, 0.001 (vs ACA (+): Student’s t-test又はMann-Whitney’s U-testによる) [図3] マウス受動皮膚アナフィラキシー(passive cutaneous anaphylaxis;PCA)におけるジフェンヒドラミン(DPH)及び各種TIC化合物の血管透過性亢進に及ぼす影響(各群8匹の成績)。PCA(-); 非感作マウスに精製水を経口投与した群、PCA(+); 感作マウスに精製水を経口投与した群、Vehi; 感作マウスにvehicle(0.2% EtOH/PBS希釈液)を腹腔内投与した群。***: p< 0.001 (vs PCA(+): Student’s t-test又はMann-Whitney’s U-testによる)。#, ## p<0.05, 0.005 (vs Vehi: Dunnett’s multiple comparison testによる) [図4] 能動皮膚アナフィラキシー(ACA)の実験プロトコール。 [図5] 受動皮膚アナフィラキシー(PCA)の実験プロトコール。 発明を実施するための形態 [0007] 本発明の第1の局面は抗アレルギー活性化合物に関する。本発明の抗アレルギー活性化合物は以下の化学式(A)又は(B)で表される。 [化1] 但し、式中のR1は水素原子、非置換又は置換のメチル基、非置換又は置換のエチル基、非置換又は置換のペンチル基、或いは非置換又は置換のフェニル基であり、R2は非置換又は置換のエチル基、非置換又は置換のアミノエチル基、非置換又は置換のペンチル基、非置換又は置換のフェニル基、或いは非置換又は置換のピペリジニル基である。R1及び/又はR2が置換されている場合の置換位置は特に限定されない。2以上の位置で置換されていてもよい。置換基としてF、Cl、Br、I、炭素数1~5のアルキル基を例示できる。 [0008] 本発明の化合物は、(1)炭素数が10又は11の中鎖脂肪酸の誘導体である、(2)中鎖脂肪酸の末端に二重結合を有する、及び(3)カルボン酸部分にアミノ基が結合している(アミド体である)、という特徴を備える。 [0009] 本願が提供する化合物の具体例を以下に示す。尚、説明の便宜上、化合物名とその合成及び活性評価に際して付した特有の番号(後述の実施例を参照)によって各化合物を特定する。 [化2] TIC-11006(N-2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)ウンデセン-10-エナミド: N-2-(diisopropylamino)ethyl)undec-10-enamide) [化3] TIC-11014(N-2-(ジエチルアミノ)エチル)デセン-9-エナミド: N-2-(diethylamino)ethyl)dec-9-enamide) [化4] TIC-11022(N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-N-メチルウンデセン-10-エナミド: N-(2-(diethylamino)ethyl)-N-methylundec-10-enamide) [化5] TIC-11030(N-(ピペリジン-1-イル)ウンデセン-10-エナミド::N-(piperidin-1-yl)undec-10-enamide) [化6] TIC-11035(N,N-ジエチルウンデセン-10-エナミド: N,N-diethylundec-10-enamide) [化7] TIC-11039(N,N-ジペンチルウンデセン-10-エナミド: N,N-dipentylundec-10-enamide) [化8] TIC-11043(N,N-ジフェニルウンデセン-10-エナミド: N,N-diphenylundec-10-enamide) [0010] 後述の実施例に示す通り、上記の7化合物はIgE産生抑制作用とI型アレルギー反応抑制作用も併せ持つ化合物として同定された。この中でTIC-11006、TIC-11014、TIC-11022、TIC-11030及びTIC-11035の5化合物はIgE産生抑制作用が強く、I型アレルギー反応抑制作用も併せ持つ化合物であり有用性が高い。中でも、TIC-11030及びTIC-11035の作用は強力である。尚、以上の化合物の合成方法及び活性評価の結果の詳細は後述する。 [0011] 本発明の他の局面は、本発明の抗アレルギー活性化合物又はその薬理学的に許容可能な塩を有効成分として含有する抗アレルギー組成物を提供する。一態様では、本発明の組成物の有効成分としてTIC-11006、TIC-11014、TIC-11022、TIC-11030、TIC-11035、11039及びTIC-11043からなる群より選択される一又は二以上の化合物又はその塩が用いられる。理論に拘泥する訳ではないが、これらの化合物は、IgE産生抑制作用とI型アレルギー反応抑制作用も併せ持つとして同定されたものであることから、その使用によってIgE産生の抑制と、I型アレルギー反応の抑制という二つの作用によって効果を発揮し得る。換言すれば、アレルギー反応の源流と症状の両者を抑制し得る。 [0012] 好ましくは、IgE産生抑制作用が強く、I型アレルギー反応抑制作用も併せ持つ化合物、即ち、TIC-11006、TIC-11014、TIC-11022、TIC-11030及びTIC-11035からなる群より選択される一又は二以上の化合物、或いはその薬理学的に許容可能な塩を有効成分とする。更に好ましくは、強い作用を認めた化合物、即ち、TIC-11030及び/又はTIC-11035或いはその薬理学的に許容可能な塩を有効成分とする。 [0013] 本発明の組成物はアレルギーの治療又は予防目的で使用される。本発明の組成物の形態は特に限定されないが、好ましくは医薬、医薬部外品、化粧料又は食品である。即ち、本発明は好ましい態様として、本発明の抗アレルギー活性化合物又はその薬理学的に許容可能な塩を有効成分として含有する医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧料組成物及び食品組成物を提供する。尚、2種類以上の抗アレルギー活性化合物を併用することにしてもよい。 [0014] ここで、後述の実施例に示す通り、以下の化学式9に示す化合物(9-デセン酸)及び化学式10に示す化合物(10-ウンデセン酸)も高い抗アレルギー活性を示すことが明らかになった。そこで、上記抗アレルギー活性化合物に代えて又は加えて、これらの化合物のいずれか又は両者、或いはその薬理学的に許容可能な塩を有効成分として用いて各種組成物(医薬組成物、医薬部外品組成物、化粧料組成物及び食品組成物)を構成することにしてもよい。 [化9] TIC-11044(9-デセン酸:dec-9-enoic acid) [化10] TIC-11045(10-ウンデセン酸:undec-10-enoic acid) [0015] 本明細書における「薬理学的に許容される塩」の例として塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、ホウ酸等との塩(無機酸塩)や、ギ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸等との塩(有機酸塩)を挙げることができる。これらの塩の調製は慣用手段によって行なうことができる。尚、以上の例示は、「薬理学的に許容される塩」が限定解釈されるために用いられるべきではない。即ち、「薬理学的に許容される塩」は、広義に解釈されるべきであり、各種の塩を含む用語である。 [0016] 本発明の医薬組成物及び医薬部外品組成物の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることができる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。 [0017] 製剤化する場合の剤型も特に限定されず、例えば点鼻剤、点眼剤、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、外用剤、及び座剤などとして本発明の医薬組成物又は医薬部外品組成物を提供できる。 [0018] 本発明の医薬組成物には、期待される治療効果や予防効果を得るために必要な量(即ち治療上有効量)の有効成分が含有される。同様に本発明の医薬部外品組成物には、期待される改善効果や予防効果等を得るために必要な量の有効成分が含有される。本発明の医薬組成物又は医薬部外品組成物に含まれる有効成分量は一般に剤型や形態によって異なるが、所望の投与量を達成できるように有効成分量を例えば約0.1重量%~約95重量%の範囲内で設定する。 [0019] 本発明の医薬組成物及び医薬部外品組成物はその剤型・形態に応じて経口又は非経口(静脈内、動脈内、皮下、筋肉、又は腹腔内注射、経皮、経鼻、経粘膜、塗布など)で対象に適用される。ここでの「対象」は特に限定されず、ヒト及びヒト以外の哺乳動物(ペット動物、家畜、実験動物を含む。具体的には例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、サル、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ニワトリ、ウズラ等である)を含む。好ましい一態様では、適用対象はヒトである。 [0020] 本発明の医薬組成物及び医薬部外品組成物の投与量・使用量は、期待される効果が得られるように設定される。有効な投与量の設定においては一般に適用対象の症状、年齢、性別、体重などが考慮される。尚、当業者であればこれらの事項を考慮して適当な投与量を設定することが可能である。投与スケジュールとしては例えば一日一回~数回、二日に一回、或いは三日に一回などを採用できる。投与・使用スケジュールの作成においては、適用対象の症状や有効成分の効果持続時間などを考慮することができる。 [0021] 以上の記述から明らかな通り、本出願は、アレルギー疾患の患者に対して本発明の医薬組成物を治療上有効量投与することを特徴とする、アレルギー疾患の治療・予防法も提供する。 [0022] 上記の通り本発明の一態様は化粧料組成物である。本発明の化粧料組成物は抗アレルギー活性化合物又はその薬理学的に許容可能な塩と、化粧料に通常使用される成分・基材(例えば、各種油脂、ミネラルオイル、ワセリン、スクワラン、ラノリン、ミツロウ、変性アルコール、パルミチン酸デキストリン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール、パラベン、カンフル、メントール、各種ビタミン、酸化亜鉛、酸化チタン、安息香酸、エデト酸、カミツレ油、カラギーナン、キチン末、キトサン、香料、着色料など)を配合することによって得ることができる。 [0023] 化粧料組成物の形態として、フェイス又はボディー用の乳液、化粧水、クリーム、ローション、エッセンス、オイル、パック、シート、洗浄料などを例示できる。化粧料組成物における有効成分の添加量は特に限定されない。例えば0.1重量%~60重量%となるように有効成分を添加するとよい。 [0024] 上記の通り本発明の一態様は食品組成物である。本発明での「食品組成物」の例として一般食品(穀類、野菜、食肉、各種加工食品、菓子類(飴、ガムなど)、牛乳、清涼飲料水、アルコール飲料等)、栄養補助食品(サプリメント、栄養ドリンク等)、食品添加物、愛玩動物用食品、愛玩動物用栄養補助食品を挙げることができる。栄養補助食品又は食品添加物の場合、粉末、顆粒末、タブレット、ペースト、液体等の形状で提供することができる。食品組成物の形態で提供することによって、本発明の有効成分を日常的に摂取したり、継続的に摂取したりすることが容易となる。 [0025] 本発明の食品組成物には治療的又は予防的効果が期待できる量の有効成分が含有されることが好ましい。添加量は、それが使用される対象となる者の病状、健康状態、年齢、性別、体重などを考慮して定めることができる。 実施例 [0026] 1.中鎖脂肪酸誘導体の合成 (1)TIC-11014(N-2-(ジエチルアミノ)エチル)デセン-9-エナミド: N-2-(diethylamino)ethyl)dec-9-enamide)の合成 過剰の塩化チオニールと処理して得た9-デセン酸クロライド (C10H16OCl 分子量187.5) 1.0 g (5 mMol)を含むテトラヒドロフラン溶液(30 mL)にN,N-diethylethylenediamine (C6H16N2 分子量116) 1.2 g (10 mMol)を含むテトラヒロドフラン溶液(30 mL)を加え、水浴上で3時間加熱還流した。減圧下にテトラヒドロフランを除き、酢酸エチルエステルで抽出した。酢酸エチル層は濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール= 10 : 1)で精製し、淡褐色のN- (2-diethylamino)ethyl)dec-9-enamide (1.8 g)を油状物質として得た。 Pale brown oil; HR-ESIMS (positive ion mode): m/z 269.2509 [M+H]+ (Calcd for C16H32N2O, 269.2587); 1H-NMR (500 MHz CDCl3): δH 1.02 (6H, t, J = 7.2 Hz), 1.26 - 1.32 (6H, m), 1.37 (2H, quin, J = 7.0 Hz), 1.62 (2H, q , J = 7.7 Hz), 2.03 (2H, brqt, J = 8.0, 1.4 Hz), 2.17 (2H, t, J = 7.7 Hz), 2.51 - 2.56 (6H, m), 3.29 (2H, q, J = 5.4 Hz), 4.93 (1H, dq, J = 10.2, 1.2 Hz), 4.99 (1H, dq, J = 17.2, 1.7 Hz), 5.80 (1H, m), 6.15 (1H, br s). [0027] (2)TIC-11022(N-(2-(ジエチルアミノ)エチル)-N-メチルウンデセン-10-エナミド: N-(2-(diethylamino)ethyl)-N-methylundec-10-enamide)の合成 過剰の塩化チオニールと処理して得た10-ウンデセン酸クロライド(C11H18OCl分子量 201.5) 1.2 g (6 mMol)を含むテトラヒドロフラン溶液(30 mL)にN,N-diethyl-N-methylene-1,2-diamine (C7H18N2 分子量130) 780 mg (6 mMol)を含むテトラヒロドフラン溶液(30 mL)およびpyridine (474 mg, 6 mMol)を加え、水浴上で4時間加熱還流した。減圧下にテトラヒドロフランを除き、反応液に少量の炭酸カリウム試液を加え、酢酸エチルエステルで抽出した。酢酸エチル層は濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム-メタノール= 5 : 1)で精製し、淡褐色のN-(2-(diethylamino)ethyl)-N-methylundec-10-enamide (1.4 g)を油状物質として得た。 Pale brown oil; HR-ESIMS (positive ion mode): m/z 296.25352 [M+H]+ (calcd for C18H36N2O, 296.28276), 1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δH 1.01 (6H, t, J = 6.8 Hz), 1.28-1.39 (10H, m), 1.63 (2H, m), 2.02 (2H, dd, J = 6.9, 14.3 Hz), 2.28 (1H, t, J = 7.4 Hz), 2.33 (1H, t, J = 7.4 Hz), 2.54 (6H, m), 3.02 (3H, s), 3.36 (1H, t, J = 7.4 Hz), 3.43 (1H, t, J = 6.8 Hz), 4.93 (1H, dd, J = 10.3, 1.7 Hz), 5.00 (1H, dd, J = 17.2, 1.7 Hz), 5.81 (1H, m). [0028] (3)その他の化合物の合成 上記方法(1)、(2)に準じて各種中鎖脂肪酸誘導体を合成した。合成した化合物の一部の分析データを以下に示す。 TIC-11006(N-2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)ウンデセン-10-エナミド: N-2-(diisopropylamino)ethyl)undec-10-enamide) Pale brown oil; HR-ESIMS (positive ion mode): m/z 311.2993 [M+H]+ (Calcd for C19H38N2O, 311.3057) ;1H-NMR (500 MHz CDCl3): δH 1.02 (12H, d, J = 6.9 Hz), 1.26 - 1.32 (8H, m), 1.36 (2H, quin, J = 7.2 Hz), 1.61 (2H, q, J = 7.2 Hz), 2.03 (2H, q, J = 6.9 Hz), 2.17 (2H, t, J = 7.4 Hz), 2.58 (2H, t, J = 6.3 Hz), 3.02 (2H, sep, J = 6.9 Hz), 3.22 (2H, q, J = 5.8 Hz), 4.93 (1H, dq, J = 10.2, 2.2 Hz), 4.99 (1H, dq, J = 17.2, 2.0 Hz), 5.80 (1H, m), 6,20 (1H, br s). [0029] TIC-11030(N-(ピペリジン-1-イル)ウンデセン-10-エナミド::N-(piperidin-1-yl)undec-10-enamide) Brown oil; HR-ESIMS (negative ion mode): m/z 269.24007 [M-H]- (calcd for C16H31N2O, 269.23771), 1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δH 1.28-1.38 (10H, m), 1.63-1.72 (8H, m), 2.00-2.05 (4H, m), 2.44 (4H, t, J = 7.4 Hz), 4.93 (1H, dd, J = 10.3, 1.7 Hz), 5.00 (1H, dd, J = 17.2, 1.7 Hz), 5.80 (1H, m), 6.27 (3H, brs). [0030] TIC-11035(N,N-ジエチルウンデセン-10-エナミド: N,N-diethylundec-10-enamide) Pale brown oil; HR-ESIMS (positive ion mode): m/z 262.30625 [M+Na]+ (calcd for C16H29N1Na1O1, 262.21468), 1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δH 1.10 (3H, t, J = 6.8 Hz), 1.17 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.28-1.38 (10H, m), 1.64 (2H, m), 2.03 (2H, dd, J = 6.9, 14.3 Hz), 2.28 (2H, t, J = 7.4 Hz), 3.29 (2H, dd, J = 6.8, 11.6 Hz), 3.36 (2H, dd J = 6.8, 11.8 Hz), 4.93 (1H, dd, J = 10.3, 1.7 Hz), 5.00 (1H, dd, J = 17.2, 1.7 Hz), 5.81 (1H, m). [0031] TIC-11039(N,N-ジペンチルウンデセン-10-エナミド: N,N-dipentylundec-10-enamide) Pale brown oil; HR-ESIMS (negative ion mode): m/z 323.25307 [M-H]- (calcd for C21H40NO, 323.30802), 1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δH 0.89 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.91 (3H, t, J = 7.4 Hz), 1.20-1.43 (18H, m), 1.52 (4H, m), 1.63 (2H, m), 2.03 (2H, dd, J = 6.9, 14.3 Hz), 2.30 (2H, m), 3.20 (2H, m), 3.29 (2H, m), 4.93 (1H, dd, J = 10.3, 1.7 Hz), 5.00 (1H, dd, J = 17.2, 1.7 Hz), 5.80 (1H, m). [0032] TIC-11043(N,N-ジフェニルウンデセン-10-エナミド: N,N-diphenylundec-10-enamide) Brown oil; HR-ESIMS (positive ion mode): m/z 336.2322 [M+H]+ (calcd for C23H29NO, 336.2288), 1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δH 1.19-1.30 (8H, m), 1.33 (2H, m), 1.65 (2H, m), 2.02 (2H, dd, J = 6.9, 14.3 Hz), 2.25 (2H, t, J = 7.5 Hz), 4.92 (1H, dd, J = 10.3, 1.7 Hz), 4.98 (1H, dd, J = 17.2, 1.7 Hz), 5.80 (1H, m), 7.25 (6H, d, J = 8.02 Hz), 7.34 (4H, brs). [0033] 2.抗アレルギー活性の検討 新たに合成した各種中鎖脂肪酸誘導体43種とTIC-11044(9-デセン酸:dec-9-enoic acid、東京化成工業株式会社より購入)及びTIC-11045(10-ウンデセン酸:undec-10-enoic acid、東京化成工業株式会社より購入)の抗アレルギー活性を評価した。 [0034] 2-1.方法 (1)マウス能動皮膚アナフィラキシー(active cutaneous anaphylaxis;ACA)の誘発(図4) 雌性BALB/cマウスの腹腔内に卵白アルブミン(OVA) 1μgと水酸化アルミニウムゲル(alum) 1 mgを注射して免疫し、2週間後に両耳介にOVA 0.1μg (10μL)を注射して反応を誘発した。誘発30分後にマウスを頸椎脱臼死させて耳介を採取した。OVA注射による反応誘発と同時に0.5 % Evans blue生理食塩水溶液(0.25 mL)を尾静脈内へ投与し、反応によって耳介へ漏出したEvans blueを抽出定量した。また、反応誘発の前日に採血し、血清中IgEを定量した。被験化合物は、初回免疫日から2週間連日腹腔内投与した(500 μg/kg)。対象薬であるトシル酸スプラタスト(IPD)は初回免疫日から2週間連日経口投与した(100 mg/kg)。 [0035] (2)マウス受動皮膚アナフィラキシー(passive cutaneous anaphylaxis;PCA)の誘発(図5) 雌性BALB/cマウスの両耳介に10倍希釈したマウス抗ジニトロフェニル(DNP) IgE抗体 20μLを皮内注射して受動的に感作した。24時間後に0.1 mg/mLのDNP-BSAを含む0.5 % Evans blue生理食塩水溶液0.25 mLを尾静脈内へ注射して反応を惹起した。反応惹起直後から30分後にマウスを頸椎脱臼死させ、反応部位を採取してEvans blue漏出量を測定した。被験化合物は抗原静脈内投与1時間前に腹腔内投与した(500 μg/kg)。対象薬であるジフェンヒドラミン(DPH)は抗原静脈内投与1時間前に経口投与した(20 mg/kg)。 [0036] 2-2.結果・考察 45化合物の能動皮膚アナフィラキシー反応(ACA)に及ぼす影響を比較・評価した(図1、2)。IgE産生抑制作用が強く、I型アレルギー反応抑制作用も併せ持つ化合物(図1において星印で示したTIC-11006、TIC-11014、TIC-11022、TIC-11030、TIC-11035)とIgE産生抑制作用は弱いものの、I型アレルギー反応抑制作用を併せ持つ化合物(図1において黒矢印で示したTIC-11039、TIC-11043)を有望な化合物(合計7種)として選出した。図2は、IgE産生抑制作用を併せ持つ5化合物の成績を示したものである。5種類の化合物のうち、特にTIC-11030及びTIC-11035の作用が強力であることがわかる。 [0037] IgE産生抑制作用が強く、I型アレルギー反応抑制作用も併せ持つ5種類の化合物が受動皮膚アナフィラキシー反応(PCA)に及ぼす影響を検討した。図3に示す通り、これら5種の化合物は優れた抑制作用(0.5 mg/kgの腹腔内投与によりジフェンヒドラミン20 mg/kgの経口投与群と同等の抑制作用)を示すことが明らかとなった。 [0038] 以上の通り、IgE産生作用とI型アレルギー反応抑制作用を併せ持つ新規化合物7種類を同定することに成功した。これらの化合物は新規アレルギー疾患治療薬として有望である。中でも5種類の化合物、即ちTIC-11006、TIC-11014、TIC-11022、TIC-11030及びTIC-11035には強いIgE産生抑制作用が認められ、高い治療又は予防効果を期待できる。特に、TIC-11030及びTIC-11035のIgE産生抑制作用は強力であり、最も有効な化合物であると評価できる。一方、今回の検討によって、既知化合物であるTIC-11044及びTIC-11045にも強い抗アレルギー活性が認められた。これらの化合物もアレルギー疾患治療薬として有望といえる。 産業上の利用可能性 [0039] 本発明の新規化合物はIgE産生とI型アレルギー反応の両者を抑制し得る。従って、アレルギー反応の源流と症状の両者を抑制しうる新規抗アレルギー薬として利用され得る。 [0040] この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。 |
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